JP3845113B2 - 脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板とその製造方法 - Google Patents

脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板とその製造方法 Download PDF

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    • C21D2221/10Differential treatment of inner with respect to outer regions, e.g. core and periphery, respectively

Description

技術分野
本発明はNi等の高価な合金元素の添加に頼ることなく、優れた脆性亀裂伝播停止特性と、シャルピー特性を同時に飛躍的に向上させる、構造用厚鋼板とその製造方法に関するものである。
背景技術
厚鋼板の脆性亀裂伝播停止特性を向上させる冶金学的方法としては結晶粒の微細化とNi量の増加が主な方法である。Ni量の増加はミクロ組織によらず脆性亀裂伝播停止特性を向上できる方法であるが、当然コストの増加を招く。従って、製造方法の工夫により結晶粒を微細化することが好ましい。厚鋼板全体の脆性亀裂伝播・停止挙動から、実際に脆性亀裂伝播停止特性の向上に大きく寄与するのは、脆性亀裂伝播時に厚鋼板表層部に発生するシアリップと称する塑性変形領域であり、このシアリップが形成されると、脆性亀裂の有する伝播エネルギーの吸収能が増大し脆性亀裂伝播停止特性が飛躍的に向上する。シアリップ形成も結晶粒の微細化により達成される。
そこで、従来から脆性破壊伝播停止特性の向上を結晶粒の微細化により計る試みが種々行われている。一般的には熱間圧延における制御圧延を強化したり、更に制御圧延を容易にするためにNbを添加する方法がとられているが、制御圧延の強化は生産性の低下を招き、また、Nbの添加は溶接部の靱性劣化を生じやすくなる上、これらの方法では大幅な細粒化は望めず、得られる脆性亀裂伝播停止特性の向上は小さい。最近では、例えば、特開昭61−235534号公報においては、鋳片表面から中心部への板厚の1/8以上の距離に亘ってAr3変態点以下に冷却し、鋳片の厚み方向に温度差をつけたまま圧延を開始し、圧延中または圧延後に鋳片厚の全域をAc3変態点以上に復熱させることにより、ESSO試験による−20℃における脆性亀裂伝播停止特性を表すKcaが460〜960kg f・mm-3/2程度での厚鋼板を製造する方法を提案している。
したがって、最近の構造物の使用環境の苛酷化の傾向に伴い、鋼材にも更に高い脆性亀裂伝播停止特性が要求されるようになってきており、前記方法により達成される特性では十分でない場合が生じている。前記特開昭61−235534号公報の方法においては、鋳片全域をAc3変態点以上に単純に復熱させる工程であり、最終的にγ−α変態で得られるα粒径はせいぜい5μm程度であるため、一層の脆性亀裂伝播停止特性の改善を図るには更に、新しい技術が要求される。
ごく最近においては、特開平4−141517号公報に示されているように、表層部を冷却後、復熱中の圧延により表層部の結晶粒を顕著に細粒化して脆性亀裂伝播停止特性を向上させる方法が提案されている。この方法によれば平均的には表層部が超細粒化し、表層部のシアリップの形成により−50℃においても優れた脆性亀裂伝播停止特性が得られる。しかし、復熱中に主としてフェライトの加工再結晶により超細粒化させるため、微妙な熱履歴の変動により組織や材質の不均一を生じやすい問題が見出された。しかし、表層部の結晶粒径が3μmレベルと従来鋼板の1/3から1/10程度の細粒化が達成されたにもかかわらず、使用温度によっては脆性破壊を完全に防止することはできず、単なる超細粒化に加えた新たな高靱性化技術が必要である。
発明の開示
本発明は、脆性破壊が材料の降伏応力と微視的破壊応力の関係で記述できる事実に着目し、脆性破壊現象を詳細に調査解明することにより、これまで結晶粒径を細粒化すると降伏応力がホールペッチの関係に従い上昇するため、微視的破壊応力が細粒化により上昇しても大幅な耐脆性破壊特性の向上が得られなかった従来知見を打破し、微視的破壊応力の向上には有効であるが、降伏応力の上昇には効果的でない結晶粒径を生成させることにより、耐脆性破壊特性をより向上させた鋼板を提供するものである。
具体的には、フェライトの再結晶において、その前組織の粒径を粗圧延条件を規制することにより十分に微細化させることが出来、その後の昇温過程での圧延による再結晶を十分に進行させ、再結晶により生成した結晶粒界の転位の状態を制御することを可能とし、降伏応力の上昇には効果的でないが微視的破壊応力の上昇には効果的な粒界を形成させることが可能となる。このような耐脆性破壊特性を飛躍的に向上させた組織を表層部に存在させた鋼板を提供することを課題とするものである。
本発明は、前記従来技術のうち、特開平4−141517号公報に示されているような表層部を冷却後、復熱中の圧延により表層部の結晶粒を顕著に細粒化して脆性破壊伝播停止特性を向上させる方法において、さらに表層部の超細粒組織を詳細に検討した結果、特開平4−141517号公報に示されているように、結晶粒径を超細粒にするだけでは、耐脆性破壊特性の向上に限界のあることを知見し、本発明に至った。
すなわち、結晶粒径が細粒化すると、結晶粒の超細粒化により限界微視的脆性破壊応力が増大し耐脆性破壊特性が向上するものの、結晶粒の超細粒化に伴って降伏強度も上昇するため、亀裂先端において塑性変形が生じにくくなり、耐脆性破壊特性の向上には限度があることを確認した。
そこで、本発明者らは、超細粒化した結晶粒界について、さらに詳細な解析を行った結果、結晶粒界には種々の種類があり、結晶粒界の性質によって、粒径と塑性変形能を示す降伏強度の関係が異なることを知見した。すなわち、通常のオーステナイト/フェライト変態により生成されるフェライト粒では、その粒径と変形能を示す降伏応力の間には、ホールペッチの関係が成り立つことが知られている。しかしながら、オーステナイト/フェライト変態とは異なるフェライトの加工再結晶により生成した粒界は、転位の再配列により形成された粒界であり、オーステナイト/フェライト変態で生じた粒界とは、異なった粒径と降伏応力の関係を示した。さらに、脆性破壊させた破面を観察した結果、破面単位は粒径に応じて微細化しており、微視的破壊応力は上昇していることが知見された。
微視的破壊応力は、炭化物等の脆性第二相組織の大きさと相関があることが知られている。一般には、結晶粒径と脆性第二相組織の大きさとの間には、正の相関関係があるため、結晶粒を微細化することにより、微視的破壊応力が上昇することになる。
フェライトの再結晶による超細粒化は、フェライトの超細粒化に伴い、脆性第二相組織をより微細化させることができ、かつ粒界が転位の再配列より形成されるため、隣合った粒どうしのすべり方位関係が近く、粒界がすべりの障害になる度合が、通常のオーステナイト/フェライト変態よりも小さい。このため、微視的破壊応力を上昇させつつ、降伏応力の上昇は抑制できる粒界の達成が可能となったのである。
以上述べた結晶粒界の特徴は、TEMによる転位の観察や結晶粒の方位関係等を詳細に調査することで、記述することができるが、それらの手段は、複雑すぎて、工業的には問題がある。
そこで、工業的に、粒界の特性を評価する方法を考案した。
粒界の特性により、粒径と降伏応力の関係が変化することを利用して、オーステナイト/フェライト変態により生成した通常の粒界での関係からの逸脱程度を調査し、微視的破壊応力が向上するが、降伏応力の上昇が抑制できる粒界の特徴を示すパラメータを考案した。
降伏応力は、結晶粒界の変形の伝達性を示す量であるので、結晶粒径より大きな圧痕をつける硬さ測定により評価できる。
一方、本発明においては、結晶粒径の測定が重要である。本発明では、通常のオーステナイト/フェライト変態による粒界だけでなく、加工再結晶による粒界も対象とするので、通常のナイタール腐食による粒界現出では不十分である。そこで、加工組織でも明瞭な粒界を現出させるためには、蓚酸水溶液、過酸化水素水、硫酸水溶液を主体とする腐食液であるマーシャル試薬が適していることを知見し、本試薬により腐食させて現出させた結晶粒径を測定した。
このような評価方法を用いることにより、耐脆性破壊特性の著しく優れた組織は、下記(1)式の関係を満足すると結果を得た。
Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d)
...(1)式
但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6であり、C%,Si%,Mn%はそれぞれC,Si,Mnの質量%である。dはmm。
または、
Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d)
...(2)式
但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6+(Cu%+Ni%)/15+(Cr%+Mo%+V%)/5であり、C%,Si%,Mn%,Cu%,Ni%,Cr%,Mo%,V%はそれぞれC,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,Mo,Vの質量%である。dはmm。
これは、粒界の転位構造の違いに起因しており、きわめて複雑な粒界の特徴を、巨視的な特徴である硬さと粒径の関係で表したものである。
このような粒界を有する組織は、耐脆性破壊性能が優れていることになるが、工業的に従来の鋼材組織と比べ著しく良好な性能を有するには、結晶粒径が超細粒化された場合であり、3μm以下であれば、上記(1)式または(2)式を満たす組織が、耐脆性破壊特性がきわめて優れていることを知見した。
本発明の組織は、従来のオーステナイト組織からフェライト組織への変態によって形成されるものではなく、フェライト組織に転位を多量に導入し、フェライト組織を直接回復再結晶させ、粒界を形成させるものであり、次の製造方法により、所定の組織が得られるものである。
尚、前記マーシャル試薬による粒界現出方法を次に示す。
マーシャル試薬は、蓚酸水溶液、過酸化水素水、硫酸液7mlを主体とする腐食液であり、通常、8%蓚酸水溶液50ml、過酸化水素水50ml,50%硫酸液7mlからなる。
試料をまず5%塩酸液に3〜4秒浸漬の後、水洗、乾燥させ、蓚酸水溶液、過酸化水素水、硫酸水溶液を主体とするマーシャル試薬を用いて、室温にて3〜5秒腐食させ、水洗、乾燥させることにより、粒界を現出させるものである。前記腐食方法は、その代表例であり、腐食液の成分を多少変化させても粒界の観察は困難となるものの、観察しようとする粒界は腐食、現出されるので、本発明の適用可能な範囲である。
本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)質量%で、
C:0.04〜0.30%、
Si:≦0.5%、
Mn:≦2.0%、
Al:≦0.1%、
Ti:0.001〜0.10%、
N:0.001〜0.01%、
残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板の板厚表裏層部に、それぞれ板厚の2〜33%に対応する領域に、平均結晶粒径dが3μm以下で、かつ、ビッカース硬さが、次の(1)式を満足する組織を有することを特徴とする脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板。
Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d)
...(1)式
但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6であり、C%,Si%,Mn%はそれぞれC,Si,Mnの質量%である。dはmm。
(2)質量%で、
C:0.04〜0.30%、
Si:≦0.5%、
Mn:≦2.0%、
Al:≦0.1%、
Ti:0.001〜0.10%、
N:0.001〜0.01%、
更に
Cr:≦0.5%、
Ni:≦1.0%、
Mo:≦0.5%、
V:≦0.1%、
Nb:≦0.05%、
B:≦0.0015%、
Cu:≦1.5%
の1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板の板厚表裏層部に、それぞれ板厚の2〜33%に対応する領域に、平均結晶粒径dが3μm以下で、かつ、ビッカース硬さが、次の(2)式を満足する組織を有することを特徴とする脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板。
Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d)
…(2)式
但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6+(Cu%+Ni%)/15+(Cr%+Mo%+V%)/5であり、C%,Si%,Mn%,Cu%,Ni%,Cr%,Mo%,V%はそれぞれC,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,Mo,Vの質量%である。dはmm。
(3)質量%で、
C:0.04〜0.30%、
Si:≦0.5%、
Mn:≦2.0%、
Al:≦0.1%、
Ti:0.001〜0.10%、
N:0.001〜0.01%、
残部Feおよび不可避不純物からなる鋼片をAc3変態点以上、1150℃以下の温度に加熱し、950℃以下での累積圧下率が10〜50%の圧延を行った後、その段階での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領域をAr3変態点以上の温度から2℃/s以上の冷却速度で冷却を開始し、Ar3変態点以下で冷却を停止して復熱させることを1回以上経由させる経過で、最後の冷却後の復熱が終了するまでの間に、逆変態もしくは未変態のオーステナイトの分率が50%未満の組織の鋼板に30%以上の圧延を行って仕上げ圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼板を冷却することにより、鋼板の板厚表裏層部に、それぞれ板厚の2〜33%に対応する領域に、平均結晶粒径dが3μm以下で、かつ、ビッカース硬さが、次の(1)式を満足する組織を有することを特徴とする脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板の製造方法。
Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d)
…(1)式
但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6であり、C%,Si%,Mn%はそれぞれC,Si,Mnの質量%である。dはmm。
(4)質量%で、
C:0.04〜0.30%、
Si:≦0.5%、
Mn:≦2.0%、
Al:≦0.1%、
Ti:0.001〜0.10%、
N:0.001〜0.01%、
更に
Cr:≦0.5%、
Ni:≦1.0%、
Mo:≦0.5%、
V:≦0.1%、
Nb:≦0.05%、
B:≦0.0015%、
Cu:≦1.5%
の1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼片をAc3変態点以上、1150℃以下の温度に加熱し、950℃以下での累積圧下率が10〜50%の圧延を行った後、その段階での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領域をAr3変態点以上の温度から2℃/s以上の冷却速度で冷却を開始し、Ar3変態点以下で冷却を停止して復熱させることを1回以上経由させる経過で、最後の冷却後の復熱が終了するまでの間に、逆変態もしくは未変態のオーステナイトの分率が50%未満の組織の鋼板に30%以上の圧延を行って仕上げ圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼板を冷却することにより、鋼板の板厚表裏層部に、それぞれ板厚の2〜33%に対応する領域に、平均結晶粒径dが3μm以下で、かつ、ビッカース硬さが、次の(2)式を満足する組織を有することを特徴とする脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板の製造方法。
Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d)
…(2)式
但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6+(Cu%+Ni%)/15+(Cr%+Mo%+V%)/5であり、C%,Si%,Mn%,Cu%,Ni%,Cr%,Mo%,V%はそれぞれC,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,Mo,Vの質量%である。dはmm。
(5)前記圧延完了後の鋼板を、60℃/s以下の冷却速度で650℃以下の温度まで冷却する(3)または(4)記載の脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板の製造方法。
(6)前記圧延完了後の鋼板の前記上下表層域をAc3変態点未満に復熱させた後、引き続き60℃/s以下の冷却速度で650℃以下の温度まで冷却し、次いで、Ac1変態点以下で焼戻しする(3)または(4)記載の脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板の製造方法。
【図面の簡単な説明】
第1図はNDT温度と、フェライトの粒径との関係を示す図である。
第2図はHvとフェライトの粒径との関係を示す図である。
第3図は冷却前の950℃以下での圧下量とオーステナイト粒径との関係を示す図である。
第4図は冷却前の950℃以下での圧下量と表層部細粒層の平均粒径との関係を示す図である。
第5図は冷却前の950℃以下での圧下量とNDT温度との関係を示す図である。
第6図はマーシャル試薬による本発明材の金属組織写真である。
発明を実施するための最良の形態
結晶粒界を形成させる方法を種々変化させて、結晶粒径と耐破壊特性の関係を調査し、本発明の結晶粒界を有する鋼板と、通常の結晶粒界を有する鋼板の耐破壊特性の違いについて説明する。
結晶粒界の形成方法として、従来から活用されているγ/α変態により形成されたフェライト組織(A)と、十分に細粒化したフェライト組織に対し加工により転位を大量に導入させながら、昇温させ、フェライト組織を回復再結晶により直接微細化させた組織(B)を作成し、前述のマーシャル試薬により腐食させて現出させた組織の粒径、硬さおよび耐破壊特性を調査した。耐破壊特性としては、NRL落重試験を用いた。
その結果を第1図および第2図に示す。第1図はフェライト粒度(μm)とNDT温度(℃)との関係を示し、第2図はフェライト粒度(μm)とHvとの関係を示す図であり、Ceq=0.34%における鋼を用いた場合の結果である。これらの図から組織(B)は、組織(A)より同一粒径で比較すると、硬さが小さいことがわかる。このことは、同一粒径でありながら、組織(B)の方が変形をうけた際に、塑性変形のしやすいことを示している。すなわち、亀裂が存在する場合、亀裂先端の応力が微視的破壊応力に達する前に、塑性変形が生じて、脆性破壊には至り難いため、NDT温度がより低温側になるのである。
すなわち、組織(B)では、超細粒化していても降伏しやすいという結晶粒界の特徴を有しており、硬さと粒径の関係により、通常鋼板との耐破壊特性の差が記述できることを示している。
種々の化学成分を有する鋼板について、同様の実験を行った結果、マーシャル試薬で腐食し現出させた組織の粒径とビッカース硬さHvに(1)式の関係の成立する組織が、従来のγ/α変態で形成された組織よりも、耐破壊特性が優れていることを知見したのである。
Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d)
…(1)式
但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6であり、C%,Si%,Mn%はそれぞれC,Si,Mnの質量%である。dはmm。
または、
Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d)
…(2)式
但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6+(Cu%+Ni%)/15+(Cr%+Mo%+V%)/5であり、C%,Si%,Mn%,Cu%,Ni%,Cr%,Mo%,V%はそれぞれC,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,Mo,Vの質量%である。dはmm。
本発明において、最も重要な要件は、所定の粒界特性を確保することであり、そのためには、フェライトの再結晶による粒界形成を最適な状況に確保しなければならない。
特開平4−141517号公報には、フェライトの再結晶による超再粒化方法が開示されているが、本発明は単なる粒径の超微細化のみならず、所定の粒界の性能を確保しなければならないため、特開平4−141517号公報の開示範囲では不十分である。
本発明者らは、粒界の形成過程を詳細に検討した結果、昇温過程でのフェライトの再結晶における前組織の粒径が、その後の粒界形成にきわめて重要であることを知見した。
当該前組織の粒径を確保するための、本発明の粗圧延条件を見いだすに至った過程について説明する。
最初に、粗圧延の必要性について説明する。
まず、熱間圧延前の鋼片の加熱オーステナイト粒を十分微細化する必要がある。本発明では、Ti,N含有量を規定することにより加熱時にTiNの分散によるオーステナイト粒のピン止め効果を用いるとともに鋼片の加熱温度を1150℃以下に限定することによりオーステナイト粒の微細化を図る。加熱温度の下限はAc3変態点以上とするが、これは加熱温度がAc3変態点未満であると溶体化が不十分であるのと、復熱加工するための内部の顕熱を確保することが困難となるためである。
冷却後の加工条件を一定にして950℃以下での累積圧下率と冷却前のオーステナイト粒径、冷却後に再度圧延し表層部の細粒域の平均粒径及びNRL落重試験での耐破壊性能を調査した。試験はそれぞれに複数回実施し、そのばらつきも同時に調査した。その結果を第3図〜第5図に示す。第3図は冷却前の950℃での圧下量(%)とオーステナイト粒度(μm)の関係を示し、第4図はその圧下量(%)と表層部細粒層の平均粒径(μm)の関係を示し、第5図はその圧下量(%)とNDT温度(℃)との関係を示す図である。
細粒化のためには950℃以下での累積圧下率を10〜50%とすることが最適であることがわかった。950℃以下の圧下率で限定したのは再結晶オーステナイト粒径や未再結晶オーステナイト粒中への歪蓄積の効果が950℃以下の熱間圧延で顕著になるためである。950℃以下での圧下率が10%未満であると圧延の効果が不十分であり、粒径のばらつきも大きくなり、製造技術として安定しないため下限を10%とした。
圧下率をさらに増加すれば復熱加工前の組織微細化には有利であるが、この圧下率が大きすぎると、その後の復熱中での圧延においてフェライトの微細化に十分な圧下量が確保できなくなる場合が生じるため、最終的な表層部の組織微細化に適正な圧下率として基礎実験の結果に基づいて決定し、50%とした。
次に、昇温加工による組織形成上の効果について述べる。
鋳片を熱間圧延するに際し、熱間圧延中あるいは熱間圧延途中で表層部の適当な厚みの領域を水冷等の手段によりAr3変態点よりも低い温度まで一旦冷却して内部と温度差をつけた後、温度差のついたままの状態から更に熱間圧延を行うと、フェライト主体組織を有する表層部は内部の顕熱により復熱されながら加工を受けることになる。この復熱中の加工条件を適正化することにより表層部のフェライト結晶粒が顕著に細粒化し、更に表層部が内部に比べて低温の時に圧延するため、表層部に比べて内部の変形抵抗が小さく、均一な温度分布の鋼片を圧延する場合に比べて内部に有効な加工の効果が伝わる。このため、内部の変態後の組織も微細化する。その結果、脆性亀裂伝播停止特性とともに中心部の低温靱性も顕著に向上する。
本発明者らは上記製造方法により、表層部に生成される非常に微細なフェライト組織層の組織的特徴と脆性亀裂伝播停止特性の関係を詳細に解析した。その結果、どのような破壊条件でも、安定して脆性亀裂伝播時に表層部が脆性破壊せずにシアリップを形成して良好な脆性亀裂伝播停止特性を有するためには、復熱加工後の板厚の2〜33%に対する上下各表層部の領域のフェライト組織が上記に述べた粒界特性を有する超微細粒となる必要がある。そのためには表層部をAr3変態点以下まで冷却する前の加熱、圧延条件を適正化することが必要となることを見出した。
次に、粗圧延後の冷却条件の限定理由について述べる。
上記の条件で十分なオーステナイト粒の微細化、未再結晶域圧延を施した上で、該鋼材の上下各表層部の領域を水冷等の手段により冷却する。そして、該鋼材の水冷前の熱間圧延時点での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領域をAr3変態点以下まで冷却するとともに、表層部と内部に温度差をつける。その際、該鋼材の水冷前の熱間圧延時点での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領域の冷却速度は2℃/s以上にする必要がある。これは冷却速度が2℃/s未満では冷却前の熱間圧延によりオーステナイトを微細化しておいても冷却後の変態組織が粗大となり、その後の復熱中の圧延で均一な超微細フェライト組織を得ることが困難となるためである。
また、圧延中の組織分率と圧下率を規定したのは、以下の理由による。
厚板圧延ではオーステナイトとフェライトの変形抵抗を測定するとオーステナイトの変形抵抗の方が高くなる。そこで、同じ温度でオーステナイトとフェライトの分率を変化させた基礎実験を行った。その結果、オーステナイトが存在する方がフェライト粒が安定して超細粒化する実験結果が得られた。この結果からオーステナイト分率が50%未満であると超細粒化が顕著となる。また、その時の圧下率は30%以上で安定して超細粒化することが判明した。この時のオーステナイトは仕上げ圧延前の冷却により残留する未変態オーステナイトでも、冷却後に逆変態したオーステナイトでもかまわない。オーステナイトの変形抵抗がフェライトに比べ高い理由は合金元素等の濃化であると考えられる。
以上が板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の組織を顕著に微細化するための製造方法の限定理由である。該製造方法によれば表層部だけでなく、内部の高靭化も同時に達成することが可能となる。すなわち、板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領域をAr3変態点以上の温度から2℃/s以上の冷却速度で冷却を開始し、Ar3変態点以下で冷却を停止して復熱させると、表層部の方が内部に比べて温度が低いことと、粒径が微細であることにより変形抵抗が大きくなる。このような状態で圧延加工を加えることにより、変形抵抗の小さな内部がより大きな歪を受けるようになり、変態後のフェライト組織が一段と微細化するとともにセンターポロシティの圧着も容易となる。その結果、内部の靱性が顕著に向上する。
次に、表層部の超細粒化する領域の厚さの限定理由について述べる。
脆性破壊の亀裂伝播挙動から、表層部の組織改質層の厚みは板厚の上下各表層部で2%以上ないと、シアリップによるエネルギー吸収効果が十分でなく、実質的に脆性亀裂伝播停止特性を改善することができない。表層の細粒部分の厚さは厚くなればなるほど、脆性亀裂伝播停止特性は改善されるが、33%を超えると効果が飽和する。また、鋼材内部の顕熱を利用して復熱させる場合には表層部の細粒部の厚さを33%超とするような条件で冷却すると、鋼材自体の顕熱がなくなるため、板厚中心部の温度が下がりすぎて靱性が劣化する。従って、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止特性の向上と板厚中心部の靱性の両者を満足できる範囲として、表層部の細粒化する部分の厚さは上下各表層部で3〜33%の範囲が適切である。
以上が本発明の限定理由であり、圧延、復熱が終了した段階で所望の組織を得ることができる。復熱終了後の冷却は放冷あるいは強制冷却等の手段によっても、目的の脆性亀裂伝播停止特性と靱性を得ることはできる。しかし、強度の向上等、用途によっては復熱終了後の鋼板を60℃/s以下の冷却速度で650℃以下まで冷却したり、60℃/s以下の冷却速度で650℃以下まで冷却し、次いで、Ac1変態点以下で焼戻しすることもできる。
以上が、本発明の要点であるが、脆性亀裂伝播停止特性、低温靱性に対しては結晶粒界以外の因子も影響を及ぼすため、化学成分についても配慮が必要である。以下に化学成分の限定理由を説明する。
Cは鋼材の強度確保のために有効な元素であるが、過剰に添加すると靱性や溶接性の劣化を招くため、0.04〜0.30%の範囲とする。
Siは脱酸に必要な元素であるが、過剰に添加すると特に溶接部の靱性を劣化させるため、上限を0.5%とする。
Mnは強度と靱性の向上を目的として添加するが、過剰に添加すると溶接割れを生じやすくなるため、2.0%以下に限定する。
AlはSiと同様、脱酸のために必要であり、AlNを形成することによって結晶粒を微細化して靱性向上に寄与するが、過剰に添加すると靱性劣化を生じたり、鋼中の介在物の増加を招きやすいため、0.1%以下の添加とする。
TiはTiNとして、加熱オーステナイト粒径の微細化を通して鋼材全体の靱性向上に寄与するとともに、後述するように、表層部の微細組織を安定的、均一に得るために必要な表層部の復熱前の組織微細化に有効な元素である。0.001%未満の添加ではオーステナイト粒径微細化の効果が小さく、0.10%を超える添加は効果が飽和するとともに形成されるTiNが粗大となって靱性を劣化させる恐れがあるため、0.001〜0.10%の範囲が好ましい。
NはAlやTiと窒化物を形成するために適量含有せしめる必要がある。しかし、過剰に添加すると固溶Nが増加して靱性を劣化させるため、適正な範囲として0.001〜0.01%とする。
Cr,Ni,Mo,V,Nb,B,Cuはいずれも母材の強度上昇に有効であり、所望の強度を得るために1種または2種以上組み合わせて、適量添加することができる。但し、いずれも過剰の添加により靱性、溶接性や溶接部靱性の劣化を招くため、上限を定めている。
以上のように限定された化学成分を有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼片をAc3変態点以上、1150℃以下の温度に加熱し、950℃以下での累積圧下率が10〜50%の圧延を行なう。その後、その段階での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領域を、Ar3変態点以上の温度から2℃/s以上の冷却速度で冷却を開始し、Ar3変態点以下で冷却を停止して復熱させる。これを1回以上経由させる経過で、最後の冷却後の復熱が終了するまでの間に逆変態もしくは未変態のオーステナイトの分率が50%未満の組織にて30%以上の圧延を行って熱間圧延は完了する。該圧延完了後の鋼板の前記上下表層域をAc3変態点未満に復熱することにより、脆性亀裂伝播停止特性と低温靱性に優れた厚鋼板を製造することを可能とする。
以下実施例によって本発明をさらに詳述する。
実施例
第1表に示す化学成分の供試鋼を用いて、第2表および第3表に示す製造条件で製造した厚鋼板のシャルピー試験による靱性(破面遷移温度vTrs)、ESSO試験による脆性亀裂伝播停止特性(Kca値が600kg f・mm-3/2となる温度)を第4表に示す。
本発明の化学成分を有する鋼種No.1〜12を用いて、本発明の製造方法により製造した試験No.21〜35の厚鋼板は−50℃におけるKca値が550〜1400kg f・mm-3/2と非常に優れた脆性亀裂伝播停止特性を示すとともに、靱性もvTrsで−110℃以下の優れた靱性を示す。
このことは、第6図がマーシャル試薬での1000倍の光学顕微鏡写真であるが、この図に示すように本実施例の代表的金属組織写真からも、明らかなごとく、本発明鋼においては、当該部位のフェライト組織の結晶粒径は、3μm以下であり、かつ整合性の高い微細結晶粒界の様相を呈していることがわかる。
一方、化学成分が本発明の範囲外であったり、製造方法が本発明に合致しない比較例の試験No.36〜42の厚鋼板では本発明法による厚鋼板に比べて、脆性亀裂伝播停止特性、シャルピー特性とも明らかに劣っている。当然、比較鋼No.41,42のように、通常の制御圧延により圧延し、圧延後制限冷却しただけでは十分な特性が得られないが、比較鋼No.36〜40のように、仕上げ圧延前に表層部を急冷、復熱させても、他の条件が本発明を満足していなければ、本発明鋼のような優れた脆性亀裂伝播停止特性は得られないことが第4表の実施例から明らかである。
Figure 0003845113
Figure 0003845113
Figure 0003845113
Figure 0003845113
産業上の利用可能性
本発明は、従来はNiの多量添加でしか得られなかった脆性亀裂伝播停止特性の向上を従来にない製造法で安定して達成できるようにするものであり、構造物として安全性の高い厚鋼板を経済性、生産性を損なうことなく製造できる方法として産業上の効果は極めて大きい。

Claims (6)

  1. 量%で、
    C:0.04〜0.30%、
    Si:≦0.5%、
    Mn:≦2.0%、
    Al:≦0.1%、
    Ti:0.001〜0.10%、
    N:0.001〜0.01%、
    残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板の板厚表裏層部に、それぞれ板厚の2〜33%に対応する領域に、平均結晶粒径dが3μm以下で、かつ、ビッカース硬さが、次の(1)式を満足する組織を有することを特徴とする脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板。
    Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d) …(1)式
    但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6であり、C%,Si%,Mn%はそれぞれC,Si,Mnの量%である。dはmm。
  2. 量%で、
    C:0.04〜0.30%、
    Si:≦0.5%、
    Mn:≦2.0%、
    Al:≦0.1%、
    Ti:0.001〜0.10%、
    N:0.001〜0.01%、
    更に
    Cr:≦0.5%、
    Ni:≦1.0%、
    Mo:≦0.5%、
    V:≦0.1%、
    Nb:≦0.05%、
    B:≦0.0015%、
    Cu:≦1.5%
    の1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板の板厚表裏層部に、それぞれ板厚の2〜33%に対応する領域に、平均結晶粒径dが3μm以下で、かつ、ビッカース硬さが、次の(2)式を満足する組織を有することを特徴とする脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板。
    Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d) …(2)式
    但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6+(Cu%+Ni%)/15+(Cr%+Mo%+V%)/5であり、C%,Si%,Mn%,Cu%,Ni%,Cr%,Mo%,V%はそれぞれC,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,Mo,Vの量%である。dはmm。
  3. 量%で、
    C:0.04〜0.30%、
    Si:≦0.5%、
    Mn:≦2.0%、
    Al:≦0.1%、
    Ti:0.001〜0.10%、
    N:0.001〜0.01%、
    残部Feおよび不可避不純物からなる鋼片をAc3変態点以上、1150℃以下の温度に加熱し、950℃以下での累積圧下率が10〜50%の圧延を行った後、その段階での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領域をAr3変態点以上の温度から2℃/s以上の冷却速度で冷却を開始し、Ar3変態点以下で冷却を停止して復熱させることを1回以上経由させる経過で、最後の冷却後の復熱が終了するまでの間に、逆変態もしくは未変態のオーステナイトの分率が50%未満の組織の鋼板に30%以上の圧延を行って仕上げ圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼板冷却することにより、鋼板の板厚表裏層部に、それぞれ板厚の2〜33%に対応する領域に、平均結晶粒径dが3μm以下で、かつ、ビッカース硬さが、次の(1)式を満足する組織を有することを特徴とする脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板の製造方法。
    Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d) …(1)式
    但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6であり、C%,Si%,Mn%はそれぞれC,Si,Mnの量%である。dはmm。
  4. 量%で、
    C:0.04〜0.30%、
    Si:≦0.5%、
    Mn:≦2.0%、
    Al:≦0.1%、
    Ti:0.001〜0.10%、
    N:0.001〜0.01%、
    更に
    Cr:≦0.5%、
    Ni:≦1.0%、
    Mo:≦0.5%、
    V:≦0.1%、
    Nb:≦0.05%、
    B:≦0.0015%、
    Cu:≦1.5%
    の1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼片をAc3変態点以上、1150℃以下の温度に加熱し、950℃以下での累積圧下率が10〜50%の圧延を行った後、その段階での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領域をAr3変態点以上の温度から2℃/s以上の冷却速度で冷却を開始し、Ar3変態点以下で冷却を停止して復熱させることを1回以上経由させる経過で、最後の冷却後の復熱が終了するまでの間に、逆変態もしくは未変態のオーステナイトの分率が50%未満の組織の鋼板に30%以上の圧延を行って仕上げ圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼板冷却することにより、鋼板の板厚表裏層部に、それぞれ板厚の2〜33%に対応する領域に、平均結晶粒径dが3μm以下で、かつ、ビッカース硬さが、次の()式を満足する組織を有することを特徴とする脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板の製造方法。
    Hv≦200〔Ceq%〕+20+(9〔Ceq%〕+3.7)/√(d) …(2)式
    但し〔Ceq%〕=C%+Si%/24+Mn%/6+(Cu%+Ni%)/15+(Cr%+Mo%+V%)/5であり、C%,Si%,Mn%,Cu%,Ni%,Cr%,Mo%,V%はそれぞれC,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,Mo,Vの量%である。dはmm。
  5. 前記圧延完了後の鋼板60℃/s以下の冷却速度で650℃以下の温度まで冷却する請求の範囲3または4記載の脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板の製造方法。
  6. 前記圧延完了後の鋼板の前記上下表層域をAc3変態点未満に復熱させた後、引き続き60℃/s以下の冷却速度で650℃以下の温度まで冷却し、次いで、Ac1変態点以下で焼戻しする請求の範囲3または4記載の脆性亀裂伝播停止性能と低温靱性の優れた厚鋼板の製造方法。
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