JP3843564B2 - 自発光型カラーディスプレイ色調整システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は少なくとも3つの原色各々の発光強度を調整することにより、多色画像を再現する自発光型カラーディスプレイの色調整システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像を表示する自発光型カラーディスプレイとしては、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の蛍光体の発光によって自然カラー画像を再現するいわゆるカラーCRT、バックライト方式によるカラー液晶ディスプレイ(LCD)、R、G、BのLED、PDPなどが知られている。これらのディスプレイはいずれもR、G、Bからなる各原色の発光強度を調整することによる、いわゆる加法混色により、多くの色を再現している。それぞれの色は、各原色に与えられる信号(入力データ)の混合比率により決定されるが、入力データに対するディスプレイの各原色の実際の発光強度バランスが崩れていると、ディスプレイに再現される色のバランスは崩れて、正しい色を再現するための色調整作業が必要となる。
また、入力データに対する実際の各原色の発光強度のバランスが標準的な環境下では揃っていたとしても、観察環境の照明光の色温度が標準的な環境と異なっていると、視覚系が環境光に順応した分、相対的に発光強度バランスが崩れた場合と同様な問題が生じ、ディスプレイの色調整作業が必要となる。
【0003】
本発明におけるディスプレイの色バランスとは、ディスプレイのみで決まるものではなく、評価者に正しい色として、例えば、「白いもの」が「白」として知覚されるかどうかということを基準としている。
ディスプレイの色調整を行うシステムとしては、例えばディスプレイのキャリブレーションシステムがあげられる。従来のキャリブレーションシステムでは、2つの手法が用いられている。一つの手法としては、予め決められている基準データに対する色をディスプレイ上に表示して、その色、あるいはその発光強度を測定機器により測定し、その値の基準値からのズレを無くすように入力データに対するディスプレイの発光レベル(電子ビームなど)を調整するものである。もう一方は、各原色のカソード電流をディスプレイ内で検出し、その値を一定に保つような補正を行うものである。
つまり、上記2手法とも同じ入力データが与えられれば、常に同じ測定値を示す色が再現されものである。また、環境光の色温度の変化による知覚的な色の変化を調整するシステムとしては、環境光の色温度によってディスプレイの発光レベルをコントロールするものなどが使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ディスプレイの色調整に用いれていたキャリブレーションシステムでは、例えば、ディスプレイの色測定器が必要であったり、あるいは専用のフィードバックシステム、補正回路がディスプレイに内蔵されている必要があった。また、こららのシステムでは、予め入力データの種々の状態に対する全ての測定値に対して対応をとる必要が生じた。また、環境光の変化に関わりなくキャリブレーションが行われため、オペレータの順応による表示色の見えの変化に対応することができない。
環境光の色温度により各原色信号のバランスをコントロールするシステムによるディスプレイの色調整では、環境光の色温度に対する適切な調整値の関係を正確に把握しておく必要がある。または、さまざまな環境光に応じて色バランスがとられた発光強度バランスのデータを全て用意しておく必要がある。また、このシステムは、環境光の色温度に対する視覚系の順応点を基準にディスプレイの色バランスを合わせるものであるが、オペレータの正しい順応点を求めることは困難であった。また、順応点自体がオペレータ毎に異なる可能性があり、環境光を設定したからといってその環境光に対応する順応点を固定することはできなかった。
【0005】
本発明は、自発光型カラーディスプレイの色バランスの調整において、観察環境に応じた適切な色バランスの調整を容易に実現するシステムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る自発光型カラーディスプレイ色調整システムは、少なくとも3つの原色各々の発光強度を調整することにより多色画像を再現する自発光型カラーディスプレイの色調整システムにおいて、原色信号の混合比率がそれぞれ異なる複数の色図形データを発生させる色図形データ発生手段と、色図形データを表示する表示手段と、表示手段手段に表示された色図形の中から単数の任意の色図形を選択/指定する選択/指定手段と、選択/指定された色図形に与えられている原色信号のデータを読み出す読み出し手段と、その読み出されたデータを基に、各原色信号の発光強度バランスを調整する調整手段と、前記選択/指定手段によっていずれの色図形も選択/指定されなかった場合に、原色信号の混合比率を前記複数の色図形データとは異ならせて、再度新たに原色信号の混合比率がそれぞれ異なる複数の色図形データを発生させる色図形データ再発生手段と、を備えることを特徴とする自発光型カラーディスプレイ色調整システムであり、更には、前記調整手段は、ディスプレイへの入力データを、そのうちの任意の原色信号を基準として、当該入力データのうちの他の少なくとも2つの原色信号のそれぞれに、前記読み出されたデータのうちの当該原色信号と同色の原色信号を、前記読み出されたデータのうちの前記任意の原色信号と同色の原色信号で除した数値を乗じて補正するか、若しくは、ディスプレイへの入力データを、その少なくとも3つの原色信号のそれぞれに、前記読み出されたデータのうちの当該原色信号と同色の原色信号を、ディスプレイへの入力データの原色信号に許される諧調値の最大値で除した数値を乗じて補正することを特徴とする自発光型カラーディスプレイ色調整システムである。つまり、読み出されたデータの比率が本来無彩色となるべきデータ(例えば、各原色の入力データが等しいデータ(R=G=B))となるように、各原色信号の発光強度バランスを調整するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明における自発光型カラーディスプレイ色調整システムを説明する。
図2は本発明に係る自発光型カラーディスプレイ色調整システムをVDTに組み込んだ場合の例であり、色バランスの調整を行うディスプレイ10、制御コンピュータ11、マウスなどのポインティングデバイス12により構成されている。制御コンピュータ11には、色図形データ発生手段111、データ読み出し手段112、補正量算出手段102、色バランス調整手段113が組み込まれている。本例の色バランスの調整の仕方は、まずポインティングデバイス12により指示されたデータの値をデータ読み取り手段112により読み出し、読み出したデータの色調整量を補正算出手段113により算出し、表示手段であるディスプレイ10に送る色バランス調整手段113により制御することにより、自発光型カラーディスプレイにおいて適切な色調を得ることができる。
【0008】
また、図3はディスプレイ自体に本発明に係る自発光型カラーディスプレイ色調整システムを組み込んだ実施の形態の例である。この場合、ディスプレイの中に色図形データ発生手段111、補正量算出手段102、信号制御手段103が組み込まれて色バランス調整手段113として働くものである。さらに専用の指示手段120が付属しており、これらはポインティングデバイスであり、例えば、タッチパネルからなるものである。
まず、色図形データ発生手段111により発生された色図形データを表示部100に表示し、その中からオペレータが無彩色と知覚したものを指示手段120により指示する。指示された色図形に与えられていたデータより、補正量を補正量算出手段102により算出し、信号制御手段103により信号入力部104より入力される信号に対する発光特性を補正し、表示部100に送ることにより、色バランスの調整を行え適切な色調を得ることができる。
【0009】
また、図4は任意のカラー画像表示システムに本発明に係る自発光型カラーディスプレイ色調整システムを適用したものであり、本来ディスプレイに供給される入力データを本システムを経由して供給することにより、色バランスの調整を行え適切な色調を得ることができる。このように本システムを用いることにより、家庭用のテレビジョンやテレビゲームの色を適切に補正することができる。
【0010】
次に、具体的な色バランスの調整の仕方について説明する。図1は本発明に係る自発光型カラーディスプレイ色調整システムによる色調整の流れを示しているフローチャートである。図1のフローチャートでは、色図形データ発生手段111により発生された色図形データを一つ乃至数個づつ色調整する際の流れを示したものである。
【0011】
ステップ101
まず、色図形データ発生手段111では各原色の入力混合比率により与えられる「色」「形」「表示位置」のデータを発生し表示手段に送くる。
ステップ102
次いで、表示手段では色図形データ発生手段111により発生された色図形データを表示する。
ステップ103
次いで、表示手段に表示された色図形データの中から「無彩色」つまり、何の色みも感じられない色の図形を探しだし指定する。なお、「無彩色」の色図形が表示手段に表示されている場合はステップ104に移行し、表示されていない場合はステップ101に移行する。これは、本実施の形態の例では、表示手段に表示される色図形が一つ乃至数個であり、一回の表示では「無彩色」が見つからない場合があるからである。そして、ステップ101に移行した場合は、「色」データを変化させ上記処理を繰り返す。なお、「無彩色」を見つけられない場合は、「無彩色」が見つかるまで上記処理を繰り返すこととする。
【0012】
ステップ104
次いで、指定された「無彩色」の「色」のデータが読み取られる。つまり、指定された図形に与えられていた各原色の入力データが読み取られる。
ステップ105
次いで、読み取られた各原色の入力データから補正量算出手段102により補正量が設定されることにより、本処理工程は終了する。そして、この補正量を画面表示入力データに適用することにより、色のバランスが調整された色図形を得ることができる。
【0013】
次いで、補正量算出の仕方の例を説明する。
例えば、R、G、Bの各8bit(0〜255の256階調)で再現色を制御しているディスプレイに、本発明に係るシステムを適用使用とした場合について説明する。このシステムでは、R、G、Bそれぞれに与えられるデータ(階調値)が等しい図形が無彩色となるべき色である。しかしながら、設定されている色バランスや周りの環境の影響により色のズレが生じる場合があり、たとえR、G、Bの階調値が揃っていても無彩色に見えず、そのバランスからズレたものが無彩色として知覚されるものである。
入力データ(ここではR、G、B階調値とする)と出力信号(例えば電子ビーム電流など)との関係が図5に示したような関係であったとする。例えば、色図形データ発生手段111により発生された色図形のうち(R、G、B)=(255、230、220)のものが無彩色と指定されたとすると、色バランスが適切である出力信号はそれぞれ(255i、230i、220i)であったことになる。このディスプレイを補正するためには、主に2つの手法が本システムでは使用できる。
【0014】
まず、ディスプレイへの入力データに対する出力信号の特性を制御することによりデータの解像度を無駄なく、色数を減らすこと無く補正を行うことができる。そして、出力信号の可変幅に余裕が有れば、任意の原色信号を基準に補正を行うことができる。例えば、G信号を基準とすれば、(R、G、B)=(230、230、230)の時に、(250i、230i、220i)を得ることにより補正をすることができる。つまり、式1に記載された数式を用いて補正を行うことができる。ただし、G以外のR、Bを基準とする際は、新たな数式を用いて補正を行うことは当然のことである。
また、式1により補正した結果を図6に示す。
【0015】
【数1】
【0016】
また、ディスプレイ自体の特性を制御できない場合、入力データ自体を補正してR、G、Bの各階調値が等しい時に(255i、230i、220i)の比率出力が得られるように入力データを補正する。つまり、(R、G、B)=(255、255、255)のときに、(R、G、B)=(255、230、220)とするように、式2を用いて補正を行うことができる。また、式2により補正した結果を図7に示す。
【0017】
【数2】
【0018】
上記2実施の形態は、入力データをR、G、B各8bitで制御する場合の例について示したが、例えば家庭用のテレビディスプレイに本発明に係る自発光型カラーディスプレイ色調整システムを適用するのであれば、表示に用いる信号をI、Q信号に変換して取り扱うこともできる。
また、NTSC方式におけるI、Q色信号と各原色信号R、G、Bとの関係は式3によって求めることができる。そして、NTSC方式では、式3によりもとめられたI、Qが共に0のときに本来無彩色となるはずである。つまり、R、G、B=1:1:1となることである。
【0019】
【数3】
【0020】
また、NTSC方式のディスプレイでは、R、G、B各原色信号とその色彩値(本例では、XYZ三刺激値とする)には、式4に記載された関係が成り立つものである。
【0021】
【数4】
【0022】
また、補正用チャートに用いる図形の色は、この色彩値(本実施の形態では三刺激値)を基準に決めることもできる。さらに、この三刺激値からCIELAB値あるいはu’v’色値(CIE 1976 UCS色度)などを計算して、その値を基にR、G、Bデータに対する目標とする色彩値を求めることもできる。なお、表示する図形の配置は任意であるが、単色ずつ表示するのであれば、画面中央に表意することが望ましい。また、図形の形状は円形、三角形、星形、あるいは鳥(例えば、鴎や鳩など)の形のように任意に設定できるものとする。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る自発光型カラーディスプレイ色調整システムによれば、ディスプレイで画像を表示する際に、どのような観察環境下であっても無彩色と知覚される色データを用いて色バランスの補正を行うことができるため、どの様な環境であってもその環境に応じた適切な色調整を容易に確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自発光型カラーディスプレイ色調整システムによる色調整の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る自発光型カラーディスプレイ色調整システムを、VDTに組み込んだ場合の簡易概略図である。
【図3】本発明に係る自発光型カラーディスプレイ色調整システムを、ディスプレイに組み込んだ場合の簡易概略図である。
【図4】本発明に係る自発光型カラーディスプレイ色調整システムを、カラー画像表示システムに組み込んだ場合の簡易概略図である。
【図5】ディスプレイ本来の入出力特性を示す特性図である。
【図6】入力データに対して出力信号を補正した時の入出力特性を示す特性図である。
【図7】入力データ自体を補正した」時の入出力特性を示す特性図である。
【符号の説明】
10……ディスプレイ
11……制御コンピュータ
12……ポインティングデバイス
100……表示部
102……補正量算出手段
103……信号制御手段
104……信号入力手段
111……色図形データ発生手段
112……データ読み出し手段
113……色バランス調整手段
120……指示手段
Claims (2)
- 少なくとも3つの原色各々の発光強度を調整することにより多色画像を再現する自発光型カラーディスプレイの色調整システムにおいて、
原色信号の混合比率がそれぞれ異なる複数の色図形データを発生させる色図形データ発生手段と、
色図形データを表示する表示手段と、
表示手段手段に表示された色図形の中から単数の任意の色図形を選択/指定する選択/指定手段と、
選択/指定された色図形に与えられている原色信号のデータを読み出す読み出し手段と、
その読み出されたデータを基に、各原色信号の発光強度バランスを調整する調整手段と、
前記選択/指定手段によっていずれの色図形も選択/指定されなかった場合に、原色信号の混合比率を前記複数の色図形データとは異ならせて、再度新たに原色信号の混合比率がそれぞれ異なる複数の色図形データを発生させる色図形データ再発生手段と、
を備えることを特徴とする自発光型カラーディスプレイ色調整システム。 - 前記調整手段は、ディスプレイへの入力データを、そのうちの任意の原色信号を基準として、当該入力データのうちの他の少なくとも2つの原色信号のそれぞれに、前記読み出されたデータのうちの当該原色信号と同色の原色信号を、前記読み出されたデータのうちの前記任意の原色信号と同色の原色信号で除した数値を乗じて補正するか、若しくは、ディスプレイへの入力データを、その少なくとも3つの原色信号のそれぞれに、前記読み出されたデータのうちの当該原色信号と同色の原色信号を、ディスプレイへの入力データの原色信号に許される諧調値の最大値で除した数値を乗じて補正することを特徴とする請求項1に記載の自発光型カラーディスプレイ色調整システム。
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JP34158897A JP3843564B2 (ja) | 1997-12-11 | 1997-12-11 | 自発光型カラーディスプレイ色調整システム |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP34158897A JP3843564B2 (ja) | 1997-12-11 | 1997-12-11 | 自発光型カラーディスプレイ色調整システム |
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JPH11178015A JPH11178015A (ja) | 1999-07-02 |
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Family Applications (1)
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JP5268538B2 (ja) | 2008-10-02 | 2013-08-21 | 三菱電機株式会社 | 表示装置の色調整システム |
CN115909990B (zh) * | 2022-11-19 | 2024-08-20 | 北京印刷学院 | 一种自发光显示设备间颜色测量与校正方法 |
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1997
- 1997-12-11 JP JP34158897A patent/JP3843564B2/ja not_active Expired - Fee Related
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