JP5413245B2 - 歌詞音節数提示装置及びプログラム - Google Patents
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Description
本発明の歌詞音節数提示装置によれば、歌唱メロディの特徴から算出した音符単位の歌詞の音節数をユーザに提示することで、ユーザの作詞作業を支援することができる。これにより、ユーザは、提示された音節数を参考にして歌唱メロディに合った歌詞を作成することができる。特に、音符単位で歌詞の音節数が提示されるため、作詞に不慣れなユーザにとって有力な支援となる。また、楽譜情報から分析した特徴に基づいて、1音符に対して複数の音節を割当てることも可能になり、従来のように1音符につき1音節を割当てるだけの歌詞の割当て方法に比べて、表現力の高い歌詞の作成が可能となる。
歌唱メロディにおいて、音符の時間長が比較的長い箇所であれば、歌詞の発音に要する時間に余裕があるため、歌詞音節が多めに割当てられていても無理なく歌唱できると考えられる。そこで、音符の時間長に関する特徴に基づいて音節数を決定するように構成することで、歌唱し易い歌詞の音節数を的確に算出できる。具体的には、請求項2に記載のように、それぞれの音符の時間長に基づく特徴量を特定し、その特徴量に応じて、時間長が長いほど音節数が大きくなるように、個々の音符ごとに歌詞の音節数を算出するように構成するとよい。
歌唱メロディにおいて、音符と音符の間にある休符の時間長が長い程、前の音符に対応する歌詞を発音してから次の音符に対応する歌詞を発音するまでに時間的な余裕があるため、後の音符に対応する歌詞の発音が容易になっていると考えられる。つまり、音符の直前にある休符の時間長が比較的長い箇所であれば、その音符に歌詞音節が多めに割当てられていても無理なく歌えると考えられる。
歌唱メロディにおいて、連続する音符の間の音高差が大きい箇所では歌唱時に音程を切り換えるのが難しい。そのため、前の音符との音高差が大きい音符に相当する歌詞は歌い難く、そのような箇所に多くの歌詞音節を割当てると結果的に歌い難い歌詞なってしまう。逆に、前の音符との音高差が小さい箇所であれば、その音符に歌詞音節が多めに割当てられていても無理なく歌えると考えられる。
日本の歌謡曲等では、いわゆるAメロ、Bメロ、サビといった具合に、1つの楽曲が複数の区間のメロディに分けられている構造を持つものが多い。このような区分け構造を持つ楽曲の場合、各区間の間には歌唱の伴わない間奏が挟まれていることが多い。また、1つの区間内にも、演出上歌唱の伴わない間奏時間が挿入されることもある。このように、楽曲において歌唱の伴わない間奏時間がある場合、歌唱パートのメロディにおいてはその間奏時間は長い休符区間となる。
以上までで、音符の長さ、音符の直前の休符の長さ、直前の音符との音高差、及び歌唱メロディの区切りの有無といった、それぞれ異なる特徴量を用いて歌詞の音節数を算出する事例について説明した。これらの各種特徴量は内容こそ違うものの、歌唱メロディの局所的な歌い易さを示す指標であることについては共通しているため、これら複数の特徴量に基づいてそれぞれ算出した音節数指標(この値が大きいほど割当てる音節数が大きくなるという指標)から、最終的にユーザに対して提示する音節数を複合的に決定するように構成してもよい(請求項6)。
[歌詞音節数提示装置の構成の説明]
まず、実施形態の歌詞音節数提示装置1の概略構成について、図1を参照しながら説明する。歌詞音節数提示装置1は、記憶部11と、メロディデータ入力部12と、表示部13と、操作受付部14と、制御部15とを備えている。
つぎに、制御部15が実行する音節数提示処理の手順について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
なお、本実施形態では、処理対象とする楽譜情報としてMIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式のデータを想定している。MIDI形式の楽譜情報では、楽曲のメロディ(ここでは、歌唱パートのメロディ)を形成する各構成音の音符として、それぞれの音高(ノートナンバー)及び時間長が示されている。音符の時間長(以下、音符長とも称する)は、楽音出力開始(Note-on)タイミングと楽音出力終了(Note-off)タイミングとによって表される。なお、Note-onタイミングは、楽曲の演奏開始からその音の出力が開始するまでの時間であり、Note-offタイミングは、楽曲の演奏開始からその音の出力が終了するまでの時間である。
(1−1)大区間推定
S110では、歌唱メロディにおける大区間の区分け構造を特定する。それには、まず、隣接する2つの音符のNote-onタイミング及びNote-offタイミングから、各音符の隣接無音時間長NML(k)を次式により算出する。
NML(k)=ON(k)−OFF(k−1)
隣接無音時間長NML(k)は、直前の音符の出力が終了してから次の音符の出力が開始するまでの無音時間(すなわち、休符期間)を示す値である。このNML(k)のヒストグラムを用いて、隣接無音時間長が所定の下限値より大きい特大領域を特定する。このとき、下限値の特定する方法は、NML(k)の大きい方から極小点を見つける方法でもよいし、ヒストグラムの2次微分を計算し、1次微分の変曲点を見つける方法でもよい。
LPS(k)=1
LPE(k−1)=1
また、極大領域に該当するインデックス番号k以外については、LPS(k)及びLPE(k)を、次式のように設定する。
LPS(k)=0
LPE(k−1)=0
なお、Aメロ、Bメロ、サビ等の大局構造を定義したメタデータが楽譜情報に付属する場合や、楽譜情報自体に大局構造が定義されている場合、そこで定義されている大局構造に従って各音符に対応する大区間開始フラグ及び大区間終了の値をセットすればよい。
つぎに、S120では、歌唱メロディにおける小区間の区分け構造を特定する。まず、S110の大区間推定(1−1)で計算した隣接無音時間長NML(k)のヒストグラムにおいて、隣接無音時間長が中程度の領域(S110で特定した特大領域を除いた領域のうち、所定の下限値より大きい領域)を特定する。このとき、下限値の特定する方法は、NML(k)の大きい方から極小点を見つける方法でもよいし、ヒストグラムの2次微分を計算し、1次微分の変曲点を見つける方法でもよい。
SPS(k)=1
SPE(k−1)=1
なお、LPS(k)=1又はLPE(k)=1となっている音符、すなわち、大区間の最初と最後に該当の音符に対しても、それぞれ、SPS(k)=1及びSPE(k)=1をセットする。
SPS(k)=0
SPE(k−1)=0
なお、Aメロ、Bメロ、サビ等の大局構造内をさらに区分けした音符群(小区間)を定義したメタデータが楽譜情報に付属する場合や、楽譜情報自体に小区間が定義されている場合、そこで定義されている小区間に従って各音符に対応する小区間開始フラグ及び小区間終了フラグの値をセットすればよい。
図2のフローチャートの説明に戻る。S210では、音符のNote-onタイミング、Note-offタイミング及びノートナンバーから、個々の音符について演奏に関する複数種類の特徴量を特定する。演奏に関する特徴量には、音高差NND(k)、音符長NL(k)、音符長比NLR(k)、休符長RL(k)、最大音符長MNL、及び最大音高差MNNDの6種類がある。これらの特徴量を次式のように計算する。
NND(k)は、直前の音符との音高差を示す値である。NL(k)は、個々の音符の音符長を示す値である。NLR(k)は、直前の音符に対する音符長の比を示す値である。RL(k)は、音符の直前にある無音時間(すなわち、休符長)を示す値である。MNLは、全ての音符における音符長の最大値を示す値である。MNNDは、全ての音符における音高差の最大値を示す値である。
(3−1)音節数スコアリング
つぎに、S310では、S110,S120,S210の各ステップで算出したフラグ及び特徴量に基づいて、個々の音符について複数種類の音節数スコア(この値が大きいほど割当てる音節数が大きくなるという指標)を算出する。音節数スコアには、音符長スコアNLSC(k)、休符長スコアRLSC(k)、音高差スコアNDSC(k)、及び構成スコアCSC(k)の4種類がある。これらの音節数スコアを次式のように計算する。
NLSC(k)は、音符長に応じた音節数スコアである。具体的には、最大音符長に対する音符長の比や直前の音符に対する音符長の比に応じて音節数スコアの加算分が計上される。つまり、音符長が長いほど音節数が大きくなるように計算される。
つぎに、S320では、S310で算出した各音節数スコアに基づいて各音符に割当てる歌詞の音節数PN(k)を算出する。なお、音節数の算出に先がけ、操作受付部14を介してユーザから重み付けパラメータUP={α1,α2,α3,α4}の設定するための指示を受け付けておく(S330)。この重み付けパラメータUPは、4種類の音節数スコアに対する重み付け(どの音節数スコアをどの程度重視するか)を定義する値であり、より重視する音節数スコアの重み付けパラメータを大きくすることで、音節数の算出結果におけるその音節数スコアの関与度合いを高めることができる。各音符に対応する音節数PN(k)を次式のように計算する。
(4)表示インタフェースについて
つぎに、S410では、S320で算出された音符単位の歌詞の音節数を表示部13に表示する。具体的には、音節数を文字(テキスト)情報のみで表示してもよいし、楽譜情報(例えばピアノロール譜)と複合させてグラフィカルに表示してもよい。
ここで、実施形態の歌詞音節数提示装置1の各部構成と、特許請求の範囲に記載の構成との対応について説明する。
[効果]
実施形態の歌詞音節数提示装置1によれば、下記の効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
Claims (9)
- 歌唱メロディの楽譜情報を分析し、個々の音符ごとに演奏に関する所定の特徴量を特定する楽譜分析手段と、
前記楽譜分析手段により特定した特徴量に基づき、個々の音符ごとにその特徴量に応じた歌詞の音節数をそれぞれ算出する音節数算出手段と、
前記音節数算出手段により算出した各音符の音節数を、前記楽譜情報の演奏順にユーザに対して提示する提示手段とを備えること
を特徴とする歌詞音節数提示装置。 - 請求項1に記載の歌詞音節数提示装置において、
前記楽譜分析手段は、それぞれの音符の時間長に基づく特徴量を特定し、
前記音節数算出手段は、前記音符の時間長に基づく特徴量に応じて、その時間長が長いほど音節数が大きくなるように、個々の音符ごとに歌詞の音節数を算出すること
を特徴とする歌詞音節数提示装置。 - 請求項1に記載の貸し音節数提示装置において、
前記楽譜分析手段は、それぞれの音符の直前にある休符の時間長に基づく特徴量を特定し、
前記音節数算出手段は、前記休符の時間長に基づく特徴量に応じて、直前の休符の時間長が長いほど音節数が大きくなるように、個々の音符ごとに歌詞の音節数を算出すること
を特徴とする歌詞音節数提示装置。 - 請求項1に記載の歌詞音節数提示装置において、
前記楽譜分析手段は、それぞれの音符の直前にある音符との音高差に基づく特徴量を特定し、
前記音節数算出手段は、前記音高差に基づく特徴量に応じて、直前の音符との音高差が小さいほど音節数が大きくなるように、個々の音符ごとに歌詞の音節数を算出すること
を特徴とする歌詞音節数提示装置。 - 請求項1に記載の歌詞音節数提示装置において、
前記楽譜分析手段は、歌唱メロディを特定の休符区間ごとに区切ったメロディ区間に区分けし、各メロディ区間を特定するための情報を前記特徴量として特定し、
前記音節数算出手段は、前記メロディ区間に基づく特徴量に応じて、各メロディ区間の最初又は最後の少なくとも何れかの音符に所定の音節数加算分を計上して、個々の音符ごとの歌詞の音節数を算出すること
を特徴とする歌詞音節数提示装置。 - さらに下記の特徴を有する請求項1に記載の歌詞音節数提示装置。
前記楽譜分析手段は、個々の音符に対して、下記(a)〜(d)の特徴量のうちの少なくとも2つ以上の特徴量を特定する。
(a)その音符の時間長に基づく特徴量。
(b)その音符の直前にある休符の時間長に基づく特徴量。
(c)その音符の直前にある音符との音高差に基づく特徴量。
(d)歌唱メロディを特定の休符区間ごとに区切ったメロディ区間を特定するための特徴量。
前記音節数算出手段は、上記(a)〜(d)の特徴量にそれぞれ対応する下記(A)〜(D)の音節数算出方法のうち、前記楽譜分析手段で特定された複数の特徴量にそれぞれ対応する音節数算出方法で歌詞の音節数指標を算出し、1つの音符について複数算出された音節数指標に対して所定の重み係数を加味して加重平均化した複合音節数指標を算出し、その算出した複合音節数指標を整数に端数処理した複合的な音節数を算出して、その複合的な音節数を当該音符の歌詞の音節数として出力する。
(A)音符の時間長に基づく特徴量(a)に応じて、その時間長が長いほど音節数が大きくなるように、個々の音符ごとに音節数指標を算出する。
(B)休符の時間長に基づく特徴量(b)に応じて、直前の休符の時間長が長いほど多くの音節を割当てるように、個々の音符ごとに音節数指標を算出する。
(C)音高差に基づく特徴量(c)に応じて、直前の音符との音高差が小さいほど音節数が大きくなるように、個々の音符ごとに音節数指標を算出する。
(D)メロディ区間に基づく特徴量(d)に応じて、各メロディ区間の最初又は最後の少なくとも何れかの音符に所定の音節数を加算して、個々の音符ごとの歌詞の音節数指標を算出する。 - 請求項6に記載の歌詞音節数提示装置において、
前記音節数算出手段が前記加重平均の算出に用いる重み係数をユーザが指定するための指定手段を更に備えること
を特徴とする歌詞音節数提示装置。 - 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の歌詞音節数提示装置において、
前記提示手段は、前記歌唱メロディの楽譜情報に基づいて楽譜を表示すると共に、その表示した楽譜の各音符に対応付けて、それぞれの音符に対して算出された歌詞の音節数を表示すること
を特徴とする歌詞音節数提示装置。 - 歌唱メロディの楽譜情報を分析し、個々の音符ごとに演奏に関する所定の特徴量を特定する楽譜分析手順と、
前記楽譜分析手順で特定した特徴量に基づき、個々の音符ごとにその特徴量に応じた歌詞の音節数をそれぞれ算出する音節数算出手順と、
前記音節数算出手順で算出した各音符の音節数を、前記楽譜情報による演奏順にユーザに対して提示する提示手順とを
コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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