JP3841673B2 - スライド式電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライド式スイッチ等のスライド式電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スライド式スイッチは電子機器や電子部品に利用されており、これら電子機器や電子部品の小型・薄型化に伴い、その小型・薄型化が要求され、近年ではその厚みが0.5〜0.7mm程度のものまで要求されている。
【0003】
しかしながら従来のスライド式電子部品は、基板と上ケースの間にスライド自在に摺動型物を設置し、摺動型物の下面に取り付けた摺動子をこれに対向する基板に設けたスイッチパターンや抵抗パターンに摺接させるように構成されており、厚み方向に上ケースと摺動型物と摺動子と基板の厚みが必要なため、その薄型化に限界があり、強度のことも考えるとその厚みを1mm程度以下にすることは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、薄型化が図れ、且つ構造・組み立てが簡単なスライド式電子部品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため本発明にかかるスライド式電子部品は、ケース内にスライド自在に摺動型物を収納し、前記摺動型物にはその両側面から摺動接点が突出するように摺動子を取り付け、ケースの対向する両側面に設けた摺動子摺接面に前記摺動子の摺動接点を摺接させ、さらに前記両摺動子摺接面の内の一方の摺動子摺接面には摺動接点が移動する範囲にわたってコモン電極パターンを設け、他方の摺動子摺接面には隙間を介して複数のオンオフパターンを設けたことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、前記摺動子が棒状部材を折り曲げることによって構成されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記摺動子がその中間部分を摺動型物に設けた摺動子固定部に取り付けられてこの摺動子固定部と前記ケースの間に挟持することで摺動型物に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記ケースがモールド樹脂製であって、前記複数のオンオフパターン間の隙間部分には前記モールド樹脂からなるクリック部を設けたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記ケースがモールド樹脂製であって、前記コモン電極パターンを金属板製としてこの金属板を屈曲して第二クリック部を設けたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかるスライド式スイッチ1の分解斜視図である。同図に示すようにこのスライド式スイッチ1は、ケース10内に摺動子40を取り付けた摺動型物50を収納し、その上を上ケース70で覆って構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0013】
図2は前記ケース10を反対側の側面から見た斜視図、図3は前記ケース10内にインサート成形される三枚の金属板25,30,35を示す斜視図である。図1〜図3に示すようにケース10は三枚の金属板25,30,35をインサートした状態でモールド樹脂を上面が開放された矩形状の薄い箱型に成形して構成されている。中央には摺動型物収納部11が設けられる。
【0014】
ここでまず三枚の金属板25,30,35について説明する。図3に示すように金属板25は直線状でほぼケース10の全長にわたる長さに伸びるパターン形成部26と、パターン形成部26の後側から突出する舌片状の引出部29とを具備して構成されている。パターン形成部26はその略全長にわたってL字状に折り曲げられ、その前面側の表面がコモン電極パターン27となっている。コモン電極パターン27の所定部分には、ケース10の内側方向に向かって金属板を台形状に屈曲・突出してなる第二クリック部28が設けられている。第二クリック部28の両側面は、傾斜状の当接面281,281となっている。
【0015】
金属板30と金属板35は何れも直線状であって両者併せてほぼケース10の全長にわたる長さになるパターン形成部31,36と、パターン形成部31,36の後側から突出する舌片状の引出部32,39とを具備して構成されている。パターン形成部31,36はその略全長にわたってL字状に折り曲げられ、その前面側の表面がそれぞれオンオフパターン33,37となっている。なお両オンオフパターン33,37の間には、所定間隔の隙間Sが設けられる。
【0016】
そしてケース10内部の両側面(摺動型物50がスライドする方向に対して平行な両側面)である両摺動子摺接面には、前記金属板25,30,35に形成したコモン電極パターン27とオンオフパターン33,37とが露出している。従って金属板25に設けた第二クリック部28はケース10の摺動型物収納部11内に向かって突出している。一方オンオフパターン33,37間の隙間S(図3参照)の部分には、前記ケース10を構成するモールド樹脂からなる凸状のクリック部13が設けられている。
【0017】
摺動型物収納部11の上部周囲には、上ケース載置部15が設けられている。またケース10の両端面(摺動型物50がスライドする方向に対して垂直な両側面)には貫通する長穴からなる係止片挿入部17,17が設けられている。係止片挿入部17,17の下面側には図7に示すように切り欠き状の係止片折曲部19,19が設けられている。
【0018】
次に摺動子40は図1に示すように、円柱棒状部材からなる弾性金属棒を略「コ」字状であって中央の基部41からアーム部43,43を突出してその先端に外側に向かって弧状に湾曲して突出する摺動接点45,45を設けて構成されている。
【0019】
摺動型物50は合成樹脂を略矩形状に一体成形して構成されており、その上面中央にはつまみ51を突出して設け、つまみ51のスライド方向の一側部には開口からなるオンオフ状態表示部53を設けている。ここで図4は摺動子40と摺動型物50とを裏面側から見た斜視図である。同図に示すように摺動型物50の裏面には摺動子40の基部41を挿入・係止する溝状の摺動子固定部55と、摺動子固定部55の面と同じ面まで凹状に凹むことで摺動子40のアーム部43,43を摺動型物50の厚み内に収納するアーム部収納部57,57とを設けている。
【0020】
図1に戻って上ケース70は、金属板を略矩形状に形成すると共にその中央につまみ挿入穴71を設け、またその両端辺から突出する係止片73,73を下方向に折り曲げ、さらに係止辺73内にその折り曲げを容易にするためのスリット75を設けて構成されている。
【0021】
そしてスライド式スイッチ1の組み立ては、まず図4に示すように摺動型物50の下面の摺動子固定部55に摺動子40の基部41を挿入すると共に両アーム部43,43をアーム部収納部57,57内に位置させた状態のものを、図1に示すようにケース10の摺動型物収納部11内に挿入し、その上に上ケース70を被せ、その際上ケース70の両係止片73,73をケース10の係止片挿入部17,17に挿入し、さらにスリット75の部分で係止片73の下側部分を外側に向けて折り曲げる(図7参照)ことで係止して上ケース70をケース10に固定する。
【0022】
図5は以上のようにして組み立てられたスライド式スイッチ1の斜視図、図6は平面図、図7は概略断面図である。これらの図に示すように摺動型物50のつまみ51は上ケース70のつまみ挿入穴71から突出している。また図7に示すように摺動子40はその基部41が摺動型物50に設けた摺動子固定部55とケース10表面の間に挟持されることで摺動型物50に取り付けられている。
【0023】
このとき図6に点線で示すように、摺動子40の両摺動接点45,45はそれぞれコモン電極パターン27と一方のオンオフパターン37に当接しており、これによって引出部29と引出部39間をオンしている。
【0024】
そして図6に示す状態からつまみ51を矢印A方向に移動すれば、摺動型物50と共に摺動子40も矢印A方向に移動し、両摺動接点45,45がクリック部13と第二クリック部28を乗り越えてコモン電極パターン27と他方のオンオフパターン33に当接し、これによって引出部29と引出部39間をオフして引出部29と引出部32間をオンする。両摺動接点45,45がクリック部13と第二クリック部28を乗り越える際はクリック感覚を生じる。
【0025】
この実施形態においてはクリック部としてクリック部13と第二クリック部28を設けたが、これは以下の理由による。
▲1▼2つのクリック部13,28を設けることで、小型でも確実なクリック感覚を生じるようにするためである。
【0026】
▲2▼絶縁モールド樹脂製のクリック部13を設けて両オンオフパターン33,37間を仕切ることで、摺動接点45がオンオフパターン33,37間を移動する際のオンオフを確実にするためである。もしクリック部13がなければ、摺動接点45が両オンオフパターン33,37間を移動する際に放電によってオン状態が引きずられ、オンオフの切れが悪くなり、ショートしてしまう恐れがある。
【0027】
▲3▼摺動型物50を終端位置で確実に停止させておくためである。即ち本実施形態における第二クリック部28は、その横幅をクリック部13の横幅よりも長くし、またその側面を傾斜状の当接面281,281とすることで、摺動型物50がケース10内の何れか一方の終端位置に移動した際に、何れかのオンオフパターン33,37に摺動接点45が当接すると同時に、もう一方の摺動接点45が第二クリック部28の何れかの(摺動型物50が移動した側の)当接面281に当接するように構成されている。これによってケース10内の何れか一方の終端位置に移動した摺動型物50が常に当接面281に当接した摺動接点45によって移動した方向に押圧されるので、終端位置での摺動接点45が固定され、振動・衝撃が加わっても簡単には移動することはなく、摺動型物50の位置決め・停止が確実に行なえて、同時に摺動型物50のスライド方向のガタが生じなくなる。
【0028】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えばクリック部13や第二クリック部28の形状・構造は種々の変形が可能であり、例えば図8(a),(b)に示すようにその両側に凹部131,283を設けることで構成しても良い。またクリック部13や第二クリック部28を凸部とせず、凹部形状に構成しても良い。つまり例えば図2に示すクリック部13を凸部ではなく凹部にしたり、図8(a),(b)に示す凹部131,283だけでその中央に凸部を設けずにこれら凹部131,283そのものをクリック部13や第二クリック部28としても良い。また上記実施形態では本発明をスライド式スイッチに用いた例について説明したが、スライド式可変抵抗器等の他のスライド式電子部品に適用しても良い。
【0029】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、以下のような優れた効果を有する。
▲1▼ケースの内側面に設けた摺動子摺接面に摺動型物の側面から突出する摺動子の摺動接点を摺接することでスライド式電子部品を構成したので、摺動子の厚みを摺動型物の厚みに包含でき、スライド式電子部品の薄型化が図れ、且つ構造が簡単で、組み立ても容易になる。
【0030】
▲2▼摺動子を棒状部材を折り曲げることによって構成したのでその構造が簡単で薄型化し易い。
【0031】
▲3▼摺動子の中間部分を摺動型物に設けた摺動子固定部に取り付けてこの摺動子固定部とケースの間に挟持することで摺動型物に取り付けるように構成したので、摺動子の取り付け作業が容易になり、小型・薄型化に対応できる。
【0032】
▲4▼複数のオンオフパターン間の隙間部分にモールド樹脂からなるクリック部を設けたので、摺動接点がオンオフパターン間を移動する際のオンオフが確実に行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるスライド式スイッチ1の分解斜視図である。
【図2】ケース10を反対側の側面から見た斜視図である。
【図3】ケース10内にインサート成形される三枚の金属板25,30,35を示す斜視図である。
【図4】摺動子40と摺動型物50とを裏面側から見た斜視図である。
【図5】組み立てられたスライド式スイッチ1の斜視図である。
【図6】組み立てられたスライド式スイッチ1の平面図である。
【図7】組み立てられたスライド式スイッチ1の概略断面図である。
【図8】図8(a),(b)はクリック部13と第二クリック部28の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 スライド式スイッチ(スライド式電子部品)
10 ケース
11 摺動型物収納部
13 クリック部
25 金属板
27 コモン電極パターン
28 第二クリック部
30,35 金属板
33,37 オンオフパターン
S 隙間
40 摺動子
45,45 摺動接点
50 摺動型物
51 つまみ
55 摺動子固定部
70 上ケース
Claims (5)
- ケース内にスライド自在に摺動型物を収納し、前記摺動型物にはその両側面から摺動接点が突出するように摺動子を取り付け、ケースの対向する両側面に設けた摺動子摺接面に前記摺動子の摺動接点を摺接させ、さらに前記両摺動子摺接面の内の一方の摺動子摺接面には摺動接点が移動する範囲にわたってコモン電極パターンを設け、他方の摺動子摺接面には隙間を介して複数のオンオフパターンを設けたことを特徴とするスライド式電子部品。
- 前記摺動子は棒状部材を折り曲げることによって構成されていることを特徴とする請求項1記載のスライド式電子部品。
- 前記摺動子はその中間部分を摺動型物に設けた摺動子固定部に取り付けられてこの摺動子固定部と前記ケースの間に挟持することで摺動型物に取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のスライド式電子部品。
- 前記ケースはモールド樹脂製であって、前記複数のオンオフパターン間の隙間部分には前記モールド樹脂からなるクリック部を設けたことを特徴とする請求項1記載のスライド式電子部品。
- 前記ケースはモールド樹脂製であって、前記コモン電極パターンを金属板製としてこの金属板を屈曲して第二クリック部を設けたことを特徴とする請求項1記載のスライド式電子部品。
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