JP3550858B2 - 電解装置及びイオン水生成器 - Google Patents

電解装置及びイオン水生成器 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水道水、井戸水等の原水に塩化ナトリウム(NaCl)や、塩化カリウム(KCl)等の電解物質を添加した原水を電気分解して得られる抗菌、殺菌作用のある強酸化水を生成する電解装置及びイオン水生成器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、酸性イオン水が普及し、多くの分野でその利用が広まってきている。通常、酸性イオン水は洗顔効果等があるpH値が5.5前後のアストリンゼント水と、洗浄効果があるpH値が3〜4の強酸性水と、殺菌力が強いpH値が3以下の強酸化水とに分けられる。この強酸化水は殺菌力が強力で速効性があり、生体に対し為害作用が殆ど認められない等の特徴がある。さらにその抗菌スペクトルが広く、細菌、抗酸菌、真菌、ウイルス等に効果があり、特に院内感染に関するMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)、HBV(B型肝炎)、HIV(エイズ菌)等の殺菌にも効果があるといわれている。このように多くの効果があることから、医療分野で強酸化水の使用が普及しつつある。このように除菌、殺菌に使用される強酸化水はpH値が2〜3であると同時に、次亜塩素酸濃度が7〜50ppm、さらに酸化還元電位(酸化・還元力の大きさを示す)が+1000〜+1200mVのものが多く使用されている。この次亜塩素酸は、従来から知られているように強い消毒作用を有し、その作用は瞬時に進行する。また、酸化還元電位が+なのは酸化力があることを示し、この酸化力が大きいと、細菌等と接触して数秒で細菌等から電子を奪って酸化殺菌し、強酸化水は電子を得て中和されるのである。一方、酸化還元電位は次亜塩素酸濃度とpH値に依存することから(Nernstの式)、医療用に適した強酸化水のpH値、溶存塩素濃度及び酸化還元電位は上述した範囲にあることが適当とされている(機能水シンポジウム
’95京都大会予稿集 p44)。
【0003】
そこで従来の強酸化水を生成する電解装置及びそれを用いたイオン水生成器について説明する。図3は従来のイオン水生成器の概略全体図である。1は水道水などの原水を供給する原水管、3はイオン水生成器である。4は内部に活性炭や中空糸膜などを備えた浄水部、5は原水にNaCl等の電解質を供給するリザーブタンクで、6は内部に隔膜7で陰極室10と陽極室11とに分割された電解槽、12は電解槽6に設けた陰極室10の処理水を吐出するアルカリ性イオン水吐出路、13は電解槽6に設けた陽極室11の処理水を吐出する酸性イオン水吐出路、14は陰極室10に原水を供給する陰極側給水路、15は陽極室11に原水を供給する陽極側給水路、8は陰極室10に設けた陰電極、9は陽極室11に設けた陽電極、17は電源部16から供給される直流電圧電流をデューティ制御することにより所定の平均電圧(デューティ制御によってパルス幅を変化させると、供給電気量が変わって電圧が変化したと等価な状態になる。以下これを平均電圧と称す)に調整し、陰電極8及び陽電極9に印加する制御部である。
【0004】
以上のように構成された従来のイオン水生成器1について以下その動作を説明する。原水管1より通水された原水は浄水部4で原水中の残留塩素や一般細菌などの不純物が取り除かれ、リザーブタンク5でNaCl等の電解質を原水中に付与せられ電解槽6に通水される。一方電源部16から供給された直流電圧電流は制御部17で所定の平均電圧に制御されて陰電極8と陽電極9に給電される。これにより電解装置内の原水は電気分解され(化1)に示す反応によって陽極近傍では水素イオン(H)が増加してpH値の低い酸性水が生成され、陰極近傍では水酸イオン(OH)が増加してpH値のが高いアルカリ性イオン水が生成される。
【0005】
【化1】
Figure 0003550858
【0006】
このようにして陰極室10にはアルカリ性イオン水が、陽極室11には酸性イオン水が生成され、通水しながら陰電極8と陽電極9に電圧を印加するとアルカリ性イオン水吐出路12よりアルカリ性イオン水が、酸性イオン水吐出路13より酸性イオン水が連続して得られる。
【0007】
しかしながら、従来技術の電解装置及びそれを用いたイオン水生成器を使用して上述したような性質を有する強酸化水を毎分1〜2リットル程度の流量で連続して生成するには、電解電流として10〜20A程度の大きな電流が必要であった。この電解電流が大きくなると電極の消耗が加速されるため、電極面積を大きくしたり電極を複数枚重ねる等して、単位面積当たりの電解電流密度を下げることが行われている。また、両電極に実際に印加される電圧は、電気分解に必要な電圧の何倍もの大きさを必要とするため、電力を供給する電源トランスも大容量のトランスが必要となっていた。
【0008】
そこで電解電圧を低くするために、複数の電解槽を連結した多段電解槽方式や、電極間距離を短くし原水の電気抵抗を小さくする等の方法が採られてきた。
【0009】
しかしながら、従来の多段電解槽方式はイオン水生成器の制御が複雑になるし、その重量が重くなるという問題があった。また、電極間距離を短くすると電解時に発生するガスが電極や隔膜の表面に滞留して付着し、電極の有効表面積が小さくなって電極間の電気抵抗が大きくなり、電解効率が低下するという問題があった。
【0010】
そこで電極や電解槽に与える負担を軽減して、pH値の小さい、次亜塩素酸(HClO)が多く含まれて殺菌力の強い強酸性水を生成する技術(特開平7−265859号公報)が提案されている。この技術は、原水を水素置換型陽イオン交換樹脂でイオン交換した後、NaClを添加して電気分解するものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−265859号公報に記載された酸性水の製造方法及び装置は、原水中に含まれるCaイオン、Mgイオン等の陽イオンが水素(H)イオンと置換された後で電気分解されて容易に水素イオン濃度が高くなり、pH値が小さくなるが、そのpH値は3〜4程度にすぎず、強酸化水に要望されるpH=2〜3に比べて充分満足できるものではなかった。さらに、電解槽とは別に水素置換型陽イオン交換装置を設ける必要があり、イオン水生成器が大型になり、イオン交換樹脂の寿命も長いものでなく、メンテナンスが煩雑になる等の問題があった。
【0012】
そこで本発明は、前記従来の問題点を解決するもので、pH値が3以下で、次亜塩素酸濃度が高く、さらに酸化還元電位が大きい強酸化水を生成することができ、小型、軽量でメンテナンスが容易な電解装置及びイオン水生成器を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の電解装置は、第1陽電極の酸素過電圧が第2陽電極の酸素過電圧より小さく、第2陽電極の塩素過電圧の大きさが第1陽電極より小さいことを特徴とする。
【0014】
これにより、第1電解室にはpH値が3以下で、第4電解室には次亜塩素酸(HClO)濃度の高い強酸化水を得ることができる。
【0015】
また、この電解装置を備えたイオン水生成器は、構造が簡単にでき、メンテナンスが容易で簡単な操作で殺菌力の強い強酸化水を連続して生成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、電解槽内に第1陽電極と第2陽電極を配設し、第1陽電極と第2陽電極の間で電解槽を2つに区画するとともに第1陽電極との間及び第2陽電極との間においてそれぞれ通水の電気分解を行う陰電極を設け、第1陽電極と陰電極の間を第1隔膜で第1電解室と第2電解室に区画するとともに、陰電極と第2陽電極の間を第2隔膜で第3電解室と第4電解室に区画し、第1電解室、第2電解室、第3電解室及び第4電解室にそれぞれ原水を供給する給水路を設け、第1電解室と第4電解室にそれぞれ接続された強酸化水吐出路と、第2電解室と第3電解室にそれぞれ接続された強アルカリ性水吐出路とを設け、第1陽電極の酸素過電圧が第2陽電極の酸素過電圧より小さく、第2陽電極の塩素過電圧の大きさが第1陽電極より小さくしているから、第1陽電極では水素イオンが多量に生成し、第2陽電極では次亜塩素酸が多量に生成されるという作用を有する。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、第1陽電極と第2陽電極及び陰電極が多孔電極によって構成されたものであり、電気分解によって発生するガスを通過させると同時に次亜塩素酸濃度を高めるという作用を有する。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、不純物を濾過する浄水部と、電解質を添加するリザーブタンクと、請求項1または2記載の電解装置を備えたものであり、金属等の不純物が除去された強酸化水を連続して生成するという作用を有する。
【0019】
以下本発明の実施の形態について、図1、図2を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施の形態における電解装置の構造断面図である。図1において、26は電解槽で材質は絶縁性と耐水性を備えているABS樹脂等で水密状に構成され、その内部に第1陽電極29aと第2陽電極29bが配設されている。28は陰電極で第1陽電極29aと第2陽電極29bの間に設けられ、電解槽26を2つに区画している。27aは第1隔膜で第1陽電極29aと陰電極28の間に設けられ第1電解室30aと第2電解室31aに区画している。27bは第2隔膜で陰電極28と第2陽電極29bの間に設けられ第3電解室31bと第4電解室30bに区画している。21は給水路で第1電解室30a、第2電解室31a、第3電解室31b及び第4電解室30bにそれぞれ連通され原水を供給する。33は強酸化水吐出路で第1電解室30aと第4電解室30bのそれぞれに連通され、第1電解室30aと第4電解室30bで生成された強酸化水を吐出する。32は強アルカリ性水吐出路で第2電解室31aと第3電解室31bのそれぞれに連通され、第2電解室31aと第3電解室31bで生成された強アルカリ性水を吐出する。この電解槽26、給水路21、強アルカリ性水吐出路32及び強酸化水吐出路33で電解装置40を構成している。37は電源部36から供給される直流電圧をデューティ制御することにより所定の平均電圧に調整し、第1陽電極29a、第2陽電極29b及び陰電極28に印加する制御部である。
【0020】
本実施の形態1の第1陽電極29aには厚さが500μmで面積が100cmのチタン板表面にメッキ法によって3μmの厚みの白金被膜を形成したものを用い、第2陽電極29bには厚さが500μmのチタン板表面に白金ブタノール溶液を塗布後、焼成法によって1μmの厚みの白金酸化物被膜を形成したものを用いている。ここで第1陽電極29aと第2陽電極29bの電極面積は約100cmで、この第1陽電極29aの全面にわたっての平均的な表面粗さは2ミクロン程度で、第2陽電極29bの全面にわたっての平均的な表面粗さは10ミクロン程度である。この表面粗さは、電極表面に垂直に立てた触針を移動させながら凹凸の高さを測定しミクロン単位で表したものである。この第1陽電極29aと第2陽電極29bには後述する過電圧に関して大きな違いが生じる。すなわち第1陽電極29aの酸素過電圧は0.46V、塩素過電圧は0.6Vで、第2陽電極29bの酸素過電圧は0.72V、塩素過電圧は0.36Vである。なお陰電極28は、厚さが500μmで面積が100cmのチタン板表面にメッキ法によって3μmの厚みの白金被膜を形成したものである。このように、第1陽電極29aの酸素過電圧は第2陽電極29bより小さく、第2陽電極29bの塩素過電圧は第1陽電極29aより小さくなっている。
【0021】
ここで電極の過電圧について説明する。一般的に電解質溶液に陽電極と陰電極を浸漬して直流電圧を徐々に印加してゆくと、印加した電圧が所定の大きさになるまでは電極間に電流は流れない(平衡状態)。しかしこの所定の電圧を超えて直流電圧をさらに印加すると、電解質溶液の成分はイオン化し急激に電流が流れるようになる(非平衡状態)。この電流が流れず電極反応が平衡状態にあるときの電極電位を平衡電位と呼び、電流が流れている場合の電極電位を電解電位と呼んでいる。そして電解電位と平衡電位の差を過電圧と称し、電気分解に使用する電極固有のもので材質によってその大きさは異なってくる。この過電圧の発生原因は、電解質溶液の成分がイオンの放電の過程で大きな活性化エネルギーを必要とするためであると説明されている。このように電解質溶液を電気分解して酸素発生反応が生じるときの過電圧を酸素過電圧と呼び、塩素発生反応が生じるときの過電圧を塩素過電圧と呼ぶ。言い換えれば、酸素過電圧というのは電解質溶液を電気分解して酸素が発生するに必要な電解電位のしきい値である。したがって酸素過電圧が小さいということは、小さい電解電位で酸素発生反応が起こり、酸素が発生しやすいということを示すのである。
【0022】
この酸素過電圧(ηO)の測定方法は、一般的に次のような方法で行われている。その方法はAgCl(塩化銀)電極を標準(参照電極)として、10%濃度のNaOH水溶液からなる電解質溶液に陽電極と陰電極を浸漬し、この両電極間に平均的には+1.6Vの電位まで1mV/秒で印加しながら電流を測定する。このとき電流が流れていないときの最大電位を測定して平衡電位(Eeq(O))とし、電流が流れ始めて陽極側に酸素ガスが発生するのを確認できたときの最小電位を測定して電解電位(EO)として次式から求められる。
【0023】
ηO=EO −Eeq(O
また、塩素過電圧(ηCl)は10%濃度のHCl水溶液を使用して上記と同様に電圧を印加し、電流が流れていないときの最大電位を測定して平衡電位(Eeq(Cl))とし、電流が流れ始めて陽極側に塩素ガスが発生するのを確認できたときの最小電位を測定して電解電位(ECl)として次式から求められる。
【0024】
ηCl=ECl −Eeq(Cl
ところで上述したようにこの過電圧は電極材料固有のもので、1つの電極材料でも酸素過電圧は小さいが塩素過電圧が大きいという現象があって、現在までその原因は明らかにされていない。本発明者らはこの原因を解明すべく電極の構造について研究を進める中で、この過電圧の大きさは陽電極の全面にわたっての平均的な表面粗さに依存するという知見を得たものである。例えば白金電極の表面粗さが2ミクロン程度の場合には酸素過電圧(ηO)は約0.5Vで塩素過電圧(ηCl)は約0.6Vであるが、表面粗さが10ミクロン程度になると酸素過電圧(ηO)は約0.7Vで塩素過電圧(ηCl)は約0.4Vとなる。このように陽電極の表面粗さをコントロールすることによって過電圧を調整することができる。この実施の形態1ではこの表面粗さをコントロールする方法として製造方法を変えた。それはメッキ法によるものと焼成法によるものである。メッキ法によるものは数ミクロン程度に表面粗さを小さくできるし、焼成法によるものは数十ミクロン程度に表面粗さを大きくすることができる。このメッキ法はチタン板等の表面に白金、インジウムやパラジウム等を電気メッキしそれらの金属をイオン状態で堆積させ被膜を形成するもので、形成された被膜は高密度でその表面粗さは平均的に小さいものが得られる。一方焼成法はチタン板等の表面に白金、インジウムやパラジウム等のブタノール溶液を塗布し、数百度程度で焼成してそれら金属酸化物の被膜を形成するもので、形成された被膜の密度は低くその表面粗さは平均的に大きい。この表面粗さの大きい陽電極は、予め表面粗さの大きいチタン板等を準備し、このチタン板等の表面に白金等の被膜を形成し、チタン板の表面粗さの大きさをそのまま利用して製造することもできる。
【0025】
このように製造法を変え、表面粗さの小さい電極によって酸素過電圧を小さくでき、(化1)に示した陽極反応式1が多量に起こり水素イオン濃度の高い強酸化水を生成するし、表面粗さの大きい電極によって塩素過電圧を小さくでき(化1)に示した陽極反応式2が多量に起こり次亜塩素酸(HClO)濃度の高い強酸化水を生成することができる。
【0026】
そこで本実施の形態1では酸素過電圧の小さい電極材料で第1陽電極29aを構成し、塩素過電圧の小さい電極材料で第2陽電極29bを構成し強酸化水を生成している。以下その動作を図1に基づいて説明する。電解装置40に予めNaClを1000mg/lになるように添加した水道水を毎分2lの流量で原水として第1電解室30a、第2電解室31a、第3電解室31b及び第4電解室30bに同じ比率で供給し、温度25℃、電流密度4A/dm(電流8A)で電解電圧が19.6Vで電気分解したところ、原水のpH値が7.0のとき第1電解室30aにはpH=2.18、次亜塩素酸濃度29.4mg/lで酸化還元電位+1179mVの強酸化水が、第4電解室30bにはpH=2.60、次亜塩素酸濃度40.5mg/lで酸化還元電位+1124mVの強酸化水が生成され、強酸化水吐出路33で混合されpH=2.4、次亜塩素酸濃度35mg/l、酸化還元電位+1150mVの強酸化水が吐出された。また第2電解室31a及び第3電解室31bには強アルカリ性水が生成され、強アルカリ性水吐出路32からpH=11.2の強アルカリ性水が吐出された。
【0027】
ここで従来例として図3に示したイオン水生成器3を使用して得られたものと比較した。この従来例のものは陽電極9、陰電極8ともに厚さが500μmのチタン板表面にメッキ法によって3μmの厚みの白金被膜を形成し、表面積が100cmになるようにしたものである。この陽電極9の酸素過電圧は0.46Vで、塩素過電圧は0.60Vであった。つぎに本実施の形態1と同様にこのイオン水生成器3に予めNaClを1000mg/lになるように添加した水道水を毎分2lで原水として陰極室10及び陽極室11に1:1の比率で供給し、温度25℃、電流密度4A/dm(電流8A)で電気分解した。こうして得られた強酸化水はpH=2.6、次亜塩素酸濃度19.8mg/l、酸化還元電位+1145mVの強酸化水が生成された。そしてこのときの必要な電解電圧は21.9Vであった。この従来例によるものと比べ、本実施の形態1によるものは次亜塩素酸濃度は約20mg/lも高く、必要な電解電圧は2.3V低くてよいことがわかる。これは本実施の形態1の電解装置40によれば電気分解の電解効率を高めることもできることを示している。
【0028】
ここで電解効率について説明する。この電解効率というのは、陽電極に印加した電力(エネルギー)がどの程度電気分解に使用されたかを示すもので、電気分解した時の水素イオン生成((化1)の陽極反応式1)のときの電流効率(ζ)によって表すことができる。ここではこの水素イオン生成の電流効率(ζ)を以下の式によって計算して求め、従来例と比較して(表1)に示した。
【0029】
ζ(%)={10−pH /〔(1−0.5α)I/F・Q〕}×100
ここで、
pH=強酸化水のpH値
α=電流分担率
I=電解電流(A)
F=ファラデー定数(A・s/mol)
=陽極室からの強酸化水の吐出量(l/sec) である。
【0030】
また、α(電流分担率)はCl イオンがHOと反応してHClOを生成する(化1)の陽極反応式2にどれだけ多くの電流を要したかを示す電解電流の分担率で、次式によって表す。
【0031】
α=[(2F・Q・C×1000)/MHClO ]/I
ここで、
C=強酸化水中の次亜塩素酸濃度(mg/l)
HClO =次亜塩素酸の式量(g/l) である。
【0032】
【表1】
Figure 0003550858
【0033】
(表1)から分かるように、水素イオン生成の電流効率(ζ)が、本実施の形態によるものは88.2%であるのに比べ、従来例のものは52.3%と低い。さらに、電流分担率(α)は従来例の0.145に比べ0.257と大きく、これは本実施の形態1によるものは、Cl イオンがHOと反応してHClOを生成するときの電流が従来のものに比べ大きくなっていることを示している。このようにして酸素過電圧が小さい第1陽電極29aでは前述した陽極反応式1が起こりやすく水素イオン濃度の高い(pH値の小さい)強酸化水を生成するし、塩素過電圧が小さい第2陽電極29bでは陽極反応式2が起こりやすく次亜塩素酸(HClO)濃度の高い強酸化水を比較的低い電解電圧で生成することができる。
【0034】
(実施の形態2)
つぎに、第1陽電極29a、第2陽電極29bを多孔電極で構成し、電極の表面積を大きくしたもう一つの実施の形態について説明する。
【0035】
本実施の形態2で用いた第1陽電極29aは、1000μmの厚みのチタン板をエキスパンド加工してメッシュ状にし、この表面に白金を3μmの厚みでメッキしたものを用い、第2陽電極29bには厚さが1000μmのチタン板をエキスパンド加工してメッシュ状にし、この表面に白金ブタノール溶液を塗布後、焼成法によって1μmの厚みの白金酸化物被膜を形成したものである。こうして得られた第1陽電極29aの酸素過電圧は0.49V、塩素過電圧は0.62Vで、第2陽電極29bの酸素過電圧は0.70V、塩素過電圧は0.32Vである。その他の条件は実施の形態1と同じにして電気分解したところ、pH=2.4、次亜塩素酸濃度35.9mg/l、酸化還元電位+1150mVの強酸化水が生成した。このときの電解電圧は19.5Vで水素イオン生成の電流効率(ζ)は68.3%で、電流分担率(α)は0.239であった。このように第1陽電極29a及び第2陽電極29bをメッシュ状にして原水との接触面積を大きくすることによって、実施の形態1と比べて水素イオン生成の電流効率(ζ)は低くなるが、その一方で陽極反応式2が生じやすくなって、次亜塩素酸濃度が高くなるのである。このようにエキスパンド加工したメッシュ状のもの等の多孔電極で構成することによって、より効果的に原水を電気分解し強酸化水を生成することができる。また、電気分解時に第1隔膜27a、第2隔膜27bの表面や第1陽電極29a、第2陽電極29bや陰電極28等の表面に付着した酸素や塩素等のガスは、この多孔電極に設けた多数の孔を容易に通過し、生成した強酸化とともに吐出させることができる。したがって、ガスが電極や隔膜の表面に滞留して電極の有効な表面積が小さくなったり、電極間の電気抵抗が大きくなって電解効率が低下するのを防ぐことができる。
【0036】
ここでは、第1陽電極29a、第2陽電極29bや陰電極28の全てを多孔電極で構成しているが、第1陽電極29aと第2陽電極29bのみを多孔電極で構成しても上述したと同様な効果が得られる。
【0037】
(実施の形態3)
つぎに、前記の電解装置40をイオン水生成器に設けたさらにもう一つの実施の形態について図2に基づいて説明する。図2は本発明のさらにもう一つの実施の形態によるイオン水生成器の概略全体図である。図2に付した符号で図1と同じものはここでは説明を省略する。23はイオン水生成器、20は水道水等の原水を供給する原水管、24は活性炭等を充填するとともに濾布等を設けた浄化部、25はNaCl等の電解質を所定量原水中に付与するリザーブタンクである。原水管20より通水された原水は浄水部24で原水中の金属等の不純物が取り除かれ、リザーブタンク25でNaCl等の電解質を原水中に付与せられ電解槽26に通水される。一方電源部36から供給された直流電圧をデューティ制御することにより所定の平均電圧に調整し、第1陽電極29a、第2陽電極29b、陰電極28に印加する。電解装置40は図1に示す実施の形態1で説明したものであり、生成された強酸化水は強酸化水吐出路33から、強アルカリ性水は強アルカリ性水吐出路32から吐出される。この電解装置40の説明は上記実施の形態1の説明に譲る。このように本実施の形態3による強酸化水は浄化部24で不純物や金属等を除去しているから、消毒液や、殺菌液として最適である。
【0038】
【発明の効果】
以上から明らかなように本発明の電解装置は、電解槽内に第1陽電極と第2陽電極を配設し、第1陽電極と第2陽電極の間で電解槽を2つに区画するとともに第1陽電極との間及び第2陽電極との間においてそれぞれ通水の電気分解を行う陰電極を設け、第1陽電極と陰電極の間を第1隔膜で第1電解室と第2電解室に区画するとともに、陰電極と第2陽電極の間を第2隔膜で第3電解室と第4電解室に区画し、第1電解室、第2電解室、第3電解室及び第4電解室にそれぞれ原水を供給する給水路を設け、第1電解室と第4電解室にそれぞれ接続された強酸化水吐出路と、第2電解室と第3電解室にそれぞれ接続された強アルカリ性水吐出路とを設け、第1陽電極の酸素過電圧が第2陽電極の酸素過電圧より小さく、第2陽電極の塩素過電圧の大きさが第1陽電極より小さいものであり、pH値が3以下で、次亜塩素酸濃度が高く、さらに酸化還元電位が大きい強酸化水を生成することができ、小型、軽量でメンテナンスが容易な電解装置を得ることができる。
【0039】
また、第1陽電極と第2陽電極及び陰電極が多孔電極で構成されているから、電極の有効面積を大きくしてエネルギー効率を高めることができる。
【0040】
また、不純物を濾過する浄水部と、電解質を添加するリザーブタンクと、前記の電解装置を備えているから、小型で組立が容易で寿命が長く、連続して強酸化水を生成するイオン水生成器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における電解装置の構造断面図
【図2】本発明のさらにもう一つの実施の形態におけるイオン水生成器の概略全体図
【図3】従来のイオン水生成器の概略全体図
【符号の説明】
1、20 原水管
3、23 イオン水生成器
4、24 浄水部
5、25 リザーブタンク
6、26 電解槽
7 隔膜
8 陰電極
9 陽電極
10 陰極室
11 陽極室
12 アルカリ性イオン水吐出路
13 酸性イオン水吐出路
14 陰極側給水路
15 陽極側給水路
16、36 電源部
17、37 制御部
21 給水路
27a 第1隔膜
27b 第2隔膜
28 陰電極
29a 第1陽電極
29b 第2陽電極
30a 第1電解室
30b 第4電解室
31a 第2電解室
31b 第3電解室
32 強アルカリ性水吐出路
33 強酸化水吐出路
40 電解装置

Claims (3)

  1. 電解槽内に第1陽電極と第2陽電極を配設し、前記第1陽電極と前記第2陽電極の間で前記電解槽を2つに区画するとともに前記第1陽電極との間及び前記第2陽電極との間においてそれぞれ通水の電気分解を行う陰電極を設け、前記第1陽電極と前記陰電極の間を第1隔膜で第1電解室と第2電解室に区画するとともに、前記陰電極と前記第2陽電極の間を第2隔膜で第3電解室と第4電解室に区画し、前記第1電解室、前記第2電解室、前記第3電解室及び前記第4電解室にそれぞれ原水を供給する給水路を設け、前記第1電解室と前記第4電解室にそれぞれ接続された強酸化水吐出路と、前記第2電解室と前記第3電解室にそれぞれ接続された強アルカリ性水吐出路とを設け、前記第1陽電極の酸素過電圧が前記第2陽電極の酸素過電圧より小さく、前記第2陽電極の塩素過電圧の大きさが前記第1陽電極より小さいことを特徴とする電解装置。
  2. 前記第1陽電極と前記第2陽電極及び前記陰電極が多孔電極であることを特徴とする請求項1に記載の電解装置。
  3. 不純物を濾過する浄水部と、電解質を添加するリザーブタンクと、請求項1または2記載の電解装置を備えたことを特徴とするイオン水生成器。
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