JP3845474B2 - 導光板及びその製造方法 - Google Patents

導光板及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置のバックライトに用いる面光源や誘導灯、広告灯、自動車のウインカー・テールランプ灯、メーターパネルほかの表示灯に用いる面光源に好適な導光板であって、透明層と光散乱層からなり、外部光源より発する光を取り込み、面全体で発光させる導光板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
棒状又は球状等の光源から光を導入し、散乱光を発して面光源として機能するいわゆる導光板は、液晶表示板のバックライトとして、又、各種表示灯として用いられている。その多くは透明な樹脂平板に散乱部を設け、平板の端面より入光させて平板全体を発光させる構造のものである。そして、端面からの距離によって散乱光の強度が通常、減少することから面全体を均質に発光させるため、多くの提案がなされている。
【0003】
代表的な先行技術として、透明な平板の表面を光の出射面とし、裏面に反射板を配し、裏面の反射光を利用するもので、面全体の均質な発光を得るために、裏面に光源から遠ざかるにつれて反射部に濃淡をつけた反射パターンを設けてなるもの、具体的には光拡散性のドットパターン印刷を施したものがある(特開昭62−235905号公報、特開平2−245787号公報)。しかし、このようなドットパターン印刷は複雑な光学シュミレーションに基づく微細な傾斜パターン設計であり、特殊な印刷技術が要求される。そのため、製造が容易でないという問題点を有している。
【0004】
他の代表的な先行技術は、透明な平板に屈折率の異なる粒状物質を混入・分散させた光散乱体に濃度勾配をつけた導光体で、具体的には平板の対角面で光散乱体と透明体の二つの部分からなるものを張り合わせたものが提案されている(特開平7−134298号公報)。
また、透明樹脂のフィルム状の導光板で、その面と垂直方向にクラックを発生させ、そのクラックの深さに導光板の長さ方向に分布をもたせ、前記、ドットパターンの代わりとするものがある(特開平7−13024号公報)。
いずれにしても、製造工程が多く、導光板を簡単に製造することができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、液晶表示装置のバックライトや照明表示灯に好適な均質な照度分布を有する面光源を形成する導光体およびその簡素化された製造法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、非相溶の樹脂組成物を射出成形すると、厚みが連続的に変化する相分離層が形成される事実に着目し、これを応用することにより、均質な光度分布を有する面光源を簡潔な方法で製造し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は以下を要旨とするものである。
(1)ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ポリメチルメタアクリレート樹脂0.1〜3重量部の組み合わせからなる樹脂組成物を射出成形してなり、透明層と光散乱層とを有し、光散乱層の厚みが光源の設置されるべき位置から遠ざかるにつれて増大することを特徴とする導光板。
(2)ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ポリメチルメタアクリレート樹脂0.1〜3重量部の樹脂で形成され、透明層では各樹脂が実質的に相溶しており、光散乱層では樹脂の相分離が生じていることを特徴とする上記(1)記載の導光板。
(3)上記(1)に記載の導光板を製造する方法であって、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ポリメチルメタアクリレート樹脂0.1〜3重量部の組み合わせからなる樹脂組成物を射出成形するに際し、溶融樹脂組成物の流動方向を導光板の光路長方向と一致させ、かつ射出温度220〜300℃、金型温度40〜120℃の条件にて射出成形することを特徴とする導光板の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の導光板は、2種以上の非相溶性の熱可塑性樹脂の組み合わせからなる樹脂組成物を射出成形してなり、透明層と光散乱層とを有し、光散乱層の厚みが光源の設置されるべき位置から遠ざかるにつれて増大する構造を有する。このような導光板は、典型的には、2種以上の樹脂組成物を用い、透明層を各樹脂が実質的に相溶した状態によって形成し、光散乱層を樹脂の相分離状態によって形成することにより実現される。
【0009】
すなわち、本発明の導光板における典型的な光散乱層は、樹脂の相分離状態によって形成され、その厚みが光源の設置されるべき位置から遠ざかるにつれて増大するものである。そのような光散乱層の構造を以下では「傾斜型相分離構造」と称する。
図1にこの傾斜型相分離構造を有する導光板の模式断面図を示す。
【0010】
平板の導光体は透明部分(透明層)と相分離された部分(光散乱層)からなり、光散乱層の厚みは、光源の設置される位置に応じて、一方の端面より他方の端面にかけて連続的に増大または減少する。透明層と光散乱層との界面は通常、ボカシと呼ばれるように濃度が連続に変化するものであるが、模式図では便宜的に実線で表している。平板の表面(主に透明体)又は裏面(主に相分離された部分)のいずれを光射出面としてもよいが、平板の厚みがmm以上になると相分離した光散乱層を有する面を光射出面にしたほうが散乱光の光路中の減衰がなく、より高輝度のものが得られる。
【0011】
導光板の形状としては、板状、楔状の断面を有する板,曲面を有する板等が挙げられるが,厚さが1〜10mm、光路長が30cm程度迄のものが均一に面発光する傾斜型相分離構造が得やすく,好適である.
更に、平板の導光体の裏面又は表面に反射部材を配してもよい。
ただし、通常、裏面にドットパターン印刷を施したタイプには、面発光として取り出すために、ドットパターンが透けて見えるという難点から導光板に平行して光散乱板を配していたが、本発明の導光板にはこういう問題がないので、そのための光散乱板を配することは不要である。
【0012】
又、平板に限らず、曲面板であってもレンズ効果を有し、目的に応じて仕様を決定すればよい。
相分離層の形成パターンに各種のタイプが存在し、図2、図3、図4、図5にその一例を示す。
図2は相分離層を平面板の厚さ方向の中央部より次第に上下に拡大させた構造のもである。図3、図4は相分離層が平面板の長さ方向の中央部に山の頂上を有する稜線を形成するがごとき構造を有するものである。図5は相分離層が凹レンズを形成するがごとき構造を有するものである。
【0013】
次に、図1の模式図を使って本発明の導光板の作用を説明する。
通常、円筒型蛍光灯等を光源として、導光板の端面に配し、同端面から入力する光は透明部分を進み、その一部は表面で反射して透明部分の中を進み、表面に大きな入射角で入った光は屈折して外部に出ていく。透明部分を通過した光は相分離層に入り、相分離された微細な粒子表面で乱反射と屈折した透過光により、散乱光となり導光板の表面より取り出される。その時、相分離層が傾斜型相分離構造を有しているため、光源の近くでは弱い散乱光を、遠くでは強い散乱光を発するから、導光板全体で均質な光度の面光源が得られる。
【0014】
次に、本発明の傾斜型相分離構造を有する導光板の製造法について説明する。
本発明の導光板は、2種以上の熱可塑性樹脂の組み合わせを用い、溶融樹脂組成物の流動方向を導光板の光路長方向と一致させて射出成形することにより製造することができる。さらに具体的には、キャビティー側からコア側に至る金型各部の温度を調節し、樹脂の流れ方向に沿って樹脂の冷却速度差を設けることにより、樹脂の部分的な非相溶領域、すなわち傾斜型相分離構造を形成することができる。
【0015】
熱可塑性樹脂としては,ポリメチルメタクリレート,ポリエチルメタクリレート,ポリブチルメタクリレ−ト,ポリベンジルアクリレート,ポリフェニルメタクリレート,ポリビニルアセテート,ポリベンゾエート,ポリビニルフェニルアセテート,ポリアクリロニトリル,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリカーボネート,ポリスチレン,シンジオタクチックポリスチレン,スチレン・アクリロニトリル共重合体,MMA・スチレン共重合体,α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体,メタクリル酸スチレン共重合体,ポリフッ化ビニリデン・ヘキサフルオロアセテート,ポリ酢酸ビニル,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0016】
ここで用いる2種以上の熱可塑性樹脂としては導光板の透明層を主として構成する樹脂として、ヘイズ3以下の透明な熱可塑性であることが好ましい。具体的にはポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、ポリ4メチルペンテン−1等が挙げられる。この中でも、特に機械物性等も考慮し、ポリメチルメタクリレート(PMMA)(ヘイズ1.0以下)やポリカーボネート(PC)(ヘイズ1.2以下)が好適に用いられる。
【0017】
他方、非相溶領域を形成するための樹脂としては、一般に相溶性の観点から低温では溶け合わないが高温では溶けるUCST(upper critical solution temperature)型相図を示す樹脂や高温では溶け合わないが低温では溶けるLCST(lower critical solution temperature)型相図を示す樹脂更に、UCSTとLCSTの両方を持つ型の相図を示す樹脂等の部分相溶がある樹脂が好適に用いられる(相図について「成形加工」第8巻、第1号、1996、24頁、図1参照)。成形温度範囲以下の温度で非相溶領域を有するタイプのみならず、急冷することにより非相溶領域を固定することができるのでいずれのタイプの高分子対でも良い。具体的には、ポリスチレンとの非相溶領域を形成する樹脂としてはUCST型としてはポリイソプレン、ポリイソブテン、USCT&LCST型としてポリビニルメチルエーテル、ポリオルトクロロスチレン等が挙げられる。
【0018】
ポリメチルメタクリレートとの非相溶領域を形成する樹脂としてはLCST型としてアクリロニトリル・スチレン共重合体、α−ポリメチルメタクリレートに対するα−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、フッ化ビニリデン・トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロアセトン共重合体、USCT&LCST型として塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
【0019】
ポリカーボネートとの非相溶領域を形成する樹脂としてはLCST型としてポリεカプロラクトン、UCST型としてポリメチルメタクリレート等がある。
アクリロニトリル・スチレン共重合体との非相溶領域を形成する樹脂としてはLCST型としてポリカプロラクトン、ポリメチルメタクリレート、USCT&LCST型としてアクリロニトリル・スチレン共重合体(AN比が15重量%と25重量%)等がある。
【0020】
又、上記組み合わせ例の中で、非晶性樹脂をマトリックスにした結晶性樹脂との組み合わせでは特に、ポリメチルメタクリレートとポリエチレンテレフタレート,ポリメチルメタクリレートと シンジオタクチックポリスチレン,ポリメチルメタクリレートとポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネートとシンジオタクチックポリスチレン等が好適に挙げられる。これらの場合,結晶性樹脂成分の結晶化を伴って相分離が進行する.
又、非晶性樹脂同志では特に屈折率の差としては0.001以上あればよく、上記非相溶高分子対の中から、適宜選定すれば好適に用いられる。例えば,ポリメチルメタクリレートとポリスチレン,ポリカーボネートとポリメチルメタクリレート等が挙げられる(表1および表2)。
【0021】
【表1】
Figure 0003845474
【0022】
【表2】
Figure 0003845474
【0023】
ポリカーボネートとポリメチルメタクリレートとの組み合わせは,各々透明性に優れ,屈折率差が約0.1程度あり,ブレンド層状化によるパール光沢効果が生じるので,この組み合わせの配合量を調整することで好適に用いることができる。
成形原材料明の配合調整について以下、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂系の代表例を挙げ説明する。
【0024】
ポリカーボネート樹脂を100重量部に対して、ポリメチルメタアクリレート樹脂を通常、0.1〜3.0重量部で、好ましくは0.1〜1.0重量部,より好ましくは0.2〜0.6重量部である。0.1重量部未満であると,ポリカーボネート樹脂の通常の成形条件範囲の温度設定では相分離を殆ど起こさず成形体の全領域で透明となる。3.0重量部を越えると何れの成形条件を選定しても成形体の全領域で相分離が進行し白濁してしまう。
【0025】
なお、ポリカーボネート樹脂を主材料とする場合について述べたが、ポリメチルメタアクリレート樹脂を主材料とする場合も副材料をポリカーボネート樹脂として、それぞれ配合比を置き換えて、対応すればよい。
なお、ポリカーボネート樹脂としては2価フェノールとホスゲンまたは炭酸エステル化合物とを反応させることにより容易に製造できるものであり,特に制限はないが,2価フェノールとしてはビスフェノールAが適している。
【0026】
又、ポリメチルメタアクリレート樹脂としてはアクリル系樹脂であれば特に制限がない。PMMA(ポリメチルメタクリレート)が一般的である。製造法は特に限定されないが、塊状重合により製造されたものが好ましい。乳化重合法によるものを用いると、成形時にその分解ガスによるシルバーは発生することがある。平均分子量が5万〜40万程度のものが好適に使える。
【0027】
その他の添加剤としては必要に応じて、前記の相分離構造の制御を阻害しない範囲或いは導光板の輝度を阻害しない範囲で、公知の酸化防止剤、内部潤滑剤、難燃化剤、難燃助剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、蛍光剤等を適量配合したものを用いることができる。
本発明に用いるPC/PMMA系樹脂組成物は,以上説明した各成分を所定量づつ配合し,混練する事により得る事ができる.このときの配合及び混練には通常法で用いられている方法,例えばリボンブレンダー,ヘンシェルミキサー,ドラムタンブラー,単軸スクリュー押出機,2軸スクリュー押出機,コニーダ,多軸スクリュー押出機等を用いた方法で適用する事ができ,混練温度は概ね220〜300℃の範囲で適宜選定可能である.
次いで、傾斜型相分離構造を生じさせるための成形法について説明する。
【0028】
本発明の導光板の光散乱層を形成する傾斜型相分離構造は、射出成形により得られる。例えば,ポリカーボネートとポリメチルメタクリレートからなる高分子対を成形材料に選択した場合、ポリカーボネートとポリメチルメタクリレートの配合比率にもよるが射出温度を約220〜300℃、金型温度を40〜120℃とし、樹脂の流動方向と導光板の光路長の方向とを一致させる(両者は対向でも並行でも良い)。成形材料を射出成形することにより、金型のゲート側は透明になり流動末端方向に進むにつれて相分離が進行し,相分離層の厚さが(即ち白濁度)が大きくなり,図1の様な傾斜型相分離構造を有する成形体が得られる。図1は相分離界面を模式的に示したものである。
【0029】
すなわち、ここで用いた高分子対はUCST型相図すなわち、高温域では相溶するが低温域で相分離する相図を形成するが、高温域から一気に急冷することにより、金型の入口付近での冷却速度が大きく相溶域が固定されて透明部を形成し、流動末端部にかけて徐々に冷却速度が小さくなることにより相図の平衡状態である相分離層が形成されることになり、全体として相分離層は傾斜型に形成されるのである。この傾斜度は金型のキャビティとコア各々独立して温調制御することで,傾斜型相分離構造の傾斜パターンを変えることができ、好ましい傾斜度を何回かの試行実験で決めることになる。
【0030】
金型のゲートの形状としては,フィルムゲートが好ましく、できるだけ流動方向に垂直な面に溶融した樹脂が均等に流れる様に、ゲート形状を設計することが好ましい(図7)。フィルムゲートの一態様として櫛型フィルムゲート(図10)等が有効である。ピンポイントゲートでは樹脂の流れが不均一となりやすく、相分離の分布状態が制御されず、傾斜型相分離構造は得られにくくなる。
【0031】
形状は均等な厚みのものに限定されないが、射出時の圧力分布を考慮して,樹脂を均一に流す形状に修正し,適宜選定すれば良い。
導光板形状幅が大きい為に樹脂流れが不均一となる場合はランナーを多点配置しても良い(図9)。
さらに,ゲート位置を導光板の肉厚のどこにもってくるかで相分離の状態が変わり,厚み方向の中央にゲートを配置した場合には図2に示す相分離構造を形成するこができる。用途に応じ適宜選定すれば良い。
【0032】
尚,ゲート跡を最小にしてエッジの研磨加工工程を省く為に,図6の様な曲面(アール)やテーパをゲート断面に付与する様に金型設計をすることが好ましい。アールの径は導光板の厚さと蛍光灯の径により適宜選定すれば良い.
以上の様にして得られた傾斜相分離構造を有する導光板は, ゲート側の端面を光源側エッジとすることで、均一な面発光体となる。
【0033】
尚, ゲートから遠ざかるに連れて相分離の濃度が逆に希薄となって行く高分子対の系を適用する場合には光源側エッジを流動末端に配置すれば良い。
光板の表面と裏面どちらを表示面側に適用してもかまわない。
導光板の形状(大きさ・形)は特に制限はなく、用途に応じて適宜選定すればよいが、金型内での樹脂の冷却速度が導光板の肉厚、流動距離(光路長)によってのみならず、射出成形機種、金型の熱容量等により最適な傾斜型相分離構造の傾斜パターンが異なるので、成形条件及び樹脂の配合組成等の調整により,均一に面発光する傾斜型相分離構造を適宜選定する必要がある。
【0034】
以上、照光方式が1灯式の場合の例を述べて来たが、2灯式の場合傾斜相分離構造を有する光路を2つ形成する必要がある。
この場合には前述した図4の如く導光板の両端にゲートを設けて成形すれば良い。
また、L字型の蛍光灯により照光する場合には,図8の如く導光板にゲートを設けて、成形すれば良い。
【0035】
さらに、光源を内照方式にする場合は、図9の如きフィルムゲートを配置すれば良く、光源を導光板内に配置しての使用が可能となる。
【0036】
【実施例】
本発明について、実施例・比較例を用いて、更に詳細に説明する。
製造例1〜5:成形材料の調整
製造例1としてはポリカーボネート樹脂(PC)として,出光石油化学株式会社製タフロンFN1700A、アクリル樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)である住友化学株式会社製スミペックMG5を用いた。また、酸化防止剤として、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー製イルガホス168)を用いた。
PCを100重量部、PMMAを0.05重量部、イルガホス168を0.05重量部を配合し、280℃で押出混練成形を行い、ペレット化した。混練押出機は(株式会社田辺プラスチック機械製VS40mmφ)を用いた。
【0037】
製造例2では製造例1においてPMMAを0.4重量部に変更した以外は同じである。
【0038】
製造例3では製造例1においてPMMAを3.5重量部に変更した以外は同じである。
【0039】
製造例4ではPMMAを100重量部に、スチレン−アクリロニトリル共重合体(アクリロニトリル比25%)(SAN)である宇部サイコン(株)製S200Nを0.4重量部、イルガノックス1010を0.05重量部を配合し、製造例1で用いた混練押出機で、220℃で押出混練し、ペレット化した。
【0040】
製造例5では製造例2のPMMAの配合量を0.4重量部を、同じPMMAであるが粘度平均分子量を変えて、スミペックMHF(粘度平均分子量:20万)を0.3重量部とスミペックLG2(粘度平均分子量:9万)を0.1重量部の合計0.4重量部に代えて配合し、製造例2と同様にペレット化した。
【0041】
実施例1
製造例2で得られたペレットを射出成形機(住友重機株式会社製N515:150t)を用い、金型温度100℃、シリンダー温度300℃で誘導灯用の導光板である平板(20cm角×厚さ10mm)を成形した。
金型のゲートはフィルムゲート(厚さ1mm、ゲート位置は断面下端)及びピンゲートを適用した。尚、フィルムゲート形状は前記図6の如くゲートにアール形状を設け、エッジの研磨工程を省いた。市販の誘導灯(20cm角)において、既設のアクリル製の導光板(肉厚;10mm)の代わりに得られた導光板を搭載し、表示面の乳白板を取り外して,輝度計ミノルタカメラ株式会社製LS−110を使用して輝度分布を対角線上に測定し、その最小値と最大値より、均一度を算出した。
均一度=輝度(最小値)/輝度(最大値)
傾斜型相分離構造を有し、輝度分布の均一で、高輝度のものは得られた。結果を表3に示す。
【0042】
実施例2
製造例4で得られたペレットを射出成形機を用いて金型温度60℃、シリンダー温度240℃で実施例1と同様に成形した。結果を表3に示す。
【0043】
実施例3
製造例5で得られたペレットを射出成形機を用いて実施例1と同様にを成形した。結果を表3に示す。
【0044】
実施例4
実施例1のフィルムゲート部を図10のようなな櫛形の断面形状を有するゲートに代えて製造例2のペレットを用いて実施例1と同一の成形条件で成形した。なお、櫛のピッチ(p)は1mm,幅(t)は0.3mm、高さ(h)は0.2mm、樹脂流路高さ(H)は1mmとした。結果を表3に示す。
【0045】
比較例1
実施例1において使用材料として製造例1で得られたペレットに変更した以外は同じである。成形全体が透明で輝度が低いものしか得られなかった。結果を表3に示す。
【0046】
比較例2
実施例1において使用材料として製造例3で得られたペレットに変更した以外は同じである。成形全体が白濁し、輝度は高いものは得られなかった。結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
Figure 0003845474
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、輝度分布が均一な面発光性能を有し、部品点数が少なく、組み立て工程数の少ない合理化された導光板およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】傾斜型相分離を有する導光板の模式図タイプ1(断面図)
【図2】傾斜型相分離を有する導光板の模式図タイプ2(断面図)
【図3】2灯式導光板(平面図)
【図4】2灯式導光板(断面図)
【図5】内照型導光板とそのゲート配置(断面図)
【図6】傾斜型相分離構造の模式図(断面図)
【図7】傾斜型相分離構造の模式図(平面図)
【図8】L字型蛍光灯とそのゲート配置(平面図)
【図9】多点フィルムゲートによる樹脂流れ(平面図)
【図10】櫛型フィルムゲート(断面図)
【符号の説明】
1:エッジ
2:反対側エッジ
3:界面
4:光散乱層の厚さ
5:ウェルドライン
6:相分離層
7:フィルムゲート
8:樹脂流れ
9:ゲート(曲面処理)
10:流動末端
11:L字型蛍光灯(光源)
12:樹脂流路
p:櫛の歯のピッチ
t:櫛の歯の幅
h:櫛の歯の高さ
H:樹脂流路の高さ

Claims (3)

  1. ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ポリメチルメタアクリレート樹脂0.1〜3重量部の組み合わせからなる樹脂組成物を射出成形してなり、透明層と光散乱層とを有し、光散乱層の厚みが光源の設置されるべき位置から遠ざかるにつれて増大することを特徴とする導光板。
  2. ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ポリメチルメタアクリレート樹脂0.1〜3重量部の樹脂で形成され、透明層では各樹脂が実質的に相溶しており、光散乱層では樹脂の相分離が生じていることを特徴とする請求項1記載の導光板。
  3. 請求項1又は2に記載の導光板を製造する方法であって、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ポリメチルメタアクリレート樹脂0.1〜3重量部の組み合わせからなる樹脂組成物を射出成形するに際し、溶融樹脂組成物の流動方向を導光板の光路長方向と一致させ、かつ射出温度220〜300℃、金型温度40〜120℃の条件にて射出成形することを特徴とする導光板の製造方法。
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