JP3844005B1 - 塗料の塗布装置及び塗布方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗料の塗布状態を良好に維持しつつ、塗布条件の適正範囲を拡大することができる塗布装置を実現する。
【解決手段】駆動手段によって一方向に走行する支持体1に対し、回転するグラビアロール3を接触させて塗料を塗布する塗布装置の構成として、駆動手段は、支持体1を略垂直姿勢に支持する2つのガイドロール2を有するとともに、これらのガイドロール2によって略垂直姿勢に支持された支持体1を上から下に移動するように走行し、グラビアロール3は、当該グラビアロールに対する支持体2の巻き付き角度がほぼゼロとなるように、2つのガイドロール2で略垂直姿勢に支持された支持体1に略線接触する状態で配置されるとともに、支持体1との接触位置でロール外周部が支持体1の走行方向と反対方向となる上向きに移動するものとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、塗料の塗布装置及び塗布方法に係り、特に、磁気記録媒体、非磁性媒体(バック層、新機能材料層など)等を製造する際に適用して好適な塗料の塗布装置及び塗布方法に関する。
一般に、磁気記録媒体、非磁性媒体(バック層、新機能材料層など)等においては、ポリエチレンテレフタレート等の非磁性からなる支持体上に、強磁性粉末や結合剤、分散剤、潤滑剤等を有機溶媒に分散混練してなる磁性塗料を塗布することで磁性層が形成されている。また、非磁性体であるカーボン粉媒体のバック層の形成、磁性体や非磁性体の形成時に接着強度を上げるため、バインダ媒体の下塗り等の塗布方式として、グラビア塗布方式、ダイ塗布(スロットやエクストルーション)方式が多用化されている。
グラビア塗布方式は、ロール外周面にグラビア彫刻が施されたグラビアロールを用いて支持体に塗料を塗布するものである。また、グラビア塗布方式の中には、支持体の走行方向に対してグラビアロールを反対方向に回転させるリバースロール塗布方式がある。このリバースロール塗布方式によれば、高速生産性を実現したうえで、塗料塗布後の平滑処理(スムージング処理)を行わなくても平坦な塗膜を得ることができる。リバースロール塗布方式は、大きくはキスリバース塗布方式とミニキスリバース塗布方式に大別される。キスリバース塗布方式とミニキスリバース方式とは、使用するグラビアロールの径が異なるだけで、基本的な塗布の原理は同様である。
この種のグラビア塗布方式に関する従来技術としては、例えば下記特許文献1に記載された技術が知られている。図8は従来の塗布装置の構成例を示す概略側面図である。図において、支持体31は、2つのガイドロール32によって支持されている。2つのガイドロール32の間にはグラビアロール33が配設されている。グラビアロール33は、その外周面にセルパターン33Pが刻設された金属ロールからなるもので、図中矢印方向(反時計回り方向)に回転可能に支持されている。グラビアロール33の上側の外周面は支持体31に圧接する状態に配置されている。
また、グラビアロール33の近傍(下方)には塗料供給器34が配設されている。塗料供給器34は、塗料供給貯留器35、ドクターブレード摺接装置36及び受け皿37等を備えて構成されている。塗料供給貯留器35には塗料供給貯留路38が設けられ、この塗料供給貯留路38からグラビアロール33に塗料が供給されるようになっている。ドクターブレード摺接装置36は、グラビアロール33に供給された塗料の余剰分を掻き落とすことで、ロール外周面上のセルパターン33Pへの塗料の充填及び計量を行うものである。受け皿37は、ドクターブレード摺接装置36によって掻き落とされた塗料を回収するものである。
上記構成からなる塗布装置においては、2つのガイドロール32に支持された支持体31が矢印方向に走行し、この走行中の支持体31の下面にグラビアロール33が接触した状態となる。このとき、塗料供給器34でグラビアロール33の外周面(セルパターン)上に供給された塗料は、ドクターブレード摺接装置36によって余剰分を掻き落とされた後、支持体31との接触位置で当該支持体31の下面に塗布(転写)される。
ところで、上記従来の塗布装置においては、2つのガイドロール32の間で支持体31にグラビアロール33を押し付けて両者を接触(圧接)させるようにしている。そのため、グラビアロール33に対する支持体31の巻き付き角度が大きくなり、これに伴ってグラビアロール33と支持体31との接触面積も広くなる。そうした場合、グラビアロール33と支持体31との接触部分に形成される塗料の溜まり(以下、転写ビード)が、支持体31の走行方向に沿って幅広に形成されるため、塗膜厚を精度良く制御することが困難となる。
そこで、グラビアロールと支持体との接触部分に幅狭の転写ビードを安定的に形成し得るものとして、下記特許文献2に記載された技術が知られている。この従来技術においては、支持体を略垂直姿勢に支持するとともに、この支持体を下から上に移動するように走行させている。また、グラビアロールを支持体に略線接触する状態で配置するとともに、支持体との接触位置でロール外周部が支持体の走行方向と反対方向となる下向きに移動するようにグラビアロールを回転させている。この従来技術によれば、グラビアロールと支持体との接触面積が狭くなり、これによって両者の接触部分に形成される転写ビードの幅も狭くなるため、塗膜厚を精度良く制御することが可能となる。
特開平7−21558号公報 特開2002−177836号公報
ところが、上記特許文献2に記載された技術では、例えば、塗布速度や塗料供給量などの塗布条件を変えた場合(振った場合)に、塗布ムラや塗膜均一性などの点で良好な塗布状態が得られないことがあった。
本発明に係る塗料の塗布装置は、駆動手段によって一方向に走行する支持体と、この支持体の走行方向と直交する向きで水平に配設されたグラビアロールとを備え、走行する支持体に対し、回転するグラビアロールを接触させて塗料を塗布する塗布装置において、駆動手段は、支持体を垂直姿勢に支持するガイド部材を有するとともに、当該ガイド部材によって垂直姿勢に支持された支持体を重力の作用する方向に沿って上から下に移動するように走行し、グラビアロールは、当該グラビアロールに対する支持体の巻き付き角度がゼロとなるように、ガイド部材によって垂直姿勢に支持された支持体に水平方向から線接触する状態で配置されるとともに、支持体との接触位置でロール外周部が支持体の走行方向と反対方向となる上向きに移動するように回転することにより、支持体との接触位置に塗料による楔形のビードを形成するものである。
この塗料の塗布装置においては、ガイド部材によって支持体を垂直姿勢に支持して上から下に移動するように走行させ、この支持体にグラビアロールを巻き付き角度がゼロとなるように線接触させるとともに、その接触位置でロール外周部が上向きに移動するようにグラビアロールを回転させることにより、グラビアロールと支持体との接触部分に幅狭の転写ビードが形成されかつその転写ビードがグラビアロールの回転に伴う気流によって安定的に保持されるようになる。
また、本発明に係る塗料の塗布方法は、一方向に走行する支持体と、この支持体の走行方向と直交する向きで水平に配設されたグラビアロールとを用いて、走行する支持体に対し、回転するグラビアロールを接触させて塗料を塗布する塗布方法において、支持体を所定の位置で垂直姿勢に支持しつつ重力の作用する方向に沿って上から下に移動するように走行させるとともに、支持体との接触位置でロール外周部が支持体の走行方向と反対方向となる上向きに移動するようにグラビアロールを回転させ、この回転するグラビアロールを、当該グラビアロールに対する支持体の巻き付き角度がゼロとなるように、所定の位置で支持体に水平方向から線接触させることにより、その接触位置に塗料による楔形のビードを形成するものである。
この塗料の塗布方法においては、支持体を所定の位置で垂直姿勢に支持して上から下に移動するように走行させ、この支持体にグラビアロールを巻き付け角度がゼロとなるように線接触させるとともに、その接触位置でロール外周部が上向きに移動するようにグラビアロールを回転させることにより、グラビアロールと支持体との接触部分に幅狭の転写ビードが形成されかつその転写ビードがグラビアロールの回転に伴う気流によって安定的に保持されるようになる。
本発明によれば、塗料の塗布状態を良好に維持しつつ、塗布条件の適正範囲を拡大することができる。
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る塗料の塗布装置の構成を示す側面概略図である。図1において、被塗布媒体となる支持体1は、例えば長尺状(テープ状)の樹脂フィルムからなるもので、図示しない繰り出し機から繰り出されて所定の経路を走行した後、図示しない巻き取り機に巻き取られるようになっている。支持体1としては、例えば磁気テープ、さらに具体的にはビデオテープやオーディオテープなどの磁気記録媒体のベースフィルムが一例として挙げられ、その要求特性から一般的にはポリエチレンテレフタレートの樹脂フィルムが用いられる。
支持体1は、上記繰り出し機から巻き取り機へと至る走行経路の途中で2つのガイドロール2により支持されている。この支持状態において、支持体1は、上記繰り出し機及び巻き取り機の回転駆動と、これに伴う各々のガイドロール2の回転動作によってY方向(下向きの方向)に案内されて走行するようになっている。
2つのガイドロール2は、適度な間隔をおいて上下に対向する状態で水平に配置されている。このうち、下側のガイドロール2には略90°の角度をもって支持体1が巻き付けられている。また、上側のガイドロール2には線接触の状態で支持体1が接触している。これにより、2つのガイドロール2の間では、支持体1が略垂直姿勢に支持されたまま、上から下に向かって走行(連続移動)するようになっている。また、支持体1の姿勢は、下側のガイドロール2を境に垂直姿勢から水平姿勢に遷移するようになっている。
なお、2つのガイドロール2で支持体1を略垂直姿勢に支持する支持形態としては、上記図1に示す支持形態の他にも、例えば図2(A),(B)に示すように、2つのガイドロール2にそれぞれ略90°の角度で支持体1を巻き付けることにより、2つのガイドロール2の近傍で略U字形あるいはS字形の走行経路を形成するように支持体1を支持するものであってもよい。また、図示はしないが、上側のガイドロール2に対する支持体1の巻き付き角度を略90°とし、下側のガイドロール2に対する支持体1の巻き付き角度を略180°としたものであってもよい。
2つのガイドロール2の間(中間部)には、支持体1の走行方向と直交する向きでグラビアロール3が水平に配設されている。このグラビアロール3は、例えばスチール等の金属によって構成されるもので、その外周面には微細な凹凸によるセルパターン(例えば亀甲型、格子型など)3Pが刻設されている。グラビアロール3は、図示しない回転手段によってR方向(時計回り方向)に回転可能に設けられている。
また、2つのガイドロール2の間では、当該2つのガイドロール2によって略垂直姿勢で支持された支持体1に対し、グラビアロール3が水平方向(横方向)から略線接触する状態で配置されている。さらに詳述すると、グラビアロール3の外周面は、当該グラビアロール3の軸方向からみて、支持体1の表面にほぼ点接触の状態で接している。また、支持体1に対するグラビアロール3の巻き付き角度はほぼゼロとなっている。
こうした両者の接触状態は、支持体1及びグラビアロール3の少なくとも一方を、互いに接近する方向で徐々に移動させていく過程で、支持体1の表面にグラビアロール3の外周面が接触した瞬間、さらに詳述するとロール外周面のセルパターンP3に充填された塗料が表面張力で支持体1の表面に吸い付いた瞬間に得られるものである。したがって、支持体1に対してグラビアロール3が押し付けられることなく、非常に軽いキスタッチで両者が接触した状態となる。
また、2つのガイドロール2の間では、支持体1が略垂直姿勢に支持されて下向き(Y方向)に走行するのに対し、グラビアロール3の外周部は支持体1との接触位置で上向き、つまり支持体1の走行方向と反対方向に移動するものとなっている。
グラビアロール3の近傍には、支持体1との接触位置の反対側に位置して塗料供給器4が縦向きに配設されている。図3は塗料供給器4の構成を示す側断面図であり、図4はその分解斜視図である。図示のように塗料供給器4は、上側ブロック5、中間ブロック6及び下側ブロック7を有している。上側ブロック5にはシール用ドクターブレード8が装着されている。中間ブロック6には堰盤9と支持シャフト10が組み込まれている。下側ブロック7には計量用ドクターブレード11が装着されている。
シール用ドクターブレード8及び計量用ドクターブレード11は、それぞれグラビアロール3のほぼ全長(全幅)に差し渡すかたちで、当該グラビアロール3の軸方向に沿う長方形をなしている。これらのドクターブレード8,11は、例えばステンレス鋼(SUS材)によって構成されるもので、そのブレード本体部の厚さが0.15mm〜0.2mmで、ブレード先端部の厚さが0.08mm〜0.09mm、ブレード先端部の長さが1.3mm〜1.5mmに設定されている。また、各々のドクターブレード8,11の先端部は所定の角度α(好ましくはα=30°〜40°)をもってグラビアロール3の外周面に摺接するように配置されている。
堰盤9は、グラビアロール3に供給すべき塗料12を貯留する貯留部13を形成するものである。この貯留部13に貯留される塗料12としては、非磁性塗料や磁性塗料など種々のものを適用することができる。また、磁気テープ等の磁気記録媒体を製造するにあたっては磁性塗料が用いられる。堰盤9のグラビアロール3と対向する側の面は、グラビアロール3の回転方向(矢印で示す)において順次グラビアロール3の外周面に近接する傾斜面とされ、この傾斜面の頂部に堰が形成されることで貯留部13が形成されるようになっている。ちなみに、堰盤9の傾斜面の勾配角θは60°〜85°に設定することが好ましく、また堰の幅すなわちグラビアロール3に最接近する部分の尖端幅wは、0.5mm〜3.0mmに設定することが好ましい。
また、上側ブロック5、中間ブロック6及び下側ブロック7は、それぞれ閉塞ブロック14にネジ止め等によって連結されることで、機械的に一体化されたブロック構体をなしている。このブロック構体の両端部には、それぞれサイドシールウォール15がネジ止め等によって装着されるようになっている。サイドシールウォール15は、例えば図示の如くホルダー部材16とサイドシール17によって構成されるもので、ブロック構体の両端部を閉塞する状態で装着される。
ホルダー部材16は、金属等の剛体によって構成されるもので、所定の導電性を有している。サイドシール17は、例えば発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等からなるもので、グラビアロール3の外周面に対応する湾曲面17Aを有している。このサイドシール17はネジ止め等によってホルダー部材16に取り付けられている。また、これらホルダー部材16及びサイドシール17の導電性は、例えばこれらホルダー部材16及びサイドシール17とグラビアロール3との間の抵抗が108Ω以下となる程度に設定されている。
こうした構成により、塗料供給器4の内部には遮蔽空間18が形成されている。この遮蔽空間18は、上記ブロック構体によって形成される空間部を、前述したシール用ドクターブレード8、計量用ドクターブレード11及びサイドシールウォール15によって閉塞することにより形成されるものである。これにより塗料供給器4の内部は密閉化された構造となっている。
遮蔽空間18には堰盤9の傾斜面が面しており、この傾斜面によって形成される貯留部13が遮蔽空間18内に配置されている。また遮蔽空間18には塗料供給路19と塗料排出路20がそれぞれ連通している。塗料供給路19は、上側ブロック5と中間ブロック6によって形成されている。塗料排出路20は、中間ブロック6と下側ブロック7によって形成されている。さらに、塗料供給路19には閉塞ブロック14を介して塗料供給管21が接続され、塗料排出路20には閉塞ブロック14を介して塗料排出管22が接続されている。なお、図4においては、塗料供給管21を二股に分岐させて塗料供給路19に導入する一方、塗料排出路20から1本の塗料排出管22を引き出した構成となっているが、塗料供給路19に導入する塗料供給管21の本数や塗料排出路20から引き出す塗料排出管22の本数は適宜変更可能である。
また閉塞ブロック14には堰盤の制御装置23が接続されている。この制御装置23は、グラビアロール3に対する堰盤9の位置を制御(微調整)するものである。制御装置23には、堰盤9を支持する支持シャフト10を軸方向に移動させる回転つまみ24が設けられている。そして、回転つまみ24を回転させることで、グラビアロール3と堰盤9との間隙gを任意に制御し得る構成となっている。即ち、回転つまみ24を回転させると、その回転方向と回転量(回転角度)に応じて堰盤9がグラビアロール3に対して進退移動する構成となっている。
続いて、上記構成からなる塗布装置の動作手順に基づく塗料の塗布方法について説明する。先ず、支持体1に塗布すべき塗料(例えば、磁性塗料)12は、塗料供給管21を通して塗料供給路19に送られる。こうして塗料供給路19に送られた塗料12は、遮蔽空間18へと取り込まれる。遮蔽空間18に取り込まれた塗料12は、前述したシール用ドクターブレード8とサイドシールウォール15による閉塞作用により、塗料供給器4の外部に漏洩することはない。
また遮蔽空間18内では、堰盤9の傾斜面とこれに近接するグラビアロール3の外周面との間で、堰盤9の堰とめ作用により塗料の貯留部13が形成される。この場合、貯留部13に貯留された塗料12は、堰盤9の堰とめ作用と重力の作用を同時に受ける。このため、グラビアロール3のセルパターン3Pに効率よく塗料が充填される。また、貯留部13に溜まった塗料12は、重力に逆らうことなく貯蔵されるため、貯蔵状態が安定したものとなる。さらに、貯留部13の塗料12に接するグラビアロール3の外周部は、重力の作用する方向(下向き)に移動するため、貯留塗料が渦流化することもない。したがって、グラビアロール3のセルパターン3Pに必要十分に塗料を充填することができる。
こうしてグラビアロール3のセルパターン3Pに塗料12が充填されると、グラビアロール3の回転によって塗料充填部分が計量用ドクターブレード11との接触部に移送される。計量用ドクターブレード11では、そのブレード先端をグラビアロール3に接触(摺接)させることで、余分に充填された塗料12、すなわち所定量以上に充填された塗料12を掻き落とす。これにより、計量用ドクターブレード11を経たグラビアロール3の外周面(セルパターン3P)には所定量の塗料12が充填された状態となる。
こうしてグラビアロール3の外周面に充填された所定量の塗料12は、その後、グラビアロール3の回転とともに周回移動して塗料供給器4と反対側、すなわち支持体1側に移送される。このとき、支持体1とグラビアロール3との接触部分では、支持体1の走行方向Yとグラビアロール3の回転方向Rの関係から、支持体1は下向きに移動するのに対して、グラビアロール3の外周部は上向きに移動する。このため、支持体1とグラビアロール3との接触部分(線接触部分)には、図5に示すように転写ビード(塗料の溜まり)25が形成される。転写ビード25は、支持体1とグラビアロール3との接触部分に隣接するかたちで、支持体1の走行方向下流側(下側)に楔状に形成される。また、支持体1とグラビアロール3は、当該グラビアロール3の軸方向から見ると、ほぼ点接触で接しているため、当該接触部分に形成される転写ビード25は、支持体1の走行方向において幅狭のビード形状(楔形状)となる。
また、グラビアロール3をR方向に回転させると、グラビアロール3の周囲(ロール外周面の近傍)にR方向に向かう気流が発生する。この気流は、グラビアロール3のロール外径が軸方向で一様に同じ径であることから、グラビアロール3の軸方向にわたって均一に発生する。また、上述のように支持体1とグラビアロール3の接触部分に形成される転写ビード25に対しては、ロール軸方向にわたって気流によるエアー圧Apが均一に作用する。このエアー圧Apは、支持体1とグラビアロール3の接触部分に形成される楔状の空間で転写ビード25を奥側(支持体1とグラビアロール3の接触点側)に押し込むように作用する。したがって、エアー圧Apの作用により転写ビード25の広がりが有効に抑えられる。このため、支持体1とグラビアロール3の接触部分に、非常に幅狭の転写ビード25を安定的に形成することができる。
ちなみに、支持体1をY方向に走行させると、支持体1の周囲(表面近傍)にY方向に向かう気流が発生するものの、この気流の流れは支持体1とグラビアロール3の接触部分で一旦遮断される。このため、支持体1の走行によって生じる気流は、転写ビード25の形成部位に殆ど作用しない。
このように支持体1とグラビアロール3の接触部分に極幅狭の転写ビード25を形成した状態で支持体1をY方向に走行させると、その転写ビード25から所要量ずつ塗料が引き出されるかたちで支持体1の表面に塗料が塗布(転写)される。このとき、支持体1と塗料(転写ビード25)の接触界面では、支持体1の走行方向Yに沿って重力が作用する。このため、支持体1を走行させたときに、転写ビード25からスムーズに塗料が引き出されるとともに、支持体1の表面に塗料が乗りやすくなる。したがって、支持体1の表面に精度の高い均質な薄膜層(塗膜)を形成することができる。
ちなみに、2つのガイドロール2間で支持される支持体1の垂直姿勢角度としては、図6に示すように、支持体1と垂直軸Zとがなす角度をβ=15°以下に設定することが好ましく、さらに好ましくはβ=10°以下、さらに好ましくはβ=5°以下に設定することが望ましい。
ここで、上記実施形態のように2つのガイドロール2の間で支持体1をY方向に走行させ、かつグラビアロール3をR方向に回転させて、支持体1の表面に塗料を塗布した場合を本発明の実施例とする一方、2つのガイドロール2の間で支持体1をY方向と反対方向に走行させ、かつグラビアロール3をR方向と反対方向に回転させて、支持体1の表面に塗料を塗布した場合(特開2002−177836号公報に記載の技術を適用した場合)を本発明との比較例として、それぞれの塗布状態を評価した結果について述べる。
まず、塗料としては、テープ下塗り用の塗料として、バインダ溶液:固形分2%、バインダ:アクリル樹脂、メチルエチルケトン:40%、シクロヘキサノン:58%、純水:2%の質量比のものを用いた。
また、塗布条件として、グラビアロール3の直径を40mm、セルパターン3Pを亀甲型で軸角度60度の150線(1インチの中に150個の亀甲セルが彫刻されているもの)とした。そして、線接触のキスタッチ方式で、セル彫刻幅を620mm幅の支持体1の両端より各々5.0mm広くして、支持体1の全幅に塗布する方式を採用した。また、塗布位置での支持体1の張力を0.8N/cmとした。さらに、塗布速度を5〜30m/分の低速塗布と150〜300m/分の高速塗布、塗料の供給量を1.5L(リットル)/分と2.5L/分の条件でそれぞれ変化させた。
以上の塗布条件においては、図7に示すように、塗布速度を低速(5〜30m/分)、塗料供給量を1.5L/分に設定したものを、それぞれ「実施例1」及び「比較例1」とし、塗布速度を低速(5〜30m/分)、塗料供給量を2.5L/分に設定したものを、それぞれ「実施例2」及び「比較例2」とした。また、塗布速度を高速(150〜300m/分)、塗料供給量を1.5L/分に設定したものを、それぞれ「実施例3」及び「比較例3」とし、塗布速度を高速(5〜30m/分)、塗料供給量を2.5L/分に設定したものを、それぞれ「実施例4」及び「比較例4」とした。そして、各々の塗布条件で実際に塗料の塗布を行って、塗布ムラや塗膜均一性などの塗布状態を評価観察した。なお、上述したテープ下塗り用塗料は透明であるため、染料(マゼンタ)を適宜投入して、塗布状態の観察を容易にした。
[実施例1〜4の評価]
いずれの実施例も2つのガイドロール2の間で支持体1が上から下に向かって移動する場合であるが、この場合、塗料供給器4の塗料供給路19を通して供給される塗料は、堰盤9の傾斜面によって形成される遮蔽空間18内の貯留部13で直接グラビアロール3の外周面(セル形成面)に接し、直ぐに塗料が計量用ドクターブレード11によって計量される。このため、気泡などが交じり合わない状態で塗料がグラビアロール3の回転により支持体1側に運ばれる。
また、支持体1とグラビアロール3の接触部分には極狭幅の転写ビード25が安定して形成されるとともに、ドクターブレードで掻いた際に発生する気泡などは堰盤9で圧縮破壊しながらも流速を増すことで、塗料供給器4の上部に溜まる気泡や戻り塗料が一気に排出されるため、戻り塗料の停滞もなく塗料供給と戻り量のバランスが良くなる。いずれの実施例でも、支持体1の全幅にわたって塗布ムラや筋のない、塗膜均一性に優れた塗布状態が得られた。また、塗膜形成済みの支持体1を巻き取る巻き取りロールの形状も良好で、かつ支持体1の両端に汚れや盛り上がりのない良好な品質を確保することができた。したがって、本発明の塗布方法によれば、グラビアロール4への塗料計量が安定し、塗布ムラや塗膜均一性に優れ、また低速塗布や高速塗布での塗布範囲や塗料供給量など塗布条件の適正範囲も広く確保することができる。
[比較例1〜4の評価]
いずれの比較例も2つのガイドロールの間で支持体が下から上に向かって移動する場合であるが、この場合、塗料供給器の内部では堰盤を通って上側の貯留部内で塗料が計量され、グラビアロールの回転により支持体側に塗料が運ばれる。そして、支持体とグラビアロールの接触部分に転写ビードを形成し、そこを通過する支持体の表面に塗料が転写されるが、低速塗布で塗料供給量が少ない比較例1においては、塗料供給と戻り量のバランスに不具合が生じて塗料供給器で塗料の貯蔵状態が不安定になった。このため、グラビアロールへの塗料充填不足による転写ビードムラが発生し、塗布ムラや塗膜均一性の悪化を引き起こした。また、比較例1よりも塗料供給量を多くした比較例2においては、転写ビードムラに改善は認められたものの、塗布ムラや塗膜均一性の点では、上記実施例1〜4に劣る塗布状態しか得られなかった。
一方、高速塗布で塗料供給量が少ない比較例3においては、気泡の発生が多くなり筋状のビードが発生し、塗布ムラや塗膜均一性の劣化、さらには支持体両端部に汚れや盛り上がりが見られる等、品質面に悪影響を及ぼす状態となった。また、比較例3よりも塗料供給量を多くした比較例4においては、筋状のビードは安定したが、塗布速度が高速になるほど細かい気泡が多発して気泡が抜け難い状態となった。このため、塗料の供給量と戻り量のバランスに悪影響が生じ、塗料供給器内で貯留塗料が渦流化となって計量充填状態が不安定となり、転写ビードに乱れが発生して塗布ムラ等の劣化を引き起こした。
また、参考までに、低速塗布においては、TiO2の超微粒粉末含有の塗料をMIBK(メチル・イソ・ブチル・ケトン)の溶媒で希釈分散させた塗料(固形分は30%に調合した)を作製し、上記実施例1、2及び比較例1、2と全く同じ条件で塗布を行って評価したところ、上記同様の結果が得られた。
本発明の実施形態に係る塗料の塗布装置の構成を示す側面概略図である。 支持体を略垂直姿勢に支持する際の支持形態の他の例を示す図である。 本発明の実施形態における塗料供給器の構成を示す側断面図である。 本発明の実施形態における塗料供給器の構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態における転写ビードの形成状態を示す側面図である。 支持体を垂直姿勢に支持する際の角度範囲を説明する図である。 塗布状態を評価する際の実施例と比較例の塗布条件を示す図である。 従来の塗布装置の構成例を示す概略側面図である。
符号の説明
1…支持体、2…ガイドロール、3…グラビアロール、4…塗料供給器、9…堰盤、13…貯留部

Claims (7)

  1. 駆動手段によって一方向に走行する支持体と、前記支持体の走行方向と直交する向きで水平に配設されたグラビアロールとを備え、前記走行する支持体に対し、回転するグラビアロールを接触させて塗料を塗布する塗布装置において、
    前記駆動手段は、前記支持体を垂直姿勢に支持するガイド部材を有するとともに、当該ガイド部材によって垂直姿勢に支持された前記支持体を重力の作用する方向に沿って上から下に移動するように走行し、
    前記グラビアロールは、当該グラビアロールに対する前記支持体の巻き付き角度がゼロとなるように、前記ガイド部材によって垂直姿勢に支持された前記支持体に水平方向から線接触する状態で配置されるとともに、前記支持体との接触位置でロール外周部が前記支持体の走行方向と反対方向となる上向きに移動するように回転することにより、当該支持体との接触位置に塗料による楔形のビードを形成する
    ことを特徴とする塗料の塗布装置。
  2. 前記支持体との接触位置の反対側で前記グラビアロールに塗料を供給する塗料供給手段を備え、
    前記塗料供給手段は、前記グラビアロールに供給すべき塗料を貯留する貯留部を形成するとともに、前記グラビアロールと対向する側の面が、前記グラビアロールの回転方向において順次グラビアロールの外周面に近接する傾斜面とされた堰を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の塗料の塗布装置。
  3. 前記駆動手段は、前記支持体を垂直姿勢に支持する上下2つのガイド部材を有し、
    前記グラビアロールは、前記2つのガイド部材の間で垂直姿勢に支持された前記支持体に線接触する状態で配置される
    ことを特徴とする請求項1記載の塗料の塗布装置。
  4. 前記傾斜面の勾配角を60°〜85°に設定してなる
    ことを特徴とする請求項記載の塗料の塗布装置。
  5. 前記堰の前記グラビアロールに対する最接近部の尖端幅を0.5mm〜3.0mmに設定してなる
    ことを特徴とする請求項記載の塗料の塗布装置。
  6. 一方向に走行する支持体と、前記支持体の走行方向と直交する向きで水平に配設されたグラビアロールとを用いて、前記走行する支持体に対し、回転するグラビアロールを接触させて塗料を塗布する塗布方法において、
    前記支持体を所定の位置で垂直姿勢に支持しつつ重力の作用する方向に沿って上から下に移動するように走行させるとともに、前記支持体との接触位置でロール外周部が前記支持体の走行方向と反対方向となる上向きに移動するように前記グラビアロールを回転させ、この回転するグラビアロールを、当該グラビアロールに対する前記支持体の巻き付き角度がゼロとなるように、前記所定の位置で前記支持体に水平方向から線接触させることにより、当該接触位置に塗料による楔形のビードを形成する
    ことを特徴とする塗料の塗布方法。
  7. 前記支持体を上下2つのガイド部材によって垂直姿勢に支持するとともに、前記2つのガイド部材の間で垂直姿勢に支持された前記支持体に前記グラビアロールを線接触させる
    ことを特徴とする請求項記載の塗料の塗布方法。
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