JP3843332B2 - 電磁作動器駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁力で作動する電磁作動器の駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば車両において、ディーゼルエンジンのコモンレール圧や、エンジンの吸気系への補助空気量等を制御するためには、電磁作動器として、コイルへの通電電流に応じて開弁量が変化するリニアソレノイド式の電磁弁が用いられる。そして、こうした電磁作動器を駆動する装置は、電磁作動器(詳しくは、その電磁作動器のコイル)に流す電流の値によって、上記コモンレール圧や補助吸気量といった物理量を調節する。
【0003】
そして更に、この種の電磁作動器の駆動装置としては、特公平6−9004号公報に記載されているように、マイコン等から目標電流に対応したデューティ比で出力されるパルス信号と、電磁作動器に実際に流れている電流の検出値とに基づいて、抵抗とコンデンサとからなる積分回路を充放電させて、その積分回路のコンデンサの極性を上記パルス信号と同じ周期で変化させ、その極性変化を利用して電磁作動器への通電を断続させることにより、電磁作動器への通電電流を上記パルス信号のデューティ比で示される目標電流にフィードバック制御する、といったものがある。
【0004】
具体的な構成例を図5に示すと、この種の電磁作動器駆動装置は、大きくは、電磁作動器1に流れる電流を断続するスイッチング素子(この例ではPチャネルMOSFET)2と、電磁作動器1に流れる電流を検出する電流検出回路3と、電磁作動器1に流すべき電流の目標値(目標電流)に対応したデューティ比を有すると共に、その電磁作動器1の駆動を指示するパルス信号SPを、マイコン4等から受信する受信回路5と、抵抗R1とコンデンサC1とを直列接続してなると共に、電流検出回路3の検出する電流と受信回路5の受信するパルス信号SPとに基づいて充放電し、更にその時定数が上記パルス信号SPの周期よりも大である偏差積分回路6と、上記パルス信号SPと同じ周期で変化する上記コンデンサC1の充電電圧の極性に応じて、スイッチング素子としてのMOSFET2へ該MOSFET2をオン・オフさせる駆動信号を出力するスイッチング素子制御回路7とから構成されている。
【0005】
そして、図5の例において、MOSFET2のソースは負荷用電源電圧であるバッテリ電圧+Bに、ゲートはスイッチング素子制御回路7に、ドレインは電磁作動器1の一端(詳しくは、電磁作動器1のコイルの一端)に、夫々接続されている。よって、MOSFET2は、スイッチング素子制御回路7から当該MOSFET2のゲートに供給される駆動信号がローレベル(接地電位)の時にオンして、電磁作動器1に電流を流し、上記駆動信号がハイレベル(バッテリ電圧+B)の時にオフして、電磁作動器1への通電を遮断することとなり、そのMOSFET2のオン・オフにより、電磁作動器1に流れる電流が断続される。
【0006】
また、電流検出回路3は、電磁作動器1のMOSFET2側とは反対側の端部と接地電位との間に接続されて、電磁作動器1への通電経路の一部となる電流検出用の抵抗R2と、抵抗R2の接地電位側とは反対側の端部に一端が接続された抵抗R3と、その抵抗R3の他端と接地電位との間に接続された抵抗R4と、抵抗R3,R4同士の接続点に非反転入力端子(+端子)が接続されたオペアンプOP1と、オペアンプOP1の反転入力端子(−端子)と接地電位との間に接続された抵抗R5と、オペアンプOP1の反転入力端子と出力端子との間に接続された抵抗R6と、オペアンプOP1の出力端子と接地電位との間に接続された抵抗R7と、抵抗R6,R7同士とオペアンプOP1の出力端子との接続点に一端が接続され、他端が偏差積分回路6を構成するコンデンサC1の抵抗R1とは反対側の端部に接続された抵抗R8とから構成されている。
【0007】
そして、この電流検出回路3では、電磁作動器1に流れる電流と同じ電流が電流検出用の抵抗R2に流れ、その電流値に比例した電圧Viが、オペアンプOP1の出力端子から抵抗R8を介して、偏差積分回路6のコンデンサC1の一端へ出力される。
【0008】
一方、受信回路5は、一定の電源電圧VOM(この例では5V)にエミッタが接続されたPNPトランジスタT1と、そのトランジスタT1のエミッタとベースとの間に接続された抵抗R9と、マイコン4におけるパルス信号SPの出力端子(出力ポート)とトランジスタT1のベースとの間に接続された抵抗R10と、トランジスタT1のコレクタと接地電位との間に直列に接続された2つの抵抗R11,R12とから構成されている。そして、抵抗R11,R12同士の接続点が、偏差積分回路6を構成する抵抗R1のコンデンサC1とは反対側の端部に接続されている。
【0009】
この受信回路5では、トランジスタT1が、マイコン4からのパルス信号SPを受けてオン・オフする。つまり、トランジスタT1は、パルス信号SPがローレベル(接地電位)の時にオンし、パルス信号がSPがハイレベル(電源電圧VOM)の時にオフする。そして、トランジスタT1がオンした時には、抵抗R11,R12同士の接続点の電圧VDが、電源電圧VOMを抵抗R11,R12で分圧した値となり、トランジスタT1がオフした時には、上記電圧VDが0Vとなる。よって、抵抗R11,R12同士の接続点の電圧VDは、マイコン4からのパルス信号SPを反転させた波形のパルス信号となり、このような電圧VDが、偏差積分回路6の抵抗R1の一端に印加される。
【0010】
また、スイッチング素子制御回路7は、偏差積分回路6の抵抗R1とコンデンサC1との接続点に非反転入力端子(+端子)が接続され、上記コンデンサC1の抵抗R1とは反対側の端部に反転入力端子(−端子)が接続された比較器CMP1と、その比較器CMP1の出力端子と上記電源電圧VOMとの間に接続されたプルアップ用の抵抗R13と、ベースが比較器CMP1の出力端子に接続され、エミッタが接地電位に接続されたNPNトランジスタT2と、そのトランジスタT2のコレクタとバッテリ電圧+Bとの間に接続された抵抗R14と、トランジスタT2のコレクタとMOSFET2のゲートとの間に接続されて、そのトランジスタT2のコレクタの電圧をMOSFET2のゲートへ駆動信号として供給する抵抗R15とから構成されている。
【0011】
このスイッチング素子制御回路7では、偏差積分回路6におけるコンデンサC1の抵抗R1側の電圧(つまり比較器CMP1の非反転入力端子側の電圧)が、そのコンデンサC1の電流検出回路3側の電圧(つまり比較器CMP1の反転入力端子側の電圧)よりも高ければ、比較器CMP1の出力がハイレベルとなってトランジスタT2がオンし、MOSFET2への駆動信号が該MOSFET2をオンさせる方のローレベルとなる。逆に、上記コンデンサC1の抵抗R1側の電圧が、そのコンデンサC1の電流検出回路3側の電圧よりも低ければ、比較器CMP1の出力がローレベルとなってトランジスタT2がオフし、MOSFET2への駆動信号が該MOSFET2をオフさせる方のハイレベルとなる。
【0012】
このような電磁作動器駆動装置では、電磁作動器1の目標電流に対応するデューティ比を有したマイコン4からのパルス信号SPが受信回路5により受信され、偏差積分回路6が、その受信回路5により受信されたパルス信号(具体的には、上記抵抗R11,R12同士の接続点の電圧VD)と、電流検出回路3により検出される検出電流(具体的には、上記オペアンプOP1の出力電圧Vi)とに基づいて、充放電動作する。そして、偏差積分回路6のコンデンサC1の充電電圧の極性は、パルス信号SPと同じ周期で反転すると共に、そのデューティ比は目標電流と検出電流との偏差に対応した値となり、このようなコンデンサC1の充電電圧の極性に応じて、スイッチング素子制御回路7がMOSFET2をオン・オフすることにより、電磁作動器1への通電が断続されると共に、その断続によって流れる電流が、パルス信号SPのデューティ比に応じた目標値に制御される。
【0013】
具体的に説明すると、電磁作動器1に流れる電流値を示すオペアンプOP1の出力電圧Vi(以下、電流検出値Viともいう)が、電磁作動器1に流すべき目標電流値を示す上記電圧VD(以下、目標値VDともいう)より小なら、コンデンサC1の充電電圧極性は、電磁作動器1のインダクタンス分と偏差積分回路6の時定数とによる遅延時間後に、比較器CMP1の非反転入力端子側が反転入力端子側よりも大きい極性となる。これにより、比較器CMP1の出力がハイレベルとなって、トランジスタT2及びMOSFET2がオンとなり、電磁作動器1に流れる電流が増加して、電流検出値Viも増大する。そして、電流検出値Viが増大して目標値VDよりも大きくなれば、コンデンサC1の充電電圧極性は、電磁作動器1のインダクタンス分と偏差積分回路6の時定数とによる遅延時間後に、比較器CMP1の非反転入力端子側が反転入力端子側よりも小さい極性となる。これにより、比較器CMP1の出力がローレベルとなって、トランジスタT2及びMOSFET2がオフとなり、電磁作動器1に流れる電流が減少して電流検出値Viも減少する。
【0014】
よって、図4における時刻t5よりも左側の1段目から3段目に示すように、電流検出値Vi(オペアンプOP1の出力)は、マイコン4からのパルス信号SPに対し所定の遅延時間を伴って目標値VDに追従することとなり、スイッチング素子制御回路7からMOSFET2への駆動信号は、電磁作動器1に流れる電流がマイコン4からのパルス信号SPのデューティ比に応じた目標電流となるようなデューティ比で、且つ、マイコン4からのパルス信号SPに対して上記遅延時間分だけ位相が遅れたパルス信号となる。尚、図4の2段目における「PCV+」は、MOSFET2のドレインと電磁作動器1とを接続する当該電磁作動器駆動装置の出力端子の電圧(即ちMOSFETT2のドレイン電圧)を示している。
【0015】
そして、上記の動作が繰り返されることにより、電磁作動器1への通電電流がマイコン4からのパルス信号SPのデューティ比に対応した目標電流にフィードバック制御される。更に、この装置では、偏差積分回路6の充放電時定数がパルス信号SPの周期よりも大に設定されるため、偏差積分回路6の充電電圧が飽和することがなく、負荷用電源電圧としてのバッテリ電圧+Bが変動しても、パルス信号SPのデューティ比に応じた高精度の電流フィードバック制御が行われる。
【0016】
そして特に、このような電磁作動器駆動装置によれば、マイコン4は、目標電流に対応したデューティ比のパルス信号SPを出力するだけで良く、電流フィードバック制御のための処理を実施しなくても良いという利点がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の電磁作動器駆動装置では、電磁作動器1の電流経路の断線、電磁作動器1につながる端子の負荷用電源電圧や接地電位への短絡、及び、電磁作動器1自身のレアーショート(つまり、電磁作動器1のコイルの短絡)、といった駆動系の異常を検出して、スイッチング素子2を保護するなどのフェイルセーフを実施する必要がある。尚、電磁作動器1につながる端子とは、電磁作動器1自身の端子や、電磁作動器1と接続される当該電磁作動器駆動装置の出力端子である。
【0018】
そして、こうした駆動系の異常検出方法としては、一般に、特開平7−194175号公報に記載されている下記の(1)又は(2)の方法がある。
(1):電流検出値ViをAD変換器によりAD変換してマイコン4に入力させ、マイコン4が、そのAD変換値と所定の判定値とを大小比較して、異常の有無を判断する。
【0019】
(2):マイコン4が、電流フィードバック制御により補正される実際のスイッチング素子2への駆動信号の状態から異常の有無を判断する。つまり、電流フィードバック制御を行う装置では、電磁作動器1の電流経路が断線したり、電磁作動器1につながる端子が接地電位に短絡したりして、電磁作動器1に電流が流れなくなる異常が発生すると、電磁作動器1に一層大きな電流を流そうとして、スイッチング素子2への駆動信号のデューティ比が100%になり、逆に、電磁作動器1につながる端子が負荷用電源電圧に短絡するなどして、電磁作動器1に大きな電流が流れたままになると、電磁作動器1への電流を小さくしようとして、スイッチング素子2への駆動信号のデューティ比が0%になる。このため、スイッチング素子2への駆動信号をモニタすることで、異常を検出することができる。
【0020】
しかしながら、上記(1)の方法では、断線,短絡,レアーショートといったあらゆる異常を確実に検出するための判定値やAD変換タイミングの設定が非常に難しい上に、マイコン4での判定処理が複雑なものになってしまう。
つまり、電磁作動器は、リニアソレノイドやリニアソレノイド式の電磁弁であり、この種の電磁作動器では、一般に、作動時の機械的ヒステリシスを小さくするために、通電電流のリップル(脈動)が大きめに設定されることから、適切な判定値を決定するのが難しい。そして、偏差積分回路6を用いて電流フィードバック制御を行う駆動装置では、前述したように、マイコン4が出力するパルス信号SPと電流検出値Viの脈動及び実際の駆動信号とに位相差があるため、適切なAD変換タイミングも決定し難い。
【0021】
一方、上記(2)の方法では、実際の駆動信号のデューティ比が100%又は0%のままになったか否か、即ち駆動信号がレベル変化しなくなったか否かを判定するといった簡単な処理だけで、端子の接地電位や負荷用電源電圧への短絡と電流経路の断線との異常を検出することができるものの、電磁作動器自身のレアーショートを検出することは困難である。
【0022】
つまり、偏差積分回路6を用いて電流フィードバック制御を行う駆動装置において、電磁作動器がレアーショートした場合には、負荷のインダクタンス分が無くなるため、図4における時刻t5よりも右側の1段目から3段目に示す如く、スイッチング素子2は、偏差積分回路6とは無関係に、マイコン4からのパルス信号SPがオフ側のレベル(ここではハイレベル)の時にオフし、上記パルス信号SPがオン側のレベル(ここではローレベル)の時には、フィードバック系の遅れ分に相当する極短い周期でオン・オフを繰り返すこととなる。これは、スイッチング素子2がオンすると、即座に電流検出値Viが大きくなってスイッチング素子2がオフされ、スイッチング素子2がオフされると、即座に電流検出値Viが小さくなってスイッチング素子2がオンされる、といった動作が繰り返されるからである。そして、スイッチング素子2への駆動信号は、パルス信号SPがオン側のレベルの時にだけ、そのパルス信号SPよりも非常に高い周波数でレベル変化し、パルス信号SPがオフ側のレベルの時にはオフ側のレベルに固定されることとなる。このため、駆動信号がレベル変化しなくなったか否かを判定するといった簡単な処理だけでは、電磁作動器がレアーショートしても正常と判断してしまうこととなる。また、駆動信号のレベル変化間隔を計測して、異常の有無を判断するように構成すれば良いが、そのようにすると、マイコン4での処理負荷が増大してしまい、他の制御への影響が生じてしまう。
【0023】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、電磁作動器の電流経路の断線、端子の負荷用電源電圧や接地電位への短絡、及び電磁作動器自身のレアーショート、といったあらゆる異常を、非常に簡単な処理で検出することができる電磁作動器駆動装置を提供することを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するためになされた請求項1の電磁作動器駆動装置は、図5に例示した従来装置と同様に、電磁作動器に流れる電流を断続するスイッチング素子と、電磁作動器に流れる電流を検出する電流検出手段と、電磁作動器に流す電流の目標値に対応するデューティ比を有し前記電磁作動器の駆動を指示するパルス信号を、外部から受信する受信手段と、抵抗と第1のコンデンサとを有し、電流検出手段により検出された電流と受信手段の受信する前記パルス信号とに基づいて充放電し、その時定数が前記パルス信号の周期よりも大である偏差積分回路と、前記パルス信号と同じ周期で変化する前記第1のコンデンサの充電電圧の極性に応じて、前記スイッチング素子へ該スイッチング素子をオン・オフさせる駆動信号を出力するスイッチング素子制御手段とを備えている。
【0025】
そして特に、請求項1の電磁作動器駆動装置には、前記受信手段の受信するパルス信号がスイッチング素子をオンさせる方のレベル(以下、アクティブレベルという)である時にセット状態となり、前記パルス信号がアクティブレベルではなく且つスイッチング素子制御手段からスイッチング素子へ出力される駆動信号がアクティブレベルである時にリセットされるラッチ手段と、二値振幅の異常検出用信号を出力する異常検出用信号出力手段とが設けられている。そして、異常検出用信号出力手段の出力レベル(即ち、異常検出用信号のレベル)は、ラッチ手段がセット状態の時、或いは、スイッチング素子制御手段からスイッチング素子へ出力される駆動信号がアクティブレベルである時に、ハイとローとの内の特定のレベルとなり、ラッチ手段がリセット状態で且つ前記駆動信号がアクティブレベルでない時に、前記特定のレベルとは異なる方のレベルとなる。このため、その異常検出用信号出力手段の出力レベルである異常検出用信号は、以下に述べるように、正常時には前記パルス信号の周期と同じ周期でレベル変化する信号となり、異常発生時にはレベル変化しない信号となる。
【0026】
このような請求項1の電磁作動器駆動装置において、正常時には、異常検出用信号出力手段の出力レベルが、受信手段が受信する外部からのパルス信号と同じ周期でパルス状に変化することとなる。
これは、正常時において、この種の駆動装置では、前述したように、受信手段が受信するパルス信号SPとスイッチング素子への駆動信号とには位相差ができ、パルス信号SPがアクティブレベルからパッシブレベルに変化した時点では、駆動信号が未だアクティブレベルであるため、ラッチ手段は、パルス信号SPがアクティブレベルである期間だけセット状態になる。このため、ラッチ手段がセット状態である期間と、スイッチング素子への駆動信号がアクティブレベルである期間は、互いに位相差を持つこととなり、その位相差を持った両期間の論理和の期間だけ特定のレベルとなる異常検出用信号出力手段の出力は、図4における時刻t5よりも左側の6段目(「SM」)に示すように、受信手段が受信する外部からのパルス信号SPと同じ周期を持ったパルス信号となる。尚、図4の6段目(「SM」)では、ローレベルが特定のレベルに該当している。
【0027】
これに対して、まず、電磁作動器の電流経路が断線したり、電磁作動器につながる端子が接地電位に短絡して、電磁作動器に電流が流れなくなると、電流フィードバックの機能により、スイッチング素子制御手段からスイッチング素子への駆動信号が継続してアクティブレベルのまま(即ち、駆動信号のデューティ比が継続して100%)となり、それに伴い、異常検出用信号出力手段の出力は、レベル変化せずに特定のレベルのままとなる。
【0028】
また、電磁作動器につながる端子が負荷用電源電圧に短絡して、電磁作動器に大きな電流が流れたままになると、電流フィードバックの機能により、スイッチング素子制御手段からスイッチング素子への駆動信号が継続してパッシブレベルのまま(即ち、駆動信号のデューティ比が継続して0%)となる。すると、ラッチ手段がリセットされずにセット状態のままとなるため、この場合にも、異常検出用信号出力手段の出力は、レベル変化せずに特定のレベルのままとなる。
【0029】
また更に、電磁作動器自身がレアーショートした場合には、前述したように、スイッチング素子への駆動信号が、受信手段で受信されるパルス信号SPがオン側のアクティブレベルの時にだけ、そのパルス信号SPよりも非常に高い周波数でレベル変化し、パルス信号SPがオフ側のパッシブレベルの時には、駆動信号もオフ側のパッシブレベルとなる。よって、この場合にも、ラッチ手段がリセットされずにセット状態のままとなり、異常検出用信号出力手段の出力は、レベル変化せずに特定のレベルのままとなる。
【0030】
よって、請求項1の電磁作動器駆動装置によれば、マイコンやゲートアレイ等の情報処理装置に、異常検出用信号出力手段の出力(異常検出用信号)を入力し、そのマイコン等の情報処理装置にて、異常検出用信号がレベル変化しなくなったら異常と判断する、という簡単な処理を行うだけで、断線、端子の負荷用電源電圧や接地電位への短絡、及び電磁作動器自身のレアーショート、といったあらゆる異常の発生を確実に検出することができるようになる。
【0031】
また、この電磁作動器駆動装置によれば、上記情報処理装置へ1つの異常検出用信号を入力するだけで良く、しかも、その異常検出用信号の信号ラインの異常をも検出することができる。つまり、異常検出用信号の信号ラインが断線したり何等かの電位に短絡して、その異常検出用信号のレベルが変化しなくなっても、異常が発生したと判断されるからである。
【0032】
ところで、ラッチ手段は、CMOSなどの論理回路で構成しても良いが、請求項2に記載の如く、受信手段の受信するパルス信号SPがアクティブレベルである時に充電される第2のコンデンサと、前記パルス信号SPがアクティブレベルではなく且つスイッチング素子への駆動信号がアクティブレベルである時に前記第2のコンデンサを放電させる放電用抵抗とを有し、前記第2のコンデンサが充電状態である時にセット状態となり、前記第2のコンデンサが放電された状態の時にリセット状態となる充放電回路とすれば、一層効果的である。つまり、コンデンサ及び抵抗といった低価格且つノイズに強いディスクリート部品でラッチ手段が構成され、当該駆動装置の低価格化と信頼性向上とを高い次元で両立させることができるからである。
【0033】
また、請求項2の電磁作動器駆動装置において、異常検出用信号出力手段は、請求項3に記載の如く、前記第2のコンデンサの充電電圧と所定の基準電圧とを比較して、前記第2のコンデンサの充電電圧の方が大きい時(即ち、ラッチ手段がセット状態の時)に、出力レベルが前記特定のレベルとしてのローレベルとなる第1の比較器と、出力端子が前記第1の比較器の出力端子と共通接続されると共に、前記スイッチング素子制御手段からスイッチング素子への駆動信号がアクティブレベルである時に出力レベルがローレベルとなる第2の比較器と、その両比較器の出力端子を、前記特定のレベルとは異なる方のレベルとしてのハイレベルに相当する電圧にプルアップするプルアップ用抵抗とから構成することができる。
【0034】
そして、このようにすれば、比較器及び抵抗といった汎用のディスクリート部品で異常検出用信号出力手段が構成されるため、当該駆動装置を一層低価格なものにすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施形態の電磁作動器駆動装置及びそれを用いた電子制御装置について、図面を用いて説明する。
まず図1は、実施形態の電子制御装置を表す構成図である。尚、図1において、前述した図5の電磁作動器駆動装置と同じものについては、同一の符号を付しているため、詳しい説明は省略する。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の電子制御装置は、マイコン4と、電磁作動器1への通電電流をマイコン4から出力されるパルス信号SPのデューティ比で示される目標電流にフィードバック制御する電磁作動器駆動装置(以下単に、駆動装置という)10とを備えている。尚、電磁作動器1は、例えば、ディーゼルエンジンのコモンレール圧を制御するためのリニアソレノイド式電磁弁であって、一般にPCV(プレッシャ・コントロール・バルブ)と呼ばれるものである。そして、本実施形態の電子制御装置は、その電磁作動器1への通電電流により、コモンレールに圧送される燃料量(延いてはコモンレール圧)を制御している。
【0037】
ここで、駆動装置10は、前述した図5の駆動装置と全く同様に、電磁作動器1への電流を断続するスイッチング素子としてのPチャネルMOSFET2、電流検出手段としての電流検出回路3、受信手段としての受信回路5、偏差積分回路6、及びスイッチング素子制御手段としてのスイッチング素子制御回路7を備えている。尚、コンデンサC1が第1のコンデンサに相当する。
【0038】
そして、図5の駆動装置と比較して、本実施形態の駆動装置10には、以下の各構成要素が追加されている。
まず、本実施形態の駆動装置10には、ラッチ手段としての充放電回路11と、異常検出用信号出力手段としての異常検出用信号出力回路12とが追加されている。
【0039】
そして、充放電回路11は、受信回路5のPNPトランジスタT1のコレクタにアノードが接続されたダイオードD1と、ダイオードD1のカソードに一端が接続された充電用抵抗R20と、その抵抗R20の他端と接地電位との間に接続されたコンデンサ(第2のコンデンサに相当)C2と、抵抗R20とコンデンサC2との接続点に一端が接続された放電用抵抗R21と、その抵抗R21の他端にアノードが接続され、カソードがスイッチング素子制御回路7のNPNトランジスタT2のコレクタに接続されたダイオードD2とから構成されている。
【0040】
この充放電回路11では、抵抗R20の抵抗値が、抵抗R21の抵抗値よりも十分に小さい値に設定されており、マイコン4からのパルス信号SPがMOSFET2をオンさせる方のローレベルとなって、受信回路5のトランジスタT1がオンしている時に、コンデンサC2がダイオードD1及び抵抗R20を介して電源電圧VOMにより充電されて、セット状態となる。また、この充放電回路11では、マイコン4からのパルス信号SPがローレベルではなく且つスイッチング素子制御回路7から出力される駆動信号がMOSFET2をオンさせる方のローレベルである時(即ちトランジスタT1がオフで且つトランジスタT2がオンの時)に、コンデンサC2が抵抗R21及びダイオードD2を介して放電されて、リセット状態となる。
【0041】
尚、充放電回路11のセット状態とは、コンデンサC2が充電されて、その充電電圧(本実施形態では、抵抗R20とダイオードD1との接続点の電圧であり、以下、充放電回路11の出力電圧ともいう)が所定の基準電圧Vrfよりも大きくなっている状態を意味している。そして、充放電回路11のリセットとは、コンデンサC2が放電されて、抵抗R20とダイオードD1との接続点の電圧が上記基準電圧Vrfよりも小さくなることを意味しており、その状態がリセット状態である。また、上記基準電圧Vrfは、電源電圧VOMと接地電位との間の電圧であって、例えば電源電圧VOMの1/2の電圧である。
【0042】
一方、異常検出用信号出力回路12は、電源電圧VOMを分圧して上記基準電圧Vrfを発生させる2つ直列の基準電圧発生用抵抗R22,R23と、その両抵抗R22,R23によって発生される基準電圧Vrfが非反転入力端子に入力され、充放電回路11の出力電圧(抵抗R20とダイオードD1との接続点の電圧)が反転入力端子に入力された比較器CMP2(第1の比較器に相当)と、出力端子が上記比較器CMP2の出力端子と共通接続されると共に、上記両抵抗R22,R23によって発生される基準電圧Vrfが反転入力端子に入力され、スイッチング素子制御回路7のトランジスタT2のコレクタ電圧(即ち、MOSFET2への駆動信号)が抵抗R24を介して非反転入力端子に入力された比較器CMP3(第2の比較器相当)と、上記両比較器CMP2,CMP3の出力端子を、ハイレベルに相当する電源電圧VOMにプルアップする抵抗(プルアップ用抵抗)R25とから構成されている。
【0043】
この異常検出用信号出力回路12では、充放電回路11の出力電圧が基準電圧Vrfよりも大きい時に、比較器CMP2の出力がローレベルとなり、また、スイッチング素子制御回路7からMOSFET2への駆動信号の電圧が基準電圧Vrfよりも小さい時に、比較器CMP3の出力がローレベルとなる。そして、その両比較器CMP2,CMP3のワイヤードオア出力が、異常検出用信号SMとしてマイコン4へ出力される。尚、比較器CMP2,CMP3は、自らはローレベルのみ出力可能なオープンコレクタ形式の出力端子を持つものであり、ハイレベルの出力はプルアップ用抵抗R25の作用によって実現される。
【0044】
よって、異常検出用信号出力回路12からマイコン4への異常検出用信号SMは、充放電回路11がセット状態の時、或いは、スイッチング素子制御回路7からMOSFET2への駆動信号がローレベルである時に、特定のレベルとしてのローレベルとなり、充放電回路11がリセット状態で且つMOSFET2への駆動信号がハイレベルの時(即ちMOSFET2をオンさせる方のローレベルでない時)には、ハイレベルとなる。
【0045】
次に、本実施形態の駆動装置10では、MOSFET2のソースが負荷用電源電圧としてのバッテリ電圧+Bに直接接続されておらず、そのMOSFET2のソースは、電流リミッタ回路13の一部を成す過電流検知用の抵抗R26を介して、バッテリ電圧+Bに接続されている。
【0046】
そして、本駆動装置10に追加された電流リミッタ回路13は、上記抵抗R26と、エミッタがバッテリ電圧+Bに接続され、コレクタがMOSFET2のゲートに接続されたPNPトランジスタT3と、そのトランジスタT3のベースとMOSFET2のソースとの間に接続された抵抗R27と、トランジスタT3のベースとバッテリ電圧+Bとの間に接続された抵抗R28とから構成されている。
【0047】
この電流リミッタ回路13では、MOSFET2に流れる電流が過電流と見なされる値となって、抵抗R26での電圧降下が所定値以上になると、トランジスタT3がオンして、MOSFET2のゲートにバッテリ電圧+Bを供給することにより、該MOSFET2をオフさせようとする。そして、MOSFET2に流れる電流が減少すると、トランジスタT3がオフに戻り、MOSFET2に流れる電流が再び過大になると、トランジスタT3が再度オンする、といった動作が繰り返されることとなる。よって、例えばMOSFET2のドレイン側が接地電位に短絡して、MOSFET2に破壊耐量以上の電流が流れてしまうような状況となっても、MOSFET2に流れる電流が制限されて該MOSFET2を保護することができる。
【0048】
また、本実施形態の駆動装置10では、電流検出用の抵抗R2が、電磁作動器1のMOSFET2側とは反対側の端部に直接接続されず、電磁作動器1のMOSFET2側とは反対側の端部が接続される本駆動装置10の出力端子PCV−と抵抗R2との間に、NチャネルMOSFET14が追加されている。そして、このMOSFET14は、ドレインが上記出力端子PCV−に接続され、ソースが抵抗R2の接地電位側とは反対側の端部に接続されている。
【0049】
更に、本実施形態の駆動装置10には、マイコン4からのフェイルセーフ信号SFがハイレベルの時に、上記NチャネルMOSFET14をオフさせる保護回路15が追加されている。
そして、保護回路15は、マイコン4からのフェイルセーフ信号SFがベースに供給されると共に、エミッタが接地電位に接続されたNPNトランジスタT4と、そのトランジスタT4のコレクタとバッテリ電圧+Bとの間に接続された抵抗R29と、トランジスタT4のコレクタとMOSFET14のゲートとの間に接続された抵抗R30とから構成されている。
【0050】
この保護回路15において、マイコン4からのフェイルセーフ信号SFがローレベルの時には、トランジスタT4がオフであり、MOSFET14のゲートにバッテリ電圧+Bが供給されるため、該MOSFET14がオン状態となる。よって、この場合には、図5の駆動装置と同様に、MOSFET2のオン・オフに応じて、電磁作動器1への通電電流が断続されることとなる。
【0051】
これに対して、マイコン4からのフェイルセーフ信号SFがハイレベルになると、トランジスタT4がオンして、MOSFET14のゲート電圧が接地電位になるため、該MOSFET14がオフされることとなる。よって、この場合には、出力端子PCV−と抵抗R2との間の電流経路が強制的に遮断されることとなる。
【0052】
一方更に、本実施形態の駆動装置10において、MOSFET2のドレインは、本駆動装置10の出力端子PCV+を介して電磁作動器1の一端と接続されるが、その出力端子PCV+及びMOSFET2のドレインと接地電位との間には、アノードを接地電位側にして、電磁作動器1に生じるフライバックエネルギーを吸収するためのダイオードD3が接続されている。また、本駆動装置10には、フェイルセーフ時にMOSFET14をオフさせた際に発生する電磁作動器1の逆起電力によるサージ電圧をクランプするための素子として、アノード同士の接続されたツェナーダイオードZD1及びダイオードD4が設けられている。そして、ツェナーダイオードZD1のカソードが、MOSFET14のドレイン及び出力端子PCV−に接続され、ダイオードD4のカソードが、MOSFET14のゲートに接続されている。
【0053】
以上のような駆動装置10を備えた本実施形態の電子制御装置では、マイコン4が、ディーゼルエンジンの運転状態を検出すると共に、その検出結果に基づいて、駆動装置10の受信回路5へ、電磁作動器1に流すべき目標電流に対応したデューティ比のパルス信号SPを出力する。また、マイコン4は、駆動系の異常を検出していない通常時においては、前述のフェイルセーフ信号SFをローレベルで出力する。そして、駆動装置10は、前述した図5の駆動装置と同じMOSFET2,電流検出回路3,受信回路5,偏差積分回路6,及びスイッチング素子制御回路7の作用により、電磁作動器1への通電電流をマイコン4からのパルス信号SPのデューティ比で示される目標電流にフィードバック制御する。
【0054】
ここで、本実施形態の駆動装置10において、正常時には、異常検出用信号出力回路12から出力される異常検出用信号SMが、マイコン4からのパルス信号SPと同じ周期でパルス状に変化することとなる。
この理由について説明する。まず、本駆動装置10においても、図5の駆動装置と同様に、正常時においては、図2における時刻t1よりも左側、図3における時刻t3よりも左側、及び図4における時刻t5よりも左側の各々に示す如く、マイコン4からのパルス信号SPとMOSFET2への駆動信号(図2〜図4における「CMP3入力+」)とには位相差ができ、パルス信号SPがアクティブレベルとしてのローレベルからパッシブレベルとしてのハイレベルへ変化した時点では、駆動信号が未だアクティブレベルとしてのローレベルであるため、充放電回路11は、パルス信号SPがローレベルである期間だけセット状態になる。つまり、充放電回路11の出力電圧(図2〜図4における「CMP2入力−」)は、コンデンサC2の放電時間を無視するならば、パルス信号SPがローレベルの期間だけ、基準電圧Vrfよりも大となる。このため、充放電回路11がセット状態である期間と、MOSFET2への駆動信号がローレベルである期間は、互いに位相差を持つこととなり、その位相差を持った両期間の論理和の期間だけローレベルとなる異常検出用信号出力回路12からの異常検出用信号SMは、マイコン4からのパルス信号SPと同じ周期を持ったパルス信号となる。
【0055】
尚、コンデンサC2の放電時間は上記位相差よりも十分に短く設定されている。また、図2〜図4において、「CMP2入力−」は、比較器CMP2の反転入力端子への入力である充放電回路11の出力波形を表し、「CMP3入力+」は、比較器CMP3の非反転入力端子への入力である駆動信号の波形を表している。
【0056】
これに対して、例えば、図2における時刻t1よりも右側に示すように、出力端子PCV+が接地電位(GND)に短絡して、電磁作動器1及び抵抗R2に電流が流れなくなると、本駆動装置10の電流フィードバック制御の機能により、MOSFET2への駆動信号が継続してローレベルのままとなり、それに伴い、異常検出用信号出力回路12からマイコン4への異常検出用信号SMは、レベル変化せずにローレベルのままとなる。これは、比較器CMP3の出力がローレベルのままになるからである。尚、電磁作動器1の電流経路が断線したり、出力端子PCV−や電磁作動器1自身の端子が接地電位に短絡した場合にも、抵抗R2に電流が流れず、オペアンプOP1の出力(電流検出値)Viが0となるため、図2における時刻t1よりも右側の如く、異常検出用信号SMはローレベルのままとなる。
【0057】
また、図3における時刻t3よりも右側に示すように、電磁作動器1につながる端子(PCV+,PCV−や電磁作動器1自身の端子)がバッテリ電圧+Bに短絡して、電磁作動器1及び抵抗R2に電流が流れたままになると、本駆動装置10の電流フィードバック制御の機能により、MOSFET2への駆動信号が継続してハイレベルのままとなる。すると、充放電回路11のコンデンサC2が放電されず、該充放電回路11がセット状態のままとなり、この場合にも、異常検出用信号出力回路12からマイコン4への異常検出用信号SMは、レベル変化せずにローレベルのままとなる。これは、比較器CMP2の出力がローレベルのままになるからである。
【0058】
また更に、図4における時刻t5よりも右側に示す如く、電磁作動器1自身がレアーショートした場合には、前述したように、MOSFET2への駆動信号が、マイコン4からのパルス信号SPがオン側のローレベルの時にだけ、そのパルス信号SPよりも非常に高い周波数でレベル変化し、パルス信号SPがオフ側のハイレベルの時には、駆動信号もオフ側のハイレベルとなる。よって、この場合にも、充放電回路11のコンデンサC2が放電されずに、該充放電回路11がセット状態のままとなり、異常検出用信号出力回路12からマイコン4への異常検出用信号SMは、レベル変化せずにローレベルのままとなる。
【0059】
そこで、本実施形態において、マイコン4は、異常検出用信号出力回路12からの異常検出用信号SMがレベル変化しているか否かを定期的に判定し、該異常検出用信号SMがレベル変化していないと判定すると、駆動系に異常が発生したと判断する。具体的に説明すると、マイコン4において、異常検出用信号SMを入力するのに割り当てられた入力端子は、入力レベルが変化すると(換言すれば、入力レベルにエッジが発生すると)、その履歴が所定のレジスタへ自動的にセットされる端子である。そして、マイコン4は、上記レジスタの値を一定時間毎(例えばパルス信号SPの周期と同じ時間毎や、それの所定倍の時間毎)に読み込むと共に、その読み込んだレジスタ値が“レベル変化=有り”を示す値であれば、該レジスタ値をクリアし、逆に、その読み込んだレジスタ値が“レベル変化=無し”を示す値であれば、その状態が複数回連続した時点で、駆動系に異常が発生したと判断する。
【0060】
そして更に、マイコン4は、上記の手順で駆動系異常の発生を検知すると、図2における時刻t2、図3における時刻t4、及び図5における時刻t6の各々に示すように、パルス信号SPをハイレベルのままにすると共に、保護回路15のトランジスタT4へのフェイルセーフ信号SFを、ローレベルからハイレベルにする。
【0061】
すると、以後は、MOSFET2がオフのままとなり、また、前述したように、電磁作動器1の下流側のMOSFET14がオフされて、出力端子PCV−と抵抗R2との間の電流経路が強制的に遮断される。よって、例えば出力端子PCV−がバッテリ電圧+Bに短絡しても、抵抗R2や回路パターン等が焼損してしまうことを防止することができる。尚、例えば出力端子PCV+が接地電位に短絡した場合には、マイコン4が異常の発生を検知するまでの間、前述した電流リミッタ回路13の作用により、MOSFET2に流れる電流が制限されて、該MOSFET2が保護されることとなる。
【0062】
以上のように本実施形態の駆動装置10によれば、マイコン4は、異常検出用信号SMがレベル変化しなくなったら異常と判断する、という簡単な処理を行うだけで、断線、端子のバッテリ電圧+Bや接地電位への短絡、及び電磁作動器1自身のレアーショート、といったあらゆる異常の発生を確実に検出することができるようになる。
【0063】
しかも、マイコン4へ1つの異常検出用信号SMを入力するだけで良い上に、その異常検出用信号SMの信号ラインの異常をも検知することができる。つまり、異常検出用信号SMの信号ラインが断線したり何等かの電位に短絡して、その異常検出用信号SMのレベルが変化しなくなっても、異常が発生したと判断されるからである。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、ラッチ手段としての充放電回路11は、それと同様の機能を有したCMOS論理回路やTTL論理回路からなるSRラッチに置き換えることも可能である。つまり、そのSRラッチは、トランジスタT1のコレクタ電圧がハイレベルの時にハイレベルを出力するセット状態となり、トランジスタT1のコレクタ電圧がローレベルで且つトランジスタT2のコレクタ電圧がローレベルである時にリセットされるものであれば良い。
【0065】
そして、充放電回路11の代わりに上記SRラッチを用いた場合、異常検出用信号出力回路12もCMOS論理回路やTTL論理回路で構成することができる。つまり、その異常検出用信号出力回路は、SRラッチの出力がハイレベルの時、或いは、MOSFET2への駆動信号がオンさせる方のアクティブレベルである時に、自己の出力がハイとローとの内の特定のレベルとなり、それ以外の時(即ち、SRラッチの出力がローレベルで且つ駆動信号がMOSFET2をオフさせる方のパッシブレベルである時)には、自己の出力が上記特定のレベルとは異なる方のレベルとなる論理回路であれば良い。
【0066】
但し、コンデンサ,抵抗,及びダイオードといった低価格且つノイズに強いディスクリート部品からなる充放電回路11を用いると共に、比較器及び抵抗といった汎用のディスクリート部品からなる異常検出用信号出力回路12を用いた方が、当該駆動装置10の低価格化と信頼性向上とを高い次元で両立させることができ有利である。
【0067】
また、上記実施形態の駆動装置10において、マイコン4からのパルス信号SPと、スイッチング素子制御回路7からの駆動信号とは、両方共に、ローレベルがアクティブレベル(スイッチング素子としてのMOSFET2をオンさせる方のレベル)であったが、パルス信号SPと駆動信号との各々のアクティブレベルが互いに異なる回路構成でも良い。
【0068】
また更に、本発明は、PCV以外の電磁作動器を駆動する装置に対しても、全く同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の電子制御装置を表す構成図である。
【図2】 電流経路の断線、又は電磁作動器につながる端子の接地電位(GND)への短絡が発生した場合の作用を表すタイムチャートである。
【図3】 電磁作動器につながる端子がバッテリ電圧+Bに短絡した場合の作用を表すタイムチャートである。
【図4】 電磁作動器自身がレアーショートした場合の作用を表すタイムチャートである。
【図5】 従来の電磁作動器駆動装置の構成例を表す回路図である。
【符号の説明】
1…電磁作動器 2…PチャネルMOSFET(スイッチング素子)
3…電流検出回路 4…マイコン 5…受信回路 6…偏差積分回路
7…スイッチング素子制御回路 10…電磁作動器駆動装置
11…充放電回路(ラッチ手段) 12…異常検出用信号出力回路
13…電流リミッタ回路 14…NチャネルMOSFET
15…保護回路 C1,C2…コンデンサ
CMP1,CMP2,CMP3…比較器 D1〜D4…ダイオード
ZD1…ツェナーダイオード OP1…オペアンプ
PCV+,PCV−…出力端子 R1〜R15,R20〜R30…抵抗
T1,T3…PNPトランジスタ T2,T4…NPNトランジスタ
Claims (3)
- 電磁力で作動する電磁作動器に流れる電流を断続するスイッチング素子と、
前記電磁作動器に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電磁作動器に流す電流の目標値に対応するデューティ比を有し前記電磁作動器の駆動を指示するパルス信号を、外部から受信する受信手段と、
抵抗と第1のコンデンサとを有し、前記電流検出手段により検出された電流と前記受信手段の受信する前記パルス信号とに基づいて充放電し、その時定数が前記パルス信号の周期よりも大である偏差積分回路と、
前記パルス信号と同じ周期で変化する前記第1のコンデンサの充電電圧の極性に応じて、前記スイッチング素子へ該スイッチング素子をオン・オフさせる駆動信号を出力するスイッチング素子制御手段と、
を備えた電磁作動器駆動装置において、
前記受信手段の受信するパルス信号が前記スイッチング素子をオンさせる方のレベル(以下、アクティブレベルという)である時にセット状態となり、前記パルス信号がアクティブレベルではなく且つ前記スイッチング素子制御手段から出力される前記駆動信号がアクティブレベルである時にリセットされるラッチ手段と、
異常検出用信号を出力する手段であって、前記ラッチ手段がセット状態の時、或いは、前記スイッチング素子制御手段から出力される前記駆動信号がアクティブレベルである時に、当該手段の出力レベルがハイとローとのうちの特定のレベルとなり、前記ラッチ手段がリセット状態で且つ前記駆動信号がアクティブレベルでない時に、当該手段の出力レベルが前記特定のレベルとは異なる方のレベルとなることにより、当該手段の出力レベルである前記異常検出用信号は、正常時には前記パルス信号の周期と同じ周期でレベル変化する信号となり、異常発生時にはレベル変化しない信号となる異常検出用信号出力手段と、
を備えていることを特徴とする電磁作動器駆動装置。 - 請求項1に記載の電磁作動器駆動装置において、
前記ラッチ手段は、
前記受信手段の受信するパルス信号がアクティブレベルである時に充電される第2のコンデンサと、前記パルス信号がアクティブレベルではなく且つ前記駆動信号がアクティブレベルである時に前記第2のコンデンサを放電させる放電用抵抗とを有すると共に、前記第2のコンデンサが充電状態である時にセット状態となり、前記第2のコンデンサが放電された状態の時にリセット状態となる充放電回路であること、
を特徴とする電磁作動器駆動装置。 - 請求項2に記載の電磁作動器駆動装置において、
前記異常検出用信号出力手段は、
前記第2のコンデンサの充電電圧と所定の基準電圧とを比較して、前記第2のコンデンサの充電電圧の方が大きい時に、出力レベルが前記特定のレベルとしてのローレベルとなる第1の比較器と、
出力端子が前記第1の比較器の出力端子と共通接続されると共に、前記スイッチング素子制御手段から出力される前記駆動信号がアクティブレベルである時に出力レベルがローレベルとなる第2の比較器と、
前記両比較器の出力端子を、前記特定のレベルとは異なる方のレベルとしてのハイレベルに相当する電圧にプルアップするプルアップ用抵抗とからなること、
を特徴とする電磁作動器駆動装置。
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