JPH1049773A - 熱感知器 - Google Patents

熱感知器

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JPH1049773A
JPH1049773A JP20162596A JP20162596A JPH1049773A JP H1049773 A JPH1049773 A JP H1049773A JP 20162596 A JP20162596 A JP 20162596A JP 20162596 A JP20162596 A JP 20162596A JP H1049773 A JPH1049773 A JP H1049773A
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JP
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temperature
fire
time constant
ambient temperature
thermistor
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Withdrawn
Application number
JP20162596A
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English (en)
Inventor
Masafumi Fukuda
雅史 福田
Shigeki Shimomura
茂樹 下村
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定温度を、温度検知素子の熱応答性を考慮
して補正し、火災検知の遅れ時間を低減することを目的
の一つとする。 【解決手段】 温度検知素子Sにより周囲温度を測定
し、この測定値Tsに基づいて火災の発生を検知する熱
感知器であって、温度検知素子Sの測定値Tsの変化率
dTs/dtを求め、この変化率dTs/dtにより温
度検知素子Sの測定値Tsを補正して、補正温度Trを
算出する補正回路14と、求められた補正温度Trを所
定の火災判断レベルTdと比較して、火災の発生を判断
する火災判断回路12とを備えて構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱感知器に係り、
更に詳しくは、サーミスタの測定値を補正して火災の発
生を検知する熱感知器に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は、従来の熱感知器の一構成例を示
したブロック図である。この熱感知器は、周囲温度を測
定するためのサーミスタSと、この測定値に基づいて火
災信号を出力するマイコン1と、発報手段としてブサー
回路2とにより構成される。上記マイコン1は、サーミ
スタのアナログ出力値をデジタル値に変換するA/D変
換手段10と、このデジタル値に対して所定の演算処理
を行う演算処理手段11と、この演算結果に基づいて、
火災発生の有無を判断する火災判断手段12とにより構
成される。
【0003】サーミスタSは、温度変化に伴って抵抗値
が変化する特性を有している。このため、所定の電圧を
印加し、その時の電流値を検出すれば、温度を測定する
ことができる。即ち、演算処理手段11が、A/D変換
手段10によりデジタル変換された電流値を温度に変換
して火災判断手段12へ出力する。火災判断手段12
は、火災判断レベルTdとして予め定められた温度と、
サーミスタSの測定値に基づく温度(測定温度Ts)と
を比較する。この結果、サーミスタの測定温度Tsが、
火災判断レベルTd以上になっていれば、火災が発生し
たと判断して火災信号を出力し、ブサー回路2が警報音
を発する。図10の1001〜1005はこの様子を示
したフローチャートである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した通り、この種
の熱感知器は、周囲温度(室温)の上昇にともなうサー
ミスタの温度上昇を測定し、測定された温度が所定の火
災判断レベル以上になると、火災発生を報知するもので
ある。しかしながら、サーミスタの温度Tsは、周囲温
度Tよりも遅れて変化するため、周囲温度Tの変化中
や、周囲温度Tの変化直後においては、サーミスタによ
る測定温度Tsが周囲温度Tに必ずしも一致しない。こ
の様なサーミスタの温度Tsの応答の遅れは、熱感知器
による火災検知の遅れ時間になる。従って、火災発生を
早期に発見するには、サーミスタの温度Tsの周囲温度
Tに対する追従性、即ち、サーミスタの熱応答性を向上
させることが重要となる。
【0005】一方、サーミスタの熱応答性は、サーミス
タの形状や配置に依存する。このため、例えば、室内空
気に直接触れるサーミスタの突出部がより多くなるよう
に、サーミスタを熱感知器に取り付けることによって、
熱応答性を向上させることができる。しかしながら、こ
の様な構成によれば、熱感知器を薄型にすることが困難
となる。特に、煙感知器と熱感知器を複合した煙熱複合
感知器の場合には、ヘッド部に煙感知用の光学室と熱感
知用のサーミスタとが設けられるため、ヘッド部の薄型
化がより困難となる。
【0006】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、測定温度を、温度検知素子の熱応答性を考慮して
補正し、火災検知の遅れ時間を低減することを第一の目
的とする。また、熱感知器や煙熱複合感知器の形状を薄
型化することを第二の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した本発
明による熱感知器は、温度検知素子により周囲温度を測
定し、この測定値に基づいて火災の発生を検知する熱感
知器であって、温度検知素子の測定値の変化率を求め、
この変化率により温度検知素子の測定値を補正して、周
囲温度を算出する補正回路と、求められた周囲温度を所
定の火災判断レベルと比較して、火災の発生を判断する
火災判断回路とを備えて構成される。
【0008】温度検知素子とは、周囲温度を測定し、電
気信号として出力する温度検知のための手段を意味す
る。サーミスタは温度検知手段の一例であって、本発明
はこれに限定されるものではない。測定値の変化率と
は、測定値の変化量を示した数値であり、連続してサン
プリングされ、或は、所定の間隔でサンプリングされた
2つの測定値の差分として演算により求めることができ
る。また、測定値には、温度検出素子により測定された
値そのものだけでなく、この測定値をもとに演算、変換
を行って得られる値をも含む。
【0009】請求項2に記載した本発明による熱感知器
は、請求項1に記載の熱感知器であって、温度検知素子
の周囲温度に対する応答特性の時定数が予め与えられ、
上記補正回路が、温度検知素子の測定値の変化率及び上
記時定数により、温度検知素子の測定値を補正して、周
囲温度を算出する回路として構成される。時定数とは、
温度検知素子の周囲温度に対する応答特性を示す定数で
あり、その導出方法は任意である。即ち、温度検知素子
の応答特性モデルから算出することができ、実験により
求めることもできる。
【0010】請求項3に記載した本発明による熱感知器
は、請求項2に記載の熱感知器であって、温度検知素子
の周囲温度に対する応答特性の時定数として、値の異な
る第一の時定数と、第二の時定数とが予め与えられ、上
記補正回路が、温度検知素子の測定値の変化率が減少し
ている場合には、第一の時定数により、温度検知素子の
測定値を補正する一方、温度検知素子の測定値の変化率
が増加している場合には、第二の時定数により、温度検
知素子の測定値を補正する手段として構成とされる。
【0011】第一の時定数と、第二の時定数は、それぞ
れ、異なる条件下における温度検知素子の応答特性を示
す定数であり、第一の時定数が、温度検知素子の測定値
の変化率が減少する条件下における時定数であり、第二
の時定数が、温度検知素子の測定値の変化率が増加する
条件下における時定数である。請求項4に記載した本発
明による熱感知器は、請求項3に記載の熱感知器であっ
て、上記第一の時定数は、周囲温度が階段状に変化した
後における、温度検知素子の応答特性の時定数として与
えられ、上記第二の時定数は、周囲温度が直線的に変化
している場合における、温度検知素子の応答特性の時定
数として与えられる。
【0012】段階状の変化及び直線状の変化とは、とも
に周囲温度のモデル化された変化である。周囲温度の段
階状の変化とは、周囲温度が急激に変化して、所定の温
度へ至る場合の温度変化を意味し、周囲温度の直線状の
変化とは、周囲温度が所定の変化率により、徐々に増大
していく変化を意味している。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、請求項1及び2に記載し
た本発明による熱感知器の一構成例を示した図である。
この熱感知器は、温度検知素子としてのサーミスタS
と、サーミスタSの出力に基づいて火災発生の有無を判
断するマイコン1と、発報手段としてブサー回路2とに
より構成される。
【0014】上記マイコン1は、サーミスタのアナログ
出力をデジタル変換するA/D変換手段10と、変換さ
れたデジタル値に対して所定の演算処理を行う演算処理
手段11と、この演算結果を記憶保持する記憶手段13
と、サーミスタの熱応答性に関する所定の補正演算を行
う補正手段14と、火災発生の有無を判断する火災判断
手段12とにより構成される。
【0015】演算処理手段11は、A/D変換手段10
によりデジタル変換されたサーミスタSの出力値を温度
に変換する。この変換演算は、予め与えられているサー
ミスタSの温度−抵抗値特性に基づいて行われ、求めら
れた測定温度Tsは、補正手段14へ出力されるととも
に、記憶手段13に格納される。また、演算処理手段1
1は、記憶手段13から過去の測定温度Tsを取り出
し、測定温度Tsの変化率dTs/dtを求める。この
測定温度の変化率dTs/dtは、連続してサンプリン
グされ、或は、所定の間隔をおいてサンプリングされた
2つの測定温度Tsの差として求めることができる。
【0016】補正手段14は、サーミスタSの周囲温度
に対する応答特性の時定数τが予め与えられ、演算処理
手段11により求められた測定温度の変化率dTs/d
tと、時定数τとによって測定温度Tsを補正し、補正
温度Trを求める。この補正演算は、サーミスタSの熱
応答性を考慮して、測定温度Tsから真の周囲温度(室
温)を求める演算であり、詳細は後述する。
【0017】火災判断手段12は、補正手段14により
求められた補正温度Trを、予め与えられた火災判断レ
ベルTdと比較する。この結果、補正温度Trが、火災
判断レベルTd以上になっていれば、火災が発生したと
判断して火災信号を出力し、ブサー回路2が警報音を発
する。図2の201〜206は、この熱感知器の基本動
作の一例を示したフローチャートである。サーミスタS
の出力がマイコン1に取り込まれ(201)、A/D変
換手段10によりデジタル変換され(202)、演算処
理手段11により温度へ変換されるとともに、その変化
量が求められる(203)。そして、補正手段14が測
定温度の補正を行い(204)、補正温度Trが火災判
断レベルTd未満であれば(205)、再びサーミスタ
Sの出力を取り込む一方、補正温度Trが火災判断レベ
ルTd以上であれば、火災警報を発する(206)。
【0018】ここで、サーミスタの温度Tsが、周囲温
度Tの変化に対し、応答遅れを生ずる特性(熱応答特
性)について検討する。図3は、周囲温度Tとサーミス
タの温度Tsとの関係の一例を示した図である。図中の
(a)は、周囲温度の変化が階段状である場合につい
て、サーミスタの温度変化を示した図であり、(b)
は、周囲温度の変化が直線状である場合について、サー
ミスタの温度変化を示した図である。
【0019】(a)では、周囲温度Tが、通常の温度T
n℃から急激にTa℃だけ上昇し、火災判断レベルTd
℃を越える温度Tm℃へ変化している。この様な場合、
サーミスタSの温度Tsは、指数関数の曲線を描いて、
温度Tmへ漸近していく。従って、周囲温度Tが火災判
断レベルTdを越える時点から、サーミスタSによる測
定温度Tsが火災判断レベルTdを越える時点までの遅
れ時間tD1が生じている。
【0020】(b)では、周囲温度Tが、通常の温度T
n℃から一定の割合Tb℃/秒で上昇しながら、火災判
断レベルTdを越えて変化している。この様な場合、サ
ーミスタSの温度は、周囲温度Tと一定の温度差になっ
た後は、その温度差を維持して、周囲温度Tと同一の割
合Tb℃/秒で上昇していく。従って、周囲温度Tが火
災判断レベルTdを越えてから、サーミスタの温度Ts
が火災判断レベルTdを越えるまでに遅れ時間tD2が
生じている。従来の熱感知器においては、これらの遅れ
時間tD1、tD2が、熱感知器による火災検知の遅れ
時間になっていた。
【0021】これらの各場合において、サーミスタの温
度Tsの変化を火災発生からの時間tの式で表すと、図
3の(a)の場合については、一般に、
【0022】
【数1】
【0023】と表すことができる。ここで、時定数τ
は、サーミスタの形状、構造等により異なる定数であ
る。同様にして、図3の(b)の場合については、一般
に、
【0024】
【数2】
【0025】と表すことができる。次に、式(1)か
ら、サーミスタの測定温度Tsと、周囲温度Tとの関係
を求める。まず、式(1)の両辺を時間tで微分する
と、
【0026】
【数3】
【0027】となる。この式(3)を式(1)へ代入す
ると、
【0028】
【数4】
【0029】となる。ここで、図3の(a)において、
周囲温度Tは、
【0030】
【数5】
【0031】と表すことができるので、式(4)に代入
すれば、
【0032】
【数6】
【0033】となる。同様にして、式(2)から、サー
ミスタの測定温度Tsと、周囲温度Tとの関係を求め
る。まず、式(2)の両辺を時間tで微分すると、
【0034】
【数7】
【0035】となる。この式(7)を式(2)へ代入す
ると、
【0036】
【数8】
【0037】となる。ここで、図3の(b)において、
周囲温度Tは、
【0038】
【数9】
【0039】と表すことができるので、式(8)に代入
すれば、
【0040】
【数10】
【0041】となる。サーミスタの温度Tsが、式
(1)、(2)の様に表される場合には、式(6)、
(10)に示した通り、ともに
【0042】
【数11】
【0043】と表すことができる。即ち、何れの場合で
あっても、真の周囲温度Tは、サーミスタの測定温度T
s、その変化量dTs/dt及び時定数τを用いて演算
により求めることができる。上述した補正手段14は、
上式(11)に従って、演算処理手段11により求めら
れた測定温度の変化量dTs/dtと時定数τとの積
を、測定温度Tsに加えて、真の周囲温度Tを求める。
【0044】図4は、この様にして求められた補正温度
Trを周囲温度T及びサーミスタの測定温度Tsととも
に示した図である。図3と同様、図中の(a)は、周囲
温度の変化が階段状である場合であり、(b)は、周囲
温度の変化が直線状である場合である。この様にして、
周囲温度Tの変化が階段状の場合であっても、直線状の
場合であっても、補正温度Trが火災判断レベルTdを
越える時点は、周囲温度Tが火災判断レベルTdを越え
る時点に近づき、ほぼ一致していることがわかる。従っ
て、時間遅れを生ずることなく、早期に火災発生を報知
することができる。
【0045】次に、請求項3及び4に記載した本発明に
よる熱感知器について以下に説明する。図5の501〜
506及び図6の600〜602は、この熱感知器の基
本動作の一例を示したフローチャートである。ステップ
501〜506に示した概略動作は、図2の場合と同様
であるが、ステップ504(補正演算)が、図2のステ
ップ203(補正演算)の場合とは異なっている。ステ
ップ504では、サーミスタSの測定温度Tsの変化率
dTs/dtの増減を検査する(600)。即ち、先に
サンプリングされた2つの測定温度の差分△Ts1と、
引続きサンプリングされた2つの測定温度の差分△Ts
2とを比較する。この結果、測定温度の変化量が減少し
ている場合(△Ts1>△Ts2)には、第一の時定数
τ0を用いて補正演算を行う一方(601)、減少して
いない場合(△Ts1≦△Ts2)には、第二の時定数
τ1を用いて補正演算を行う(602)。
【0046】これらの補正演算(601、602)によ
って求められた補正温度Trを、火災判断手段14が、
火災判断レベルと比較して火災発生の有無を判断し(5
04)、警報手段2が火災警報を発する(505)。こ
こで、サーミスタSの周辺環境がサーミスタの温度Ts
に与える影響について検討する。上式(1)、(2)
は、ともにサーミスタSが、単体で中空に存在している
場合の様な理想的な状態において、周囲温度Tにより受
ける影響を表したものである。ところが、熱感知器に取
り付けられたサーミスタSであれば、取り付けられた周
辺環境による影響を受ける。例えば、サーミスタSから
プリント基板への放射熱等が存在し、サーミスタの温度
Tsの周囲温度Tに対する応答特性も異なってくる。
この様な周辺環境の影響を考慮して、サーミスタの温度
Tsの変化を時間tの式で表せば、周囲温度Tが階段状
に変化する場合(図3の(a)の場合)については、
【0047】
【数12】
【0048】となる。ここで、αは、周囲温度Tが階段
状に変化した場合に、サーミスタSに対する周辺環境の
影響を示す時定数である。τ0を、
【0049】
【数13】
【0050】で表される、サーミスタ単体の時定数τに
αを考慮した時定数(第一の時定数)とすれば、この時
定数τ0を用いることにより、式(12)は、
【0051】
【数14】
【0052】と表すことができる。同様にして、周囲温
度が直線状に変化する場合(図3の(b)の場合)につ
いては、
【0053】
【数15】
【0054】となる。ここで、βは、周囲温度が階段状
に変化した場合に、サーミスタに対する周辺環境の影響
を示す時定数である。τ1を、
【0055】
【数16】
【0056】で表される、サーミスタ単体の時定数τに
βを考慮した時定数(第二の時定数)とすれば、この時
定数τ1を用いることにより、式(15)は、
【0057】
【数17】
【0058】と表すことができる。次に、サーミスタの
測定温度Tsと、周囲温度Tとの関係を求めると、式
(1)から式(6)を求めたのと同様にして、式(1
4)から
【0059】
【数18】
【0060】と求めることができる。また、式(2)か
ら式(10)を求めたのと同様にして、式(14)から
【0061】
【数19】
【0062】と求めることができる。以上の説明により
理解される通り、周囲温度Tが階段状に変化した場合の
補正演算の式(18)は、周囲温度Tが直線状に変化し
た場合の補正演算の式(19)と異なっている。周辺環
境を考慮しない式(6)、式(10)は、ともに同一の
演算式となるため、同一の補正演算により補正可能であ
ったのに対して、周辺環境をも考慮してより精度良く補
正するには、周囲温度変化が階段状であるのか、直線状
であるのかを区別し、式(18)又は式(19)を使い
分けることが必要となる。
【0063】このような周囲温度の変化の状態は、サー
ミスタの温度の変化率の増減により判別することができ
る。図7はサーミスタの温度の変化率の増減の様子の一
例を示した図である。図3と同様、図中の(a)は、周
囲温度の変化が階段状である場合であり、(b)は、周
囲温度の変化が直線状である場合である。図中の(a)
では、サーミスタの温度曲線が、一定温度Tmへ漸近し
ているため、測定温度の変化率は、時間の経過とともに
減少している。一方、図中の(b)では、サーミスタの
温度曲線が、周囲温度の変化率と一致するまで次第に増
大していることがわかる。
【0064】従って、サーミスタの測定温度の変化率
が、増加しているのか、減少しているのかを調べること
により、周囲温度の変化が段階状であるのか、或は、直
線状であるのかを判別することができ、この判別結果に
基づいて、補正演算に用いられる時定数を、時定数τ0
とすべきか、時定数τ1とすべきかを選択することがで
きる。
【0065】図8は、本発明が適用される煙熱複合感知
器の一例の概略を示した図である。この煙熱複合感知器
は、天井などに取り付けられたベース部Bに、ヘッド部
Hを取り付けて使用される。このヘッド部Hには、煙を
感知するための光学系と、熱感知器のサーミスタSとが
設けられた二段構造となっている。この光学系は、内部
に発光素子及び受光素子を配置したラビリンス構造の煙
検知室Rであり、所定の厚みを必要とする構造となって
いる。一方、熱検知用のサーミスタSは、熱応答特性が
良好となるように、この煙検知室Rのヘッド先端側に設
置されている。
【0066】この様な煙熱複合感知器のヘッド部Hを薄
型化するには、煙感知室Rを薄型化するとともに、サー
ミスタSの突起部を小さくする必要があるが、煙感知室
Rの薄型化には限界がある一方、サーミスタSの突起部
を小さくすれば、サーミスタSの熱応答性が低下する。
しかしながら、本発明によれば、サーミスタSの熱応答
特性を考慮して、測定温度を補正することができるた
め、サーミスタSの突起部を小さくすることができる。
即ち、火災発生の検知を遅らせることなく、煙熱複合感
知器のヘッド部Hを薄型化することができる。
【0067】なお、煙感知器を備えていない熱感知器の
場合にも、本発明により、火災発生の検知を遅らせるこ
となく、感知器ヘッドの薄型化を図ることができるのは
もちろんである。
【0068】
【発明の効果】請求項1に記載した本発明による熱感知
器は、補正回路が、温度検知素子の測定値の変化率を求
め、この変化率により温度検知素子の測定値を補正し
て、周囲温度を算出する。このため、周囲温度が火災判
断レベルに達してから、火災発生を検知するまでの遅れ
時間を減少させることができ、熱検知器の感度を向上さ
せることができる。また、遅れ時間を減少させることが
できるため、サーミスタの形状、配置の自由度が高くな
る。即ち、従来の熱感知器に比べ、遅れ時間を増大させ
ることなく、感知器を薄型化することができる。
【0069】請求項2に記載した本発明による熱感知器
は、補正回路が、温度検知素子の測定値の変化率及び予
め与えられた時定数により、温度検知素子の測定値を補
正して、周囲温度を算出する。即ち、温度検知素子の熱
応答特性に基づいて、温度検知素子の測定値を補正する
ことにより、周囲温度が火災判断レベルに達してから、
火災発生を検知するまでの遅れ時間を減少させることが
でき、熱検知器の感度を向上させることができる。
【0070】請求項3に記載した本発明による熱感知器
は、補正回路が、温度検知素子の測定値の変化率の増減
に基づいて、第一の時定数又は第二の時定数を選択し
て、温度検知素子の測定値を補正する。即ち、温度検知
素子の周辺環境の影響に基づいて、温度検知素子の測定
値を補正することにより、周囲温度が火災判断レベルに
達してから、火災発生を検知するまでの遅れ時間をより
減少させることができ、熱検知器の感度をより向上させ
ることができる。
【0071】請求項4に記載した本発明による熱感知器
は、周囲温度が階段状に変化した場合と、周囲温度が直
線状に変化した場合の時定数が予め与えられているた
め、急激な温度上昇を伴う場合と、徐々に温度が上昇す
る場合のいずれであっても、遅れ時間を減少させて、熱
検知器の感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1及び2に記載した本発明による熱感知
器の一構成例を示したブロック図である。
【図2】図1に示した熱感知器の基本動作の一例を示し
たフローチャートである。
【図3】周囲温度とサーミスタの温度との関係の一例を
示した図である。
【図4】補正温度を周囲温度及びサーミスタの温度とと
もに示した図である。
【図5】請求項3及び4に記載した本発明による熱感知
器の基本動作の一例を示したフローチャートである。
【図6】図5に示したステップ503の一例を示したフ
ローチャートである。
【図7】サーミスタの温度の変化率の増減の様子の一例
を示した図である。
【図8】本発明が適用される煙熱複合感知器の一例の概
略を示した図である。
【図9】従来の熱感知器の一構成例を示したブロック図
である。
【図10】図9に示した熱感知器の基本動作の一例を示
したフローチャートである。
【符号の説明】
S ・・・温度検知素子 T、Tn、Tm・・・周囲温度 Ts・・・温度検知素子の測定値 dTs/dt、△Ts1、△Ts2・・・温度検知素子
の測定値の変化率 Td・・・火災判断レベル 12・・・火災判断回路 14・・・補正回路 τ ・・・時定数 τ0・・・第一の時定数 τ1・・・第二のの時定数

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】温度検知素子により周囲温度を測定し、こ
    の測定値に基づいて火災の発生を検知する熱感知器にお
    いて、 温度検知素子の測定値の変化率を求め、この変化率によ
    り温度検知素子の測定値を補正して、周囲温度を算出す
    る補正回路と、 求められた周囲温度を所定の火災判断レベルと比較し
    て、火災の発生を判断する火災判断回路とを備えたこと
    を特徴とする熱感知器。
  2. 【請求項2】温度検知素子の周囲温度に対する応答特性
    の時定数が予め与えられ、 上記補正回路が、温度検知素子の測定値の変化率及び上
    記時定数により、温度検知素子の測定値を補正して、周
    囲温度を算出する回路として構成されることを特徴とす
    る請求項1に記載した熱感知器。
  3. 【請求項3】温度検知素子の周囲温度に対する応答特性
    の時定数として、値の異なる第一の時定数と、第二の時
    定数とが予め与えられ、 上記補正回路が、温度検知素子の測定値の変化率が減少
    している場合には、第一の時定数により、温度検知素子
    の測定値を補正する一方、 温度検知素子の測定値の変化率が増加している場合に
    は、第二の時定数により、温度検知素子の測定値を補正
    することを特徴とする請求項2に記載した熱感知器。
  4. 【請求項4】上記第一の時定数は、周囲温度が階段状に
    変化した後における、温度検知素子の応答特性の時定数
    であり、 上記第二の時定数は、周囲温度が直線状に変化している
    場合における、温度検知素子の応答特性の時定数である
    ことを特徴とする請求項3に記載した熱感知器。
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