JP2009218446A - レーザー発振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置全体の構成を大型化することなく、また、製造コスト、消費電力量および発熱量の上昇を抑制し、かつ、安定したパルス発振動作を実現する。
【解決手段】レーザー共振器内に音響光学素子を配置し、上記音響光学素子により上記レーザー共振器内の光損失を制御するレーザー発振装置において、
レーザー共振器内に配置された音響光学素子の回折領域に入射され、該回折領域で回折されずに通過した光を上記音響光学素子に向けて反射し、該反射した光を上記通過した光の光軸とは異なる光軸で上記音響光学素子の回折領域に入射する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、レーザー発振装置に関し、さらに詳細には、レーザー共振器内に配置した音響光学素子により、当該レーザー共振器内の光損失を制御するようにしたレーザー発振装置に関する。
従来より、レーザー発振装置において、レーザー共振器内に配置した音響光学素子によりそのレーザー共振器内の光損失を制御して、レーザー共振器内に光損失を生じさせることによりレーザー発振を止めてレーザー媒質にエネルギーを蓄積させ、その後にレーザー媒質に蓄積されたエネルギーを一気に放出することにより、高いピークパワーを持ったパルス状の出力、即ち、高出力パルスレーザー光を発生するようにした手法が知られている。
この音響光学素子を用いてレーザー共振器内の光損失を制御する手法は、具体的には、例えば、音響光学素子を内蔵したQスイッチをレーザー発振装置のレーザー共振器内に配置することにより実現される。

ここで、図1(a)には、音響光学素子を内蔵したQスイッチをレーザー共振器内に配設した従来のレーザー発振装置の一例が示されている。
このレーザー発振装置100においては、出力ミラー22とエンドミラー24とによりレーザー共振器が構成されており、このレーザー共振器内にレーザー媒質18と音響光学素子32を内蔵したQスイッチ20とが配置されている。
より詳細には、レーザー発振装置100は、レーザーダイオードなどにより構成されていて励起光を生成し出射する光源12と、光源12から出射された励起光を平行光とするためのコリメーターレンズ14と、コリメーターレンズ14で平行光とされた励起光を集光するための集光レンズ16と、集光レンズ16により集光された励起光により励起されて光(レーザー光)を誘導放出するレーザー媒質18と、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光を回折することなくそのまま通過させたり、あるいは、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光を回折して通過させてレーザー共振器内の光損失を制御するQスイッチ20と、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光の波長に対して所定の透過率を有する出力ミラー22と、光源12から出射された励起光の波長を透過するとともにレーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光の波長を高反射率で反射するエンドミラー24とを有して構成されている。

また、図2(a)には、Qスイッチ20の内部構成を示す概略構成説明図が示されており、また、図2(b)には、図2(a)のA矢視図が示されている。
これら図2(a)(b)に示すように、Qスイッチ20は、外部に設けられた高周波信号発生回路40から出力された高周波信号を入力する入力端子26と、インピーダンス整合するためのマッチング回路28と、マッチング回路28を介して入力された高周波信号を超音波に変換するトランスデューサー30と、トランスデューサー30によって変換された超音波により周期的な屈折率分布を生じる音響光学素子32とを有して構成されている。

以上の構成において、レーザー発振装置100によるレーザー発振を説明すると、まず、光源12から出力された励起光はコリメーターレンズ14により平行光とされ、当該平行光とされた励起光は集光レンズ16により集光されて、集光された励起光がエンドミラー24を透過してレーザー媒質18に入射される。
このレーザー媒質18への励起光の入射により、レーザー媒質18から光(レーザー光)が誘導放出される。
そして、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光は、Qスイッチ20に内蔵された音響光学素子32の回折領域に入射される。
ここで、高周波信号発生回路40の出力によりQスイッチ20は、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されるまでは、音響光学素子32の回折領域に入射された光を当該回折領域で回折して、レーザー共振器内の光損失を生じさせることによりレーザー発振を止めるように制御され、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されると、音響光学素子32の回折領域に入射された光を当該回折領域で回折することなく通過するようにして、レーザー発振によりレーザー媒質18に蓄積されたエネルギーを一気に放出させて、高いピークパワーを持ったパルス状の出力、即ち、高出力パルスレーザー光を発生するように制御されている。
そして、音響光学素子32の回折領域で回折されることなく通過し、Qスイッチ20を通過したレーザー光は、出射ミラー22からレーザー共振器の外部へ出力されることになる。

即ち、Qスイッチ20においては、高周波信号発生回路40から出力された高周波信号が入力端子26に入力され、当該高周波信号は入力端子26からマッチング回路28を介してトランスデューサー30に入力され、当該トランスデューサー30に入力された高周波信号は当該トランスデューサー30で超音波に変換されて、当該変換された超音波が音響光学素子32へ伝搬するように構成されている。
そして、音響光学素子32は、超音波の強度分布に対応した屈折率の格子を形成するものであり、超音波の強度分布に対応した屈折率の格子を形成することにより、光の回折を制御している。
つまり、Qスイッチ20においては、高周波信号発生回路40の出力を制御することによって音響光学素子32に所望の超音波を伝搬させ、音響光学素子32に当該所望の超音波を伝搬させることにより音響光学素子32において所望の屈折率を得ることができるように構成されており、この所望の屈折率を得ることができるように構成された領域が、上記した回折領域となる。
レーザー発振装置100においては、レーザー光の光軸上に、Qスイッチ20に内蔵された音響光学素子32の回折領域を配置することによって、図1(b)に示すように、レーザー媒質18から誘導放出されるレーザー光を回折して、レーザー共振器内において光損失を生じさせることによりレーザー発振を止めるようになされている。
つまり、Qスイッチ20においては、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されるまでは、音響光学素子32の回折領域に入射したレーザー光を回折するように、高周波信号発生回路40の出力により音響光学素子32が制御され、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されると音響光学素子32の回折領域に入射したレーザー光を回折させずに直進させるように、高周波信号発生回路40の出力により音響光学素子32が制御される。

しかしながら、音響光学素子の回折効率は、通常は70〜80%程度であり、利得の高いレーザー媒質を用いたレーザー発振装置においては、レーザー共振器内において音響光学素子により光損失を生じさせてレーザー媒質中に励起エネルギーを蓄積させている際に、音響光学素子で回折されずに通過したレーザー光により、レーザー発振が僅かに始まってしまい、レーザー光がレーザー共振器の外部へ出射してしまうこととなっていた。
換言すれば、音響光学素子を用いてレーザー発振を停止する際には、音響光学素子による回折効率が十分でないと、レーザー共振器内における音響光学素子による光損失が十分でなくなってレーザー発振が僅かに始まってしまい、漏れ光が生じることになる。
この漏れ光は、Qスイッチにおける回折時にレーザー媒質の利得が共振器内の光損失を上回ったために僅かなレーザー発振が生じるものである。
こうした漏れ光が生じることにより、レーザー媒質への励起エネルギーの蓄積が安定せず、パルス発振を行った場合に、パルス幅が拡がってしまったり、安定した出力が得られないなどの問題点が指摘されていた。
さらに、レーザーを用いた加工装置においては、こうした漏れ光がレーザー加工時に加工を望まない領域を加工してしまう原因となり、また、レーザーを用いた検査装置においては、こうした漏れ光がノイズとなって検出精度を低下させる原因となるなどの問題点が指摘されていた。

近年、上記したような種々の問題点に鑑み、レーザー共振器内の光損失をより高めるために、レーザー共振器内に複数、例えば、2個の音響光学素子を配置する手法が提案されている。
しかしながら、レーザー共振器内に複数、例えば、2個の音響光学素子を配置する手法によれば、レーザー発振装置内に複数の音響光学素子を配置するためのスペースが必要となり装置全体が大型化するという問題点や、複数の音響光学素子を必要とするため製造コストが上昇するという問題点や、複数の音響光学素子を駆動するためレーザー発振装置全体における消費電力量が上昇するという問題点や、複数の音響光学素子それぞれが発熱することよりレーザー発振装置内における発熱量が上昇するという問題点など、種々の新たな問題点を招来するものであった。

なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置全体の構成を大型化することなく、また、製造コスト、消費電力量および発熱量の上昇を抑制し、かつ、安定したパルス発振動作を実現することができるようにしたレーザー発振装置を提供しようとするものである。
また、本発明の目的とするところは、装置全体の構成を大型化することなく、また、製造コスト、消費電力量および発熱量の上昇を抑制し、かつ、音響光学素子を用いてレーザー発振を停止する際における漏れ光の発生を抑制することができるようにしたレーザー発振装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、単一の音響光学素子を配置されたレーザー共振器内において、光の光軸が当該音響光学素子の回折領域において2カ所以上通過するようにしたものである。
従って、本発明によれば、単一の音響光学素子により高い回折効率を実現してレーザー共振器内に高い光損失を与えることができ、装置全体の構成を大型化することなく、また、製造コスト、消費電力量および発熱量の上昇を抑制しながら、安定したパルス発振動作の実現や、漏れ光の発生を抑制することができる。

こうした本発明のうち請求項1に記載の発明は、レーザー共振器内に音響光学素子を配置し、上記音響光学素子により上記レーザー共振器内の光損失を制御するレーザー発振装置において、レーザー共振器内に配置された音響光学素子の回折領域に入射され、該回折領域で回折されずに通過した光を上記音響光学素子に向けて反射し、該反射した光を上記通過した光の光軸とは異なる光軸で上記音響光学素子の回折領域に入射するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記通過した光の光軸と上記反射した光の光軸とは互いに平行に位置するようにしたものである。
本発明は、以上説明したように構成されているので、装置全体の構成を大型化することなく、また、製造コスト、消費電力量および発熱量の上昇を抑制することができ、かつ、安定したパルス発振動作を実現することができるようになるという優れた効果を奏する。
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、装置全体の構成を大型化することなく、また、製造コスト、消費電力量および発熱量の上昇を抑制することができ、かつ、音響光学素子を用いてレーザー発振を停止する際における漏れ光の発生を抑制することができるようになるという優れた効果を奏する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるレーザー発振装置の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
なお、以下の説明においては、図1(a)(b)および図2(a)(b)を参照しながら説明した従来のレーザー発振装置と同一または相当する構成については、上記において用いた名称や符号と同一の名称や符号を用いて示すことにより、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜に省略することとする。

まず、図3(a)には、本発明によるレーザー発振装置の実施の形態の一例の概略構成説明図が示されており、図3(b)には、図3(a)のQスイッチに入射したレーザー光が回折される状態を示した説明図が示されている。
このレーザー発振装置10は、出力ミラー22とエンドミラー24とによりレーザー共振器が構成されており、このレーザー共振器内にレーザー媒質18、Qスイッチ20、直角プリズム34および反射ミラー36が配置されている。
より詳細には、レーザー発振装置10は、レーザーダイオードなどにより構成されていて励起光を生成し出射する光源12と、光源12より出射された励起光を平行光とするためのコリメーターレンズ14と、コリメーターレンズ14で平行光とされた励起光を集光するための集光レンズ16と、集光レンズ16により集光された励起光により励起されて光(レーザー光)を誘導放出するレーザー媒質18と、レーザー光が出入射する面にARコート(Anti Reflection Coating:反射防止コーティング)が施されているとともに、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光を当該レーザー光の光軸に対して光軸が平行になるように屈折させて折り返す直角プリズム34と、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光と直角プリズム34によりレーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光の光軸に対して光軸が平行になるように折り返されたレーザー光(以下、「直角プリズム34によりレーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光の光軸に対して光軸が平行になるように折り返されたレーザー光」を「折り返し光」と適宜に称する。)とをそれぞれそのまま通過させたり、あるいは、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光と折り返し光とをそれぞれ回折して通過させてレーザー共振器内の光損失を制御するQスイッチ20と、Qスイッチ20を通過した折り返し光を出力ミラー22へ向けて反射する反射ミラー36と、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光の波長に対して所定の透過率を有する出力ミラー22と、光源12から出射された励起光の波長を透過するとともにレーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光の波長を高反射率で反射するエンドミラー24とを有して構成されている。

また、Qスイッチ20は、図2(a)(b)に示す構成を備えており、音響光学素子32は、図4においてハッチングで示す回折領域を備えている。
そして、Qスイッチ20は、図5に示すように、レーザー媒質18より誘導放出されたレーザー光の光軸と折り返し光の光軸とが、音響光学素子32の回折領域をそれぞれ通過可能な位置関係でレーザー共振器内に配置されている。
即ち、レーザー発振装置10においては、レーザー媒質18より誘導放出されたレーザー光と折り返し光とよりなる2本の平行な光の光軸が、音響光学素子32の回折領域を通過するように各構成が配置されている。

なお、光源12は、例えば、波長808nmの励起光を生成し、また、レーザー媒質18としては、例えば、Nd:YVO結晶を用いることができ、また、出力ミラー22とエンドミラー24との間の距離は、例えば、20cmであり、また、エンドミラー24は、例えば、レーザー媒質18より誘導放出された光のうち波長1064nmの光の反射率が99.9%以上であり、かつ、曲率が無限大(∞)であり、また、出力ミラー22は、レーザー媒質18より誘導放出された光のうち波長1064nmの光の反射率が90%であり(即ち、レーザー媒質18より誘導放出された光のうち波長1064nmの光の透過率は、10%である。)、かつ、曲率が無限大(∞)である。

以上の構成において、レーザー発振装置10によるレーザー発振を説明すると、まず、光源12により出力された励起光はコリメーターレンズ14により平行光とされ、当該平行光とされた励起光は集光レンズ16により集光されて、集光された励起光がエンドミラー24を透過してレーザー媒質18に入射される。
このレーザー媒質18への励起光の入射により、レーザー媒質18から光(レーザー光)が誘導放出される。
そして、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光は、Qスイッチ20に内蔵された音響光学素子32の回折領域に入射される。
ここで、高周波信号発生回路40の出力によりQスイッチ20は、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されるまでは、音響光学素子32の回折領域に入射された光を当該回折領域で回折して、レーザー共振器内の光損失を生じさせることによりレーザー発振を止めるように制御され、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されると、音響光学素子32の回折領域に入射された光を当該回折領域で回折することなく通過するようにして、レーザー発振によりレーザー媒質18に蓄積されたエネルギーを一気に放出させて、高いピークパワーを持ったパルス状の出力、即ち、高出力パルスレーザー光を発生するように制御されている。
即ち、レーザー媒質18より誘導放出されたレーザー光は、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されるまでは音響光学素子32において回折され、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されると音響光学素子32において回折されることなくQスイッチ20を通過する。
一方、音響光学素子32の回折領域で回折されることなく通過し、Qスイッチ20を通過したレーザー光は、直角プリズム34に入射され、直角プリズム34によって屈折されて音響光学素子32に向けて折り返され、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光の光軸に対して平行な光軸を備えたレーザー光たる折り返し光として、音響光学素子32の回折領域に入射される。
即ち、折り返し光も、Qスイッチ20に設けられた音響光学素子32の回折領域に入射され、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されるまでは音響光学素子32において回折され、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されると音響光学素子32において回折されることなく通過する。
そして、Qスイッチ20を通過した折り返し光は、反射ミラー36により出射ミラー22へ向けて反射され、出射ミラー22からレーザー共振器の外部へ出力される。
この際に、上記したように、Qスイッチ20においては、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されるまでは、音響光学素子32の回折領域に入射したレーザー光を回折してレーザー発振を止めるように、高周波信号発生回路40の出力により音響光学素子32が制御され、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されると音響光学素子32の回折領域に入射したレーザー光を回折させずに直進させるように、高周波信号発生回路40の出力により音響光学素子32が制御される。

ここで、音響光学素子32の回折効率は、上記したように、70〜80%程度であるため、音響光学素子32に入射した光が音響光学素子32において回折されるように制御されていても、音響光学素子32に入射した光の20〜30%は回折されずに音響光学素子32を通過してしまう。
この回折されずに音響光学素子32を通過した光は、直角プリズム34によってレーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光の光軸に平行な光軸を備えた折り返し光として折り返され、再度Qスイッチ20に設けられた音響光学素子32の回折領域に入射される。
このとき、音響光学素子32は、高周波信号発生回路40により音響光学素子32に入射されたレーザー光を回折するように制御されているため、Qスイッチ20に設けられた音響光学素子32の回折領域に入射された折り返し光は、音響光学素子32において回折されることとなる(図3(b)を参照する。)。
このように、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光は、音響光学素子32の回折領域を2つの異なる光軸で2カ所を通過するようになるため、レーザー共振器内において高い光損失を生じさせることができるようになる。
ここで、通常、レーザー光がレーザー共振器内を1往復する際には、レーザー媒質18を2回、Qスイッチ20に設けられた音響光学素子32の回折領域を単一の光軸で2回、出力ミラー22を1回通過することになる。
このとき、例えば、レーザー共振器内において出力ミラー22とQスイッチ20に設けられた音響光学素子32のみで光損失が生じるとし、レーザー光がレーザー媒質18を1回通過することで5倍増幅され、レーザー媒質から誘導放出された直後のレーザー光のエネルギー状態を1、音響光学素子32の回折効率を75%、出力ミラーの透過率を10%とすると、レーザー媒質18を2回通過することですることによりレーザー共振器内における増幅率は25(5×5)となり、さらに、音響光学素子32の回折領域を単一の光軸で2回通過し、出力ミラー22を1回通過することにより、減衰率は0.05625(0.25×0.25×0.9)となる。
漏れ光が生じる条件は(増幅率)×(減衰率)>1であり、この場合では増幅率と減衰率との積が1.40625(25×0.05625)>1となるため、漏れ光が出力ミラー22から出力されることとなる。
これに対し、レーザー光がレーザー共振器内を1往復する際に、レーザー媒質18を2回、Qスイッチ20に設けられた音響光学素子32の回折領域を2つの異なる光軸で4回、出力ミラー22を1回通過する場合では、同様の条件において、レーザー媒質を2回通過することによりレーザー共振器内における増幅率は25(5×5)となり、さらに、音響光学素子32の回折領域を2つの異なる光軸で4回、出力ミラー22を1回通過することにより、減衰率は0.0035156(0.25×0.25×0.25×0.25×0.9)となり、増幅率と減衰率との積が0.08789(25×0.0035156)<<1となるため、漏れ光が出力ミラー22から出力されることはない。
つまり、「背景技術」の項で説明した従来のレーザー発振装置100のように、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光がQスイッチ20に設けられた音響光学素子32の回折領域を単一の光軸で1カ所しか通過しない場合は、増幅率と減衰率との積が1より大きくなるため漏れ光が生じることとなるが、一方、本発明によるレーザー発振装置10のように、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光がQスイッチ20に設けられた音響光学素子32の回折領域を2つの異なる光軸で2カ所通過する場合は、増幅率と減衰率との積が1より小さくなるため漏れ光が生じることはない。これは、本発明によるレーザー発振装置10による減衰率、つまり、レーザー共振器内の光損失が極めて高いことを示している。
そして、音響光学素子32によりレーザー共振器内に極めて高い光損失を生じさせることにより、レーザー媒質18中に励起エネルギーを蓄積し、レーザー媒質18に励起エネルギーが十分に蓄積されると、音響光学素子32に入射されたレーザー光を回折せずにそのまま通過させ、直角プリズム34およびQスイッチ20を通過したレーザー光が反射ミラー36により出射ミラー22へ向けて折り返され、出射ミラー22からレーザー共振器の外部へ一気に出力されることになる。
従って、レーザー発振装置10によれば、安定したパルス発振動作の実現や、音響光学素子を用いてレーザー発振を停止する際における漏れ光の発生を抑制することができる。
また、レーザー発振装置10は、単一の音響光学素子32を内蔵した単一のQスイッチ20を用いるものであるので、製造コスト、消費電力量および発熱量の上昇を抑制することができる。

なお、レーザー共振器の光損失を最大にする場合、つまり、Qスイッチ20に内蔵された音響光学素子32における回折効率を最も良好にするには、レーザー共振器内にて音響光学素子32の角度をレーザー光の光軸に対し所定の角度に精密に調整する必要があるが、レーザー発振装置10においては、レーザー媒質18から誘導放出されQスイッチ20を通過するレーザー光の光軸と折り返し光の光軸とは常に平行となるため、音響光学素子32を配設したQスイッチの角度を調整するという簡単な操作で、レーザー媒質18から誘導放出されQスイッチ20を通過するレーザー光と折り返し光との2本のレーザー光の光軸に対して容易に最適な角度を見いだすことができ、レーザー共振器の光損失を容易に最大にすることができる。

また、本発明によるレーザー発振装置10に用いられるQスイッチによっては、設けられている音響光学素子において回折領域中の回折効率の高い領域が限定されているものがあるが、レーザー光がこうした音響光学素子の回折領域を2つの異なる光軸で2カ所通過させる場合、レーザー光を回折効率が高い領域のみに通過させることができない場合もあるが、通過する回折領域の回折効率が多少低下したとしても、レーザー光が回折領域を単一の光軸で1カ所のみ通過させる場合に比べて、より大きな光損失を生じることができるので、漏れ光が生じることはない。

なお、上記した実施の形態においては、1つの直角プリズム34を用いて、レーザー媒質18で誘導放出されたレーザー光を、Qスイッチ20に内蔵された音響光学素子32の回折領域に異なる2つの光軸で2カ所通過させるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、複数の直角プリズムを用いて、レーザー媒質で誘導放出されたレーザー光を、音響光学素子の回折領域に異なる2以上の複数、即ち、3つ以上の光軸で、2カ所以上の複数カ所、即ち、3カ所以上通過させるようにして、レーザー共振器内の光損失をより効率的に生じさせるようにしてもよい。
例えば、図6には、2つ直角プリズム34、52を用いて、レーザー媒質18で誘導放出されたレーザー光を、Qスイッチ20に内蔵された音響光学素子32の回折領域に異なる3つの光軸で3回通過させるようにして、レーザー共振器内の光損失をより効率的に生じさせるようにしたレーザー発振装置50が示されている。
即ち、レーザー発振装置50においては、レーザー媒質18から誘導放出されたレーザー光を、直角プリズム34および直角プリズム52を用いて、Qスイッチ20に内蔵された音響光学素子32の回折領域に異なる3つの光軸で3回通過させることができるので、音響光学素子32の回折領域における極めて高い回折効率が実現でき、極めて利得が高いレーザー媒質18を用いたとしても、レーザー媒質18への励起エネルギーの蓄積が安定し、パルス発振を安定して発振することができ、また、レーザー発振を停止する際には漏れ光はほとんど発生することがない。

また、上記した実施の形態においては、レーザー媒質18より誘導放出されたレーザー光の光軸と折り返し光の光軸とが平行な位置関係を有するように構成したが、これに限られるものではないことは勿論であり、レーザー媒質18より誘導放出されたレーザー光の光軸と折り返し光の光軸とは平行でなくてもよい。
本発明は、レーザーマーキングやレーザー溶接といった各種のレーザー加工などの分野において利用することができる。
図1(a)は、音響光学素子を内蔵したQスイッチをレーザー共振器内に配設した従来のレーザー発振装置の一例を示す概略構成説明図であり、また、図1(b)は、図1(a)のQスイッチに入射したレーザー光が回折される状態を示した説明図である。 図2(a)は、Qスイッチの内部構成を示す概略構成説明図であり、また、図2(b)は、図2(a)のA矢視図である。 図3(a)は、本発明によるレーザー発振装置の実施の形態の一例の概略構成説明図であり、また、図3(b)は、図3(a)のQスイッチに入射したレーザー光が回折される状態を示した説明図である。 図4は、音響光学素子の回折領域を示す図2(b)に対応する説明図である。 図5は、音響光学素子の回折領域を通過するレーザー光の光軸の位置を示す図4に対応する説明図である。 図6は、本発明によるレーザー発振装置の他の実施の形態の概略構成説明図である。
符号の説明
10、50、100 レーザー発振装置
12 光源
14 コリメーターレンズ
16 集光レンズ
18 レーザー媒質
20 Qスイッチ
22 出力ミラー
24 エンドミラー
26 入力端子
28 マッチング回路
30 トランスデューサー
32 音響光学素子
34、52 直角プリズム
36 反射ミラー
40 高周波信号発生回路

Claims (2)

  1. レーザー共振器内に音響光学素子を配置し、前記音響光学素子により前記レーザー共振器内の光損失を制御するレーザー発振装置において、
    レーザー共振器内に配置された音響光学素子の回折領域に入射され、該回折領域で回折されずに通過した光を前記音響光学素子に向けて反射し、該反射した光を前記通過した光の光軸とは異なる光軸で前記音響光学素子の回折領域に入射する
    ことを特徴とするレーザー発振装置。
  2. 請求項1に記載のレーザー発振装置において、
    前記通過した光の光軸と前記反射した光の光軸とは互いに平行に位置する
    ことを特徴とするレーザー発振装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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