JP3840188B2 - 口紅化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、口紅化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、油性化粧料は、ワックス、油剤、粉体を主成分として構成されており、これら各成分の種類および配分量を変化させることにより様々な品質の化粧料が製品化されているが、特に、口紅化粧料においては、発色性・使用感が良好であるだけでなく、その良好な発色を長時間維持することができ、さらには、衣服あるいはカップなどに付着しない転写抵抗性に優れるものが強く求められており、そうした口紅化粧料を得るために様々な技術が開発されている。
【0003】
この種の従来技術としては、例えば、シリコーン樹脂を揮発性シリコーンのような揮発性キャリアーに溶解したものを配合することにより、口紅の塗布後の口唇にシリコーン樹脂の皮膜(化粧膜)を形成させ、それによってカップや衣類等に転写し難い転写抵抗性を発揮する口紅化粧料を得るという技術が挙げられる。また、直鎖状のシリコーン鎖にフッ素を導入したフッ素変性シリコーンやパーフルオロポリエーテル等のフッ素系の化合物を配合することにより、化粧膜の撥水性撥油性を向上させ、それによって転写抵抗性を向上させ良好な発色を保つという技術も挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリコーン樹脂と揮発性キャリアーが配合された口紅化粧料によれば、塗布後時間が経過すると、揮発性キャリアーの乾燥に伴ない化粧膜の艶が低下したり、柔軟性が低下するという問題点がある。また、直鎖状のシリコーン鎖にフッ素を導入したフッ素性シリコーンやパーフルオロポリエーテル等を配合して調整された口紅化粧料によれば、伸び・広がりが悪くなったり、付着性が低下するという問題点がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、良好な転写抵抗性を有し、塗布後の艶が優れ、色彩が鮮やかで、かつ化粧維持性に優れて、使用感にも優れる口紅化粧料を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成する為に、本発明による口紅化粧料は、
メタクリル酸トリフルオロエチルモノマー単位と、ジメチルポリシロキサン側鎖を有するアクリルモノマー単位を含むアクリレート共重合物および、25℃で、1000cSt以上の粘度を示す流体ジオルガノポリシロキサン化合物を含有することを特徴とするものである。
【0007】
本発明によれば、メタクリル酸トリフルオロエチルモノマー単位と、ジメチルポリシロキサン側鎖を有するアクリルモノマー単位とを含むアクリレート共重合物および、25℃で、1000cSt以上の粘度を示す流体ジオルガノポリシロキサン化合物が含有されているため、塗布後の艶が良く、色彩が鮮やかで、使用感に優れ、また、塗布された際に優れた転写抵抗性を発揮してカップや衣服等に転写されてしまうことがなく、さらには、化粧維持性にも優れた口紅化粧料を得ることができる。
【0008】
本発明においては、さらに、パーフルオロアルキルリン酸もしくはパーフルオロアルキルリン酸エステルを含む一種類以上の化合物が表面処理されている顔料粉体を含有するのが好ましい。こうすることによって、顔料粉体の分散性を高めることができるため、より一層発色性および使用感の優れた口紅化粧料を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による口紅化粧料の実施の形態について説明する。
【0010】
本実施形態による口紅化粧料に配合されるメタクリル酸トリフルオロエチルモノマー単位とジメチルポリシロキサン側鎖を有するアクリルモノマー単位とを含むアクリレート共重合物としては、イソブチルメタクリレートとトリフルオロエチルメタクリレートとジメチルポリシロキサンをグラフト化したメタクリレートの共重合物が挙げられ、米国グラントインダストリー社から「GRANACRYSIL FSA」の名称で市販されている本共重合物の水添ポリイソブデン溶液を使用することができる。また、25℃で1000cSt以上の粘度を有する流体ジオルガノポリシロキサン化合物としては、東芝シリコーン社から市販されている「TSE200A」が挙げられる。
【0011】
一方、口紅化粧料には、着色効果、紫外線遮断効果、メーキャップ効果を付与するため、様々な粉体を配合する。このような粉体としては、例えば、酸化チタン・酸化亜鉛・酸化セリウム・硫酸バリウム・酸化鉄・紺青・群青・タルク・雲母・セリサイト・カオリン・シリカ・炭酸カルシウム・被覆雲母等の無機粉体、ポリアミド系樹脂・ポリエチレン系樹脂・ポリアクリル系樹脂・ポリエステル系樹脂・フッ素系樹脂・セルロース系樹脂・シリコーン系樹脂・ウレタン系樹脂等の有機高分子樹脂粉体、シルク粉末・セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号・赤色202号・赤色205号・赤色226号・赤色228号・青色404号・黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号・赤色104号・赤色106号・青色1号・黄色4号・黄色5号等のジルコニウム、バリウム、アルミニウムレーキ等の有機顔料粉体等が挙げられる。なお、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、ラウロイルリジン化合物、セルロース化合物、シラン系化合物、高級脂肪酸等の1種または2種以上を用いて表面処理を施してあっても良いが、特に、パーフルオロアルキルリン酸あるいはパーフルオロアルキルリン酸エステルを含む1種類以上の化合物で表面処理した顔料粉体を使用すると、転写抵抗性を備え、発色およびその持続性が良く、使用感も良好な口紅化粧料を得ることができる。
【0012】
前記パーフルオロアルキルリン酸あるいはパーフルオロアルキルリン酸エステルを含む1種類以上の化合物で表面処理した顔料粉体としては、特公平5−86984号公報によるパーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン酸で表面処理された顔料粉体、特許第2724257号公報によるパーフルオロアルキルリン酸で表面処理された顔料粉体、特開2000−256133号公報によるパーフルオロアルキルリン酸あるいはそのエステルとシリコーン系化合物を同時に表面処理した顔料粉体、特開2001−302455号公報によるパーフルオロアルキルリン酸あるいはそのエステルとアクリルシリコーン系高分子化合物とを同時に表面処理した顔料粉体および特開2001−316223号公報によるパーフルオロアルキルリン酸あるいはそのエステルとアルコキシアルチルシラン化合物を同時に表面処理した顔料粉体等が挙げられる。
【0013】
本実施形態におけるこれら顔料粉体の配合量は、配合目的等により異なるが、0.1〜60%である。また、本実施形態の口紅化粧料の組成物においては分散剤、湿潤剤として界面活性剤等を配合することもできる。ここで用いられる界面活性剤としては、通常化粧料に用いられている界面活性剤であれば特に限定されることがなく、例えば、非イオン性界面活性剤・アニオン性界面活性剤・カチオン性界面活性剤・両面界面活性剤等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。なお、本実施形態の口紅化粧料における界面活性剤の配合量は0.01〜10%である。
【0014】
【実施例】
次に、本発明による口紅化粧料の具体的な実施例について表1、2を参照しつつ説明する。なお、本発明は以下に記載する実施例のみに限定されるものではない。
【0015】
FSAとTSE200Aの双方を含む二種類のリキッド状口紅を調整し、それぞれ実施例1、実施例2とした。なお、実施例2には、表面被覆処理が施された顔料粉体を使用した。次いで、FSAまたはTSE200Aのうち、いずれか一方を含む三種類のリキッド状口紅を調整しそれぞれを比較例1〜3とした。実施例1、2および比較例1〜3における各化粧料の配合比率を表1にまとめて示している。
【0016】
【表1】
Figure 0003840188
【0017】
なお、表中にてFSAで示されるのは、米国グラントインダストリー社から市販されている「GRANACRYSIL FSA」である。ここでFSAは、イソブチルメチルメタクリレートとトリフルオロエチルメタクリレートとビス・ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレート共重合体の水添ポリイソブデン40重量%溶液である。また、表中、高重合系ジメチルシリコーンで示されるのは、東芝シリコーン社から市販されている「TSE200A」であり、25℃で1000cSt以上の粘度を有する流体ジオルガノポリシロキサン化合物である。一方、実施例2における表面被覆顔料粉体としては、顔料粉体にパーフルオロアルキルリン酸を5%、アクリルシリコーン共重合体を2%それぞれ同時に表面処理したものを使用した(特開2001−302455公報参照。)。
【0018】
次いで、化粧暦10年以上の女性50人による各口紅化粧料の官能試験を行い、実施例1、2にて得られる口紅化粧料の「口紅化粧料の状態」、「使用感」、「2次付着防止効果」、「化粧効果の持続性」についての評価を行った。その結果を表2に示す。なお、「化粧効果の持続性」については、塗布後6時間経過した口紅の状態に基づき評価した。
【0019】
【表2】
Figure 0003840188
【0020】
表2に示される官能試験結果から明らかなように、実施例1の配合比率にて調整される口紅化粧料は、比較例1〜3の口紅化粧料よりも転写抵抗性(2次付着防止効果)および発色(化粧効果)の持続性に優れている。これは、比較例1〜3の口紅化粧料がいずれも、FSA、TSE200Aのうちいずれか一方しか含有されていないのに対して、実施例1の口紅化粧料には、FSAおよびTSE200Aの双方が含有されているのに起因する。また、FSAおよびTSE200Aに加え、表面被覆処理が施された顔料粉体が配合される実施例2の口紅化粧料は、実施例1と同様に転写抵抗性(2次付着防止効果)および発色(化粧効果)の持続性に優れるとともに、表面被覆された顔料粉体の作用によって、発色性(口紅化粧料の状態)・使用感がさらに高められているのが分かる。

Claims (2)

  1. メタクリル酸トリフルオロエチルモノマー単位と、ジメチルポリシロキサン側鎖を有するアクリルモノマー単位を含むアクリレート共重合物および、25℃で、1000cSt以上の粘度を示す流体ジオルガノポリシロキサン化合物を含有してなることを特徴とする口紅化粧料。
  2. さらに、パーフルオロアルキルリン酸もしくはパーフルオロアルキルリン酸エステルを含む一種類以上の化合物が表面処理されている顔料粉体を含有する請求項1に記載の口紅化粧料。
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