JP3841047B2 - 車間制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車幅方向及び高さ方向それぞれの所定角度範囲内に渡り複数の送信波を照射し、それらの反射波に基づいて自車両前方の先行車両等の反射物体を認識する車両用物体認識装置及び認識した先行車両との車間を制御する車間制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特許文献1に示されるように、光波,ミリ波などの送信波を車両前方に照射し、その反射波を検出することによって、車両前方の物体を認識する物体認識装置が考えられている。この種の装置は、例えば、先行車両等との間隔が短くなったことを検出して警報を発生する装置や、先行車両と所定の車間距離を維持するように車速を制御する装置などに適用され、それらの制御対象としての先行車両の認識に利用されている。
【0003】
上述した物体認識装置では、例えばレーザレーダセンサによって車両の前方に車幅方向及び高さ方向それぞれの所定角度範囲内に渡り複数のレーザ光を照射し、それらの反射光に基づいて前方車両を3次元的に認識する。この際、通常の車両であれば存在し得ないような高さや範囲において反射物体が存在している場合には、それを車両ではないと認識するために、車両と非車両とを判別するための非車両判定マップを用いて、非車両を識別していた。ここで、非車両判定マップとは、図5に示すような、車幅、車高、及び車両前方方向をそれぞれX軸、Y軸、及びZ軸とした場合の反射物体の存在領域に対応して、車両と非車両とを区別するための反射光の受光強度の範囲が設定された3次元マップである。
【0004】
この非車両判定マップを用いた、車両と非車両との識別方法について説明する。まず、レーザレーダセンサの測距データが、非車両判定マップのどの領域に対応するかを判定する。このとき、測距データが非車両の範囲に属するものであれば、その測距データを削除する。一方、測距データが非車両でない範囲に対応する場合には、測距データを保持して、先行車両の判定及び車間制御を実行する車間制御ECUにその測距データを出力する。
【0005】
なお、非車両判定マップは、図5に示すように、XY方向については、中心付近の領域、その周囲の領域、最下端領域の3つにわけられており、それら各領域に対応してZ方向位置と受光強度との対応関係が(a)〜(c)のように設定されている。XY方向についての中心付近の領域は(b)の対応関係が対応し、その周囲の領域は(a)の対応関係が対応し、最下端領域は(c)の対応関係が対応している。
【0006】
ここで、Z方向位置と受光強度との対応関係について説明すると、(a)、(b)、(c)とも、基本的には、Z方向の所定距離までの範囲において、反射光の受光強度が所定範囲内のものが非車両、それ以外が車両と設定されている。これは、車両と非車両とでは反射強度に違いがあり、車両の反射強度が非車両の反射強度よりも高いと考えられるためである。そして、反射物の存在領域ごとに車両と非車両とを識別するための受光強度を設定することにより、より適切な車両と非車両との識別が可能になる。すなわち、車両が存在する可能性が大きい領域では、受光強度が相対的に小さくても測距データは保持され、一方、車両が存在する可能性が小さい領域では、受光強度が相対的に大きくない限り、その測距データは削除される。これにより、車両である可能性が高い反射物からの測距データのみが車間制御ECUに出力できる。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−40139
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の物体認識装置においては、レーザレーダセンサから複数個のレーザ光を順次照射し、それらの反射波が検出された際に、非車両判定マップに基づいて、各反射波の受光強度が車両に対応するか、非車両に対応するかを判定する。
【0009】
しかしながら、従来の物体認識装置における判定方法では、車両・非車両の判定精度が十分に確保できない可能性がある。例えば、車両の一部に泥等が付着して汚れている場合は、その車両によって反射される反射光のすべてが高い受光強度を有しているわけではない。つまり、反射物体が車両であっても、受光強度の低い反射光による測距データも含むことがありえる。この場合、受光強度が低い反射光による測距データが非車両に対応すると判定して測定データを削除してしまうと、反射物体を車両と判断するための測距データが不足し、車両であるとの認識が正確になされない可能性がある。
【0010】
本発明は、反射物体が先行車両である場合に、反射波の強度を利用して、先行車両との車間距離を好適に制御することが可能な車間距離制御装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の車間距離制御装置は、
車両の車幅方向及び高さ方向それぞれにおいて、所定の角度範囲に渡って複数の送信波を照射し、それらの反射波に基づいて反射物までの距離、前記車幅方向及び高さ方向の2方向の角度、及び反射波の強度を検出するレーダ手段と、
複数の反射物が所定の一体化条件を満足する場合に、その複数の反射物を一体の反射物体と判定する判定手段と、
一体化判定された反射物体を構成する各反射物に対応する反射波の強度の中で、最大強度を選択する選択手段と、
少なくとも前記反射物体の形状に基づいて、反射物体が先行車両であると認識する認識手段と、
先行車両までの距離の変化に基づいて、時系列に先行車両との相対速度を算出するとともに、その時系列に算出された複数個の相対速度を平均化処理した平均相対速度を算出する算出手段と、
先行車両との距離及び平均相対速度に基づいて、車間制御を行なう車間制御手段と、
先行車両に関して選択手段によって選択された反射波の最大強度が、所定の基準強度よりも大きいか否か、先行車両に対応する反射物体の形状の時間的変化が所定の基準値よりも小さいか否か、先行車両の位置が自車両の進行方向延長線上から横方向に所定距離の範囲に存在するか否か、さらに先行車両を認識している継続時間に基づいて、先行車両の認識安定度を判定する安定度判定手段とを備え、
安定度判定手段によって先行車両の認識安定度が高いと判定された場合、算出手段は平均相対速度を算出する際に、最新の相対速度の影響を高めることを特徴とする。
【0018】
このように、請求項1に記載の車間制御装置では、先行車両と認識された反射物体による反射波の最大強度が所定の基準強度よりも大きいか否か、先行車両に対応する反射物体の形状の時間的変化が所定の基準値よりも小さいか否か、先行車両の位置が自車両の進行方向延長線上から横方向に所定距離の範囲に存在するか否か、さらに先行車両を認識している継続時間に基づいて、先行車両の認識安定度を判定する。
【0019】
そして、先行車両の認識安定度が高いと判断される場合、反射波の最大強度も所定の基準強度よりも大きくなっている。このように反射強度が高い場合には、反射波強度に関するS/N比が高くなるため、その先行車両との距離等の測距データの精度も向上する。
【0020】
ここで、先行車両との車間距離を目標とする距離に制御するためには、自車両と先行車両との速度差(自車両速度−先行車両)である相対速度を算出する必要がある。すなわち、先行車両に接近するためには、相対速度がプラスとなるように自車両の走行速度を制御し、先行車両との距離を長くするには、相対速度がマイナスとなるように制御するのである。この相対速度の算出に関して、通常は、ノイズや測距誤差等の影響を排除するため、時系列に演算された複数個の相対速度に基づいて平均相対速度を算出する。そして、この平均相対速度に基づいて車間制御を行なう。しかし、平均相対速度を用いて車間制御を行なうと、実際の相対速度とのずれが生じて、車間制御の応答性が低下することになる。
【0021】
そこで、請求項1に記載の車間制御装置では、先行車両の認識安定度が高くなり、測距データの精度が向上している場合には、最新の相対速度の影響度合いを高めて平均相対速度を算出する。これにより、平均相対速度を最新の相対速度に近づけることができるので、車間制御の応答性を向上することができる。
【0022】
請求項2に記載したように、算出手段が、平均相対速度を算出する際に使用する相対速度の個数を少なくすることによって、平均相対速度に対する最新の相対速度の影響を高めることができる。また、請求項3に記載したように、平均相対速度を算出する際に、最新の相対速度の重み付け係数を大きくして、重み付け平均した相対速度を算出するようにしても、相対速度に対する最新の相対速度の影響を高めることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態による車間制御装置について説明する。
【0027】
なお、本実施形態においては、車間制御装置1に車両用物体認識装置が適用されており、かつ車間制御装置1は、警報すべき領域に障害物が存在する場合に警報を出力する機能も備えるものである。
【0028】
図1は、車間制御装置1のシステムブロック図である。車間制御装置1は認識・車間制御ECU3を中心に構成されている。認識・車間制御ECU3はマイクロコンピュータを主な構成として、入出力インターフェース(I/O)および各種の駆動回路や検出回路を備えている。これらのハード構成は一般的なものであるので詳細な説明は省略する。
【0029】
認識・車間制御ECU3は、レーザレーダセンサ5、車速センサ7、ブレーキスイッチ9、スロットル開度センサ11から各々検出信号を入力しており、警報音発生器13、距離表示器15、センサ異常表示器17、ブレーキ駆動器19、スロットル駆動器21および自動変速機制御器23に駆動信号を出力する。また認識・車間制御ECU3には、警報音量を設定する警報音量設定器24、警報判定処理における感度を設定する警報感度設定器25、クルーズコントロールスイッチ26、図示しないステアリングホイールの操作量を検出するステアリングセンサ27、及び自動車に発生したヨーレートを検出するヨーレートセンサ28が接続されている。また認識・車間制御ECU3は、電源スイッチ29を備え、電源スイッチ29がオンされることにより、所定の処理を開始する。
【0030】
レーザレーダセンサ5は、図2に示すように、発光部、受光部及びレーザレーダCPU70などを主要部として構成されている。発光部は、パルス状のレーザ光を、発光レンズ71、スキャナ72及びガラス板77を介して放射する半導体レーザダイオード(以下、単にレーザダイオードと記載)75を備えている。そして、レーザダイオード75は、レーザダイオード駆動回路76を介してレーザレーダCPU70に接続され、レーザレーダCPU70からの駆動信号によりレーザ光を放射(発光)する。また、スキャナ72にはポリゴンミラー73が鉛直軸を中心に回転可能に設けられ、レーザレーダCPU70からの駆動信号がモータ駆動部74を介して入力されると、このポリゴンミラー73は図示しないモータの駆動力により回転する。なお、このモータの回転位置は、モータ回転位置センサ78によって検出され、レーザレーダCPU70に出力される。
【0031】
本実施形態のポリゴンミラー73は、面倒れ角が異なる6つのミラーを備えているため、車幅方向及び車高方向それぞれの所定角度の範囲で不連続にレーザ光を掃引照射(スキャン)して出力する。このようにレーザ光を2次元的に走査するのであるが、その走査パターンを図3を参照して説明する。なお、図3において、出射されたレーザビームのパターン92は測定エリア91内の右端と左端に出射された場合のみを示しており、途中は省略している。また、出射レーザビームパターン92は、図3では一例として略円形のものを示しているが、この形に限られるものではなく楕円形、長方形等でもよい。さらに、レーザ光を用いるものの他に、ミリ波等の電波や超音波等を用いるものであってもよい。また、スキャン方式にこだわる必要はなく、距離以外に2方位を測定できる方式であればよい。
【0032】
図3に示すように、測定エリアの中心方向をZ軸としたとき、これに垂直なXY平面内の所定エリアを順次走査する。本実施形態では、高さ方向であるY軸を基準方向、車幅方向であるX軸を走査方向とし、スキャンエリアは、X軸方向には0.15deg×105点=16degであり、Y軸方向には0.7deg×6ライン=4degである。また、スキャン方向はX軸方向については図3において左から右へ、Y軸方向については図3において上から下へである。具体的には、まずY軸方向に見た最上部に位置する第1走査ラインについてX軸方向に0.15°おきにスキャンする。これで1走査ライン分の検出がなされるので、次に、Y軸方向に見た次の位置にある第2走査ラインにおいても同様にX軸方向に0.15°おきにスキャンする。このようにして第6走査ラインまで同様のスキャンを繰り返す。したがって、左上から右下に向かって順に走査がされ、105点×6ライン=630点分のデータが得られることとなる。
【0033】
このような2次元的なスキャンにより、走査方向を示すスキャン角度θx,θyと測距された距離rとが得られる。なお、2つのスキャン角度θx,θyは、それぞれ出射されたレーザビームとYZ平面に投影した線とZ軸との角度を縦スキャン角θy、出射されたレーザビームをXZ平面に投影した線とZ軸との角度を横スキャン角θxと定義する。
【0034】
レーザレーダセンサ5の受光部は、図示しない物体に反射されたレーザ光を受光レンズ81を介して受光し、その強度に対応する電圧を出力する受光素子83を備えている。そして、この受光素子83の出力電圧は、増幅器85にて増幅された後に、コンパレータ87に出力される。コンパレータ87は増幅器85の出力電圧を基準電圧と比較し、出力電圧>基準電圧となったとき所定の受光信号を時間計測回路89へ出力する。
【0035】
時間計測回路89には、レーザレーダCPU70からレーザダイオード駆動回路76へ出力される駆動信号も入力される。そして図2(b)に示すように、上記駆動信号をスタートパルスPA、上記受光信号をストップパルスPBとし、2つのパルスPA,PB間の位相差(すなわち、レーザ光を出射した時刻T0と反射光を受光した時刻T1との時間差ΔT)を2進デジタル信号に符号化する。また、ストップパルスPBが、基準電圧以上となっている時間を、ストップパルスPBのパルス幅として計測する。そして、それらの値を2進デジタル信号に符号化してレーザレーダCPU70へ出力する。レーザレーダCPU70は、時間計測回路89から入力された2つのパルスPA,PB間の入力時間差ΔTから物体までの距離rを算出し、その距離r及び対応するスキャン角度θx,θyを基にして位置データを作成する。つまり、レーザレーダ中心を原点(0,0,0)とし、車幅方向をX軸、車高方向をY軸、車両前方方向をZ軸とするXYZ直交座標に変換する。そして、このXYZ直交座標に変換された(X,Y,Z)データ及び受光強度データ(ストップパルスPBのパルス幅が相当する)を測距データとして認識・車間制御ECU3へ出力する。
【0036】
ここで、受光強度データについて説明する。図2(c)は受光強度が異なる2つの反射光のストップパルスPBを表している。図2(c)において、曲線L1は、受光強度が比較的強い反射光のストップパルスPBに対応し、曲線L2は、受光強度が比較的弱い反射光のストップパルスPBに対応する。
【0037】
同図の曲線L1の立ち上がり過程における、コンパレータ87に入力される基準電圧V0と交差する時刻をt11、曲線L1の立ち下がり過程に基準電圧V0と交差する時刻をt12、時刻t11と時刻t12との時間差をΔt1とする。また、曲線L2の立ち上がり過程に基準電圧V0と交差する時刻をt21、曲線L2の立ち下がり過程に基準電圧V0と交差する時刻をt22、時刻t21と時刻t22との時間差をΔt2とする。なお、基準電圧V0は、ノイズ成分による影響を避けることができる大きさに設定されている。
【0038】
図2(c)から明らかなように、強い受光強度を持った反射光のストップパルスPBのパルス幅である時間差Δt1と、弱い受光強度を持った反射光のストップパルスPBのパルス幅である時間差Δt2とを対比すると、Δt1>Δt2の関係が成立する。すなわち、反射光のストップパルスPBのパルス幅は、受光強度と対応し、受光強度が小さい時にはパルス幅が短くなり、受光強度が大きい時にはパルス幅が長くなる。従って、このパルス幅である時間差(Δt1、Δt2)は、受光した反射光の強度を特徴付ける指標となる。
【0039】
なお、受光強度は、反射物体の反射強度とその反射物体までの距離によって変化する。すなわち、反射物体の反射強度が高い場合、もしくは反射物体までの距離が短い場合には、反射光の受光強度は大きくなり、反射強度が低い、もしくは反射物体までの距離が長い場合には、反射光の受光強度は小さくなる。
【0040】
認識・車間制御ECU3は、レーザレーダセンサ5からの測距データを基にして物体を認識し、その認識物体から得た先行車の状況に合わせて、ブレーキ駆動器19、スロットル駆動器21および自動変速機制御器23に駆動信号を出力することにより車速を制御する、いわゆる車間制御を実施する。また、認識物体が所定の警報領域に所定時間存在した場合等に警報する警報判定処理も同時に実施する。この場合の物体としては、自車の前方を走行する前車やまたは停止している前車等が該当する。
【0041】
続いて認識・車間制御ECU3の内部構成について、制御ブロックとして説明する。レーザレーダセンサ5から出力された測距データは物体認識ブロック43に送られる。物体認識ブロック43では、測距データとして得た3次元位置データに基づいて、物体の中心位置(X,Y,Z)、及び横幅W、奥行きD、高さHの物体の大きさ(W,D,H)を求める。さらに、物体の中心位置(X,Y,Z)の時間的変化に基づいて、自車位置を基準とするその物体の相対速度(Vx,Vy,Vz)を求める。さらに物体認識ブロック43では、車速センサ7の検出値に基づいて車速演算ブロック47から出力される車速(自車速)と上記求められた相対速度(Vx,Vy,Vz)とから物体が停止物体であるか移動物体であるかの識別が行なわれる。この識別結果と物体の中心位置とに基づいて自車両の走行に影響する物体が選択され、その距離が距離表示器15により表示される。
【0042】
また、ステアリングセンサ27からの信号に基づいて操舵角演算ブロック49にて操舵角が求められ、ヨーレートセンサ28からの信号に基づいてヨーレート演算ブロック51にてヨーレートが演算される。そしてカーブ半径(曲率半径)算出ブロック57では、車速演算ブロック47からの車速と操舵角演算ブロック49からの操舵角とヨーレート演算ブロック51からのヨーレートとに基づいて、カーブ半径(曲率半径)Rを算出する。そして物体認識ブロック43では、このカーブ半径Rおよび中心位置座標(X,Z)などに基づいて車両形状確率や自車線確率を算出する。この車両形状確率や自車線確率については後述する。
【0043】
このようなデータを持つ物体のモデルを「物標モデル」と呼ぶこととする。この物体認識ブロック43にて求めたデータが異常な範囲の値かどうかがセンサ異常検出ブロック44にて検出され、異常な範囲の値である場合には、センサ異常表示器17にその旨の表示がなされる。
【0044】
一方、先行車判定ブロック53では、物体認識ブロック43から得た各種データに基づいて先行車を選択し、その先行車に対するZ軸方向の距離Zおよび相対速度Vzを求める。そして、車間制御部及び警報判定部ブロック55が、この先行車との距離Z、相対速度Vz、クルーズコントロールスイッチ26の設定状態およびブレーキスイッチ9の踏み込み状態、スロットル開度センサ11からの開度および警報感度設定器25による感度設定値に基づいて、警報判定ならば警報するか否かを判定し、クルーズ判定ならば車速制御の内容を決定する。その結果を、警報が必要ならば、警報発生信号を警報音発生器13に出力する。また、クルーズ判定ならば、自動変速機制御器23、ブレーキ駆動器19およびスロットル駆動器21に制御信号を出力して、必要な制御を実施する。そして、これらの制御実行時には、距離表示器15に対して必要な表示信号を出力して、状況をドライバーに告知する。
【0045】
このような車間制御や警報判定に際しては、その前提となる物体認識、さらに詳しく言えば、ここでの認識対象物体である車両の認識が適切に行われていることが重要である。そこで、その車両認識を適切に行なうため、認識・車間制御ECU3の物体認識ブロック43において実行される物体認識に関する処理について説明する。
【0046】
図4(a)のフローチャートに物体認識に係るメイン処理を示す。図4(a)のステップS110では、レーザレーダセンサ5から1スキャン分の測距データの読み込みを行なう。レーザレーダセンサ5でのスキャン周期は100msecとし、100msec毎にデータを取り込む。
【0047】
ステップS120では、データのセグメント化を行なう。上述したように、測距データとして得た3次元位置データをグルーピングしてセグメントを形成する。このセグメント化においては、所定の接続条件(一体化条件)に合致するデータ同士を集めて1つのプリセグメントデータを生成し、さらにそのプリセグメントデータ同士の内で所定の接続条件(一体化条件)に合致するものを集めて1つの本セグメントデータとするというものである。プリセグメントデータは、例えば点認識されたデータ同士のX軸方向の距離△Xが0.2m以下、Z軸方向の距離△Zが2m以下という2条件を共に満たす場合に、その点集合を一体化して求める。本実施形態では。Y軸方向に6つの走査ラインがあるため、プリセグメント化によって、ライン毎にプリセグメントデータが生成される。次に、本セグメント化では、3次元(X,Y,Z)空間で近接するプリセグメントデータ同士を一体化(本セグメント化)する。本セグメントデータは、X軸,Y軸及びZ軸にそれぞれ平行な3辺を持つ直方体の領域であり、その中心座標(X,Y,Z)と大きさを示すための3辺の長さ(W,H,D)をデータ内容とする。なお、特に断らない限り、本セグメント(データ)のことを単にセグメント(データ)と称することとする。
【0048】
ステップS130では、認識対象の個々の車両などを物標化する物標化処理を行なう。物標とは、一まとまりのセグメントに対して作成される物体のモデルである。この物標化処理を図6(b)のフローチャートを参照して説明する。
【0049】
物標化処理においては、まず、物標モデルの対応セグメントを検索する(S131)。これは、前回までに得た物標モデルが、今回検出したセグメントの内のいずれと一致するかを検索する処理であり、物標モデルに対応するセグメントとは次のように定義する。まず、物標モデルが前回処理時の位置から前回処理時における相対速度で移動したと仮定した場合、現在物標モデルが存在するであろう推定位置を算出する。続いて、その推定位置の周囲に、X軸,Y軸,Z軸方向それぞれに所定量の幅を有する推定移動範囲を設定する。そして、その推定移動範囲に少なくとも一部が含まれるセグメントを対応するセグメントとする。
【0050】
ステップS132では、物標モデルのデータ更新処理を実行する。この処理は、対応するセグメントがあれば物標モデルの過去データを現在のデータに基づいて更新するものである。更新されるデータは、中心座標(X,Y,Z)、幅W、高さH、奥行きD、X軸方向,Y軸方向、Z軸方向の相対速度(Vx,Vy,Vz)、中心座標(X,Y,Z)の過去4回分のデータ、自車線確率などである。なお、対応するセグメントがない場合は、物標モデルのデータ更新は行なわず、新規物標モデルとして登録する。
【0051】
その後、ステップS133にて車両形状確率の算出を行なう。車両形状確率とは、物標モデルが車両である確率を示す指標であり、相対加速度、形状、位置、受光強度及び検出時間に基づいて算出される。この車両形状確率について、以下、詳しく説明する。
【0052】
路側にデリニエータが狭い間隔で多数設置されているような場合やガードレールを検出しているような場合には、これらの停止物を移動物であると誤認識してしまう可能性がある。これは、同一位置に常に何かを検出することにより、その位置に自車と同速度で走行している車両が存在すると判断してしまうからである。そこで、このように移動物であると誤認識した物標モデルが先行車判定ブロック53において誤って先行車と判断されてしまわないように、車両形状確率を算出する。そして、先行車判定ブロック53においてこの車両形状確率が例えば50%未満の場合に路側物であると判定するようにすれば、繰り返し現れる停止物を誤って先行車両と判断することを防止できる。
【0053】
車両形状確率の取り得る範囲は0〜100%であり、各物標モデルごとに車両形状確率瞬時値を算出したら、瞬間的なノイズやバラツキによる影響を低減するために、数式1のように加重平均して求める。
【0054】
【数1】
今回の車両形状確率=前回値×α+今回の瞬時値×(1−α)
なお、例えば初期値は50%、αは0.8に設定される。
【0055】
車両形状確率の瞬時値は、相対加速度、形状、位置、受光強度及び検出時間それぞれに関して、車両である確からしさを加減量として求め、それらの総和として算出される。
【0056】
相対加速度については、例えば|αj|>α0+αn/j2が成立した回数に応じて、例えば2個以上の相対加速度αjについて上式が成立すれば加減量は−50%とし、1個の相対加速度αjについて成立すれば−10%とする。なお、不成立の場合はそのまま(プラスもマイナスもしない)とする。なお、αj は算出した相対加速度であり、α0 は許容相対加速度、αnは測距誤差によるノイズサンプリング周期のときの値である。この式に関しては、特開平9−178848号の図7のステップ307にて示した式と同じであるため、詳しい説明は省略する。
【0057】
また、車両の形状に関しては、横幅Wが所定の範囲(例えば1.2m≦W≦2.8m)に属し、かつ奥行きDが第1の所定長さ(例えば3m)以内であれば、車両らしい物体であるため、加減量は+30%とする。また、横幅Wが上記の範囲から外れる場合であっても(1.2m>W、もしくはW>2.8m)、その奥行きDが第1の所定長さよりも長い第2の所定長さ(例えば5m)以内であれば、バイクや大型トラックのような物体であるため、加減量は+10%とする。さらに、横幅Wが所定の範囲(例えば1.2m≦W≦2.8m)に属し、かつ奥行きDが第1及び第2の所定長さの間に属する場合(例えば3m≦D<5m)も、トラックのような物体であるため、加減量は+10%とする。
【0058】
一方、奥行きDが長く(例えばD>5m)、縦横比D/Wが大きい(例えば8以上)場合、ガードレールのような縦長物体であるため、加減量は−50%とする。
【0059】
次に、物標モデルの位置及び反射波の受光強度による、車両である確からしさの設定について説明する。
【0060】
車両の後部面は金属面によって構成され、かつリフレクタを備えているので、基本的に、車両以外の物体(草や樹木、スプラッシュや砂塵等)よりも高い反射強度を有している。このため、物体により反射されたレーザ光の受光強度に基づいて、車両と非車両との識別を行なうことができる。
【0061】
但し、車両の後部面に泥等が付着している場合、その車両によって反射される反射波の受光強度が全て大きくなるわけではない。そのため、各物体の反射強度を正確に判断するため、本実施形態では、各物体の物標モデルに対応する測距データの受光強度の中から、最大の受光強度を抽出し、この最大受光強度に基づいて車両と非車両との識別を行なうこととした。
【0062】
具体的には、第1の距離(例えば15m)以内に存在する物体からの反射光の最大受光強度と、第1の所定強度とを比較する。反射光の最大受光強度が第1の所定強度以下であった場合には、近距離にも係わらず最大受光強度が低いため、道路脇(路側)に存在する草や樹木等の反射強度の低い物体(非車両)であると推測できる。従って、この場合の加減量は−30%とする。このとき、その物体の存在する位置が道路脇であることが確認できれば、一層、その物体が道路脇の草や樹木等であることを正確に識別できるので、その物体の位置が、自車両の進行方向から横方向に所定距離(例えば1m)以上離れているとの条件を追加しても良い。また、その物体の横幅Wが車両の横幅よりも小さい所定幅(例えば0.1m)よりも狭いとの条件を追加しても良い。反射物体の横幅Wが、車両の横幅よりも短い場合には、その反射物体は、例えば、道路脇の植え込みにおける樹木や草、あるいは道路上に舞い上がったスプラッシュや砂塵等の非車両である場合が多いためである。
【0063】
この横幅Wに関しては、例えば複数の幅を設定して(例えば0.1mと0.5m)、その幅が大きくなるほど、加減量によるマイナス値を小さくするようにしても良い。すなわち、横幅Wが0.1mよりも狭い場合には、車両以外の物体である可能性が非常に高いため、上述のように加減量を−30%とし、0.1≦W<0.5の場合には、加減量を例えば−10%とする。
【0064】
また、上述した第1の距離(15m)よりもさらに近い第2の距離(例えば3m)以内に存在する物体からの反射光の最大受光強度と、上記第1の所定強度よりも小さい第2の所定強度とを比較する。反射光の最大受光強度が第2の所定強度よりも小さい場合、その反射物は、スプラッシュや砂塵等の非常に反射強度の低い物体であると推測することができる。従って、この場合も、加減量を例えば−10%にする。このときも、その反射物の大きさを確認することにより、スプラッシュや砂塵であるとの推測精度を向上できるので、例えば横幅Wが所定の幅(例えば0.5m)よりも小さいとの条件を追加しても良い。
【0065】
なお、本実施形態においては、反射光の受光強度は、ストップパルスPBのパルス幅によって示されるので、反射光の最大受光強度及びその最大受光強度と比較される第1及び第2の所定強度とも、パルス幅時間によって表される。
【0066】
また、上述した、第1及び第2の所定強度は、反射物体までの距離に応じて変化させても良い。すなわち、第1及び第2の所定強度は、それぞれ、実際に検出した反射物体までの距離が長くなるにつれて、小さくなるように設定しても良い。反射物体の反射強度が同じであっても、その反射物体との距離が離れるに従って、反射光強度は低下するためである。
【0067】
次に、検出時間については、例えば検出時間が2秒以上のものは加減量を+20%とし、検出時間が5秒以上のものは+50%とする。先行車両に追従走行している場合は、先行車両を長時間安定して検出することができるのに対し、路側のデリニエータ群やガードレールを検出している場合には、同じ検出状態が長時間は続かないので、多数の物標モデルが消えて無くなったり、新たに現れたりする。したがって、長時間検出している物標モデルは走行車両である可能性が高いと言えるため、検出時間に応じて、加減量を増加することが好ましいのである。
【0068】
次に、ステップS134において、自車線確率の算出を行なう。自車線確率とは、物標モデルが自車と同一レーンを走行している車両である確からしさを表すパラメータである。本実施形態では、自車線確率瞬時値(その瞬間の検出データに基づいて算出された値)を算出した後、所定のフィルタ処理を施して自車線確率を求める。
【0069】
まず、物標モデルの位置を、カーブ半径算出ブロック57にて算出したカーブ半径に基づいて直線路走行時の位置に換算する。このように直進路に変換して得られた位置を、自車線確率マップに重ねて、物標モデルの自車線確率瞬時値を求める。なお、自車線確率マップとは、自車の前方の所定の範囲(例えば左右それぞれ5m、前方100m)を複数の領域に分け、その前方距離が近いほど、また自車の進路上に近いほど、確率が高くなるように各領域確率が付与されたマップである。
【0070】
自車線確率瞬時値を求めた後は、数式2に示すように、加重平均によりフィルタ処理を施して自車線確率を求める。
【0071】
【数2】
自車線確率=自車線確率前回値×α+自車線確率瞬時値×(1−α)
ここで、αは一定値でも良いし、物標モデルとの距離や物標モデルが存在する領域に応じて変化するものであっても良い。なお、自車線確率の算出方法は、特開2002−40139の段落番号0050から0056に詳しく記載されているため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0072】
次に、ステップS135において、認識安定度の判定を行なう。この認識安定度判定処理は、各物標モデルが、どの程度安定して認識できているかを示す認識安定度を判定するものである。そして、認識安定度は、反射光の受光強度、物標モデルの形状の時間的変化、物標モデルの存在位置、検出時間、及び物標モデルの形状の範囲に基づいて複数段階(例えば4段階)に判定される。なお、最も認識安定度の低い状態(安定度0)については、前述した相対加速度の異常や検出時間が所定時間(例えば4秒)未満等の条件のうち、1つでも成立した場合に、安定度0と判定される。
【0073】
反射光の受光強度に関しては、少なくとも2段階の基準強度(第1の基準強度及び第2の基準強度)を設定し、物標モデルによる複数反射光の受光強度の内、最大の受光強度と比較する。そして、反射光の最大受光強度が、第1の基準強度よりも大きい場合、最も安定度の高い安定度3の判定成立条件の1つが満足されたと判定する。以下、順次、最大受光強度が、第1の基準強度よりも小さい第2の基準強度よりも大きい場合、安定度2の判定成立条件の1つが満足されたと判定し、第2の基準強度よりも小さい場合、安定度1と判定する。
【0074】
最大受光強度の大きさを認識安定度の判定に用いる理由は以下のとおりである。まず、車両は非車両に比較して、高い反射強度を有しているのであるが、実際に検出した反射光の最大強度が明らかに非車両とは識別できる程度の大きさを持っていると、その先行車両による物標モデルを他の反射物体による物標モデルとは区別して安定的に認識しつづけることができる。さらに、受光強度が高い場合には、反射波の受光強度に関するS/N比が高くなるため、その先行車両による物標モデルとの距離等の測距データの検出精度も向上する。
【0075】
次に、物標モデルの形状の時間的変化に関しては、所定の間隔(100msec)で検出される測距データに基づいて演算される物標モデルの前回の形状演算値と今回の形状演算値との差が所定の長さ未満である場合、安定度3の判定成立条件の1つが満足されたと判定し、所定の長さ以上である場合、安定度2以下と判定する。具体的には、物標モデルの形状として、横幅W及び奥行きDを採用し、前回演算された横幅Wと今回演算された横幅Wとの差が所定の長さ(例えば0.5m)未満であり、かつ前回演算された奥行きDと今回演算された奥行きDとの差が所定の長さ(例えば0.5m)未満であるとき、安定度3の判定成立条件の1つが満足されたと判定する。
【0076】
時間的に異なるタイミングで測定された測距データに基づいて形成された物標モデルの形状がほぼ同じである場合、その物標モデルに対応する複数の反射光が、安定的に検出できていることを意味する。そのため、そのような場合には、認識安定度が高いと判定できるのである。
【0077】
物標モデルの存在位置に関しては、その物標モデルが、自車両の進行方向延長線上から横方向に所定距離の範囲に存在するか否かを各認識安定度の判定成立条件とする。具体的には、自車両の進行方向延長線上からの横方向へのずれを判別するための距離として2種類の距離(第1距離:例えば左右それぞれ1m、第2距離:例えば左右それぞれ1.5m)を設定する。そして、物標モデルが第1距離の範囲内に存在する場合には、安定度3の判定成立条件の1つが満足され、第2の距離の範囲内に存在する場合には、安定度2の判定成立条件の1つが満足され、第2の距離範囲から外れている場合には、安定度1と判定する。
【0078】
このように、物標モデルの存在位置を認識安定度判定のために利用する理由は、先行車両が自車両の進行方向延長線上に近いほど、自車と同一車線を走行している先行車両である可能性が高く、この場合レーザレーダセンサ5の照射範囲を外れる可能性が低く、また測距データに基づいて相対速度Vzを最も高精度に算出することができるためである。
【0079】
検出時間に関しても、複数の基準時間(第1基準時間:例えば20秒、第2基準時間:例えば10秒)を設定する。そして、物標モデルの継続した検出時間が第1基準時間以上である場合、安定度3の判定成立条件の1つが満足され、第2基準時間以上の場合、安定度2の判定成立条件の1つが満足され、第2基準時間以下の場合には、安定度1と判定する。すなわち、実際に物標モデルを検出している継続時間が長い場合には、その物標モデルが先行車両であり、安定して認識できている可能性が高いと考えられるためである。
【0080】
最後に、物標モデルの形状について、より車両らしい形状の範囲に収まる場合ほど、より高い認識安定度の判定成立条件の1つが満足されたと判定する。例えば、物標モデルの横幅Wが1.3mより大きくかつ2.6mよりも小さく、さらに物標モデルの奥行きDが0.5m以下である場合、その物標モデルは車両の後面を示している可能性が高いため、安定度3の判定成立条件の1つが満足されたと判定する。また、例えば物標モデルの横幅Wが0.5mより大きく2.8mよりも小さく、さらに奥行きDが1.0m以下の場合、安定度2の判定成立条件の1つが満足されたと判定し、横幅Wもしくは奥行きDがその範囲から外れている場合には、安定度1と判定する。
【0081】
認識安定度3もしくは認識安定度2と判定されるのは、それぞれ上述した条件がすべて満足された場合であり、1つでも満足されない場合は、より下位の安定度と判定されることになる。
【0082】
ただし、認識安定度の判定については、上述した条件の全てに関して判断する必要はなく、少なくとも物標モデルからの複数の反射光の最大受光強度を利用しつつ、必要に応じて、他の条件を追加的に用いれば良い。また、上述した判定条件以外に、例えば物標モデルの車両形状確率や物標モデルまでの距離を用いても良い。すなわち、車両形状確率が高いほど、また距離が近いほど高い安定度の成立条件が満足されたと判定しても良い。
【0083】
このようにして判定された認識安定度は、先行車判定ブロック53において物標モデルの相対速度Vzを算出する際に利用される。以下、先行車判定ブロック53における、認識安定度を考慮した相対速度Vzの算出方法について説明する。
【0084】
先行車両との車間距離を目標とする距離に制御するためには、自車両と先行車両との速度差(自車両速度−先行車両)である相対速度Vzを算出する必要がある。すなわち、先行車両に接近するためには、相対速度Vzがプラスとなるように自車両の走行速度を制御し、先行車両との距離を長くするには、相対速度Vzがマイナスとなるように制御する。従って、このような制御を行なう基礎となる相対速度Vzは、正確に算出されることが必要であるので、通常は、ノイズや測距誤差等の影響を排除するため、数式3に示すように時系列に演算されたN個の相対速度Vzに基づいて平均相対速度Vzaveを算出している。
【0085】
【数3】
Vzave=(Vz1+Vz2+…+VzN)/N
そして、この平均相対速度Vzaveを相対速度Vzとして、車間制御に用いる。しかし、平均相対速度Vzaveを用いて車間制御を行なうと、実際の相対速度とのずれが生じて、車間制御の応答性が低下することになる。
【0086】
そのため、本実施形態では、上述したように、反射光の最大受光強度を用いて先行車両である物標モデルの認識安定度を判定する。そして、その認識安定度が高く測距データの精度が向上していると考えられる場合には、最新の相対速度Vz1の影響度合いを高めて平均相対速度Vzaveを算出する。これにより、平均相対速度Vzaveを最新の相対速度Vz1に近づけることができるので、車間制御の応答性を向上することができる。
【0087】
具体的には、上述した認識安定度の判定結果に基づいて、平均相対速度Vzaveを算出する際に使用する相対速度Vzの個数Nを4段階に設定する。すなわち、安定度0の場合が最も多くの相対速度Vzに基づいて平均相対速度Vzaveが演算され、認識安定度が上昇するにつれて、その相対速度Vzの個数Nが少なくなるようにする。
【0088】
なお、数式4に示すように、平均相対速度Vzaveを重み付け平均演算によって求めるようにし、かつ、その重み付けαを認識安定度が上昇するにつれて大きくするようにしても良い。この場合も、認識安定度が高くなるほど、平均相対速度Vzaveに対する最新の相対速度Vz1の影響を高めることができる。
【0089】
【数4】
Vzave(N)=Vzave(N−1)×(1−α)+Vz1×α
先行車判定ブロック53には、認識安定度以外に、上述した車両形状確率及び自車線確率を含む物標モデルのデータが、図1に示す物体認識ブロック43から出力される。そして、先行車判定ブロック53では、例えば車両形状確率が所定のしきい値(例えば50%)以上、且つ自車線確率が所定のしきい値(例えば50%)以上の物標モデルの中で、距離Zが最小のものを先行車と判断する。そして、この先行車の物標モデルの認識安定度に応じて、平均相対速度Vzaveの算出方法を変更しつつ、先行車両との平均相対速度Vzaveを演算する。この演算された平均相対速度Vzaveを相対速度Vzとして、先行車との距離Zとともに、車間制御部及び警報判定部ブロック55に出力する。これにより、車間制御部及び警報判定部ブロック55では、先行車との距離Z及び相対速度Vzに基づいて、車間制御処理及び警報判定処理が実行できる。
【0090】
なお、本発明はこのような実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得る。
【0091】
上記実施形態では、ストップパルスPBのパルス幅を受光強度を示す指標として採用したが、他の指標を用いても良い。例えば、ストップパルスPBのピーク値を検出するピーク値検出回路を設け、このピーク値を受光強度を示す指標とすることができる。また、ストップパルスPBの立ち上がり角度、すなわち、ストップパルスPBの立ち上がり開始から所定の基準電圧まで達する時間を受光強度を示す指標として採用しても良い。
【0092】
上記実施形態では、レーザ光の2次元スキャンを行うために面倒れ角が異なるポリゴンミラー73を用いたが、例えば車幅方向にスキャン可能なガルバノミラーを用い、そのミラー面の倒れ角を変更可能な機構を用いても同様に実現できる。但し、ポリゴンミラー73の場合には、回転駆動だけで2次元スキャンが実現できるという利点がある。
【0093】
上記実施形態では、レーザレーダセンサ5内部において、距離及び対応するスキャン角度θx,θyを極座標系からXYZ直交座標系に変換していたが、その処理を物体認識ブロック43において行っても良い。
【0094】
上記実施形態では、レーザ光を用いたレーザレーダセンサ5を採用したが、ミリ波等の電波や超音波等を用いるものであってもよい。また、スキャン方式にこだわる必要はなく、距離以外に方位を測定できる方式であればよい。そして、例えばミリ波でFMCWレーダ又はドップラーレーダなどを用いた場合には、反射波(受信波)から先行車までの距離情報と先行車の相対速度情報が一度に得られるため、レーザ光を用いた場合のように、距離情報に基づいて相対速度を算出するという過程は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車間制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)はレーザレーダセンサの構成を示す構成図であり、(b)はレーザレーダセンサにおける距離検出方法を説明するための説明図であり、(c)は受光強度を示す指標としてのストップパルスのパルス幅について説明する説明図である。
【図3】レーザレーダセンサの照射可能領域を示す斜視図である。
【図4】(a)物体認識に係わる処理を示すフローチャートであり、(b)は(a)のフローチャートにおいて実行される物標化処理を示すフローチャートである。
【図5】従来技術における非車両判定マップを示す説明図である。
【符号の説明】
1…車両制御装置、3…認識・車間制御ECU、5…レーザレーダセンサ、7…車速センサ、9…ブレーキスイッチ、11…スロットル開度センサ、13…警報音発生器、15…距離表示器、17…センサ異常表示器、19…ブレーキ駆動器、21…スロットル駆動器、23…自動変速機制御器、24…警報音量設定器、25…警報感度設定器、26…クルーズコントロールスイッチ、27…ステアリングセンサ、28…ヨーレートセンサ、29…電源スイッチ、30…ワイパスイッチ、43…物体認識ブロック、44…センサ異常検出ブロック、47…車速演算ブロック、49…操舵角演算ブロック、51…ヨーレート演算ブロック、53…先行車判定ブロック、55…車間制御部及び警報判定部ブロック、57…カーブ半径算出ブロック、70…レーザレーダCPU、71…発光レンズ、72…スキャナ、73…ミラー、74…モータ駆動回路、75…半導体レーザダイオード、76…レーザダイオード駆動回路、77…ガラス板、81…受光レンズ、83…受光素子、85…アンプ、87…コンパレータ、89…時間計測回路
Claims (3)
- 車両の車幅方向及び高さ方向それぞれにおいて、所定の角度範囲に渡って複数の送信波を照射し、それらの反射波に基づいて反射物までの距離、前記車幅方向及び高さ方向の2方向の角度、及び反射波の強度を検出するレーダ手段と、
複数の前記反射物が所定の一体化条件を満足する場合に、複数の前記反射物を一体の反射物体と判定する判定手段と、
前記反射物体を構成する各反射物に対応する反射波の強度の中で、最大強度を選択する選択手段と、
少なくとも前記反射物体の形状に基づいて、前記反射物体が先行車両であると認識する認識手段と、
前記先行車両までの距離の変化に基づいて、時系列に前記先行車両との相対速度を算出するとともに、その時系列に算出された複数個の相対速度を平均化処理した平均相対速度を算出する算出手段と、
前記先行車両との距離及び前記平均相対速度に基づいて、車間制御を行なう車間制御手段と、
前記先行車両に関して前記選択手段によって選択された反射波の最大強度が、所定の基準強度よりも大きいか否か、前記先行車両に対応する反射物体の形状の時間的変化が所定の基準値よりも小さいか否か、前記先行車両の位置が自車両の進行方向延長線上から横方向に所定距離の範囲に存在するか否か、さらに前記先行車両を認識している継続時間に基づいて、前記先行車両の認識安定度を判定する安定度判定手段とを備え、
前記安定度判定手段によって前記先行車両の認識安定度が高いと判定された場合、前記算出手段は平均相対速度を算出する際に、最新の相対速度の影響を高めることを特徴とする車間制御装置。 - 前記算出手段は、前記平均相対速度を算出する際に使用する相対速度の個数を少なくすることによって、前記平均相対速度に対する前記最新の相対速度の影響を高めることを特徴とする請求項1に記載の車間制御装置。
- 前記算出手段は、前記平均相対速度を算出する際に、最新の相対速度の重み付け係数を大きくすることによって、前記相対速度に対する前記最新の相対速度の影響を高めることを特徴とする請求項1に記載の車間制御装置。
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