JP2013055222A - レーザー発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】出力されるレーザー光のエネルギー分布はフラットで、周辺部にエネルギーが分散することのないレーザー光束を得ることができるレーザー発振器を得る。
【解決手段】半導体レーザーからの波長808nmの光を波長1064nmの光に変換するYVO4結晶40と、YVO4結晶40を挟んで対向して配置された全反射ミラー30および部分透過ミラー60を有してなるレーザー共振器10を備え、全反射ミラー30は波長808nmの光を透過し波長1064nmの光を全反射する反射面を備え、部分透過ミラー60は波長1064nmの光のうち一部のみを透過し残りを反射する反射面を備え、全反射ミラー30と部分透過ミラー60はともに平面ミラーであり、先端部のエネルギー分布が平坦なレーザー光を出力する。
【選択図】図1
【解決手段】半導体レーザーからの波長808nmの光を波長1064nmの光に変換するYVO4結晶40と、YVO4結晶40を挟んで対向して配置された全反射ミラー30および部分透過ミラー60を有してなるレーザー共振器10を備え、全反射ミラー30は波長808nmの光を透過し波長1064nmの光を全反射する反射面を備え、部分透過ミラー60は波長1064nmの光のうち一部のみを透過し残りを反射する反射面を備え、全反射ミラー30と部分透過ミラー60はともに平面ミラーであり、先端部のエネルギー分布が平坦なレーザー光を出力する。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、レーザー光を用いた刻印加工機などの光源装置に適したレーザー発振器に関するものである。
半導体レーザーから例えば波長808nmのレーザー光を射出させてこれをNd,YVO4(Neodymium Doped Yttrium Orthovanadate)結晶を備えたレーザー共振器で共振させ、波長1064nmの基本波に波長変換するレーザー発振器が知られている。このレーザー発振器は、波長808nmのレーザー光の光路上にNd,YVO4結晶を配置し、この結晶を挟んで入射側と出射側に相対向させて共振ミラーを配置してなる。入射側の共振ミラーは、凸面からなる全反射ミラーであり、出射側の共振ミラーは平面からなる部分反射ミラーである。上記結晶によって変換された波長1064nmのレーザー光を共振させてピークパワーの高いシングルモードのレーザー光を発生させる。
このようにレーザー光を共振させるユニットを共振器とし、この共振器への入射光の絞りや出射光路を構成する光学系をレーザー発振器あるいはレゾネータという。上記共振器中に、Qスイッチを配置することによって、波長1064nmのレーザー光がパルス発振され、パルスレーザーが射出される。このようなNd,YVO4結晶を用いたレーザー発振器は加工機の光源装置として利用することができる。すなわち、ワークとの相対位置制御に合わせてレーザー発振器から出射されるレーザー光をオン・オフ制御することにより、ワークを所定の形に加工し、あるいはワークに所定のパターンを刻むことができる。特に、例えば刻印加工機などの光源装置として好適である。
Nd,YVO4結晶を用いたレーザー発振器から射出されるレーザー光束は、横断面中心のエネルギーが高く、中心から外側に向かって遠ざかるにしたがい順次エネルギーが低くなる。したがって、レーザー光束の横断面におけるエネルギー分布を示すグラフは、槍の先端のように鋭く尖りかつ周辺部もエネルギーを持ちながら順次エネルギーレベルが低下していく形になっている。さらに換言すれば、上記レーザー光束のエネルギー分布を示すグラフにおいて、深さ方向の断面を見ると、どこの断面においても同心の真円状であり、裾の方に向かって順次径が大きくなっている。この点、YAGレーザーのエネルギー分布のようにピークのパワーが鈍っているものとは異なっている。
Nd,YVO4結晶を用いたレーザー発振器から射出されるレーザー光束のエネルギー分布には上記のような特性があることから、上記レーザー発振器は、ワークの目的の位置にピンポイントで照射する必要がある場合などによく用いられる。前述の刻印加工機などの光源として用いられているのはその例である。しかしながら、例えば、金属のベースに保護層あるいは防錆層を形成し、その上にさらに厚さ1μm程度のめっき層を形成し、このめっき層にレーザー光束を当てて例えば直径10μm程度の点を打ちながら所定のパターンの画像を形成する、というような場合に、従来のNd,YVO4結晶を用いたレーザー発振器を光源とすると、以下のような問題があることが分かってきた。その一つは、上記のようにレーザー光束の横断面におけるエネルギー分布は槍の先端のように鋭く尖った形になっているため、直径10μm程度の点を打とうとすると、レーザー光束の中央部が上記保護層あるいは防錆層を突き抜けて、保護層あるいは防錆層を破壊してしまうことである。また、直径10μmのレーザー光束を上記ワークに照射して直径10μmの点を打ったとしても、直径10μmの点の外側周辺においてもレーザー光束が持っているエネルギーによって上記打点の範囲が拡大され、目論見通りの大きさの点を打つことができない、という問題もある。
このような問題は、加工品質に影響する。特に、ワークの素材が、例えば銅のような柔らかい素材であり、かつ、めっき層の素材が金や銀などの比較的柔らかい素材である場合に顕著である。なぜなら、レーザー光束が到達する深さが深くなり、かつ、形成される点の直径がレーザー光束の横断面の直径よりも大きくなるため、例えば画像を刻印しようとすると予測していた画像の品質よりも劣った画像しか得られず、あるいは、本来到達すべきではない層までレーザー光が到達して目的の加工部分以外も加工されてしまうからである。このように、従来のNd,YVO4結晶を用いたレーザー発振器を光源とした加工機によれば、加工深度をコントロールすることができず、狙った部分乃至は層のみを加工することは難しかった。従来、このような加工品質に関しては問題にされなかったが、レーザー技術の進歩に伴い、より高品質の加工が求められるようになってきた。
なお、本発明に関連のある先行技術文献として特許文献1を挙げる。特許文献1には、レーザーロッドと、パルス発振を可能にするQスイッチとの直列的な配置を挟んで凹面鏡と凸面鏡からなる共振器ミラーを配置してなるレーザー発振器が記載されている。ただし、特許文献1記載の発明は、周波数の異なる2つのレーザー光を非線形光学結晶に入射させて、入射レーザー光の差周波のレーザー光を出力させる波長変換レーザー装置に関するもので、後で詳細に説明する本願発明とは技術思想が異なっている。
本発明は、前記従来のNd,YVO4結晶を用いたレーザー発振器の問題点を解消し、出力されるレーザー光のエネルギー分布はフラットで、周辺部にエネルギーが分散することのないレーザー光束を得ることができるレーザー発振器を提供することを目的とする。
本発明に係るレーザー発振器は、
半導体レーザーからの波長808nmの光を波長1064nmの光に変換するYVO4結晶と、このYVO4結晶を挟んで対向して配置された全反射ミラーおよび部分透過ミラーを有してなるレーザー共振器を備え、
上記全反射ミラーは波長808nmの光を透過し波長1064nmの光を全反射する反射面を備え、
上記部分透過ミラーは波長1064nmの光のうち一部のみを透過し残りを反射する反射面を備え、
上記全反射ミラーと部分透過ミラーはともに平面ミラーであり、
先端部のエネルギー分布が平坦なレーザー光を出力することを最も主要な特徴とする。
半導体レーザーからの波長808nmの光を波長1064nmの光に変換するYVO4結晶と、このYVO4結晶を挟んで対向して配置された全反射ミラーおよび部分透過ミラーを有してなるレーザー共振器を備え、
上記全反射ミラーは波長808nmの光を透過し波長1064nmの光を全反射する反射面を備え、
上記部分透過ミラーは波長1064nmの光のうち一部のみを透過し残りを反射する反射面を備え、
上記全反射ミラーと部分透過ミラーはともに平面ミラーであり、
先端部のエネルギー分布が平坦なレーザー光を出力することを最も主要な特徴とする。
共振器ミラーを構成する全反射ミラーと部分透過ミラーはともに平面ミラーであり、これらの平面ミラー間でレーザー光束は広がることなく限られた範囲で共振するため、出力されるレーザー光のエネルギー分布曲線は頂部がフラットで真円状にエネルギーが分布し、また、加工深度のコントロールが可能なレーザー光束を得ることができる。
以下、本発明に係るレーザー発振器の実施例を、図面を参照しながら説明する。
図1において、符号1はレーザー発振器のベースを示している。ベース1の一側端部には集光光学系2が組み込まれている。集光光学系2は、ベース1の側板に固定された鏡筒23と、鏡筒23内に固定されたコリメートレンズ21および集光レンズ22を有してなる。鏡筒23には適宜の光コネクタによって光ケーブル3の一端が結合されている。光ケーブル3の他端には図示されない半導体レーザーが結合され、半導体レーザーから出射されるレーザー光が光ケーブル3を経て集光光学系2に導入されるようになっている。
光ケーブル3を経て集光光学系2に導入されるレーザー光はコリメートレンズ21で平行光束にされ、この平行光束は集光レンズ22でその焦点位置に集光される。この焦点に、Nd,YVO4結晶40の入射端が位置している。Nd,YVO4結晶40は、ベース1上に固定されている結晶ホルダ41によって支持されている。集光レンズ22とNd,YVO4結晶40の間には全反射ミラー30が反射面をNd,YVO4結晶40の一端面に対向させてベース1に固定されている。
Nd,YVO4結晶40を挟んで全反射ミラー30とは反対側に、Nd,YVO4結晶40と対向してQスイッチ50がベース1上に配置されている。さらに、Qスイッチ50を挟んでNd,YVO4結晶40とは反対側に、Qスイッチ50と対向して部分透過ミラー60がベース1上に配置されている。全反射ミラー30と部分反射ミラー60の反射面はともに反射面が平面であって、双方の反射面がNd,YVO4結晶40とQスイッチ50を間において互いに対向している。
上記半導体レーザーからは波長808nmの光が出射される。上記全反射ミラー30は、波長808nmの光を透過し、波長1064nmの光を全反射する反射面を備えている。これに対して上記部分透過ミラー60は、波長1064nmの光のうち一部のみ、例えば20%を透過し、残りの例えば80%を反射する反射面を備えている。上記Nd,YVO4結晶40、Qスイッチ50、全反射ミラー30および部分反射ミラー60によってレーザー共振器10を構成している。
上記半導体レーザーはレーザー共振器10の外側にあり、光ケーブル3を経てレーザー光がレーザー共振器10に導入されるように構成されている。なお、図1において、符号70はエーミング光発生源、符号71はエーミング光合成ミラーを示している。エーミング光発生源70、エーミング光合成ミラー71はレーザー発振器1の光軸調整に用いるものであって、本願発明には直接的な関係がないので、詳細な説明は省略する。
次に、上記レーザー発振器1の各構成部分をより詳細に説明し、さらに作用について説明する。図示しない半導体レーザーは、赤外光である波長808nmのレーザー光を射出するものを用いる。図3(a)は、上記半導体レーザーから射出された直後のレーザー光の横断面を示す。半導体レーザーは発光素子が層状に並んでいて、各発光素子から射出される光エネルギーを集光して波長808nmのレーザー光を発生させる。このレーザー光は図3(a)に示すようにエネルギーが層状に分布した光であるため、これを集光してもエネルギーを1点に集光することができず、ワークに照射しても発熱するだけで、加工するためのレーザー光としては適さない。
そこで、半導体レーザーの出射側に、例えば多数の光ファイバーを束ねた光ケーブル3を結合し、Nd,YVO4結晶40の近くまでレーザー光を伝送する構成にしている。レーザー光が光ケーブル3で伝送されることにより、光エネルギーの拡散を防止することができるとともに、光ケーブル3内で繰り返し反射されることにより、図3(b)に示すように、波長808nmのレーザー光を同心円状に整列させ、基本波への変換に適したレーザー光に整形することができる。
上記のようにして整形されたレーザー光は、光ケーブル3の出射端から発散しながら出射されるが、集光光学系2のコリメートレンズ21によって平行光束に変換され、さらに、集光レンズ22によって集光される。集光レンズ22の焦点位置にNd,YVO4結晶40の入射端面が位置するようにNd,YVO4結晶40が配置されている。集光レンズ22とNd,YVO4結晶40の入射端面との間隔すなわち集光レンズ22によるNd,YVO4結晶40への集光距離は、集光レンズ22の焦点距離によって定まり、この焦点距離によってレーザー光のピークパワーが変わる。上記集光距離に反比例して上記ピークパワーは大きくなる。図4は上記焦点距離とレーザー光のピークパワーとの関係を示している。図4(a)は集光レンズ22の焦点距離が短い場合であって、レーザー光のピークパワーは大きく、パワーレンジは狭くなっている。図4(b)は集光レンズ22の焦点距離が長い場合であって、レーザー光のピークパワーは小さく、パワーレンジは広くなっている。
そこで、本発明に係るレーザー発振器の実施例では、高いピークパワーを得るとともにビームスポットの極小化を図るために、集光レンズ22の焦点距離を極力短くするとともに、Nd,YVO4結晶40への入射角度調整および光学部品の個体差によるばらつき調整が可能な構造にしている。
次に、Nd,YVO4結晶40について詳細に説明する。Nd,YVO4結晶は、イットリウム・バナデート元素の化合物にネオジム(Nd)イオンをドープして生成した人工的な結晶であり、808nm波長の光を入射することによって1064nm波長の光に変換して出力することができる。ネオジムのドーピング量が、変換効率、最大出力に影響する。しかし、現状では、1064nm波長の光を励起するための媒体として最も変換効率の高い媒体である。
Nd,YVO4結晶の特性および特徴は以下のとおりである。
1.変換効率と自己加熱
808nm波長の光から基本波への変換効率は約50%で、残りのエネルギーのほとんどが熱になる。例えば、30Wの808nmm波長の光入力の場合、約15Wが1064nm波長の基本波として発振され、残りの約15Wが熱になる。
2.温度特性
ある領域の温度でなければ最良の変換効率を得ることができない、という難点がある。
3.入射位置
個々のNd,YVO4結晶によって、最良の変換効率を得ることができる808nmm波長の光の入射位置が異なる。
1.変換効率と自己加熱
808nm波長の光から基本波への変換効率は約50%で、残りのエネルギーのほとんどが熱になる。例えば、30Wの808nmm波長の光入力の場合、約15Wが1064nm波長の基本波として発振され、残りの約15Wが熱になる。
2.温度特性
ある領域の温度でなければ最良の変換効率を得ることができない、という難点がある。
3.入射位置
個々のNd,YVO4結晶によって、最良の変換効率を得ることができる808nmm波長の光の入射位置が異なる。
Nd,YVO4結晶を用いた従来の産業用レーザー機器は、上に述べたようなNd,YVO4結晶の特性から、不安定で取り扱いが困難なものであった。すなわち、変換効率では優位性があるものの、自己発熱による温度上昇で最良の変換効率を得ることができる温度領域に維持することができず、かつ、温度上昇によってNd,YVO4結晶を保持する機構が変動し、光ケーブルからの最良の入射ポイントを維持することができない、といった問題を生じている。
そこで、図1に示す本発明の実施例では、Nd,YVO4結晶を最適の動作条件である30℃±2℃を維持することができるように構造を工夫している。まず、光ケーブル3の出射面からNd,YVO4結晶40の入射面までのレーザー光路をNd,YVO4結晶40から空間的に浮かせた構成とし、Nd,YVO4結晶40で発した熱が集光光学系2の方に伝導および放散されないような構造になっている。こうすることにより、常温または冷温状態のNd,YVO4結晶40に808nm波長のレーザー光が突入し、エネルギーロスによって自己発熱したNd,YVO4結晶40は、最適の動作条件である30℃±2℃の温度範囲に短時間で到達することができる。
一方では、上記30℃±2℃の温度範囲を維持するために、Nd,YVO4結晶40をインジウム箔で包み込み、Nd,YVO4結晶40の温度上昇による温度飽和および熱暴走を防止している。また、結晶ホルダ41は熱容量の大きい銅を素材として作成されていて、Nd,YVO4結晶40で発生する熱の伝導効率を高めて、Nd,YVO4結晶40の過剰な発熱を結晶ホルダ41に逃がすように構成されている。結晶ホルダ41の容積や形状はレーザー光の要求出力によって異なるが、Nd,YVO4結晶40の発熱と結晶ホルダ41への熱放散とのバランスによって、Nd,YVO4結晶40が30℃±2℃の温度範囲に維持されるように設計するとよい。また、外乱の影響を受けてNd,YVO4結晶40の温度が変動しないように、レーザー共振器10は密閉構造にする。
次に、レーザー共振器10の構成についてさらに具体的に説明する。図1、図2に示すように、レーザー共振器10は、入射側の全反射ミラー30と、Nd,YVO4結晶40と、Qスイッチ50と、出射側の部分透過ミラー60を有してなる。全反射ミラー30は集光レンズ22とNd,YVO4結晶40との間に配置されている。部分透過ミラー60は波長1064nmの入射光の約80%を反射し、残りの約20%を透過させる。全反射ミラー30と部分透過ミラー60はともに反射面が平面のミラーであり、双方の反射面が互いに平行にかつ相対向して配置されている。
Qスイッチ50がないものとしてレーザー共振器10の動作を考えると、集光光学系2から808nm波長のレーザー光が全反射ミラー30の反射面を透過してNd,YVO4結晶40に入射することにより、Nd,YVO4結晶40は1064nm波長の光束に変換して反対側の端面から出射させる。この出射光は部分透過ミラー60によって折り返され、Nd,YVO4結晶40を逆向きに通り全反射ミラー30でさらに折り返される。全反射ミラー30と部分透過ミラー60とで共振器ミラーを構成していて、上記のようにして共振器ミラー間でレーザー光が共振し、共振する1064nm波長のレーザー光の一部が部分透過ミラー60からが出射される。
図5はレーザー共振器10における反射と出射の様子を順に示している。808nm波長のレーザー光は、全反射ミラー30の反射面を透過し、Nd,YVO4結晶40で1064nm波長のレーザー光に変換されて出力される。この1064nm波長のレーザー光は部分透過ミラー60で80%が折り返され、20%は透過する。折り返された80%のレーザー光はNd,YVO4結晶40を逆向きに通って増幅され、全反射ミラー30で全反射され、再びNd,YVO4結晶40を通って増幅され、再び部分透過ミラー60で80%が折り返され、20%は透過する。したがって、このとき部分透過ミラー60では64%が反射され、16%が透過することになる。このようにして、部分透過ミラー60と全反射ミラー30との間で1往復するたびに、波長1064nmのレーザー光の80%が反射され、20%が透過しながら、全反射ミラー30と部分透過ミラー60の間で共振し、1064nm波長のレーザー光が部分透過ミラー60を透過して出力される。このように、Nd,YVO4結晶40は808nm波長のレーザー光を吸収し、1064nm波長のレーザー光を基本波として共振し、共振によって蓄積されたピークパワーを持つ上記基本波を出力する。
図1、図2に示されているQスイッチ50は、当初、レーザー共振器の光損失を大きくして発振を抑え、光ポンピングが進み、レーザー媒質中の励起状態にある原子数が十分大きくなった時点で共振器のQ値を急に高めることで、大きなパルス状のレーザー光を出力するものである。したがって、レーザー共振器10にQスイッチ50を付加することにより、パルス状のレーザー光を出力することができる。
本発明の実施例の特徴として、全反射ミラー30と部分透過ミラー60の反射面が共に平面であることを挙げることができる。図6は、かかる構成の概略と、かかる構成によって得ることができる1064nm波長の基本波の横断面におけるエネルギー分布を示している。全反射ミラー30と部分透過ミラー60の反射面が共に平面であるため、共振する光路が1点に定まって出力が抑制され、エネルギー密度を頂点まで維持することができず、エネルギー分布曲線は、頂部がフラットになり真円状にエネルギーが分布している。このようなエネルギー分布を持つレーザー発振器によれば、レーザー光がワークに対して柔らかく当たり、また、加工深度をコントロールすることが可能であるため、感度の高い材料、すなわち前述の金や銀、銅などの比較的軟らかい材料の加工、特に、低出力で安定した加工が求められる刻印加工機の光源装置として好適である。また、上記エネルギー分布は、先端部がフラットで、すその部分の広がりが小さくなっているため、目標点にレーザースポットを当てると、目標の周辺へのエネルギーの拡張がなく、目標点のみに点が打たれて、加工パターンのいわゆる「切れ」がよくなる。したがって、レーザースポットで画像を描く場合などには、繊細で表現力豊かな画像を描くことができる。
図7は、Nd,YVO4結晶40を用いた従来のレーザー発振器の例を示している。Nd,YVO4結晶を用いたレーザー発振器は、高出力の極細マーキングに適している。そこで、初めに述べたように、Nd,YVO4結晶40を用いた従来のレーザー発振器は、図7に示すように、共振ミラーを構成する全反射ミラー32の反射面を凸面として、共振ミラー間での共振光路を分散させている。その結果、出力される1064nm波長の基本波のエネルギー分布は、図7の右側に示しているグラフのように、横断面中心のエネルギーが突出して高く、中心から遠ざかるにしたがって順次エネルギーが低くなっている。したがって、エネルギー分布を示すグラフは鋭く尖っており、周辺部はエネルギーレベルが低くなるものの、エネルギーを保有している。
図7に示す従来のレーザー発振器によれば、エネルギー分布曲線が頂点位置において高いエネルギー密度を有する尖塔形で真円形の分布となる。この特性を活かして、高出力の極細マーキング装置の光源として用いられている。しかしながら、出力光の横断面の中央部において突出して高いエネルギーを持っているため、中央部がワークに深く入り込み、保護層や防錆層を突き抜けることがある。また、出力光の横断面の周辺部においてもエネルギーを保有しているため、目標としている点の周辺部にまでレーザー光が打ち込まれ、前述のいわゆる「切れ」が悪く、ワークに高品質の画像を描くには改良の余地があった。
その点、本発明の前記実施例によれば、エネルギー突出のない平坦なエネルギー分布で、いわゆる「切れ」のよいレーザー光を得ることができるため、ワークに高品質の画像を描くことができる。
本発明に係るレーザー発振器は、エネルギー突出のない平坦なエネルギー分布で、いわゆる「切れ」のよいレーザー光を得ることができるという特性があり、例えば刻印加工機などの光源装置として用いることにより、より高品質の画像を描くことが可能な刻印加工機を提供することができる。また、本発明は加工深さをコントロールすることが可能であることから、刻印加工機に限らず、目的の深さで加工する必要がある場合や、特定の層のみを加工する必要がある場合などに好適である。例えば、タッチパネルなどに用いられる透明導電膜(ITO)のパターン形成、ソーラーパネルなどのスクライビング加工、異種材料を積層した基板における特定の層の加工などに好適である。さらに、加工機以外の用途もあり得る。
1 ベース
2 集光光学系
3 光ケーブル
10 レーザー共振器
21 コリメートレンズ
22 集光レンズ
30 全反射ミラー
40 Nd,YVO4結晶
50 Qスイッチ
60 部分透過ミラー
2 集光光学系
3 光ケーブル
10 レーザー共振器
21 コリメートレンズ
22 集光レンズ
30 全反射ミラー
40 Nd,YVO4結晶
50 Qスイッチ
60 部分透過ミラー
Claims (4)
- 半導体レーザーからの波長808nmの光を波長1064nmの光に変換するYVO4結晶と、このYVO4結晶を挟んで対向して配置された全反射ミラーおよび部分透過ミラーを有してなるレーザー共振器を備え、
上記全反射ミラーは波長808nmの光を透過し波長1064nmの光を全反射する反射面を備え、
上記部分透過ミラーは波長1064nmの光のうち一部のみを透過し残りを反射する反射面を備え、
上記全反射ミラーと部分透過ミラーはともに平面ミラーであり、
先端部のエネルギー分布が平坦なレーザー光を出力することを特徴とするレーザー発振器。 - レーザー共振器は、YVO4結晶と部分透過ミラーとの間にQスイッチを有している請求項1記載のレーザー発振器。
- 励起光源はレーザー共振器外にあり、上記励起光源からの光をYVO4結晶に導く光ケーブルを備えている請求項1または2記載のレーザー発振器。
- 光ケーブルの射出端とYVO4結晶との間には、上記光ケーブルの射出端から射出される光を平行光束にするコリメートレンズと、上記平行光束を上記YVO4結晶の入射端部に集光させる集光レンズが配置されている請求項4記載のレーザー発振器。
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