JP2001296855A - 画像表示装置および画像信号補正装置 - Google Patents

画像表示装置および画像信号補正装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い表示品位で画像を表示することが可能な
画像表示装置および画像信号補正装置を提供する。 【解決手段】 画像表示装置は、画像を表示するための
複数の画素を有する表示装置8を備え、各画素毎の情報
を表す画素信号を含む画像信号g0 が入力されるように
なっており、全ての画素信号のレベルの平均を平均入力
輝度信号レベルGとして演算する平均信号レベル演算回
路1と、画素信号のレベルに対する画素の輝度の変化を
表す入力信号−出力輝度特性を、平均入力輝度信号レベ
ルGに応じて設定する入力信号−出力輝度特性設定回路
2と、平均入力輝度信号レベルGに応じて表示装置8の
画素の最大出力輝度を調整する最大出力輝度調整回路3
と、設定された入力信号−出力輝度特性を満たすように
画像信号g0 を補正する信号補正部4とを画像信号補正
装置7に備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示部(表示装
置)の出力輝度を調整する機能を備えた画像表示装置お
よび表示画像信号補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、画像表示装置において、入力
画像信号に対応したガンマ補正や輝度補正が行われてい
る。ガンマ補正とは、画像表示装置の入力信号−出力輝
度特性(入力信号の変化に対する出力輝度の変化;ガン
マ特性と呼ばれる)を補正するものである。このような
補正により、出力画像の輝度や色味(色度)、コントラ
スト比を調整することで、入力原画像にほぼ等しい画像
を表示することが可能となる。また、入力原画像に対し
てコントラスト比を調整した画像を表示するなどして表
示品位を自由に調整することも可能となる。
【0003】液晶表示装置に関するガンマ補正技術とし
て、特開平10−126648号公報には、入力アナロ
グ画像信号をAD(アナログ−ディジタル)変換器でデ
ィジタル信号に変換したうえでガンマ補正するガンマ補
正回路において、入力アナログ画像信号をAD変換器の
間口(アナログ入力電圧範囲)に対応して選択された増
幅度で増幅した後にAD変換器でディジタル信号に変換
し、次いで、増幅度の選択情報と関連して定められたガ
ンマ補正特性によってガンマ補正を行うガンマ補正回路
が開示されている。この構成では、少ないビット数の変
換処理でガンマ補正を広帯域でかつ高精度に行うことが
でき、ガンマ補正を広帯域でかつ高精度に行うために必
要な回路のコストを低くすることが可能である。
【0004】また、特開平5−64037号公報には、
輝度計で測定した透過率特性に基づき、入力電圧−出力
輝度特性を表す関数を線形化するように液晶表示装置に
適応したガンマ補正曲線を求め、得られたガンマ補正曲
線を用いてR(赤)G(緑)B(青)各色の信号に対し
て適正なガンマ補正処理を行うガンマ補正回路が開示さ
れている。
【0005】さらに、CRT(陰極線管)表示装置に関
するガンマ補正技術として、特開平5−145942号
公報には、CRT表示装置のRGB各色のガンマ特性を
測定し、この測定したガンマ特性を用いて、RGB信号
の各レベルの輝度比が一定になるように色補正を行うと
ともにガンマ補正を行うことが開示されている。
【0006】また、液晶ディスプレイ用カラー光源の輝
度補正技術として、特開平1−158416号公報(特
公平7−109456号公報)には、低輝度時にRGB
各色の比視感度が低下することによってカラーバランス
が崩れて見えることを防止するために、RGB各色用発
光素子群の輝度レベルを共通に調整する第1の輝度調整
手段と、第1の輝度調整手段によって調整された輝度レ
ベルに応じて、緑色用発光素子群、赤色用発光素子群、
および青色用発光素子群の間での輝度レベルのバランス
を調整する第2の輝度調整手段とを設けることが開示さ
れている。
【0007】従来より、CRT表示装置には、通常、逆
ガンマ補正された画像信号が入力されるようになってい
る。逆ガンマ補正とは、原画像の光強度と画像表示装置
の各画素の輝度とを比例させるために、画像表示装置の
入力信号−出力輝度特性(ガンマ特性)を表す非線形関
数の逆関数を用いて画像信号を補正するものである。C
RT表示装置のガンマ特性を表す非線形関数は、指数関
数で近似表現することができ、ガンマ値と呼ばれる指数
値は、通常、約2.2程度である。したがって、CRT
表示装置には、通常、CRT表示装置のガンマ値が2.
2であるとして、逆ガンマ補正された画像信号が入力さ
れる。
【0008】一般に市販されている製造メーカの異なる
2種のCRT表示装置DおよびEにおける平均入力輝度
信号レベル(入力画像信号の画面全体での平均輝度信号
レベル)Gに対するガンマ値γ(G)および最大出力輝
度imax (G)の変化を測定した結果を図10に示す。
なお、図10に示す曲線のうち、γDと示す曲線が一方
のCRT表示装置Dのガンマ値γ(G)を表す曲線、γ
Eと示す曲線が他方のCRT表示装置Eのガンマ値γ
(G)を表す曲線、imax Dと示す曲線がCRT表示装
置Dの最大出力輝度imax (G)を表す曲線、imax
と示す曲線がCRT表示装置Eの最大出力輝度i
max (G)を表す曲線である。また、平均入力輝度信号
レベルGは、最大値を100%として表した相対値であ
り、最大出力輝度は最大値が1となるように規格化した
値である。
【0009】図10で示される測定データから、平均入
力輝度信号レベルGがある一定の範囲内である大部分の
入力画像では、最大出力輝度imax (G)およびガンマ
値γ(G)はほぼ一定であるが、その範囲を外れるよう
な平均入力輝度信号レベルGを持つ入力画像では、最大
出力輝度imax (G)が低減するという特徴が読み取れ
る。
【0010】図10によれば、平均入力輝度信号レベル
Gが約60%であるときには、実際に測定されたガンマ
値γ(G)も約2.2となっている。したがって、この
ときには、CRT表示装置は、入力された画像信号を線
形化処理した画像、つまり逆ガンマ補正される前の原画
像(撮影画像)を忠実に再生している。
【0011】しかしながら、平均入力輝度信号レベルG
が約60%より低いときや、約60%より高いときにお
いては、CRT表示装置の画像出力のガンマ値γ(G)
が2.2を示さないため、線形化処理が完全でなく、原
画像(撮影画像)に忠実な表示が得られない。
【0012】ところが、本願発明者等の検討によれば、
このような表示特性であれば、平均入力輝度信号レベル
が低いときに、図12に示すように、暗部の出力輝度が
相対的に持ち上げられた入力信号−出力輝度特性となる
ので、暗部の視認性が向上するという表示上の利点が得
られることが分かった。
【0013】また、本願発明者等の検討によれば、この
ような表示特性であれば、平均入力輝度信号レベルが高
い場合には、図13に示すように、明部の出力輝度が相
対的に下げられた入力信号−出力輝度特性となり、か
つ、画面全体の出力輝度が相対的に低下するため、明る
い部分において、白つぶれがなく、また、まぶしさを感
じることもなく、視認性が向上することが分かった。
【0014】CRT表示装置のこのような表示特性によ
って、表示における画像の視認性が向上しているという
ことは一般に認識されていない。なお、必ずしも全ての
CRT表示装置がこのような表示特性を示すものではな
いが、一般的なCRT表示装置では、CRT表示装置に
特有の駆動電流の増加によるCRTの焼損を防止する目
的で表示輝度の増加に伴う駆動電流の増加を制限する回
路(自動輝度制限回路)が設けられているため、このよ
うな表示特性を示すのが普通である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】一方、バックライト等
の発光素子と液晶パネル等の光スイッチング素子とで構
成されているような表示装置、例えば液晶表示装置で
は、画像信号を表示装置で再生する際、表示画像の最大
輝度は発光素子の出力で概ね決定され、入力信号−出力
輝度特性は概ね光スイッチング素子の特性で決定され
る。表示画像の最大輝度と入力信号−出力輝度特性と
は、互いに独立した特性である。そして、このような表
示装置では、液晶表示装置の場合の測定結果を示す図1
1から明らかなように、表示画像における最大出力輝度
max (G)と、入力信号−出力輝度特性を表す非線形
関数を指数関数で近似表現した場合の指数値(ガンマ
値)γ(G)とが、入力画像の平均入力輝度信号レベル
G(背景部の入力輝度信号レベルHにほぼ等しい)によ
らず一定である。
【0016】ここで、前述の民生用CRT表示装置の表
示特性(輝度特性)と、このような液晶表示装置の表示
特性(輝度特性)とを本願発明者が主観的に比較したと
ころ、画質の自然さの点においては、CRT表示装置の
ような表示特性(輝度特性)を有している方がやや望ま
しいことが分かった。
【0017】図11は、液晶表示装置において、液晶表
示装置内の信号処理回路により、入力画像信号の逆ガン
マ補正と、液晶の電圧−光学変換特性の補正(線形特性
からのずれの補正)とを行った結果得られた入力信号−
出力輝度特性を示している。
【0018】図11に示す入力信号−出力輝度特性を持
つ液晶表示装置に対してTV放送局から送信される画像
信号等の逆ガンマ補正された画像信号が入力された場
合、液晶表示装置の表示面における再生画像の出力輝度
特性は、図14に示すようになる。
【0019】この出力輝度特性では、規格化輝度信号レ
ベルが0.4以上の輝度が高い部分で、規格化輝度が線
形特性よりもかなり高くなっている。この出力輝度特性
では、画像を視認した際に全体が白く浮いたような印象
を強く与える画像が得られ、入力画像を正しく再生でき
ない。
【0020】また、図11で示されるような再生画像の
出力輝度特性であると、平均輝度が高い画像を表示する
場合に、全体的に輝度が高くなってしまう。そのため、
観視者にとって、画面全体がまぶしく感じられ、明るい
部分の微小な輝度差が十分に認識できなくなり、見かけ
上、白つぶれを起こしたような印象を受ける。また、逆
に、平均輝度が低く暗い画像を表示する場合、暗部は、
ほぼ線形特性で再生されるものの、全体的に暗いために
暗部の視認性が十分でない印象を観視者に与える。
【0021】これに対し、CRT表示装置においては、
平均輝度が低いときの最大出力輝度が比較的高いので、
暗部の視認性が比較的良く感じられる。また、平均輝度
が高い全体的に明るい画像を表示する場合には、最大出
力輝度が相対的に低くなるため、まぶしさが抑えられ、
全体的に見易さの向上がやや見られる。
【0022】このような表示特性による視認性や白浮き
等の色調の不具合は、CRT表示装置、液晶ディスプレ
イやプラズマディスプレイ等のフラットディスプレイ装
置、投射型表示装置において顕著に見られる。
【0023】ところで、前記従来のガンマ補正技術は、
表示装置のガンマ特性が画像の種類によって変化しない
ことを前提としており、どのような画像に対しても同じ
設定値(ガンマ値)で補正を行うようになっている。そ
のため、上述したような液晶表示装置における視認性の
不足を改善することはできない。
【0024】また、前記従来の輝度補正技術は、カラー
光源の出力調整に係るものであり、液晶ディスプレイに
入力される画像信号のレベルについては、何ら考慮され
ていない。したがって、この技術でも、上述したような
液晶表示装置における視認性の不足を改善することはで
きない。
【0025】本来、表示画像が入力信号から忠実に再生
されるためには少なくとも表示装置の画像表示面でほぼ
線形な入力信号−出力輝度特性を示す必要がある。ま
た、観視者にとって自然な映像を実現するためには、画
像再生の輝度特性や色調特性のような入出力特性を任意
に調整できる構成とすることが考えられるが、そのよう
な構成にすると、画像表示装置の信号処理回路の構成が
複雑化する、コストが増大する等の問題を生じる。
【0026】本発明は、上記従来の問題に鑑みなされた
ものであり、その目的は、高い表示品位で画像を表示す
ることが可能な画像表示装置および画像信号補正装置を
提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、表示装置(表
示部)の最大出力輝度および/または入力信号−出力輝
度特性を入力された画像信号の平均信号レベルに応じて
設定することで、上記目的を達成するものである。
【0028】すなわち、本発明の画像表示装置は、上記
の課題を解決するために、画像を表示するための複数の
画素を有する表示部を備え、各画素毎の情報を表す画素
信号を含む画像信号が入力されるようになっている画像
表示装置において、全ての画素信号のレベルの平均を平
均信号レベルとして演算する平均信号レベル演算部と、
画素信号のレベルに対する画素の輝度の変化を表す入力
信号−出力輝度特性を、上記平均信号レベルに応じて設
定する入力信号−出力輝度特性設定部と、設定された入
力信号−出力輝度特性を満たすように画像信号を補正す
る信号補正部とを備えることを特徴としている。
【0029】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て入力信号−出力輝度特性を変化させることができるの
で、例えば、平均信号レベルに係わらず入力信号−出力
輝度特性が一定であるような表示部(液晶表示装置等)
を用いても、入力信号−出力輝度特性の非線形関数を指
数関数で近似表現した場合の指数値(CRT表示装置に
おいてはガンマ指数) が平均信号レベルの増加に従って
増加するような特性を持つ画像表示装置を実現できる。
それゆえ、全体的に暗い画像(平均輝度が低い画像)に
おける暗部の視認性や、全体的に明るい画像(平均輝度
が高い画像)における明部の視認性に優れた画像表示装
置を提供することができる。したがって、上記構成によ
れば、表示部の入力信号−出力輝度特性が平均信号レベ
ルに応じて変化するか否かにかかわらず、高い表示品位
で画像を表示することが可能な画像表示装置を提供する
ことができる。
【0030】また、上記画像表示装置の好ましい形態
は、上記平均信号レベルに応じて表示部の画素の最大出
力輝度を調整する最大出力輝度調整部をさらに備える構
成である。
【0031】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て表示部の画素の最大出力輝度を調整することができる
ので、例えば、平均信号レベルに係わらず最大出力輝度
が一定であるような表示部(液晶表示装置等)を用いて
も、平均信号レベルの増加に従って最大出力輝度が小さ
くなるような特性を持つ画像表示装置を実現できる。そ
れゆえ、平均信号レベルが高い画像信号が入力されたと
きに、画面のまぶしさを軽減することができるととも
に、直視の際の網膜漂白化現象による一時的な盲目化を
防止することができ、全体的に明るい画像の視認性に優
れた画像表示装置を提供することができる。すなわち、
上記構成によれば、入力信号−出力輝度特性と表示部の
最大出力輝度との両者を画像信号の平均信号レベルに応
じて変化させることにより、表示部の種類によらず、高
い表示品位で画像を表示することが可能な画像表示装置
を提供することができる。
【0032】また、本発明の画像表示装置は、上記の課
題を解決するために、画像を表示するための複数の画素
を有する表示部を備え、各画素毎の情報を表す画素信号
を含む画像信号が入力されるようになっている画像表示
装置において、全ての画素信号のレベルの平均を平均信
号レベルとして演算する平均信号レベル演算部と、上記
平均信号レベルに応じて表示部の画素の最大出力輝度を
調整する最大出力輝度調整部とを備えることを特徴とし
ている。
【0033】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て表示部の画素の最大出力輝度を調整することができる
ので、例えば、平均信号レベルに係わらず最大出力輝度
が一定であるような表示部(液晶表示装置等)を用いて
も、平均信号レベルの増加に従って最大出力輝度が小さ
くなるような特性を持つ画像表示装置を実現できる。そ
れゆえ、平均信号レベルが高い画像信号が入力されたと
きに、画面のまぶしさを軽減することができるととも
に、直視の際の網膜漂白化現象による一時的な盲目化を
防止することができ、全体的に明るい画像の視認性に優
れた画像表示装置を提供することができる。したがっ
て、上記構成によれば、表示部の平均信号レベル−最大
出力輝度特性によらず、高い表示品位で画像を表示する
ことが可能な画像表示装置を提供することができる。
【0034】上記各構成の画像表示装置における平均信
号レベルに応じた最大出力輝度値および/または入力信
号−出力輝度特性の設定は、任意の設定が可能である。
そのため、上記各構成の画像表示装置のこの部分だけを
取り出せば、様々な形態の表示装置における表示品位の
評価や、高品位の画像再生パラメータを現行の表示装置
に適用する際の評価等にも有効である。
【0035】すなわち、本発明の画像信号補正装置は、
上記の課題を解決するために、各画素毎の情報を表す画
素信号を含む画像信号が入力され、該画像信号を補正し
て複数の画素を有する表示装置に出力するようになって
いる画像信号補正装置において、全ての画素信号のレベ
ルの平均を平均信号レベルとして演算する平均信号レベ
ル演算部と、画素信号のレベルに対する画素の輝度の変
化を表す入力信号−出力輝度特性を、上記平均信号レベ
ルに応じて設定する入力信号−出力輝度特性設定部と、
設定された入力信号−出力輝度特性を満たすように画像
信号を補正する信号補正部とを備えることを特徴として
いる。
【0036】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て画像信号補正装置の入力信号−表示装置出力輝度特性
を変化させることができるので、例えば、平均信号レベ
ルに係わらず入力信号−出力輝度特性が一定であるよう
な表示装置(液晶表示装置等)を用いても、全体的に暗
い画像(平均輝度が低い画像)における暗部の視認性
や、全体的に明るい画像(平均輝度が高い画像)におけ
る明部の視認性に優れた画像を表示することができる。
したがって、上記構成によれば、表示装置の入力信号−
出力輝度特性が平均信号レベルに応じて変化するか否か
にかかわらず、高い表示品位で画像を表示させることが
可能な画像信号補正装置を提供することができる。
【0037】また、上記画像信号補正装置の好ましい形
態は、上記平均信号レベルに応じて表示装置の画素の最
大出力輝度が変化するように画像信号を補正する最大出
力輝度調整部をさらに備える構成である。
【0038】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て表示装置の画素の最大出力輝度を調整することができ
るので、例えば、平均信号レベルに係わらず最大出力輝
度が一定であるような表示装置(液晶表示装置等)を用
いても、平均信号レベルの増加に従って最大出力輝度が
小さくなるような表示を実現できる。それゆえ、平均信
号レベルが高い画像信号が入力されたときに、画面のま
ぶしさを軽減することができるとともに、直視の際の網
膜漂白化現象による一時的な盲目化を防止することがで
き、全体的に明るい画像の視認性を向上させることがで
きる。すなわち、上記構成によれば、入力信号−出力輝
度特性と表示部の最大出力輝度との両者を画像信号の平
均信号レベルに応じて変化させることにより、表示装置
の種類によらず、高い表示品位で画像を表示することが
可能な画像信号補正装置を提供することができる。
【0039】また、本発明の画像信号補正装置は、上記
の課題を解決するために、各画素毎の情報を表す画素信
号を含む画像信号が入力され、該画像信号を補正して複
数の画素を有する表示装置に出力するようになっている
画像信号補正装置において、全ての画素信号のレベルの
平均を平均信号レベルとして演算する平均信号レベル演
算部と、上記平均信号レベルに応じて、表示装置の画素
の最大出力輝度が変化するように画像信号を補正する最
大出力輝度調整部とを備えることを特徴としている。
【0040】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て表示装置の画素の最大出力輝度を調整することができ
るので、例えば、平均信号レベルに係わらず最大出力輝
度が一定であるような表示装置(液晶表示装置等)を用
いても、平均信号レベルの増加に従って最大出力輝度が
小さくなるような特性を持つ表示を実現できる。それゆ
え、平均信号レベルが高い画像信号が入力されたとき
に、画面のまぶしさを軽減することができるとともに、
直視の際の網膜漂白化現象による一時的な盲目化を防止
することができ、全体的に明るい画像の視認性を向上さ
せることができる。したがって、上記構成によれば、表
示装置の平均信号レベル−最大出力輝度特性によらず、
高い表示品位で画像を表示することが可能な画像表示装
置を提供することができる。
【0041】上記平均信号レベル演算部は、単位期間内
における全ての画素信号のレベルの平均を平均信号レベ
ルとして演算するものであることが好ましい。上記単位
期間は、1フレームのような1つの画像を構成する期間
全体であってもよいし、1フィールドあるいは数フィー
ルドにわたる期間等のような1つの画像を構成する期間
の一部であってもよい。また、上記平均信号レベル演算
部は、適当なサンプリング周期で全画素信号の瞬間的な
電圧レベルをサンプリングし、サンプリングされた各電
圧レベルの平均を平均信号レベルとして演算するもので
あってもよい。
【0042】上記最大出力輝度調整部は、上記平均信号
レベルが上昇するにしたがって最大出力輝度をより小さ
く調整するものであることが望ましい。これにより、平
均信号レベルが高い画像信号が入力されたときに、画面
のまぶしさを軽減することができるとともに、直視の際
の網膜漂白化現象による一時的な盲目化を防止すること
ができ、全体的に明るい画像の視認性を向上させること
ができる。
【0043】また、上記入力信号−出力輝度特性設定部
は、入力信号−出力輝度特性を指数関数で近似表現した
場合の指数値(CRT表示装置においてはガンマ指数)
を、平均信号レベルの上昇に伴ってより大きい値に設定
するものであることが望ましい。これにより、全体的に
暗い画像(平均輝度が低い画像)における暗部の視認性
や、全体的に明るい画像(平均輝度が高い画像)におけ
る明部の視認性を向上することができる。
【0044】さらに、上記最大出力輝度調整部は、上記
平均信号レベルが上昇するにしたがって最大出力輝度を
より小さく調整するものであり、かつ、上記入力信号−
出力輝度特性設定部は、入力信号−出力輝度特性を指数
関数で近似表現した場合の指数値(CRT表示装置にお
いてはガンマ指数)を、平均信号レベルの上昇に伴って
より大きい値に設定するものであることが、より一層好
ましい。これにより、全体的に明るい画像(平均輝度が
高い画像)における明部の視認性をより一層向上させる
とともに全体的に暗い画像(平均輝度が低い画像)にお
ける暗部の視認性を向上させることができる。
【0045】上記各構成の画像表示装置および画像信号
補正装置において、入力される画像信号は、各画素毎の
輝度情報を表す輝度信号からなる白黒映像信号であって
もよく、各画素毎の輝度情報を表す輝度信号と各画素毎
の色度情報を表す色度信号とからなるカラー映像信号で
あってもよく、三原色あるいはそれより多くの原色の各
色成分信号を含むカラー映像信号であってもよい。
【0046】入力される画像信号が各画素毎の輝度情報
を表す輝度信号を含む場合、上記平均信号レベル演算部
は、全ての輝度信号のレベルの平均を平均信号レベルと
して演算するものであることが望ましい。これにより、
装置構成を簡素化できる。
【0047】すなわち、標準的な画像表示装置では、画
像信号として、輝度信号と色差信号とからなる形態のカ
ラー映像信号が入力される。この場合、カラー映像信号
を構成する信号のうち、表示部の入力信号−出力輝度特
性や最大出力輝度に影響を与えるのは、輝度信号であ
る。そのため、上記平均信号レベル演算部において、輝
度信号および色差信号の両方を利用して平均信号レベル
を演算するよりも、輝度信号だけを利用して平均信号レ
ベルを演算する方が、処理される信号の数が減る分、装
置構成を簡素化できる。
【0048】また、入力画像信号が三原色(例えば、R
GB)、あるいはそれより多くの原色の各色成分信号を
含むカラー映像信号である場合、上記平均信号レベル演
算部は、色成分信号から輝度値に相当する値のレベルの
平均を演算するものであることが望ましい。輝度値に相
当する値のレベルの平均を演算する方法としては、変換
式により全ての色の色成分信号から輝度に相当する値を
算出した後、算出された値を平均する方法であってもよ
いし、全ての色の色成分信号を平均した後、得られた平
均値を変換式により輝度に相当する平均値に変換する方
法であってもよい。また、輝度信号のレベルの平均を演
算する方法として、全ての色の色成分信号を利用せず、
一部の色の色成分信号のみを用いて平均信号レベルを演
算する方法を採用してもよい。この場合にも、前述した
全ての色の色成分信号成分を利用する場合と同様に、輝
度に相当する値への変換と平均値の演算との順序は任意
である。
【0049】さらに、このような各色成分信号を含むカ
ラー映像信号が入力される場合、上記平均信号レベル演
算部は、輝度値に相当する値のレベルの平均を算出する
ものでなくともよく、各色成分信号の少なくとも1つの
レベルの平均を平均信号レベルとして演算するものであ
ってもよい。すなわち、例えば、RGBの三原色信号が
画像信号として入力される場合、G信号のみを取り出し
てG信号のレベルの平均値を平均信号レベルとして算出
してもよいし、各色成分信号毎のレベルの平均値を平均
信号レベルとして算出してもよい。
【0050】入力される画像信号が各画素毎の輝度情報
を表す輝度信号を含む場合、上記入力信号−出力輝度特
性設定部は、輝度信号のレベルに対する画素の輝度の変
化を表す入力輝度信号−出力輝度特性を、上記平均信号
レベルに応じて設定するものであり、上記信号補正部
は、設定された入力輝度信号−出力輝度特性を満たすよ
うに輝度信号を補正するものであることが好ましい。
【0051】また、入力される画像信号が、三原色(例
えば、RGB)あるいはそれより多くの原色の各色成分
信号を含む場合、上記入力信号−出力輝度特性設定部
は、各色成分信号の少なくとも1つのレベルに対する画
素の輝度の変化を表す入力信号−出力輝度特性を、上記
平均信号レベルに応じて設定するものであり、上記信号
補正部は、設定された入力信号−出力輝度特性を満たす
ように各色成分信号の少なくとも1つを補正するもので
あることが好ましい。
【0052】信号補正部を備える構成の画像表示装置お
よび画像信号補正装置では、入力された画像信号の画素
信号を平均信号レベルの演算および入力信号−出力輝度
特性の設定に要する時間だけ遅延させた後に信号補正部
へ出力する遅延部がさらに備えられていることが望まし
い。
【0053】入力された画像信号をそのまま信号補正部
に送ると、その画素信号に対応する平均信号レベルが算
出され入力信号−出力輝度特性が設定されるまで、画像
信号の補正ができない。そのため、入力された画像信号
を連続的に処理することできず、その結果、表示部(表
示装置)において入力画像をリアルタイムで表示(再生
出力)することができない。
【0054】これに対し、前記のように入力された画像
信号を平均信号レベルの演算および入力信号−出力輝度
特性の設定に要する時間だけ遅延させる遅延部を設けた
構成では、画像信号が信号補正部に出力されるタイミン
グと、入力信号−出力輝度特性設定部によって設定され
た入力信号−出力輝度特性が信号補正部に出力されるタ
イミングとを同期させることができる。これにより、表
示部(表示装置)において入力画像をリアルタイムで表
示(再生出力)することができる。
【0055】上記遅延部は、入力された画像信号の画素
信号を一時待避しておく必要がある。そのため、上記遅
延部は、画像データを一時的に記憶可能な記憶手段、例
えば、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等である
方が望ましい。
【0056】入力信号−出力輝度特性設定部は、計算式
を用いて平均信号レベルから入力信号−出力輝度特性を
表すパラメータを演算する構成であってもよい。また、
入力信号−出力輝度特性設定部は、平均信号レベルと入
力信号−出力輝度特性とを対応付けるルックアップテー
ブルをメモリ等の記憶装置に記憶させておき、このルッ
クアップテーブルを参照して入力信号−出力輝度特性を
設定する構成であってもよい。上記のルックアップテー
ブルは、予め様々な入力信号−出力輝度特性を測定し、
得られた測定結果に基づいて作成すればよい。
【0057】上記信号補正部が、入力信号−出力輝度特
性パラメータを用いて演算処理を行うものである場合、
上記信号補正部は、入力信号−出力輝度特性パラメータ
を用いた演算処理により、入力信号−出力輝度特性に対
応した入出力特性で画素信号を変換する第1の信号補正
部と、表示部(表示装置)の入力信号−出力輝度特性に
おける線形特性からのずれを補正する第2の信号補正部
とにより構成されることが望ましい。
【0058】上記構成によれば、第2の信号補正部にお
ける補正の結果、第2の信号補正部と表示部とを合わせ
たものの入力信号−出力輝度特性が、線形特性となる。
そのため、第1の信号補正部は、入力信号−出力輝度特
性パラメータのみを用いた単純な演算処理を行うだけで
よく、演算部の構造が簡単になる。
【0059】これに対し、第2の信号補正部がない場
合、入力信号−出力輝度特性パラメータと、表示部の入
力信号−出力輝度特性パラメータとの両方を用いて画像
信号を補正する必要があり、演算部の構造が複雑にな
る。
【0060】なお、第2の信号補正部では、画素信号を
表示部(表示装置)の入力信号−出力輝度特性を表す関
数の逆関数を用いて画素信号を変換するようにすればよ
い。ただし、異なる複数の種類の表示部(表示装置)で
表示を行う場合、表示部(表示装置)の種類が特定され
ないので、表示部(表示装置)の入力信号−出力輝度特
性が様々な特性に変化する可能性がある。そのため、こ
の場合、予め各種の表示部(表示装置)の入力信号−出
力輝度特性を表示部(表示装置)の種類に対応付けてR
AM等の記憶装置あるいはハードディスク等の記憶媒体
に記憶させておき、第2の信号補正部が、この記憶内容
を参照することで表示部(表示装置)の入力信号−出力
輝度特性の逆特性の入出力特性で画像信号を補正するよ
うにすることが好ましい。
【0061】上記表示部(表示装置)は、発光素子と、
発光素子からの光を各画素毎に制御するための光スイッ
チング素子とを備えていればよい。したがって、表示部
(表示装置)は、発光素子の機能を兼ね備える発光型の
光スイッチング素子(発光型表示素子)、例えば、CR
T、発光ダイオード、プラズマディスプレイパネル(P
DP)、FED(Field Emission Display)等を備える構
成であってもよく、発光素子と、自らは発光しないで発
光素子からの光を制御または変調する非発光型の光スイ
ッチング素子(非発光型表示素子)、例えば液晶表示素
子等とを備える構成であってもよい。
【0062】上記表示部(表示装置)が、例えば透過型
液晶表示装置等のように、発光素子と非発光型の光スイ
ッチング素子とを備え、これらが互いに独立に制御され
得る構成である場合、上記最大出力輝度調整部は、最大
出力輝度を演算し、演算結果を発光素子に出力する構成
であることが好ましい。また、最大出力輝度の演算は、
規格化した形の最大出力輝度を演算した後、その演算結
果と外部から与えられた輝度基準値とに基づいて最大出
力輝度を演算することにより行われるようになっている
ことが望ましい。
【0063】一方、上記表示部(表示装置)が、光スイ
ッチング素子の機能を兼ね備える発光素子、すなわち発
光型の光スイッチング素子を備える構成である場合、上
記最大出力輝度調整部が、最大出力輝度を演算する構成
であるとともに、信号補正部で補正された画像信号を最
大出力輝度の演算結果に基づいて変換処理し、変換処理
された画像信号を発光型の光スイッチング素子へ出力す
る信号変換部がさらに備えられていることが望ましい。
【0064】上記各構成における演算を行う部分(平均
信号レベル演算部、入力信号−出力輝度特性設定部、信
号補正部、および最大出力輝度調整部)は、回路によっ
てハードウェア的に実現されていることが望ましいが、
ソフトウェア的に実現されていてもかまわない。すなわ
ち、上記各構成における演算を行う各部は、各演算部の
演算処理を記述したコンピュータプログラムを記憶する
RAM等の記憶手段と、該コンピュータプログラムを実
行するCPU(Central Processing Unit) とによって実
現されていてもよい。
【0065】次に、本願発明者等が本発明をなした課程
を、図6ないし図9に基づいて詳細に説明する。
【0066】図6および図7は、種々の表示装置が、入
力された画像信号に対してどのような表示特性を示すか
を模式的に示した図である。図6および図7は、3つの
互いに異なる表示特性を持つ表示装置30A〜30Cに
対して、それぞれ画像信号S1およびS5を入力した様
子を示している。
【0067】図6においては、一般的なTV放送におけ
るような逆ガンマ補正された画像信号S1が入力されて
いる。したがって、画像信号S1の入力レベル(原画像
の光強度)に対する出力レベル(画像信号の電圧レベ
ル)の変化を表す曲線C1の傾きは、入力レベルの増加
にしたがって減少する。このような画像信号S1が入力
される理由は、概ね、曲線C2で示すようなガンマ特
性、すなわち、入力レベル(画像信号の電圧レベル)に
対する出力レベル(輝度)の変化を表す曲線C2の傾き
が入力レベルの増加にしたがって増加する表示特性を有
するCRT表示装置30Aで画像が再生されることが前
提であり、この傾きの変化を打ち消すように逆ガンマ補
正を行っているからである。そのため、表示装置が、図
6のCRT表示装置30Aのようなガンマ特性を持って
いれば、CRT表示装置30Aから出力(表示)される
画像S2の出力レベル(輝度)は、曲線C5で示すよう
に入力レベル(原画像の光強度)に対して線形になる。
【0068】一般的に、表示装置は、画像信号源(原画
像)からの入力(光強度)に対して様々な入出力特性
(表示特性)を持っている。このため、CRT表示装置
30Aにおいてほぼ忠実に再生される入力画像が、他の
表示装置、例えば、曲線C3で表されるような入出力特
性を持つ表示装置30Bや、曲線C4で表されるような
入出力特性を持つ表示装置30Cにおいては、曲線C6
およびC7で示すように、原画像からの入力レベルに対
して非線形の出力レベルを持つ画像S3およびS4が出
力され、原画像が忠実に再生されないといったことが生
じている。
【0069】また、図7の曲線C8で示されるような入
力レベル(原画像の光強度)に対する出力レベル(画像
信号の電圧レベル)の変化が線形である画像信号S5が
入力される場合、例えば、コンピュータ等で作成された
画像データが直接入力される場合には、入力された画像
信号S5に対して補正を行わなければ、画像信号S5
は、表示装置30A〜30Cにおいて、曲線C9〜C1
1で示すような表示装置30A〜30Cの入出力特性に
応じた特性を持つ画像に変換されて出力される。そのた
め、表示装置30A〜30Cでは、曲線C12〜C14
で示すように、原画像からの入力レベルに対して非線形
の出力レベルを持つS6〜S8が出力される。したがっ
て、表示装置30A〜30Cの表示画面上では、原画像
(入力画像)が正しく再生されないことが分かる。
【0070】このような表示装置(表示デバイス)の入
出力特性について、より詳しく述べる。
【0071】CRT表示装置のような表示装置において
は、一般的に、入力信号電圧−出力輝度変換特性をガン
マ(γ) 特性と呼び、次の式(1)のように表す。
【0072】
【数1】
【0073】ここで、Iは出力輝度、Vは入力信号電
圧、指数値γは、ガンマ値と呼ばれる非線形パラメータ
である。また、a およびbはオフセット定数である。
【0074】入力信号が、米国映画テレビ技術者協会
(SMTPE)のテレビ規格であるSMPTE規格17
0Mまたは240M、もしくは、旧来の方式であった電
波法/CCIR(国際無線通信諮問委員会)勧告624
/RS170Aにおいて規定される輝度−信号電圧変換
式によって逆ガンマ補正された通常のTV画像信号であ
る場合について考える。このTV画像信号は、γ=2.
2のCRT表示装置に入力することを想定して逆ガンマ
補正されたものであるので、CRT表示装置で表示すれ
ば、一定条件においては特別な処理を施すことなく原画
像がほぼ線形化されて出力される。入力信号電圧は、入
力輝度信号レベルと概ね比例関係にあるので逆ガンマ処
理された入力輝度信号レベルgに対して、簡単化のため
式(1)においてa=b=0とし、gが最大値の時に得
られる最大輝度(最大出力輝度)i max を用いて式
(1)を書き換えると、次の式(2)のように表現でき
る。
【0075】
【数2】
【0076】このようにおくことで、入力と出力の関係
を表示装置の制約を取り払って信号処理の部分で考える
ことができる。ここでは、概念を説明するため、式
(1)の定数項を省略して考えているが、式(1)をそ
のまま用いて、CRT表示装置の特性をより詳細に記述
してもよい。これにより、以下に述べる式の精度がさら
に向上する。
【0077】CRT表示装置を例にとると、平均入力輝
度信号レベルGに応じてその系での最大出力輝度imax
が構造上決定されている。そのため、式(2)における
最大輝度imax を平均入力輝度信号レベルGの関数i
max (G)として書き改めると、Iは、gおよびGの関
数となり、次の式(3)のように表記することができ
る。
【0078】
【数3】
【0079】ここで、平均入力輝度信号レベルGは、表
示装置の各画素P(x,y)に対応して入力される輝度
信号のレベルgxyの平均値であり次式として表現でき
る。
【0080】
【数4】
【0081】なお、画素P(x,y)は、i行(i≧
2)×j列(j≧2)のマトリックス状に配列された複
数画素のうちのx行目(1≦x≦i)y列目(1≦y≦
j)の画素を表すものとする。
【0082】しかしながら、一般のCRT表示装置にお
いて、図8および図9で示されるように平均入力輝度信
号レベルGに対する最大出力輝度imax およびガンマ値
γのの変化を調べたところ、図10で示されるように、
最大出力輝度imax だけでなく、ガンマ値γも平均入力
輝度信号レベルGの変化に伴って変化する。そのため、
最大出力輝度imax と同様に、ガンマ値γも、平均入力
輝度信号レベルGの関数として書き換える必要がある。
【0083】つまり、図8の特性を元にすれば、式
(3)は次の式(5)のように書き改めることができ
る。
【0084】
【数5】
【0085】式(5)によれば、平均入力輝度信号レベ
ルGに応じた最大出力輝度imax (G)およびガンマ値
γ(G)を設定すれば、入力輝度信号に対してCRT表
示装置以外の表示装置を用いてCRT表示装置と同様の
入出力特性で表示を行うことや、より再現性の良い入出
力特性で画像再生を行うことができることが分かる。
【0086】そこで、任意の表示装置の規格化された入
力信号−出力輝度特性を表す関数Dを、規格化された入
力輝度信号レベルginput および規格化された出力輝度
レベルgoutputを用いて定義すると、 goutput=D(ginput )・・・・・(6) の関係となる。
【0087】ここで、信号レベルや特性を規格化した理
由は、表示装置の種類によって入力される信号や出力さ
れる信号の精度が異なっている場合や、表示装置の種類
によって出力輝度のスケールが異なる場合が想定される
からである。すなわち、表示装置の調整によって、例え
ば、入力信号が8ビットであり出力信号が10ビットで
ある場合や、入力信号が8ビットであり出力信号が6ビ
ットである場合、出力輝度のスケールが、ある設定値に
おいては10であったものが別の設定値においては20
になる場合等が起こりうるからである。
【0088】実際の信号処理においては、ginput 、g
output、およびimax の値を予め0〜1の範囲内の値と
なるように規格化しておけば、最終的な信号形態への変
換は、演算結果を信号の最大表現数(nビットのディジ
タル信号であれば、最大表現数2n −1)に乗じれば良
いので、計算を容易に行うことができる。
【0089】以上のことから、最適な表示出力を得るた
めには、入力画像信号に対して種々の画像信号の補正が
必要となることが分かった。
【0090】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明の画像表
示装置の実施の一形態について、図1に基づいて説明す
れば以下の通りである。
【0091】本実施形態の画像表示装置は、図1に示す
ように、画像を表示するための複数の画素(図示しな
い)を有する表示装置(表示部)8と画像信号補正装置
7とを備え、各画素毎の情報を表す画素信号を含む画像
信号g0 (輝度信号レベルg0)が画像信号補正装置7
を介して表示装置8に入力されるようになっている。
【0092】画像信号補正装置7は、全ての画素信号の
レベルの平均を平均入力輝度信号レベルGとして演算す
る平均信号レベル演算回路(平均信号レベル演算部)1
と、画素信号のレベルに対する画素の輝度の変化を表す
入力信号−出力輝度特性を、平均入力輝度信号レベルG
に応じて設定する入力信号−出力輝度特性設定回路(入
力信号−出力輝度特性設定部)2と、平均入力輝度信号
レベルGに応じて表示装置8の画素の最大出力輝度を調
整する最大出力輝度調整回路(最大出力輝度調整部)3
と、設定された入力信号−出力輝度特性を満たすように
画像信号g0 を補正する信号補正部4とを備えている。
【0093】信号補正部4は、設定された入力信号−出
力輝度特性に等しい入出力特性で画像信号g0 を補正す
るγ(G)補正回路(第1の信号補正部)5と、表示装
置8の入出力特性(入力信号−出力輝度特性)に対して
逆特性の入出力特性でさらに画像信号g1 を補正する逆
特性補正回路(第2の信号補正部)6とを備えている。
【0094】次に、上記画像表示装置を用いた画像再生
方法について説明する。
【0095】まず、平均信号レベル演算回路1にて、逆
ガンマ補正された入力画像信号g0の輝度信号レベルg
0 から平均入力輝度信号レベルGを演算する。
【0096】次いで、入力信号−出力輝度特性設定回路
2にて、画像表示装置の入力信号−出力輝度特性を指数
関数で近似表現した場合の指数値(ガンマ値)γ(G)
を平均入力輝度信号レベルGから演算する。具体的に
は、画像表示装置の入力信号−出力輝度特性を指数関数
で近似表現した場合の指数値(ガンマ値)γ(G)を、
例えば前記の図10の曲線γDのように、平均入力輝度
信号レベルGが高くなるにつれて大きくなるように設定
する。
【0097】さらに、信号補正部4にて、画像表示装置
の入力信号−出力輝度特性を指数関数で近似表現した場
合の指数値(ガンマ値)がその設定値γ(G)に一致す
るように入力画像信号g0 を補正し、補正後の画像信号
0 を表示装置8へ出力する。具体的には、まず、γ
(G)補正回路5にて、設定値γ(G)を指数値とする
指数関数を用いて、画像信号g0 の輝度信号レベルg0
から画像信号g1 の輝度信号レベルg1 を算出し、輝度
信号レベルg1 を持つ画像信号g1 を生成する。次い
で、逆特性補正回路6にて、表示装置8の入力信号−出
力輝度特性を表す関数の逆関数を用いて、画像信号g1
の輝度信号レベルg1 から画像信号gout の輝度信号レ
ベルgout を算出し、輝度信号レベルgout を持つ画像
信号gout を表示装置8へ出力する。
【0098】また、最大出力輝度調整回路3にて、平均
入力輝度信号レベルGに応じて表示装置8の画素の最大
出力輝度を調整する。具体的には、平均入力輝度信号レ
ベルGから表示装置8の最大出力輝度imax (G)を演
算し、この演算結果を最大出力輝度iout として表示装
置8へ出力する。最大出力輝度imax (G)の演算は、
例えば前記の図10の曲線imax Dのように、平均入力
輝度信号レベルGが高くなるにつれて最大出力輝度i
max (G)が小さくなるような演算とする。
【0099】この場合、表示装置8の表示素子に入力さ
れる画像信号gout の輝度信号レベルgout および表示
装置8の最大出力輝度iout は、次の式(7)および式
(8)で表現することができる。
【0100】
【数6】
【0101】また、最終的な表示装置8の出力輝度I
は、次の式(9)のように表現することができる。
【0102】
【数7】
【0103】なお、gout は前記の式(6)のginput
に対応する規格化された入力輝度信号レベルを表し、D
-1()は、表示装置8の規格化された出力輝度レベルg
d (前記の式(6)のgoutputに対応する)を表す関数
D(gout )の逆関数である。
【0104】このように、本発明に係る画像表示装置で
は、逆ガンマ補正された画像信号g 0 における平均入力
輝度信号レベルGを参照値としてガンマ値γ(G)と最
大出力輝度imax (G)とを設定することによって、表
示装置8の種類によらず再現性の良い高品位の画像が表
示可能となる。
【0105】なお、前述の式(2)〜(9)において
は、入力画像信号の輝度信号に対しての処理を示した
が、実際の画像表示装置においては、輝度信号を表示素
子駆動用の駆動電圧v1 に変換する処理、および最大出
力輝度iout を表示装置8の発光素子の駆動電圧v2
変換する処理が、一般的に含まれている。
【0106】このため、式(9)は、次の式(10)の
ようにも表現できる。
【0107】
【数8】
【0108】ここで、式中のVは、輝度信号電圧の平均
入力電圧値を示す。
【0109】また、輝度信号レベルgout から表示装置
8の表示素子の駆動電圧v1 への変換、および最大出力
輝度iout から表示装置8の発光素子の駆動電圧v2
の変換は、線形関数V1 およびV2 を用いて、次の式
(11A)および(11B)のように表現できる。
【0110】v1 =V1 (gout )・・・(11A) v2 =V2 (iout )・・・(11B) なお、式(10)や式(11A)、(11B)は、表示
装置8の動作形態が電圧値の変化によって駆動される形
態である場合のものであるが、表示装置8の動作形態が
他の信号、例えば、熱、光、圧力、振動、音波等の信号
によって駆動される形成である場合でも、式(10)や
式(11A)、(11B)と同様の式が成り立つ。
【0111】また、図1は、表示装置8が、互いに独立
に制御され得る表示素子および発光素子を備える場合の
画像表示装置の構成を示している。この場合、式(7)
により得られる画像信号gout (輝度信号レベル
out )および式(8)により得られる最大出力輝度i
out を、それぞれ表示素子および発光素子に入力すれぱ
よい。
【0112】なお、表示装置8が、発光素子の機能を兼
ね備えたスイッチング素子、すなわち、いわゆる発光型
表示素子(自発光型スイッチング素子)ぽ備える場合に
おいては、最大出力輝度iout の調整は、画像信号の信
号処理によって行う必要がある。
【0113】したがって、逆特性補正回路6にて表示装
置8の入力信号−出力輝度特性の逆特性の補正を行う前
の画像信号g1 に対して最大出力輝度iout を乗じるよ
うにすればよい。すなわち、この場合、画像信号補正装
置7から出力される画像信号gout の輝度信号レベルg
out は、次の式(12)で表される。
【0114】
【数9】
【0115】また、最終的な出力輝度Iは、次の式(1
3)で表現することができる。なお、信号の表現形態
は、前述と同様である。
【0116】
【数10】
【0117】ここでは、テレビ放送用の画像等の逆ガン
マ補正された画像信号g0 が入力された場合の画像信号
の処理の概略について説明した。そのため、この場合に
は、特に前処理を行う必要がなかったが、例えば、コン
ピュータ等の画像信号を生成可能な装置から直接線形化
された画像信号が入力される場合には、逆ガンマ補正を
施してから、上記処理を行えばよい。
【0118】また、上述した画像信号の処理について
は、アナログ信号系及びデジタル信号系でも同様に行う
ことができるが、デジタル信号系で行う方が数値の演算
によって容易に行うことができ、パラメータの変更も容
易である。デジタル信号系で、アナログ信号が入力され
る場合には、アナログ信号をデジタル信号に変換してか
ら前述の処理を行えばよい。この処理におけるデジタル
データの階調表現ビット数としては少なくとも8ビット
以上であれば精度良く処理が可能であるが、精度があま
り必要でない場合や、構成をより簡略にする場合には表
現ビット数を8ビットよりも小さくして処理を行っても
よい。
【0119】上記の処理は、表示装置8は、例えば透過
型液晶表示装置等のようなスイッチング素子と発光素子
とが独立したものであってもよいし、FED(Field Emi
ssion Display)やPDPのように発光素子がスイッチン
グ素子と一体化しているものであっても、同様に適用が
でき、容易に表示品位を設定することが可能となる。
【0120】上記の処理において、画像表示装置の輝度
パラメータであるガンマ値γ(G)と最大出力輝度i
max (G)とは、自由な設定が可能である。そのため、
ガンマ値γ(G)および最大出力輝度imax (G)の種
々の設定パターンを記憶装置に記憶させておき、この記
憶内容を必要に応じて読み出すようにすれば、異なる表
示装置8を用いても、映像表示品位を統一することが容
易となる。
【0121】また、上記の画像信号補正装置7による信
号処理において、入力画像信号が輝度信号g0 と色差信
号とからなる場合には、出力輝度信号gout の信号レベ
ルg out が入力輝度信号g0 の信号レベルg0 のα(0
≦β≦1)倍であるとすると、色差信号に対しても同様
の係数αを乗じ、得られた色差信号を出力すればよい。
【0122】また、上記の画像信号補正装置7による信
号処理において、入力画像信号が、各色成分信号からな
り、各色成分信号の組み合わせにより輝度が表現されて
いる場合にも、上述した演算により得られた出力輝度信
号gout の信号レベルgoutが入力輝度信号g0 の信号
レベルg0 のβ(0≦β≦1)倍となったとすると、各
色成分信号をβ倍した結果を出力信号として出力すれば
よい。
【0123】また、上記の処理においては、入力された
画像信号の線形化された輝度信号を基準にした処理につ
いて示したが、R・G・B三原色、あるいはより多原色
の各色成分信号に対して独立に処理を行うように設定す
ることもできる。その場合は、式中の輝度信号レベルを
各色成分信号レベルに変更してそれぞれの処理をするだ
けで良い。この方法を用いた場合には、輝度信号のみに
よる補正を行う場合よりも高精度な補正が可能である一
方、独立パラメータの個数が増加し、パラメータを記憶
する記憶装置や演算処理回路等の装置コストが高くな
る。そのため、装置コストよりも精度の向上を優先する
場合にこの方法を適用すればよい。
【0124】〔実施の形態2〕次に、実施の形態1で説
明した実施の形態の好ましい形態を図2および図3に基
づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態
1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同
一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0125】本実施形態の画像表示装置は、図2に示す
ように、画像信号補正装置7’と、発光素子と表示素子
(スイッチング素子)とが独立に制御され得る表示装置
8とを備えている。
【0126】表示装置8は、図示しない複数の画素を有
する液晶パネル等の非発光型の表示素子16と、画像信
号補正装置7から出力された画像信号gout を表示駆動
用の信号(駆動信号)Sout に変換する液晶駆動回路等
の表示素子駆動形態変換回路15と、バックライト等の
発光素子18と、画像信号補正装置7から出力された最
大出力輝度iout を発光素子18の入力に応じた形態の
信号Iout に変換する発光素子駆動形態変換回路17、
例えば、最大出力輝度iout に対応した電圧を発生させ
る可変電圧源とを備えている。
【0127】画像信号補正装置7’は、実施の形態1と
同様の平均信号レベル演算回路1、入力信号−出力輝度
特性設定回路2、最大出力輝度調整回路3、および信号
補正部4に加えて、スイッチ9、逆ガンマ補正回路1
0、および遅延回路11を備えている。
【0128】スイッチ9は、逆ガンマ補正回路10から
の画像信号g0 と外部から入力された逆ガンマ補正され
た画像信号g0 とのいずれかを選択的に遅延回路11お
よび平均信号レベル演算回路1の両方へ出力するもので
ある。また、逆ガンマ補正回路10は、逆外部から入力
された線形補正された画像信号g0 ’を逆ガンマ補正
し、補正後の画像信号g0 をスイッチ9に出力するもの
である。
【0129】また、遅延回路11は、画像信号g0 が入
力信号−出力輝度特性設定回路2に出力されるタイミン
グと、画像表示装置の入力信号−出力輝度特性の設定パ
ラメータであるガンマ値γ(G)が信号補正部4に出力
されるタイミングとが同期するように、平均信号レベル
演算回路1における平均入力輝度信号レベルGの演算お
よび入力信号−出力輝度特性設定回路2におけるガンマ
値γ(G)の演算に要する時間だけ画像信号g0 を遅延
させるものである。
【0130】本実施形態の最大出力輝度調整回路3は、
平均入力輝度信号レベルGに基づいて、規格化された最
大出力輝度の設定値Imax を演算する最大出力輝度設定
回路12と、規格化された最大出力輝度の設定値Imax
と外部から与えられた輝度基準値αとに基づいて最大出
力輝度imax を演算し、演算結果を表示装置8の発光素
子駆動形態変換回路17に出力する輝度出力制御回路1
3とを備えている。
【0131】なお、図2では、逆ガンマ補正された画像
信号g0 と、線形補正された入力画像信号g0 ’との両
方を示しているが、これらは、必ずしも同時に入力され
るものではない。また、ここでは、説明の便宜上、逆ガ
ンマ補正された画像信号と、線形補正された入力画像信
号g0 ’をさらに逆ガンマ補正した画像信号とを、同じ
符号g0 で示すが、これらが同一の信号であることを示
すものではない。
【0132】また、本実施形態では、逆ガンマ補正され
た画像信号g0 および線形補正された画像信号(原画像
信号)g0 ’のいずれが入力されても対応可能な構成と
しているが、いずれか一方の画像信号の入力にのみ対応
する構成とすることも可能である。例えば、スイッチ9
および逆ガンマ補正回路10を省き、逆ガンマ補正され
た画像信号g0 の入力にのみ対応する構成としてもよ
い。
【0133】次に、上記画像表示装置を用いた画像再生
方法を図2および図3に基づいて説明する。なお、ここ
では、輝度信号レベルg0 ,g1 ,gout 、平均入力輝
度信号レベルG、最大出力輝度(照明輝度調整レベル)
max (G),iout 、および輝度基準値(外部輝度調
整レベル)αは、全て0〜1の値となるように規格化さ
れているものとする。
【0134】表示装置8の入力端(信号入力ポート)に
入力された画像信号g0 は、線形処理された画像信号g
0 ’である場合と、CRT表示装置向けに逆ガンマ補正
された画像信号g0 である場合とがあり得る。そのた
め、まず、線形処理された画像信号g0 ’が入力された
場合には、逆ガンマ補正回路10にて、逆ガンマ補正を
行う。一方、予め逆ガンマ補正された画像信号g0 が入
力された場合には、逆ガンマ補正を行わない。
【0135】次に、平均信号レベル演算回路1にて、逆
ガンマ補正された画像信号g0 に対して一定信号量分の
画像信号における画素信号レベルの平均AVE
(g0 xy)(=f1 (g0 ))を平均入力輝度信号レベ
ルGとして演算する。平均化される一定信号量分の画像
信号g0 は、1フィールドの画像分の画像信号g0 でも
良いし、適当な間隔でサンプリングした画素信号の電圧
値であってもよい。さらには、入力された画像信号g0
が輝度−色差信号(YPbPrあるいはYCbCr)で
ある場合は、輝度信号Yの平均信号レベルを演算すれば
よい。また、入力された画像信号g0 が三原色信号(R
GB)である場合には、三原色信号(RGB)の平均信
号レベルを演算してもよく、三原色信号(RGB)を輝
度信号Yに変換してから輝度信号Yの平均信号レベルを
演算してもよい。
【0136】次に、入力信号−出力輝度特性設定回路2
にて、平均入力輝度信号レベルGに応じて、入力信号−
出力輝度特性パラメータであるガンマ値γ(G)(=f
2 (G))を設定する。また、最大出力輝度調整回路3
にて平均入力輝度信号レベルGに対応する最大出力輝度
max (G)(=iout )を設定する。具体的には、ま
ず、最大出力輝度設定回路12にて、平均入力輝度信号
レベルGに基づいて、規格化された最大出力輝度の設定
値Imax (G)を演算する。次いで、輝度出力制御回路
13にて、規格化された最大出力輝度の設定値Imax
外部から与えられた輝度基準値αとを乗算し、得られた
値α・Imax を最大出力輝度imax (G)として発光素
子駆動形態変換回路17に出力する。
【0137】その後、γ(G)補正回路5にて、設定ガ
ンマ値γ(G)を指数値とする以下の式(14)で表さ
れる指数関数を用いて、画像信号g0 の輝度信号レベル
0から画像信号g1 の輝度信号レベルg1 を算出す
る。
【0138】
【数11】
【0139】このとき、入力画像信号g0 は、γ(G)
補正回路5へ供給される前に、平均信号レベル演算回路
1における平均入力輝度信号レベルGの演算および入力
信号−出力輝度特性設定回路2におけるガンマ値γ
(G)の演算に要する時間だけ遅延され、平均入力輝度
信号レベルGが同時刻の入力画像信号g0 に反映するよ
うに図られている。
【0140】次いで、逆特性補正回路6にて、表示装置
8の入力信号−出力輝度特性を表す関数の逆関数gout
=D-1(g1 )を用いて、画像信号g1 の輝度信号レベ
ルg 1 から画像信号gout の輝度信号レベルgout を算
出し、輝度信号レベルgoutを持つ画像信号gout を表
示素子駆動形態変換回路15へ出力する。
【0141】その後、画像信号gout は、表示素子駆動
形態変換回路15にて表示素子16の入力形態の信号S
out へと変換される。具体的には、例えば、図3に示す
ように、関数v1 =V1 (gout ) を用いて表示素子1
6に対応した駆動電圧レベルv1 (=Sout )に変換さ
れる。この際、最大輝度値gout がデータとして表示素
子駆動形態変換回路15に入力されるとすると、表示素
子駆動形態変換回路15では、最大輝度値gout のデー
タをnビットのディジタル信号(0〜2n −1)に変換
した後、nビットのディジタル信号を駆動電圧レベルv
1 (=Sout )に変換する。
【0142】一方、最大輝度値iout は、発光素子駆動
形態変換回路17にて発光素子18の駆動形態に対応し
た信号Iout に変換される。具体的には、例えば、図3
に示すように、関数v2 =V2 (iout ) を用いて表示
素子16に対応した駆動電圧レベルv2 (=Iout )に
変換される。この際、最大輝度値iout がデータとして
発光素子駆動形態変換回路17に入力されるとすると、
発光素子駆動形態変換回路17では、最大輝度値iout
のデータをnビットのディジタル信号(0〜2 n −1)
に変換した後、nビットのディジタル信号を駆動電圧レ
ベルv2 (=I out )に変換する。
【0143】本実施形態では、このような画像信号処理
を行うことで、表示素子16と発光素子18とが独立に
制御可能な表示装置8であれば、どのような輝度特性
(平均入力輝度信号レベル−ガンマ値特性および平均入
力輝度信号レベル−最大出力輝度特性)を持つ表示装置
8を用いても、最適な輝度特性を持つ画像表示装置を実
現することが可能となり、品質の高い表示を行うことが
できる。
【0144】〔実施の形態3〕本発明の他の実施の形態
について図4および図5に基づいて説明すれば、以下の
通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1ま
たは2にて示した各部材と同一の機能を有する部材に
は、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0145】本実施形態の画像表示装置は、図4に示す
ように、画像信号補正装置27と、表示素子(スイッチ
ング素子)自体が発光素子として機能する表示装置28
とを備えている。
【0146】表示装置28は、図示しない複数の画素を
有するCRT等の発光型表示素子23と、画像信号補正
装置27から出力された画像信号gout ’を表示駆動用
の信号(駆動信号)Sout ’に変換する発光型表示素子
駆動形態変換回路22とを備えている。
【0147】画像信号補正装置27は、実施の形態2の
画像信号補正装置7におけるγ(G)補正回路5と逆特
性補正回路6との間に、信号変換回路21が挿入され、
輝度出力制御回路13の出力が信号変換回路21に供給
されるようになっている以外は、実施の形態2の画像信
号補正装置7と同様である。
【0148】信号変換回路21は、γ(G)補正回路5
から出力された画像信号g1 の信号レベルg1 と最大出
力輝度i1 (=Imax (G))とを乗算し、得られた画
像信号g2 を逆特性補正回路6へ出力するものである。
【0149】次に、上記画像表示装置を用いた画像再生
方法を図4および図5に基づいて説明する。なお、ここ
では、輝度信号レベルg0 ,g1 ,g2 ,gout ’、平
均入力輝度信号レベルG、最大出力輝度(照明輝度調整
レベル)Imax (G),i1、および輝度基準値(外部
輝度調整レベル)αは、全て0〜1の値となるように規
格化されているものとする。
【0150】まず、入力画像信号g0 から適正な最大出
力輝度i1 (=Imax (G))およびガンマ値γ(G)
を算出し、γ(G)補正回路5にて入力画像信号g0
画像信号g1 に補正するまでの各工程は、実施の形態2
と同様である。
【0151】ただし、最大出力輝度調整回路3では、こ
の画像表示装置で予め設定されている、表示装置28で
出力可能な最大出力輝度レベルを100%として、平均
入力輝度信号レベルGに応じて最大出力輝度i
max (G)を変更する。
【0152】ここで、表示装置28で出力可能な最大出
力輝度レベルをY100 とし、平均入力輝度信号レベルG
の入力画像に対する最大出力輝度imax (G)とY100
との比率をαとおくと、次式が成り立つ。
【0153】α=Imax (G)/Y100 ・・・(15) ここで、次式のように設定しておけばよい。
【0154】Y100 =Imax (G100 )・・・(16) 本実施形態では、これらの各工程の後に、信号変換回路
21にて、γ(G)補正回路5から出力された画像信号
1 の信号レベルg1 と最大出力輝度i1 (=I
max (G))とを乗算する。すなわち、画像信号g1
最大出力輝度i1 を乗じ、次式により、画像信号g2
求める。
【0155】g2 =i1 ・g1 ・・・(17) このように、画像信号(輝度信号)g1 に最大出力輝度
1 を乗算する信号変換を行っているのは、表示装置2
8の最大出力輝度が発光型表示素子23の入力信号レベ
ルに依存するためである。
【0156】その後は、得られた画像信号g2 を逆特性
補正回路6へ出力し、逆特性補正回路6にて、表示装置
28の入力信号−出力輝度特性を表す関数の逆関数g
out ’=D-1(g2 )を用いて、画像信号g2 の輝度信
号レベルg2 から画像信号gou t ’の輝度信号レベルg
out ’を算出する。
【0157】さらに、輝度信号レベルgout ’を持つ画
像信号gout ’が、発光型表示素子駆動形態変換回路2
2へ出力され、発光型表示素子駆動形態変換回路22に
て表示装置28に対応した入力形態の信号Sout ’へと
変換される。具体的には、例えば、図5に示すように、
関数v3 =V3 (gout ’) を用いて発光型表示素子2
3に対応した駆動電圧レベルv3 (=Sout ’)に変換
される。この際、最大輝度値gout ’がデータとして発
光型表示素子駆動形態変換回路22に入力されるとする
と、発光型表示素子駆動形態変換回路22では、最大輝
度値gout ’のデータをnビットのディジタル信号(0
〜2n −1)、例えば、8ビットのディジタル信号(0
〜255)に変換した後、nビットのディジタル信号を
駆動電圧レベルv3 (=Sout ’)に変換する。
【0158】本実施形態では、このような画像信号処理
を行うことで、どのような輝度特性(平均入力輝度信号
レベル−ガンマ値特性および平均入力輝度信号レベル−
最大出力輝度特性)を持つ発光型表示素子を備える表示
装置28を用いても、最適な輝度特性を持つ画像表示装
置を実現することが可能となり、品質の高い表示を行う
ことができる。
【0159】なお、以上の各実施の形態では、平均入力
輝度信号レベルに応じて、画像表示装置の入力信号−出
力輝度特性と表示部の画素の最大出力輝度との両方を調
整することで、品質の高い表示を得ていたが、平均入力
輝度信号レベルに応じて、画像表示装置の入力信号−出
力輝度特性と表示部の画素の最大出力輝度との一方だけ
を調整しても、ある程度品質の高い表示を得ることが可
能である。
【0160】
【実施例】〔実施例1〕まず、高品位のCRT表示装置
である市販のHDTV(高品位テレビ)を用いて、平均
入力輝度信号レベル(全画面での入力輝度信号の平均
値)と、入力輝度信号データおよび最大出力輝度との関
係を測定した。
【0161】測定には、1920×1035ピクセルサ
イズのフレーム画像の中央に150×150ピクセルサ
イズのボックスを設けた画像を用い、ボックスの入力輝
度信号レベルB(最大値を100%として表した相対
値)と、背景部(ボックス以外の部分)の入力輝度信号
レベルH(最大値を100%として表した相対値)とを
変化させ、ボックスの出力輝度を色彩輝度計により測定
した。また、入力輝度信号には、線形化されたデータを
用いた。
【0162】測定の結果、背景部の入力輝度信号レベル
Hを固定してボックスの入力輝度信号レベルBを変化さ
せた場合の各ボックスの出力輝度は、図8に示す通りで
あった。また、背景部の入力輝度信号レベルHを固定し
て画面の平均入力輝度信号レベルGに対するボックスの
出力輝度をプロットすると、図9に示す通りであった。
【0163】この場合、ボックスの面積は、全画面の面
積の1.13%であり、十分に小さい。そのため、背景
部の入力輝度信号レベルHは、画像全体の平均入力輝度
信号レベルGに等しいとみなしても、差し支えない。
【0164】そこで、本実施例では、前記の実施の形態
1の構成において、CRT表示装置D(またはE)の表
示特性と同様な表示(再生)をするために、設定パラメ
ータ、すなわち最大出力輝度imax (G)およびガンマ
値γ(G)の設定値を、平均入力輝度信号レベルGに対
応して図10に示す曲線imax D(またはimax E)お
よび曲線γD(またはγE)のように変化させた。これ
により、CRT表示装置以外の表示装置、例えば、液晶
表示装置を用いて、CRT表示装置D(またはE)と同
様の、平均入力輝度信号レベル−最大出力輝度特性(平
均入力輝度信号レベルGに対する最大出力輝度i
max (G)の変化)および平均入力輝度信号レベル−ガ
ンマ値特性(平均入力輝度信号レベルGに対するガンマ
値γ(G)の変化)を有する画像表示装置が実現でき
る。
【0165】そして、この画像表示装置では、図8〜図
10の結果から、平均入力輝度信号レベルGが低い場合
に、ガンマ値γ(G)が増加され暗部の出力輝度が相対
的に増加されることによって暗部の視認性が向上するこ
とが期待される。また、平均入力輝度信号レベルGが高
い場合には、ガンマ値γ(G)が減少され明部の出力輝
度が相対的に減少されることによって、明部の視認性が
向上することが期待される。さらに、平均入力輝度信号
レベルGが高い場合には、最大出力輝度imax(G)が
減少され画面のまぶしさが抑えられることによって、視
認性が増すことも期待される。
【0166】次に、一般的な液晶表示装置の入力信号−
出力輝度特性を、CRT表示装置と同様な手法で測定し
た。ただし、ここでは、液晶表示装置として、NTSC
(全米テレビシステム委員会)方式表示用の液晶表示装
置を用いたので、HDTVとの表示画素数等の違いを考
慮して、ボックスの面積を画面全体の面積の約1%にな
るように設定した。得られた測定結果を、最大値を基準
に規格化して図11に示す。なお、図11に示す入力信
号−出力輝度特性は、液晶表示装置において、液晶表示
装置内の信号処理回路により、入力画像信号の逆ガンマ
補正と、液晶の電圧−光学変換特性の補正(線形特性か
らのずれの補正)とを行った結果得られた入力信号−出
力輝度特性を示している。この液晶表示装置の入力信号
−出力輝度特性は、平均入力輝度信号レベルG(=背景
部の入力輝度信号レベルH)によらずほぼ一定であっ
た。
【0167】図11の特性は、CRT表示装置に対して
用いられるような非線形な指数関数で近似表現すると輝
度の高い部分で誤差が大きくなったため、6次多項式に
よって近似表現し、処理を行った。
【0168】これらの入力信号−出力輝度特性をシミュ
レータにより図3に示される信号処理を通して液晶表示
装置に適用した。平均入力輝度信号レベルGがほぼ0%
である場合の液晶表示装置の入力信号−出力輝度特性を
図12に、平均入力輝度信号レベルGが75%程度であ
る場合の液晶表示装置の入力信号−出力輝度特性を図1
3に示した。
【0169】この処理形態では、図11で示される液晶
表示装置の入力信号−出力輝度特性は、式(9)で示さ
れる信号処理を通して線形特性に変換されるように処理
される。そのため、実質的には図10で示される入力信
号−出力輝度特性が液晶表示装置にて実現されている。
【0170】実際の画像で評価した結果、前述の期待さ
れる効果が得られた。また、図10に対応するデータを
異なる表示装置で測定しておき、得られた測定データを
記憶装置等に記憶させておけば、図1で示されるような
処理を経て任意の表示装置において画像を再現すること
が可能になる。
【0171】〔比較例1〕実施例1で用いた液晶表示装
置に対して、本発明に係る画像信号補正装置を適用せ
ず、入力画像信号をそのまま液晶表示装置へ入力した場
合の表示特性を図14に示した。逆ガンマ補正された画
像信号が入力されるとすると、液晶表示装置での表示結
果(出力輝度)が入力レベル(原画像の光強度)に対し
て線形特性を示せば、原画像(撮像された画像等)を忠
実に再生したことになる。図14の表示特性において
は、40%以上の輝度が高い部分で、相対的にレベルが
増加しているため、霞のかかったような白っぽい画像と
して認知される可能性が高い。
【0172】また、実際の画像で評価した結果、入力信
号−出力輝度特性が線形である画像と比較して全体的に
白っぽい表示として視認された。また、そのために、画
像の色調はやや色があせたように感じられ、画像の質感
はみずみずしさが損なわれているように感じられた。
【0173】
【発明の効果】本発明の画像表示装置は、以上のよう
に、全ての画素信号のレベルの平均を平均信号レベルと
して演算する平均信号レベル演算部と、画素信号のレベ
ルに対する画素の輝度の変化を表す入力信号−出力輝度
特性を、上記平均信号レベルに応じて設定する入力信号
−出力輝度特性設定部と、設定された入力信号−出力輝
度特性を満たすように画像信号を補正する信号補正部と
を備える構成である。
【0174】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て入力信号−出力輝度特性を変化させることができるの
で、例えば、平均信号レベルに係わらず入力信号−出力
輝度特性が一定であるような表示部(液晶表示装置等)
を用いても、全体的に暗いときや明るいときの視認性に
優れた画像表示装置を提供することができる。したがっ
て、上記構成は、表示部の入力信号−出力輝度特性が平
均信号レベルに応じて変化するか否かにかかわらず、高
い表示品位で画像を表示することが可能な画像表示装置
を提供することができるという効果を奏する。
【0175】また、上記画像表示装置の好ましい形態
は、上記平均信号レベルに応じて表示部の画素の最大出
力輝度を調整する最大出力輝度調整部をさらに備える構
成である。
【0176】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て表示部の画素の最大出力輝度を調整することができる
ので、例えば、平均信号レベルに係わらず最大出力輝度
が一定であるような表示部(液晶表示装置等)を用いて
も、全体的に明るい画像を表示するときの画面のまぶし
さを軽減することができるとともに直視の際の網膜漂白
化現象による一時的な盲目化を防止することができ、全
体的に明るい画像の視認性に優れた画像表示装置を提供
することができる。したがって、上記構成は、表示部の
種類によらず、高い表示品位で画像を表示することが可
能な画像表示装置を提供することができるという効果を
奏する。
【0177】また、本発明の画像表示装置は、以上のよ
うに、全ての画素信号のレベルの平均を平均信号レベル
として演算する平均信号レベル演算部と、上記平均信号
レベルに応じて表示部の画素の最大出力輝度を調整する
最大出力輝度調整部とを備える構成である。
【0178】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て表示部の画素の最大出力輝度を調整することができる
ので、例えば、平均信号レベルに係わらず最大出力輝度
が一定であるような表示部(液晶表示装置等)を用いて
も、全体的に明るい画像を表示するときの画面のまぶし
さを軽減することができるとともに直視の際の網膜漂白
化現象による一時的な盲目化を防止することができ、全
体的に明るい画像の視認性に優れた画像表示装置を提供
することができる。したがって、上記構成は、表示部の
平均信号レベル−最大出力輝度特性によらず、高い表示
品位で画像を表示することが可能な画像表示装置を提供
することができるという効果を奏する。
【0179】本発明の画像信号補正装置は、以上のよう
に、全ての画素信号のレベルの平均を平均信号レベルと
して演算する平均信号レベル演算部と、画素信号のレベ
ルに対する画素の輝度の変化を表す入力信号−出力輝度
特性を、上記平均信号レベルに応じて設定する入力信号
−出力輝度特性設定部と、設定された入力信号−出力輝
度特性を満たすように画像信号を補正する信号補正部と
を備える構成である。
【0180】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て画像信号補正装置の入力信号−表示装置出力輝度特性
を変化させることができるので、例えば、平均信号レベ
ルに係わらず入力信号−出力輝度特性が一定であるよう
な表示装置(液晶表示装置等)を用いても、全体的に暗
い画像(平均輝度が低い画像)における暗部の視認性
や、全体的に明るい画像(平均輝度が高い画像)におけ
る明部の視認性に優れた画像を表示することができる。
したがって、上記構成は、表示装置の入力信号−出力輝
度特性が平均信号レベルに応じて変化するか否かにかか
わらず、高い表示品位で画像を表示させることが可能な
画像信号補正装置を提供することができるという効果を
奏する。
【0181】また、上記画像信号補正装置の好ましい形
態は、上記平均信号レベルに応じて表示装置の画素の最
大出力輝度が変化するように画像信号を補正する最大出
力輝度調整部をさらに備える構成である。
【0182】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て表示装置の画素の最大出力輝度を調整することができ
るので、例えば、平均信号レベルに係わらず最大出力輝
度が一定であるような表示装置(液晶表示装置等)を用
いても、全体的に明るい画像を表示するときの画面のま
ぶしさを軽減することができるとともに、直視の際の網
膜漂白化現象による一時的な盲目化を防止することがで
き、全体的に明るい画像の視認性を向上させることがで
きる。したがって、上記構成は、表示装置の種類によら
ず、高い表示品位で画像を表示することが可能な画像信
号補正装置を提供することができるという効果を奏す
る。
【0183】また、本発明の画像信号補正装置は、以上
のように、全ての画素信号のレベルの平均を平均信号レ
ベルとして演算する平均信号レベル演算部と、上記平均
信号レベルに応じて、表示装置の画素の最大出力輝度が
変化するように画像信号を補正する最大出力輝度調整部
とを備える構成である。
【0184】上記構成によれば、平均信号レベルに応じ
て表示装置の画素の最大出力輝度を調整することができ
るので、例えば、平均信号レベルに係わらず最大出力輝
度が一定であるような表示装置(液晶表示装置等)を用
いても、全体的に明るい画像を表示するときの画面のま
ぶしさを軽減することができるとともに、直視の際の網
膜漂白化現象による一時的な盲目化を防止することがで
き、全体的に明るい画像の視認性を向上させることがで
きる。したがって、上記構成は、表示装置の平均信号レ
ベル−最大出力輝度特性によらず、高い表示品位で画像
を表示することが可能な画像表示装置を提供することが
できるという効果を奏する。
【0185】上記最大出力輝度調整部は、上記平均信号
レベルが上昇するにしたがって最大出力輝度をより小さ
く調整するものであることが望ましい。これにより、平
均信号レベルが高い画像信号が入力されたときに、画面
のまぶしさを軽減することができるとともに、直視の際
の網膜漂白化現象による一時的な盲目化を防止すること
ができ、全体的に明るい画像の視認性を向上させること
ができるという効果が得られる。
【0186】また、上記入力信号−出力輝度特性設定部
は、入力信号−出力輝度特性を指数関数で近似表現した
場合の指数値(CRT表示装置においてはガンマ指数)
を、平均信号レベルの上昇に伴ってより大きい値に設定
するものであることが望ましい。これにより、全体的に
暗い画像(平均輝度が低い画像)における暗部の視認性
や、全体的に明るい画像(平均輝度が高い画像)におけ
る明部の視認性を向上させることができるという効果が
得られる。
【0187】さらに、上記最大出力輝度調整部は、上記
平均信号レベルが上昇するにしたがって最大出力輝度を
より小さく調整するものであり、かつ、上記入力信号−
出力輝度特性設定部は、入力信号−出力輝度特性を指数
関数で近似表現した場合の指数値(CRT表示装置にお
いてはガンマ指数)を、平均信号レベルの上昇に伴って
より大きい値に設定するものであることが、より一層好
ましい。これにより、全体的に明るい画像(平均輝度が
高い画像)における明部の視認性をより一層向上させる
とともに全体的に暗い画像(平均輝度が低い画像)にお
ける暗部の視認性を向上させることができるという効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像表示装置の概
略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す実施の形態のより好ましい形態に係
る画像表示装置であって、独立に制御される表示素子お
よび発光素子を表示部に備える画像表示装置の概略構成
を示すブロック図である。
【図3】図2に示す画像表示装置における信号処理の流
れを模式的に示すブロック図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る画像表示装置で
あって、発光型表示素子を表示部に備える画像表示装置
の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示す画像表示装置における信号処理の流
れを模式的に示すブロック図である。
【図6】逆ガンマ補正された画像信号が種々の表示装置
を通して出力されたときの入力信号−出力輝度特性の変
化を表示装置の入出力特性とともに模式的に表す説明図
である。
【図7】線形処理された画像信号が種々の表示装置を通
して出力されたときの入力信号−出力輝度特性の変化を
表示装置の入出力特性とともに模式的に表す説明図であ
る。
【図8】CRT表示装置の背景部の入力輝度信号レベル
が一定である場合における、ボックスの入力輝度信号レ
ベルに対するボックスの出力輝度の変化を示すグラフで
ある。
【図9】CRT表示装置の平均入力輝度信号レベルに対
するボックスの出力輝度の変化を示すグラフである。
【図10】CRT表示装置における、平均入力輝度信号
レベルに対する、規格化された最大出力輝度およびガン
マ値の変化を示すグラフである。
【図11】液晶表示装置の背景部の入力輝度信号レベル
が一定である場合における、ボックスの入力輝度信号レ
ベルに対するボックスの出力輝度の変化を示すグラフで
ある。
【図12】平均入力輝度信号レベルが0%であるときの
液晶表示装置の入力信号−出力輝度特性を示すグラフで
ある。
【図13】平均入力輝度信号レベルが75%である時の
液晶表示装置の入力信号−出力輝度特性を示すグラフで
ある。
【図14】本発明を適用しなかった場合の液晶表示装置
の入力信号−出力輝度特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 平均信号レベル演算回路(平均信号レベル演算部) 2 入力信号−出力輝度特性設定回路(入力信号−出力
輝度特性設定部) 3 最大出力輝度調整回路(最大出力輝度調整部) 4 信号補正部 5 γ(G)補正回路 6 逆特性補正回路 7 画像信号補正装置 7’ 画像信号補正装置 8 表示装置(表示部) 9 スイッチ 10 逆ガンマ補正回路 11 遅延回路 12 最大出力輝度設定回路 13 輝度出力制御回路 15 表示素子駆動形態変換回路 16 表示素子 17 発光素子駆動形態変換回路 18 発光素子 21 信号変換回路 22 発光型表示素子駆動形態変換回路 23 発光型表示素子 27 画像信号補正装置 28 表示装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04N 5/202 H04N 5/66 A 5/66 G09G 5/36 520A Fターム(参考) 5C006 AA11 AC21 AF45 AF46 BB11 BC16 FA54 FA56 5C021 RA07 XA34 XA35 5C058 BA05 BA07 BB25 5C080 AA01 AA09 BB05 DD03 EE29 FF09 GG09 JJ02 JJ05 5C082 AA02 BA12 BA35 BD09 CA11 CA81 DA51 MM10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】画像を表示するための複数の画素を有する
    表示部を備え、各画素毎の情報を表す画素信号を含む画
    像信号が入力されるようになっている画像表示装置にお
    いて、 全ての画素信号のレベルの平均を平均信号レベルとして
    演算する平均信号レベル演算部と、 画素信号のレベルに対する画素の輝度の変化を表す入力
    信号−出力輝度特性を、上記平均信号レベルに応じて設
    定する入力信号−出力輝度特性設定部と、 設定された入力信号−出力輝度特性を満たすように画像
    信号を補正する信号補正部とを備えることを特徴とする
    画像表示装置。
  2. 【請求項2】上記平均信号レベルに応じて表示部の画素
    の最大出力輝度を調整する最大出力輝度調整部をさらに
    備えることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
  3. 【請求項3】画像を表示するための複数の画素を有する
    表示部を備え、各画素毎の情報を表す画素信号を含む画
    像信号が入力されるようになっている画像表示装置にお
    いて、 全ての画素信号のレベルの平均を平均信号レベルとして
    演算する平均信号レベル演算部と、 上記平均信号レベルに応じて表示部の画素の最大出力輝
    度を調整する最大出力輝度調整部とを備えることを特徴
    とする画像表示装置。
  4. 【請求項4】上記入力信号−出力輝度特性設定部は、入
    力信号−出力輝度特性を指数関数で近似表現した場合の
    指数値を、平均信号レベルの上昇に伴ってより大きい値
    に設定するものであることを特徴とする請求項1または
    2記載の画像表示装置。
  5. 【請求項5】上記最大出力輝度調整部は、上記平均信号
    レベルが上昇するにしたがって最大出力輝度をより小さ
    く調整するものであることを特徴とする請求項2または
    3記載の画像表示装置。
  6. 【請求項6】上記入力信号−出力輝度特性設定部は、入
    力信号−出力輝度特性を指数関数で近似表現した場合の
    指数値を、平均信号レベルの上昇に伴ってより大きい値
    に設定するものであり、 上記最大出力輝度調整部は、上記平均信号レベルが上昇
    するにしたがって最大出力輝度をより小さく調整するも
    のであることを特徴とする請求項2記載の画像表示装
    置。
  7. 【請求項7】各画素毎の情報を表す画素信号を含む画像
    信号が入力され、該画像信号を補正して複数の画素を有
    する表示装置に出力するようになっている画像信号補正
    装置において、 全ての画素信号のレベルの平均を平均信号レベルとして
    演算する平均信号レベル演算部と、 画素信号のレベルに対する画素の輝度の変化を表す入力
    信号−出力輝度特性を、上記平均信号レベルに応じて設
    定する入力信号−出力輝度特性設定部と、 設定された入力信号−出力輝度特性を満たすように画像
    信号を補正する信号補正部とを備えることを特徴とする
    画像信号補正装置。
  8. 【請求項8】上記平均信号レベルに応じて、表示装置の
    画素の最大出力輝度が変化するように画像信号を補正す
    る最大出力輝度調整部をさらに備えることを特徴とする
    請求項7記載の画像信号補正装置。
  9. 【請求項9】各画素毎の情報を表す画素信号を含む画像
    信号が入力され、該画像信号を補正して複数の画素を有
    する表示装置に出力するようになっている画像信号補正
    装置において、 全ての画素信号のレベルの平均を平均信号レベルとして
    演算する平均信号レベル演算部と、 上記平均信号レベルに応じて、表示装置の画素の最大出
    力輝度が変化するように画像信号を補正する最大出力輝
    度調整部とを備えることを特徴とする画像信号補正装
    置。
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