JP3841435B2 - 溶融シリカガラスを製造するためのブール振動パターン - Google Patents

溶融シリカガラスを製造するためのブール振動パターン Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、溶融シリカガラスの製造、特に、このようなガラスの均質性を改良するための、即ち、ガラスの屈折率に於ける変動を減少させるための方法に関する。
技術の説明
図1は、溶融シリカガラスを製造するための先行技術の炉10を示す。概説すると、ケイ素含有ガス分子は火炎中で反応して、SiO2スート粒子を形成する。これらの粒子は回転する素地の熱い表面上に付着し、そこでこれらは非常に粘稠な流体に圧密(consolidate)され、これは後でガラス(固体)状態まで冷却される。当該技術分野に於いて、この形式のガラス製造方法は、蒸気相加水分解/酸化方法又は単に火炎加水分解方法として知られている。付着した粒子によって形成された素地は、しばしば「ブール(boule)」と呼ばれ、この用語を本明細書で使用し、この用語には、火炎加水分解方法によって形成された全てのシリカ含有素地が含まれることが理解される。
炉10には、多数の付着バーナー14を有するクラウン12、このクラウンを支持するリング壁16及びx−y振動テーブル20の上に装着された回転可能なベース18が含まれている。クラウン、リング壁及びベースはそれぞれ、耐火材料から製造されている。
耐火ブロック22がベース18の上に装着されて、閉じ込め容器(containment vessel)13を形成している。このブロックはこの容器の閉じ込め壁を形成し、この壁によって取り囲まれたベース18の部分(容器の底)は、初期のスート粒子を集める高純度のベイトサンド(bait sand)24で覆われている。耐火ブロック22は、外側のアルミナベースのブロック22a及び例えば、ジルコニア又はジルコンから製造された内側ライナー22bからなっていてよい。勿論、所望により、他の耐火材料及び構造物を使用することができる。本発明で使用するために適している、閉じ込め容器13のための好ましい構造物は、同一人に譲渡された、John E. Maxonの名前で1995年9月12付けで出願された米国特許出願第90/003,608号、発明の名称「溶融シリカガラスを製造するための閉じ込め容器」に記載されている。
閉じ込め容器13の頂部とクラウン12との間の空間26(本明細書に於いては、「プラナム」と言う)は、リング壁16の頂部の、クラウンとのその接合部に形成された複数個のベント28によって通気されている。このベントは、プレナム中に負圧を作る導管によって適当な排気システムに接続されている。負圧によって、空気が、リング壁と閉じ込め容器との間の環状の隙間30を通って上方に流される。閉じ込め容器の周りの空気流に於ける変動を制御する、本発明の実施で使用することができる炉システムは、同一人に譲渡された、Paul M. Schermerhornの名前で1995年9月12日付けで出願された米国特許出願第60/003,595号、発明の名称「溶融シリカガラスを製造するための炉」に記載されている。
商業的に実施するとき、略5フィート(1.5メートル)の直径及び略5〜8インチ(13〜20cm)の厚さを有するブールが、図1に示す形式の炉を使用して製造することができる。多数のブランクがこのようなブールから切断され、レンズ(マイクロリソグラフィーシステム用のレンズを含む)、プリズム等々のような光学要素を含む種々の製品を製造するために使用される。このブランクは一般的に、炉10内でのブールの回転軸に平行である方向で切断され、このようなブランクから製造されたレンズ要素の光学軸も一般的に、ブールの回転軸に平行である。参照を容易にするために、本明細書に於いて、この方法を「z方向」又は「z軸」と言う。z軸に対して垂直の方向で行った不均質性の測定は、「オフ軸」測定と言う。
許容できるブランクの屈折率に於ける変動の量は、ブランクから製造されるべき製品に依存する。ブランク又は光学要素の均質性は、通常、干渉計技術を使用して測定される。大きい部品を製造しなくてはならないとき、大アパーチャー干渉計、例えば、18インチ(46cm)のアパーチャーを有する干渉計が使用される。
図2は、本発明により製造した溶融シリカブールについての17.3インチ(43.9cm)干渉計プロット(位相プロット(phase plot)を示す。このブールは、(1)図1に示す形成の炉、(2)その内側壁が垂直に対して10°の角度で傾斜している閉じ込め容器及び(3)以下、「プロセス3」として以下に参照する振動/回転パラメータを使用して製造した。
定量的に、ブランクのz方向均質性はそのΔn値として表わされ、これは、式:
Δn=(λ・PV)/tb (1)
(但し、λは干渉計によって使用された光の波長であり、PVは位相プロットの最高ピークと最低谷との間の差であり、そしてtbはブランクの厚さである)
を使用して干渉計プロットから計算される。ブランクの均質性はまた、ブランクの異なった点の間のnに於ける変動の尺度を与える、位相プロットの自乗平均(RMS)偏差の項でのような他の方法で表すこともできる。例えば、1994年11月4日公開の特開平6-308717号を参照されたい。
非常に低いΔnの値(例えば、125mm以上の直径を有するブランクについて1.0×10-6以下、好ましくは0.5×10-6以下のΔn値)を必要とする溶融シリカブランクの用途は、マイクロリソグラフィーシステムのための光学要素の製造にある。
マイクロリソグラフィーシステムは、集積回路を製造するために使用され、これには一般的に、深(deep)UVレーザー光源、照射レンズシステム及び投映(画像形成)レンズシステムが含まれる。例えば、Pfau他、「回折制限深紫外画像形成に於ける石英不均質性効果(Quartz inhomogeneity effects in diffraction-limited deep ultraviolet imaging1)」、Applied Optics、31巻、31号、6658-6661頁(1992年11月1日)を参照されたい。投映レンズシステムはレジストカバーしたICウエーハの上にマスクの非常に高い解像度の画像を投映する。
回折効果は、ICウエーハで作られる線幅を制限し、そうしてウエーハの上に書くことができる回路の密度を制限する。特に、ウエーハでの解像度(R)は、
R=K・λL/NA (2)
(但し、Kは、その値が、使用される特定のシステム及び方法に依存する定数であり、λLはレーザー光源の作動波長であり、そしてNAは投映レンズシステムの開口数である)
によって与えられる。
それで、レーザー光の波長を短くすることによって、解像度が改良され、ウエーハの上により細い線を書くことが可能になる。従って、近年に於いては、より短い波長のレーザー、例えば、400nm以下の波長を有するレーザーが、マイクロリソグラフィーシステムで使用されるようになってきている。このようなレーザーの例には、それぞれ248nm及び193nmで作動するKrF及びArFエキシマーレーザーが含まれる。
これらの短い(UV)波長で、標準的光学ガラスは、その高い吸収のためにこのシステムの光学要素用に使用することができない。他方、溶融シリカガラスはUV範囲で透過性であり、それでこの応用のための選択材料になってきた。
ミクロリソグラフィーシステムの目標は、サブミクロン範囲内の解像度を有する画像を作ることであるので、このようなシステムで使用されるレンズ要素及びそれでこのレンズ要素を製造するために使用されるレンズブランクは、最高品質のものでなくてはならない。他の性質の中で、このようなレンズブランクは、例えば、1センチメートル当たり約99.8%±0.1%を越える高い内部透過値、介在物の低いレベル、小さい複屈折、小さい蛍光及びUV波長でのレーザー損傷に対する高い耐性を有していなくてはならない。
nに於ける制御されない変動は、ICウエーハで作られる画像に於ける修正不可能な収差として表れるので、非常に重要なものはブランクのΔn値である。更に、前記の式(2)から、高解像度を得るために、大きいNA値が必要である。続いて、大きいNAは大きいレンズ要素を意味する。従って、Δnは小さくなくてはならないのみならず、これは大きいブランクサイズについて小さくなくてはならない。
低いΔn値と大きいブランクサイズとのこの組合せを達成するためになされてきた努力の例には、Yamagata他の米国特許第5,086,352号、1993年1月7日公開のPCT公開第WO 93/00307号、1993年5月14日公開の特開平5-116969号、1994年7月14日公開の特開平6-166527号、1994年8月23日公開の特開平6-234530号及び1994年8月23日公開の特開平6-234531号が含まれる。
大きいブランクサイズのための小さいΔn値に加えて、マイクロリソグラフィーシステムで使用される光学要素は、再び大きいブランクサイズについて、高いオフ軸均質性を有する必要がある。例えば、三方向での均質性の必要性を述べている、1993年4月20日公開の特開平5-97452号を参照されたい。このことは、このようなしステムで使用されるプリズム要素のために特に重要であり、この場合、光学平面はブランクのz方向に対して角度を付けて形成されている。(前記引用したPfau他の論文で、ミクロリソグラフィーシステム以外の応用で使用されるプリズム及びその他の光学要素について、オフ軸均質性も重要であることが指摘されていることを参照されたい。)
オフ軸均質性は、点光源からの発散光をサンプルに通過させ、得られる像を観察スクリーン上で観察する、シャドーグラムを使用することによるもの及びコリメートされた光をサンプルに通過させ、遠視野回折像を長焦点レンズのフーリエ変換平面で観察する回折基準法(「溶融シリカの脈理についてのコーニング試験(Corning Tests for Striae in Fused Silica)」、Laser Focus World、110頁、1993年8月を参照されたい)によるものを含む、種々の方法で観察及び/又は測定することができる。
オフ軸不均質性を測定するための好ましい方法は、対象の不均質性を検出するための十分に微細な空間解像度、例えば、18〜20ピクセル/mmの空間解像度を有する干渉計/カメラシステムの手段によるものである。このような解像度は、高解像度のカメラを使用することにより又は干渉計とサンプルの間に配置されたビームレデューサー(beam reducer)を使用することにより得ることができるが、この後者のアプローチは、一度にブランク又は光学要素の小部分しか試験できないと言う欠点を有している。オフ軸不均質性をノイズから区別するために、干渉計信号の処理を、同一人に譲渡された、David R. Fladd及びStephen J. Rieksの名前で1995年9月12日付けで出願された米国特許出願第60/003,607号、発明の名称「脈理の検出方法」に記載されている方法に従って実施することができる。
前記の形式の方法を使用して、周期的(シヌソイド)脈理の形でのオフ軸不均質性が、図1に示される形式の炉を使用して製造されたブランクについて観察された。図3は、先行技術の振動/回転パターン及び図1に示される形式の炉を使用して製造されたブランクについてのオフ軸位相プロットである。約0.5ミリメートルの平均ピーク〜ピーク周期を有する強い周期的オフ軸不均質性を、この図に於いて明瞭に見ることができる。
定量的に、このような脈理は、10×10-8付近のδn値を有することが見出された、ここで、
δn=(λ・PV)/PL (3)
(但し、λは干渉計によって使用された光の波長であり、PVは脈理について干渉計によって作られた、位相プロットの最高ピークと最低谷との間の差であり、そしてPLはブランクを通過するオフ軸路長である)
である。
本発明は、同時にz方向での高レベルの均質性を維持しながら、このオフ軸不均質性を減少させることに関する。特に、本発明は、脈理の平均ピーク〜ピーク周期(間隔)(Δzstriae)を増加させること並びにそれらの平均ピーク〜谷の大きさ(Δnstriae)を少なくともある程度まで減少させることに関する。この方法で、これらの平均値の比、即ちΔnstriae/Δzstriae比を減少させることができ、それは脈理の光学的効果を低下させる。
発明の要約
前記のことに鑑みて、本発明の目的は、火炎加水分解方法によってシリカ含有ブールを製造するための改良された方法を提供することである。特に、本発明の目的は、このようなブールのオフ軸均質性を改良し、そうしてブランク並びにそれから製造されたプリズム及びレンズ要素を含む、光学要素のオフ軸均質性を改良することである。本発明の別の目的は、高いオフ軸均質性、高いz軸均質性及び大きいサイズを有するブランク及び光学要素を提供することである。
本発明により、ブールのオフ軸均質性並びにそれでブランク及びこれから製造された光学要素のオフ軸均質性が、ブールを製造するために使用される振動パターンの二つの面に依存することが見出された。
第一の面は、振動パターンの繰り返し周期、即ち、ブールについて、実質的に同じ速度で実質的に同じ方向に進む、炉内の実質的に同じ場所に戻る時間の周期である。本発明により、干渉計によって測定されたときΔzstriaeは、繰り返し周期に対して実質的に直線的に関係している。即ち、繰り返し周期が増加するとき、Δzstriaeが増加する。次いで、Δzstriaeに於ける増加は、Δnstriae/Δzstriae比に於ける減少を意味し、これは、前記のように、脈理の光学効果が低下することを意味している。
特に、約8分間、好ましくは約10分間より長い繰り返し周期を有する振動パターンを、ブール製造方法で使用する場合、オフ軸周期的脈理を著しく減少させることができることが見出された。
更に、繰り返し周期の間に付着されたガラスの物理的量と、観察されたΔzstriaeとの間の実質的な差異が存在することが見出された。即ち、Δzstriaeは、繰り返し周期の間に付着されたガラスの厚さよりも略10〜15倍大きい。本発明のこの面により、振動パターンの繰り返し周期は、少なくとも約0.15mmのガラス、好ましくは約0.20mmのガラスの付着に相当するように選択される。
オフ軸周期的脈理に影響を与える振動パターンの第二の面は、炉のバーナーに対するブールの総回転に対するパターンの関係である。本発明により、振動パターン及び総回転速度が、バーナーがブール上で実質的に螺旋形の行路を移動するように選択される場合、周期的オフ軸脈理を実質的に減少させることができることが見出された。
本発明のこの面により、更に、純粋な螺旋を使用するとオフ軸脈理が減少するが、z軸均質性が犠牲になることが見出された。従って、本発明の或る好ましい態様によれば、螺旋形行路は、Δnを許容できる限界内に保持するための少なくとも幾らかのぐらつきが与えられている(このような行路は、本明細書では、「実質的に螺旋形の行路」又は「螺旋状行路」と言う)。更に、前記参照した特許出願、発明の名称「溶融シリカガラスを製造するための閉じ込め容器」に記載されている処理条件及び閉じ込め容器を、z軸均質性の必要なレベルを与えるために、螺旋形又は螺旋状パターンと共に使用することができる。一般的な用語で、この特許出願の方法及び装置は、
(1)ブール形成工程の間に十分に高いブール温度を維持して、ブールがそれ自身の重量の下で、最小のヘッド高さで、特に、ガラスの、約5.0mm以下、好ましくは約0.125インチ(3.2mm)以下のヘッド高さで半径方向に流れるようにすること、
(2)その内径rvが、ブールを形成するために使用される付着バーナーの最も外側のものの半径rbよりも実質的に大きい、例えば、rvのrbに対する比が少なくとも約1.1である閉じ込め容器内で、ブールを形成すること、及び/又は
(3)その垂直高さhが、容器の中心からの距離dが増加すると共に、約3以下である比率Δh/Δdで増加する、内側閉じ込め壁又は壁群を有する閉じ込め容器内でブールを形成すること
を備えている。
本発明の手段により、125mm以上、好ましくは150mm以上、最も好ましくは200mm以上のブランク(要素)サイズ(例えば、円筒形ブランクについて直径)について、約2.0×10-8mm-1以下、好ましくは約1.5×10-8mm-1以下のΔnstriae/Δzstriae値及び1.0×10-6以下、好ましくは0.5×10-6以下のz軸均質性値(Δn値)を有するブランク及び光学要素を製造することができる。0.5×10-6以下のz軸均質性値を達成するために、前記参照した特許出願、発明の名称「溶融シリカガラスを製造するための閉じ込め容器」の装置及び方法が、一般的に必要であろう。使用する試験装置の能力に依存して、Δnstriae/Δzstriae及びΔn規準の満足度は、全体としてブランク若しくは要素を試験することにより又はそれらの代表的断面を試験することによって決定することができる。Δnstriae/Δzstriae比についての値は、位相プロット又は好ましいそれから誘導されるプロフィール線を使用し、手動で又はコンピュータにより自動的に決定することができる。前記参照した特許出願、発明の名称「脈理の検出方法」、特にこの特許出願の図11の検討を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
図1は、火炎加水分解方法を使用して溶融シリカブールを製造するために使用された先行技術の炉の概略線図である。
図2は、本発明によって製造した溶融シリカブールの断面についての、17.3インチ(43.9cm)干渉計位相プロットを示す。この位相プロットは、ブールのz軸に沿ってとった。図示されるように、PST、TLT及びPWR成分は、元の生データから除去されている(ZYGO用語、Zygo Corporation、コネチカット州、Middlefield)。
図3、4及び5は、図1に示される形式の先行技術の炉及びその内側壁が垂直に対して10°の角度で傾斜している閉じ込め容器を使用して製造したブランクについてのオフ軸位相プロットである。これらのブランクを製造する際に使用したブール振動及び回転パラメーターは、プロセス1(図3)、プロセス2(図4)及びプロセス3(図5)として表1に参照したものである。これらの図の位相プロットは、干渉計とサンプルの間にビームレデューサーを使用して作成し、それで僅かに約6.5mmのアパーチャーを有する。前記参照した特許出願、発明の名称「脈理の検出方法」のデータ解析方法は、これらのプロットの作成では使用しなかった。図示されるように、PST及びTLT成分は、これらの図のそれぞれについて生データから除去されている。
一方で図2並びに他方で図3、4及び5に於ける垂直目盛は、水平目盛と同様に異なっており、特に図3、4及び5は、図2に比較して垂直方向及び水平方向の両方で拡大した目盛を有することに注目すべきである。
図6A、7A及び8Aは、それぞれ、プロセス1、2及び3についてのx(t)対tのプロットである。図6B、7B及び8Bは、それぞれ、再びプロセス1、2及び3についてのy(t)対tのプロットである。
図9A、10A及び11Aは、それそれ、300秒でのプロセス1、2及び3についての「スピログラム(spirogram)」である。図9B、10B及び11Bは、700秒での対応するスピログラムである。
図12は、図9〜11を作成する際に使用されたバーナー配置の概略図である。
明細書に含められ、そして明細書の構成部分である上記の図面は、本発明の好ましい態様を示し、この説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。勿論、図面及び説明の両方は例示であるのみであり、本発明を制限するものではないことが理解されるべきである。
図1の図面は、そこに示される要素の目盛又は相対比率を示すことを意図しない。
好ましい態様の説明
前記のように、本発明は、蒸着技術によって製造されたシリカ含有素地の均質性を改良するための方法に関する。このシリカ含有素地は、実質的に純粋な溶融シリカであってよく又は所望により1種又は2種類以上のドーパントを含有してもよく、例えば、この素地は、ガラスの熱膨張係数を低下させるチタンドーパントを含有することができる。低レベルの汚染物質が、この素地中に存在してもよい。
本発明により、改良されたオフ軸均質性は、プールの形成の間に使用される振動/回転パターンの手段によって達成される。本明細書に報告された実験で使用した特定のパターンは、下記の式:
x(t)=r1sin2πω1t+r2sin2πω2t; (4)
y(t)=r1cos2πω1t+r2cos2πω2t (4)
(但し、x(t)及びy(t)は、時間(t)の関数としてのリング壁16の中心から測定されたときのブールの中心の座標を表わし、時間は分で測定される)によって定義された。この形状は、図12に概略で示され、図12に於いて、100はリング壁の中心を表わし、200はブールの中心を表わす。r1及びr2の合計は、ブールの形成の間のリング壁と閉じ込め容器との間の接触を避けるために、リング壁の半径と閉じ込め容器の半径との間の差よりも小さくなくてはならないことが注目されるべきである。
4個のパラメーター、r1、r2、ω1及びω2に加えて、ブールの総運動はまた第5のパラメーターω3によって規定される。ω3は、1分間当たりの回転数(rpm)でのブールの中心の周りのブールの回転速度を表わす。ブールのこの総回転は、図1に於いて参照数字3によって示されている。
所望により、式(4)及び(5)によって規定されるものよりも複雑な又は複雑ではない振動パターンを、本発明の実施で使用できることが注目されるべきである。特に、x(t)及び/又はy(t)を規定するために、3個以上の振動数を使用することができる。
表1に、本発明の特徴を示すr1、r2、ω1、ω2及びω3についての値の3組を記載する。便宜上、これらの値の組を、「プロセス1」、「プロセス2」及び「プロセス3」と言う。プロセス1及び2は、先行技術で使用されたパターンであり、他方、プロセス3は、本発明の教示に従う。表1の値は、約5フィート(1.5m)の直径を有するブールを製造するために適している。より大きい又はより小さいブールを製造するための適当な値は、本明細書の開示から当業者が容易に決定することができる。
前記のように、本発明の或る面により、十分に長い繰り返し周期を有する振動パターンを使用することによって、周期的オフ軸脈理の光学的効果を低下させることができることが見出された。この繰り返し周期は、図6〜8に示される形式のx(t)及び/又はy(t)対時間プロットから決定することができる。
図6は、ω1<ω2であるとき得られたパターンを示す。図7は、ω1=ω2の場合を示し、図8は、ω1<<ω2の場合を示す。
例えば、図6Aの試験は、t=0秒でそして再びt=120秒で、x(t)がその最大であることを示す。この最大は、共に+1に等しいか又はほぼ等しいsin2πω1t及びsin2πω2tに対応し、これは、これらのsin関数の独立変数がそれぞれ実質的に2nπ(nはω1及びω2について異なる)に等しいとき生じる。特に、ω1/ω2が実質的にn1/n2に等しいときは常に、x(t)の最大が生じる。
120秒付近のtについての最大は、n1=3及びn2=7に対応する。この最大は、2πω2t=14πで2πω1t=6πである、約2.1分(126秒)で生じる。それで、プロセス1についての繰り返し周期は、約2.1分である。
図7のトレーシングは、ω2とω1との間の差の大きさに等しいうなり周波数を有する、古典的うなりパターンを示す。うなり周期は、うなり周波数に亘って単純に1である。従って、ω1=ω2であるとき、繰り返し周期は単純に1/|ω2−ω1|である。表1のプロセス2パラメーターについて、繰り返し周期は約4.9分(294秒)である。
図8のトレーシングは、ω1<<ω2である場合を示す。この条件について、繰り返し周期は、より遅い振動の周期と実質的に同じものである。即ち、繰り返し周期はほぼ1/ω1である。表1のプロセス3パラメーターについて、それで繰り返し周期は約10分(600秒)である。
前記のように、本発明により、少なくとも約8分の繰り返し周期を使用することによって、周期的脈理の光学効果を低下させることができることが見出された。このような繰り返し周期は、図8の関係、即ちω1<<ω2が好ましいけれども、図6、7及び8に示されるω1対ω2関係の何れについても達成できることに注目すべきである。同様に、所望の繰り返し周期は、その合成が2個のシヌソイド波以外である振動パターンについて達成される。
振動パターンの繰り返し周期に依存することに加えて、オフ軸周期的脈理は、振動パターンとその中心の周りのブールの総回転との間の関係にも依存する。特に、振動パターン及びブールの回転速度を、バーナーがブールの表面を横切ってトレースする行路が螺旋であるように選択する場合、オフ軸周期的脈理が著しく減少することが見出された。
約5フィート(1.5m)の直径を有し、このような螺旋パターンを作る、ブールを製造する際に使用するために適しているω群とr群との組は、下記の通りである。r1=0;r2=2.5インチ(6.35cm);ω1=0rpm;ω2=0.45rpm;及びω3=6.0rpm。ブールの上に螺旋行路を作るために必要であるので、ω3はω2よりも大きいことに注目されたい。より大きい又はより小さいブールを製造するために適当な値は、本発明の開示から当業者が容易に決定することができる。
螺旋パターンはオフ軸周期的脈理に関して有効であるけれども、これは、これが比較的大きいΔn値をもたらす傾向があるという欠点を有する。本発明の好ましい態様により、この問題点は、実質的に螺旋であるが、純粋な螺旋ではないバーナー行路を使用することによって処理される。プロセス3のパラメーターは、このような螺旋状バーナーパターンをもたらす。
図11は、リング壁16の中心100の付近に配置された3個のバーナーについてのプロセス3パラメーターのための計算して作ったパターンを示す。これらのバーナーの相対配置を図12に示す。これらの中心100からの半径方向の距離は、バーナー1について2.75インチ(7.0cm)、バーナー2について5.00インチ(12.7cm)及びバーナー3について6.63インチ(16.8cm)である。図11Aは、300秒でのパターンを示し、他方、図11Bは、700秒でのパターンを示す。バーナー行路の螺旋状性質は、これらの図で明らかである。
比較のために、図9及び10は、プロセス1及び2を使用したときの同じバーナー配置についての計算して作ったパターンを示す。これらの図が示すように、これらのプロセスは、螺旋状ではなく、むしろ非常に凹入している、即ち、バーナーの行路が、パターンが発達するとき自身を横切り、そして再横切るパターンになる。
表2並びに図3(プロセス1)、図4(プロセス2)及び図5(プロセス3)は、本発明により達成されるオフ軸周期的脈理に於ける顕著な改良を示す。これらに示されるように、プロセス3は、プロセス1又はプロセス2の何れよりも顕著に低いΔnstriae/Δzstriae値になる。この値の低下は、脈理の光学効果が実質的に低下していることを意味する。
例えば、発散光をサンプルに通過させ、得られる像をスクリーン上で観察するシャドーグラムに於いて、プロセス1を使用して製造したサンプルは、スクリーン上に高いコントラストの容易に目に見える平行線を作り、プロセス2を使用して製造したサンプルは、低いコントラストの僅かに目に見える平行線を作った。他方、プロセス3は、スクリーン上のパターンが殆ど目に見えないサンプルを作り、これが目標である。
前記のように、観察されたΔzstriaeと、繰り返し周期の間に付着したガラスの物理的量との間に実質的な差異が存在することが見出された。図3〜5の位相プロットでは目に見えないけれども、これらのプロットの周期的脈理を作るガラスの下部構造は、シャドーグラム技術を使用して見ることができる。特に、シャドーグラムの光源から、シャドーグラムのスクリーンに近い位置まで離れるサンプルの運動は、サンプルが光源に近いとき観察されるものよりも遥かに高い空間周波数を有するパターンをスクリーン上に出現させることが見出された。作用のどのような特別の理論によっても結び付けられることを望むものではないけれども、この微細なパターンは、位相プロットで観察される周期的脈理を起こすガラスの微細な構造に対応していると信じられる。
本発明の手段によって、均質性及びオフ軸均質性に於ける顕著な改良が達成された。例えば、プロセス3並びに前記参照した特許出現、発明の名称「溶融シリカガラスを製造するための閉じ込め容器」の装置及び方法を使用して、1.53メートル以下の直径を有するブールを製造し、360ミリメートル以下の直径、0.5×10-6未満のΔn値及び1.5×10-8mm-1未満のΔnstriae/Δzstriae値を有するブランクを製造するために使用することができる。このようなブランクは、例えば、KrFレーザーを使用するマイクロリソグラフィーシステム用の光学要素を製造するために使用することができる。
本発明の特別の態様を説明し、例示したけれども、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく修正を行うことができることが理解されるべきである。例えば、本発明を、固定バーナー及び移動ブールの項目で説明したけれども、重要なことは、スート粒子の供給源とブールとの間の相対運動である。従って、前記のように固定供給源と移動ブールとを使用すること(好ましいアプローチ)に加えて、ブールを固定して保持し、スート粒子供給源を移動させることによって、又はブールとスート粒子供給源との両方を移動させることによって、必要な運動を達成することもできる。
本発明の範囲及び精神から逸脱しない種々の他の修正が、本明細書の開示から当業者に明らかであろう。下記の請求の範囲は、本明細書に記載した特別の態様並びにこのような修正、変形及び均等物をカバーすることを意図している。
Figure 0003841435
Figure 0003841435

Claims (14)

  1. (a)スート粒子の供給源を与える工程、
    (b)このスート粒子を捕集し、その際に該スート粒子を圧密化させて粘稠な流体を形成し、該捕集によって素地の厚さを増加させることにより、該素地を形成する工程、及び
    (c)前記素地を回転させ、前記スート粒子が捕集されるとき、前記供給源と前記素地との間の相対振動運動を与える工程を有してなり、
    該振動運動が、前記素地の厚さに対して直角であり、該回転及び振動運動が、前記供給源の前記素地の上への投影が実質的に螺旋であって純粋螺旋でない行路を描くようになされ、
    前記振動/回転パターンは、前記素地の自らの中心の周りの回転数を、ω3で表すと、振動/回転中の前記素地の中心の座標(x(t),y(t))が
    x(t)=r1*sin2πω1t+r2*sin2πω2t;
    y(t)=r1*cos2πω1t+r2*cos2πω2t
    で表され、ここで、r1,r2,ω1,ω2,ω3は、回転/振動パターンのパラメータであり、ω1,ω2,ω3は、ω1<ω2およびω1,ω2<<ω3なる関係を満足する
    ことを特徴とするシリカ含有素地を形成する方法。
  2. (a)スート粒子の供給源を与える工程、
    (b)このスート粒子を捕集し、その際に該スート粒子を圧密化させて粘稠な流体を形成し、該捕集によって素地の厚さを増加させることにより、該素地を形成する工程、及び
    (c)前記素地を回転させ、前記スート粒子が捕集されるとき、前記供給源と前記素地との間の相対振動運動を与える工程を有してなり、
    該振動運動が、前記素地の厚さに対して直角であって、少なくとも8分間の繰り返し周期を有し、該回転及び振動運動が、前記供給源の前記素地の上への投影が実質的に螺旋であって純粋螺旋でない行路を描くようになされ、
    前記振動/回転パターンは、前記素地の自らの中心の周りの回転数を、ω3で表すと、振動/回転中の前記素地の中心の座標(x(t),y(t))が
    x(t)=r1*sin2πω1t+r2*sin2πω2t;
    y(t)=r1*cos2πω1t+r2*cos2πω2t
    で表され、ここで、r1,r2,ω1,ω2,ω3は、回転/振動パターンのパラメータであり、ω1,ω2,ω3は、ω1<ω2およびω1,ω2<<ω3なる関係を満足する
    ことを特徴とするシリカ含有素地を形成する方法。
  3. 前記素地の厚さが、前記繰り返し周期の間に少なくとも0.15mmほど増加することを特徴とする請求の範囲第2項記載の方法。
  4. 前記回転振動運動が繰り返し周期を有し、前記素地の厚さが、前記繰り返し周期の間に少なくとも0.15mmほど増加することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  5. 前記素地の厚さが、前記繰り返し周期の間に少なくとも0.2mmほど増加することを特徴とする請求の範囲第3または4項記載の方法。
  6. 前記回転振動運動が、少なくとも8分間の繰り返し周期を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  7. 前記繰り返し周期が少なくとも10分間であることを特徴とする請求の範囲第2または6項記載の方法。
  8. 前記供給源が複数個のスート生成バーナーからなり、各バーナーが実質的に螺旋であって純粋な螺旋ではない行路を描くことを特徴とする請求の範囲第1または2項記載の方法。
  9. 前記シリカ含有素地から形成されたブランクの屈折率に於けるオフ軸周期的脈理で、平均ピーク〜谷の大きさΔnstriae及び平均ピーク〜ピーク周期Δzstriaeを有するものにおいて、前期繰り返し周期が、前期ブランクについてのΔnstriae/Δzstriaeが2.0×10-8mm-1以下となろような十分に長い繰り返し周期であることを特徴とする請求の範囲第1または2項記載の方法。
  10. 前記繰り返し周期が、前記ブランクについてのΔnstriae/Δzstriaeが1.5×10-8mm-1以下であるように十分に長いことを特徴とする請求の範囲第項記載の方法。
  11. 前記ブランクが125ミリメートル以上のブランクサイズについて1.0×10-6以下であるz軸均質性Δnを有することを特徴とする請求の範囲第9または10項記載の方法。
  12. 前記ブランクが125ミリメートル以上のブランクサイズについて0.5×10-6以下であるz軸均質性Δnを有することを特徴とする請求の範囲第9または10項記載の方法。
  13. 前記ブランクサイズが150ミリメートル以上であることを特徴とする請求の範囲第11または12項記載の方法。
  14. 前記ブランクサイズが200ミリメートル以上であることを特徴とする請求の範囲第11または第12項記載の方法。
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