JP3845169B2 - セグメント組立用装置およびセグメントの組立方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セグメント組立用装置およびセグメントの組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シールドトンネルにおいて、シールドセグメントの組立時に、リング状に組み立てた既設シールドセグメント群の真円度を向上させるため、シールドセグメントが一リング組み上がった段階で、トンネルの天端と下端との間に配置する、真円保持装置が広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記した真円保持装置は、シールドセグメントが組み上がった段階でのみ、保持機構を利用できるため、以下のような欠点がある。
<イ> ボルトレスセグメントに用いる場合、一リングが組み上がる前に、真円度が確保できなくなる可能性が大きいため、極端な場合、リング継手部を所定の位置に合わせることができなくなり、組立不能となる。
また、リング状に組立てたセグメントを固定するキーセグメント挿入時のクリアランスが不足し、挿入不可能となり、結果として組立不能となる。
<ロ> リング継手部材の位置合わせに時間を要する。
<ハ> 既に組み上がったセグメントピースの落下の危険に対する安全機構が備わっていないため、作業員の安全性に問題がある。
<ニ> ボルトレスセグメントでは、組立時の真円度および安全性の確保のために、組立用のボルトを必要としている。
<ホ> キーセグメント挿入時には、隣接ピースである通常セグメントを押し拡げるために、押上げ用のジャッキが必要である。
<ヘ> ボルトレスセグメントにおいて、組立ボルトが必要となるため、任意の位置から組み立てることができない。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、新設シールドセグメントによるリングの組み立てと並行して、リング状に組み立てた既設シールドセグメント群の真円度を充分保持することが可能である、セグメント組立用装置およびセグメントの組立方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シールドセグメントの組立時に既設セグメントの真円度を確保しながら、新設セグメントを組立てるセグメント組立用装置において、リング状に組立てたセグメント群を支承する支承部材と、前記支承部材を支持する柱部材とより構成する既設セグメントリングの支持機構と、前記支持機構の柱部材にシールドの軸心を中心に旋回自在となるように配置する環状部材とを設け、前記環状部材の切羽側に複数の支持腕を設けた構成とし、前記支持機構でもって既設セグメントリングの真円を保持すると共に、前記支持腕でもって組立中の新設セグメントを支持できるよう構成したことを特徴とする、セグメント組立用装置である。また本発明は、前述したセグメント組立用装置において、支持腕は、基端を環状部材に取り付けた伸縮自在の腕部と、その先端に設けた新設セグメントを支持するための支持板とより構成することを特徴とする、セグメント組立用装置である。また本発明は、前述したセグメント組立用装置において、支持腕はセグメントを円周方向の一つおきに支持できる間隔で配置したことを特徴とする、セグメント組立用装置である。本発明は、上述したいずれかのセグメント組立用装置を用いたシールドセグメントの組立方法において、支持機構でもって既設セグメントリングの真円を保持すると共に、支持腕でもって組立中の新設セグメントを支持できるよう構成したことを特徴とする、セグメントの組立方法である。
【0006】
【発明の実施の形態1】
以下図面を参照しながら、本発明のセグメント組立用装置について説明する。
【0007】
<イ>全体の構成
図1に示すようにセグメント組立用装置1は、セグメント支持機構2と、環状部材3と、前記環状部材3に所定の間隔をおいて配置する複数の支持腕4とより構成する。
【0008】
<ロ>セグメント支持機構
図2に示すようにセグメント支持機構2は、リング状に組立てた既設セグメント5を支持するための装置であり、例えば従来のセグメント組立用装置などである。
セグメント支持機構2は、支承部材21と、柱部材22とより構成する。
支承部材21は、リング状に組み立てた既設セグメント5の天端および下端に配置する部材であり、既設セグメント5と同様の円弧状を呈する部材である。
柱部材22は、前記支承部材21を支持するための部材であり、ジャッキなどの伸縮装置221が装着してあり、これにより支承部材21の既設セグメント5への支持力を調整し、縮小し、後述する回転機構23と公知の移動装置6とを用いてシールドトンネル内でセグメント組立用装置1を移動させることもできる。
またセグメント支持機構2は、その軸心でもってトンネル軸に沿って回転自在となるように柱部材22を介してローラなどからなる公知の回転機構23を装備している。
この回転機構23は、新設セグメント7の取付位置に支持腕4を正確に位置させる際の位置調整などにも用いる
なおセグメント支持機構2は、前述した回転機構23と公知の移動装置6とを連結することにより支持されている。
【0009】
<ハ>環状部材
環状部材3は、新設セグメント7を支持するための支持腕4の支承部材である。
環状部材3は、既設セグメント5の内周より小さな外周を呈する部材であり、前述したセグメント支持機構2の柱部材22に旋回自在となるように装着されている。
環状部材3の柱部材21への装着手段としては、例えば全周旋回可能なローラ31を環状部材3と柱部材21との間に配置するなど公知手段を採用できる。
【0010】
<ニ>支持腕
図1および図2に示すように支持腕4は、前述した環状部材3に所定の間隔をおいて取付ける新設セグメント7の支持部材である。
支持腕4は、腕部41と、支持板42とより構成する。
伸縮自在の腕部41は、環状部材3に回動自在に取付けてあり、例えばジャッキなど公知の伸縮装置(図示せず)により、新設セグメント7の組付け位置まで伸縮自在とする。
支持板42は、前記腕部41の先端に新設セグメント7との接面角度を自由に変更できるように取付けた部材であり、新設セグメント7にその支持面421を全面接触させて確実に支持する。
即ち支持腕4は、シールドマシン8に併設された公知のエレクタ81でもって新設セグメント7をリング状に組立てた既設セグメント5に組付ける際に、腕部41を新設セグメント7に延ばし、支持板42でもって押さえ付けて支持することができる。
なお本実施の形態において支持腕4は、環状部材3に三本を等間隔に取付けた一例について説明したが、これに限らずリング状に組立てるセグメントの寸法などにより、本数および間隔を適宜変更することが考えられる。
【0011】
<ホ>移動装置
図1および図2に示すように移動装置6は、セグメント組立用装置1をトンネル軸方向に沿って移動させるための装置である。
移動装置6としては、図2に示すような棒状体をセグメント支持機構2の回転機構23に挿通して連結し、公知の駆動装置(図示せず)によりセグメント支持機構2を進退自在とすることが考えられる。
また、セグメント支持機構2および支持腕4によりリング状に組立てた既設セグメント5群を支持した状態で移動装置6自体を尺取り状に前進させることで、移動装置6は無限軌道と同等の機能を有する。
【0012】
【組立方法】
以下、新設セグメントの組立方法について説明する。
【0013】
<イ>セグメント組立用装置の配置
図1に示すように新設セグメント7の取り付けに際してセグメント組立用装置1は、リング状に組立てた既設セグメント5の最前部のリングに、セグメント支持機構2を設置して支持する。
即ち、セグメント支持機構2の柱部材22の伸縮装置221を伸長させて、柱部材22の両端部に設けた支承部材21,21をリングの天端および下端に接触させて支持する。
【0014】
<ロ>新設セグメントの組付けおよび支持工程
シールドマシン8に併設された公知のエレクタ81により、新設セグメント7の組付けを行う。
新設セグメント7は、シールドトンネルの切羽方向より一ピース目を所定の位置に組み付ける。
この際、本発明のセグメント組立用装置1を用いた新設セグメント7の組み付けは、従来とは異なり初期配置位置は決まっていないからどの位置から始めることも可能である。
エレクタ81により所定の位置に新設セグメント7を配置した後に、セグメント組立用装置1の環状部材3に設けた支持腕4でもって新設セグメント7の内面を押さえて支持する。
詳しくは、図2に示すように組付けた新設セグメント7の中心位置に、環状部材3に設けた支持腕4のうち一本が位置するように、環状部材3を旋回させて位置決めする。
その後、支持腕4の腕部41の伸縮装置を伸ばして、支持板42を新設セグメント7の内面に接触させて支持する。
上記したように、一ピース目以降の新設セグメント7の組付けは、先ず支持腕4のある位置から組付けを行い、その後図3に示すように組付けたセグメント7の間に別の新設セグメント7を組付けてリング状を完成させる。
【0015】
<ハ>セグメント組立用装置の移動
新設セグメント7をリング状に組立てた後、既設セグメント5を支持していたセグメント支持機構2の柱部材22の伸縮装置221を縮小して取り外し、リング状に組み立てた新設セグメント7群の真円を保持する位置までセグメント組立用装置1を公知である移動装置6を用いて移動させる。
そして、リング状に組立てた新設セグメント7群を支持すると共に、次のリングの組立て作業に移る。
上記した<ロ>の工程を繰り返すことにより、セグメントをリング状に組立てて、シールドトンネルを構築する。
【0016】
【発明の効果】
本発明は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ> ボルトレスセグメントに用いる場合でも、一リングが組み上がる前に、真円度が確保できる。
これにより、キーセグメント挿入時のクリアランスを充分確保できるため、キーセグメントの組み込みが容易である。
<ロ> セグメントを個々に確実に支持できるため、リング継手部材の位置合わせなどに無駄な時間を一切必要としない。
<ハ> 既に組み上がったセグメントピースを支持しながら新たなセグメントの組み立てができるから、組み上がったセグメントが落下する危険がなく、作業員の安全性を充分に確保できる。
<ニ> ボルトレスセグメントを用いても、組立時の真円度および安全性の確保のための組立用のボルトを一切必要としない。
このためセグメント組み立ての高速施工が可能となる。
<ホ> キーセグメント挿入時には、隣接ピースである通常のセグメントを押し拡げる必要がなくなったため、押上げ用のジャッキも不要である。
<ヘ> 任意の位置でセグメントを一ピースずつ支持することができるから、新設セグメントをどの位置からでも組み立てることができる。
<ト> 架台を折曲自在とすることで、トンネルの軸心方向からのセグメントの取り付けにも対応することができる。
<チ> 従来より使用してきたセグメント支持機構(セグメント組立用装置)を、そのまま利用することができるから経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 セグメント組立用装置の説明図
【図2】 図1におけるII−II間の矢視図

Claims (1)

  1. シールドセグメントの組立時に既設セグメントの真円度を確保しながら、新設セグメントを組立てるセグメント組立用装置において、
    リング状に組立てたセグメント群を支承する支承部材と、前記支承部材を支持する柱部材とより構成する既設セグメントリングの支持機構と、
    前記支持機構の柱部材にシールドの軸心を中心に旋回自在となるように配置する環状部材とを設け
    前記環状部材の切羽側に複数の支持腕を設けた構成とし
    前記支持機構でもって既設セグメントリングの真円を保持すると共に、前記支持腕でもって組立中の新設セグメントを支持できるよう構成したことを特徴とする、
    セグメント組立用装置。
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