JP3840710B2 - 電解装置及びこれを備えたイオン水生成器 - Google Patents

電解装置及びこれを備えたイオン水生成器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水や井戸水を電気分解することによってアルカリ性及び酸性のイオン水を製造する電解装置、及びこの電解装置を備えたイオン水生成器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の健康ブームを反映し、飲用としてアルカリイオン水に関心が集まっており、同様に酸性水はアストリンゼンとしての用途や、また殺菌効果に注目し医療用の消毒剤や精密工業での洗浄剤として用いられている。
【0003】
図3に示す従来のイオン水生成器の概略図を参照して、アルカリイオン水と酸性水を生成する従来のイオン水生成器及びその電解装置について説明する。
【0004】
同図に示すイオン水生成器2おいて、21は電解槽で、電解槽21内に陽極11と陰極12がイオン透過性隔膜13を介して距離を隔てて配設されている。原水管1から供給された原水は、浄水部3でろ過されて原水中の微細な不純物が取り除かれ、水供給路22を経て分岐栓4で分岐された一方の水は、通水路23を経てカルシウム添加筒20でグリセロ燐酸カルシウムが添加され、陽極水供給路9より陽極室14に供給される。分岐栓4で分岐された他方の水は、通水路24、陰極水供給路10によって陰極室15に供給される。供給された水は、陽極11と陰極12に電源19より制御部18を介して直流電流を印加することにより、以下のように反応する。
【0005】
2H2O=4H++O2+4e- 陽極反応
4H2O+4e-=4OH-+2H2 陰極反応
陽極11近傍では、水素イオン(H+)増加することにより陽極室14の溶液のpHは減少して酸性水が生成され、一方の陰極12近傍では、水酸イオン(OH-)が増加することにより、溶液のpHが増加してアルカリイオン水が生成される。またこのとき、隔膜13を介して、陽極室14には陰イオンが、陰極室15には陽イオンが移動する。陽極室14、陰極室15で生成されたイオン水は、陽極吐出路16および陰極吐出路17より吐出される。
【0006】
このようなイオン水生成器の原水として一般的に用いられるのは、電気伝導度の低い(約100から200μS/cm程度)水道水であり、電気分解の効率を上げるため、陽極に添加されるグリセロ燐酸カルシウムによって電気伝導度を向上させている。しかしながら、現行の陽極室へのカルシウムイオンの添加方式は、添加筒に顆粒状のグリセロ燐酸カルシウムを入れ、これにろ過した原水を通すことによってグリセロ燐酸カルシウムと濾過した水とを接触させて溶解させる、いわゆる自然溶解方式である。
【0007】
このため、グリセロ燐酸カルシウムの溶解量は多くて数ppm程度にすぎない。特に、使用に伴いグリセロ燐酸カルシウムは塊状となるために、原水と接触する表面積が減少し、これによってカルシウムの自然溶解量は次第に減少し、結果として陽極に供給されるカルシウムは漸次減少することとなる。
【0008】
また、従来のカルシウム添加筒の構造は、添加筒内でカルシウムが供給された原水に自然溶解させる構造であるため、一定の濃度のカルシウムイオンを陽極室に安定供給することは難しく、陰極室から生成するアルカリイオン水のpHがばらつく原因の一つとなっている。
【0009】
このように、自然溶解では溶解量が低いこと、および、時間の経過とともに溶解量が減少していくことなどから、グリセロ燐酸カルシウムにろ過した原水を通す上記手段では、電気伝導度の向上には大きく寄与しないし、電解槽に供給される水の電気伝導度を一定値以上に維持することは困難である。
【0010】
さらに、陰極で生成されるアルカリイオン水のpHは、陽極から電気泳動等によって移動した陽イオンと陰極で生成された陰イオンとのイオンバランスによって決定されるため、陽極から陰極への陽イオンの移動が安定して大きいことは陰極のpHを大きくする上でも望ましい。
【0011】
また、この方式のイオン水生成器では、毎分2〜3リットル程度の流量で連続して電気分解を行う必要があり、電気分解のために2〜3A程度の比較的大きな電流を供給する必要がある。さらには、溶液抵抗による電圧降下の影響で、実際に電解槽に印可する槽電圧は、水電解に必要な電圧の数倍もの大きな電圧を必要とし、このため、電解槽に電力を供給するための大容量のトランスを必要とする。
【0012】
これを回避するため、従来より、エネルギー損失となる槽電圧を低減するための各種工夫がなされている。たとえば使用する電極や隔膜について電極上に形成される電極触媒や、電極の形状、あるいは隔膜の細口径および開口率等についての工夫、また電解方法についても、電極間距離を可能な限り短くし溶液抵抗を小さくすることで電解エネルギーを低減する工夫などである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電極上に形成される電極触媒の特性や電極の形状あるいは隔膜の細口径、又は開口率等の工夫での槽電圧の低減効果はわずかであり、顕著な槽電圧の低下は得られない。また溶液抵抗を小さくすることによる槽電圧の低減降下はせいぜい数%に過ぎない。
【0014】
また、電極間距離を可能な限り短くする場合には次のような問題が発生する。平板状の電極を用い電極間距離を短くして電解を行うと、電解で発生する気泡が電極−隔膜間に存在する被電解質に滞留して気泡状のガスが電極表面に付着する。その結果、電極の活性表面の減少による電解量の減少と導電性のないガスの滞留によって電極間の抵抗上昇となり、槽電圧の上昇をもたらす。また従来のイオン透過性隔膜表面では、発生した気泡が隔膜表面に移動付着し、隔膜表面での電流通路を遮断することにより槽電圧の上昇をもたらすといった問題がある。この気泡付着の問題については、特公昭62−59185号公報に、親水性無機粒子多孔質層を膜表面に付着させる改善方法が提案されているが、親水性無機粒子多孔質層形成に、酸化錫、酸化ニッケル等の金属酸化物を使用しているため、電解によってイオンとして溶出する可能性があり、飲用に用いるイオン水生成器の電極材料としては適当ではない。
【0015】
また極間距離を著しく短くすることによって、電極の隔膜の間に存在する溶液中のガス濃度が高くなり、その結果、発生ガスの一部が隔膜を通して対向する電解室に移動する。特に陽極室で生成する塩素ガスの一部が陰極室に流れ込み、アルカリイオン水の残留塩素濃度を増加させるため、飲用に供するアルカリイオン水の水質としては好ましくない。
【0016】
本発明はこのような従来の問題点を解決するもので、従来の電解イオン水生成用電解槽の電力消費量を大幅に低減し、かつ安定したpHのアルカリイオン水の提供を可能にする電解装置及びこれを備えたイオン水生成器を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、陽極と陰極とこれらの間に形成された隔膜とを有する電解槽内で原水を電気分解処理することによってイオン水を生成する電解装置であって、前記陽極に供給する原水を一時貯留するリザーブタンクと、同リザーブタンクに溶解したカルシウムイオンを供給するカルシウムイオン供給手段を備えたもので、これによって、安定した電解に必要なカルシウムイオン濃度の管理が容易に行えるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、陽極と陰極とこれらの間に形成された隔膜とを有する電解槽内で原水を電気分解処理することによってイオン水を生成する電解装置であって、所定のカルシウムイオン濃度に調整された水を一時貯留するリザーブタンクと、同リザーブタンクに一時貯留された水と原水を混合するミキシングタンクとを有し、前記リザーブタンクとミキシングタンクの間に、リザーブタンクに一時貯留された水をミキシングタンクに供給するポンプとポンプから吐出された水を所定の流量に制御してミキシングタンク内の水を所定のカルシウムイオン濃度に調整する定流量弁とを備えたことを特徴とする電解装置である。これによって、従来のように、顆粒状のカルシウム内を通過させるものにくらべ、カルシウムイオン濃度の管理が容易に行えるようになるとともに、電解速度に応じた適正なカルシウムイオンの添加が可能となる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、カルシュウムイオンが乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム塩の何れか、又は乳酸カルシウムとグリセロリン酸カルシウム塩の混合物であることを特徴とするもので、カルシウムを安全かつ容易に水にカルシウムイオンとして供給する作用を有する。
【0021】
請求項4に記載の発明は、前記カルシウムイオンの濃度が、カルシウムイオン換算として1〜10mg/Lの濃度であることを特徴とするもので、陰極に生成するイオン水のpHを一定値以上に保つ作用を有し、またカルシウムイオンを必要以上に陰極に供給することを防止する作用を有する。
【0022】
(実施の形態1)
以下本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態における電解装置の概略図である。
【0023】
図1において、21は電解槽で、絶縁性と耐久性を備えているABS樹脂等で水密状に構成され、その内部に陽極11と陰極12が隔膜13を介して設けられ、電解槽21を2つに区画している。
【0024】
続けて、3は浄水部、5はリザーブタンク、8はミキシングタンク、9は陽極水供給路である。リザーブタンク5から一定濃度のカルシウムイオンを含む水が、送液ポンプ6、定流量弁7を介してミキシングタンク8に供給され、一方、原水が浄水部3でろ過され水供給路22を経て分岐栓4で分岐され、通水路23を通ってミキシングタンク8に供給され、両者が混合される。混合され1〜10mg/Lの濃度に調整されたカルシウムイオンを含む水は、陽極水供給路9より陽極室14に供給される。
【0025】
一方、浄水部3でろ過された原水が通水路24、陰極水供給路10によって陰極室15に供給される。
【0026】
21は電解槽で、この電解槽21に接続された陽極吐出路16および陰極吐出路17は、それぞれ陽極室14および陰極室15に連通し、陽極室14および陰極室15で生成されたイオン水を吐出する。
【0027】
18は電源部19から供給される直流電圧をデューテイ制御することにより所定の平均電圧にして電極11,12に印加する制御部である。
【0028】
この電解槽21、陽極水供給路9、陰極水供給路10、陽極吐出路16、陰極吐出路17、通水路23,24、リザーブタンク5、ミキシングタンク8、分岐栓4および送液ポンプ6、定流量弁7および制御部18、電源部19で電解装置30を構成している。
【0029】
本実施の形態の電極11,12としては、厚みが0.5mmで面積が100cm2のチタン板表面にメッキ法によって約3μmの厚みの白金皮膜を形成したものを用いた。
【0030】
以下、上記電解装置30の動作を図1を用いて説明する。予めグリセロ燐酸カルシウム塩を2000mg/Lとなるように添加され、リザーブタンク5に貯留された水道水が、送液ポンプ6、定流量弁7を介してミキシングタンク8に送液される。一方、原水管1から供給された原水は、浄水部3でろ過され、さらに、水供給路22、分岐栓4、通水路23を通ってミキシングタンク8に供給される。
【0031】
このミキシングタンク8で両者を混合し、カルシウムイオン濃度が5mg/Lの水を調整し、この水が陽極水供給路9を通って電解槽21の陽極室14に供給される。一方陰極室15には、浄水部3でろ過された原水が、通水路24、陰極水供給路10を通って供給される。
【0032】
上記電解装置を用いて、陰極室15、陽極室14に毎分3リットルの水を供給し、陰極室15と陽極室14に給水される流量比は4:1とし、温度25℃、電流密度20mA/cm2で平均電解電圧14.8Vで電気分解した。その結果、原水のpHが6.9のとき、陰極吐出路17から平均pH10.68のアルカリ水を300分連続して吐出させることができた。
【0033】
比較例として、図3に示した従来のイオン水生成器2を用いて同様の実験を行った。電極は前記実施形態で用いた電極と同じものを用いた。
【0034】
このイオン水生水器2のカルシウム添加筒20に10gのグリセロ燐酸カルシウムを入れ、陰極室15に毎分2.4リットル、陽極室14に毎分0.6リットルの原水を供給して、温度25℃、電流密度20mA/cm2で平均電解電圧30.1Vで電気分解した。結果は、原水のpHが6.9のとき陰極吐出路17から平均pH10.1のアルカリ水が250分連続して吐出させることができた。
【0035】
図4はこのときの電解経過時間と陰極生成イオン水pHの関係図である。本実施の形態では陰極生成イオン水pHは時間に対して安定なpHを示しているが、比較例では時間の経過につれて陰極生成イオン水pHは漸次減少しpHは安定していない。また陰極生成イオン水pHは、電解経過時間約250分以降では一定値となっている。このように、本実施形態の電解装置による場合は、約10gのグリセロ燐酸カルシウムの添加筒での自然溶解による比較例に比べ、陰極生成イオン水のpH安定性に優れていることが分かる。
【0036】
また本実施形態の電解装置による場合は比較例に比べ、pHは0.6高く、電解に必要な電圧も15.3V低くてよく、これは本実施の形態の電解装置によると電気分解の効率を高めることができることを示している。
【0037】
ここで電解効率について説明する。電解効率は、電極間に印加された電気エネルギーがどの程度電気分解に使用されたかを示すもので、電解装置の性能を示す重要な指標の一つであり、電気分解したときの水酸イオン生成反応のエネルギー効率τによって表される。ここでは水酸イオン生成のエネルギー効率(τ)を以下の式によって計算して求め、従来例と比較し(表1)に示した。
【0038】
エネルギー効率(τ)=10-(14-pH)×Qc/I・V[mol/min・W]
ここでpH=陰極生成水のpH値
Qc=陰極室からのアルカリ水の吐出量(L/min)
I =平均電解電流(A)
V =平均電解電圧(V)
【0039】
【表1】
Figure 0003840710
【0040】
(表1)から分かるように、水酸イオン生成エネルギー効率は、本実施の形態によるものは、2.09×10-12(mol/min・W)であるのに対して、従来例では、3.94×10-12(mol/min・W)と高く、両者の比をとると3.35であり、本実施の形態によるものはアルカリ水中に単位時間当たり、単位エネルギーの水酸イオンの生成量が大きいことを示している。
【0041】
このように陽極にカルシウムイオンを安定に存在させて電解したときは陰極室で生成した水酸イオンが陰極室で電荷的に安定に存在できるので、効率よくアルカリイオン水を生成することができる。また本実施の形態では定常的に安定的にアルカリイオン水を陰極室から取出すことが可能である。
【0042】
(実施の形態2)
次いで実施の形態2について説明する。本実施の形態では、カルシウムとして乳酸カルシウムを用いた。電極には実施の形態1で用いた電極と同じものを用いた。
【0043】
以下その動作を図1を用いて説明する。予め乳酸カルシウムを2000mg/Lとなるように添加されリザーブタンク5に貯留された水道水が、送液ポンプ6、定流量弁7を介してミキシングタンク8に送液される。一方、原水管1から供給された原水は、浄水部3でろ過され、さらに、分岐栓4、通水路23を通ってミキシングタンク8に供給される。
【0044】
このミキシングタンク8で両者を混合し、カルシウムイオン濃度が5mg/Lの水を調整し、この水が陽極水供給路9を通って電解槽21の陽極室14に供給される。一方陰極室15には、浄水部3でろ過された原水が、通水路24、陰極水供給路10を通って供給される。
【0045】
陰極室15、陽極室14に毎分3リットルの水を供給し、陰極室15と陽極室14に給水される流量比は4:1とし、温度25℃、電流密度20mA/cm2で平均電解電圧14.8Vで電気分解した。その結果、原水のpHが6.9のとき、陰極吐出路17から平均pH10.69のアルカリ水を300分連続して吐出させることができた。
【0046】
比較例として、図3に示した従来のイオン水生成器2を用いて同様の実験を行った。電極には実施の形態1で用いた電極と同じものを用いた。
【0047】
このイオン水生成器2のカルシウム添加筒20に10gの乳酸カルシウムを入れ、陰極室15に毎分2.4リットル、陰極室14に毎分0.6リットルの原水を供給し、温度25℃、電流密度20mA/cm2で平均電解電圧30.1Vで電気分解した。結果は、原水のpHが6.9のとき陰極吐出口7から平均pH10.1のアルカリ水を250分連続して吐出させることができた。
【0048】
本実施の形態において、定常的にカルシウムイオンを陽極に供給することによって、従来例に比べpHが0.59高く、電解電圧が15.3V低く電解可能であった。また、このときの水酸イオン生成エネルギー効率は、本実施の形態では4.14×10-5mol/min・Wであり、従来例による電解では9.41×10-6mol/min・Wであり、両者の比は4.40で、乳酸カルシウムを一定量添加した本実施の形態が電解効率に優れかつ電解を定常的に進行することができた。
【0049】
(実施の形態3)
本実施の形態では、グリセロ燐酸カルシウム塩および乳酸カルシウムの陽極室への添加濃度が1mg/Lから20mg/Lのものを用いた。電極には実施の形態1で用いた電極と同じものを用いた。
【0050】
以下その動作を図1を用いて説明する。予めグリセロ燐酸カルシウム塩を2000mg/Lとなるように添加されリザーブタンク5に貯留された水道水が、送液ポンプ6、定流量弁7を介してミキシングタンク8に送液される。一方、原水管1から供給された原水は、浄水部3でろ過され、さらに、分岐栓4、通水路23を通ってミキシングタンク8に供給される。
【0051】
上記装置を用いて陰極室15と陽極室14に毎分3リットルの水を供給し、陰極室15と陽極室14に給水される流量比は4:1とし、温度25℃、電流密度20mA/cm2で電解した。図5は、このときの陽極室14に供給される水のカルシウムイオン濃度と陰極生成イオン水pHおよび平均消費電力の関係図である。
【0052】
図5に示すように、陽極室に供給される水のカルシウムイオン濃度が1〜10mg/Lの範囲では、供給される水のカルシウムイオン濃度の増加につれて陰極生成イオン水pHは高くなり、消費電力は減少する。しかし、カルシウムイオン濃度が10mg/L超では、陰極生成イオン水pHはカルシウムイオン濃度の増加に依存せず一定のpH値となる。また、カルシウムイオン濃度が1mg/L未満ではカルシウムイオン濃度の減少にしたがって陰極生成イオン水pHは急速に低くなり、何れも消費電力の低減あるいは安定したアルカリイオン水を得るためには好ましくない。
【0053】
以上より、陽極室に供給される水のカルシウムイオン濃度が1〜10mg/Lの範囲のときに、陰極生成イオン水pHが高い状態での消費電力の低減および陰極生成イオン水pHの安定に効果があることが分かる。
【0054】
またカルシウムイオン濃度を必要以上に高くすることは、隔膜や電極上でスケールの発生を容易にするため、電解性能の低下や槽電圧の上昇およびメンテナンス回数の増加を引き起こすため望ましくない。
【0055】
(実施の形態4)
次に電解装置30をイオン水生成器に設けた他の実施形態を、図2に基いて説明する。図2は他の実施の形態であるイオン水生成器の概略図であり、同図において図1に対応するものは同じ符号を付して説明を省略する。
【0056】
31はイオン水生成器、1は水道水の原水を供給する原水管、3は活性炭等を充填するとともに濾布等を設けた浄水部で、原水管1より通水された原水は、浄水部3で原水中の金属等の不純物が取り除かれ、分岐栓4でミキシングタンク8と陰極への通水路24に分岐される。ミキシングタンク8で、リザーブタンク5に貯えられたカルシウム塩を含む水と、分岐栓4で分岐された濾過水が混合され、両者の水が電解槽21に供給される。
【0057】
本実施の形態では、電源部19から供給された直流電流をデューテイ制御することにより所定の平均電圧に調整し、陽極11、陰極12に印加する。電解装置30は、図1に示す実施の形態1で説明したものと同じであり、生成されたアルカリイオン水は陰極吐出路17から、酸性水は陽極吐出路16から吐出される。この電解装置30の説明は、上記実施形態1の説明に譲る。このように本実施の形態4によるアルカリイオン水は、浄水部3で不純物、金属、細菌を除去しているから飲料水として最適である。
【0058】
【発明の効果】
本発明によって以下の効果を奏することができる。
【0059】
(1)溶解したカルシウムイオンを供給するカルシウムイオン供給手段を備えたことによって、従来のように、顆粒状のカルシウム内を通過させるものにくらべ、カルシウムイオン濃度の管理が容易に行えるようになり、原水の効率良い電解が可能となる。また、陽極に添加されたカルシウムイオンが電気泳動によって陰極に移動するため、陰極に生成する飲用のイオン水のカルシウムイオン濃度を高くすることができる。
【0060】
(2)リザーブタンクに供給するカルシウムイオンを定量添加する制御手段を備えたことによって、pH値の変動の小さい安定したアルカリイオン水を得ることができる。
【0061】
(3)供給するカルシウムを乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム塩の何れかあるいは両者の混合物とすることによって、カルシウムを安全に容易にカルシウムイオンとして電解装置に供給することができる。
【0062】
(4)カルシウムイオンの濃度がカルシウムイオン換算として、1〜10mg/Lの濃度とすることで、陰極に生成するイオン水のpHを一定値以上に保ちかつ消費電力を低減し電解効率を向上させることができる。また、電解性能の向上に寄与しない無効となるカルシウムイオンの供給を防止することが可能となり、これによって、カルシウムイオンによる隔膜や電極へのスケールの生成が減少し、電解中の電解性能の低下や逆電による運転ロスの減少に寄与する。
【0063】
(5)不純物を濾過する浄水部と前記の電解装置を備えていることから消費電力が小さく、生成したアルカリイオン水のpH値が安定し、長時間連続してアルカリイオン水を生成するイオン水生成器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における電解装置の概略図
【図2】本発明の他の実施の形態であるイオン水生成器の概略図
【図3】従来のイオン水生成器の概略図
【図4】電解経過時間と陰極生成イオン水pHの関係図
【図5】カルシウムイオン濃度と陰極生成イオン水pHおよび平均消費電力の関係図
【符号の説明】
1 原水管
2 イオン水生成器
3 浄水部
4 分岐栓
5 リザーブタンク
6 送液ポンプ
7 定流量弁
8 ミキシングタンク
9 陽極水供給路
10 陰極水供給路
11 陽極
12 陰極
13 隔膜
14 陽極室
15 陰極室
16 陽極吐出路
17 陰極吐出路
18 制御部
19 電源部
20 カルシウム添加筒
21 電解槽
22 水供給路
23 通水路
24 通水路
30 電解装置
31 イオン水生成器

Claims (4)

  1. 陽極と陰極とこれらの間に形成された隔膜とを有する電解槽内で原水を電気分解処理することによってイオン水を生成する電解装置であって、所定のカルシウムイオン濃度に調整された水を一時貯留するリザーブタンクと、同リザーブタンクに一時貯留された水と原水を混合するミキシングタンクとを有し、前記リザーブタンクとミキシングタンクの間に、リザーブタンクに一時貯留された水をミキシングタンクに供給するポンプとポンプから吐出された水を所定の流量に制御してミキシングタンク内の水を所定のカルシウムイオン濃度に調整する定流量弁とを備えたことを特徴とする電解装置。
  2. 前記カルシウムイオンが乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム塩の何れか、又は乳酸カルシウムとグリセロリン酸カルシウム塩の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の電解装置。
  3. 前記ミキシングタンク内の水のカルシウムイオン濃度が、カルシウムイオン換算として1〜10mg/Lの濃度であることを特徴とする請求項1または2記載の電解装置。
  4. 請求項1から3記載の電解装置に、さらに、原水の不純物をろ過する浄水部を備えたことを特徴とするイオン水生成器。
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