JP3841920B2 - 蝶番 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は蝶番に関する。さらに詳しくは扉、窓その他の開閉されるものを枠などの固定部材に取り付けるための蝶番に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来より、図5に示されるような蝶番150が一般的に使用されている。この蝶番150は、それぞれの端縁に略円筒状のナックル153、154が形成されている2枚の取付板151、152と、それぞれのナックル153、154を貫いて挿入され、その両端頭部156がかしめられて2枚の取付板151、152を回転自在に支持する軸ピン155とからなる。157は取付孔である。
【0003】
この蝶番150を用いて、図6および図7に示されるように扉Dを建具枠Fなどに取りつけたばあい、扉Dが建具枠Fの内部にきちんと納まらず、建具枠Fとのあいだの心合せが狂うことがある。
【0004】
このばあい、図7に示されるように建具枠Fとのあいだの隙間が不ぞろいになり不体裁であるばかりでなく、扉Dの開閉に支障が生ずるという問題がある。
【0005】
しかも、前述のような従来の蝶番150では、心合せの狂いを調節できないので、いったん扉Dを取りつけた後は、心合せの修正ができないという問題がある。
【0006】
そこで、図8に示されるような、蝶番160が提案されている。この蝶番160は、矢印161および矢印162方向の心合わせの修正が可能である。
【0007】
すなわち、図8において、一方の取付板171のナックル173の底端には、擬宝珠176がピン177で固定されている。このナックル173には、2本のねじ棒178、179がナックル173の軸方向に間隔をおき、かつ半径方向に貫通するように取りつけられている。そして、各ねじ棒178、179は、ナックル173から抜けることなく、しかも回転自在に取り付けられている。
【0008】
軸ピン180は下端部181と上端部182とからなり、下端部181はナックル173に挿入されている。この下端部181は、その外径がナックル173の内径よりも細く、ナックル173の内部で半径方向に動く余地がある。そして、この下端部181は、前記ねじ棒178、179に螺合されて、支持されている。
【0009】
軸ピン180の上端部182には、他方の取付板172のナックル174が挿入されている。このナックル174の上端には、擬宝珠183が固定されており、その内部には雌ねじ部184が形成されている。そして、雌ねじ部184には調節ねじ185が螺合されている。この調節ねじ185は、ねじ込めばナックル174内へ進入し、ねじ戻せばナックル174内から上昇する。そして、調節ねじ185の先端は、滑り板186を介して軸ピン180の上端に当接している。
【0010】
この蝶番160は、取付孔175にビスを通して建具枠と扉に固定した後で、心合せを行うことができる。
【0011】
すなわち、ねじ棒178、179を回転させれば、軸ピン180の下端部181をナックル173内で、そして、中心位置から偏寄させたり、また中心位置に戻したりすることができる。そして、ねじ棒178、179を互いに反対向きに回転させて、軸ピン180の軸心をナックル173に対して傾斜させることもできる。この操作により、建具枠Fに取りつけられた扉Dの上端部または下端部(図7参照)の横方向(図8の矢印162の方向)の心ズレを修正しうる。
【0012】
つぎに、調整ねじ185をねじ込めば、調整ねじ185の先端が軸ピン180の上端に当接しているので、ナックル174が上昇する。逆に調整ねじ185をねじ戻せば、ナックル174が下降する。これにより、取付板172が上昇および下降するので、扉Dの高さ方向の心ズレを修正することができる。
【0013】
この蝶番160によれば、扉などを建具枠に取りつけたのちに、扉と建具枠間の心合せを調整しうるので、不体裁な隙間の狂いなどを解消することができる。
【0014】
しかしながら、図8に示されるような蝶番160であっても、調整しうる方向が矢印161、162を含む平面内に限られており、矢印163方向の調整はできず、微妙な調整をすることができないという問題を残していた。
【0015】
また、他の従来の蝶番として、実願昭57−176293号(実開昭59−80064号)において開示される蝶番がある。
【0016】
この蝶番は、図9〜10に示されるように、2枚の板体201、202と、当該両板体201、202を回転可能に結合するために下側の板体201に取り付けられた軸203と、前記上側の板体202に取り付けられ、かつ前記軸203を下方より回転自在に嵌合させるための孔204を有する金具205とからなっている。なお、206はボール、207はガイドピンである。また、板体201の張り出し部201aは、軸203の下端に連結された2枚の板部210のあいだに遊嵌され、ボルト208に螺合されている。
【0017】
図9〜10の蝶番のばあい、ボルト208を回転させることにより、板体201を前後方向(図10の矢印221の方向)に移動させて前後方向における蝶番の調整をすることができる。また、金具205上部の雌ネジ孔211に螺入された雄ネジ軸209をねじ回すことにより、板体202を上下方向(図9の矢印222の方向)に移動させて上下方向における蝶番の調整をすることができる。しかしながら、板体201または202を左右方向(図9の矢印223の方向)に移動させて左右方向における蝶番の調整をすることができないため、正確な扉の心合せを達成することができない。
【0018】
本発明はかかる事情に鑑み、扉を取り付けたのちに取り付けの心合せを、3次元方向に自在に調整しうる蝶番を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の蝶番は、(a)上ナックルがその端縁に形成される上部取付板と、
(b)下ナックルがその端縁に形成される下部取付板と、
(c)前記下ナックルの内部に配設され、前記下ナックルに対して相対的に前後方向に水平移動できるように、前記下ナックルに固着された下部軸案内ピンによって案内され、前記下ナックルに対して左右方向にのびる溝が形成された上端軸受部を有してなる下部軸と、
(d)前記下ナックルの内部に配設され、下端軸部が、前記左右方向における水平移動および前記前後方向における揺動ができるように、前記下部軸の溝に係合され、上端軸部が、前記前後方向における揺動ができるように、前記上ナックル内部に係合されてなる上部軸と、
(e)前記下部軸において、前記前後方向に貫通するよう穿設されたネジ孔に螺入される前後位置調整ネジと、
(f)前記上部軸において、前記左右方向に貫通するよう穿設されたネジ孔に螺入される左右位置調整ネジと、
(g)前記上ナックルに上方から螺入され、先端が前記上部軸の上端軸部に上方から当接された上下位置調整ネジとからなり、
前記上部軸が前記左右位置調整ネジによって回転自在に支持されてなることを特徴としている。
【0020】
前記上ナックルを、その内部で移動可能に収納しうるキャップを、前記上ナックルの外周に設けてなるのが好ましい。
【0021】
前記上部軸の下端軸部の先端が略球面状であるのが好ましい。
【0022】
前記上部軸の上端軸部の先端が略球面状であるのが好ましい。
【0023】
前記上部軸の上端軸部の最大直径が前記上ナックルの内径にほぼ等しく、かつ少なくとも上端軸部の最大直径の部分およびその周辺部分が略球面状に形成されてなるのが好ましい。
【0024】
本発明の蝶番によれば、3つの調整ネジを順逆いずれかに回すことにより、上部取付板および下部取付板を互いに相対的に3方向(左右、前後、上下)に移動させ、その結果、蝶番の調整をすることができる。そのため、扉を建具枠に取り付けたのちに正確に心合せすることができる。
【0025】
具体的には、下部軸と下ナックルとのあいだ、上部軸と下ナックルとのあいだ、および上部軸と上ナックルとのあいだの相対的移動によって蝶番の3方向の調整をすることができる。
【0026】
左右方向の調整は、左右位置調整ネジの回転によって、上部軸の下端軸部が下部軸の上端軸受部に形成された溝によって正確に案内されながら、上部軸が前記下ナックルに対して相対的に左右方向に水平移動することにより達成される。
【0027】
また、前後方向の調整は、前後位置調整ネジの回転によって、下部軸が下部軸案内ピンによって正確に案内されながら前記下ナックルに対して相対的に前後方向に水平移動する。それにより、上部軸の下端軸部が前記下部軸の溝に対して相対的に前後方向(すなわち、溝ののびる方向と直角の方向)へ揺動される。それとともに上部軸は、前記左右位置調整ネジを回転中心として、回転する。このとき、上部軸の上端軸部が、上ナックル内部で相対的に前後方向へ揺動する。その結果、上ナックルを前記下ナックルに対して相対的に前後方向へ水平移動させることができる。
【0028】
さらに、上下方向の調整は、上下位置調整ネジの回転によって、前記上ナックル内部の上部軸の上端軸部が下方向に押圧され、それにより、上ナックルと上部軸とのあいだで相対的な上下移動が行なわれることにより達成される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の蝶番を詳細に説明する。図1は本発明の蝶番の一実施例を示す1組の蝶番を扉に取り付けた例を示す斜視説明図、図2は図1の蝶番の斜視説明図、図3は図2の蝶番のIII−III線断面図および図4は図2の上部軸および下部軸の係合状態を示す斜視説明図である。
【0030】
図1において、3方向の調整が可能な本実施例の蝶番1を1組用いて扉Dを建具枠Fに取り付けた状態が示されている。なお、図1では、わかり易くするために蝶番を誇張するとともに取付板を扉の片面に取り付けて描いている。
【0031】
図1の扉Dの取付例では、扉Dが上下にガタつかないように、扉上部の蝶番1が扉下部の蝶番1に対して天地逆になるように取り付けられている。なお、上下の蝶番1を同じ向きになるように取り付けてもよい。
【0032】
図2は図1の扉下部用の蝶番1に対応するものであり、キャップ30を有する蝶番1が示されている。キャップ30は、上ナックル7を内包するものである。上部取付板5は、扉側に取り付けられ、下部取付板4は、取付枠側に取り付けられる。キャップ30は、下端内周縁に設けられた凸部70(図3参照)が保持シリンダ71の上端外周縁に突設されたつば部72に対して回転可能に嵌着されており、上部取付板5の回動に従って回動する。保持シリンダ71は、下ナックル6に対して回転したり、または抜けないように、ピン73によって固着されている。
【0033】
なお、図示されていないが、下ナックル6の外周を覆うように、さらにキャップを設けてもよい。
【0034】
蝶番1は、図2および図3に示されるように、下部2および上部3からなる。また、下部2は、下部取付板4と、取付板4の端縁に設けられた下ナックル6と、下ナックル6内に配設された部材、すなわち、下部軸8、前後位置調整ネジ9、下部軸案内ピン10、左右位置調整ネジ12および上部軸16とから構成されている。上部3は、上部取付板5と、取付板5の端縁に設けられた上ナックル7と、上ナックル7内に配設された上下位置調整ネジ13とから構成されている。上部3および下部2の各部材は、鉄、ステンレス、アルミニウム、真ちゅうなどの金属から製造されることが、強度が確保できるという点から好ましい。
【0035】
下部軸8は、たとえば、図4に示されるような前記下ナックル6に対して左右方向(図2および図4の矢印34参照)を長軸とする楕円形断面を呈する部材である。下部軸8の上端軸受部8aには前記左右方向(矢印34参照)にのびる溝8bが形成されている。下部軸8は、前記下ナックル6に対して相対的に前後方向(図2〜4の矢印35参照)に水平移動できるように後述する下部軸案内ピン10によって案内されている。
【0036】
下部軸案内ピン10は、下部軸8を前後方向(矢印35参照)に案内するために下部軸8の孔8cに挿通されたピンであり、前記前後位置調整ネジ9の上方および下方において当該ネジ9と平行に1本づつのびている。下部軸案内ピン10は、その両端部が下ナックル6に固着されている。
【0037】
上部軸16は、後述する左右位置調整ネジ12によって回転自在に支持されている(図3参照)。また、上部軸16は、上下両端が前記前後方向(矢印35参照)に揺動自在になっている。
【0038】
すなわち、下端軸部16bは、図4に示されるように、前記左右方向(矢印34参照)における水平移動および前記前後方向(矢印35参照)における揺動の両方ができるように、前記下部軸8の前記左右方向(矢印34参照)にのびる溝8bに係合している。また、上端軸部16cは、図3に示されるように、前記前後方向(矢印35参照)に揺動できるように、前記上ナックル7内部に係合されている。
【0039】
下端軸部16bの先端は、略球面状であるため、下端軸部16bは溝8b内部で円滑に水平移動および揺動を行なうことができる。
【0040】
上部軸16の上端軸部16cは、前記上ナックル7の内部で揺動できるような形状を呈している。
【0041】
たとえば、上端軸部16cが前記上ナックル7の内部でがたつくことなく円滑に揺動できるように、図3〜4に示されるように、前記上部軸16の上端軸部16cの最大直径Dmが前記上ナックル7の内径dにほぼ等しく、かつ少なくとも上端軸部16cの最大直径Dmの部分およびその周辺部分の領域Aが略球面状に形成されているのが好ましい。
【0042】
また、上端軸部16cの他の形状として、たとえば、ほぼ中間位置が最大直径であり、上端および下端に向かうにつれて直径が小さくなるような紡錘状などの形状を採用してもよい。
【0043】
さらに、図3〜4に示されるように、上端軸部16cの先端に略球面状の突出部16dが設けられているため、上端軸部16cと滑り板33(滑り板33がないばあいには上下位置調整ネジ13)とのあいだの接触面積が小さくなるとともに摩擦抵抗が小さくなるため、上ナックル7を円滑に回転を行なうことができる。
【0044】
また、図3〜4に示されるように、上端軸部16cの根元部分において、前記上ナックル7の内径dよりも大きい外径を有するストッパ部16eが設けられているため、後述する上下位置調整ネジ13を回転させ過ぎたばあいでも、上ナックル7はストッパ部16eに係止されるため、上ナックル7を下降させすぎる不具合がない。
【0045】
左右位置調整ネジ12は、図2〜3に示されるように、前記上部軸16において、前記左右方向(矢印34参照)に貫通するように穿設されたネジ孔16aに螺入されている。前記ネジ12の先端(図示せず)は、下ナックル6または保持シリンダ71の内面に当接している。前記ネジ12の後端12dは、六角レンチまたはねじ回しなどを用いて回転できるように六角形などの穴または十字形などの溝が形成されている。前記後端12dは、下ナックル6の丸孔6aを通して外部に露出している。したがって、左右位置調整ネジ12の回転操作を外部から容易に行なうことができる。また、左右位置調整ネジ12のおねじ部12e(図3参照)の外径が前記下ナックル6の丸孔6a(図2参照)の内径よりも大きいため、左右位置調整ネジ12は外部に抜け落ちない。
【0046】
前後位置調整ネジ9は、図2〜3に示されるように、前記下部軸8において、前記前後方向(矢印35参照)に貫通するように穿設されたネジ孔8dに螺入されている。前記前後位置調整ネジ9の先端9a(図3参照)は、下ナックル6の丸孔6b(図3参照)を通して外部に露出している。前記左右位置調整ネジ12と同様に、六角形などの穴または十字形の溝が形成された前後位置調整ネジ9の後端9bは、下ナックル6の丸孔6cを通して外部に露出している。また、前後位置調整ネジ9の直径が丸孔6bおよび6cの内径よりも大きいため、前後位置調整ネジ9が外部に抜け落ちない。
【0047】
上下位置調整ネジ13は、図3に示されるように、上ナックル7を上下方向に貫通するように穿設されたネジ孔7aに螺入されている。上下位置調整ネジ13の先端13aは、前記上部軸16の上端軸部16cに上方から滑り板33を介して当接している。また、六角形などの穴または十字形の溝が形成された上下位置調整ネジ13の後端13bは前記ネジ孔7aを通して上ナックル7の上面から露出しているため、キャップ30を取り付ける前に上下位置調整ネジ13を回転操作して取付板5の高さ調整をすることができる。
【0048】
本実施例では、図3に示されるように、ネジ13の先端13aと上端軸部16cとのあいだに滑り板33が配設されているため、上ナックル7の回転を円滑に行なうことができる。なお、本発明では滑り板33についてとくに限定されるものではなく、滑り板33を省略して前記先端13aと上端軸部16cとを直接当接させてもよい。
【0049】
以上のように構成された蝶番1は以下のようにして蝶番の調整を行なう。
【0050】
左右方向の調整を行なうばあい、図2〜4に示されるように、六角レンチなどを用いて左右位置調整ネジ12を回転させる。このとき、左右位置調整ネジ12は、両端が下ナックル6の内面によって拘束されているため回転するのみで移動できない。上部軸16は、図4に示されるように、下端軸部16bが下部軸8の上端軸受部8aの溝8bによって正確に案内されながら前記上ナックル7に対して相対的に左右方向(図2および図4の矢印34参照)に水平移動する。その結果、蝶番は正確に左右方向の調整をすることができる。
【0051】
前後方向の調整を行なうばあい、図2〜4に示されるように、前述と同様に前後位置調整ネジ9を回転させる。このとき、前後位置調整ネジ9は、両端が下ナックル6の内面によって拘束されているため、回転するのみで移動できない。下部軸8は下部軸案内ピン10によって、正確に案内されながら、前記下ナックル6に対して相対的に前後方向(図2〜4の矢印35参照)に水平移動する。
【0052】
下部軸8が前後方向(矢印35参照)に水平移動すれば、前記下端軸部16bが前記溝8bに対して相対的に前後方向(矢印35参照)へ揺動される。それとともに上部軸16は、前記左右位置調整ネジ12を回転中心として、回転する。このとき、上端軸部16cが、上ナックル7内部で相対的に前後方向(矢印35参照)へ移動することにより、上ナックル7を前記下ナックル6に対して相対的に前後方向(矢印35参照)へ水平移動させることができる。その結果、蝶番は、正確に前後方向の調整をすることができる。
【0053】
上下方向の調整を行なうばあい、六角レンチなどを用いて上下位置調整ネジ13を回転させ、所望の量だけ上ナックル7内部を上昇または下降させる。このとき、上部軸16が上下位置調整ネジ13の先端13aによって下方向に押圧される。それにより、上ナックル7と上部軸16とのあいだで相対的な上下移動が行なわれる。
【0054】
以上のごとく構成された本実施例の蝶番1は、図1のように扉Dの上下両方に取り付けて用いることができるため、蝶番の共通化が可能になる。
【0055】
図1のように、扉下部および扉上部に取り付けられる蝶番1を互いに前記上下位置調整ネジ13(図2参照)が対向するように天地逆に設けたばあい、扉Dの上下方向の調整ののち、前記ネジ13によって、扉Dを上下から押圧することにより、扉Dのがたつきをさらに防止できる。
【0056】
また、本実施例では、下部軸案内ピン10が2本設けられた例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、それぞれ少なくとも1本のピンがあれば、前述のガイド効果を奏することができる。また、3本以上のピンをそれぞれ設けてもよい。
【0057】
また、蝶番1は、キャップ30を有しており、上ナックル7を完全に収納し、継ぎ目を隠すため、外観を美しくすることができる。このキャップ30は、ABSなどの合成樹脂製であることが弾力性、加工性およびコストの点から好ましい。
【0058】
さらに、図示されていないが、下ナックル6を覆うキャップを設ければ、外観がより美しくなる。
【0059】
キャップ30は、当該キャップ30の内径が上ナックル7の外径よりも大きくなるように設計されている。そのため、3次元の調整を行なったあと、上ナックル7の軸と、下ナックル6の軸がずれていても、キャップ30内でこれを吸収し、外部からはそのようなずれを見ることができない。なお、キャップ30には、上部取付板5を貫通させるための切欠30a(図3参照)が形成されている。
【0060】
また、左右位置調整ネジ12または前後位置調整ネジ9を両端のいずれからでも回転操作できるように、それぞれのネジの両端面に六角形の穴または十字形の溝などを形成するのが好ましい。
【0061】
また、図示しないが、図2の下ナックル6の丸孔6a、6cおよび上ナックル7のネジ孔7aのまわりに、それぞれ、前記ネジ9、12、13を回動させる六角レンチ(図示せず)の回転方向と、上下取付板4、5の調整方向との関係を示す矢印などのマークを設けるのが好ましい。それぞれのネジに対応して、丸孔6cのまわりに設けられる矢印には、「前」および「後」を、丸孔6aのまわりに設けられる矢印には、「左」および「右」を、ネジ孔7aのまわりに設けられる矢印には、「上」および「下」をそれぞれ付しておくことが好ましい。
【0062】
【発明の効果】
本発明の蝶番は、3つの調整ネジによって3方向に調整が可能である。したがって、扉を取り付けたあとに、取付の心合わせを3次元方向に行うことができ、正確な調整を行うことができる。そして、取付後の見た目が綺麗であるとともに、扉の開閉をスムーズにすることができる。
【0063】
また、本発明の蝶番は、3方向の調整のうちの2方向(左右および前後)の調整については、ネジによる2方向からの付勢力を1本の上部軸を介して上ナックルに伝達するように構成されている。したがって、部品点数が少なくてすみ、かつ蝶番全体の小型化を達成することができる。
【0064】
しかもキャップを被せることにより、ナックル部分に異物が挟まるのを防ぐことができ、仕上がりも美しくなる。
【0065】
なお、本発明の蝶番の上部取付板および下部取付板は、建具枠(柱など)および扉のいずれにも取り付け可能であり、現場の状況に応じて選定することができるものであって、本発明においてその取付部位がとくに限定されるものではない。さらに、上部取付板または下部取付板という名称にかかわらず、図示した姿勢とは上下に逆にして扉または柱などに取り付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蝶番の一実施例を示す1組の蝶番を扉に取り付けた一例を示す斜視説明図である。
【図2】図1の蝶番の斜視説明図である。
【図3】図2の蝶番のIII−III線断面図である。
【図4】図2の上部軸および下部軸の係合状態を示す斜視図である。
【図5】従来の蝶番の正面図である。
【図6】従来の蝶番の取付状態を示す扉の上面図である。
【図7】従来の蝶番の取付状態を示す正面図である。
【図8】従来の他の蝶番の一部断面斜視図である。
【図9】従来のさらに他の蝶番の縦断面図である。
【図10】図9の蝶番のX−X線断面図である。
【符号の説明】
1 蝶番
4 下部取付板
5 上部取付板
6 下ナックル
7 上ナックル
8 下部軸
8a 上端軸受部
8b 溝
9 前後位置調整ネジ
10 下部軸案内ピン
12 左右位置調整ネジ
13 上下位置調整ネジ
16 上部軸
16b 下端軸部
16c 上端軸部
【発明の属する技術分野】
本発明は蝶番に関する。さらに詳しくは扉、窓その他の開閉されるものを枠などの固定部材に取り付けるための蝶番に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来より、図5に示されるような蝶番150が一般的に使用されている。この蝶番150は、それぞれの端縁に略円筒状のナックル153、154が形成されている2枚の取付板151、152と、それぞれのナックル153、154を貫いて挿入され、その両端頭部156がかしめられて2枚の取付板151、152を回転自在に支持する軸ピン155とからなる。157は取付孔である。
【0003】
この蝶番150を用いて、図6および図7に示されるように扉Dを建具枠Fなどに取りつけたばあい、扉Dが建具枠Fの内部にきちんと納まらず、建具枠Fとのあいだの心合せが狂うことがある。
【0004】
このばあい、図7に示されるように建具枠Fとのあいだの隙間が不ぞろいになり不体裁であるばかりでなく、扉Dの開閉に支障が生ずるという問題がある。
【0005】
しかも、前述のような従来の蝶番150では、心合せの狂いを調節できないので、いったん扉Dを取りつけた後は、心合せの修正ができないという問題がある。
【0006】
そこで、図8に示されるような、蝶番160が提案されている。この蝶番160は、矢印161および矢印162方向の心合わせの修正が可能である。
【0007】
すなわち、図8において、一方の取付板171のナックル173の底端には、擬宝珠176がピン177で固定されている。このナックル173には、2本のねじ棒178、179がナックル173の軸方向に間隔をおき、かつ半径方向に貫通するように取りつけられている。そして、各ねじ棒178、179は、ナックル173から抜けることなく、しかも回転自在に取り付けられている。
【0008】
軸ピン180は下端部181と上端部182とからなり、下端部181はナックル173に挿入されている。この下端部181は、その外径がナックル173の内径よりも細く、ナックル173の内部で半径方向に動く余地がある。そして、この下端部181は、前記ねじ棒178、179に螺合されて、支持されている。
【0009】
軸ピン180の上端部182には、他方の取付板172のナックル174が挿入されている。このナックル174の上端には、擬宝珠183が固定されており、その内部には雌ねじ部184が形成されている。そして、雌ねじ部184には調節ねじ185が螺合されている。この調節ねじ185は、ねじ込めばナックル174内へ進入し、ねじ戻せばナックル174内から上昇する。そして、調節ねじ185の先端は、滑り板186を介して軸ピン180の上端に当接している。
【0010】
この蝶番160は、取付孔175にビスを通して建具枠と扉に固定した後で、心合せを行うことができる。
【0011】
すなわち、ねじ棒178、179を回転させれば、軸ピン180の下端部181をナックル173内で、そして、中心位置から偏寄させたり、また中心位置に戻したりすることができる。そして、ねじ棒178、179を互いに反対向きに回転させて、軸ピン180の軸心をナックル173に対して傾斜させることもできる。この操作により、建具枠Fに取りつけられた扉Dの上端部または下端部(図7参照)の横方向(図8の矢印162の方向)の心ズレを修正しうる。
【0012】
つぎに、調整ねじ185をねじ込めば、調整ねじ185の先端が軸ピン180の上端に当接しているので、ナックル174が上昇する。逆に調整ねじ185をねじ戻せば、ナックル174が下降する。これにより、取付板172が上昇および下降するので、扉Dの高さ方向の心ズレを修正することができる。
【0013】
この蝶番160によれば、扉などを建具枠に取りつけたのちに、扉と建具枠間の心合せを調整しうるので、不体裁な隙間の狂いなどを解消することができる。
【0014】
しかしながら、図8に示されるような蝶番160であっても、調整しうる方向が矢印161、162を含む平面内に限られており、矢印163方向の調整はできず、微妙な調整をすることができないという問題を残していた。
【0015】
また、他の従来の蝶番として、実願昭57−176293号(実開昭59−80064号)において開示される蝶番がある。
【0016】
この蝶番は、図9〜10に示されるように、2枚の板体201、202と、当該両板体201、202を回転可能に結合するために下側の板体201に取り付けられた軸203と、前記上側の板体202に取り付けられ、かつ前記軸203を下方より回転自在に嵌合させるための孔204を有する金具205とからなっている。なお、206はボール、207はガイドピンである。また、板体201の張り出し部201aは、軸203の下端に連結された2枚の板部210のあいだに遊嵌され、ボルト208に螺合されている。
【0017】
図9〜10の蝶番のばあい、ボルト208を回転させることにより、板体201を前後方向(図10の矢印221の方向)に移動させて前後方向における蝶番の調整をすることができる。また、金具205上部の雌ネジ孔211に螺入された雄ネジ軸209をねじ回すことにより、板体202を上下方向(図9の矢印222の方向)に移動させて上下方向における蝶番の調整をすることができる。しかしながら、板体201または202を左右方向(図9の矢印223の方向)に移動させて左右方向における蝶番の調整をすることができないため、正確な扉の心合せを達成することができない。
【0018】
本発明はかかる事情に鑑み、扉を取り付けたのちに取り付けの心合せを、3次元方向に自在に調整しうる蝶番を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の蝶番は、(a)上ナックルがその端縁に形成される上部取付板と、
(b)下ナックルがその端縁に形成される下部取付板と、
(c)前記下ナックルの内部に配設され、前記下ナックルに対して相対的に前後方向に水平移動できるように、前記下ナックルに固着された下部軸案内ピンによって案内され、前記下ナックルに対して左右方向にのびる溝が形成された上端軸受部を有してなる下部軸と、
(d)前記下ナックルの内部に配設され、下端軸部が、前記左右方向における水平移動および前記前後方向における揺動ができるように、前記下部軸の溝に係合され、上端軸部が、前記前後方向における揺動ができるように、前記上ナックル内部に係合されてなる上部軸と、
(e)前記下部軸において、前記前後方向に貫通するよう穿設されたネジ孔に螺入される前後位置調整ネジと、
(f)前記上部軸において、前記左右方向に貫通するよう穿設されたネジ孔に螺入される左右位置調整ネジと、
(g)前記上ナックルに上方から螺入され、先端が前記上部軸の上端軸部に上方から当接された上下位置調整ネジとからなり、
前記上部軸が前記左右位置調整ネジによって回転自在に支持されてなることを特徴としている。
【0020】
前記上ナックルを、その内部で移動可能に収納しうるキャップを、前記上ナックルの外周に設けてなるのが好ましい。
【0021】
前記上部軸の下端軸部の先端が略球面状であるのが好ましい。
【0022】
前記上部軸の上端軸部の先端が略球面状であるのが好ましい。
【0023】
前記上部軸の上端軸部の最大直径が前記上ナックルの内径にほぼ等しく、かつ少なくとも上端軸部の最大直径の部分およびその周辺部分が略球面状に形成されてなるのが好ましい。
【0024】
本発明の蝶番によれば、3つの調整ネジを順逆いずれかに回すことにより、上部取付板および下部取付板を互いに相対的に3方向(左右、前後、上下)に移動させ、その結果、蝶番の調整をすることができる。そのため、扉を建具枠に取り付けたのちに正確に心合せすることができる。
【0025】
具体的には、下部軸と下ナックルとのあいだ、上部軸と下ナックルとのあいだ、および上部軸と上ナックルとのあいだの相対的移動によって蝶番の3方向の調整をすることができる。
【0026】
左右方向の調整は、左右位置調整ネジの回転によって、上部軸の下端軸部が下部軸の上端軸受部に形成された溝によって正確に案内されながら、上部軸が前記下ナックルに対して相対的に左右方向に水平移動することにより達成される。
【0027】
また、前後方向の調整は、前後位置調整ネジの回転によって、下部軸が下部軸案内ピンによって正確に案内されながら前記下ナックルに対して相対的に前後方向に水平移動する。それにより、上部軸の下端軸部が前記下部軸の溝に対して相対的に前後方向(すなわち、溝ののびる方向と直角の方向)へ揺動される。それとともに上部軸は、前記左右位置調整ネジを回転中心として、回転する。このとき、上部軸の上端軸部が、上ナックル内部で相対的に前後方向へ揺動する。その結果、上ナックルを前記下ナックルに対して相対的に前後方向へ水平移動させることができる。
【0028】
さらに、上下方向の調整は、上下位置調整ネジの回転によって、前記上ナックル内部の上部軸の上端軸部が下方向に押圧され、それにより、上ナックルと上部軸とのあいだで相対的な上下移動が行なわれることにより達成される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の蝶番を詳細に説明する。図1は本発明の蝶番の一実施例を示す1組の蝶番を扉に取り付けた例を示す斜視説明図、図2は図1の蝶番の斜視説明図、図3は図2の蝶番のIII−III線断面図および図4は図2の上部軸および下部軸の係合状態を示す斜視説明図である。
【0030】
図1において、3方向の調整が可能な本実施例の蝶番1を1組用いて扉Dを建具枠Fに取り付けた状態が示されている。なお、図1では、わかり易くするために蝶番を誇張するとともに取付板を扉の片面に取り付けて描いている。
【0031】
図1の扉Dの取付例では、扉Dが上下にガタつかないように、扉上部の蝶番1が扉下部の蝶番1に対して天地逆になるように取り付けられている。なお、上下の蝶番1を同じ向きになるように取り付けてもよい。
【0032】
図2は図1の扉下部用の蝶番1に対応するものであり、キャップ30を有する蝶番1が示されている。キャップ30は、上ナックル7を内包するものである。上部取付板5は、扉側に取り付けられ、下部取付板4は、取付枠側に取り付けられる。キャップ30は、下端内周縁に設けられた凸部70(図3参照)が保持シリンダ71の上端外周縁に突設されたつば部72に対して回転可能に嵌着されており、上部取付板5の回動に従って回動する。保持シリンダ71は、下ナックル6に対して回転したり、または抜けないように、ピン73によって固着されている。
【0033】
なお、図示されていないが、下ナックル6の外周を覆うように、さらにキャップを設けてもよい。
【0034】
蝶番1は、図2および図3に示されるように、下部2および上部3からなる。また、下部2は、下部取付板4と、取付板4の端縁に設けられた下ナックル6と、下ナックル6内に配設された部材、すなわち、下部軸8、前後位置調整ネジ9、下部軸案内ピン10、左右位置調整ネジ12および上部軸16とから構成されている。上部3は、上部取付板5と、取付板5の端縁に設けられた上ナックル7と、上ナックル7内に配設された上下位置調整ネジ13とから構成されている。上部3および下部2の各部材は、鉄、ステンレス、アルミニウム、真ちゅうなどの金属から製造されることが、強度が確保できるという点から好ましい。
【0035】
下部軸8は、たとえば、図4に示されるような前記下ナックル6に対して左右方向(図2および図4の矢印34参照)を長軸とする楕円形断面を呈する部材である。下部軸8の上端軸受部8aには前記左右方向(矢印34参照)にのびる溝8bが形成されている。下部軸8は、前記下ナックル6に対して相対的に前後方向(図2〜4の矢印35参照)に水平移動できるように後述する下部軸案内ピン10によって案内されている。
【0036】
下部軸案内ピン10は、下部軸8を前後方向(矢印35参照)に案内するために下部軸8の孔8cに挿通されたピンであり、前記前後位置調整ネジ9の上方および下方において当該ネジ9と平行に1本づつのびている。下部軸案内ピン10は、その両端部が下ナックル6に固着されている。
【0037】
上部軸16は、後述する左右位置調整ネジ12によって回転自在に支持されている(図3参照)。また、上部軸16は、上下両端が前記前後方向(矢印35参照)に揺動自在になっている。
【0038】
すなわち、下端軸部16bは、図4に示されるように、前記左右方向(矢印34参照)における水平移動および前記前後方向(矢印35参照)における揺動の両方ができるように、前記下部軸8の前記左右方向(矢印34参照)にのびる溝8bに係合している。また、上端軸部16cは、図3に示されるように、前記前後方向(矢印35参照)に揺動できるように、前記上ナックル7内部に係合されている。
【0039】
下端軸部16bの先端は、略球面状であるため、下端軸部16bは溝8b内部で円滑に水平移動および揺動を行なうことができる。
【0040】
上部軸16の上端軸部16cは、前記上ナックル7の内部で揺動できるような形状を呈している。
【0041】
たとえば、上端軸部16cが前記上ナックル7の内部でがたつくことなく円滑に揺動できるように、図3〜4に示されるように、前記上部軸16の上端軸部16cの最大直径Dmが前記上ナックル7の内径dにほぼ等しく、かつ少なくとも上端軸部16cの最大直径Dmの部分およびその周辺部分の領域Aが略球面状に形成されているのが好ましい。
【0042】
また、上端軸部16cの他の形状として、たとえば、ほぼ中間位置が最大直径であり、上端および下端に向かうにつれて直径が小さくなるような紡錘状などの形状を採用してもよい。
【0043】
さらに、図3〜4に示されるように、上端軸部16cの先端に略球面状の突出部16dが設けられているため、上端軸部16cと滑り板33(滑り板33がないばあいには上下位置調整ネジ13)とのあいだの接触面積が小さくなるとともに摩擦抵抗が小さくなるため、上ナックル7を円滑に回転を行なうことができる。
【0044】
また、図3〜4に示されるように、上端軸部16cの根元部分において、前記上ナックル7の内径dよりも大きい外径を有するストッパ部16eが設けられているため、後述する上下位置調整ネジ13を回転させ過ぎたばあいでも、上ナックル7はストッパ部16eに係止されるため、上ナックル7を下降させすぎる不具合がない。
【0045】
左右位置調整ネジ12は、図2〜3に示されるように、前記上部軸16において、前記左右方向(矢印34参照)に貫通するように穿設されたネジ孔16aに螺入されている。前記ネジ12の先端(図示せず)は、下ナックル6または保持シリンダ71の内面に当接している。前記ネジ12の後端12dは、六角レンチまたはねじ回しなどを用いて回転できるように六角形などの穴または十字形などの溝が形成されている。前記後端12dは、下ナックル6の丸孔6aを通して外部に露出している。したがって、左右位置調整ネジ12の回転操作を外部から容易に行なうことができる。また、左右位置調整ネジ12のおねじ部12e(図3参照)の外径が前記下ナックル6の丸孔6a(図2参照)の内径よりも大きいため、左右位置調整ネジ12は外部に抜け落ちない。
【0046】
前後位置調整ネジ9は、図2〜3に示されるように、前記下部軸8において、前記前後方向(矢印35参照)に貫通するように穿設されたネジ孔8dに螺入されている。前記前後位置調整ネジ9の先端9a(図3参照)は、下ナックル6の丸孔6b(図3参照)を通して外部に露出している。前記左右位置調整ネジ12と同様に、六角形などの穴または十字形の溝が形成された前後位置調整ネジ9の後端9bは、下ナックル6の丸孔6cを通して外部に露出している。また、前後位置調整ネジ9の直径が丸孔6bおよび6cの内径よりも大きいため、前後位置調整ネジ9が外部に抜け落ちない。
【0047】
上下位置調整ネジ13は、図3に示されるように、上ナックル7を上下方向に貫通するように穿設されたネジ孔7aに螺入されている。上下位置調整ネジ13の先端13aは、前記上部軸16の上端軸部16cに上方から滑り板33を介して当接している。また、六角形などの穴または十字形の溝が形成された上下位置調整ネジ13の後端13bは前記ネジ孔7aを通して上ナックル7の上面から露出しているため、キャップ30を取り付ける前に上下位置調整ネジ13を回転操作して取付板5の高さ調整をすることができる。
【0048】
本実施例では、図3に示されるように、ネジ13の先端13aと上端軸部16cとのあいだに滑り板33が配設されているため、上ナックル7の回転を円滑に行なうことができる。なお、本発明では滑り板33についてとくに限定されるものではなく、滑り板33を省略して前記先端13aと上端軸部16cとを直接当接させてもよい。
【0049】
以上のように構成された蝶番1は以下のようにして蝶番の調整を行なう。
【0050】
左右方向の調整を行なうばあい、図2〜4に示されるように、六角レンチなどを用いて左右位置調整ネジ12を回転させる。このとき、左右位置調整ネジ12は、両端が下ナックル6の内面によって拘束されているため回転するのみで移動できない。上部軸16は、図4に示されるように、下端軸部16bが下部軸8の上端軸受部8aの溝8bによって正確に案内されながら前記上ナックル7に対して相対的に左右方向(図2および図4の矢印34参照)に水平移動する。その結果、蝶番は正確に左右方向の調整をすることができる。
【0051】
前後方向の調整を行なうばあい、図2〜4に示されるように、前述と同様に前後位置調整ネジ9を回転させる。このとき、前後位置調整ネジ9は、両端が下ナックル6の内面によって拘束されているため、回転するのみで移動できない。下部軸8は下部軸案内ピン10によって、正確に案内されながら、前記下ナックル6に対して相対的に前後方向(図2〜4の矢印35参照)に水平移動する。
【0052】
下部軸8が前後方向(矢印35参照)に水平移動すれば、前記下端軸部16bが前記溝8bに対して相対的に前後方向(矢印35参照)へ揺動される。それとともに上部軸16は、前記左右位置調整ネジ12を回転中心として、回転する。このとき、上端軸部16cが、上ナックル7内部で相対的に前後方向(矢印35参照)へ移動することにより、上ナックル7を前記下ナックル6に対して相対的に前後方向(矢印35参照)へ水平移動させることができる。その結果、蝶番は、正確に前後方向の調整をすることができる。
【0053】
上下方向の調整を行なうばあい、六角レンチなどを用いて上下位置調整ネジ13を回転させ、所望の量だけ上ナックル7内部を上昇または下降させる。このとき、上部軸16が上下位置調整ネジ13の先端13aによって下方向に押圧される。それにより、上ナックル7と上部軸16とのあいだで相対的な上下移動が行なわれる。
【0054】
以上のごとく構成された本実施例の蝶番1は、図1のように扉Dの上下両方に取り付けて用いることができるため、蝶番の共通化が可能になる。
【0055】
図1のように、扉下部および扉上部に取り付けられる蝶番1を互いに前記上下位置調整ネジ13(図2参照)が対向するように天地逆に設けたばあい、扉Dの上下方向の調整ののち、前記ネジ13によって、扉Dを上下から押圧することにより、扉Dのがたつきをさらに防止できる。
【0056】
また、本実施例では、下部軸案内ピン10が2本設けられた例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、それぞれ少なくとも1本のピンがあれば、前述のガイド効果を奏することができる。また、3本以上のピンをそれぞれ設けてもよい。
【0057】
また、蝶番1は、キャップ30を有しており、上ナックル7を完全に収納し、継ぎ目を隠すため、外観を美しくすることができる。このキャップ30は、ABSなどの合成樹脂製であることが弾力性、加工性およびコストの点から好ましい。
【0058】
さらに、図示されていないが、下ナックル6を覆うキャップを設ければ、外観がより美しくなる。
【0059】
キャップ30は、当該キャップ30の内径が上ナックル7の外径よりも大きくなるように設計されている。そのため、3次元の調整を行なったあと、上ナックル7の軸と、下ナックル6の軸がずれていても、キャップ30内でこれを吸収し、外部からはそのようなずれを見ることができない。なお、キャップ30には、上部取付板5を貫通させるための切欠30a(図3参照)が形成されている。
【0060】
また、左右位置調整ネジ12または前後位置調整ネジ9を両端のいずれからでも回転操作できるように、それぞれのネジの両端面に六角形の穴または十字形の溝などを形成するのが好ましい。
【0061】
また、図示しないが、図2の下ナックル6の丸孔6a、6cおよび上ナックル7のネジ孔7aのまわりに、それぞれ、前記ネジ9、12、13を回動させる六角レンチ(図示せず)の回転方向と、上下取付板4、5の調整方向との関係を示す矢印などのマークを設けるのが好ましい。それぞれのネジに対応して、丸孔6cのまわりに設けられる矢印には、「前」および「後」を、丸孔6aのまわりに設けられる矢印には、「左」および「右」を、ネジ孔7aのまわりに設けられる矢印には、「上」および「下」をそれぞれ付しておくことが好ましい。
【0062】
【発明の効果】
本発明の蝶番は、3つの調整ネジによって3方向に調整が可能である。したがって、扉を取り付けたあとに、取付の心合わせを3次元方向に行うことができ、正確な調整を行うことができる。そして、取付後の見た目が綺麗であるとともに、扉の開閉をスムーズにすることができる。
【0063】
また、本発明の蝶番は、3方向の調整のうちの2方向(左右および前後)の調整については、ネジによる2方向からの付勢力を1本の上部軸を介して上ナックルに伝達するように構成されている。したがって、部品点数が少なくてすみ、かつ蝶番全体の小型化を達成することができる。
【0064】
しかもキャップを被せることにより、ナックル部分に異物が挟まるのを防ぐことができ、仕上がりも美しくなる。
【0065】
なお、本発明の蝶番の上部取付板および下部取付板は、建具枠(柱など)および扉のいずれにも取り付け可能であり、現場の状況に応じて選定することができるものであって、本発明においてその取付部位がとくに限定されるものではない。さらに、上部取付板または下部取付板という名称にかかわらず、図示した姿勢とは上下に逆にして扉または柱などに取り付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蝶番の一実施例を示す1組の蝶番を扉に取り付けた一例を示す斜視説明図である。
【図2】図1の蝶番の斜視説明図である。
【図3】図2の蝶番のIII−III線断面図である。
【図4】図2の上部軸および下部軸の係合状態を示す斜視図である。
【図5】従来の蝶番の正面図である。
【図6】従来の蝶番の取付状態を示す扉の上面図である。
【図7】従来の蝶番の取付状態を示す正面図である。
【図8】従来の他の蝶番の一部断面斜視図である。
【図9】従来のさらに他の蝶番の縦断面図である。
【図10】図9の蝶番のX−X線断面図である。
【符号の説明】
1 蝶番
4 下部取付板
5 上部取付板
6 下ナックル
7 上ナックル
8 下部軸
8a 上端軸受部
8b 溝
9 前後位置調整ネジ
10 下部軸案内ピン
12 左右位置調整ネジ
13 上下位置調整ネジ
16 上部軸
16b 下端軸部
16c 上端軸部
Claims (5)
- (a)上ナックルがその端縁に形成される上部取付板と、
(b)下ナックルがその端縁に形成される下部取付板と、
(c)前記下ナックルの内部に配設され、前記下ナックルに対して相対的に前後方向に水平移動できるように、前記下ナックルに固着された下部軸案内ピンによって案内され、前記下ナックルに対して左右方向にのびる溝が形成された上端軸受部を有してなる下部軸と、
(d)前記下ナックルの内部に配設され、下端軸部が、前記左右方向における水平移動および前記前後方向における揺動ができるように、前記下部軸の溝に係合され、上端軸部が、前記前後方向における揺動ができるように、前記上ナックル内部に係合されてなる上部軸と、
(e)前記下部軸において、前記前後方向に貫通するよう穿設されたネジ孔に螺入される前後位置調整ネジと、
(f)前記上部軸において、前記左右方向に貫通するよう穿設されたネジ孔に螺入される左右位置調整ネジと、
(g)前記上ナックルに上方から螺入され、先端が前記上部軸の上端軸部に上方から当接された上下位置調整ネジとからなり、
前記上部軸が前記左右位置調整ネジによって回転自在に支持されてなる蝶番。 - 前記上ナックルを、その内部で移動可能に収納しうるキャップを、前記上ナックルの外周に設けてなる請求項1記載の蝶番。
- 前記上部軸の下端軸部の先端が略球面状である請求項1または2記載の蝶番。
- 前記上部軸の上端軸部の先端が略球面状である請求項1、2または3記載の蝶番。
- 前記上部軸の上端軸部の最大直径が前記上ナックルの内径にほぼ等しく、かつ少なくとも上端軸部の最大直径の部分およびその周辺部分が略球面状に形成されてなる請求項1、2、3または4記載の蝶番。
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