JP2016204543A - 光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】LED照明カバーに好適に使用される光拡散性ポリカーボネート組成物。【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、光拡散性架橋微粒子(B)0.1〜15重量部、および光拡散剤(C)0.1〜5.0重量部を含有することを特徴とする、光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物であり、ポリカーボネート樹脂の優れた透明性を損なうことなく高い光透過性、優れた光拡散性、優れた光源透視防止性を兼備する。【選択図】なし

Description

本発明は、照明器具である照明カバー、特に、LED照明カバーに好適に使用され得る光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
一般的に、照明器具や表示灯、蛍光管などの照明カバーには、光量を落とさないように透明性の高い材料が求められ、同時に照明光源が透けて見えると裸眼では眩しく感じられるため、光透過性を落とさずに光源が透けて見えない光拡散性の高い材料が求められている。
従来から照明カバーには、すりガラスや乳白状の透明合成樹脂が使用されてきたが、前者は割れやすいという取扱上の問題および重量が比較的重いという問題があり、この改良のために後者の合成樹脂製照明カバーも使用されている。また、近年、高輝度白色LEDの登場によって、LED照明器具の開発が加速されている。LED照明器具は、LED光源の有する高輝度、長寿命、省エネルギーといった特徴から次世代の照明器具として大いに期待されている。
しかしながら、LED光源は高指向性であることから眩しさを緩和することが特に必要であり、そのためLED光源用の照明カバーにおいては、高い透明性を有するだけではなく、光源が透けて見えない性能である、ある種の光拡散性(以下、光源透視防止性という)が特に優れていることが求められている。
このような性能を併せ持つ照明カバー用の合成樹脂として、透明性、耐衝撃性、耐熱性が優れることからポリカーボネート樹脂が注目されている。ポリカーボネート樹脂に光拡散性を付与するために、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化ケイ素、酸化チタン等の無機フィラーを光拡散剤として添加混合する方法(特許文献1)が提案されているが、これらの無機フィラーは塩基的な化学特性を有するためポリカーボネート樹脂の不安定化をもたらす場合があり、特に成形加工等の熱履歴を受けた際に着色(黄変)したり、樹脂の分子量が低下する等といった問題が生じることがあった。
この解決のため、炭酸カルシウムとポリオルガノ水素シロキサンを併用して配合する
ことにより成形時の樹脂の分子量低下や黄変を抑制する方法(特許文献2)が提案されているが、炭酸カルシウムはその結晶構造がキュービック状であるため充分な光拡散性が得られないといった問題があった。
ポリカーボネート樹脂に使用可能な球状の光拡散剤を用いる方法としては、ポリカーボネート樹脂と屈折率の異なるアクリル系の微粒子を添加する方法(特許文献3、特許文献4)が提案されているが、いずれもポリカーボネート樹脂の内部で光を散乱させる方法であり、充分な光透過性および光拡散性を有するものではなかった。このポリカーボネート樹脂内部で光を散乱させる技術では、光拡散性を向上させると光透過性が低下するといった欠点があり、光透過性と光拡散性の両方の光学特性を高める事はできなかった。
光透過性を高めるためにポリカーボネート樹脂に屈折率の近い球状粒子を添加する方法(特許文献5)も提案されているが、この場合は十分な光透過性は得られるものの、LED光源のチップが高輝度である場合、照明カバーを通してLED光源のチップが透けて見えることがあり(光源透過防止性に劣り)、十分な光拡散性が得られないことがある。
特公昭57−24816号公報 特開2000−169695号公報 特開昭63−137911号公報 特開平10−46018号公報 特開2010−277702号公報
本発明は、前述の諸問題を解決するために、高い光透過性、優れた光拡散性、優れた光源透過防止性を有する光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物であって、特に、LED光源に適した照明カバーに好適に使用される光拡散用ポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、芳香族ポリカーボネート樹脂に光拡散性架橋微粒子と他の光拡散剤とを併用することにより、ポリカーボネート樹脂内部での光の散乱に加えて、ポリカーボネート樹脂表面での光の散乱も付与し、高い光透過性を維持しながら優れた光拡散性、優れた光源透過防止性を有する光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、光拡散性架橋微粒子(B)0.1〜15重量部、および光拡散剤(C)0.1〜5.0重量部を含有することを特徴とする、光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物を提供するものである。
本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂の優れた透明性を損なうことなく高い光透過性、優れた光拡散性、および優れた光源透過防止性を有するため、照明灯、表示灯、蛍光管、採光用ドーム、トップライト、アーケード、道路側壁版等の照明器具の照明カバーとして好適に使用できる。とりわけ、高輝度と高指向性に特徴のあるLED光源を有するLED照明カバー用ポリカーボネート樹脂組成物として好適に用いられる。
以下、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者らは当業者が本発明を充分に理解するために以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
本発明にて使用される芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造された芳香族ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。これらは、単独または2種類以上混合して使用される。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000、さらに好ましくは17000〜28000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用される光拡散性架橋微粒子(B)とは、ポリカーボネート樹脂に光拡散性を付与できる架橋微粒子であり、このような架橋微粒子としては、スチレンモノマーとメチルメタクリレートモノマーと架橋剤とを共重合して得られる微粒子(スチレン−メチルメタクリレート共重合架橋微粒子)等が好適であり、一般的な乳化重合法、溶液重合法、分散重合法、懸濁重合法、塊状重合法、ソープフリー重合法、シード重合法等を用いて得ることができる。これらの重合方法の中で、乳化重合法、分散重合法、懸濁重合法が好ましく、照明カバーの物性の点から、乳化重合法、分散重合法が特に好ましい。
本発明の光拡散性架橋微粒子(B)に使用される架橋剤としては、ビニル基を2つ以上含有するラジカル重合可能なモノマーであればよい。そのような具体例としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、ペンタエリストールテトラメタアクリレートが挙げられる。そして、これらの架橋剤は、1種であっても2種以上を併用してもかまわない。
本発明にて使用される光拡散性架橋微粒子(B)の平均粒子径は、5〜30μmである。より好ましい平均粒子径は、8〜20μmの範囲である。平均粒子径が5μm未満では得られる照明カバーの表面状態が平滑性を維持することから光の散乱が充分には得られず光拡散性に劣り、また30μmを超えると得られる照明カバーの表面状態が平滑に近づくため光が直進し透過してしまうことから光の散乱が低下して光拡散性、光源透過防止性に劣るので好ましくない。微粒子の平均粒子径を測定する一般的な方法としては、コールター法、動的光散乱法、遠心沈降法等が挙げられる。
本発明にて使用される光拡散性架橋微粒子(B)の屈折率は、1.54〜1.57の範囲である。より好ましい範囲は、1.55〜1.57の範囲である。屈折率が1.54未満では、ヘーズが発生して光透過性が低下する場合がある。また、1.57を超えると、光拡散性が低下する場合がある。屈折率は、微粒子を共重合する際のスチレンとメチルメタクリレートのそれぞれのモノマーの重合比率を調整することにより変化させることができる。
本発明にて使用される光拡散性架橋微粒子(B)としては、例えば、積水化成品工業社製SMX−12R(平均粒径12.3μm、屈折率1.56)、またはGuide Win Special Chemicals社製GMS−6121(平均粒径11.3μm、屈折率1.56)等が商業的に入手可能である。
これら架橋微粒子の屈折率を測定する一般的な方法としては、ベッケ法が挙げられる。スライドガラス上に樹脂粒子を載せ、屈折液(CARGILLE社製:カーギル標準屈折液)を滴下する。樹脂粒子と屈折液をよく混ぜ、下からナトリウムランプを照射し上部から粒子の輪郭を観察して、輪郭が見えない場合、屈折液と樹脂粒子の屈折率が等しいとする。
本発明にて使用される光拡散性架橋微粒子(B)の量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、0.1〜15重量部である。より好ましくは、1〜8重量部の範囲である。更に好ましくは3〜6重量部の範囲である。0.1重量部未満では充分な光拡散性に劣るので好ましくない。一方、15重量部を超えると光透過性が著しく低下するので好ましくない。
本発明における光拡散剤(C)は、前記の光拡散性架橋粒子(B)と併用添加することにより、照明カバー等の用途に適用した場合のその光透過性、光拡散性、および光源透過防止性を効果的に高めることができる。
本発明にて使用される光拡散剤(C)としては、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の内部で光を散乱させる従来からの光拡散剤であれば特に制限されるものではないが、特に球状の形態を示すものが好適に用いられる。球状の形態を示す光拡散剤としてはシリコーン系やアクリル系の光拡散剤等が挙げられる。特に、高い光透過性と光拡散性等が要求される照明カバーの用途においては、平均粒子径が2〜6μmの範囲で、屈折率が1.47〜1.52のアクリル系光拡散剤および/または平均粒子径が1〜6μmで、屈折率が1.40〜1.49のシリコーン系光拡散剤が好適に使用できる。
本発明にて使用される光拡散剤(C)のうちアクリル系光拡散剤としては、例えばアイカ工業社製ガンツパールGM−0449S(平均粒径4.0μm、屈折率1.49)あるいは、総研化学社製ケミスノーKMR−3TA(平均粒径3.2μm、屈折率1.49)等が商業的に入手可能である。シリコーン系光拡散剤としては、例えば、サムソン社製SL-200M(平均粒径1.8μm、屈折率1.42)等が商業的に入手可能である。
本発明にて使用される光拡散剤(C)の量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、0.1〜5.0重量部である。より好ましくは、0.2〜4.0重量部、さらに好ましくは0.4〜3.0重量部の範囲である。0.1重量部未満では芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の内部での光の散乱が充分に得られず光拡散性に劣り、また5.0重量部を超えると光透過性が著しく低くなり好ましくない。
本発明にて使用されるポリカプロラクトン(D)は、ε−カプロラクトンを触媒存在下で開環重合して製造されるポリマーであり、とりわけ2−オキセパノンのホモポリマーが好適に用いられる。ポリカプロラクトン(D)の粘度平均分子量としては、10000〜100000のものが好適で、さらに好ましくは40000〜90000である。
本発明にて使用されるポリカプロラクトン(D)としては、ソルベイ社製CAPA6500C(粘度平均分子量:50000)、ソルベイ社製CAPA6800(粘度平均分子量:80000)或いはダウ・ケミカル社製トーンポリマーP−787(粘度平均分子量:80000)等が商業的に入手可能である。
さらに、ポリカプロラクトン(D)には、ε−カプロラクトンを開環重合させる際に、1,4−ブタンジオールなどと共存させて変性したものや分子末端をエーテルあるいはエステル基などで置換した変性ポリカプロラクトンも含まれる。
ポリカプロラクトン(D)は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、0.1〜15重量部である。0.1重量部未満であると、光拡散効果が得られず、十分な輝度が得られないため好ましくない。一方、15重量部を越えると、極端な耐熱性の低下が起こり、成形加工前の予備乾燥工程においてペレットが固着し、ブロッキングが発生することから好ましくない。より好ましい量としては、0.3〜10重量部である。
本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物において、実用上、光の散乱特性以外に要求される性能により、公知の各種添加剤、ポリマーなどを必要に応じて添加することができる。例えば、長期間、光に暴露された際の樹脂成形品の変色を抑制するために耐光安定剤、紫外線による樹脂の劣化を防ぐための紫外線吸収剤(UVA)、鮮やかな色調を得るために蛍光増白剤およびこれらを併用して添加してもよい。
また、上記ポリカーボネート樹脂組成物には、上記以外の公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、染料、顔料、フィラー、充填剤、展着剤、更には他の熱可塑性樹脂や各種耐衝撃改良剤を必要に応じて添加することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、環状亜リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤として、例えば、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、および3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。好ましくはオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが使用され、例えばBASF社製Irganox1076が商業的に入手可能である。
リン系酸化防止剤として、例えば、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、4,4′−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2−メチレンビス−(4−エチル−6−t−メチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、4,4′−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)等が挙げられる。好ましくは、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトが使用され、例えばADEKA社製アデカスタブPEP−36が商業的に入手可能である。
環状亜リン酸エステル系酸化防止剤として、例えば2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシンなどが挙げられる。好ましくは、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンが使用され、例えば住友化学社製スミライザーGP等が商業的に入手可能である。
本発明におけるリン系酸化防止剤/またはフェノール系酸化防止剤(C)の配合量は、0.02〜2重量部である。より好ましくは、0.04〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.2重量部である。配合量が0.02重量部未満では、熱安定性に劣り、2重量部を超えると透明性に劣る。
滑剤としては、パラフィンワックス、n−ブチルステアレート、合成蜜蝋、天然蜜蝋、グリセリンモノエステル、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。着色剤としては、酸化チタン、カーボンブラック、染料が挙げられる。充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、ガラスフレーク、カーボン繊維、タルク、マイカ、各種ウィスカー類等が挙げられる。添着剤としては、エポキシ化大豆油、流動パラフィン等が挙げられる。他の熱可塑性樹脂や各種耐衝撃改良剤としては、ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、エチレン・プロピレン系ゴム等のゴムに、メタアクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル等の化合物をグラフト重合してなるゴム強化樹脂等が挙げられる。
上記ポリカーボネート樹脂組成物を得るための実施の形態および順序には何ら制限はない。例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、光拡散性架橋微粒子(B)および光拡散剤(C)を任意の量で計量し、タンブラー、リボブレンダー、高速ミキサー等により一括混合した後、混合物を通常の単軸押出機または2軸押出機を用いて溶融混練し、ペレット化させる方法、あるいは、個々の成分を一部または全てを別々に計量し、複数の供給装置から押出機内へ投入し、溶融混合する方法、さらには、(A)と(C)および/または(B)とを高濃度に配合し、一旦溶融混合してペレット化し、マスターバッチとした後、当該マスターバッチと芳香族ポリカーボネート樹脂(A)を所望の比率により混合することもできる。そして、これらの成分を溶融混合する際の、押出機へ投入する位置、押出温度、スクリュウ回転数、供給量など、状況に応じて任意の条件が選択され、ペレット化することができる。
本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物から、例えば、照明カバーを得る方法としては、一般に熱可塑性樹脂を成形加工する方法であれば特に制限されるものではなく、射出成形、シート押出成形、異型押出成形などが挙げられる。射出成形やシート押出では金型表面やロール面の転写により成形品の表面を制御する事も可能であるが、金型面やロール面の精密な加工が必要となる。しかしながら、本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物から得られる照明カバーは、一般の鏡面金型や鏡面ロールでも表面の散乱が得られるため、効率的に成形できるという特徴がある。とりわけ、異型押出成形の加工では成形品の表面と異型押出用の金型が垂直となるので、成形品表面で光の散乱が得やすく、本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物から得られる照明カバーを得る方法として推奨される。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲においては、任意に変更乃至改変して実施することができる。尚、特に断りのない限り、実施例中の「%」及び「部」は、それぞれ重量基準に基づく「重量%」及び「重量部」を示す
使用した原材料は以下のとおりである。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A):
・住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−13
粘度平均分子量:21500 (以下、「PC」と略記)
光拡散性架橋微粒子(B):スチレン−メチルメタクリレート共重合架橋微粒子
・積水化成品社製 SMX−12R
平均粒子径12.3μm、屈折率1.56(以下、「化合物B−1」と略記)
・Guide Win Special Chemicals社製 GMS−6121
平均粒子径11.3μm、屈折率1.56(以下、「化合物B−2」と略記)
光拡散剤(C):
・アイカ工業社製 GM-0449S
平均粒径4μm、屈折率1.49 (以下、「化合物C−1」と略記)
・サムソン社製 SL-200M
平均粒径1.8μm、屈折率1.42(以下、「化合物C−2」と略記)
ポリカプロラクトン(D)
・ソルベイ社製CAPA6500C
粘度平均分子量:50000(以下、「化合物D」と略記)
酸化防止剤(E):環状亜リン酸エステル系酸化防止剤
・住友化学製 スミライザーGP(以下、「化合物E」と略記)
2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキ シ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジ オキサホスフェピン
(ポリカーボネート樹脂組成物の作製)
前述の各種原料を表1〜2に示す配合比率にて、それぞれタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、2軸押出機(日本製鋼所社製TEX30α(L/D=42、Φ=30mm))を用いて、溶融温度260℃にて混錬し、ペレットを得た。
(試験片の作成)
得られたペレットを用いて290℃の条件下、射出成形機(日本製鋼所製J100EII−P)にて幅50mm×長さ90mm3段プレート状試験片(厚み3mm部分:長さ35mm/厚み2mm部分:長さ30mm/厚み1mm部分:長さ25mm)を作成した。
(試験片の評価方法)
1.全光線透過率(%):
得られた3段プレート状試験片の1mm部分を用い、JIS K7361に準拠して全光線透過率を測定した。数値が大きいほど、成形品の光透過性が良好であることを示す。厚み1mmの成形品で全光線透過率の値が50%以上を良好とした。
2.光拡散度(度):
上記1で用いた3段プレート状試験片の1mm部分を用い、自動変角光度計(村上色彩技術研究所製ゴニオフォトメーターGP-1R)により光拡散性(D50)を求めた。詳細な測定法は以下のとおりである。この数値が大きいほど成形品の光拡散性が良好であることを示す。自動変角光度計の光源からの直進光線を試験片の法線方向から当て、可動式受光器にて透過光の強度を測定し、法線方向からの角度に対して透過率をプロットし、直進光透過率の50%の透過率になるところの角度(D50)を求めた。単位は「度」であり、光拡散性(D50)が25度以上を良好とした。
3.光源透視防止性(目視判定):
フィリップス製20W形直管形LEDランプの中央部に3cm×5cmの長方形状の穴を開け、その部分に3cm×5cm×1mmの射出成形板をLED光源から約1.5cmの高さに設置した。LED光源透視防止性は、LEDランプに設置した射出成形板上約20cmの高さから目視判定した。十分な光拡散性を備えLED光源の輪郭が消失している場合は、極めて良好◎と判定した。LED光源の輪郭がやや分かる場合を良好○、光拡散性が乏しくLED光源の輪郭がはっきり分かる場合を不良×と判定した。
Figure 2016204543
Figure 2016204543
表1で示したとおり、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の要件を満足する場合(実施例1〜6)、必要とされる全光線透過率および光拡散度の諸性能は全て要求されるレベルを満足していた。
表2に示すとおり、本発明の構成を満足しない場合には、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、光拡散剤(C)の量が規定量より多い場合であり、全光線透過率が劣っていた。
比較例2は、光拡散剤(C)を添加していない場合であり、光源透視防止性に劣っていた。
比較例3は、光拡散性架橋微粒子(B)の量が規定量より少ない場合であり、光源透視防止性に劣っていた。
比較例4は、光拡散性架橋微粒子(B)の量が規定量より多い場合であり、全光線透過率が劣っていた。
以上のように、本発明における技術の例示として実施の形態を説明した。そしてそのために、詳細な説明を提供した。
したがって、詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂の優れた透明性を損なうことなく高い光透過性、優れた光拡散性、優れた光源透視防止性を兼備するため、照明灯、表示灯、蛍光管、採光用ドーム、トップライト、アーケード、道路側壁版等の照明器具の照明カバー用樹脂組成物として好適に使用できる。とりわけ、高輝度と高指向性に特徴のあるLED光源を有するLED照明カバー用樹脂組成物として好適に用いることができ、産業上極めて有用なものである。

Claims (7)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、光拡散性架橋微粒子(B)0.1〜15重量部、および光拡散剤(C)0.1〜5.0重量部を含有することを特徴とする、光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 前記光拡散性架橋微粒子(B)が、スチレンモノマーとメチルメタクリレートモノマーと架橋剤との共重合体からなる、請求項1記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記光拡散性架橋微粒子(B)の平均粒子径が5〜30μmであり、屈折率が1.54〜1.57である、請求項1記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 前記光拡散剤(C)が、アクリル系および/またはシリコーン系光拡散剤である、請求項1記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組物。
  5. さらに、前記芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、ポリカプロラクトン(D)0.1〜15重量部を含有する、請求項1記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 前記ポリカプロラクトン(D)の粘度平均分子量が40000〜90000である、請求項5記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. LED照明カバー用途に用いられる、請求項1〜6に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017110106A (ja) * 2015-12-16 2017-06-22 日本ポリエステル株式会社 光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光拡散部材
CN114644821A (zh) * 2020-12-21 2022-06-21 金发科技股份有限公司 一种聚碳酸酯材料及其制备方法与应用

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