JP3842247B2 - バリア−性紙容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バリア−性紙容器に関し、更に詳しくは、良好なガスバリア−性と充分な強度とを有し、牛乳、乳酸菌飲料、液体ス−プ、果汁飲料、麦茶、緑茶、ウ−ロン茶、酒類、その他等の種々の液体飲料の充填包装に適するバリア−性紙容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、バリア−性紙容器としては、種々のものが開発され、提案されているが、通常、容器を構成する積層材中に、アルミニウム箔等のバリア−性材料を一層介在させている。
而して、このような容器は、通常、一回使用の使い捨て容器である。
ところが、近年、資源再利用の要請から、容器を使用後に回収し、材料別に分別し再利用することができる容器が要望されている。
しかしながら、上記のようなアルミニウム箔を使用した積層材からなる容器においては、樹脂のフィルム、紙基材、アルミニウム箔等の各材料をそれぞれに分別回収することが著しく困難であり、再利用を図ることは、実質的には、不可能であるという問題点がある。
【0003】
このため、アルミニウム箔等のバリア−性材料を使用することなく良好なバリア−性を有する種々の紙容器が開発され、提案されている。
例えば、紙容器の外側から内側に向かって、(1)ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/二軸延伸ポリアミドフィルム層/ポリエチレン樹脂層の5層構成からなる積層材により形成された紙容器(特開昭63−22624号公報)、または、同じく紙容器の外側から内側に向かって、(2)ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物層/ポリエチレン樹脂層の5層構成からなる積層材により形成された紙容器(特開昭63−312143号公報)、あるいは、同じく紙容器の外側から内側に向かって、(3)ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物層/二軸延伸ポリアミドフィルム層/ポリエチレン樹脂層の6層構成からなる積層材により形成された紙容器(特開平2−160551号公報)等が開発され、提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような紙容器においては、一方の点において優れているが、他方の点において十分に満足し得るものではないと言うのが実状であり、今後、更に新たなる新製品、新技術の開発が望まれているものである。
例えば、上記の(1)の紙容器においては、二軸延伸ポリアミドフィルム層によるガスバリア−性が不充分であるという問題点がある。
また、上記の(2)の紙容器においては、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物層によるバリア−性は、良好であるが、紙容器としての強度に欠けるという問題点がある。
更に、上記の(3)の紙容器においては、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物層および二軸延伸ポリアミドフィルム層の外側に、紙基材層が設けられていることから、優れたバリア−性と充分な強度とを兼ね備えることが可能となるものであるが、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物層および二軸延伸ポリアミドフィルム層の両層を有することから、逆に、製造コストを著しく高めるという問題点があり、実用に供し兼ねるものである。
上記のように、従来の紙容器においては、多くの長所を有し、現在、使用されているものではあるが、未だ十分に満足し得ないものであり、更に新たなる紙容器の提案が望まれているものである。
そこで、本発明は、酸素等のバリア−性に優れ、更に容器としての強度等にも富み、その内容物に対する充填包装適性を有し、その保存性に優れ、かつ環境対応に適うバリア−性紙容器を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究した結果、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂が、ガスバリア−性を有し、更に、強度、弾性率等が高く、かつ、耐熱性、耐薬品性等に優れ、更にまた、低吸水性、低透湿性等を有することに着目し、それが有する特性を利用すべく、紙基材の上に、直接、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂を押し出し積層し、更に、最内層として熱接着性樹脂層を積層し、少なくとも、紙基材、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層、および最内層としての熱接着性樹脂層を積層してなる積層材を製造し、更に、その積層材を使用して、常法に従って、紙容器を製造し得るブランク板を製造し、次いで、これを使用して製函して紙容器を製造したところ、酸素等のガスバリア−性に優れ、更に、容器としての強度、耐熱性等にも優れて、内容物の充填包装適性を有し、その保存性にすぐれ、かつ環境対応に適う極めて良好な包装体製品を製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、少なくとも、紙基材、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層、および最内層としての熱接着性樹脂層を積層してなる積層材を使用し、これを製函してなることを特徴とするバリア−性紙容器に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明において、本発明にかかるバリア−性紙容器についてその一例を例示し図面を用いて説明すると、図1および図2は、本発明にかかるバリア−性紙容器を構成する積層材の層構成の一例を示す概略的断面図であり、図3は、図1または図2に示す積層材を使用して製造した紙容器形成用ブランク板の構成を示す平面図であり、図4は、図3に示す紙容器形成用ブランク板を使用して製造した紙容器形成用胴部の構成を示す斜視図であり、図5は、図4に示す紙容器形成用胴部を使用して製造したバリア−性紙容器の構成を示す斜視図であり、図6は、図5に示すバリア−性紙容器を使用して内容物を充填包装した充填包装製品の構成を示す斜視図である。
【0008】
まず、本発明において、本発明にかかるバリア−性紙容器を構成する積層材Aとしては、図1に示すように、外側から内側に向かって、少なくとも、紙基材1、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層2、および熱接着性樹脂層3を順次に積層した構成からなるものであり、更に、具体的には、本発明にかかるバリア−性紙容器を構成する積層材A′としては、図2に示すように、外側から内側に向かって、少なくとも、熱接着性樹脂層3′、紙基材1、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層2、および熱接着性樹脂層3を順次に積層した構成からなるものである。
【0009】
而して、上記のような積層材AまたはA′を使用した本発明にかかるバリア−性紙容器を例示すると、図3に示すように、まず、上記で製造した積層材AまたはA′を使用し、それから所定の折罫(点線で示している)l、胴部を構成する貼着部4等を有する紙容器形成用ブランク板Bを打ち抜き加工して製造し、次に、図4に示すように、該紙容器形成用ブランク板Bの貼着部4を他方の側端部5(図3に示す)に重ね合わせてその重合部分をヒ−トシ−ルして側端シ−ル部6(4、5)を形成して紙容器形成用胴部Cを製造し、しかる後 図5に示すように、上記で製造した紙容器形成用胴部Cの下方部分の折り込み片を常法に従って製函して折り込んでヒ−トシ−ルして底部7を形成して、本発明にかかるバリア−性紙容器Dを製造する。
而して、本発明においては、図6に示すように、上記のように製造したバリア−性紙容器Dの上方部分の開口部から内容物8を充填し、次いで、その開口部にあたる上方部分の折り込み片を通常の製函方法に従って折り込んでヒ−トシ−ルして、例えば、屋根型シ−ル部9を形成して、本発明にかかる充填包装製品Eを製造するものである。
【0010】
本発明において、上記に図示して例示した積層材、バリア−性紙容器等は、その一例を例示したものであり、これに限定されるものでないことは言うまでもないことであり、その目的、用途等により、種々の形態の積層材、バリア−性紙容器等を製造することができ、例えば、上記のようなゲ−ベルトップ型に代えて、例えば、ブリック型、フラットトップ型等の種々の形態のバリア−性紙容器等を製造することができる。
【0011】
上記において、図示しないが、本発明にかかる積層材を製造する際に、紙基材と結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層とは、紙基材に、直接、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層を押し出し積層することが好ましく、更には、紙基材の上に、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層、接着性樹脂層および熱接着性樹脂層を3層同時に共押し出して積層することが好ましいものである。
それは、紙基材と結晶性芳香族ポリアミド系樹脂との接着性は良好であり、接着性樹脂、接着剤等の接着層を介する必要がなく、全体の厚さを従来のジュ−ス用液体紙容器等とほぼ同じに設定することができ、紙容器の作製工程、充填工程等においての条件変更を最小限に抑えることができるという利点を有し、また、コスト的にも有利になるためである。
なお、その際に、必要ならば、紙基材の表面に、プライマ−処理、オゾン処理、プラズマ処理、フレ−ム処理、コロナ放電処理、薬品処理等の公知の各種の前処理を施すことができる。
【0012】
また、上記において、本発明にかかる積層材、バリア−性紙容器等を製造する際に、積層材から打ち抜いた紙容器形成用ブランク板の両端縁部を重ね合わせてその重合部を貼着した紙容器形成用胴部を製造する場合、その貼着するときに、フレ−ムシ−ル、あるいはホットエア−シ−ル等のシ−ル方式を採用し得ることは言うまでもない。
更にまた、上記の貼着に際しては、必要に応じて、ブランク板の端面を保護すべく、例えば、単に折り込みだけの折り込みヘミング方式、端面を切削して折り込みスカイブヘミング方式、端面にプラスチックフィルム等を貼り合わせるテ−プ貼り方式等の種々の方式を採用することができる。
【0013】
次にまた、本発明において、積層材から紙容器形成用ブランク板を製造する打ち抜き加工法、該紙容器形成用ブランク板から紙容器成形用胴部を製造する方法、更には、該紙容器成形用胴部を製函して紙容器を製造する方法等は、従来と同様な、折罫付与方式、ブランク板の打ち抜き加工方式、製函方式等により行なうことができる。
【0014】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる積層材、バリア−性紙容器等を構成する材料について説明すると、かかる材料としては、種々のものを使用することができる。
まず、本発明において、紙基材としては、容器を構成する基材となるものであり、賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を持たせるものであり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
上記において、紙層を構成する紙基材としては、坪量約80〜600g/m2 位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することが望ましい。
なお、本発明においては、上記のような紙基材には、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で施されていてもよい。
【0015】
次に、本発明において、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層を構成する結晶性芳香族ポリアミド系樹脂としては、例えば、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸もしくはその誘導体との重縮合反応で得られる芳香族結晶性ポリアミド系樹脂を使用することができる。
具体的には、例えば、ナイロンMXD6樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名)を使用することができる。
而して、本発明においては、上記のような芳香族結晶性ポリアミド系樹脂を使用して、例えば、押し出し成形、射出成形、カレンダ−加工、共押し出し成形、共射出成形等の成形方法を利用してフィルムないしシ−ト状に成形して、該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層を形成することができる。
あるいは、本発明については、上記のような芳香族結晶性ポリアミド系樹脂を主成分とする樹脂組成物を塗布ないし印刷して該樹脂組成物による塗布膜ないし印刷膜を形成して、該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層を形成することができるものである。
なお、本発明において、上記のような成形方法によって製造する結晶性芳香族ポリアミド系樹脂によるフィルムないしシ−ト状物を、通常の方法でそのフィルムないしシ−ト状物の製造時、あるいは製造後に、縦横の二軸方向に延伸して、その二軸延伸処理されているフィルムを製造することができる。
而して、本発明においては、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層として、上記のように二軸延伸処理したフィルムないしシ−トを使用すると、酸素、水蒸気等に対するより高いバリア−性の効果を奏することができるものであると共に、耐熱性に富む積層材を製造することができるものである。
上記において、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層の厚さとしては、例えば、2〜100μm位、好ましくは、5〜50μm位が望ましい。
【0016】
次に、上記の本発明において、上記のような結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層の片面または両面に、更に、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂層を積層することができる。
而して、上記の脂肪族ポリアミド系樹脂層を構成する脂肪族ポリアミド系樹脂としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2、2、4−または2、4、4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1、3−または1、4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂肪族、脂環式等のジアミン類と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸もしくはその誘導体との重縮合反応で得られる脂肪族ポリアミド、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸等の縮合によって得られるポリアミド樹脂、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタム化合物から得られるポリアミド樹脂、あるいはそれらの混合物等を使用することができる。
具体的には、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610等の各種のナイロン樹脂からなる脂肪族ポリアミド系樹脂を使用することができる。
【0017】
而して、本発明において、上記のような脂肪族ポリアミド系樹脂層を、上記の結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層の片面または両面に積層する方法としては、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂を使用して、押し出し成形、射出成形、カレンダ−加工等によって、該脂肪族ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、該フィルムないしシ−トを結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層の片面または両面に積層する方法、或いは、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂と脂肪族ポリアミド系樹脂とを使用し、これらを共押し出し成形、共射出成形等の成形方法を利用して共押しフィルムないしシ−トを成形して、該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層の片面または両面に脂肪族ポリアミド系樹脂層を形成する方法等によって行なうことができる。
あるいは、本発明については、上記のような脂肪族ポリアミド系樹脂を主成分とする樹脂組成物を、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層の片面または両面に塗布ないし印刷して該樹脂組成物による塗布ないし印刷膜を形成して、該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層を形成することができる。
なお、本発明において、上記のような成形方法によって製造する脂肪族ポリアミド系樹脂による単体のフィルムないしシ−ト、或いは共押しフィルムないしシ−ト状物を、通常の方法でそのフィルムないしシ−ト状物の製造時、あるいは製造後に、縦横の二軸方向に延伸して、その二軸延伸処理されているフィルムを製造することができる。
本発明においては、上記のように二軸延伸処理されているフィルムないしシ−トを使用する場合には、酸素、水蒸気等に対するより高いバリア−性の効果を奏すると共に耐熱性に富む積層材を製造することができるものである。
また、本発明においては、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂は、脂肪族ポリアミド系樹脂に比較して、製膜性と延伸性に劣ることから、その両者を併用して使用することにより、該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂の製膜性と延伸性とを改良し、かつその結晶性芳香族ポリアミド系樹脂のコストが高いことから、該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂と脂肪族ポリアミド系樹脂とを併用し、そのコストの低減下を期待することもできるものである。
すなわち、本発明においては、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂と脂肪族ポリアミド系樹脂とを使用し、その両者を共押し出しし、かつ二軸延伸して、その両者からなる二軸延伸共押しフィルムないしシ−トを製造することが望ましいものである。
上記において、脂肪族ポリアミド系樹脂層の厚さとしては、例えば、2〜100μm位、好ましくは、5〜50μm位が望ましい。
【0018】
ところで、本発明において、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層の片面または両面に、脂肪族ポリアミド系樹脂層を積層する場合、その総厚さとしては、10〜50μm位が好ましく、更には、15〜25μm位が望ましく、而して、その両者は、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層の厚さが総厚さの1/10〜1/3であり、脂肪族ポリアミド系樹脂層の厚さが総厚さの9/10〜2/3位が望ましいものである。
【0019】
次にまた、本発明において、最内層としての熱接着性樹脂層を構成する材料としては、紙容器として製函する際に接着の役目を果たすと共に内容物に直接接触する層であることから、熱によって溶融し相互に融着し得ると共に内容物の保香性等に富む樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等をアクリル酸、メタクリル酸、フマ−ル酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
特に、本発明において、内容物の保香性を必要とする場合には、例えば、酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸を使用し、これらとエチレングリコ−ルとを重縮合させてなるポリエチレンテレフタレ−ト−イソフタレ−ト共重合体等のヒ−トシ−ル可能なポリエステル系樹脂、あるいはヒ−トシ−ル可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物等の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記のフィルムないしシ−トは、その樹脂を含む組成物によるコ−ティング膜の状態で使用することができる。
その膜もしくはフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μmないし200μm位が好ましくは、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0020】
次に、本発明において、紙基材の一方の片面に積層し、最外層としての熱接着性樹脂層を構成する材料としては、包装用紙容器として製函する際に接着の役目を果たすことから、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等をアクリル酸、メタクリル酸、フマ−ル酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記のフィルムないしシ−トは、その樹脂を含む組成物によるコ−ティング膜の状態で使用することができる。
その膜もしくはフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μmないし100μm位が好ましくは、更には、10μmないし50μm位が望ましい。
なお、本発明においては、上記のようなフィルムないしシ−トには、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で施されていてもよい。
【0021】
次に、本発明において、更に、必要ならば、中間基材として、例えば、バリア−性フィルム層を積層することかでき、而して、かかるバリア−性フィルム層を構成する材料としては、太陽光等の光を遮光する性質、あるいは水蒸気、水、ガス等を透過しない性質等を有する材料を使用することができ、これは、単体の基材でもよく、あるいは二種以上の基材を組み合わせてなる複合基材等であってもよい。
具体的には、例えば、バリア−性を有する酸化珪素、酸化アルミニュウム等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム、水蒸気、水等のバリア−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、ガスバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
更に、上記において、無機酸化物の蒸着膜としては、厚さ100Åないし2000Å位のものを使用することができる。
また、上記の蒸着膜を支持する樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカ−ボネ−トフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコ−ルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、その他等を使用することができる。
【0022】
次にまた、本発明において、更に、必要ならば、中間基材としては、例えば、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−ト、その他等を使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
そのフィルムの厚さとしては、5μmないし100μm位、好ましくは、10μmないし50μm位が望ましい。
なお、本発明においては、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トには、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で表刷り印刷あるいは裏刷り印刷等が施されていてもよい。
【0023】
なお、本発明においては、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0024】
本発明においては、上記のような材料を使用する際に、その材料中に、例えば、顔料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、無機充填剤、紫外線吸収剤、その他等の添加剤を任意に添加して使用することができる。
【0025】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して積層材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ共押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルム等に施すことができ、また、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0026】
なお、本発明において、上記のような積層に際しては、特に、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等の押し出し用のポリオレフィン系樹脂、あるいはオレフィン系樹脂と無水マレイン酸等の酸無水物との共重合体等の接着性樹脂を使用して積層することができるものである。
【0027】
本発明において、上記のようにして製造した本発明にかかるバリア−性紙容器は、種々の物品の充填包装に適し、例えば、牛乳、乳製品、ジュ−ス、調味料、その他等の液体食品、更には、接着剤、粘着剤等の化学品、医薬品、化粧品、洗剤等の雑貨品、その他等の物品の充填包装に使用することができるものである。
【0028】
【実施例】
上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
参考例
支持体として、坪料340g/m2 の紙を使用し、その紙の片面に低密度ポリエチレン樹脂(密度、0.923g/cc、メルトインデックス(MI)=3.7、融点=111℃)を押し出しラミネ−トして厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を形成した。
次に、上記の紙の他方の面に、コロナ処理を施し、次いで、該コロナ処理面に、ナイロンMXD6樹脂(商品名、三菱瓦斯化学株式会社製、密度、1.22g/cc、メルトインデックス(MI)=7、融点=243℃)と、無水マレイン酸変性の接着性ポリオレフィン樹脂(密度、0.91g/cc、メルトインデックス(MI)=9.5)と、低密度ポリエチレン樹脂(密度、0.923g/cc、メルトインデックス(MI)=3.7、融点=111℃)とをこの順に3層共押し出しラミネ−トして、厚さ10μmのナイロンMXD6樹脂層、厚さ5μmの無水マレイン酸変性の接着性ポリオレフィン樹脂層、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層からなる3層を積層して、下記の層構成からなる積層材を製造した。
厚さ20μmの低密度ポリエエチレン樹脂層/坪料340g/m2 の紙/厚さ10μmのナイロンMXD6樹脂層/厚さ5μmの無水マレイン酸変性の接着性ポリオレフィン樹脂層/厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層脂層
【0029】
実施例
支持体として坪量340g/m2 の紙を使用し、該紙の片面に低密度ポリエチレン樹脂(密度、0.923g/cc、メルトインデックス(MI)=3.7、融点=111℃)を押し出しラミネ−トして、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を形成した。
次に、上記の紙の他方の面に、コロナ処理を施し、次いで、該コロナ処理面に、ナイロンMXD6樹脂(商品名、三菱瓦斯化学株式会社製、密度、1.22g/cc、メルトインデックス(MI)=7、融点=243℃)と6ナイロン樹脂とを使用し、6ナイロン樹脂層/ナイロンMXD6樹脂層/6ナイロン樹脂層の順になり、更に、厚さが全体で15μmになるように3層を共押し出しラミネ−トして、厚さ15μmの3層ポリアミド樹脂層を積層した。
更に、上記の3層ポリアミド樹脂層の面に、無水マレイン酸変性の接着性ポリオレフィン樹脂(密度、0.91g/cc、メルトインデックス(MI)=9.5)と、低密度ポリエチレン樹脂(密度、0.923g/cc、メルトインデックス(MI)=3.7、融点=111℃)とを使用し、この順に2層共押し出しラミネ−トして、厚さ5μmの無水マレイン酸変性の接着性ポリオレフィン樹脂層、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層からなる3層を積層して、下記の層構成からなる積層材を製造した。
厚さ20μmの低密度ポリエエチレン樹脂層/坪料340g/m2 の紙/厚さ15μmの3層ポリアミド樹脂層/厚さ5μmの無水マレイン酸変性の接着性ポリオレフィン樹脂層/厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層
【0030】
比較例1
上記の参考例1において、ナイロンMXD6樹脂の代わりに、バリア−層としてポリアミド樹脂(6ナイロン樹脂)を使用し、その他は、上記の参考例1と同様に行なって、下記の層構成からなる積層材を製造した。
厚さ20μmの低密度ポリエエチレン樹脂層/坪料340g/m2 の紙/厚さ10μmの6ナイロン樹脂層/厚さ5μmの無水マレイン酸変性の接着性ポリオレフィン樹脂層/厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層
【0031】
実験例
上記の参考例1、実施例1および比較例1で製造した積層材を使用して、所定の方法にて打ち抜き、所定の製函工程により、底部70cm角、1000mlのゲ−ベルトップ型の紙容器を製造した。
次に、上記で製造した紙容器について、下記の測定条件により、酸素透過度を測定した。
上記の酸素透過度は、モダンコントロ−ル社製の酸素透過度測定器〔オクストラン(Oxtran)、機種名〕を用いて、23℃、相対湿度90%RHの条件で測定した。
その結果、参考例1、実施例1のものは、70cc/個・day・atmであり、比較例1のものは、400cc/個・day・atmである酸素透過度を示した。
上記の結果より明らかなように、参考例1、実施例1のものは、比較例1のそれと比較して、バリア−性が極めて優れているものである。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂が、ガスバリア−性を有し、更に、強度、弾性率等が高く、かつ、耐熱性、耐薬品性等に優れ、更にまた、低吸水性、低透湿性等を有することに着目し、それが有する特性を利用すべく、紙基材の上に、直接、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂を押し出し積層し、更に、最内層として熱接着性樹脂層を積層し、少なくとも、紙基材、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層、および最内層としての熱接着性樹脂層を積層してなる積層材を製造し、更に、その積層材を使用して、常法に従って、紙容器を製造し得るブランク板を製造し、次いでこれを使用して製函して紙容器を製造して、酸素等のガスバリア−性に優れ、更に、容器としての強度、耐熱性等にも優れて、内容物の充填包装適性を有し、その保存性にすぐれ、かつ環境対応に適う極めて良好な包装体製品を製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるバリア−性紙容器を構成する積層材の層構成の一例を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかるバリア−性紙容器を構成する積層材の層構成の一例を示す概略的断面図である。
【図3】図1または図2に示す積層材を使用して製造した紙容器形成用ブランク板の構成を示す平面図である。
【図4】図3に示す紙容器形成用ブランク板を使用して製造した紙容器形成用胴部の構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示す紙容器形成用胴部を使用して製造したバリア−性紙容器の構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示すバリア−性紙容器を使用して内容物を充填包装した充填包装製品の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 紙基材
2 結晶性芳香族ポリアミド系樹脂層
3 熱接着性樹脂層
3′ 熱接着性樹脂層
4 貼着部
5 側端部
6 側端シ−ル部
7 底部
8 内容物
9 屋根型シ−ル部
A 積層材
A′ 積層材
B 紙容器形成用ブランク板
C 紙容器形成用胴部
D バリア−性紙容器
E 充填包装製品
l 折罫

Claims (1)

  1. 紙基材の一方の片面に、低密度ポリエチレン樹脂層を設け、他方、上記の紙基材の他方の片面にコロナ処理を施してコロナ処理面を設け、更に、上記のコロナ処理面に、ナイロンMXD6樹脂と脂肪族ポリアミド系樹脂とを使用し、脂肪族ポリアミド系樹脂、ナイロンMXD6樹脂、および、脂肪族ポリアミド系樹脂の順で、かつ、一方の脂肪族ポリアミド系樹脂を上記のコロナ処理面に対向させて直接3層共押出して脂肪族ポリアミド系樹脂層、ナイロンMXD6樹脂層、および、脂肪族ポリアミド系樹脂層とを積層し、更に、上記の他方の脂肪族ポリアミド系樹脂層の面に、酸変性ポリオレフィン系樹脂と低密度ポリエチレン樹脂とを使用し、酸変性ポリオレフィン系樹脂、および、低密度ポリエチレン樹脂の順で、かつ、上記の酸変性ポリオレフィン系樹脂を他方の脂肪族ポリアミド系樹脂層の面に対向させて直接2層共押出して酸変性ポリオレフィン系樹脂層と低密度ポリエチレン樹脂層とを積層し、低密度ポリエチレン樹脂層/紙基材/コロナ処理面/脂肪族ポリアミド系樹脂層/ナイロンMXD6樹脂層/脂肪族ポリアミド系樹脂層/酸変性ポリオレフィン系樹脂層/低密度ポリエチレン樹脂層の順で積層してなる積層材を製造し、次に、該積層材を使用して製函してなることを特徴とするバリヤ−性紙容器。
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