JP3652617B2 - 粉体化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体化粧料に関するものであり、更に詳細には、良好な感触を有し、化粧持続性に優れた粉体化粧料に関する。
【0002】
【従来技術】
粉体化粧料としては、ファンデーション、白粉、頬紅、アイシャドー、アイブロー等のメイクアップ化粧品、ボディーパウダー、ベビーパウダー等のボディー化粧品等が市販されている。これらの粉体化粧料においては、肌上での伸び及び付着性の良さといった使用感や、平滑感等の良好な感触及び化粧崩れのなさ等が求められてきた。
【0003】
従来、粉体化粧料においては、化粧効果の持続性を向上させる為に、汗や皮脂を吸収する粉体を配合したり、肌への付着性が高い油剤を配合したり、粉体に予め被覆処理して配合したり、汗や皮脂で粉体が濡れないように粉体にシリコーン化合物やフッ素化合物等で撥水性処理して配合すること等がなされてきた。
【0004】
特開2000−128767号公報によれば、イソパラフィンを主成分としたワックス組成物をメーキャップ化粧品に配合した場合、イソパラフィンを主成分としたワックス組成物がメーキャツプ化粧品の肌上での伸展性、付着性を向上させ、肌のべたつき、脂ぎった光沢を防止することが記載されている。
【0005】
しかしながら、同公報は油性化粧料を主に論じられており、粉体化粧料にイソパラフィンを主成分とした該ワックス組成物を配合した場合の特性については上記以上の記載が見られなく、単に該油性化粧料を粉体化粧料とした場合には、粉体化粧料に好適な特性である延展性や感触のやわらかさが不十分であった。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】
斯かる状況下、本発明は、肌上での延展性、付着性がよく、感触のやわらかさに優れ、肌のべたつき、脂ぎった光沢がなく、化粧持続性(ラスティング性)に優れた粉体化粧料を提供するにある。
【0007】
【問題を解決するための手段】
本発明者は、以上の事情に鑑み、鋭意検討した結果、前述したワックス組成物とシリコーン油とを組み合わせて用いると上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、イソパラフィン60〜100質量部及びノルマルパラフィン0〜40質量部を含有する炭化水素からなり、炭化水素の炭素数は20〜45、融点30〜55℃であるワックス組成物と、常温で液状のシリコーン油とを含有することを特徴とする粉体化粧料にある。また、該粉体化粧料において、ワックス組成物の含有量(A):常温で液状のシリコーン油の含有量(B)が、(B)/(A)>0.2である粉体化粧料にある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳説する。
【0010】
本発明で用いられるイソパラフィン60〜100質量部及びノルマルパラフィン0〜40質量部を含有する炭化水素からなるワックス組成物(以下、単に本ワックス組成物と記する)は、イソパラフィン及びノルマルパラフィンを該含有量範囲で含有している、炭化水素からなるワックス組成物である。イソパラフィン及びノルマルパラフィン以外の炭化水素を含有していても良い。構成する炭化水素は炭素数20〜60の範囲のものが好ましく、特に好ましくは20〜45である。また、融点は30〜70℃となるものが好ましく。更に好ましくは30〜55℃である。炭化水素の炭素数が20〜45であり、かつ融点が30〜55℃であるものが最も好ましい。この範囲外であると、塗布時の延展性や肌あたりの柔らかさが失われる等の問題が発生したり、ワックス自体の粉体に対する分散性が低下する場合があり好ましくない。本発明で用いるイソパラフィンを主成分としたワックス組成物の内、最も好ましいものとしては、例えば、日本精蝋社製「EMW−0003」等が挙げられる。
【0011】
本発明では、上記の本ワックス組成物を粉体化粧料中に0.1〜12質量%配合することが好ましい。本発明の粉体化粧料中のバインダー中に占めるワックス組成物の割合は、10〜65質量%の範囲にあることが好ましい。10質量%未満では固形成分としての付着性・化粧持続性の効果が十分には発揮できない場合があり、また65質量%を超えると分散性が悪くなり、滑らかさがなくなったり、粉体が均一に濡れないため粉っぽさを感じたりするようになる場合があり好ましくない。
【0012】
上記バインダーとしては、本ワックス組成物及びシリコーン油を包含し、通常化粧料に用いられる揮発性又は不揮発性の油剤及び溶剤、並びに水溶性又は油溶性樹脂等結合助剤として機能するものであれば特に限定されず用いることができる。具体的には、例えば、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類、高級脂肪酸、高級アルコール等の固形・半固形油分;スクワラン、流動パラフィン等の炭化水素油、イソノナン酸イソニニル、イソステアリン酸グリセリル等のエステル油、ジグリセライド、トリグリセライド等の流動油分;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤;水溶性及び油溶性ポリマーが挙げられる。特に、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ミリスチン酸イソセチル、乳酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、オリーブスクワラン等、バインダーの溶解温度以上で、本ワックス組成物と常温液状シリコーンとの混和性を高める性質を持つ油剤を配合することが好ましい。
【0013】
本発明で用いられる常温で液状のシリコーン油としては、通常化粧料に用いられるものが特に限定されず使用でき、例えば ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン油、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シリコーン油、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合することができる。
【0014】
本発明では、バインダーが本ワックス組成物と共に常温で液状のシリコーン油を含んでいることが好ましい。特に液状のシリコーン油の配合量が、常温で液状のシリコーン油の配合量(B)と本ワックス組成物の配合量(A)が、(B)/(A)>0.2を満たすものであることが好ましい。0.2未満では常温で液状シリコーン油によるワックス組成物の分散性の向上効果が十分ではない場合があり、伸びやさらさら感といった感触面に問題がでる場合がある。0.2を超えるとワックスの分散性が良好となり、固体ワックスの付着性、化粧持続性の効果が十分に発揮される。
【0015】
本発明の粉体化粧料には、化粧料に一般に用いられる粉体を何ら制限なく用いることができる。例えば、赤色104号アルミニウムレーキ、赤色102号アルミニウムレーキ、赤色226号、赤色201号、赤色202号、青色1号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色203号バリウムレーキ等の色素およびレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、麻セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子樹脂粉末、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、球状シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、アルミナ処理微粒子酸化チタン、シリカ処理微粒子酸化チタン等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状など)や大きさに特に制限はない。
【0016】
また、上記の粉体は、従来公知の各種表面処理、例えばシリコーン処理、ペンダント処理、シランカップリング処理、チタンカップリング処理、フッ素化合物処理、油剤処理、金属石鹸処理、ワックス処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、アミノ酸処理、水溶性高分子化合物処理、樹脂処理、金属酸化物処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理、粘剤処理等が行われていても、いなくてもかまわない。
【0017】
本発明の粉体化粧料としては、例えば、ファンデーション、アイシャドウ、プレストパウダー、ルースパウダー、フェイスパウダー、フェイスカラー、チークカラー、アイブロウ、ボディパウダー、パフュームパウダー、リップカラー等が挙げられる。
【0018】
本発明の粉体化粧料では、上記の各成分と共に通常化粧料に用いられる各種の成分、例えば、界面活性剤、紫外線防御剤(有機系、無機系を含む。UV−A、Bのいずれに対応していてもかまわない)、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤等を用いることができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、実施例によって何等本発明の範囲が限定されるものではない。なお、実施例中の配合量はすべて質量%を表す。実施例及び比較例で用いた粉体化粧料の各種特性に対する評価方法を以下に示す。尚、以下において、ワックス組成物としてはEMW−0003(日本精蝋社製)を用いた。該ワックス組成物は、ノルマルパラフィン(炭素数17〜33;平均炭素数24.7)約32%、イソパラフィン(炭素数21〜35;平均炭素数27.9)68.5%の組成で、融点49.5℃である。
【0020】
・皮膚有用性評価
専門パネラーを各評価品目毎に10名ずつ用意し(但し、品目によりパネラーが重複する場合もある)、下記に示す評価基準に従って評価を行い、全パネラーの平均点数を以って評価結果とした。従って、点数が高いほど評価項目に対する有用性が高いことを示す。
【0021】
評価基準 点数
効果が高く感じられる 5
効果が感じられる 4
効果はやや感じられる 3
効果はわずかしか感じられない 2
効果が感じられない 1
【0022】
実施例1〜5、比較例1〜5
表1の処方と下記製造方法に従い、パウダーファンデーションを作製した。
【0023】
【表1】
【0024】
・製造方法
油性成分を加熱混合し、事前に混合した粉体成分の上からゆっくりと加え、さらに均一状態になるまで混合した後、60メッシュを通し、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
【0025】
実施例6〜8
表2の処方と下記製造方法に従い、パウダーアイシャドウを作製した。
【0026】
【表2】
【0027】
・製造方法
油性成分を加熱混合し、事前に混合した粉体成分の上からゆっくりと加え、さらに均一状態になるまで混合した後、60メッシュを通し、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
【0028】
表1と表2の結果から、本発明の実施例は比較例と比べて、塗布時の延展性や柔らかさ等の良好な感触を有し、かつ化粧持続性(ラスティング性)に優れていることが判った。
【0029】
応用例1(パウダーファンデーション)
ワックス組成物(EMW−0003) 4.0%
メチルポリシロキサン 1.8
イソノナン酸イソノニル 1.8
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 1.4
ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル 1.0
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
ニンジンエキス 0.1
ジオウエキス 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 0.2
香料 0.1
Nε−ラウロイル−L−リジン処理着色顔料 3.0
Nε−ラウロイル−L−リジン処理 12.0
強凝集性酸化チタン
ミリスチン酸亜鉛処理酸化チタン 10.0
シリコン処理微粒子酸化チタン 3.0
シリコン処理麻セルロース末 15.0
シリコン処理合成金雲母 20.0
ミリスチン酸亜鉛処理セリサイト 21.4
ポリアクリル酸アルキル 5.0
【0030】
上記の組成からなるパウダーファンデーションを常法に従い調製し、前記試験を行った結果、全ての項目において良好であった。
【0031】
【発明の効果】
以上のことから、本発明は、特定の組成を有するイソパラフィンを主成分としたワックス組成物と、さらに、常温で液状のシリコーン油を配合することにより、良好な感触を有し、かつ化粧持続性(ラスティング性)に優れた粉体化粧料が得られることは明らかである。
Claims (2)
- イソパラフィン60〜100質量部及びノルマルパラフィン0〜40質量部を含有し、かつ炭素数20〜45であり、融点が30〜55℃である炭化水素からなるワックス組成物と、常温で液状のシリコーン油とを含有することを特徴とする粉体化粧料。
- ワックス組成物の含有量(A):常温で液状のシリコーン油の含有量(B)が、(B)/(A)>0.2である請求項1記載の粉体化粧料。
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