JP3841183B2 - プロッタによるカーペットのカット方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットベッドタイプのプロッタを用いて、カーペット(絨毯)をカットする、プロッタによるカーペットのカット方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーペットは、厚手の基布表面に多数の起毛が密集して植設された形状をしている。
【0003】
このカーペットの周囲を所定形状にカットしたり、該カーペットの内側に袋文字、図形等をカットしたりする場合には、フラットベッドタイプのプロッタが、一般に用いられている。
【0004】
ここで、フラットベッドタイプのプロッタとは、ワークを載置する幅広い平面状のベッドを持つプロッタをいう。
【0005】
このフラットベッドタイプのプロッタを用いてカーペットをカットする場合には、次のようにしている。
【0006】
カーペットを、その起毛が植設された表面を上方に向けて、平面状に広げた状態でベッド上に搭載している。
【0007】
次いで、ベッドに多数散点状に設けられた吸気孔を通して、カーペット下面とその直下のベッド上との間の空気をベッドの内側に吸引し続けている。そして、カーペット表面に加わる大気圧を用いて、カーペットをベッド上に平面状に広げた状態に動かぬように固定している。
【0008】
その際には、カーペット表面を通気性のないビニール製等のシートで覆って、通気性のあるカーペットを通して、カーペット下面とその直下のベッド上との間に空気が侵入するのを防いでいる。そして、カーペット下面とその直下のベッド上との間を真空に近い状態としている。そして、カーペットを、大気圧により、ベッド上に動かぬように確実かつ強固に固定している。
【0009】
次いで、プロッタのヘッドをベッド上をX−Y方向に移動させて、ヘッドに把持したカッタで、ベッド上に固定したカーペットを、その表面を覆ったシートと共に、その表面側からカットしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにして、フラットベッドタイプのプロッタを用いてカーペットをカットした場合には、カーペットの基布と共に、その基布表面に植設された起毛の一部が、その中途部や根元部からカッタで切断されてしまった。そして、カット後のカーペット表面の起毛の丈が、一律に均等に揃わずに、カーペット表面の一部に段差や窪みが生じてしまった。そして、カーペットの見栄えやその体裁が大幅に損なわれてしまった。
【0011】
その原因は、上記のようにして、プロッタによりカーペットをカットした場合には、起毛が、カーペット表面に被せたシートやカッタに押されて、横に寝た状態となってしまうからである。そして、その横に寝た状態となった起毛の一部が、その直上を通過するカッタでカットされてしまうからである。
【0012】
このような課題を解消するために、カーペットに高圧の水を高速で吹き付けて、カーペットの基布を、その表面に植設された起毛を残して、カットするウオータージェットによるカット方法が知られている。
【0013】
しかしがなら、このカット方法は、ウオータージェットを噴射する大型で複雑な装置を必要とすると共に、多大な手数を要するため、一般に広く汎用されるカーペットをカットするのに適していない。
【0014】
また、金型を用いてカーペットをカットする型打抜き方法も、知られているが、この方法により、カーペットをカットした場合には、上記と同様にして、その基布表面に植設された起毛が、金型に押されて横に寝た状態となってしまった。そして、その横に寝た状態となった起毛の一部が、その中途部や根元部から金型で切断されてしまった。そして、カット後のカーペット表面の起毛の丈が、一律に均等に揃わずに、カーペット表面の一部に段差や窪みが生じてしまい、カーペットの見栄えやその体裁が大幅に損なわれてしまった。
【0015】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、カーペットを、その表面の起毛の一部を切断することなく、体裁良く美麗にカットできる、プロッタによるカーペットのカット方法(以下、カット方法という)を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のカット方法は、次の工程を含むことを特徴としている。
a.フラットベッドタイプのプロッタのベッド上に面ファスナーを平面状に広げて搭載して、該面ファスナーを前記ベッド上に固定する工程。
b.カットしようとするカーペットを、その起毛が植設された表面を下方に向けて、前記ベッド上の面ファスナーに重ね合わせ、前記カーペット表面の起毛を、前記面ファスナー表面の係合毛に絡ませたり、その係合毛間の隙間に差し込んだりして、前記面ファスナーに起立させた状態に埋め込み、前記カーペットを前記面ファスナーに平面状に広げた状態に離脱可能に固定する工程。
c.前記プロッタのヘッドを前記ベッド上をX−Y方向に移動させて、前記ヘッドに把持したカッタで、前記面ファスナーに平面状に広げた状態に固定したカーペットを、その裏面側からカットする工程。
【0017】
このカット方法においては、カットしようとするカーペット表面の起毛を、ベッド上に平面状に広げて固定した面ファスナー表面の係合毛に絡ませたり、その係合毛間の隙間に差し込んだりして、面ファスナーに起立させた状態に埋め込むことができる。そして、カーペット表面の起毛を、それを絡ませた面ファスナー表面の係合毛で支えたり、面ファスナー表面の複数本の係合毛で囲んで支えたりできる。そして、カーペット表面の起毛が横に寝た状態とならぬように、カーペット表面の起毛を面ファスナー表面の係合毛で起立させた状態に支持できる。
【0018】
そのため、プロッタのヘッドに把持したカッタでカーペットをカットした場合に、カーペット表面の起毛の一部が、カッタに押されて、横に倒れた状態となるのを防ぐことができる。そして、その横に倒れた状態となった起毛が、その中途部又は根元部から、カッタにより、カットされるのを防ぐことができる。
【0019】
また、カーペット表面の起毛を面ファスナー表面の係合毛に容易に抜け出ぬように絡ませて係合できる。そして、カーペットを、ベッド上に固定された面ファナーに平面状に広げた状態に動かぬように固定できる。そして、カーペットを、面ファスナーを介して、ベッド上に動かぬように固定できる。
【0020】
また、カーペットをその裏面側から、即ちその基布側からカッタでカットするため、カーペット表面の起毛に邪魔されずに、カーペットの基布をカッタでシャープに美麗にカットできる。
【0021】
また、カーペットをカットした後には、そのカーペットを、面ファスナーの上方に、その端部から捲り上げて、面ファスナーの係合毛に絡ませたカーペットの起毛を、面ファスナーから抜き取ることができる。そして、そのカーペットを、面ファスナーから容易かつ迅速に剥ぎ取ることができる。
【0022】
本発明のカット方法においては、ベッドに吸気孔を多数散点状に設けて、該吸気孔を通して前記ベッド上とそれに平面状に広げて搭載した面ファスナー下面との間の空気をベッドの内側に吸引し続けることにより、前記面ファスナー表面に加わる大気圧を利用して、前記面ファスナーをベッド上に平面状に広げた状態に固定することを好適としている。
【0023】
このカット方法にあっては、ベッドに多数散点状に設けられた吸気孔を通して、ベッド上とそれに平面状に広げて搭載した面ファスナー下面との間の空気をベッドの内側に吸引し続けることにより、面ファスナー下面とその直下のベッド上との間を真空に近い状態に保持し続けることができる。そして、面ファスナーの表面全体に亙って、大気圧を広く均等に加え続けることができる。そして、面ファスナーを、ベッド上に平面状に広げた状態に押しつけることができる。そして、面ファスナーをベッド上に動かぬように固定できる。
【0024】
その際には、面ファスナーの基布を、通気性のないゴム製等のシートで形成しておくことにより、面ファスナーを通して、空気が面ファスナー下面とその直下のベッド上との間に侵入するのを確実に防ぐことができる。そして、上記のようにして、ベッドに多数散点状に設けられた吸気孔を通して、面ファスナー下面とその直下のベッド上との間の空気をベッドの内側に吸引し続けることにより、面ファスナー下面とその直下のベッド上との間を確実に真空に近い状態に保持し続けることができる。そして、大気圧を最大限に利用して、面ファスナーをベッド上に平面状に広げた状態に強固に固定できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
図1は本発明のカット方法の好適な実施の形態を示す説明図である。以下に、このカット方法を説明する。
【0026】
図のカット方法では、フラットベッドタイプのプロッタのベッド10上に、面ファスナー20を平面状に広げて搭載している。
【0027】
面ファスナー20には、通気性のないゴム製の厚手の基布22表面に、腰の強いナイロン製の多数の係合毛24を密集させて植設したものであって、カットするカーペット30よりその外径が一回り大きめのものを用いている。
【0028】
次いで、ベッド10に多数散点状に設けられた吸気孔12を通して、ベッド10上の空気を、ベッド10の内側に吸引し続けている。そして、ベッド10上に平面状に広げて搭載された面ファスナー20の基布22下面とその直下のベッド10上との間の空気を、ベッド10の内側に吸引し続けている。そして、面ファスナー20の基布22下面とその直下のベッド10上との間を真空に近い状態に保持し続けている。そして、面ファスナー20の表面全体に亙って、大気圧を均等に加え続けている。そして、面ファスナー20を、ベッド10上に平面状に広げた状態に動かぬように固定している。
【0029】
次いで、カットしようとするカーペット30を、その起毛34が植設された表面を下方に向けて、ベッド10上に平面状に広げて固定した面ファスナー20に重ね合わせている。そして、カーペット30表面の起毛34を、面ファスナー20表面の係合毛24に起立させた状態で絡ませたり、面ファスナー20表面の係合毛24間の隙間に差し込んだりしている。そして、カーペット30表面の起毛34を、面ファスナー20に起立させた状態に埋め込んでいる。
【0030】
そして、カーペット30表面の起毛34を、それを絡ませた面ファスナー20表面の腰の強い係合毛24で支えたり、面ファスナー20表面の腰の強い複数本の係合毛24で囲んで支持したりしている。そして、カーペット30表面の起毛34が横に寝た状態とならぬように、カーペット30表面の起毛34を面ファスナー20表面の腰の強い係合毛24で起立させた状態に支持している。
【0031】
それと共に、面ファスナー20表面の係合毛24に絡ませたカーペット30表面の起毛34により、カーペット30を平面状に広げて面ファスナー20に容易に動かぬように剥離可能に固定している。そして、カーペット30を、面ファスナー20を介して、ベッド10上に平面状に広げた状態に動かぬように固定している。
【0032】
次いで、プロッタのヘッド(図示せず)をベッド10上をX−Y方向に移動させている。そして、ヘッドに把持したカッタ50で、面ファスナー20に広げた状態に固定したカーペット30を、その裏面側からカットしている。
【0033】
その際には、カーペット30表面の起毛34の一部が、カッタ50に押されて、横に倒れた状態となるのを、面ファスナー20表面の腰の強い係合毛24で支持して防いでいる。そして、カーペット30表面の起毛34の一部が、その中途部又は根元部から、カッタ50により、カットされるのを防いでいる。
【0034】
また、上記のようにして、カーペット30をカットした後には、そのカーペット30を面ファスナー20の上方に、その端部から捲り上げている。そして、面ファスナー20の係合毛24に絡ませたカーペット30の起毛34を、面ファスナー20から抜き取っている。そして、そのカーペット30を面ファスナー20から剥ぎ取っている。
【0035】
なお、上述カット方法においては、カットしようとするカーペット30の基布32表面に植設された起毛34が、ループ状等の雌型状をしている場合には、カーペット30を固定する面ファスナー20に、その基布22表面に鉤状等の雄型状をした係合毛24を持つ面ファスナー20を用いると良い。
逆に、カットしようとするカーペット30の起毛34が、鉤状等の雄型状をしている場合には、カーペット30を固定する面ファスナー20に、その基布22表面にループ状等の雌型状をした係合毛24を持つ面ファスナー20を用いると良い。
そして、カーペット30の起毛34を、面ファスナー20の係合毛24に確実に絡ませることができるようにすると良い。そして、カーペット30がカッタ50で押されても、カーペット30が面ファスナー20から剥離せぬように、カーペット30を面ファスナー20に強固に固定できるようにすると良い。
【0036】
また、面ファスナー20は、両面接着テープ等を用いて、ベッド10上に剥離可能に固定しても良く、又は、ベッド10に装備された固定治具(図示せず)を用いて、ベッド10上に離脱可能に固定しても良い。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカット方法によれば、プロッタを用いてカーペットをカットする場合に、プロッタのヘッドに把持したカッタで、カーペット表面の起毛の一部を、その中途部又は根元部からカットしてしまうのを防ぐことができる。そして、カット後のカーペット表面の一部に段差や窪みが生じて、カーペットの見栄えやその体裁が損なわれるのを防ぐことができる。
【0038】
また、カーペットの基布を、カーペット表面の起毛に妨害されることなく、プロッタのヘッドに把持したカッタで、美麗かつ確実にカットできる。そして、カット面がシャープな見栄えの良いカーペットを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカット方法を示す説明図である。
【符号の説明】
10 ベッド
12 吸気孔
20 面ファスナー
22 基布
24 係合毛
30 カーペット
32 基布
34 起毛
50 カッタ

Claims (2)

  1. 次の工程を含むことを特徴とするプロッタによるカーペットのカット方法。
    a.フラットベッドタイプのプロッタのベッド上に面ファスナーを平面状に広げて搭載して、該面ファスナーを前記ベッド上に固定する工程。
    b.カットしようとするカーペットを、その起毛が植設された表面を下方に向けて、前記ベッド上の面ファスナーに重ね合わせ、前記カーペット表面の起毛を、前記面ファスナー表面の係合毛に絡ませたり、その係合毛間の隙間に差し込んだりして、前記面ファスナーに起立させた状態に埋め込み、前記カーペットを前記面ファスナーに平面状に広げた状態に離脱可能に固定する工程。
    c.前記プロッタのヘッドを前記ベッド上をX−Y方向に移動させて、前記ヘッドに把持したカッタで、前記面ファスナーに平面状に広げた状態に固定したカーペットを、その裏面側からカットする工程。
  2. ベッドに吸気孔を多数散点状に設けて、該吸気孔を通して前記ベッド上とそれに平面状に広げて搭載した面ファスナー下面との間の空気をベッドの内側に吸引し続けることにより、前記面ファスナー表面に加わる大気圧を利用して、前記面ファスナーをベッド上に平面状に広げた状態に固定する請求項1記載のプロッタによるカーペットのカット方法。
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