JP3840759B2 - インクジェットヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室温で固体であり、加熱により溶融するホットメルトタイプのインクを用いるインクジェットヘッドに関し、更に詳細には、ホットメルトインクの溶融及び凝固の相変化に伴う体積変化に起因する気泡の発生を抑制したインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録方式としては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる、いわゆる電界制御方式や、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)や、高熱によって気泡を形成、成長させることによって生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるサーマルインクジェット方式等の各種方式が提案されており、これらは極めて高精細の画面を得ることができる。
【0003】
高速印字、低騒音、普通紙使用等の要求を満足する、これらのインクジェット記録方式には主溶媒として水を用いる水性インクと、主溶媒として有機溶媒を用いる油性インクが一般に用いられている。水性インクを用いた印刷画像は、全般に、耐水性に劣っているのに対して、油性インクは、優れた耐水性を有する印刷画像を提供することが可能である。
【0004】
しかしながら、これらの水性及び油性インクは、室温では液体のため、記録紙に印刷するとニジミが発生しやすく、かつ、十分な印刷濃度が得られず、さらに、液体であるがゆえに乾燥等に起因するインクからの析出物の発生(特にノズル近傍等で)が起こりやすく、インクジェット記録方式の信頼性を大きく低下させる原因となる欠点を有していた。
【0005】
これら従来の溶液型のインク(以下、リキッドインクと称する)の欠点を改良することを目的として、常温では固体であり、加熱融解して印字を行なうようなインクを使用した、いわゆるホットメルトインクが提案されている。この記録法によれば、常温では固相状態にある固体インクを加熱溶融して印字するので、吐出したインクは被印字物に着弾直後に放熱して凝固する。従って、従来の水性インクに比べて滲んだり、乾燥に時間を要するといった問題が無い。
【0006】
具体的には、米国特許第3653932号明細書においては、セバシン酸ジアルキルエステルを含有するインク、米国特許第4390369号明細書及び特開昭58-108271号公報においては、天然ワックスを含有するインク、特開昭59-22973号公報においては、ステアリン酸を含有するインク、特開昭61-83268号公報においては、炭素原子数20〜24の酸またはアルコールを含み、さらには、これらと融点が相対的に高いケトンを含有するインク、特開昭62-48774号公報においては、高い水酸基価を有する熱硬化性樹脂と、150℃より融点を有する固体有機溶媒と、少量の染料物質とをふくむインク、特開昭62-112627号公報においては、色材と、室温で固体であり、室温より高温に加熱すると液化する第1の溶媒と、前記第1の溶媒を溶解する室温で液体でかつ揮発性の高い第2の溶媒とからなるインク、特開昭62-295973号公報においては、極性基を有する合成ワックスと前記ワックスに可溶な染料を含有するインク、等が提案されている。
【0007】
ホットメルトインクは、上記した様に常温では固体形態をとるため、環境からの影響を受けにくく、インク濃度の変化やインク成分の変質等を生じない。即ち、リキッドインクにみられるような、インクの乾燥によるノズルの目詰まり等の不具合が起こらない。よって、リキッドインクを使用するインクジェット記録方式に比較して、インクのメンテナンス制御にかかる手間を大幅に縮小させてきた。例えば、従来、リキッドインクを用いて印字記録を行なうインクジェットプリンタにおいては、プリンタ使用を中断しプリンタ電源をオフした際、ノズル部位をキャッピングする終業処理を行なっていたが、一方のホットメルトインクを用いて印字記録を行なうインクジェットプリンタにおいては、ほとんどの場合がプリンタを停止した直後の状態で加熱されたプリンタヘッドを単に自然放冷しているに過ぎなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記固体インクは固相時と液相時との相変化に伴って体積変化を引き起こす。この体積変化は、インクジェットヘッドのインク吐出能力に悪影響を及ぼす気泡の発生を促していた。
【0009】
例えば、特開昭58−108271に示されている天然ワックスにおいて、この固体インクは一般に凝固時に体積が10%前後収縮することから、この体積減少分を補償する手段を講じないと未凝固インクの圧力は低下し、溶解していた空気が析出することとなる。その結果、完全凝固時にはインク流路のいたるところに縮小したインクの体積分だけ空隙が生ずることとなる。
【0010】
そして、特にこの現象は大容量のインクジェットヘッドや複数の吐出口を有した所謂マルチノズルタイプのインクジェットヘッドにおいて顕著に発生していた。
【0011】
この空隙はインク再溶融後のインク流路内に散在し、幾らかは液相インクに溶解するが、溶解することなくインク流路中に気泡として残留するものも多く存在する。インク流路中に気泡が存在すると、印字動作時に圧力発生手段から付与された圧力は前記気泡によって吸収されてしまい、不吐出となってしまう。
【0012】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは固体インク凝固時にヘッド内に生ずる隙間を減少させて、再溶融後のインク流路内に残留する気泡を低減させることで、安定した印字品質を持続的に保証するインクジェットプリンタを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この問題を解決するために、本発明の請求項1にかかるインクジェットヘッドは、インクを噴射するノズルと、前記ノズルに連通し前記インクが満たされたインク圧力室と、前記インク圧力室中のインクに噴射圧力を発生せしめる圧力発生部材と、前記インク圧力室に連通し該インク圧力室にインクを供給するインク溜りと、ヘッド内のインクを加熱する加熱手段とを有し、常温で固相状態にある固体インクを加熱溶解して液体インクとし、当該液体インクを用いて印字を行うホットメルト型のヘッドであって、前記インク溜りは前記インク圧力室よりも前記ノズルから離れた位置に設けられるとともに、前記加熱手段は前記インク溜りを形成する壁に取り付けられており、前記インク溜りの少なくとも一部をバイメタルにより構成し、該バイメタルが、ヘッド内のインクの温度低下に伴い、前記インク溜りの容積を減少させるように変形することを特徴とする。
【0014】
前記請求項1のインクジェトヘッドによれば、凝固によって減少する固体インクの体積分を、インク溜りの一部を構成するバイメタルが補償するように作用するため、凝固途中の液相インクの圧力低下が起こらず、完全凝固後のインク吐出部、インク流路及びインク収納部に空隙が発生しなくなる。従って、固化したインクを再溶解してもインク吐出部、インク流路及びインク収納部内のインク中に気泡を含まず、確実な印字が可能な状態へと復帰できる。なお、再溶融時においても、溶融によって増加する前記インクの体積分をバイメタルが復帰して保証するように作用するので、ノズル等より溶融インクが漏出するようなことも防止している。
【0015】
また、請求項2にかかるインクジェットヘッドは、インクを噴射するイズルと、前記ノズルに連通し前記インクが満たされたインク圧力室と、前記インク圧力室中のインクに噴射圧力を発生せしめる圧力発生部材と、前記インク圧力室に連通し該インク圧力室にインクを供給するインク溜りと、ヘッド内のインクを加熱する加熱手段とを有し、常温で固体相状態にある固体インクを加熱溶解して液体とし、当該液体インクを用いて印字を行うホットメルト型のヘッドであって、前記インク溜りは前記インク圧力室よりも前記ノズルから離れた位置に設けられるとともに、前記加熱手段は前記インク溜りを形成する壁に取り付けられており、前記インク溜りの少なくとも一部を形状記憶合金により構成し、常には該形状記憶合金をインク溜りの容積が減少する方向に付勢する付勢手段を備え、前記形状記憶合金はヘッド内のインクの温度上昇に伴い、前記付勢手段の付勢力に打ち勝って前記インク溜りの容積を増大させるように変形することを特徴とする。
【0016】
前記請求項2のインクジェットヘッドによれば、請求項1と同様の効果が得られ、凝固によって減少する体積分を、インク溜りの一部を構成するバイメタルが付勢手段による付勢力を受けて補償するように作用するため、凝固途中の液相インクの圧力低下が起こらず、完全凝固後のインク吐出部、インク流路及びインク収納部に空隙が発生しなくなる。従って、固化したインクを再溶解してもインク吐出部、インク流路及びインク収納部内のインク中に気泡を含まず、確実な印字が可能な状態へと復帰できる。なお、再溶融時においても、溶融によって増加する前記インクの体積分を形状記憶合金が復帰して保証するように作用するので、ノズル等より溶融インクが漏出するようなことも防止している。
【0017】
また、請求項3にかかるインクジェットヘッドにおいては、前記インク溜りの容積が前記固体インクが凝固する温度の前後で略10%変化することを特徴とする。
【0018】
前記請求項3のインクジェットヘッドによれば、一般的な固体インクにおける凝固時の縮小率に相応しい容積変化をするので、固体インクの種類を問わず気泡の発生を低減させることが期待できる。
【0019】
また、請求項4にかかるインクジェットヘッドにおいては、前記インク溜りの容積変化量が、前記固体インクの相変化時の体積変化量と同等もしくは大きくなるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
前記請求項4のインクジェットヘッドによれば、インク溜りが固形インクの凝固時の縮小率と同等もしくは大きく容積を変化させるので、より確実に、凝固後のインク吐出部、インク流路及びインク収納部に空隙を発生させなくできる。
【0021】
また、請求項5にかかるインクジェットヘッドにおいては、前記インクジェットヘッドは、記録媒体の被記録領域の全幅に亘ってインク吐出口が設けられている、フルライン型であることを特徴とする。
【0022】
前記請求項5のインクジェットヘッドによれば、上記請求項1乃至4の効果に加えて極めて印字速度の速いヘッドを得ることが可能となる。また、このような、大型ヘッドであり、ヘッド内のインク容量が大きいものにおいては特に固体インクの容積変化の影響が大きく出るため、本発明の効果が大いに期待できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェットヘッドを具体化した実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態にあげるインクジェットヘッドは、記録対象である用紙の被記録領域の全幅に亘ってインク吐出ノズルが形成されている、所謂フルライン形のインクジェットヘッドである。このようなインクジェットヘッドは、他のヘッドと比較して記録速度が速いという動作特徴と有し、また、ヘッド容量が大きいという構造的特徴を有する。以下、詳細に記述する。
【0024】
図1は本発明の一実施例を示す断面図である。図1においてインクジェットヘッド1は、板状のキャビティプレート3、シート状圧電素子からなる積層圧電素子5、板状のノズルプレート7から構成されている。圧電材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛等を主成分とする材料が挙げられる。そして、インクジェットヘッド1内には、常温で固体であり、印字記録時には加熱溶融して液体にして用いられるホットメルトインクが充填されている。
【0025】
前記キャビティプレート3にはインク圧力室9が溝状に、上面に開放された状態で形成され、該インク圧力室9の上面は開放面として形成されている。この上側の開放面へは前記積層圧電素子5が壁部の一つとして接合されて、前記インク圧力室9を閉塞している。また、前記キャビティプレート3には、隣接するインク圧力室9を連続させるように貫通孔が形成され、バイメタル18がこの貫通孔を覆って共通のインク室となるインク溜り17を形成している。該バイメタル18は、インクの融点近傍で前記インク溜り17の容積を減少可能に作用するように設計されている。更に、ヘッド内のインクを溶融・保温するためのヒータ20が取着されており、印字時には、このヒータ20によりインクは液相状態にされている。
【0026】
ノズルプレート7にはノズル13が設けられており、前記圧力室9に連通するように前記キャビティプレート3及び前記積層圧電素子5に接合される。そして、前記インクジェットヘッド1をプリンタに組み込んだ場合には、図示しないインク供給装置からインクが供給される。
【0027】
次に、図2を参照してインク凝固時の変化について説明する。
【0028】
印字可能状態に於いては、インクジェットヘッド1内のノズル13、インク圧力室9、インク溜り17には溶解した液体相インク21が充填されている。そして、印字動作が終了されプリンタの電源がOFFされるとヒータ20による加熱も中止され、前記液相インク21の冷却が始まる。図2(b)に示すように先ず、前記ヒータ20から最も離れ大気に面している前記ノズル13部が最も早く凝固し始め、凝固した固体相インク23によって密封された状態となる。更に冷却が進むと、液体相インク21と固体相インク23の境界面がインク圧力室9、インク溜り17へと向かって徐々に移動してゆき、凝固した領域が広がってゆくことになる。
【0029】
液体相インク21は凝固する際に体積減少するが、図2(c)に示すようにインク溜り17の一部を構成するバイメタル18が液体相インク21の温度低下に伴って、減少した体積分を補償する形で該インク溜り17の容積を減少せしめるように変形するため、未凝固の液体相インク21の圧力は低下することがなく、前記液体相インク21に溶解している空気が析出することはない。従って、図2(d)に示すように、完全凝固後の固体相インク23に空隙を生ずることはないため、再溶解後の液体相インク21内で気泡は発生せず、気泡が原因の不吐出を起こすことがなくなる。
【0030】
前記バイメタル18は液体相インク21が凝固し始める温度近傍までに、収縮により減少した体積を補償するだけ変形可能に設計しておけば良い。ちなみに、本実施の形態におけるバイメタル18により減少せしめられるインク溜り17の容積は、ヒータ20により加熱されていたときの容積の10%となるように設定してある。一般的に、インクジェット記録に用いられるホットメルトインクの凝固時における収縮率はどれも約10%程度であるので、この設定によりほぼあらゆる種類のホットメルトインクに対して対応でき、隙間や気泡の発生を防止できる。尚、好ましくは、使用されるホットメルトインクの凝固時における収縮率と同じもしくはそれ以上の容積変化を引き起こすように個々に設定するのが、確実に隙間や気泡の発生が防止できてよい。
【0031】
ここでバイメタル18について詳述すると、一般にバイメタルは熱膨張係数の異なる材料を合わせ板にし、温度の変化によって変形(湾曲)を得るが、低膨張材として36Ni−Fe合金(インバー合金)、高膨張材として72Mn−Cu−Ni、20Ni−6Mn−Fe合金等が多く用いられる。そして、これらの合わせ板に温度変化を与え、ある温度に達した時点で一方の板材は伸長(収縮)しようとし、もう一方の板材はそのままを維持しようと拘束するため、上に凸(下に凸)となるような変形を起こすのである。
【0032】
次に、本発明の第2の実施形態を図3を参照して説明する。図1と同一部材については説明を省略するが、本実施形態ではインク溜り17の一部を形状記憶合金25で構成し、前記形状記憶合金25に付勢するための圧縮ばね27を設けた。前記形状記憶合金25としては、Ti−Ni、Ni−Al、Cu−Zn合金等が一般的である。その性質は、ある所定温度での形状を合金が記憶しておりその形状を変化させた場合でも、前記所定温度に戻すことで記憶している元の形状に戻るというものである。
【0033】
本実施形態では、使用インク温度(例えば120℃)近傍で前記形状記憶合金25が真直となるようにしており、図3 (a)に示すように液体相インク21が凝固し始める温度近傍では、前記形状記憶合金25は前記圧縮ばね27の付勢力により、上に凸となって前記インク溜り17の容積を減少させるように作用し、図3 (b)に示すように前記使用インク温度近傍では、前記圧縮ばね27の付勢力に打ち勝ち記憶している形状に戻る。以上の動作により未凝固の液体相インク21の圧力低下を防ぎ、前記液体相インク21に溶解している空気が析出することはない。
【0034】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。例えば、上述した実施形態では圧力発生部材に積層圧電素子5を用いたが、単層の圧電素子でも良いし、加熱素子の加熱によってインク室内に気泡を発生させ、インクを吐出させる構成としても良い。また、バイメタル18は液体相インク21の凝固に従って上に凸となるように変形させたが、使用インク温度近傍において前記バイメタル18が下に凸となるようにし、前記液体相インク21が凝固し始める温度近傍までに真直になるようにしても良い。更に、形状記憶合金25は液体相インク21が凝固し始める温度近傍で上に凸となるようにしたが、使用インク温度近傍で下に凸となるようにし、前記液体相インク21が凝固し始める温度近傍で真直になるようにしても良い。更に、前記形状記憶合金25を付勢するために圧縮ばね27を用いたが、板ばねを用いても良いし、その他の弾性体を用いても良い。
【0035】
また、本実施の形態では、圧電素子の変形を利用したインク吐出を行うインクジェットヘッドを例にあげたが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、あらゆるインクジェットヘッドに適応できる。例えば、電気−熱変換素子を用いたいわゆるサーマルインクジェット方式のヘッドであってもよい。
【0036】
尚、上記実施の形態においてはフルライン型のインクジェットヘッドの例を挙げたが、これに限定されず、例えば、キャリッジに載置されて走査しながら記録を行うタイプのインクジェットヘッドであってもよい。ただ、本発明は比較的ヘッド内の容量が大きいヘッドものに対して特に有効に機能するため、大型ヘッドやフルライン型のインクジェットヘッドにおいて好適である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明の請求項1に記載のインクジェットヘッドは、インク溜りの少なくとも一部を構成するバイメタルが、インク凝固時の体積減少分を補償するように作用するため凝固途中の液相インクの圧力低下を防ぎ、完全凝固後の固体相インクに空隙が発生するのを抑制する。従って、固化したインクを再溶解してもインク中に気泡を含まず不吐出を起こすことがなくなる。
【0038】
また、請求項2記載のインクジェットヘッドは、インク溜りの少なくとも一部を構成する形状記憶合金が、付勢手段よりの付勢を受けてインク凝固時の体積減少分を補償するように作用するため、請求項1と同様に、凝固途中の液相インクの圧力低下を防ぎ、完全凝固後の固体相インクに空隙が発生するのを抑制する。従って、固化したインクを再溶解してもインク中に気泡を含まず不吐出を起こすことがなくなる。
【0039】
また、請求項3のインクジェットヘッドは、一般的な固体インクにおける凝固時の縮小率に相応しい容積変化をするので、固体インクの種類を問わず気泡の発生を低減させることが期待できる。
【0040】
また、請求項4のインクジェットヘッドは、インク溜りが固形インクの凝固時の縮小率よりも大きく容積を変化させるので、より確実に、凝固後のインク吐出部、インク流路及びインク収納部に空隙を発生させなくできる。
【0041】
また、請求項5のインクジェットヘッドは、請求項1乃至4記載のインクジェットヘッドにおいて、記録媒体の被記録領域の全幅に亘ってノズルを設けたので、気泡が原因の不吐出を起こすことがなく、安定した印字品質を持続的に保証できると共に、極めて速い印字が可能なインクジェットヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1のインクジェットヘッドの構成を示す断面図である。
【図2】 実施の形態1におけるインク凝固の様子を示した断面図である。
【図3】 実施の形態2におけるインク凝固の様子を示した断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
3 キャビティプレート
5 積層圧電素子
7 ノズルプレート
9 インク圧力室
13 ノズル
17 インク溜り
18 バイメタル
20 ヒータ
21 液体相インク
23 固体相インク
25 形状記憶合金
27 圧縮ばね
Claims (5)
- インクを噴射するノズルと、前記ノズルに連通し前記インクが満たされたインク圧力室と、前記インク圧力室中のインクに噴射圧力を発生せしめる圧力発生部材と、前記インク圧力室に連通し該インク圧力室にインクを供給するインク溜りと、ヘッド内のインクを加熱する加熱手段とを有し、常温で固相状態にある固体インクを加熱溶解して液体インクとし、当該液体インクを用いて印字を行うホットメルト型のインクジェットヘッドにおいて、
前記インク溜りは前記インク圧力室よりも前記ノズルから離れた位置に設けられるとともに、前記加熱手段は前記インク溜りを形成する壁に取り付けられており、
前記インク溜りの少なくとも一部をバイメタルにより構成し、該バイメタルが、ヘッド内のインクの温度低下に伴い、前記インク溜りの容積を減少させるように変形することを特徴とするインクジェットヘッド。 - インクを噴射するノズルと、前記ノズルに連通し前記インクが満たされたインク圧力室と、前記インク圧力室中のインクに噴射圧力を発生せしめる圧力発生部材と、前記インク圧力室に連通し該インク圧力室にインクを供給するインク溜りと、ヘッド内のインクを加熱する加熱手段とを有し、常温で固相状態にある固体インクを加熱溶解して液体とし、当該液体インクを用いて印字を行うホットメルト型のインクジェットヘッドにおいて、
前記インク溜りは前記インク圧力室よりも前記ノズルから離れた位置に設けられるとともに、前記加熱手段は前記インク溜りを形成する壁に取り付けられており、
前記インク溜りの少なくとも一部を形状記憶合金により構成し、常には該形状記憶合金をインク溜りの容積が減少する方向に付勢する付勢手段を備え、前記形状記憶合金はヘッド内のインクの温度上昇に伴い、前記付勢手段の付勢力に打ち勝って前記インク溜りの容積を増大させるように変形することを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記インク溜りの容積が前記固体インクが凝固する温度の前後で略10%変化することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記インク溜りの容積変化量は、前記固体インクの相変化時の体積変化量と同等もしくは大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のインクジェットヘッド。
- 前記インクジェットヘッドは、記録媒体の被記録領域の全幅に亘ってインク吐出口が設けられている、フルライン型であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のインクジェットヘッド。
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