JP2017110106A - 光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光拡散部材 - Google Patents

光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光拡散部材 Download PDF

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Abstract

【課題】照明装置の出光面に設置した場合に光量の低下が抑制され、かつ、LED等の点光源を用いた装置などにおいて、点光源のホットスポットが光拡散部材により拡散され、光拡散部材の面全体が均一に明るくなる特性に優れた光拡散部材となり得る光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光拡散部材を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂と重合体微粒子(A)とを含む光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物であって、上記ポリカーボネート樹脂の屈折率と上記重合体微粒子(A)の屈折率との差が0.01以上0.08以下であり、上記ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中の上記重合体微粒子(A)の含有率が3.5質量%以上10質量%以下であることを特徴とする光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、照明装置の出光面に設置した場合に光量の低下が抑制され、かつ、LED等の点光源を用いた装置などにおいて、点光源のホットスポットが光拡散部材により拡散され、光拡散部材の面全体が均一に明るくなる特性(以下、輝度の均質性という)に優れた光拡散部材となり得る光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光拡散部材に関する。
近年エコロジーの観点から、照明用の光源として、消費電力が低く、振動に強く、超高輝度で長時間安定して発光可能な発光ダイオード(以下、LEDという)を用いたLED電球や蛍光管形状のLED管などのLED照明装置が使用されるようになってきている。LEDは上記の長所を有する一方、点光源であってかつ高輝度であるため、光源からの出射光によるぎらつきや眩しさを感じやすかったり、輝度の均質性が不十分であったりするという課題を有する。そのため、LEDを用いる場合には、出射光によるぎらつきや眩しさを低減したり、輝度の均質性を改善したりする必要がある。このような課題を解決する方法として、照明器具の出光側に乳白拡散板等の光拡散部材を設置する方法が知られている。この方法を用いると、上記課題は改善できるが、照明器具を出光する光の光量が低下するという別の課題があった。
上記光拡散部材としては、成形加工性や製品の形状の自由度が得られやすいことから熱可塑性樹脂が従来より広く用いられており、なかでも機械物性、熱特性、光学特性などのバランスに優れるポリカーボネート樹脂が好適に用いられている。
例えば、特許文献1において、体積平均粒子径の異なる2種の架橋アクリル樹脂系微粒子を特定量配合してなるポリカーボネート樹脂組成物及び該組成物を成型してなる照明カバーが開示されている。しかし、特許文献1の実施例で示されている光拡散部材は、分散度が55〜60°と高い一方で全光線透過率が50%程度と低いことから、輝度の均質性は優れているが、光量低下は抑制できていないことがわかった。
また、特許文献2には、アクリル系微粒子及び/またはシリコーン系微粒子を拡散剤としたポリカーボネート樹脂製の照明カバーが開示されている。しかし、特許文献2の実施例で示されている照明カバーの全光線透過率は70%程度と低いことから、光量低下は抑制できていないことがわかった。
特許文献3には、ポリカーボネート樹脂100重量部に、屈折率が1.505〜1.575で重量平均粒子径が0.5〜30μmのアクリル−スチレン系共重合体微粒子0.1〜5.0重量部を含有してなる光拡散性樹脂組成物が開示されている。また、特許文献4には、ポリカーボネート樹脂と、ポリカーボネート樹脂との屈折率差が0.01〜0.08で平均粒子径が5〜20μmの重合体微粒子を含有してなり、重合体微粒子をポリカーボネート樹脂に、重合体微粒子の平均粒子径(μm)と含有率(質量%)の積で表わされる配合係数が6.2〜11.8となるように含有させてなる光拡散性樹脂組成物が開示されている。しかし、これらの特許文献に記載の方法では、光量低下は抑制することができる一方で、輝度の均質性が十分ではないことがわかった。
以上のことから、光量低下の抑制と輝度の均質性の改善とは二律背反事象である。
特開2012−092306号公報 特開2012−082361号公報 特開2005−247999号公報 特開2010−229193号公報
本発明は、光量の低下が抑制され、かつ輝度の均質性に優れた光拡散部材となり得る光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光拡散部材の提供を課題として掲げた。
本発明者等は、光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる重合体微粒子の屈折率及び含有率を所定の範囲内に調整することによって、光量の低下が十分に抑制され、かつ、輝度の均質性に優れた光拡散部材が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。具体的には、ポリカーボネート樹脂と重合体微粒子(A)とを含む光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物(以下、第一の光拡散性樹脂組成物という)は、上記ポリカーボネート樹脂の屈折率と上記重合体微粒子(A)の屈折率との差が0.01以上0.08以下であり、上記ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中の上記重合体微粒子(A)の含有率が3.5質量%以上10質量%以下であることを特徴とする。
上記第一の光拡散性樹脂組成物では、上記重合体微粒子(A)が、質量平均粒子径及び屈折率の少なくとも一方が異なる2種以上の重合体微粒子を含むことが好ましい。また、上記重合体微粒子(A)がアクリル−スチレン系共重合体微粒子を含むことが好ましい。
ポリカーボネート樹脂、重合体微粒子(A)、及び重合体微粒子(B)を含む光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物(以下、第二の光拡散性樹脂組成物という)は、上記ポリカーボネート樹脂の屈折率と上記重合体微粒子(A)の屈折率との差が0.01以上0.08以下であり、上記ポリカーボネート樹脂の屈折率と上記重合体微粒子(B)の屈折率との差が0.08を超えており、上記ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中の上記重合体微粒子(A)の含有率が2質量%以上6質量%以下であることを特徴とする。
上記第二の光拡散性樹脂組成物では、上記重合体微粒子(B)がシリコーン樹脂微粒子を含むことが好ましい。また、上記第二の光拡散性樹脂組成物100質量%中の上記重合体微粒子(B)の含有率が0.02質量%以上0.45質量%以下であることが好ましい。
上記第一の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材(以下、第一の光拡散部材という)は、相対光線透過度が1.4以上5.0以下であり、かつ配光角が20°以上70°以下であることを特徴とする。
上記第一の光拡散部材の厚みを考慮したときの上記重合体微粒子(A)の量が7質量%・mm以上20質量%・mm以下であることが好ましい。また、上記第一の光拡散部材は、全光線透過率が84%以上であることが好ましい。
上記第二の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材(以下、第二の光拡散部材という)は、相対光線透過度が1.4以上5.0以下であり、かつ配光角が20°以上70°以下であることを特徴とする。
上記第二の光拡散部材の厚みを考慮したときの上記重合体微粒子(B)の量が0.02質量%・mm以上0.55質量%・mm以下であり、上記第二の光拡散部材の厚みを考慮したときの上記重合体微粒子(A)の量と上記重合体微粒子(B)の量との合計が3.2質量%・mm以上6.5質量%・mm以下であることが好ましい。また、上記第二の光拡散部材は、全光線透過率が75%以上であることが好ましい。
上記第一の光拡散部材及び上記第二の光拡散部材は、厚みが0.5mm以上2.5mm以下であることが好ましく、直下照度比が0.97以上であることが好ましく、平均輝度比が0.3以下であることが好ましい。
本発明は、上記第一の光拡散部材及び/又は上記第二の光拡散部材を備えた照明器具も包含する。
本発明の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材を照明装置に用いた場合、光量の低下が抑制され、かつ輝度の均質性を大幅に改善させることができる。よって、光量低下を抑制した形で輝度の均質性を改善させることが必要な用途に幅広く使用でき、LEDを用いた信号灯器のレンズもしくはレンズカバー、照明カバー、照明看板、透過型のスクリーン、各種ディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シート、導光板などの各種照明関連装置に使用可能である。特に光源としてLEDを用いた表示器材において、視認性が非常に優れたものとなる。なお、以下では上記各種照明関連装置のことを単に照明装置ということがある。
図1は、波長550nmにおける角度と光線透過度との関係を示し、その関係から相対光線透過度及び配光角を求めた図である。 図2は、実施例9、実施例13、実施例14、及び比較例11の光拡散部材を用いたときの「重合体微粒子(A)及び(B)の合計含有率」と「相対光線透過度」との関係を示した図である。 図3は、実施例9、実施例13、実施例14、及び比較例11の光拡散部材を用いたときの「微粒子(A)及び(B)と厚みの積」と「相対光線透過度」との関係を示した図である。 図4は、実施例及び比較例の光拡散部材を用いたときの全光線透過率と相対光線透過度との関係を示した図である。 図5は、実施例7、実施例8、比較例8、拡散板なしの状態における照明器具を直上より観察したときの輝度像の写真である。
本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物(以下、光拡散性樹脂組成物という)は、ポリカーボネート樹脂と重合体微粒子とを含有しており、重合体微粒子の屈折率とポリカーボネート樹脂の屈折率との差は0.01以上0.08以下である。以下、ポリカーボネート樹脂の屈折率との差が0.01以上0.08以下である重合体微粒子を重合体微粒子(A)といい、重合体微粒子の屈折率とポリカーボネート樹脂の屈折率との差が0.08を超える重合体微粒子を重合体微粒子(B)という。
ポリカーボネート樹脂と重合体微粒子(A)とを含み、実質的に重合体微粒子(B)を含まない光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物を、本明細書では、第一の光拡散性樹脂組成物という。「実質的に重合体微粒子(B)を含まない」とは、第一の光拡散性樹脂組成物100質量%中の重合体微粒子(B)の含有率が0.02質量%未満のことをいう。また、ポリカーボネート樹脂、重合体微粒子(A)、及び重合体微粒子(B)を含む光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物を、本明細書では、第二の光拡散性樹脂組成物という。
[第一の光拡散性樹脂組成物]
<ポリカーボネート樹脂>
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重合法により得られる重合体、または芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応により得られる重合体であり、ポリヒドロキシ化合物を上記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として使用してもよい。本発明で用いられるポリカーボネート樹脂は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。また、本発明で用いられるポリカーボネート樹脂は、単独でも2種以上の混合物でもよい。
上記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン(テトラメチルビスフェノールA)等のビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系ジヒドロキシ化合物;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン(テトラクロロビスフェノールA)等のハロゲンを含むビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系ジヒドロキシ化合物;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;ハイドロキノン;レゾルシノール;4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられ、好ましくはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系ジヒドロキシ化合物又はハロゲンを含むビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系ジヒドロキシ化合物であり、より好ましくは、ビスフェノールAである。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は1種でも良いが、複数用いてもよい。
分岐鎖状のポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどで示されるポリヒドロキシ化合物、及び3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチンビスフェノール、5,7−ジクロロイサチンビスフェノール、5−ブロモイサチンビスフェノールなどの3価以上のポリヒドロキシ化合物を上記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として使用すればよい。ポリヒドロキシ化合物を使用する場合の使用量は、例えば、上記芳香族ジヒドロキシ化合物の0.1〜2モル%程度である。
さらに、分子量調節剤として、一価の芳香族ヒドロキシ化合物などを使用することができる。分子量調節剤としては、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、m−及びp−ブロモフェノール、m−及びp−tert−ブチルフェノール、並びにm−及びp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂は、25℃におけるメチレンクロライド溶液粘度より測定した粘度平均分子量が16,000〜38,000であることが好ましく、より好ましくは18,000〜35,000である。ポリカーボネート樹脂の屈折率は1.57〜1.60であることが好ましい。
<重合体微粒子(A)>
本発明で用いられる重合体微粒子(A)は、重合体微粒子の屈折率とポリカーボネート樹脂の屈折率との差が0.01以上0.08以下(本明細書では「差」とは両者の差の絶対値のことをいう)である重合体微粒子であればよいが、好ましくは0.02以上、0.06以下であり、より好ましくは0.03以上、0.05以下である。屈折率が上記条件を満たす重合体微粒子(A)としては、例えば、アクリル−スチレン系共重合体微粒子、アクリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系共重合体微粒子などが挙げられるが、重合体微粒子(A)として、アクリル−スチレン系共重合体微粒子を含むことが好ましく、重合体微粒子(A)は、アクリル−スチレン系共重合体微粒子からなることがより好ましい。
重合体微粒子(A)は1種の重合体微粒子(A)であってもよいし、2種以上の重合体微粒子(A)を併用してもよい。2種以上の重合体微粒子(A)を併用するとは、質量平均粒子径及び屈折率の少なくとも一方が異なる2種以上の重合体微粒子(A)を併用することを意味する。
重合体微粒子(A)の質量平均粒子径は0.5μm以上15μm以下であることが好ましく、より好ましくは2μm以上13μm以下である。粒子径が0.5μm未満では、用いられる粒子数が相対的に多くなってしまうため、ポリカーボネート樹脂への重合体微粒子の分散性が悪化するおそれがある。また、15μmを超えると、用いられる粒子数が相対的に少なくなってしまうため、光拡散部材の強度が低下してしまうおそれがある。
第一の光拡散性樹脂組成物100質量%中の上記重合体微粒子(A)の含有率は3.5質量%以上10質量%以下であり、好ましくは4質量%以上9質量%以下、より好ましくは5質量%以上8質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以上6質量%以下である。重合体微粒子(A)の添加量が3.5質量%未満であると、配光角が小さくなり、平均輝度比が低下するため好ましくない。一方、10質量%を超えると、重合体微粒子(A)の添加量が多量となり、経済的に不利になり、かつ光量が低下するおそれがあるため好ましくない。
(アクリル−スチレン系共重合体微粒子)
アクリル−スチレン系共重合体微粒子は、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとを共重合して得られる微粒子であって、例えば、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとを懸濁重合法等で重合した微粒子であり、架橋剤を用いて架橋しているものが好ましい。アクリル系モノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリレート系モノマー、メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアクリレート系モノマーやアクリルアミド等が挙げられ、スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。また上記モノマーを主成分として、必要に応じて他のモノマーを共重合したものであっても良い。また、架橋剤としては、一般に使用されるものが挙げられるが、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチルプロパントリメタクリレート、トリメチルプロパントリメタクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート等の多官能性モノマーを用いることが出来る。
重合体微粒子(A)がアクリル−スチレン系共重合体からなる場合、重合体微粒子(A)の屈折率は、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーの質量比を99:1〜1:99の範囲で変化させることによって調整でき、アクリル系モノマーを多く使用すると屈折率は低くなり、スチレン系モノマーを多く使用すると屈折率は高くなる。アクリル系モノマーとスチレン系モノマーのモル比は7:3〜2:8であることが好ましく、より好ましくは6:4〜3:7である。スチレン系モノマーの共重合比が高くなりすぎると、耐光性が低下して黄色味を帯びてしまい、逆にアクリル系モノマーの共重合比が高くなりすぎると、重合体微粒子とポリカーボネート樹脂組成物との屈折率の差が開きすぎて、LED光源のぎらつきが目立ち、視認性が低くなる。重合体微粒子(A)がアクリル−スチレン系共重合体微粒子である場合、アクリル−スチレン系共重合体微粒子の屈折率は1.52〜1.57であることが好ましく、より好ましくは1.53〜1.56、さらに好ましくは1.54〜1.56である。
アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとの共重合比の調整は、使用するモノマーの種類により異なるが、例えば、アクリル系モノマーとしてメチルメタクリレートを使用し、スチレン系モノマーとしてスチレンを使用した場合、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーのモル比を7:3にすると重合体微粒子(A)の屈折率は約1.52となり、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーのモル比を3:7にすると重合体微粒子(A)の屈折率は1.56となる。
アクリル−スチレン系共重合体微粒子の構造は特に限定されないが、中実微粒子であることが好ましい。また、アクリル−スチレン系共重合体がコア部とシェル部の2層構造の微粒子である場合、シェル部がアクリルースチレン系共重合体であり、粒子径と屈折率が本発明の範囲を満足するものであれば、使用可能である。その場合、コア部は、ポリメチルメタクリレートやシリコーン系等の、シェル部より屈折率の低いものが良い。
アクリル−スチレン系共重合体微粒子としては、市販品を使用してもよく、上記市販品としては、例えば、アイカ工業社製ガンツパール(登録商標)シリーズ、スタフィロイド(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
<その他添加剤>
第一の光拡散性樹脂組成物には、必要に応じて例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤、流動性改良剤、難燃剤、凝集防止剤等を添加してもよい。
第一の光拡散性樹脂組成物の配合及び混練は、通常の熱可塑性樹脂に適用される方法で行うことができ、例えばリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等により行うことができる。混練の温度条件は通常、260〜300℃が好ましい。
第一の光拡散性樹脂組成物は、一般的な熱可塑性樹脂の成形方法に供することができるが、生産性の点等から、ペレット状樹脂組成物からの射出成形、射出圧縮成形、押出成形が好適で、さらには押出成形されたシート状成形品からの真空成形、圧空成形、フリーブロー成形等を行い、光拡散部材とすることもできる。
[第二の光拡散性樹脂組成物]
上記の第一の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材は後述する好ましい光学特性を達成することに適してはいるが、第一の光拡散性樹脂組成物に用いられる重合体微粒子(A)は、ポリカーボネート樹脂との屈折率差が小さいために、後述する光学特性の一つである配光角を本発明の好ましい範囲にするには、重合体微粒子(A)を多く含有する必要があり、経済的に不利であるという課題を有する。
本発明の第二の光拡散性樹脂組成物は、上記課題を改善するための組成物である。本発明者等は、該課題の改善について鋭意検討し、重合体微粒子(A)と共に、少量の含有率で配光角を高めることができるポリカーボネート樹脂との屈折率差が0.08を超える重合体微粒子(B)を併用することで重合体微粒子(A)の含有率を減ずることができると考えた。ただし、重合体微粒子(B)は配光角を高める効果が大きいと同時に、本発明のもう一つの光学特性である相対光線透過度を低くする効果が大きく、さらに光量の低下を引き起こす効果も合わせ持つ。そこで、相対光線透過度を低くする効果がほとんど働かないように重合体微粒子(B)の含有率を小さくし、かつ、重合体微粒子(A)と重合体微粒子(B)を併用することによって、相対光線透過度と配光角とを両立した光拡散部材となり得る本発明の第二の光拡散性樹脂組成物を完成させた。すなわち、上記の重合体微粒子(A)と重合体微粒子(B)とを併用することで、それぞれの重合体微粒子の相反する性質を用いて、重合体微粒子(A)のみを用いると経済的に不利であるという上記課題を改善して、かつ相対光線透過度と配光角の相反する特性の両立を図っている。具体的には、第二の光拡散性樹脂組成物では、重合体微粒子(A)の他に、ポリカーボネート樹脂の屈折率との差が0.08を超える重合体微粒子(B)を少量加えることで、光量の低下を抑制しつつ、配光角を大きく、すなわち平均輝度比を小さくすることができる。また、第一の光拡散性樹脂組成物よりも重合体微粒子(A)の含有率を低くすることができる上に、非常に少量の重合体微粒子(B)を添加するだけで、光量の低下が抑制され、かつ輝度の均質性に優れた光拡散部材とすることができるので、従来技術では達成することが出来なかった高品質で、かつ安価な光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物とすることができる。
ポリカーボネート樹脂及び重合体微粒子(A)は、第一の光拡散性樹脂組成物で用いたものと同じものを用いることができるが、ポリカーボネート樹脂との屈折率差の大きい重合体微粒子(B)を含むため、第二の光拡散性樹脂組成物100質量%中の重合体微粒子(A)の含有率は第一の光拡散性樹脂組成物中の重合体微粒子(A)の含有率と比べて小さくすることができる。
第二の光拡散性樹脂組成物100質量%中の上記重合体微粒子(A)の含有率は2質量%以上6質量%以下であり、好ましくは2質量%以上5質量%以下、より好ましくは2.2質量%以上4質量%以下である。重合体微粒子(A)の添加量が2質量%未満であると、配光角が小さくなり、平均輝度比が小さくなるため好ましくない。一方、6質量%を超えると、重合体微粒子(A)の添加量が多量となり、光量が低下するため好ましくない。
<重合体微粒子(B)>
第二の光拡散性樹脂組成物は、重合体微粒子の屈折率とポリカーボネート樹脂の屈折率との差が0.01以上0.08以下である重合体微粒子(A)の他に、重合体微粒子の屈折率とポリカーボネート樹脂の屈折率との差が0.08を超える重合体微粒子(B)を含む。一方、ポリカーボネート樹脂の屈折率との差が0.08を超える重合体微粒子(B)を用いると、重合体微粒子(B)はポリカーボネート樹脂との屈折率差が大きいために、少量含有することで、後述の配光角を大きくできるので、平均輝度比を小さくすることができる。しかし、重合体微粒子(B)のみを用いて好ましい配光角を達成しようとすると、相対光線透過度が低くなり、光量の低下が著しいという問題がある。
そこで、第二の光拡散性樹脂組成物には、非常に少量の重合体微粒子(B)を添加することが好ましい。具体的には、第二の光拡散性樹脂組成物100質量%中の重合体微粒子(B)の含有率は0.02質量%以上0.45質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上0.4質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上0.35質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以上0.3質量%以下であり、最も好ましくは0.1質量%以上0.15質量%以下である。重合体微粒子(B)の含有率が0.02質量%未満であると、重合体微粒子(B)の添加量が少なすぎるため、重合体微粒子(A)と重合体微粒子(B)とを併用することによる相乗効果が小さくなってしまう。一方、0.45質量%を超えると、重合体微粒子(B)の添加量が多量となり、重合体微粒子(A)との相乗効果が飽和し、相対光線透過度が低くなり、光量の低下が著しくなるおそれがある。また、重合体微粒子(B)の含有率が0.15質量%以下であると重合体微粒子(B)の含有率が0.15質量%よりも高い場合と比べて相対光線透過度が高くなるため、好適である。
本発明で用いられる重合体微粒子(B)は、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂微粒子及びシリカ粒子より選ばれた少なくとも1種の微粒子を含むことが好ましく、シリコーン樹脂微粒子を含むことがより好ましく、重合体微粒子(B)はシリコーン樹脂微粒子であることがさらに好ましい。
シリコーン樹脂微粒子としては、市販品を使用してもよく、上記市販品としては、例えば、アイカ工業社製ガンツパール(登録商標)シリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製トスパール(登録商標)シリーズ、信越シリコーン社製などが挙げられる。
重合体微粒子(B)は1種の重合体微粒子(B)であってもよいし、2種以上の重合体微粒子(B)を併用してもよい。2種以上の重合体微粒子(B)を併用するとは、質量平均粒子径及び屈折率の少なくとも一方が異なる2種以上の重合体微粒子(B)を用いることを意味する。
本発明の重合体微粒子(B)の質量平均粒子径は、上記の相乗効果が発現できれば限定されない。0.5μm〜12μmが好ましく、1〜8μmがより好ましい。1〜6μmがさらに好ましく、1〜4μmが特に好ましい。0.5μm未満の場合は、用いられる粒子数が相対的に多くなってしまうため、ポリカーボネート樹脂への重合体微粒子の分散性が低下するおそれがある。逆に12μmを超えると、重合体微粒子(B)の含有率を高める必要があり経済的に不利になるおそれがある。
第二の光拡散性樹脂組成物に任意に添加してもよい他、添加剤や第二の光拡散性樹脂組成物の作製方法は第一の光拡散性樹脂組成物と同様なので記載を省略する。
<光拡散部材の物性>
以下、第一の光拡散部材の光学特性及び第二の光拡散部材の光学特性を順に述べる。
[第一の光拡散部材の光学特性]
第一の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材は、相対光線透過度が1.4以上5.0以下であり、かつ、配光角が20°以上70°以下であることを同時に満たすことが好ましい。相対光線透過度及び配光角については以下に詳細を説明するが、相対光線透過度及び配光角が所定の範囲内であることによって、光拡散部材による光量の低下が抑制され、かつ輝度の均質性に優れた光拡散部材とすることができる。
(相対光線透過度)
照明器具をオフィスや住宅の天井面に設置する場合に、まず求められるのは、照明器具の直下部の照度(以下、直下照度という)が光拡散部材を用いていないときと同程度に高いことである。直下照度は、照明器具より出光する光のうち、直進光の寄与が大きい。一方、従来、光拡散部材を用いることによる光量の低下については、全光線透過率の大小で示すことができると考えられてきた。ところが、全光線透過率は、光源より発する全方向に出光する光を、積分球を用いて評価する方法であるため、全光線透過率と直下照度との相関関係が低い場合がある。そこで、本発明者等は直進光の光量を測定して相対光線透過度を求める方法を確立した。直進光の光量を測定して求めた相対光線透過度と直下照度との相関性は、全光線透過率と直下照度との相関性に比べて高いといえる。
相対光線透過度の評価方法に関しては、実施例において詳述するが、広く用いられている分散度(拡散度)測定法と同様に、サンプルに直行する方向(0度)で光を入光した時にサンプルより出光する出射光の配光分布プロファイルを、ゴニオメータを用いて測定する方法である。ただし、本発明者等は、一般に用いられている変角光度計とは異なり、変角色差計である変角分光測色システムGCMS−4型(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。従って、光の波長を分光した分光データが得られる。さらに、この変角色差計は、自動フィルター交換機能がついており、幅広い光線透過量のサンプルの透過量が自動測定でき、かつ標準拡散板の透過率基準の準定量値として測定ができる装置である。従って、一般の変角光度計とは異なり、配光分布プロファイルだけでなく、各角度における光線透過度も測定ができる。そして、配光分布プロファイルから、相対光線透過度及び配光角を求めることができる。また、視感感度との相関性の高いと考えられる波長が550nmであると考えられているため、波長が550nmの光線透過度を測定している。波長550nmにおける出射光の角度と光線透過度との関係を図1に示す。出射光の角度と光線透過度との関係から相対光線透過度及び配光角を求めることができる。図1中の出射角度0度における光線透過度Hを相対光線透過度とし、光線透過度が1/2Hとなるプラス側の角度Dを配光角とした。なお、上記の光線透過度Hは、標準拡散板の光線透過度に対する相対値と表示されるので、本発明においては、相対光線透過度と称する。
従来より用いられている変角光度計の場合は、光拡散部材の光線透過度に合わせて減光フィルターを用いて測定範囲を設定する方式になっているので、それぞれの同じフィルターで測定された測定値について、相対評価はできるが、広い範囲の光線透過度を定量化することは困難であった。従って、相対光線透過度は、上記の変角色差計を用いることで初めて定量化できた評価尺度である。
第一の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材の相対光線透過度は、1.4以上であることが好ましい。より好ましくは1.6以上であり、さらに好ましくは1.8以上である。また、相対光線透過度は5.0以下であることが好ましいが、より好ましくは4.7以下であり、さらに好ましくは4.5以下である。相対光線透過度が5.0以下では、相対光線透過度が大きくなるほど光量も大きくなるため、相対光線透過度が1.4未満であると、相対光線透過度が低くなりすぎ、光量が低下するおそれがある。また、相対透過度が5.0を超えると配光角が小さくなり、輝度の均質性が低下するおそれがある。
(配光角)
配光角は、光拡散部材を用いた際の光の拡散度の尺度であり、光が光拡散部材を通過することによる光の広がりの度合いの指標となる。また、配光角は相対光線透過度と同様に、光量低下の抑制や輝度の均質性の改善に対する評価に用いることができる。配光角の評価法に関しても、実施例において詳述するが、上記のごとく、相対光線透過度の測定において同時に求めることができる。広く用いられている一般に用いられている変角光度計で評価される分散度(拡散度)と同じ評価尺度であるが、上記の如く、配光角は、従来方法で測定される分散度(拡散度)と比べて、より精度の高い情報が得られると考えている。実際に異なった結果も得ている。
第一の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材の配光角は好ましくは20°以上であるが、より好ましくは21°以上であり、さらに好ましくは25°以上である。また、配光角は好ましくは70°以下であるが、より好ましくは60°以下であり、さらに好ましくは50°以下であり、特に好ましくは40°以下である。配光角が20°未満であると、配光角が小さくなり、輝度の均質性が低下するおそれがあり、配光角が70°を超えると光量が低下するおそれがある。
(全光線透過率)
第一の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材の全光線透過率は84%以上であることが好ましい。全光線透過率が84%以上であると、直下照度を、光拡散部材を用いないときと同等あるいはそれ以上にすることが出来る。全光線透過率の上限は特に限定されないが98%以下が好ましい。
なお、全光線透過率と相対光線透過度は、共に光線透過度の尺度であり、拡散剤(重合体微粒子)の種類や含有率等により大きく変化するが、上述のとおり、全光線透過率と相対光線透過度との間には明確な相関関係は存在していない。その理由としては、全光線透過率と相対光線透過度とは、上述のとおり、測定方法が大きく異なることが挙げられる。具体的には、相対光線透過度は、直下する光の光量を測定するが、全光線透過率は、光源より発する全方向に出光する光を、積分球を用いて評価しており、測定方法及び得られる光線透過度の内容が大きく異なる。相対光線透過度及び全光線透過率の両特性値の相関関係の詳細については、実施例において、図4を用いて説明する。両特性値の相関関係は全体として見た場合は良くない。ただし、図4の結果は、三つの相関性の異なった母集団が合体された結果を示していると見なすこともできる。例えば、重合体微粒子の屈折率や粒子径等の違い等により相関関係が変わる可能性が示唆されている。従って、相対光線透過度及び全光線透過率の両特性値の両方が上記の特定の範囲内であることがより好ましい。
(直下照度比)
本発明においては、光拡散部材を用いることによる光量低下については、照明器具の直下部の照度特性である直下照度が光拡散部材の有無によりどの程度変化したかによって評価した。直下照度比の評価方法に関しては、実施例において詳述するが、直下照度の測定方法のポイントを、以下に記載する。
評価用の照明器具として、東芝ライテック社製のE−CORE(登録商標)LEDユニットLDF5N−WGX53/2の出光部に嵌め込まれているフレネルレンズ部を取り外した器具(以下、単に照明器具と称する)を用いた。そして、変角照度計(ハイランド社製「ZERO−ONE」)を用いて、照明器具を駆動方式の試料台上に、上記照明器具の中心点と試料台の中心点が一致し、かつ照明器具の発光面が水平になるように設置し、照明器具を点灯し、照明器具の直上(変角度0度)の照度を測定した。
直下照度の低下は、すなわち光量の低下を意味する。照明器具出光面と照度計受光面との距離を1mとしたときの受光角度0°の照度を直下照度とする。そして、第一の光拡散部材を用いない時の直下照度(S2)と、第一の光拡散部材を用いたときの直下照度(S1)を測定し、光拡散部材設置時の直下照度(S1)を光拡散部材未設置時の直下照度(S2)で除して直下照度比とした。なお、第一の光拡散部材を用いたときの直下照度(S1)は、上記照明器具の筐体の出光面に光拡散部材を置いたときの直下照度とする。
上記直下照度比は0.97以上であることが好ましく、1.00以上であることがより好ましい。直下照度比が0.97未満の場合は、光拡散部材による直下照度の低下、すなわち、光量の低下が著しくなるので好ましくない。従来の光拡散部材では、光拡散部材設置時の直下照度(S1)は光拡散部材未設置時の直下照度(S2)より低くなるので、直下照度比は当然1.00未満になる。例えば、透明のポリカーボネート樹脂板の場合でも直下照度比は0.98程度となり、ポリカーボネート樹脂板を設置することによって直下照度は低下する。従って、一般の乳白拡散板等の従来の光拡散部材で直下照度比が1.00以上になることはなかった。しかし、本発明の光拡散部材は、極僅かであるが、集光作用を有する場合があるので、光拡散部材を設置することによって、光拡散部材を設置していないときよりも優れた直下照度となり、直下照度比が1.00を上回る場合がある。直下照度比の上限は限定されないが、技術的な困難性より、1.06程度である。
(平均輝度比)
平均輝度比は、輝度の均質性の尺度である。平均輝度比の測定方法については実施例に詳述するが、平均輝度比の測定方法のポイントを以下に記す。
上記の直下照度比の評価に用いた照明器具を用いて、照度計を輝度計に変え、直下照度比と同様の方法で、第一の光拡散部材を用いたときの平均輝度(T1)及び光拡散部材未設置時の平均輝度(T2)を測定した。そして、光拡散部材設置時の平均輝度(T1)を光拡散部材未設置時の平均輝度(T2)で除して平均輝度比を求めた。平均輝度比が0.3以下であることが好ましく、平均輝度比は0.28以下がより好ましく、0.25以下であることがさらに好ましい。0.3を超えた場合は、輝度の均質性が低下するので好ましくない。下限は特に限定されないが、技術的な困難性より0.1程度である。
照明器具の光源チップ間距離、光源チップと光拡散部材との距離、光源チップからの出射光の配光角等の様々な条件により、平均輝度比は大きく変化する。しかし、他の照明器具を用いても、各光拡散部材の平均輝度比の大小の序列は入れ替わらない、すなわち、特定の照明器具のみに成り立つ序列ではないため、平均輝度比は、幅広い照明器具に適用できる実用性の高い評価尺度であるといえる。
第一の光拡散部材を用いることによって、直下照度の低下抑制(光量の低下抑制)と輝度の均質性という二律背反事象の両立が可能となる。
(光拡散部材の厚み)
第一の光拡散部材は、上記第一の光拡散性樹脂組成物を用いて形成されており、第一の光拡散部材の厚みは0.5mm以上2.5mm以下であることが好ましく、0.7mm以上2.2mm以下がより好ましく、1.0mm以上2.0mm以下がさらに好ましい。第一の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材は、上記範囲内の厚みであれば、従来公知の乳白拡散板等とは異なり、例えば、直下照度比、平均輝度比、相対光線透過度、配光角などの各種物性値は大きく変わらないため、用途に応じて光拡散部材の厚みを変更することが可能である。
(光拡散部材の厚みを考慮したときの重合体微粒子(A)の量)
第一の光拡散部材の厚みを考慮したときの重合体微粒子(A)の量、具体的には、第一の光拡散部材の厚み(mm)と第一の光拡散部材における重合体微粒子(A)の含有率(質量%)の積が、7質量%・mm以上20質量%・mm以下であることが好ましい。以下、上記第一の光拡散部材の厚みを考慮したときの重合体微粒子(A)の量のことを重合体微粒子(A)と厚みの積という。重合体微粒子(A)と厚みの積が上記範囲内である光拡散部材は、好ましい光学特性を有する光拡散部材となる。なお、2種類以上の重合体微粒子(A)を用いている場合は全ての重合体微粒子(A)の含有率を合計した値を用いて、重合体微粒子(A)と厚みの積を求める。
重合体微粒子の含有率が大きくなるほど、又は光拡散部材の厚くなるほど、後述の配光角は大きくなる。そのため、微粒子(A)と厚みの積を調整することによって、所望の配光角とすることができる。なお、重合体微粒子(A)の粒子径が配光角に与える影響は小さい。
重合体微粒子(A)と厚みの積が上記範囲内である光拡散部材は、好ましい光学特性を有する光拡散部材となるが、7質量%・mm未満では、配光角が小さくなっており、平均輝度比が十分に大きくならないおそれがあり、20質量%・mmを超えると、相対光線透過度が低くなり、光量の低下が著しくなるおそれがある。また、経済的にも不利である。
[第二の光拡散部材の光学特性]
第二の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材は、第一の光拡散部材の光学特性と同様に、相対光線透過度が1.4以上5.0以下であり、かつ、配光角が20°以上70°以下であることを同時に満たすことが好ましい。
第二の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材の相対光線透過度は、1.4以上であることが好ましいが、より好ましくは1.5以上であり、さらに好ましくは1.8以上であり、特に好ましくは2.2以上である。また、相対光線透過度は5.0以下であることが好ましいが、より好ましくは4.5以下である。相対光線透過度が5.0以下では、相対光線透過度が大きくなるほど直下照度比も大きくなるため、相対光線透過度が1.4未満であると、相対光線透過度が小さくなりすぎ、光量が低下するおそれがある。また、相対透過度が5.0を超えると配光角が小さくなり、輝度の均質性が低下するおそれがある。
第二の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材の配光角も第一の光拡散部材の光学特性と同様に、好ましくは20°以上である。より好ましくは22°以上である。また、配光角は好ましくは70°以下であるが、より好ましくは60°以下であり、さらに好ましくは50°以下であり、特に好ましくは40°以下であり、最も好ましくは35°以下である。配光角が20°未満であると、配光角が小さすぎるため、輝度の均質性が低下するおそれがあり、配光角が70°を超えると光量が低下するおそれがある。
第二の光拡散性樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材の全光線透過率は75%以上が好ましく、より好ましくは77%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、87%以上が特に好ましい。全光線透過率が75%未満であると、光量が低下するおそれがある。また、全光線透過率が84%以上であると、直下照度を、光拡散部材を用いないときと同等あるいはそれ以上にすることが出来る。全光線透過率の上限は特に限定されないが98%以下が好ましく、95%以下がより好ましく、93%以下がさらに好ましく、90%以下が特に好ましい。
重合体微粒子(A)のみを用いた場合と重合体微粒子(A)と重合体微粒子(B)とを併用する場合とで全光線透過率の好ましい範囲が異なる理由は定かでないが、第一の光拡散部材において考察したように、重合体微粒子の屈折率の違い等によって、相対光線透過度と全光線透過率との相関関係が変わることにより引き起こされているものと考えられる。
(第二の光拡散部材の厚みを考慮したときの重合体微粒子(B)の量)
第二の光拡散部材の厚みを考慮したときの重合体微粒子(B)の量、具体的には、第二の光拡散部材の厚み(mm)と第二の光拡散部材における重合体微粒子(B)の含有率(質量%)の積が、0.02質量%・mm以上0.55質量%・mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.10質量%・mm以上0.52質量%・mm以下であり、さらに好ましくは0.13質量%・mm以上0.45質量%・mm以下である。以下、上記第二の光拡散部材の厚みを考慮したときの重合体微粒子(B)の量のことを重合体微粒子(B)と厚みの積という。重合体微粒子(B)を用いる主目的は、重合体微粒子(A)と厚みの積を小さくする、すなわち重合体微粒子(A)の含有率を低くして経済性を高めることにあるので、重合体微粒子(B)と厚みの積は小さい方が好ましいが、重合体微粒子(B)と厚みの積が0.02質量%・mm未満では、重合体微粒子(A)と重合体微粒子(B)とを併用することによる相乗効果が小さくなり、配光角を大きくする効果が十分に機能せず、平均輝度比が大きくなり、輝度の均質性が低下するおそれがある。逆に、0.55質量%・mmを超えると、重合体微粒子(A)と重合体微粒子(B)との相乗効果が飽和するのみならず、相対光線透過度が低くなり、光量の低下が著しくなるおそれがある。重合体微粒子(B)と厚みの積が上記範囲内である光拡散部材は、好ましい光学特性を有する光拡散部材とすることができる。なお、2種類以上の重合体微粒子(B)を用いている場合は全ての重合体微粒子(B)の含有率を合計した値を用いて、重合体微粒子(B)と厚みの積を求める。
(第二の光拡散部材の厚みを考慮したときの重合体微粒子(A)の量と上記重合体微粒子(B)の量との合計)
第二の光拡散部材の厚みを考慮したときの重合体微粒子(A)の量と重合体微粒子(B)の量との合計、具体的には、第二の光拡散部材の厚み(mm)と第二の光拡散部材における重合体微粒子(A)及び上記重合体微粒子(B)の合計の含有率(質量%)との積が、3.2質量%・mm以上6.5質量%・mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.2質量%・mm以上6.0質量%・mm以下であり、さらに好ましくは3.3質量%・mm以上5.5質量%・mm以下である。以下、第二の光拡散部材の厚みを考慮したときの重合体微粒子(A)の量と上記重合体微粒子(B)の量との合計のことを重合体微粒子(A)及び(B)と厚みの積という。重合体微粒子(A)及び(B)と厚みの積が上記範囲内である光拡散部材は、好ましい光学特性を有する光拡散部材となるが、3.2質量%・mm未満では、配光角が小さくなっており、輝度の均質性が十分ではないおそれがあり、6.5質量%・mmを超えると、相対光線透過度が低く、光量の低下が著しくなるおそれがある。また、経済的にも不利である。なお、2種類以上の重合体微粒子(A)及び/又は2種類以上の重合体微粒子(B)を用いている場合は、全ての重合体微粒子(A)及び全ての重合体微粒子(B)の含有率の値を合計した値を用いて、重合体微粒子(A)及び(B)と厚みの積を求める。
直下照度比、平均輝度比、及び光拡散部材の厚みの好適な範囲については第一の光拡散部材と同様なので記載を省略するが、第一の光拡散部材を用いた場合と同様に、第二の光拡散部材を用いることによって、直下照度の低下抑制(光量の低下抑制)と輝度の均質性という二律背反事象の両立が可能となる。
(光拡散部材の形状)
第一及び第二の光拡散部材(以下、本発明の光拡散部材という)の形状は限定されず、平板であってもよいし、曲面形状等の非平面形状であってもよい。また、光拡散部材の表面形状も限定されず、平滑な表面であっても、梨地形状やマット形状等の凹凸を有する表面であってもよい。表面への凹凸の付与方法も特に限定されておらず、例えば、表面形状付与層を積層し、一定時間経過後に上記表面形状付与層を光拡散部材から剥離する方法や光拡散部材製造時に形状付与金型を用いて光拡散部材の表面に凹凸を付与する方法等が挙げられる。
(光拡散部材の製造方法)
本発明の光拡散部材は、公知の製造方法で製造することができ、例えば、溶液流延法、溶融押出成型法、カレンダー法、圧縮成形法、射出成形法などの方法を挙げることができる。
(光拡散部材の用途)
本発明の光拡散部材は、例えばLED信号灯器のレンズ又はレンズカバーのようなLEDを用いた各種表示器具用のレンズやカバー、OA機器やテレビ等のディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シート、導光板、照明装置や照明装置のカバー、照明看板、透過型のスクリーンなどに用いられる。特に、本発明の光拡散部材は、光源として、光束が低く、指向性の高いLEDを用いたLED照明装置や表示器具のカバーやレンズとして用いると効果的である。
(光拡散部材の設置場所及び使用方法)
本発明の光拡散部材は、点光源より光の出光する方向に設置されていればよく、例えば、点光源近傍にレンズ部材を設けて点光源から出光する光を集光させている装置においては、レンズ部材より外面(反光源側)に設置される。
(照明器具)
本発明の光拡散部材を備えた照明器具であることが好ましく、点光源使用の照明器具の出光方向に本発明の光拡散部材を備えた照明器具であることがより好ましい。本発明の光拡散部材を備えた照明器具とすることによって、照明装置から出射される光量の低下が抑制され、かつ輝度の均質性も改善できる。本発明においては、照明器具の種類は限定されない。例えば、直管型照度器具、ベースライト、ダウンライト、シーリングライト、スポットライト等を挙げることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。各実施例、比較例で得られた試料についての物性測定方法は以下の通りである。
(1)全光線透過率
JIS K 7361−1に準拠して、日本電色社製ヘーズメーターNDH 4000を用いて、D65光源にて、試料の全光線透過率を測定した。
(2)相対光線透過度
変角分光測色システムGCMS−4型(株式会社村上色彩技術研究所製、変角分光光度計GPS−2型)を用いて、光源:D65、視野:2°の条件で、透過光強度の測定を行った。
まず、上記GCMS−4型用の透過光拡散標準板(オパールガラス)を用いて装置の校正を装置のマニアルに従って行う。なお、上記透過拡散標準板は、積分球式分光計測で空気層を1.000とした時の透過率が0.3535の特性を有する。
次に、rモードで光線入射角:0°において、受光角度:0°から80°までを1°ピッチで試料を出光する光の配光分布プロファイルの測定を行う。
相対光線透過度は、図1に示した波長550nmの透過光強度の配光分布プロファイル曲線より求めた。すなわち、図1中の出射角度0度における光線透過度Hを相対光線透過度とし、光線透過度が1/2Hとなるプラス側の角度Dを配光角とした。なお、上記の光線透過度Hは、標準拡散板の光線透過度に対する相対値で表示される。
(3)配光角
配光角は、上記(2)に記載の方法で測定された図1に示す波長550nmの光線透過度の配光分布プロファイル曲線より求めた。すなわち、図1中の光線透過度が1/2Hとなるプラス側の角度Dを配光角とした。
(4)直下照度比
東芝ライテック社製のE−CORE(登録商標)LEDユニットLDF5N−WGX53/2の出光部に嵌め込まれているフレネルレンズを取り外した。変角照度計(ハイランド社製「ZERO−ONE」)を用いて、照明器具を駆動方式の試料台上に、照明器具の中心点と試料台の中心点が一致するように設置し、照明器具を駆動方式の試料台上に、上記照明器具の中心点と試料台の中心点が一致し、かつ照明器具の発光面が水平になるように設置し、照明器具を点灯し、照明器具出光面と照度計受光面との距離を1mとしたときの受光角度0°の光拡散部材設置時の直下照度(S1)及び光拡散部材未設置時の直下照度(S2)を測定した。これらの測定は暗室下で行い、照明器具を点灯後30分経過後より測定を開始した。30分を経過しても照度は多少変動をするため、光拡散部材を用いない時の直下照度(S2)が213Lxになるように試料台の高さを微調整した後にサンプルを照明器具筐体の出光部に設置し、直下照度(S1)の測定をした。測定終了後に、再度、直下照度(S2)の測定をし、213Lxであることを確認した。213Lxより変化をしているときは、上記微調整をして直下照度(S2)を213Lxに合わせて直下照度(S1)の再測定をした。直下照度(S1)測定の前後の直下照度(S2)が213Lxになる場合の直下照度(S1)の値を記録した。直下照度比は、光拡散部材設置時の直下照度(S1)を光拡散部材未設置時の直下照度(S2)で除して求めた。
(5)平均輝度比
上記(4)に記載の照明器具を用いているが、上記(4)に記載の照度計を輝度計(ハイランド社製「RISA−COLOR/ONE−II」)に代えて、直上から観察し、照明器具の5個の点光源を任意に選び、該光点源の直上位置の点光源の中心部の輝度をライン測定モードでライン上の輝度を測定した。
上記方法で、光拡散部材を用いない時の平均輝度(T2)を求めた。次いで、サンプルを照明器具筐体の出光面に設置して、平均輝度(T2)と同じ設定条件で、平均輝度(T1)を測定した。
平均輝度比は、光拡散部材設置時の平均輝度(T1)を光拡散部材未設置時の平均輝度(T2)で除して求めた。
該輝度の測定は暗室下で行い、照明器具を点灯後30分経過後より測定を開始した。
(実施例1)
屈折率1.59のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロン(登録商標)E−2000FN)100質量部に、リン系熱安定剤(BASF社製イルガフォス(登録商標)168)0.075質量部、オキサゾール系蛍光増白剤(日本化学工業所製ニッカフローOB)0.003質量部、及び質量平均粒子径5μm、屈折率1.55のアクリル−スチレン系共重合体微粒子(アイカ工業社製ガンツパール(登録商標)GSM−0561S)5質量部配合し、混練し、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。このポリカーボネート樹脂組成物を用いて、ベントとギアポンプ付きで、3本のロールを有するシート押出機で、厚さ2.0mmの拡散板の押出成形を行い、光拡散部材を得た。光拡散部材の各種物性を測定し、測定結果を表2に示す。なお、ポリカーボネート樹脂の屈折率と上記重合体微粒子の屈折率との差が0.01以上0.08以下である場合には重合体微粒子(A)とし、ポリカーボネート樹脂の屈折率と上記重合体微粒子の屈折率との差が0.08を超える場合には、重合体微粒子(B)として表に記載した。以下の実施例及び比較例についても同様である。
(実施例2〜8、比較例1〜9)
重合体微粒子の種類及び含有率、拡散板の厚さを表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、光拡散部材を得た。実施例2〜8及び比較例1〜9では、表1に記載の重合体微粒子を用いており、表2には、用いた重合体微粒子の粒子径及び屈折率を記載している。光拡散部材の各種物性を測定し、測定結果を表2に示す。
なお、実施例2〜8及び比較例1〜9では、重合体微粒子として表1に記載の微粒子を用いており、実施例6〜8では、2種類の重合体微粒子(A)を用いた。また、表2では、アクリル−スチレン系共重合体をAS、シリコーン樹脂をSiと省略して記載した。
(実施例9〜17、比較例10〜12)
重合体微粒子の種類及び含有率、拡散板の厚さを表3に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、光拡散部材を得た。実施例9〜17及び比較例10〜12では、表1に記載の重合体微粒子を用いており、表3には、用いた重合体微粒子の粒子径及び屈折率を記載している。光拡散部材の各種物性を測定し、測定結果を表3に示す。
なお、実施例9〜17及び比較例10〜12では、重合体微粒子として表1に記載の微粒子を用いており、実施例9〜17及び比較例10〜12では、重合体微粒子(A)と重合体微粒子(B)とを併用した。また、表3では、アクリル−スチレン系共重合体をAS、シリコーン樹脂をSiと省略して記載した。
表2及び表3より、ポリカーボネート樹脂や重合体微粒子(A)が規定された条件を満たすことによって、初めて本発明の効果を発現できることがわかった。また、表2と表3の比較から、重合体微粒子(B)であるシリコーン樹脂微粒子を重合体微粒子(A)と併用することで、重合体微粒子(A)であるアクリル−スチレン系共重合体の含有率と厚みとの積を7.8〜16質量%・mmから2.99〜4.94質量%・mmへと大幅に低減することができた。従って、重合体微粒子(A)と重合体微粒子(B)とを併用することによって、本発明の効果を発現でき、かつ、経済性に優れた光拡散部材とすることができる。
また、本発明においては、光拡散部材の厚み(mm)と光拡散部材における重合体微粒子(A)及び上記重合体微粒子(B)の合計の含有率との積という新規な尺度が有効であることを見出した。以下、表3の実施例及び比較例データを用いて、重合体微粒子(A)及び(B)の合計含有率と相対光線透過度との相関性、及び重合体微粒子(A)及び(B)と厚みの積と相対光線透過度との相関性について検証した。相対光線透過度は、重合体微粒子の屈折率、粒子径、及び配合率等の影響の影響を受ける。従って、表3の実施例及び比較例の中で、これらの特性の近い実施例及び比較例を用いて解析を実施した。具体的には、表3の実施例及び比較例において、重合体微粒子(A)及び(B)の粒子径が同一である実施例9、実施例13、実施例14、及び比較例11を用いた。これらの実施例は、重合体微粒子(B)の屈折率が1.43である点も共通しているが、実施例9では、重合体微粒子(A)の屈折率は1.53、重合体微粒子(A)の含有率は3.8質量%、重合体微粒子(B)の含有率は0.10質量%であり、実施例13では、重合体微粒子(A)の屈折率は1.55、重合体微粒子(A)の含有率は2.3質量%、重合体微粒子(B)の含有率は0.10質量%であり、実施例14では、重合体微粒子(A)の屈折率は1.55、重合体微粒子(A)の含有率は3.8質量%、重合体微粒子(B)の含有率は0.17質量%であり、比較例11では、重合体微粒子(A)の屈折率は1.55、重合体微粒子(A)の含有率は2.3質量%、重合体微粒子(B)の含有率は0.10質量%である。実施例に記載された上記4つの光拡散部材を用いたときの重合体微粒子(A)及び(B)の合計含有率と相対光線透過度との関係を図2に、重合体微粒子(A)及び(B)と厚みの積と相対光線透過度との関係を図3に示した。図2及び図3より、「重合体微粒子(A)及び(B)の合計含有率」よりも「重合体微粒子(A)及び(B)と厚みの積」の方が相対光線透過度との相関係数が大きいことがわかる。従って、本発明者等が新たに確立した「重合体微粒子(A)及び(B)と厚みの積」のパラメータの有用性が明らかである。
実施例及び比較例における相対光線透過度が6以下の光拡散部材について、相対光線透過度と全光線透過率との関係を図4に示した。図4より、相対光線透過度と全光線透過率は、いずれも光線透過度の尺度であるにも関わらず、両特性値の間に明確な相関関係はない。ただし、図4の結果は、三つの相関性の異なった母集団が合体された結果を示していると見なすこともできる。例えば、重合体微粒子の屈折率や粒子径等の違い等により相関関係が変わる可能性が示唆されている。従って、相対光線透過度及び全光線透過率の両特性値の両方が上記の特定の範囲内であることがより好ましい。
輝度の均質性について、より直視的な差異として平均輝度比を測定したときに照明器具を直上より観察したときの輝度像を図5に示す。平均輝度比が優れている実施例7及び実施例8では光拡散部材の面全体が均一に明るくなっているが、比較例8及び光拡散部材がない状態では、光拡散部材における面全体の明るさは不均一である。
本発明の光拡散性樹脂組成物から形成された光拡散部材を照明装置に用いることにより、照明装置から出射される光量の低下が抑制され、かつ輝度の均質性も改善できた。そのため、本発明の光拡散部材は、LEDを用いた信号灯器のレンズもしくはレンズカバー、照明カバー、照明看板、透過型のスクリーン、各種ディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シート、導光板などの各種照明装置に適用可能である。

Claims (16)

  1. ポリカーボネート樹脂と重合体微粒子(A)とを含む光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物であって、
    上記ポリカーボネート樹脂の屈折率と上記重合体微粒子(A)の屈折率との差が0.01以上0.08以下であり、
    上記ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中の上記重合体微粒子(A)の含有率が3.5質量%以上10質量%以下である
    ことを特徴とする光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 上記重合体微粒子(A)が、質量平均粒子径及び屈折率の少なくとも一方が異なる2種以上の重合体微粒子を含む請求項1に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 上記重合体微粒子(A)がアクリル−スチレン系共重合体微粒子を含む請求項1又は2に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. ポリカーボネート樹脂、重合体微粒子(A)、及び重合体微粒子(B)を含む光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物であって、
    上記ポリカーボネート樹脂の屈折率と上記重合体微粒子(A)の屈折率との差が0.01以上0.08以下であり、
    上記ポリカーボネート樹脂の屈折率と上記重合体微粒子(B)の屈折率との差が0.08を超えており、
    上記ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中の上記重合体微粒子(A)の含有率が2質量%以上6質量%以下である
    ことを特徴とする光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 上記重合体微粒子(B)がシリコーン樹脂微粒子を含む請求項4に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 上記ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中の上記重合体微粒子(B)の含有率が0.02質量%以上0.45質量%以下である請求項4又は5に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材であって、相対光線透過度が1.4以上5.0以下であり、かつ配光角が20°以上70°以下であることを特徴とする光拡散部材。
  8. 上記光拡散部材の厚みを考慮したときの上記重合体微粒子(A)の量が7質量%・mm以上20質量%・mm以下である請求項7に記載の光拡散部材。
  9. 全光線透過率が84%以上である請求項7又は8に記載の光拡散部材。
  10. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物を用いて形成された光拡散部材であって、相対光線透過度が1.4以上5.0以下であり、かつ配光角が20°以上70°以下であることを特徴とする光拡散部材。
  11. 上記光拡散部材の厚みを考慮したときの上記重合体微粒子(B)の量が0.02質量%・mm以上0.55質量%・mm以下であり、上記光拡散部材の厚みを考慮したときの上記重合体微粒子(A)の量と上記重合体微粒子(B)の量との合計が3.2質量%・mm以上6.5質量%・mm以下である請求項10に記載の光拡散部材。
  12. 全光線透過率が75%以上である請求項10又は11に記載の光拡散部材。
  13. 厚みが0.5mm以上2.5mm以下である請求項7〜12のいずれか1項に記載の光拡散部材。
  14. 直下照度比が0.97以上である請求項7〜13のいずれか1項に記載の光拡散部材。
  15. 平均輝度比が0.3以下である請求項7〜14のいずれか1項に記載の光拡散部材。
  16. 請求項7〜15のいずれか1項に記載の光拡散部材を備えた照明器具。
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