JP3841567B2 - 高降伏比を有する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

高降伏比を有する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建材、構造物、産業機械等の用途に有用な高降伏比を有する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物,構造物,機械装置等は、安全面から、地震等の自然災害や事故による外部からの変形応力に耐え、それ自身の原形を安定に保持し得ること(塑性変形を生じ難いこと)が要求される。このため、これらの用途に供される鋼板は、高い降伏強度を有することが必要である。材料の降伏強度が、外力よりも高ければ、塑性変形に到らず、原形を保持することができるからである。これらの点から、一般的に建築物,構造物用鋼板として、降伏比YR(=降伏強度/引張強度の比)が0.7以上のものが使用されている。
【0003】
また、上記鋼板は、その用途に必要な耐食性を保証するために、鋼板表面を溶融亜鉛系めっきで被覆され、更にそのめっき表面に一次防錆を目的とするクロメート処理が施されて使用されるのが通常である。
熱延鋼板を母材とする上記溶融亜鉛系めっき鋼板の一般的な製造工程は、まず熱延鋼板に形状矯正のためのスキンパス(伸び率約1%)を施し、ついでこれを溶融めっきラインに導入し、所定温度に加熱したうえ、溶融めっき浴を通過させることによりめっき層を形成し、めっき後、母材鋼板の降伏点伸びを解消するためのスキンパス(伸び率約1%)を施し、その後クロメート処理および塗膜塗装等を実施する工程からなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記溶融亜鉛系めっき鋼板を、高降伏強度(高降伏比)とするための手段として、▲1▼Nb,Ti,W等の炭化物形成元素を含む鋼板を使用し、炭化物析出強化作用により降伏強度を高める、▲2▼溶融めっき後に行うスキンパスに、高い伸び率(約3%以上)を適用し、加工硬化作用により降伏強度を高める、等の方法が用いられている。
しかし、炭化物の析出強化作用を利用して高降伏強度を得る方法は、Nb,Ti,W等の高価な元素の使用により製造コストが大幅に増大し、また炭化物の析出が熱間圧延の温度域で進行するため、圧延変形抵抗の変化が大きく、他種材に比し圧延制御が難しい、という欠点がある。
【0005】
他方、溶融めっき鋼板に、高伸び率(約3%以上)のスキンパスを施す方法は、上記の欠点がなくコスト・操業面で有利である。しかし、そのめっき鋼板にクロメート処理が施された鋼板は、外観品質の劣化を生じ易いという問題がある。すなわち、高伸び率のスキンパスを加えた溶融亜鉛系めっき鋼板にクロメート処理を施すと、高温・多湿環境において短日時のうちに、めっき表面が黒変色化し、商品価値を失ってしまうのである。この現象は、スキンパス伸び率を高めることに伴って、スキンパスロール(ダル表面を有する)の表面凸部とめっき表面との接触面積が増加すると共に、めっき表面が活性化されること等に起因するものと考えられる。
本発明は、高降伏比を要求される溶融亜鉛系めっき鋼板の製造における上記問題を解決することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法は、
重量%にて、
C:0.10〜0.30%、
Si:0.40%以下、
Mn:0.20〜2.50%、
P:0.10%以下、
S:0.02%以下、
sol.Al:0.005〜0.10%、
N:0.01%以下、を含有し、
残部はFe及び不可避不純物からなる鋼のスラブを熱間圧延に付し、Ar3点以上の温度で熱間圧延を終了すると共に、750℃以下の温度範囲で巻き取って得られた熱間圧延鋼板に、伸び率3.0〜15.0%のスキンパスを施した後、連続溶融めっきラインにて、500〜800℃の温度域に加熱して亜鉛系めっきを施し、めっき後、伸び率2.0%以下のスキンパスを施すことを特徴としている。
【0007】
本発明の最も特徴とする点の一つは、溶融めっき前の段階において、母材鋼板に、3.0%以上の高伸び率のスキンパスを加えることである。このめっき前の高伸び率スキンパスの効果として、Nb,Ti,W等の炭化物析出強化元素を使用することなく、降伏比0.7以上の高降伏強度を確保することができる。しかも、そのめっき表面にクロメート処理を施した鋼板は、めっき後に高伸び率スキンパスを施してクロメート処理した鋼板と異なり、高温・多湿環境においても、容易に黒変色化することのない良好な耐黒変色性を帯有する。また、このめっき鋼板は、良好な耐粗粒化性を有し、高温熱影響下にも、均質微細な結晶組織を安定に保持することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のめっき母材鋼板の成分限定理由について説明する。
C:0.10〜0.30%
Cは、鋼板の機械的諸性質を確保ために、0.10〜0.30%の範囲に規定される。溶融めっき前に、母材鋼板(熱延鋼板)に高伸び率のスキンパスを実施する本発明において、そのC量が0.10%に満たないと、熱処理・溶接等の再加熱処理の過程で、結晶粒の粗大化による鋼板の延性,靱性,強度の低下が大きくなる。C量を0.10%以上とすることにより、結晶粒界の炭化物の析出数・量が増し、そのピン止め効果として結晶粒の成長・粗大化が抑制防止される。C量の上限を0.30%としたのは、これを超えると、炭化物の過剰析出のため、鋼板の延性低下が大きく、また溶接性も悪くなるからである。
【0009】
Si:0.40%以下
Siは脱酸元素であり、また鋼の固溶強化作用を有する。この効果を得るためのSi量は0.40%までヽ十分である。これを超える多量添加は、鋼板表面の溶融亜鉛系めっきに対する濡れ性の低下を招く。
【0010】
Mn:0.20〜2.50%
Mnは鋼を固溶強化するほか、鋼の脆化の原因となる遊離Sを、MnSとして固定無害化する効果を有する。これらの効果は、0.20%以上の含有により得られる。2.5%を上限としたのは、これを超えると、溶融めっき金属に対する鋼板表面の濡れ性の低下、鋼板の延性の低下,溶接性の低下(溶接部の硬脆化)をきたすからである。
【0011】
P:0.10%以下
Pは鋼組織のフェライト相中に固溶して鋼を固溶強化する作用を有するが、その反面、スポット溶接性に悪影響を与える。また合金化溶融亜鉛系めっき鋼板を製造する場合においては、めっき層の合金化反応を阻害し、めっきラインの操業性を悪くする。これらの弊害を避けるため、0.10%以下に制限する。
S:0.02%以下
Sは有害不純分であり、鋼板の加工性の点からも、可及的に少なくすることが好ましい。0.02%以下であれば、実質的な悪影響はないので、これを上限とする。
【0012】
sol.Al:0.005〜0.10%
Alは、脱酸元素として、0.005%以上を必要とする。しかし、多量の添加は、鋼の加工性の低下を招くので、0.10%を上限とする。
N:0.01%以下
Nは、鋼の降伏強度の改善に有効な元素ではあるが、反面鋼を脆化し、連続鋳造におけるスラブの亀裂発生を助長する。このため、本発明では、不純分として、0.01%以下に制限される。
【0013】
次に本発明の製造工程について工程順に説明する。
〔熱間圧延〕
前記成分組成を有する鋼は、連続鋳造によりスラブとされ、熱間圧延に付される。熱間圧延は常法に従って行われ、Ar3点以上の温度域(オーステナイト温度域)で仕上げ圧延を終了する。熱間圧延をオーステナイト温度域で行うのは、最終製品鋼板の材質の均一性を確保するためである。すなわち、フェライト相が混在した、フェライト+オーステナイト二相域で熱間圧延を行うと、混粒組織が生じ、最終製品鋼板の材料特性、特に成形性のムラが生じるからである。鋼のAr3点は、その化学組成により異なるが、本発明の鋼組成におけるそれは、780〜880℃であり、鋼組成に応じてこの温度範囲内で適宜設定される。
熱延鋼板の巻き取り温度は、鋼板表面のスケールの発生量に影響する。750℃を超える高温域で熱延鋼板の巻き取りを行うと、スケールの多量発生により、その後の酸洗処理における脱スケール性が悪くなる。このため、巻き取り温度は、750℃以下とするのがよい。
【0014】
〔溶融めっき前スキンパス〕
熱延鋼板を溶融めっきラインに導入するに先立って、高伸び率のスキンパスを実施する点は、本発明の最も重要な要件の1つである。このスキンパスの伸び率を3%以上とすることにより、製品めっき鋼板の高降伏比(0.7以上)を安定的に確保することが可能となる。
図1は、めっき前のスキンパスの伸び率と、製品めっき鋼板の機械的特性値との関係を示している。供試鋼板は、次のとおりである。
組成(wt%):C 0.172, Si 0.011, Mn 0.772, P 0.0192, S 0.008, sol.Al 0.0165, N 0.0017, Fe Bal
熱間圧延板厚:5.0mm, 熱延巻き取り温度:550 ℃,
めっきライン加熱温度:630 ℃, めっき後スキンパス伸び率:1.0 %
【0015】
図1に示したように、伸び率1%前後のスキンパス(通常のスキンパス)を実施した場合は、降伏強度(YP)及び降伏比(YR)の低下をみるが、3%以上の高伸び率のスキンパスを施すことにより、降伏強度(YP)および降伏比(YR)は増大し、伸び率を高くする程、その効果は顕著となる。これは、スキンパス伸び率の増加に伴って、鋼中に導入される転位数が多くなることによる。この伸び率は、好ましくは5.0%以上の値に設定される。
【0016】
上記のように、めっき前スキンパスの伸び率は3%以上であることを要するが、その値は15%を超えてはならない。この上限規定は、溶融めっきラインにおける鋼板加熱温度(500〜800℃)と関連している。これについて図2を参照して説明する。
図2は、めっき前スキンパスの後、溶融めっきラインに導入された熱延鋼板の同ライン内における鋼板加熱温度と製品めっき鋼板の機械的特性との関係を、めっき前スキンパス伸び率をパラメータとして示している。供試鋼板の化学組成および熱間圧延条件(熱延板巻き取り温度,板厚)は、図1の供試鋼板のそれと同じである。
【0017】
図2に示したように、めっき前スキンパス伸び率が高過ぎる鋼板を使用した場合は、鋼板加熱温度が約700℃以上に設定されたライン運転において、鋼の急激な軟質化を生じ、製品めっき鋼板に高降伏強度(高降伏比)を付与することができなくなる。前記のように、鋼板加熱温度が約650℃以下の場合は、めっき前スキンパス伸び率の増大と共に、製品めっき鋼板の降伏強度(降伏比)の向上効果を得ることができるのに対し、鋼板加熱温度が約700℃ないしそれ以上になると、高降伏強度化の効果が損なわれるのである。これは次のような現象によると考えられる。
【0018】
鋼の再結晶は、加熱による熱エネルギーと加工による歪みエネルギーとの合計量が、再結晶に必要なエネルギーを超えた場合に生起すると考えられる。めっき前スキンパスの伸び率が、15%以下と相対的に低い(鋼の加工度が低い)場合は、再結晶に必要なエネルギーに対し、歪みエネルギーの蓄積量が不足するため、再結晶を生起せず、急激な軟化は生じない。これに対し、めっき前スキンパスを15%を超える高伸び率とする場合は、鋼の受ける加工度が十分となり、再結晶に必要な量の歪みエネルギーが蓄積される結果として、再結晶が生じ、鋼は急激に軟化する。また、めっき前スキンパスの伸び率の増加に伴って再結晶温度が低くなるのは、それだけ歪みエネルギーの蓄積量が増加することにより、少ない熱エネルギー(低い加熱温度)でも、再結晶に必要なエネルギー値を満たすようになるからである。
【0019】
このように、めっき前に行うスキンパスの伸び率を高くし過ぎると、溶融めっきラインにおける鋼板加熱の熱影響により、また製品加工時の溶接等に伴う熱影響により、再結晶・軟質化をきたす可能性が大きくなる。このため、本発明は、めっき前のスキンパスの伸び率を、3%以上とする一方、15%を上限とすることにより、上記の熱的影響に伴う弊害を回避し、高降伏強度(高降伏比)を確保するようにしている。
なお、上記めっき前スキンパスの実施は、熱延鋼板の酸洗処理(表面スケール除去処理)の前または後のいずれの段階でもよい。
【0020】
〔連続溶融めっき〕
熱延鋼板に、高伸び率のスキンパスと酸洗処理(その実施の順逆は問わない)を施したうえ、これを連続溶融めっきラインに導入し、鋼板を500〜800℃に加熱する。加熱温度を500℃以上とする理由は次のとおりである。鋼板に溶融亜鉛めっきする場合に、鋼板温度が、そのめっき浴温より低いと、鋼板表面のめっき濡れ性が不十分となり、不めっきの欠陥が生じる。亜鉛系めっき浴は通常約460℃前後に設定されるので、上記不具合を回避するために、鋼板加熱温度は500℃以上を必要とする。
【0021】
他方、加熱温度の上限を800℃とする理由は次のとおりである。
熱延鋼板は、冷延鋼板のような大きな加工硬化をうけていないので、冷延鋼板をめっき母材鋼板に使用する場合と異なり、焼鈍(再結晶)を施す必要がない。すなわち、鋼板表面のめっき濡れ性が確保されるに必要な温度(500〜650℃程度)に加熱するだけでよく、これを超える高温加熱は熱エネルギーの無駄となる。また、前記のようにめっき前スキンパスの伸び率を3〜15%の範囲に規定していても、800℃を超える高温加熱を行うと、昇温の伴って鋼板の降伏強度(YP)が徐々に低下し、0.7以上の高降伏比を確保することが困難となる。このため、800℃を上限としている。
【0022】
所定温度に加熱された鋼板は溶融めっき浴に通板され、鋼板表面にめっき層を形成される。溶融めっき浴は、亜鉛,亜鉛−アルミニウム合金,亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金、亜鉛−アルミニウム−シリコン合金等、各種亜鉛系めっき金属(合金)組成が適用される。めっきは常法に従って行われ、特別の条件や制限は付加されない。
【0023】
〔めっき後スキンパス〕
めっき後のスキンパスは、めっき鋼板の降伏伸びの解消、表面肌の改善、および鋼板の形状矯正等を目的として行われる。この効果を得るためのスキンパスの伸び率は2.0%以下に調節される。2%を超える伸び率のスキンパスを加えた場合、その後のクロメート処理(一次防錆処理)を経て得られる製品鋼板の表面品質の劣化、すなわち前述した高温・多湿環境における黒変化現象、を回避することができなくなる。このため、2.0%を上限とする。
こうして得られた溶融亜鉛系めっき鋼板に対するクロメート処理等は、通常の条件下に適宜実施される。
【0024】
【実施例】
表1に示す化学組成(重量%)を有する鋼を転炉溶製し、連続鋳造によりスラブとし、これを熱間圧延(仕上げ温度:860〜910℃)し、板厚5mmの熱延鋼板を得る。ついで、めっき前スキンパス,酸洗処理, めっきラインでの鋼板加熱および溶融めっき、めっき後のスキンパスを順次実施する。更に、一次防錆のためのクロメート処理を施して供試鋼板を得る。なお、クロメート処理は、トータルクロム量:10g/L, Cr 3+/(Cr 6+ + Cr3+) :35wt% の組成を有する処理液を使用し、塗布量(Cr換算値)は、15mg/m 2に調節した。
表1に熱延鋼板の化学組成(重量%)を示す。表中、鋼A〜Cは、本発明の化学組成の規定を満たす鋼材、鋼D,Eは、同規定から外れている鋼材(C量不足)である。
【0025】
表2および表3に、製品めっき鋼板の製造条件および諸特性を示す。
表中、引張特性(引張強さ 降伏点 降伏比 伸び)の測定は、鋼板からL方向に採取したJIS Z2201 5号試験片を使用し、JIS Z2241 の規定に従って行った。また、耐粗粒化性及び耐黒変色性の評価はそれぞれ下記の要領で行った。
【0026】
〔耐粗粒化性の評価〕
試験片(40×40,mm)を850℃×120 秒の加熱処理に付した後、金属組織を観察し、JIS G0552 に基づいて、フェライト結晶粒度を測定する。表中、同欄の記号は次のとおりである。
Figure 0003841567
【0027】
〔耐黒変色性の評価〕
平板状試験片(80×80, mm)を3枚採取してスタックし、防錆紙で梱包したうえ、恒温高湿試験装置にて、温度60℃,湿度90%の条件下,240時間保持する。試験後、3枚スタックの中央の試験片について、表面の黒変色の程度を目視観察する。表中、同欄の記号は次のとおりである。
○…黒変色化なし ×…黒変色化発生
【0028】
表2に示したように、発明例のものは、高降伏強度を有し、降伏比は0.7以上と高く、しかも耐黒変色性にすぐれ、高温・多湿環境においても容易に黒変色化せず、健全な表面品質を保持する。また、耐粗粒化性にすぐれ、高温熱影響を受けても容易に粗粒化せず、良好な微細結晶組織を維持する。
他方、比較例(表3)において、No.51 〜54は、母材鋼板の組成が不適切(C量不足)のため、耐粗粒化性に劣っている。
No.56,No.57, No.59,No.60は、耐黒変色性は良好であるが、めっき前スキンパス伸び率の不足のため、降伏強度・降伏比は低いレベルにとどまっている。
No.61 〜64は、耐黒変色性は良好であるものヽ、めっき前スキンパス伸び率が高すぎるため、降伏強度・降伏比の改善効果は乏しい。
No.65, No.66は、耐黒変色性は良好であるが、降伏強度・降伏比が低い。めっき前スキンパスの伸び率に過不足がないにも拘わらず、降伏強度・降伏比が低いレベルにあるのは、めっきラインでの鋼板加熱温度が高すぎたことによる。
また、No.55,No.58 は、めっき前スキンパスの効果として高降伏強度(高降伏比)を有しているが、めっき後のスキンパス伸び率が高過ぎたために、耐黒変色性が損なわれている。
【0029】
【表1】
Figure 0003841567
【0030】
【表2】
Figure 0003841567
【0031】
【表3】
Figure 0003841567
【0032】
【発明の効果】
本発明により製造される溶融亜鉛系めっき鋼板は、降伏比0.7以上の高降伏強度を有すると共に、耐黒変色性にすぐれ、高温・多湿環境においても容易に黒色変化することなく、良好な外観品質を維持することができる。本発明によれば、Nb,Ti,W等の高価な炭化物析出強化元素を使用することなく、高い降伏強度を得ることができ、これらの元素を使用する場合の操業上の困難がなく、かつコスト的にも有利である。また、本発明による溶融亜鉛系めっき鋼板は、耐粗粒化性にすぐれ、高温熱影響を受けても、容易に粗粒化することなく均質微細な結晶組織を維持し、構造部材としての安定性にすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき前スキンパス伸び率と製品めっき鋼板の機械的特性値の関係を示すグラフである。
【図2】めっき前スキンパス伸び率およびめっきライン内の鋼板加熱温度と製品めっき鋼板の機械的特性値の関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 重量%にて、
    C:0.10〜0.30%、
    Si:0.40%以下、
    Mn:0.20〜2.50%、
    P:0.10%以下、
    S:0.02%以下、
    sol.Al:0.005〜0.10%、
    N:0.01%以下、を含有し、
    残部はFe及び不可避不純物からなる鋼のスラブを熱間圧延に付し、Ar3点以上の温度で熱間圧延を終了すると共に、750℃以下の温度範囲で巻き取って得られた熱間圧延鋼板に、伸び率3.0〜15.0%のスキンパスを施した後、連続溶融めっきラインにて、500〜800℃の温度域に加熱して亜鉛系めっきを施し、めっき後、伸び率2.0%以下のスキンパスを施すことを特徴とする高降伏比を有する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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