以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る作詞支援装置の概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施の形態の作詞支援装置は、主として文字情報を入力するためのキーボード1と、位置情報を入力する、たとえばマウス等のポインチングデバイス2と、装置全体の制御を司るCPU3と、各種テーブルデータ等を記憶するROM4と、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM5と、各種情報等を表示する、たとえばCRTやLCD等の表示装置6と、CPU3が実行する制御プログラム等を記憶する記憶媒体であるフロッピディスク(FD)をドライブするフロッピディスクドライブ(FDD)7と、歌詞の語句(詞の素片)を予め記憶するハードディスク装置(HDD)8とにより構成され、各構成要素1〜8は、バス9を介して相互に接続されている。
FDには上述のように制御プログラムが記憶され、ユーザの指示に応じてこの制御プログラムがRAM5のプログラム記憶領域にロードされ、ロードされた制御プログラムに応じて以下の各種処理が実行される。
また、HDD8に記憶される歌詞の語句を示すデータ(詩の素片データ)は、辞書のようにあらゆるジャンルのものを集めておく必要があるため、以下、この詩の素片データの集合を「詩の素片データバンク」という。
図2および3は、この制御プログラムの手順を示すフローチャートである。
図2において、まず、全体作詞条件を設定するモード(以下、「全体作詞条件設定モード」という)に入る(ステップS1)。このモードに入ると、前記表示装置6には、全体作詞条件において設定可能な項目およびその各項目に対応する現在の設定状態を示す一覧表が表示される。そして、ユーザが前記ポインチングデバイス2を操作することによってカーソルを所望の項目に合わせ、その位置でクリックすると、当該項目で設定できる作詞条件の候補が、ポップアップウィンドウ上に表示される。
図4は、ユーザが上記項目のうち項目「ジャンル(曲)」をクリックしたときに、表示装置6に表示される表示の一例を示す図であり、同図に示すように、「ジャンル(曲)の候補」として、「ポップス」、「ポップバラード」、「フォーク」等の曲がポップアップウィンドウ11上に表示される。なお、このウィンドウ11上には全候補の一部が表示され、カーソルcでバーbをドラッグし、上または下に移動させることで、表示される候補が変更される。
図5は、ユーザが項目「ジャンル(詩)」をクリックしたときの表示の一例((a))および項目「ジャンル(詩)」に設定できる作詞条件の候補の一例((b))を示す図である。図4と同様に、設定可能なジャンル(詩)の候補から所定個の候補がポップアップウィンドウ上に表示されている。
図6は、ユーザが項目「テーマ」をクリックしたときの表示の一例((a))および項目「テーマ」に設定できる作詞条件の候補の一例((b))を示す図である。項目「テーマ」に設定できる作詞条件は、上記項目「ジャンル(詩)」で設定された条件に応じて異なるので、「テーマ」の候補は、(b)に示すように、「ジャンル(詩)」の候補毎に予め設定されている。そして、項目「ジャンル(詩)」として、たとえば「ラブソングもの」が設定されているときには、(a)に示すように、ポップアップウィンドウ上には、「ラブソングもの」の候補から所定個の候補が選択されて表示される。
図7は、ユーザが項目「視点」をクリックしたときの表示の一例を示す図であり、図8は、ユーザが項目「展開」をクリックしたときの表示の一例を示す図である。図7および8は、前記図4に対して、ポップアップウィンドウにバーが表示されていない点、すなわち設定可能な条件の候補がポップアップウィンドウ内に収まる点が異なるのみであるので、その説明を省略する。
図2のフローチャートに戻り、ステップS2では、上述のようにして設定した全体作詞条件を前記RAM5の所定位置に確保された全体作詞条件記憶領域に記憶する。
続くステップS3では、作詞したい曲に既にメロディが有るか否かをユーザに問い合わせ、メロディがないとき、すなわちユーザがメロディがないと回答したときにはステップS4に進む。
ステップS4では、前記ステップS1およびS2で設定され記憶された全体作詞条件に従って、曲の形式の候補を表示装置6に表示する。図9は、表示装置6に表示された曲の形式の候補の一例を示す図であり、同図に示すように、曲の形式の候補が複数種類表示される。
ユーザはこの表示された候補の中から1つを選択する(ステップS5)と、選択された候補が、RAM5の所定位置に確保された曲形式記憶領域に記憶される(ステップS7)。
一方、ステップS3で、ユーザがメロディがあると回答したときにはステップS6に進み、そのメロディの曲形式を直接入力した後に、前記ステップS7に進む。ここで、メロディの曲形式は、図10に示すようなウィンドウ21に、ユーザが前記キーボード1から直接その曲形式を入力するようにしているが、これに限らず、前記ステップS4のように、候補を提示し、その候補から選択するようにしてもよい。
続くステップS8(図3)では、曲形式の構成毎に作詞条件を表示するテンプレート(以下、「構成毎作詞条件テンプレート」という)を利用するか否かをユーザに問い合わせ、ユーザがこのテンプレートを利用するときにはステップS9に進む一方、このテンプレートを利用しないときにはステップS11に進む。
ステップS9では、前記設定された全体作詞条件と曲の形式に従って、構成毎作詞条件テンプレートを表示する。
図11は、表示装置6に表示された構成毎作詞条件テンプレートの一例を示す図であり、同図に示すように、設定された全体作詞条件31およびこの全体作詞条件に応じて選択された構成毎作詞条件テンプレート32が表示される。
構成毎作詞条件テンプレート32とは、曲形式の構成毎の作詞条件の各項目を予め選択して作成した作詞条件モデルを云い、全体作詞条件として設定される条件に応じてそのモデルとなる各種のテンプレートが作成され、前記FDD7やHDD8に記憶されている。そして、全体作詞条件が設定されると、その設定された条件に応じて読み出され、前記RAM5の所定位置に格納される。
なお、テンプレートとして、よく知られている曲に対応するものを複数個用意(記憶)しておき、ユーザが作詞したい曲のイメージを指定すると、そのイメージに類似する曲(よく知られた曲)のテンプレートを検索して、表示手段6上に表示するようにしてもよい。これにより、ユーザは、よく知られている曲のテンプレートを参考にすることができるので、条件の個々の設定等を容易に行うことができるとともに、自分の考えているイメージにより近い作詞を行うことができる。
図12は、全体作詞条件として設定される各項目、曲の形式、および構成毎作詞条件のテンプレート間の関係を示す図である。同図に示すように、曲の形式の候補は、全体作詞条件の項目「ジャンル(曲)」および「ジャンル(詩)」に設定された条件に基づいて選択され、全体作詞条件の項目「テーマ」の候補は、項目「ジャンル(詩)」に設定された条件に基づいて選択される。そして、選択された各種条件に基づいて、テンプレートの候補が選択される。
このように、構成毎作詞条件テンプレート32は、1つの全体作詞条件31に対して通常複数個の候補が選択されるため、「前候補」、「次候補」にカーソルcを合わせ、前記ポインチングデバイス2でクリックすることにより、任意の候補を表示することができる。そして、ユーザの意図する候補が見つかったときには、「採用」をクリックすることにより、曲形式の構成毎の作詞条件を一度に設定することができる。
また、構成毎作詞条件テンプレート32中の一部の項目について作詞条件を変更したいときには、その項目にカーソルcを合わせて作詞条件を削除し、所望の条件をキーボード1から入力することで変更することができる。
なお、構成毎作詞条件テンプレート32中、“↑”は、その上の欄と同じ条件であることを示し、“↓”は、その上の欄から下の欄までの途中の状態を示している。
図3のフローチャートに戻り、ユーザが1つのテンプレートを選択する(ステップS10)、すなわち、上述のようにして「採用」をクリックすると、ユーザに対してメロディがあるか否かを問い合わせる(ステップS12)。
一方、ステップS8で、ユーザが前記テンプレートを利用しないと回答したときにはステップS11に進み、曲形式の構成毎の作詞条件を設定する、すなわちユーザが曲形式の構成毎の作詞条件の各項目を1つずつ個別に設定する。以下、この作詞条件の設定方法を、図13〜21に基づいて説明する。
図13は、曲形式の構成毎の作詞条件のうち「キャスト」を設定する方法を説明するための図である。同図において、たとえば、段落Aの「キャスト」の欄にカーソルcを合わせてクリックすると、キャストの候補がポップアップウィンドウ上に表示され、ユーザは、その候補の中から所望のキャストおよび年齢をカーソルcで選択する。
図14は、曲形式の構成毎の作詞条件のうち「状況」を設定する方法を説明するための図であり、まず、上記図13と同様にして、ユーザのクリックにより「状況」の候補がポップアップウィンドウ上に表示され、この候補の中から所望の「状況」を選択して設定する。ここで、図13と異なるのは、ポップアップウィンドウに表示される候補が、その前までに設定された条件、すなわち前記設定された全体作詞条件および「キャスト」に設定された条件に応じて、「状況」の全候補中から選択して表示される点である。この選択表示方法については、図20を用いて後述する。
図15は、「心情」の全候補の一例を示し、図16は、「歳月」の全候補の一例を示し、図17は、「季節」の全候補の一例を示し、図18は、「場所」の全候補の一例を示し、図19は、「情景」の全候補の一例を示している。すなわち、ユーザが段落毎作詞条件の項目のうち所望の項目に前記カーソルcを合わせ、その位置でクリックすると、図15〜19に示す全候補から、当該項目より前に選択された条件に応じて選択された一部の候補がポップアップウィンドウ上に表示される。
図20は、前記図14のポップアップウィンドウ上に選択表示される「状況」の候補を抽出する候補(状況)抽出処理の手順を示すフローチャートであり、本処理は、図21に示す段落間の類否関係に基づいて行われる。
図20において、まず、前記設定された全体作詞条件と、曲の形式を除く曲形式の構成条件(図14では、「キャスト」に設定された条件のみ)とに従って、「状況」の候補を抽出する(ステップS31)。
次に、曲形式の構成X/Nは設定済みか否かを判別する(ステップS32)。ここで、現在カーソルが位置している曲形式の構成を曲形式の構成XNとする。ただし、Xは、前記曲形式の構成A,B,C,‥のいずれかを示し、Nは、曲形式の構成Xに付随するダッシュの状態、すなわち本実施の形態では、ダッシュなし、“′”,“″”のいずれかを示している。さらに、“/”は、論理記号“NOT”を示し、たとえばNがダッシュなしの状態のときには、/Nは、“′”,“″”のいずれかの状態を示している。したがって、たとえばカーソルcの位置が曲形式の構成Aの場合には、ステップS32では、曲形式の構成A′またはA″は設定済みか否かを判別することになる。
ステップS32の判別で、曲形式の構成X/Nが設定済みのときにはステップS33に進み、前記ステップS31で抽出された「状況」の候補の中から、曲形式の構成X/Nで採用された候補を削除し、曲形式の構成X/Nで採用された候補の類似候補を抽出する。
一方、ステップS32の判別で、曲形式の構成X/Nがまだ設定されていないときには、ステップS33をスキップしてステップS34に進む。
ステップS34では、曲形式の構成/Xは設定済みか否かを判別する。ここで、/Xは、曲形式の構成X以外の曲形式の構成であることを示している。
ステップS34の判別で、曲形式の構成/Xがまだ設定されていないときには、直ちに本候補抽出処理を終了する一方、曲形式の構成/Xが設定済みのときにはステップS35に進む。
ステップS35では、前記ステップS31またはS33で抽出された「状況」の候補の中から、曲形式の構成/Xで採用された候補そのものを削除するとともに、曲形式の構成/Xで採用された候補の類似候補を削除した後に、本候補抽出処理を終了する。すなわち、たとえば曲形式の構成Cの「状況」を設定するときには、「状況」の全候補から、曲形式の構成A,A′およびBで採用された候補の類似候補が削除された残りの候補が抽出されて前記ポップアップウィンドウ上に表示される。
図3のフローチャートに戻り、前記ステップS12の判別で、メロディがあるとユーザが回答したときにはステップS13に進み、メロディを入力するか否かをユーザに問い合わせる。
ステップS13の判別で、ユーザがメロディを入力しないと回答したときには、キーボード1からユーザが入力した音節数を順次入力する(ステップS14)一方、ユーザがメロディを入力すると回答したときには、ユーザが入力したメロディを、たとえば前記RAM5のワークエリアに一時的に格納し、この格納されたメロディに基づいて、周知の方法により、その音節数を検出した(ステップS16)後に、ステップS17に進む。
図22は、音節数またはメロディを入力する方法を説明するための図であり、(a)は、ユーザが音節数を入力している状態を示す図であり、(b)は、ユーザがメロディを入力している状態を示す図である。
音節数は、(a)に示すように、基本的に4小節分の音節数をフレーズに区切って入力する。
メロディは、(b)に示すように、基本的に4小節分のメロディを記号“∨”でフレーズに区切って入力すると、音節数が自動的に検出されて、(a)のように、音節数が入力される。
一方、ステップS12の判別で、メロディがないとユーザが回答したときには、ステップS13〜S16をスキップしてステップS17に進む。
ステップS17では、上述のようにして設定された曲形式の構成毎の作詞条件を、RAM5の所定位置に確保された曲形式の構成毎作詞条件記憶領域に格納する。
続くステップS18では、前記設定された全体作詞条件と曲形式の構成毎作詞条件に従って、詩の素片候補を提示する。
図23は、全体作詞条件として設定される各項目、曲の形式、曲形式の構成毎作詞条件として設定される各項目、および前記詩の素片データバンク間の関係を示す図である。同図に示すように、各項目はツリー構造によって関係付けられ、現在設定中の項目より前に設定された項目で、かつ関係付けられたものがある場合には、前述のように、その項目に設定された条件が考慮されて、設定中の項目に条件が設定される。そして、全項目が設定されると、設定された条件に応じて、詩の素片データバンクから詩の素片が選択される。
図24は、詩の素片候補データのデータ構造を示す図である。同図に示すように、各詩の素片データは、その素片データに付与された番号、音節数、抽出条件によって選ばれる可能性があるか否かの情報(「ある」場合には、“1”が設定され、「ない」場合には、何も設定されていない)、および類似語番号により構成されている。
図25は、上記ステップS18で提示された詩の素片候補の表示の一例を示す図であり、同図は、音節数が指定されていない場合の例を示している。「選択された詩の素片」項目の、まだ設定されていない欄をクリックすると、前記設定された抽出条件によって選ばれる可能性のある詩の素片候補がポップアップウィンドウ上に選択されて表示される。この表示された候補から、ユーザが所望の候補を選択すると、その候補は反転表示される。そして、反転表示された候補の1つをダブルクリックすると、その候補に対応する類似語が表示された、別のポップアップウィンドウが開くので、ユーザは、その候補に代えて類似語候補の中から所望の候補を選択することができる。
図26は、音節数が指定されている場合の提示された詩の素片候補の表示の一例を示す図であり、同図に示すように、設定された音節数の種類だけポップアップウィンドウが開き、各ウィンドウには、音節数および前記各条件に応じて選択された詩の素片候補が表示される。
図3のフローチャートに戻り、ステップS19では、ユーザの指示に応じて、詩の素片候補に内から任意の詩の素片を選択し、ステップS20では、この選択された素片を組み合わせて1つの歌詞を完成させ、ステップS21では、完成された歌詞を、RAM5の所定位置に確保された歌詞データ記憶領域に格納した後に、本制御処理を終了する。
図27は、前記選択された詩の素片を組み合わせて歌詞を完成させるときに開くウィンドウを示す図であり、同図には、まだ曲にメロディが付けられていない場合のウィンドウの例が示されている。
図27中、「選択された詩の素片」の各欄に表示された詩の素片は、前記図25の「選択された詩の素片」の各欄にユーザが選択した詩の素片を示し、ユーザは、このように選択された詩の素片の連結順序を変更したり、助詞や副助詞等を付加したりすることによって、「完成した歌詞」の各欄に歌詞を完成させていく。この歌詞を完成させる作業は、技法ガイドを参照しながら行うことができる。
図29〜31は、技法ガイドの一例を示す図であり、図29は、「韻を踏む」技法を説明するための技法ガイドを示す図であり、図30は、「体言止め」技法を説明するための技法ガイドを示す図であり、図31は、「倒置」技法を説明するための技法ガイドを示す図である。このように、ユーザは、表示された技法ガイドを参照しながら歌詞を完成させることができ、特に歌詞を作詞するための各種技法を知らない初心者にとっては、有効な機能である。
なお、技法ガイドは、たとえばカーソル等により「技法ガイド」スイッチ(図27参照)をクリックすることにより表示される。
図28は、前記図27と同様に、選択された詩の素片を組み合わせて歌詞を完成させるときに開くウィンドウを示す図である。図28は、図27に対して、曲にメロディが付けられている点が異なり、完成された歌詞は、メロディに対応して表示されるように構成されている。これにより、ユーザはメロディに対して音節が正しく割り当てられているか否かを一目で確認することができる。
このように、本実施の形態では、全体作詞条件に加えて曲形式の構成を設定でき、この設定された曲形式の構成(段落)毎に作詞条件を設定するように構成したので、曲全体のイメージに加えてその部分的なイメージに応じた適正な詩の素片データが抽出され、これにより作詞の支援をより的確に行うことができる。
なお、本実施の形態では、詩の素片候補を表示装置6上に表示するようにしたが、これに限らず、たとえば音声等でユーザに提示するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、本発明を図1のような作詞支援するための専用機に適用して説明したが、これに限らず、たとえばパーソナルコンピュータ等の汎用機に適用してもよいことは云うまでもない。
なお、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPU3やMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは云うまでもない。
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、たとえば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM4などを用いることができる。
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは云うまでもない。
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU3などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは云うまでもない。
次に、上記実施の形態の改良例を、まず、その概要を説明し、次に、図32〜35を参照して詳細に説明する。
本改良例は、前記実施の形態の作詞支援装置に対して次の点が異なっている。すなわち、
1)前記詞の素片データバンクに、作詞条件(全体作詞条件および段落毎作詞条件)に依存しない詞の素片データを追加した点(前記実施の形態の作詞支援装置では、詞の素片データバンクは、作詞条件に依存する詞の素片データのみで構成されていた)
2)詞の素片データバンクを条件データベースと詞の素片データベースの2種類のデータベースによって構築する点
このように、本改良例は、前記実施の形態の作詞支援装置に対してその内部構造のみが異なっているため、そのハードウェアは前記図1と同様のものを使用する。
図32は、上記改良点のうち、1)の改良点を説明するための図であり、同図には、詞の素片を選択するために表示装置6上に表示される各種スイッチが図示されている。
同図において、表示装置6上に表示されるスイッチは、本改良例では10種類あり、その中で、条件歌詞スイッチ50は、前記実施の形態の作詞支援装置で説明した方法により詞の素片を選択するためのものであるため、その説明を省略する。
熟語スイッチ41は、詞の素片の候補として、各種熟語を表示させるためのものであり、ユーザが、たとえば前記カーソルcを熟語スイッチ41に合わせてクリックすると、たとえば、「一世一代」、「小春日和」、「十人十色」、「絶体絶命」、「真実一路」等の熟語が、詞の素片の候補として、たとえばポップアップウィンドウ(図示せず)上に表示される。
擬態語スイッチ42は、詞の素片の候補として、各種擬態語を表示させるためのものであり、このスイッチ42がクリックされると、たとえば、「さらさら」、「そよそよ」等の擬態語が表示される。
擬声語スイッチ43は、詞の素片の候補として、各種擬声語を表示させるためのものであり、このスイッチ43がクリックされると、たとえば、「わんわん」、「にゃんにゃん」等の擬声語が表示される。
キーワードスイッチ44は、各種キーワードおよび該各キーワードに対応する詞の素片の候補を表示させるためのものである。このスイッチ44がクリックされると、たとえば、「人体の器官」、「地名」等のキーワードが表示され、そのうち、所望のキーワードをクリックすると、当該キーワードに下位のキーワードがある場合には、そのキーワードとともに対応する各種詞の素片が表示される。
たとえば、「人体の器官」には、その下位のキーワードとして、「目」があり、キーワード「目」に対応して、「眼」、「瞳」、「まぶた」、「ウィンク」、「めがね」、「アイシャドー」等が表示され、「地名」には、その下位のキーワードとして、各都道府県があり、その中で、たとえばキーワード「北海道」に対応して、「札幌」、「すすきの」、「時計台」、「大通り公園」、「礼文島」、「宗谷岬」等が表示される。
故事・諺スイッチ45は、詞の素片の候補として、各種故事・諺を表示させるためのものであり、このスイッチ45がクリックされると、たとえば、「合縁奇縁」、「愛多ければ憎しみ至る」、「棚から牡丹餅」、「相槌を打つ」、「相手変われど主変わらず」等が表示される。
類似語スイッチ46は、詞の素片の候補として、各種類似語を表示させるためのものであり、このスイッチ46がクリックされると、たとえば、「愛」に対して「慕情」、「暖かい」等が、「あかつき」に対して、「ひので」、「朝ぼうけ」、「朝焼け」等が表示される。
対比語スイッチ47は、詞の素片の候補として、各種対比語を表示させるためのものであり、このスイッチ47がクリックされると、たとえば、「愛」に対して「憎」、「しっと」、「恨み」等が、「あかつき」に対して、「黄昏」、「夕まぐれ」、「夕焼け」等が表示される。
独立語スイッチ48は、詞の素片の候補として、各種独立語を表示させるためのものであり、このスイッチ48がクリックされると、たとえば、「オー」、「ヤー」、「オッと」等が表示される。
その他スイッチ49は、詞の素片の候補として、上記各種詞の素片以外の範疇の詞の素片を表示させるためのものであり、このスイッチ49がクリックされると、たとえば、「方言」や「ハッとする語」等の範疇に対して各種詞の素片が表示される。たとえば、「方言」の範疇の、「おはようございます」に対しては、「おはようさん」、「はえなもす」等、「ひさしぶりですね」に対しては、「ひさしぶりじゃん」、「なつかしねー」、「やっとかめだわなも」等、「ハッとする語」の範疇に対しては、「清らかな道」、「光のウィンク」、「かすむ夏」、「ざらついた景色」等が表示される。
このようにして表示された各種詞の素片の候補から、ユーザがいずれかの詞の素片を選択する(たとえば、その詞の素片にカーソルcを合わせ、ダブルクリックして選択する)と、その詞の素片は、前記図25で説明したように、反転表示された語句と置き換えられる。
このように、作詞条件に依存しない詞の素片が表示されるので、ユーザのイメージも膨らみ、条件に依存する語句と合わせて幅広い語句の選択を行うことができる。
次に、図33および34に基づいて、前記改良点のうち、2)の改良点、すなわち詞の素片データバンクを条件データベースと詞の素片データベースの2種類のデータベースによって構築する点を説明する。
ここで、条件データベースとは、前記実施の形態の詞の素片データバンクに登録される各詞の素片データのデータ構造(図24参照)から抽出条件データのみを抜き出して構築したデータベースをいい、詞の素片データベースとは、この図24の各詞の素片データのデータ構造から抽出条件データを除外した残りのデータから構築したデータベースをいう。すなわち、条件データベースおよび詞の素片データベースは、前記実施の形態の詞の素片データバンクを分割して構築されたものであるが、単に二分割したものではなく、詞の素片データを作詞条件に応じて最も効率よく検索することを考慮して構築されたものである。
図33は、上記条件データベースに登録される各条件データの構造を説明するための図であり、(a)は、条件データの1レコードを構成する各エレメントを示す図であり、(b)は、検索条件エレメントに設定される大項目コードおよび小項目コードの詳細を示す図である。
同図(a)に示すように、条件データの1レコードは、すべてのレコードに必須のエレメントと、各レコード毎にその数が可変である検索条件エレメントとにより構成されている。
必須のエレメントは、当該レコードのレコード長を示すレコード長エレメントと、歌詞コードを示す歌詞コードエレメントと、検索条件エレメントの数を示す検索条件数エレメントとにより構成されている。ここで、歌詞コードエレメントは、詞の素片データベースに登録された詞の素片データ(実質的にはその記憶位置)を示すものであり、詞の素片データそのものを、たとえばASCII(American Standard Code for Information Interchange)コード化したものではない。
検索条件エレメントは、少なくとも1個以上のエレメントから成り、各エレメントは、大項目コードおよび小項目コードにより構成されている。ここで、大項目コードとは、前記実施の形態で説明した段落毎作詞条件の各大項目に対応して決定されたコードをいい、コード0〜8が、それぞれ「テーマ」、「キャスト」、「状況」、「心情」、「歳月」、「季節」、「場所」、「時」、「情景」に対応する。小項目コードとは、大項目の下位にある各小項目に対応して決定されたコードをいい、たとえば、大項目が「テーマ」の場合には、同図に示すように、コード0が「ラブソング」に、コード1が「メッセージソング」に、コード2が「青春歌」というように決定される。
図34は、上記詞の素片データベースに登録される詞の素片データの構造を説明するための図であり、(a)は、詞の素片データの1レコードを構成する各エレメントを示す図であり、(b)は、詞の素片データが登録される状態を示す図である。
同図(a)に示すように、詞の素片データの1レコードは、すべてのレコードに必須のエレメントと、各レコード毎にその数が可変である類似語エレメントおよび対比語エレメントとにより構成されている。
必須のエレメントは、当該レコードのレコード長を示すレコード長エレメントと、当該レコードに登録される詞の素片のバイト数を示す詞の素片の語長エレメントと、詞の素片そのものを、たとえばASCIIコードで示す詞の素片エレメントと、類似語エレメントの数を示す類似語数エレメントと、対比語エレメントの数を示す対比語数エレメントとにより構成されている。
類似語エレメントは、当該類似語の音節数を示す音節数エレメントと、当該類似語の歌詞コードを示す歌詞コードエレメントとにより構成され、対比語エレメントも、同様に、音節数エレメントと歌詞コードエレメントとにより構成されている。
このように構成された詞の素片データの各レコードは、図34(b)に示すように、たとえば、1から10までの各音節数毎に、0001から最大9999まで番号が付与されて、詞の素片データレコードブロックとして、詞の素片データベースに登録される。
図35は、本改良例の作詞支援装置の全体構成を示す図であり、以下、本図を参照して、本改良例の作詞支援装置が実行する制御処理を説明する。
同図において、作詞アドバイスのデータバンクDB1は、ユーザが作詞をするに当たってアドバイスとなるようなヘルプ情報が登録されるデータベースであり、技法ガイドのデータバンクDB2は、前記実施の形態の図29〜31で説明した技法ガイドを表示するためのデータが登録されるデータベースである。
また、構成毎作詞条件テンプレートのデータバンクDB3は、前記実施の形態の図11で説明した構成毎作詞条件テンプレートが登録されるデータベースであり、詞の素片データバンクDB4は、上記条件データベースおよび詞の素片データベースから構成されるデータベースであり、データバンクDB5は、上記作詞条件に依存しない詞の素片データが登録されるデータベース(以下、「作詞条件非依存型詞の素片データバンク」という)である。
さらに、全体作詞条件I1とは、前記実施の形態で説明した全体作詞条件を設定するモードでユーザが設定した全体作詞条件をいい、曲形式I2とは、ユーザが設定した曲の形式(前記実施の形態における図9およびその説明を参照)をいい、曲形式の構成毎作詞条件I3とは、ユーザがデータバンクDB3から所望の段落毎作詞条件テンプレートを選択して設定した曲形式の構成毎作詞条件、また選択された構成毎作詞条件テンプレートを編集して設定した曲形式の構成毎作詞条件をいう。
前記実施の形態で説明したように、ユーザが、作詞アドバイスのデータバンクDB1の作詞アドバイスまたは技法ガイドのデータバンクDB2の技法ガイドを参考にして、全体作詞条件I1および構成I2を設定すると、これらの条件に応じて、構成毎作詞条件テンプレートのデータバンクDB3から構成毎作詞条件テンプレートが選択され、この構成毎作詞条件テンプレートに基づいて、構成毎作詞条件I3が設定される。
これら設定された条件I1〜I3に基づいて、詞の素片データバンクDB4が検索され、前記実施の形態の図26で説明したように、設定された音節数の種類だけポップアップウィンドウが開き、各ウィンドウには、音節数および各条件I1〜I3に応じて選択された詞の素片候補が表示される。このとき、ユーザが目にするポップアップウィンドウは、前記実施の形態と同様であるが、本改良例では、その各ウィンドウに表示される詞の素片候補を検索する方法が異なっている。すなわち、本改良例では、各条件I1〜I3で設定された大項目コードおよび小項目コードを得て、詞の素片データバンクDB4の条件データベースから、音節数毎に、この大項目コードおよび小項目コードを有するレコードを検索して、該検索したレコードの歌詞コードエレメントが示す詞の素片データのレコードを検出し、詞の素片エレメントのASCIIコードに対応する詞の素片を、当該音節数に対応するウィンドウに表示する。
一方、各条件I1〜I3で設定された条件に基づかない詞の素片を検索したい場合には、前記図32で説明したように、その詞の素片が属する範疇に対応するスイッチ41〜49をクリックする、すなわち、作詞条件非依存型詞の素片データバンクDB5のうち、クリックされたスイッチ41〜49に対応するデータベースを検索すると、その範疇の詞の素片の候補が多数表示されるので、ユーザは、自分の望む詞の素片を即座に選択することができる。
この作詞条件非依存型詞の素片データバンクDB5を検索するときに、クリックされたスイッチが類似語スイッチ46または対比語スイッチ47の場合には、対象となる詞の素片のレコード中、類似語エレメントまたは対比語エレメントの歌詞コードエレメントが示す詞の素片データのレコードを、詞の素片データベースから検索して、当該詞の素片エレメントのASCIIコードに対応する詞の素片をウィンドウに表示する。
このようにして表示された各種ウィンドウから、ユーザは自分の希望の詞の素片を選択し、必要であれば編集をした後に目的とする歌詞を作成する。
このように、本改良例では、作詞条件非依存型詞の素片データバンクDB5を構築したので、検索指示を簡単化することができるとともに、検索時間を短縮化することができる。そして、これに加え、条件検索のための新しいフォーマットを導入したので、すなわち条件検索を「文字」で行わずにコード(歌詞コード、大項目コードおよび小項目コード)で行うとともに、その類似語または対比語に対する検索もコード(歌詞コード)で行うことができるような新しいフォーマットを導入したので、検索動作を高速化することができるとともに、データ量を低減化することができる。さらに、詞の素片データそのものは、詞の素片データベース中の1箇所のみに登録するようにしたので、詞の素片データの管理を簡単化することができる。たとえば、ある詞の素片を変更したり削除したりする場合には、登録した1箇所の語を変更したり削除したりするだけでよい。