JP3845235B2 - 差動式熱感知器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火災等の発生によって急激に発生する熱を感知し、その温度上昇が規定値を越えたときに発報する差動式熱感知器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5(a),(b)は、従来の差動式熱感知器の構成図であり、同図(a)はスポット型の差動式熱感知器、及び同図(b)は分布型の差動式熱感知器を示している。
図5(a)のスポット型の差動式熱感知器は、例えば部屋の天井等に取り付けられるもので、一定容量の内部空間を有する感熱容器(即ち、空気室)1を有している。空気室1の一部には弾力性のある薄い金属板で作られたダイヤフラム2が取り付けられている。また、空気室1の一部にはリーク孔3が設けられており、このリーク孔3を通して空気室1と外気との間で空気の出入りが出来るようになっている。空気室1は、感熱板4をモールド台5に固定することで、その間に形成されており、またダイヤフラム2の中心部とこのモールド台5との間に、接点6a,6bが設けられている。そして、気温の変化や冷暖房等のように室温の変化が緩慢であれば、リーク孔3を通して少量の空気が出入りして空気室1内の圧力と外部の圧力とが釣り合いを保ち、接点6a,6が閉じないようになっている。
また、火災が発生した場合には、感知器の周囲の急激な温度上昇に伴って、空気室1内の空気がリーク孔3から漏れる以上に急激に膨脹し、ダイヤフラム2を押し上げて接点6a,6bが閉じられる。そして、接点6a,6bの情報は発報信号OUTとして受信機に伝えられるようになっている。
【0003】
図5(b)の分布型の差動式熱感知器は、比較的広い部屋等の火災を検出するもので、部屋の天井等に張られた総延長20m〜100mの感熱容器となる空気管1Aを有している。空気管1Aの一端には、試験調整用のコック部7を介してダイヤフラム2が取り付けられるとともに、リーク孔3が設けられている。この分布型の差動式熱感知器の動作は、スポット型における空気室1が空気管1Aに変わっただけであり、スポット型の動作と同様である。
差動式熱感知器の火災検出感度は、消防法等の規定により定められている。例えばスポット型の1種の場合、室温が10℃/分の割合で直線的に上昇する場合、4.5分以内に作動しなければならず、また、2℃/分の割合で直線的に上昇する場合には、15分以内に作動してはならないように規定されている。
このように、差動式熱感知器は、周囲温度の上昇率が一定の率以上であれば、温度が一定値を越えなくても発報信号OUTが出力され、早期に火災を検出することができるという特徴を有しているので、広く使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の差動式熱感知器では、次のような課題があった。
例えば、大型台風が通過する時のように急激に気圧が低下した場合、空気室1や空気管1A内の圧力が外気圧に対して相対的に上昇する。これにより、空気室1等の内部の空気が、リーク孔3から漏れる以上に急激に膨脹し、ダイヤフラム2を押し上げて接点6a,6bが閉じられる。そして、火災発生時と同様の発報信号OUTが誤って出力されるという課題があった。
本発明は、前記従来技術が持っていた課題を解決し、急激な気圧変化による誤発報を防止することができる差動式熱感知器を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、一定容量の内部空間を有し周囲の温度及び気圧の変化に応じて内部に充満した気体の圧力が変化する密閉された感熱容器と、前記感熱容器の一部に設けられ該感熱容器内の気体の圧力に対応した圧力信号を出力する圧力検出手段と、前記周囲の気圧を検出して該気圧に対応した気圧信号を出力する気圧検出手段と、前記圧力信号を前記気圧信号で補正することによって該圧力信号中の気圧成分を抑制して温度変化信号を抽出し、該温度変化信号の上昇率が一定時間継続して一定値を越えたときに火災が発生したと判定する火災判定手段とを備え、前記火災判定手段は、前記圧力信号を所定の周期で読み取り前記感圧容器内の気体の圧力変化を検出して圧力変化信号を出力する圧力変化検出部と、前記気圧信号を一定の周期で読み取り前記気圧の変化を検出して気圧変化信号を出力する気圧変化検出部と、前記圧力変化信号を前記気圧変化信号で補正して該圧力変化信号中の温度変化成分を抽出し、該温度変化成分に基づいて前記周囲の温度の上昇率を監視して該上昇率が一定時間継続して一定値を越えたときに火災が発生したと判定する火災判定部とを有すること、を特徴とする。
【0006】
この発明によれば、以上のように差動式熱感知器を構成したので、次のような作用が行われる。
周囲の温度と気圧に従って、感熱容器の内部圧力に対応した圧力信号が圧力検出手段から出力される。また、気圧検出手段から周囲の気圧に対応した気圧信号が出力される。圧力信号と気圧信号は、火災判定手段に与えられる。火災判定手段では、例えば圧力変化検出部で圧力信号の変化が検出されて圧力変化信号が出力され、気圧変化検出部で気圧信号の変化が検出されて気圧変化信号が出力される。圧力変化信号と気圧変化信号は火災判定部に与えられ、この圧力変化信号が気圧変化信号で補正されて温度変化成分が抽出される。そして、温度の上昇率が一定時間継続して一定値を越えると、火災が発生したと判定される。
【0009】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態
図1(a),(b)は、本発明の第1の実施形態を示すスポット型の差動式熱感知器の構成図であり、同図(a)は構造を示す断面図、及び同図(b)は同図(a)中の信号処理基板に搭載された信号処理回路等を示す構成図である。
この差動式熱感知器は、例えば部屋の天井等に取り付けられ、その周囲温度の変化に基づいて火災を検出して発報信号OUTを出力するもので、図1(a)に示すように、一定容量の内部空間を持って密閉された感熱容器(例えば、空気室)11を備えている。空気室11は、感熱板12をモールド台13に固定することで、その間に形成されている。空気室11の一部には、空気室11内の空気圧を圧力センサ21の感圧部に直接導くための通気管21aの一端が配置されている。モールド台13には、更に、信号処理回路20等が搭載された信号処理基板14が固定されている。
【0010】
信号処理基板14の裏面には空気室11内部の気体の圧力に対応した電圧(即ち、圧力信号)を出力する圧力検出手段(例えば、圧力センサ)21が固定されている。圧力センサ21は、例えば、単結晶シリコン基板上に4個のストレイン・ゲージ抵抗を形成し、この単結晶シリコン基板に圧力が加えられたときに、抵抗値が増加する抵抗同士と減少する抵抗同士を、それぞれ対向する辺となるようにブリッジ接続した感圧膜を有している。そして、ブリッジ回路の入力側に一定の電圧を印加することにより、加えられた圧力に対応する電圧が、このブリッジ回路の出力側から出力されるようになっている。このような半導体型の圧力センサ21は、金属ストレイン・ゲージ抵抗に比べて、1桁以上高感度でかつ精度が高いという利点を有している。
また、信号処理基板14の表面には、周囲の気圧を検出してこの気圧に対応した電圧(即ち、気圧信号)を出力する気圧検出手段(例えば、気圧センサ)22が固定されている。気圧センサ22は、圧力センサ21と同様の感圧膜を有しており、この感圧膜に通気管22aを介して大気の圧力が加えられるように構成されたものである。
【0011】
図1(b)に示すように、圧力センサ21の出力側には、増幅器23を介してアナログ・ディジタル変換器(以下、「ADC」という)24が接続されている。増幅器23は、圧力センサ21から出力された微小電圧を、ADC24の入力レベルまで増幅するためのものである。また、ADC24は、増幅器23から出力された電圧をディジタル値に変換するものであり、このADC24の出力側に圧力変化検出部25が接続されている。
圧力変化検出部25は、例えばマイクロプロセッサ等で構成され、ADC24から出力されるディジタル値を所定の周期で読み取り、圧力データに変換するとともに、前回読み取った圧力データとの差を圧力変化信号として出力するものである。この周期は、短かすぎると温度変化に伴う有効な圧力変化を検出することができず、また、長すぎるとその圧力変化の状態を的確に捕らえることができないので、1〜10秒程度の間の値(例えば、5秒)に設定されている。圧力変化検出部25の出力側には、火災判定部26が接続されている。
【0012】
一方、気圧センサ22の出力側には、増幅器27を介してADC28が接続されている。増幅器27は、気圧センサ22から出力された微小電圧を、ADC28の入力レベルまで増幅するためのものである。また、ADC28は、増幅器27から出力された電圧をディジタル値に変換するものであり、このADC28の出力側に気圧変化検出部29が接続されている。気圧変化検出部29は、例えば圧力変化検出部25と同一のマイクロプロセッサ等で構成され、ADC28から出力されるディジタル値を所定の周期で読み取って気圧データに変換し、前回読み取った気圧データからの変化を気圧変化信号として火災判定部26に出力するものである。
火災判定部26は、例えば圧力変化検出部25及び気圧変化検出部29と同一のマイクロプロセッサ等で構成され、この圧力変化検出部25から与えられた圧力変化信号を、気圧変化検出部29から与えられた気圧変化信号で補正して、火災の発生を判定するものである。例えば、火災判定部26は、圧力変化信号と気圧変化信号とを加算して、この圧力変化信号中の気圧変化成分を除去した温度変化信号を生成し、この温度変化信号が一定時間継続(例えば、3回連続)して一定値(例えば、10℃/分)を越えたときに、火災が発生したと判定するものである。火災判定部26の出力側には、接点30aを有する出力部30が接続され、この火災判定部26から火災の発生を示す信号が与えられたときに、この接点30aを閉じて発報信号OUTを出力するようになっている。
【0013】
次に、図1の差動式熱感知器の動作を、(1)平常時、(2)火災発生時、(3)台風接近時、及び(4)火災発生と台風接近が重なった時に分けて説明する。
(1) 平常時の動作
差動式熱感知器の空気室11内に密閉された空気の圧力は、通気管21aを介して圧力センサ21に伝えられる。圧力センサ21から空気室11内の圧力に応じた電圧(圧力信号)が出力され、増幅器23で所定のレベルに増幅されてADC24に与えられる。増幅器23から出力された電圧は、ADC24でディジタル信号に変換され、圧力変化検出部25に伝えられる。圧力変化検出部25では、ADC24から出力されるディジタル値が5秒周期で読み取られ、圧力データに変換される。更に、圧力変化検出部25で前回読み取られた圧力データからの変化量が算出され、圧力変化信号として火災判定部26に与えられる。
【0014】
一方、気圧センサ22から気圧に対応した電圧(気圧信号)が出力され、増幅器27で所定のレベルに増幅されてADC28に与えられる。増幅器27から出力された電圧は、ADC28でディジタル信号に変換され、気圧変化検出部29に伝えられる。気圧変化検出部29では、ADC28から出力されるディジタル値が例えば5秒周期で読み取られ、気圧データに変換される。更に、気圧変化検出部29で前回読み取られた気圧データからの変化量が算出され、気圧変化信号として火災判定部26に与えられる。
火災判定部26では、圧力変化検出部25から与えられた圧力変化信号が、気圧変化検出部29から与えられた気圧変化信号で補正されて温度変化信号が抽出される。そして、温度変化信号が一定の上昇率(例えば、10℃/分)を越えているか否かが判定される。温度変化信号が一定の上昇率を越えている場合は有効変化と判定され、越えていない場合は無効変化と判定される。
火災の発生がなく、また台風の接近もない平常時には、室温及び気圧の変化は緩慢であり、圧力変化信号及び気圧変化信号は微小である。このため、火災判定部26で抽出された温度変化信号は微小で、無効変化と判定されるため発報信号OUTは出力されない。
【0015】
(2) 火災発生時の動作
火災発生により、差動式熱感知器が設置された部屋の温度が急激に上昇すると、空気室11内に密閉された空気の圧力もそれに対応して上昇し、通気管21aを介して圧力センサ21に伝えられる。これにより、圧力変化検出部25から出力される圧力変化信号は、火災による温度上昇に対応した値となって火災判定部26に与えられる。
一方、部屋の気圧は火災発生にかかわらず、ほぼ一定の値に保たれるので、気圧変化検出部29から出力される気圧変化信号は微小である。このため、火災判定部26で抽出される温度変化信号は、火災による温度上昇に対応した値となり、この温度変化信号が一定の上昇率を越えて有効変化と判定される。
更に火災判定部26において、温度変化信号が3回連続して有効変化であるか否かが監視される。そして、有効変化が3回連続した時点で、火災判定部26で火災発生と判定され、出力部30を介して発報信号OUTが出力される。
【0016】
(3) 台風接近時の動作
台風の接近により、差動式熱感知器が設置された部屋の気圧が急激に低下すると、空気室11内に密閉された空気の圧力は相対的に上昇し、通気管21aを介して圧力センサ21に伝えられる。これにより、圧力変化検出部25から出力される圧力変化信号は、気圧の低下に逆比例した値となって火災判定部26に与えられる。一方、気圧センサ22で台風の接近による急激な気圧の低下が検出され、これに対応した気圧変化信号が気圧変化検出部29から火災判定部26に与えられる。
火災判定部26において、圧力変化検出部25から与えられた圧力変化信号と気圧変化検出部29から与えられた気圧変化信号とが加算される。この場合、気圧変化信号は負の値となり、圧力変化信号は正の値となって、これらの絶対値はほぼ等しい。従って、火災判定部26で生成される温度変化信号はほぼ0となり、この温度変化信号は無効変化と判定され、発報信号OUTは出力されない。
【0017】
(4) 火災発生と台風接近が重なった時の動作
台風の接近により、差動式熱感知器が設置された部屋の気圧が急激に低下する。これと同時に火災が発生すると、空気室11内に密閉された空気の圧力は、気圧の低下に対応して相対的に上昇すると共に、室内の温度上昇に伴って更に上昇する。空気室11の圧力は、通気管21aを介して圧力センサ21に伝えられる。これにより、圧力変化検出部25から出力される圧力変化信号は、台風による気圧の低下と火災による温度上昇とが加算された値となって火災判定部26に与えられる。一方、気圧センサ22で台風による気圧の低下が検出され、これに対応した気圧変化信号が気圧変化検出部29から火災判定部26に与えられる。
火災判定部26において、圧力変化検出部25から与えられた圧力変化信号と気圧変化検出部29から与えられた気圧変化信号とが加算される。この場合、気圧変化信号は負の値であり、圧力変化信号は台風による気圧低下分と火災による温度上昇分が加算された正の値となっている。圧力変化信号中の気圧低下分と気圧変化信号の絶対値はほぼ等しいので、火災判定部26で生成される温度変化信号は、火災による温度上昇分にほぼ等しくなる。従って、温度変化信号が一定の上昇率を越えて有効変化と判定される。
更に火災判定部26において、温度変化信号が3回連続して有効変化であるか否かが監視される。そして、有効変化が3回連続した時点で、火災判定部26で火災発生と判定され、出力部30を介して発報信号OUTが出力される。
【0018】
以上のように、この第1の実施形態の差動式熱感知器は、密閉された空気室11内の圧力を検出する圧力センサ21と、気圧を検出する気圧センサ22を有している。また、圧力センサ21から得られる空気室11の圧力の変化を、気圧センサ22から得られる気圧の変化で補正して温度変化信号を抽出し、その温度変化信号に基づいて火災を判定する火災判定部26を有している。これにより、台風の接近等による気圧変化の影響を排除し、火災による温度上昇のみを検出して確実に火災発生を判定することができるという利点がある。
更に、火災判定部26では、信号処理により温度変化に基づいて火災発生の判定を行うようにしているので、空気室11にリーク孔を設ける必要がないという利点がある。
【0019】
第2の実施形態
図2は、本発明の第2の実施形態を示す分布型の差動式熱感知器の構成図である。
この差動式熱感知器は、比較的広い部屋等の火災を検出するもので、警戒区域の部屋の天井等に沿って敷設された総延長20m〜100mの管状の感熱容器(例えば、空気管)40を有している。空気管40は内径1.4mm、外径2mm程度の銅管であり、その一端が圧力検出部(例えば、圧力センサ)50に接続され、他端は密閉されている。圧力センサ50は、感圧膜50aで仕切られた2つの空気室50b,50cを有する構造で、この空気室50bに空気管40の一端が接続されている。空気室50cには、空気管40の内部の容積とほぼ等しい容積を有する感圧容器(例えば、気圧監視室)51が接続されている。
感圧膜50aは、例えば単結晶シリコン基板上に4個のストレイン・ゲージ抵抗を形成し、この単結晶シリコン基板に圧力が加えられたときに、抵抗値が増加する抵抗同士と減少する抵抗同士を、それぞれ対向する辺となるようにブリッジ接続したものである。そして、ブリッジ回路の入力側に一定の電圧を印加することにより、加えられた圧力に対応する電圧(圧力信号)が、このブリッジ回路の出力側から出力されるようになっている。圧力センサ50の出力側は、増幅器52を介してADC53に接続され、このADC53の出力側が温度変化検出部54に接続されている。
【0020】
温度変化検出部54は、例えばマイクロプロセッサ等で構成され、ADC53から出力されるディジタル値を所定の周期(例えば、5秒)で読み取って温度データに変換すると共に、前回読み取った温度データとの差を温度変化信号として出力するものである。温度変化検出部54の出力側には、火災判定部55が接続されている。
火災判定部55は、例えば温度変化検出部54と同一のマイクロプロセッサ等で構成され、この温度変化検出部54から与えられた温度変化信号に基づいて火災の発生を判定するものである。即ち、火災判定部55は、温度変化信号が一定時間継続(例えば、3回連続)して一定値(例えば、10℃/分)を越えた時に、火災が発生したと判定するものである。火災判定部55の出力側には、接点56aを有する出力部56が接続されており、この火災判定部55から火災の発生を示す信号が与えられたときに、この接点56aを閉じて発報信号OUTを出力するようになっている。
【0021】
次に動作を説明する。
この差動式熱感知器では、圧力センサ50の空気室50b,50cに、それぞれ密閉された空気管40及び気圧監視室51が接続され、これらの空気管40及び気圧監視室51の外側には大気の圧力が均一に加えられている。
空気管40が設置された部屋に火災が発生すると、火災による温度上昇でこの空気管40内の空気が膨脹し、圧力センサ50の空気室50bの圧力が上昇する。一方、気圧監視室51は感知器本体内に設けられているので、その温度上昇率は空気管の温度上昇率とは異なる。これにより、空気室50b,50cの圧力の平衡が崩れ、圧力センサ50から出力される電圧が変化する。圧力センサ50から出力された電圧は、増幅器52で所定のレベルに増幅されてADC53に与えられる。
【0022】
増幅器52から出力された電圧は、ADC53によってディジタル信号に変換され、温度変化検出部54に伝えられる。温度変化検出部54では、ADC53から出力されるディジタル値が5秒周期で読み取られ、温度データに変換される。更に、温度変化検出部54で前回読み取られた温度データからの変化量が算出され、温度変化信号として火災判定部55に出力される。
火災判定部55において、温度変化信号の上昇率が10℃以上/分を越えていれば有効変化と判定される。更に火災判定部55において、温度変化信号が3回連続して有効変化であるか否かが監視され、3回有効変化が継続した時点で、火災発生と判定されて出力部56を介して発報信号OUTが出力される。
【0023】
一方、例えば台風の接近によって差動式熱感知器が設置された部屋の気圧が急激に低下した場合、空気管40及び気圧監視室51の外側に加えられる圧力は低下する。しかし、気圧の変化による空気管40及び気圧監視室51内部の容積の変化は僅少である。また、空気管40と気圧監視室51の容積はほぼ同一であるので、空気室50b,50cの圧力には変化が生じない。従って、圧力センサ50の出力電圧は変化せず、温度変化検出部54から出力される温度変化信号もほぼ0となり、火災判定部55で無効変化と判定され、発報信号OUTは出力されない。
以上のように、この第2の実施形態の差動式熱感知器は、圧力センサ50によって空気管40内の空気圧と気圧監視室51内の圧力差を検出することによって、気圧の影響を排除している。これにより、台風の接近等による気圧変化の影響を受けず、火災等による温度上昇のみを検出して確実に火災発生を判定することができるという利点がある。更に、火災判定部55では、信号処理により空気管40と気圧監視室51の圧力差の変化に基づいて火災発生の判定を行うようにしているので、この空気管40にリーク孔を設ける必要がない。
【0024】
第3の実施形態
図3は、本発明の第3の実施形態を示す分布型の差動式熱感知器の構成図である。
この差動式熱感知器は、警戒区域の部屋の天井等に沿って敷設された総延長20m〜100mの管状の感熱容器(例えば、空気管)60と、熱感知ユニット70とで構成され、この空気管60の両端が、熱感知ユニット70のコック部71に接続されている。
コック部71は、試験調整時に空気の通路を切り替えるもので、リーク孔72や空気室73等が接続されている。リーク孔72は、気温の変化や冷暖房等のように、室温の変化が緩慢な場合に少量の空気を出入りさせて、空気管60内の圧力を大気圧に一致させるものである。空気室73は、通常の熱感知動作時に、コック部71を介して空気管60内の圧力が与えられるものである。
空気室73に対向して第2の空気室(例えば、気圧監視室)74が設けられ、これらの空気室73と気圧監視室74の間が仕切板(例えば、ダイヤフラム)75で仕切られている。気圧監視室74の容積は、空気管60及び空気室73の内部の容積とほぼ同一に設定されている。ダイヤフラム75は、ひだの付いた弾力性のある薄い金属板で形成され、空気室73と気圧監視室74の内部の圧力差によって位置が変化するものであり、このダイヤフラム75の中央部には、その変位によって火災の発生を判定するための火災判定部(例えば、接点)76a,76bが設けられている。そして、火災発生時には、ダイヤフラム75に連動して接点76a,76bが閉じて、発報信号OUTを出力するようになっている。
【0025】
次に動作を説明する。
この差動式熱感知器では、空気管60内の空気圧はコック部71を介して空気室73に与えられる。また、気圧監視室74内には空気管60及び空気室73の容量にほぼ等しい量の空気が密閉されている。従って、平常時には空気室73と気圧監視室74の内部の圧力が平衡し、接点76a,76bは開いて発報信号OUTは出力されない。
ここで、空気管60が敷設された部屋に火災が発生すると、火災による温度上昇でこの空気管60内の空気が膨脹する。空気管60内の空気の膨脹は急激であるので、リーク孔72からの空気の漏れを上回り、空気室73の圧力が上昇する。一方、気圧監視室74は感知器本体の熱感知ユニット70内に設けられているので、その温度上昇率は空気管60の温度上昇率とは異なる。これにより、空気室73と気圧監視室74の圧力の平衡が崩れ、ダイヤフラム75が変位し、接点76a,76bが閉じて発報信号OUTが出力される。
【0026】
例えば、台風の接近によって気圧が急激に減少した場合、リーク孔72からの空気の漏れは極めて緩慢なため、空気管60内の空気の量はほとんど変化しない。また、気圧監視室74は密閉されているので、この気圧監視室74内の空気の量も不変である。従って、空気室73と気圧監視室74の圧力は平衡し、ダイヤフラム75は変位せず、発報信号OUTは出力されない。
以上のように、この第3の実施形態の差動式熱感知器は、ダイヤフラム75によって空気管60内の空気圧と密閉された気圧監視室74内の空気圧の差を検出するように構成している。これにより、気圧変化の影響を受けず、火災による温度上昇のみを検出して確実に火災発生を判定することができるという利点がある。更に、この差動式熱感知器は機械的な部品のみで構成しているので、その動作のための電源が不要であるという利点がある。
【0027】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば、次の(a)〜(e)のようなものがある。
(a) 差動式熱感知器の構造は、図1〜図3に例示したものに限定されず、同様の機能を有するものであれば、どのような構造でも同様に適用可能である。
例えば、第1の実施形態にあっては、図1の空気室11を用いたスポット型の差動式熱感知器に代えて、密閉した空気管を用いた分布型の差動式熱感知器にも同様に適用可能である。図4は、図1の空気室に代えて管状の感熱容器である空気管を用いた差動式熱感知器の構成図である。図4に示すように、この差動式熱感知器では、警戒区域に敷設された空気管の一端が、筐体内に設けられた信号処理基板上の圧力センサの通気管に接続され、空気管内の空気圧が圧力センサの感圧部に直接導かれるようになっている。尚、空気室に代えて空気感を適用した以外の構成及び動作は、図1の第1の実施形態と同様であり、同様の利点を有する。
(b) 信号処理回路20の構成は、図1(b)に例示したものに限定されず、同様の機能を有するものであれば、どのような構成でも同様に適用可能である。
【0028】
(c) 図1の差動式熱感知器では、火災判定部26で圧力変化信号と気圧変化信号を加算して温度変化成分を抽出している。これに代えて、例えば圧力センサ21から出力された圧力信号を、気圧センサ22から出力された気圧信号に直接加算する等の補正を施すことによって、この圧力信号中の気圧成分を抑制して温度成分を抽出するようにしても良い。その場合、図1(b)中のADC28、気圧変化検出部29等は不要となる。
(d) 図1の差動式熱感知器では、圧力変化信号と気圧変化信号とを加算することで温度変化信号を生成するようにしているが、気圧変化信号を反転することで負の値とし、圧力変化信号と気圧変化信号を減算処理することで温度変化信号を生成したり、気圧変化信号のレベルに対応して圧力変化信号のレベルを補正処理することで温度変化信号を生成することもできる。
(e) 図3の差動式熱感知器のリーク孔72は削除しても良い。これにより、構成を簡素化することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明によれば、周囲の気圧を検出する気圧検出手段と、感熱容器内の圧力に対応する圧力信号から気圧成分を抑制して温度変化信号を抽出する火災判定手段を備えている。これにより、気圧変化の影響を排除して温度変化のみを検出することが可能になり、台風の接近等による誤発報を防止することができるという効果がある。また、火災判定手段を、圧力信号の変化を検出する圧力変化検出部と、気圧信号の変化を検出する気圧変化検出部と、圧力変化信号と気圧変化信号から温度変化成分を抽出して火災の判定を行う火災判定部とで構成しているので、確実に気圧変化の影響を排除することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すスポット型の差動式熱感知器の構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す分布型の差動式熱感知器の構成図である。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す分布型の差動式熱感知器の構成図である。
【図4】図1の空気室に代えて空気管を用いた差動式熱感知器の構成図である。
【図5】従来の差動式熱感知器の構成図である。
【符号の説明】
11,50b,50c,73 空気室
12 感熱板
21,50 圧力センサ
22 気圧センサ
25 圧力変化検出部
26,55 火災判定部
29 気圧変化検出部
40,60 空気管
50a 感圧膜
51,74 気圧監視室
54 温度変化検出部
75 ダイヤフラム
76a,76b 接点

Claims (1)

  1. 一定容量の内部空間を有し周囲の温度及び気圧の変化に応じて内部に充満した気体の圧力が変化する密閉された感熱容器と、
    前記感熱容器の一部に設けられ該感熱容器内の気体の圧力に対応した圧力信号を出力する圧力検出手段と、
    前記周囲の気圧を検出して該気圧に対応した気圧信号を出力する気圧検出手段と、
    前記圧力信号を前記気圧信号で補正することによって該圧力信号中の気圧成分を抑制して温度変化信号を抽出し、該温度変化信号の上昇率が一定時間継続して一定値を越えたときに火災が発生したと判定する火災判定手段とを備え、
    前記火災判定手段は、
    前記圧力信号を所定の周期で読み取り前記感圧容器内の気体の圧力変化を検出して圧力変化信号を出力する圧力変化検出部と、
    前記気圧信号を一定の周期で読み取り前記気圧の変化を検出して気圧変化信号を出力する気圧変化検出部と、
    前記圧力変化信号を前記気圧変化信号で補正して該圧力変化信号中の温度変化成分を抽出し、該温度変化成分に基づいて前記周囲の温度の上昇率を監視して該上昇率が一定時間継続して一定値を越えたときに火災が発生したと判定する火災判定部とを有すること、
    を特徴とする差動式熱感知器。
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