JP3839754B2 - 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば浮上式磁気ヘッドなどに使用されるインダクティブ型の薄膜磁気ヘッドに係り、特に記録用の磁気ギャップのトラック幅を高精度に形成して、ライトフリンジングの発生を抑制できるようにした薄膜磁気ヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14は従来の薄膜磁気ヘッドの縦断面図、図15は図14の薄膜磁気ヘッドの記録媒体との対向部を示すものであり、図14のXV矢視の部分正面図である。
【0003】
図14と図15に示す薄膜磁気ヘッドは、ハードディスクなどの記録媒体へ信号を書き込むインダクティブヘッドである。このインダクティブヘッドは、ハードディスクなどの記録媒体に対向する浮上式磁気ヘッドのスライダのトレーリング側端面において、磁気抵抗効果を利用した読み出しヘッドに積層されて設けられるものである。
【0004】
図14での符号11は、Fe―Ni系合金(パーマロイ)などの高透磁率の磁性材料で形成された下部コア層である。磁気抵抗効果を利用した読み出しヘッドに図14に示すインダクティブヘッドが連続して積層された複合型薄膜磁気ヘッドでは、前記下部コア層11が、読み出しヘッドの上部シールド層として機能する。
【0005】
下部コア層11の上には、Al2O3(アルミナ)などの非磁性材料で形成されたギャップ層12が設けられている。ギャップ層12の上にはレジスト材料やその他の有機材料で形成された絶縁層4が形成されている。
【0006】
前記絶縁層4上には、Cuなどの電気抵抗の低い導電性材料により、コイル層5が螺旋状に形成されている。なお、コイル層5は、上部コア層7の基端部7bの周囲を周回するように形成されているが、図14ではそのコイル層5の一部のみが現れている。
【0007】
そして、コイル層5上には、有機樹脂材料などの絶縁層6が形成されている。絶縁層6の上には、パーマロイなどの磁性材料がメッキされて上部コア層7が形成されている。上部コア層7の先端部7aは、記録媒体との対向部において、下部コア層11上に前記ギャップ層12を介して接合され、ギャップ長Glの磁気ギャップが形成されている。また上部コア層7の基端部7bは、ギャップ層12および絶縁層4に形成された穴を介して、下部コア層11に磁気的に接続されている。
【0008】
書き込み用のインダクティブヘッドでは、コイル層5に記録電流が与えられると、下部コア層11および上部コア層7に記録磁界が誘導され、下部コア層11と上部コア層7の先端部7aとの磁気ギャップ部分からの洩れ磁界により、ハードディスクなどの記録媒体に磁気信号が記録される。
【0009】
このインダクティブヘッドの書き込み用の磁気ギャップでは、ギャップ層12を介して接合される下部コア層11と上部コア層7の先端部7aとの間隔(すなわちギャップ層12の膜厚)でギャップ長Glが設定され、上部コア層7の先端部7aの奥行き寸法によりギャップ深さ(ギャップデプス)Gdが決められる。また図15に示すようにトラック幅Twは、上部コア層7の先端部7aの幅寸法で決められる。
【0010】
図15に示すように、下部コア層11の幅寸法T3は、上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twよりも十分に大きく形成されている。下部コア層11の幅寸法T3が大きくなっている理由は、下部コア層11により、インダクティブヘッドの下層に形成される磁気抵抗効果素子層13に対する磁気シールドを行なっているためである。すなわち、図15に示すように、磁気抵抗効果を利用した読み出しヘッドでは、下部シールド層14上に下部ギャップ層15aを介して磁気抵抗効果素子層13が設けられ、この磁気抵抗効果素子層13の上に上部ギャップ層15bを介して前記下部コア層11が形成され、この下部コア層11が、磁気抵抗効果素子層13に対する上部シールド層として兼用されている。この上部シールド層としての機能を発揮するためにその幅寸法T3は磁気抵抗効果素子層13の幅寸法よりも十分に大きくなっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図15に示すように、上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twに対して、下部コア層11の幅寸法T3が大きいと、下部コア層11と上部コア層7に記録磁界が誘導され、先端部7aと下部コア層11との間において洩れ磁界が発生するときに、この洩れ磁界が幅寸法(トラック幅)Twの範囲内に収まらず、下部コア層11の幅寸法に引きずられて幅Twの両側に洩れ磁界が形成される。
【0012】
その結果、ハードディスクなどの記録媒体の記録面に形成された磁気信号に、本来のトラック幅Twからはみ出るライトフリンジング(書き込み滲み)が発生する。このライトフリンジングが発生すると、書き込まれた記録媒体でのトラック位置検出を高精度に行なうことができず、トラッキングサーボエラーを引き起こす。特に、高密度記録を行なう場合には、隣接するトラックのピッチが狭くなるため、ライトフリンジングによる影響が大きくなる。
【0013】
図16(a)は、前記ライトフリンジングの発生を抑制するための改良例を、記録媒体との対向部側から見た正面図である。
【0014】
図16(a)に示すものでは、下部コア層11の上にギャップ層12が形成され、さらにギャップ層12上に上部コア層7の先端部7aが形成された後に、イオンミリングなどにより下部コア層11およびギャップ層12を削り、上部コア層7の先端部7aの両側部分において、下部コア層11とギャップ層12に、互いに連続する斜面11aと12aを形成したものである。なお、前記斜面11aと12aは共に傾斜角度θ5で形成されている。
【0015】
しかし、イオンミリングなどで下部コア層11およびギャップ層12を一緒に削ったものでは、ギャップ層12の両側部に斜面12a,12aが形成されるため、下部コア層11での先端部7aと対向する面11bの幅寸法T6は、先端部7aの幅寸法(トラック幅)Twよりも大きくなる。図16(b)はこのヘッドを用いて記録された磁気データの記録パターンを示しているが、前記面11bの幅寸法T6がTwよりも広いために、書き込み磁界が本来のトラック幅Twから左右に滲み、ライトフリンジングが発生する。
【0016】
図16(a)に示したものは、図15に示したものに比べてライトフリンジングの程度を低下させることができる。しかし、高密度化記録を行ないトラックピッチがさらに短くなっていくと、図16(b)に示すライトフリンジングにより、トラック位置の検出エラーを生じやすくなり、図16(a)に示す改善では不十分である。
【0017】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ライトフリンジングを改善しまたはライトフリンジングを十分に抑制できるようにし、しかも、ヘッドの構造を複雑にせず、製造も容易な薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁性材料の下部コア層と、下部コア層上に非磁性材料のギャップ層を介して対向する磁性材料の上部コア層と、下部コア層及び上部コア層に記録磁界を誘導するコイル層とが設けられた薄膜磁気ヘッドの製造方法において、
下部コア層の上に、SiO2,Ta25,Si34,TiO,WO3の1種または2種以上の材料から選択される非磁性材料の層を形成する工程と、
前記非磁性材料の層の上に下部コア層よりも幅寸法の小さい上部コア層を形成する工程と、
前記下部コア層と前記上部コア層の先端部とで挟まれた前記非磁性材料の層をギャップ層として残し、その両側の前記非磁性材料の層をプラズマ化されたCF4又はCF4とO2の混合ガスと化学反応させる異方性プラズマエッチングによって除去する工程と、
前記下部コア層の前記ギャップ層に接する対向面の両側部分を削り取り、前記ギャップ層を介して上部コア層と対向する前記下部コア層の上部に、前記ギャップ層の幅寸法と一致させた隆起部を形成し、前記上部コア層の前記先端部、前記ギャップ層、及び前記下部コア層の前記隆起部の側面を、記録媒体との対向面からギャップ深さGd位置まで達する奥行き長さを有する連続面とする工程と、
前記隆起部の基端から両側に延びる下部コア層の上面に、上部コア層から離れる方向へ傾斜する傾斜面を形成する工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0024】
この薄膜磁気ヘッドの製造方法では、図4(a)に示す従来の薄膜磁気ヘッドの状態(図15参照)から、まず、ギャップ層3a以外の非磁性材料の層3を除去し、その次に、図4(c)の工程で、下部コア層1のギャップ層との対向面の両側部分を削り取ることにより、下部コア層1の上に隆起部1aを形成することが可能である。特に、図4(c)の工程にて、前記隆起部1aを、上部コア層の幅寸法Twとほぼ同じ幅寸法T1を有する矩形状に形成できる。
【0025】
また図4(d)の工程では、下部コア層に傾斜面を形成でき、しかも、図4(c)の工程時に、上部コア層、ギャップ層、および隆起部の両側に付着した磁性材料の層を除去できる。
【0026】
また、図4(b)に示すエッチング工程では、上部コア層7の先端部7aと下部コア層1(あるいは隆起部2)との間に介在する非磁性材料の層3がギャップ層3aとして残され、それ以外の非磁性材料の層3が除去される。ただしこのとき、前記下部コア層1などの磁性材料の層は、このエッチングによる影響を受けないようにされている必要がある。そこで、本発明では、この工程で、磁性材料の層にダメージを与えないプラズマエッチングが使用される。
【0027】
つまり、非磁性材料の層3(ギャップ層3aを含む)を形成する材料として、プラズマエッチングにて化学的作用による除去可能な材料が選択される必要があるが、例えば一般的に使用されているAl23(アルミナ)などの非磁性材料を、プラズマエッチングにて除去しようとすると、Cl系ガスを用いる必要がある。しかし、Cl系ガスでは、磁性材料の層(上部コア層や下部コア層)が腐食されるという問題が生じる。
【0028】
そこで、本発明では、非磁性材料のみが選択的にエッチングされるように、プラズマエッチングにCF4系ガスを用い、このCF4系ガスにて除去可能な非磁性材料として、上述したSiO2,Ta25,Si34,TiO,WO3の1種または2種以上の材料が選択される。
【0029】
本発明では、前記プラズマエッチングには、プラズマ化されたCF4、またはCF4と02の混合ガスが使用され、さらに図4(b)に示すように、前記プラズマエッチングは、垂直方向(図示R方向)のみの方向性を有する異方性プラズマエッチングである。
【0030】
この異方性プラズマエッチングにより、下部コア層または隆起部と上部コア層との間に介在しているギャップ層以外の非磁性材料が選択的に除去される。なおこの異方性プラズマエッチングでは、前述した通り、磁性材料の層はダメージを受けない。
【0031】
また、図4(c)に示す隆起部を形成する工程は、隆起部のギャップ対向面と垂直な方向に対し0°から30°傾けられたイオン照射角度を有する第1次イオンミリングにより行われることが好ましい。
【0032】
前記イオンミリングには、中性イオン化されたアルゴンガスによるミリングが用いられる。
【0033】
図4(c)に示す第1次イオンミリングでは、下部コア層の上面の両側部分が削り取られ、前記下部コア層に、上部コア層の幅寸法Twとほぼ同じ幅寸法T1を有する隆起部が形成される。
【0034】
ただし、この第1次イオンミリングにて、削り取られた磁性材料が、図4(c)に示すように、ギャップ層の両側などに再付着してしまう。
【0035】
図4(d)に示す下部コア層側に傾斜面を形成する工程は、隆起部のギャップ対向面と垂直な方向に対し、45°から70°傾けられたイオン照射角度を有する第2次イオンミリングにより行われることが好ましい。
【0036】
この第2次イオンミリングでは、下部コア層の両側に傾斜面が形成されると同時に、前述したギャップ層の両側などに再付着した磁性材料が削り取られる。
【0037】
このように、本発明では、下部コア層に隆起部が形成されているので、前記隆起部と上部コア層との間で漏れ磁界が発生しやすくなる。特に、下部コア層の上面に傾斜面が形成されていることで、前記傾斜面を有する部分の下部コア層が、上部コア層からより離れ、傾斜面を有する部分の下部コア層と上部コア層との間で漏れ磁界が発生しにくくなり、よって従来のように上部コア層の幅寸法で決められるトラック幅Twの両側に漏れ磁界が形成されることが少なくなる。
【0038】
従って、本発明では、前記トラック幅Twからの書込み滲みの量を小さくでき、ライトフリンジングを抑制できる。
【0039】
また、前記隆起部が幅Twとほぼ同じ幅寸法T1を有する矩形状で形成されていると、上部コア層と隆起部との間で発生する漏れ磁界が、確実にトラック幅Tw内に収められ、よりライトフリンジングの発生を抑制することが可能となる。
【0040】
また前記隆起部の正面形状が台形で形成されている、つまり前記隆起部の両側面に傾斜面が形成されていてもよい。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
【0042】
図1は、本発明の第1の実施形態の薄膜磁気ヘッドの書き込み用の磁気ギャップ形成部分の構造を示す部分斜視図、図2は本発明の第2の実施形態の薄膜磁気ヘッドの書き込み用の磁気ギャップ形成部分の構造を示す部分斜視図である。
【0043】
図1および図2に示す薄膜磁気ヘッドは書き込み用のいわゆるインダクティブヘッドであり、このインダクティブヘッドは、磁気抵抗効果を利用した読み出しヘッドの上に積層されている。
【0044】
図1と図2に示す符号1は、Fe―Ni系合金(パーマロイ)などの高透磁率の軟磁性材料で形成された下部コア層である。なお、図1と図2に示す薄膜磁気ヘッドでは、前記下部コア層1の形状が異なっているだけで、他の部分での構造は全く同じとなっている。
【0045】
図15に示したのと同様に、前記下部コア層1の下には磁気抵抗効果素子層13と下部シールド層14を有する磁気抵抗効果を利用した読み出しヘッドが設けられており、下部コア層1は磁気抵抗効果素子層13に対する上部シールド層として兼用されている。この上部シールド層としての機能を十分に発揮できるようにするために、下部コア層1の底面1eの幅寸法T3は、磁気抵抗効果素子層13に比べて十分に大きく形成されている。なお磁気抵抗効果素子層13は、例えば軟磁性層(SAL層)、非磁性層(SHUNT層)、磁気抵抗効果層(MR層)が積層されたものなどであり、この磁気抵抗効果素子層13の両側には縦バイアス磁界を与えるためのハードバイアス層と、検出電流を与える主電極層などが設けられている。
【0046】
まず、図1に示す薄膜磁気ヘッドの下部コア層1の形状から説明する。
図1に示すように、前記下部コア層1には、矩形状の隆起部1aが、前記下部コア層1と一体となって形成されている。つまり、図1に示す隆起部1aの両側面1c,1cは、図示垂直方向に延びる垂直面となっており、前記隆起部1aのギャップ対向面(上面)1dが平面となっている。
【0047】
図に示すように、前記隆起部1aの幅寸法はT1で形成されており、この幅寸法T1は、後述する上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twとほぼ同じにされている。
【0048】
また、前記隆起部の基端の両側に延びる下部コア層1の上面には、傾斜面1b,1bが形成されている。
【0049】
また前述したように、下部コア層1の底面1eは、幅寸法T3で形成されており、この幅寸法T3は隆起部1aの幅寸法T1よりも十分に大きくなっている。
【0050】
図1に示す下部コア層1と同じように、図2に示す下部コア層1にも隆起部2が形成されている。ただしこの例では、前記下部コア層1が第1の層となり、この第1の層の上に第2の層が積層され、この第2の層が前記隆起部2となっている。図2に示す前記隆起部2は、下部コア層1と同じ様に軟磁性材料にて形成されている。
【0051】
図2に示す前記隆起部2は、その正面形状が台形である。すなわち、前記隆起部2の両側面2a,2aは傾斜面となっており、ギャップ対向面(上面)2bは平面となっている。そして、前記ギャップ対向面2bの幅寸法はT1で形成されている。なお、この幅寸法T1は、後述する上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twとほぼ同じである。
【0052】
また、前記隆起部2の下部コア層1(第1の層)1との境界面2cも平面となっており、その幅寸法はT2で形成されている。図に示すように、この幅寸法T2は、前記隆起部2のギャップ対向面2bの幅寸法T1よりも大きくなっている。
【0053】
さらに、前記下部コア層(第1の層)1は、隆起部2との境界面1fが平面で、その幅寸法はT2で形成され、前記境界面1fの両側が傾斜面1b,1bとなっている。また、前記下部コア層1の底面1eの幅寸法は、前述した通りT3であり、T3は境界面1f(あるいは2c)の幅寸法T2よりも十分に大きくなっている。
【0054】
本発明では、図1および図2の薄膜磁気ヘッドのどちらであっても、従来に比べてよりライトフリンジングの発生を抑制できる。ただし図1に示す隆起部1aのように、その形状が矩形状である、あるいは矩形状に近い方がよりライトフリンジングの程度を低下させることが可能となる。
【0055】
つまり、図2に示す隆起部2の場合も、その傾斜面2a,2aとギャップ対向面2bとの間の傾斜角度θ1が90°に近いことがより好ましく、本発明において、十分にライトフリンジングの発生の抑制を期待できる好ましい傾斜角度θ1は、60°から120°である。
【0056】
さらに、本発明では図1および図2に示す隆起部1a(または2)の高さ寸法Hが後述するギャップ層3aの膜厚に比べて1倍から3倍程度の寸法で形成されていることが好ましい。
【0057】
前記隆起部1a(または2)の高さ寸法Hが前記ギャップ層3aの膜厚より短いと、前記隆起部1a(あるいは2)の基端の両側に延びる下部コア層1(傾斜面1bを有する部分の下部コア層)と前記先端部7aとの間で漏れ磁界が発生しやすくなり、ライトフリンジングの発生の抑制効果をあまり期待できない。
【0058】
また、前記隆起部1a(または2)の高さ寸法Hがギャップ層3aの膜厚の3倍以上であると、ライトフリンジングの発生は抑制できるが、下部コア層1の底面1eから傾斜面1bまでの膜厚は実質的に薄くなり、下部コア層1の磁気抵抗効果素子層13(図15参照)に対する上部シールド層としての機能が低下してしまう。
【0059】
また、本発明では、下部コア層1の傾斜面1bと前記ギャップ対向面2b(または境界面1f)との間の傾斜角度θ2は、2°から10°の範囲内であることが好ましい。
【0060】
前記傾斜面1bの傾斜角度θ2が2°よりも小さいと、隆起部1a(あるいは2)の基端から延びる下部コア層1(傾斜面1bを有する部分の下部コア層)と上部コア層7との間で漏れ磁界が発生しやすくなり、ライトフリンジングの発生の抑制効果をあまり期待できない。
【0061】
また前記傾斜面1bの傾斜角度θ2が10°よりも大きいと、前記傾斜面1bが上部コア層7からより離れるため、隆起部1(あるいは2)の基端から延びる下部コア層1(傾斜面1bを有する部分の下部コア層)と上部コア層7との間で漏れ磁界が発生しにくくなり、ライトフリンジングの程度をより低下させることが可能となる。しかし、前記傾斜面1bの傾斜角度θ2が10°よりも大きいと、前記下部コア層1の特に、両端部付近における膜厚が薄くなり、あるいは前記下部コア層1の底面1eの幅寸法T3自体が短くなり、これにより下部コア層1の磁気抵抗効果素子層13(図15参照)に対する上部シールド層としての機能は低下してしまう。
【0062】
図3は、図2に示す薄膜磁気ヘッドのIII−III線の断面図である。なお、図3に示す符号2(隆起部)を図1に示す符号1a(隆起部)に変更すれば、図3は図1に示す薄膜磁気ヘッドの断面図となる。このため、以下で、「隆起部」を表示するときは、「隆起部2(または1a)」と表示する。
【0063】
図3に示すように、隆起部2(または1a)の奥行き方向の長さはGdであり、このGdがギャップ深さ(ギャップデプス)である。
【0064】
符号3は非磁性材料の層であり、この非磁性材料の層3は、隆起部2(または1a)の対向面1dの上、ならびに下部コア層1の前記傾斜面1b,1b以外の上面(絶縁層6中)、および下部コア層1の両側面(絶縁層6中)、さらに下部コア層1以外の領域に形成されている。すなわち、後に示す製造工程において、非磁性材料の層3は、隆起部2(または1a)の対向面1d上にてギャップ層3aとして残され、その両側の部分では除去される。
【0065】
本発明では、前記非磁性材料の層3が、SiO2,Ta25,Si34,TiO,WO3,Ti23,Ti35,TiO2の単層膜、あるいは2種類以上の複合膜または多層膜で形成されている。これらの非磁性材料は、プラズマエッチングによる化学的作用で除去可能な材料である。
【0066】
前記非磁性材料の層3の上には、有機樹脂材料例えばレジスト材料の絶縁層4が形成されている。さらに、絶縁層4の上に、Cuなどの電気抵抗の小さい導電性材料によりコイル層5が形成されている。このコイル層5は、上部コア層7の基端部7bの周囲にて螺旋状となるように平面的に形成されている。さらにコイル層5の上に、有機樹脂材料の絶縁層6が覆われるように形成されている。
【0067】
そして、前記絶縁層6の上に上部コア層7がメッキ工程により形成されている。上部コア層7は、パーマロイなどの磁性材料で形成されており、先端部7aは前記隆起部2(または1a)の対向面1d上に、ギャップ層3aを介して接合され、ギャップ長Glの磁気ギャップが形成されている。
【0068】
図1および図2に示すように、上部コア層7の先端部7aの幅寸法はTwである。前述したように、この幅寸法Twと、前記隆起部1a(または2)のギャップ対向面1d(または2b)の幅寸法T1とは、互いに等しく(Tw=T1)またはほぼ等しく形成される。また磁気ギャップのトラック幅は前記Tw(=T1)により決められる。さらに、図3に示すように、上部コア層7の基端部7bは、下部コア層1と磁気的に接続されている。
【0069】
上部コア層7上は、アルミナなどの非磁性材料で形成された保護膜(図示しない)で覆われている。
【0070】
このインダクティブヘッドでは、コイル層5に記録電流が与えられると、下部コア層1及び上部コア層7に記録磁界が誘導され、ギャップ長Glの部分で、隆起部1a(または2)と上部コア層7の先端部7aとの間からの洩れ磁界により、ハードディスクなどの記録媒体に磁気信号が記録される。
【0071】
このインダクティブヘッドでは、隆起部1a(または2)のギャップ対向面1d(または2b)の幅寸法T1と上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twが完全に一致しまたはほぼ等しいため、前記Twで決められるトラック幅から記録用磁界が滲み出る範囲が狭くなり、ライトフリンジングを抑制できる。
【0072】
特に、図1に示す隆起部1aのように、その形状が矩形状であると、前記隆起部1aと上部コア層7の先端部7aとの間で発生する漏れ磁界は、トラック幅Tw内にほぼ完全に収まるので、よりライトフリンジングの発生を抑制することが可能となる。
【0073】
ただし、図2に示す隆起部2のように、その両側面2a,2aが傾斜面となっていても、前記傾斜面2a,2aの傾斜角度θ1が60°から120°の範囲内であれば、従来に比べて、十分にライトフリンジングの発生を抑制できる。
【0074】
また、前記隆起部1a(または2)の高さ寸法Hが、ギャップ層3aの膜厚の1倍から3倍の範囲内で形成され、さらに、下部コア層1の傾斜面1b,1bの傾斜角度θ2が2°から10°の範囲内であると、よりライトフリンジングの発生を抑制でき、しかも前記下部コア層1の上部シールド層としての機能を低下させることがない。
【0075】
以上のように、本発明では、ライトフリンジングがきわめて効果的に抑制できるため、記録媒体に、トラックピッチがきわめて短くなるように記録することが可能になり、高密度記録を可能にできる。
【0076】
次に、図4(a)ないし図4(d)に基づいて、図1に示す下部コア層1および隆起部1aを形成する製造方法を工程順に説明する。
【0077】
図4(a)では、まず軟磁性材料製の下部コア層1が、長方形(矩形)状で、しかも幅寸法がT3で形成される。この下部コア層1の上に、SiO2,Ta25,Si34,TiO,WO3,Ti23,Ti35,TiO2の単層膜、あるいは2種類以上の複合膜または多層膜などで形成された非磁性材料の層3が形成される。SiO2などの非磁性材料は、後のCF4またはCF4と酸素(O2)によるプラズマエッチングによって化学的に除去されやすい材料である。
【0078】
そして、前記非磁性材料の層3の上に上部コア層7の先端部7aが幅寸法Twにて形成される。前記先端部7aの形成方法は、まず上部コア層7の先端部7aの形状領域以外の前記非磁性材料の層3上にレジストパターンが形成される。そして、前記レジストパターンが形成されていない部分に軟磁性材料がメッキ形成され、さらにレジスト材料が除去される。このようにして、前記上部コア層7の先端部7aは、非磁性材料の層3の上に形成される。
【0079】
図4(b)では、上部コア層7の先端部7aと下部コア層1との間に介在している非磁性材料の層3をギャップ層3aとして残し、その両側の非磁性材料の層3(点線部分)がプラズマエッチングにより除去される。
【0080】
前述したように、非磁性材料の層3は、プラズマエッチングに使用されるプラズマ化されたCF4またはCF4と酸素(O2)の混合ガスと化学反応を起こす例えばSiO2などの非磁性材料で形成されている。
【0081】
また、前記プラズマエッチングは、化学的作用により非磁性材料を除去するものであるため、このプラズマエッチングにより、下部コア層1および上部コア層7を形成する軟磁性材料は、ダメージを受けることがない。
【0082】
本発明で使用される前記プラズマエッチングは、図に示すように、矢印R方向(垂直方向)のみから行われる、いわゆる異方性プラズマエッチングである。
【0083】
従って、先端部7aと下部コア層1との間に介在しているギャップ層3aは前記プラズマエッチングに影響されず、先端部7aと下部コア層との間にて、幅寸法Tw(=T1)にて残される。
【0084】
図4(c)では、第1次イオンミリングにて、下部コア層1に隆起部1aが形成される。
【0085】
前記イオンミリングには、中性イオン化されたAr(アルゴン)ガスが使用される。この第1次イオンミリングでは、矢印S方向および矢印T方向からイオン照射が行われるが、このイオン照射の角度θ3は0から30°の範囲内であることが好ましい。つまり、第1次イオンミリングでは、垂直に近い方向から、下部コア層1の上面に対してイオンが照射される。
【0086】
下部コア層1に、垂直に近い方向(矢印SおよびT)からイオンが照射されると、物理的作用により、前記下部コア層1のギャップ層3aとの対向面の両側部分が、ほぼ矩形状に削られる。これにより、前記下部コア層1には、ほぼ直角に段差が形成され、前記ギャップ層3aの下には、先端部7aの幅寸法Twとほぼ同じ幅寸法T1を有する矩形状の隆起部1aが形成される。
【0087】
なお、イオンミリングの時間などを調節して、前記隆起部1aの高さ寸法Hが、前記ギャップ層3aの膜厚に比べて1倍から3倍程度の寸法で形成されるようにすることが好ましい。
【0088】
また、上部コア層7の先端部7aも、イオンミリングの影響を受けて、前記先端部7aに傾斜面7c,7cが形成される。
【0089】
さらに、イオンミリングにて削り取られた点線部分の磁性材料(下部コア層1)が、上部コア層7の先端部7a、ギャップ層3a、および隆起部1aの両側面に付着し、前記両側面に磁性材料膜8,8が形成される。
【0090】
図4(d)では、第2次イオンミリングにて、下部コア層1に傾斜面1b,1bが形成される。
【0091】
第2次イオンミリングでは、第1次イオンミリングと同様に中性イオン化されたAr(アルゴン)ガスが使用される。この第2次イオンミリングでは、矢印U方向および矢印V方向からイオン照射が行われるが、このイオン照射の角度θ4は45°から70°の範囲内であることが好ましい。つまり、第1次イオンミリング(イオン照射角度θ3は0°から30°)に比べて、より斜め方向からイオンが照射される。
【0092】
矢印Uおよび矢印V方向からイオンが照射されると、物理的作用により、隆起部1aの両側の下部コア層1上面が、斜めに削り取られ、前記下部コア層1に傾斜面1b,1bが形成される。なお、イオン照射角度θ4およびイオンミリングの時間などが適性に調節されて、前記傾斜面1b,1bの傾斜角度θ2が2°から10°の範囲内にされることが好ましい。
【0093】
また同時に、第2次イオンミリングでは、上部コア層7の先端部7a、ギャップ層3a、および隆起部1aの両側面に付着した磁性材料膜8,8が削り取られ、除去される。前記磁性材料膜8が除去されることにより、前記先端部7aと隆起部1aとの間において、磁気的な短絡が発生しない。
【0094】
以上のように、図4に示す製造方法では、図4(a)に示す従来の状態(図8参照)から、まず図4(b)に示す異方性プラズマエッチングにより非磁性材料の層3を除去する。その後、図4(c)にて、垂直方向に近い方向性を有する第1次イオンミリングにより、下部コア層1の両側部分をほぼ矩形状に削り取り、ギャップ層3aの下に先端部7aの幅寸法Twとほぼ同じ幅寸法T1を有する矩形状の隆起部1aを形成できる。さらに、図4(d)では、斜め方向の方向性を有する第2次イオンミリングにより、下部コア層1に傾斜面1b,1bを形成でき、同時に、図4(c)の工程にて、ギャップ層3aなどに付着した磁性材料膜8,8を除去することができる。
【0095】
次に図5(a)から(d)、と図6(a)から(b)に基づいて、図2に示す薄膜磁気ヘッドの下部コア層1および隆起部2を形成する製造方法を工程順に説明する。
【0096】
図5(a)では、パーマロイなどの高透磁率の軟磁性材料をメッキするなどして、幅寸法T3の正面から見た形状が長方形(矩形)の下部コア層(第1の層)1が形成される。さらに前記下部コア層1上に、レジスト材料が塗布され、露光・現像処理により幅寸法T4のレジスト材料が除去される。そして、前記幅寸法T4の部分に、下部コア層1と同じ軟磁性材料がメッキまたはスパッタなどにより成膜されて、幅寸法がT4の長方形(矩形)の隆起部(第2の層)2が形成される。また、前記隆起部2の両側に残されているレジスト材料が除去される。
【0097】
なお、前記隆起部2は、その膜厚(高さ)Hが、次の工程で説明する非磁性材料の層3の膜厚の1倍から3倍程度になるように形成されていることが好ましい。
【0098】
図5(b)に示すように、前記下部コア層1の上から隆起部2の上(さらに下部コア層1以外の領域)にかけて非磁性材料の層3が形成される。この非磁性材料は、後のCF4またはCF4と酸素(O2)によるプラズマエッチングによって化学的に除去されやすい材料であり、これに適合する非磁性材料は、SiO2,Ta25,Si34,TiO,WO3,Ti23,Ti35,TiO2の単層膜、あるいは2種類以上の複合膜または多層膜などである。
【0099】
図5(c)では、非磁性材料の層3の上に、幅寸法Twの磁性材料の上部コア層7の先端部7aが接合される。この上部コア層7は、図2に示す絶縁層6の上にメッキなどで形成されるが、この工程では、上部コア層7の形状領域以外の部分にレジストパターンが形成され、このレジストパターンが形成されていない部分に軟磁性材料をメッキなどし、さらにレジスト材料を除去することにより形成される。これにより、上部コア層7の先端部7aは幅寸法がTwとなるように形成される。
【0100】
図5(c)では、長方形の隆起部2の幅寸法T4よりも、上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twがわずかに小さく形成される。この寸法差Tw−T4は、隆起部2の形成位置公差および幅寸法T4の公差および、上部コア層7の先端部7aの形成位置公差および幅寸法Twの公差が累積されたときに、先端部7aが、隆起部2の幅寸法T4内に確実に収まるように設定される。
【0101】
次に、図5(d)では、上部コア層7の先端部7aと隆起部2との間に介在している非磁性材料の層3をギャップ層3aとして残し、その両側の非磁性材料の層3(点線部分)がプラズマエッチングにより除去される。これによって隆起部2の上面の両角部2′,2′がギャップ層3aの両側に露出する。
【0102】
非磁性材料の層3は、SiO2,Ta25,Si34,TiO,WO3,Ti23,Ti35,TiO2の単層膜、あるいは2種類以上の複合膜または多層膜によって形成されている。これら化合物は、プラズマエッチングに使用されるプラズマ化されたCF4または、CF4とO2の混合ガスと化学反応を起こし、ギャップ層3a以外の非磁性材料の層3が確実に除去される。
【0103】
また、前記プラズマエッチングは、矢印R方向(垂直方向)のみから行われる方向性を有する異方性プラズマエッチングにより行われる。よって、先端部7aと隆起部2との間に介在しているギャップ層3aは前記異方性プラズマエッチングに影響されず、先端部7aと隆起部2との間にて、幅寸法Tw(=T1)にて残される。また、前記プラズマエッチングは、化学的作用により非磁性材料を除去するものであるため、このプラズマエッチングにより、下部コア層1および隆起部2を形成する磁性材料にダメージを与えることがない。
【0104】
図6(a)では、第1次イオンミリングにて、隆起部2の角部2′が削り取られる。
【0105】
前記イオンミリングは、中性イオン化されたAr(アルゴン)ガスが使用される。この第1次イオンミリングでは、矢印S方向および矢印T方向からイオン照射が行われるが、このイオン照射の角度θ3は0から30°の範囲内であることが好ましい。つまり、第1次イオンミリングでは、垂直に近い方向から、下部コア層1の上面に対してイオンが照射される。
【0106】
図6(a)に示す斜めの矢印S方向およびT方向から隆起部2および下部コア層1にイオンが照射され、物理的作用により、隆起部2の角部2′および下部コア層1の隆起部2以外の上面が削られる。その結果、隆起部2のギャップ対向面2bの幅寸法T1が、上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twと一致し、前記ギャップ対向面2bの両側に傾斜面2a,2aが形成されて、隆起部2が台形となる。
【0107】
なお、この第1次イオンミリングの所要時間は、前述した図4(c)に示す第1次イオンミリングの所要時間よりもかなり短くなっている。これは、隆起部2の両角部2′,2′が非常に速く削り取られるからである。
【0108】
第1次イオンミリングの時間が短いことで、下部コア層1の対向面1fの両側部分が、少しだけ削り取られる。さらに、上部コア層7の先端部7aの上面の左右の角部も除去されて斜面7c,7cが形成される。
【0109】
またこのとき、少量ではあるが、削り取られた磁性材料(点線部分)が、ギャップ層3aおよび先端部7aの両側面に付着し、前記両側面に磁性材料膜8,8が形成される。
【0110】
図6(b)では、第2次イオンミリングにて、前記隆起部2の形状が、より矩形状に近い形状にされ、さらに、下部コア層1に傾斜面1b,1bが形成される。
【0111】
第2次イオンミリングでは、第1次イオンミリングと同様に中性イオン化されたAr(アルゴン)ガスが使用される。この第2次イオンミリングでは、矢印U方向および矢印V方向からイオン照射が行われるが、このイオン照射の角度θ4は45°から70°の範囲内であることが好ましい。つまり、第1次イオンミリング(イオン照射角度θ3は0°から30°)に比べて、より斜め方向からイオンが照射される。
【0112】
矢印Uおよび矢印V方向からイオンが照射されると、物理的作用により、隆起部2の傾斜面2a,2aが削られ、前記隆起部2の形状がより矩形状に近い形状となる。これにより、前記隆起部2の下部コア層1との境界面2cの幅寸法はT4からT2に小さくなる。なお、イオンミリングの時間などを適性に調節することにより、図1に示す隆起部1aと同様に、前記隆起部2の形状を矩形状にすることが可能である。
【0113】
また、第2次イオンミリングにより、下部コア層1の隆起部2との対向面1fの両側部分に傾斜面1b,1bが形成される。なお、前記傾斜面の傾斜角度θ2が2°から10°の範囲内となるように、イオンミリングの時間などを適性に調節する必要がある。
【0114】
また、第2次イオンミリングにより、ギャップ層3aおよび上部コア層7の先端部7aの両側面に形成された磁性材料膜8,8が削り取られる。前記磁性材料膜8が除去されることにより、前記先端部7aと隆起部2との間において、磁気的な短絡が発生しない。
【0115】
図5および図6に示す製造方法では、あらかじめ下部コア層1の上に、先端部7aの幅寸法Twよりもやや大きい幅寸法T4を有する隆起部2を形成しておき、図4で説明した製造方法と同様に、異方性プラズマエッチング、および2回のイオンミリングを行う。
【0116】
これにより、隆起部2の対向面2bの幅寸法T1を、上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twと一致させることが可能となる。特に、図6(b)に示す第2次イオンミリングを行うことにより、前記隆起部2の下部コア層1との境界面2cの幅寸法T4をT2に小さくでき、より前記隆起部2の形状を矩形状に近い形状にできる。またこの第2次イオンミリングにて、下部コア層1に傾斜面1b,1bを形成でき、また図6(a)の工程で、ギャップ層3aなどの両側に付着した磁性材料膜8,8を除去することができる。
【0117】
次に、図7は本発明の第3の実施の形態を示す正面図である。
図7に示されたものでは、パーマロイなどの磁性材料で形成された下部コア層1の上に隆起部が設けられていない。
【0118】
まず図4(a)に示す状態から、図4(b)および図5(d)で示したのと同じ異方性プラズマエッチングにより、下部コア層1と上部コア層の先端部7aとで挟まれたギャップ層3aを残し、その両側の非磁性材料の層3(図7にて点線で示す部分)を化学作用で除去する。
【0119】
さらに図4(d)および図6(b)で示したのと同じS方向とT方向からの第2次イオンミリングにより、下部コア層1の対向面1dの両側部分を削って、傾斜面1b,1bを形成する。なお、このとき、前記傾斜面1b,1bの傾斜角度はθ2である。
【0120】
この場合も、非磁性材料の層3は、プラズマエッチングによる化学作用で除去されやすく、プラズマエッチング工程で下部コア層1の磁性材料にダメージを与えない、例えばSiO2などが選択される。
【0121】
図7では、まず非磁性材料の層3を除去し、その後に45°から70°のイオン照射角度を有する第2次イオンミリングで、隆起部を形成することなく、下部コア層1に傾斜面1b,1bを形成する。
【0122】
このような方法であっても、図7に示すように、下部コア層1の対向面1dの幅寸法T1を先端部7aの幅寸法Twに一致させることができ、従来に比べて、ライトフリンジングの防止効果がある。
【0123】
ただし、図7に示す薄膜磁気ヘッドでは、図1や図2に示す薄膜磁気ヘッドに比べて、上部コア層7の先端部7aの両側に位置する下部コア層1(傾斜面1b,1bを有する下部コア層)と前記先端部7aとの距離が非常に短く、従って、従来と同様にトラック幅Twの両側に漏れ磁界が形成されやすくなっている。従って図7に示す薄膜磁気ヘッドでは、図1や図2に示す薄膜磁気ヘッドで得られる程のライトフリンジング抑制効果を期待できない。
【0124】
なお、図7に示す薄膜磁気ヘッドにおいて、よりライトフリンジングの発生を抑制するには、下部コア層1の傾斜面1bの傾斜角度θ2を、下部コア層の上部シールド層としての機能が低下しない程度に大きくすればよい。
【0125】
【実施例】
本発明では、下部コア層1や隆起部1a(あるいは2)などの形状あるいは寸法が異なる複数の薄膜磁気ヘッドを用いて、ライトフリンジングにおける実験を行った。
【0126】
本発明における実験では、以下に示す複数の薄膜磁気ヘッドを用いた。
▲1▼図15に示す、従来の薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドAとする)
▲2▼図16に示す、従来の薄膜磁気ヘッドにおいて、下部コア層11およびギャップ層12に形成された傾斜面11a,12aの傾斜角度θ5を3°とした薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドBとする)
▲3▼図7に示す、本発明の第3の実施形態の薄膜磁気ヘッドにおいて、下部コア層1に形成された傾斜面1bの傾斜角度θ2を2°とした薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドC1)、および前記傾斜角度θ2を4°とした薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドC2)
▲4▼図2に示す、本発明の第2の実施形態の薄膜磁気ヘッドにおいて、下部コア層1に形成された隆起部2の高さ寸法Hを0.5μmで統一し、前記隆起部2に形成された傾斜面2aの傾斜角度θ1を30°、下部コア層1に形成された傾斜面1bの傾斜角度θ2を2°とした薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドD1)、および前記傾斜角度θ1を45°、傾斜角度θ2を2°とした薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドD2)、および前記傾斜角度θ1を45°、傾斜角度θ2を5°とした薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドD3)
▲5▼図1に示す、本発明の第1の実施形態の薄膜磁気ヘッドにおいて、下部コア層1に形成された矩形状の隆起部1aの高さ寸法Hを0.2μm、下部コア層1に形成された傾斜面1bの傾斜角度θ2を2°とした薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドE1)、および前記高さ寸法Hを0.4μm、傾斜角度θ2を2°とした薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドE2)、および前記高さ寸法Hを0.4μm、傾斜角度θ2を5°とした薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドE3)
なお、上述したそれぞれの薄膜磁気ヘッドのギャップ層の膜厚を、0.3μmで統一した。
【0127】
実験では、まず前述したそれぞれの薄膜磁気ヘッドで、記録媒体上に信号を記録し、その信号の幅寸法ToをMFM(magnetic force microscope;磁気力顕微鏡)にて測定した。
【0128】
次に、それぞれの薄膜磁気ヘッドにおける上部コア層の先端部の幅寸法TwをSEM(scaning electron microscope;走査型電子顕微鏡)にて測定した。
【0129】
そして、記録信号の幅寸法Toから先端部の幅寸法Twを引いた値(ライトフリンジング量)を算出し、それぞれの薄膜磁気ヘッドにおけるライトフリンジング量を図8にまとめた。
【0130】
図8に示すように、下部コア層1に隆起部が形成されている薄膜磁気ヘッドD,Eが、他の薄膜磁気ヘッドに比べて、ライトフリンジング量が小さくなっていることがわかる。
【0131】
薄膜磁気ヘッドDについて詳細に見てみると、隆起部2に形成された傾斜面2aの傾斜角度θ1を30°より45°にした方が、よりライトフリンジング量は小さくなっている。また前記傾斜角度θ1がほぼ90°にされている薄膜磁気ヘッドEを見てみると、E1を除いて、薄膜磁気ヘッドDよりも、よりライトフリンジング量は小さくなっている。
【0132】
以上の実験結果から、下部コア層に隆起部が形成されていることが好ましく、さらに、前記隆起部の形状が矩形状に近い程、よりライトフリンジングの程度を低下させることができることがわかった。
【0133】
さらに、薄膜磁気ヘッドC1とC2を見てみると、下部コア層1に形成された傾斜面1bの傾斜角度θ2は2°よりは4°の方が、よりライトフリンジング量は小さくなっている。この傾向は、薄膜磁気ヘッドD2とD3のライトフリンジング量、および薄膜磁気ヘッドE2とE3のライトフリンジング量にも顕著に出ている。なお、本発明では、下部コア層1の傾斜角度θ2について、別に実験を行った。その実験結果については後述する。
【0134】
さらに、薄膜磁気ヘッドEについて見てみると、E2、E3におけるライトフリンジング量は非常に小さくなっており、好ましい結果となっているが、E1におけるライトフリンジング量は非常に大きくなっていることがわかる。
【0135】
これは、下部コア層1に形成された隆起部1aの高さHが小さいために、薄膜磁気ヘッドE1の形は、薄膜磁気ヘッドD(図7参照)に近いものとなっており、従ってライトフリンジング量が大きくなっているものと推測される。なお、隆起部1aの高さHについては、別に実験を行ったので、その実験結果については後述する。
【0136】
次に、薄膜磁気ヘッドAからEまでを用いて、前述した方法とは別の方法にてライトフリンジング量を測定した。
【0137】
実験の方法については図9に示すイメージ図を用いて説明する。
まず、記録媒体上に信号X(referense write track)を記録し、その後この信号Xから十分離れた位置に信号Yを記録する。この信号Yの中心から光学的に算出したトラック幅Tw(optical)の約1.5〜1.6倍離れた位置に再び信号Zを記録する。
【0138】
そして、実験資料となる薄膜磁気ヘッド(A〜E)を信号Xと信号Yの中間におき、前記信号X,Yの端部X1,Y1を消去する。
【0139】
次に、信号X、信号Y2(=Y・Y1)、および信号Z2(=Z・Z1)を薄膜磁気ヘッドの読取りヘッド(磁気抵抗効果素子)にて再生すると、図9に示す再生波形X3,Y3,Z3が得られる。
【0140】
次に、再生波形X3の高さに対する中心線X3が、再生波形Y3,Z3のどの位置と交わっているかを調べ、再生波形Y3の中心線X4との交叉点Y4と、再生波形Z3の中心線X4との交叉点Z4との幅寸法T5を測定する。
【0141】
本実験で、得られた幅寸法T5は、DCイレーズバンド幅と呼ばれており、このDCイレーズバンド幅T5からトラック幅Tw(optical)を引いたものが、この実験におけるライトフリンジング量である。その実験結果を図10に示す。
【0142】
図10に示すライトフリンジング量は、図8に示すライトフリンジング量に比べて大きくなっているが、それぞれの薄膜磁気ヘッドにおけるライトフリンジング量の傾向は全く同じである。つまり、例えば隆起部が形成されている薄膜磁気ヘッドD,Eは、隆起部が形成されていない薄膜磁気ヘッド(A〜C)に比べて、ライトフリンジング量は小さくなっている。
【0143】
図11は、下部コア層1の傾斜面1bの傾斜角度θ2が2°で統一され、隆起部1aの高さHが異なる複数の薄膜磁気ヘッドE(図1参照)を用いて、それぞれの薄膜磁気ヘッドにおけるライトフリンジング量を測定した。なお、ギャップ層3aの膜厚は0.3μmで統一されている。また、この実験では図9に示す方法を用いてライトフリンジング量を測定した。
【0144】
図11に示すように、隆起部1aの高さ寸法Hを0.6μm程度まで大きくしていくと、ライトフリンジング量は小さくなっていくが、前記高さ寸法Hを0.6μm以上にしても、ライトフリンジング量はあまり変化しないことがわかる。
【0145】
隆起部1aの高さ寸法Hを大きくすることにより、ライトフリンジング量が小さくなるのは、上部コア層7の先端部7aと、隆起部1aの基端の両側に延びる下部コア層1(傾斜面1bを有する下部コア層)との距離が離され、より前記隆起部1aと上部コア層7の先端部7aとの間で漏れ磁界が発生しやすくなるからである。
【0146】
ところで、この実験におけるギャップ層3aの膜厚は0.3μmであるが、図11に示すように、隆起部1aの高さ寸法Hを、0.3μm程度以上にすれば、かなりライトフリンジング量を小さくできる。また前記隆起部1aの高さ寸法Hをあまり大きくしてもライトフリンジング量の抑制効果をあまり期待できないことから、本発明では、隆起部1aの高さ寸法Hをギャップ層3aの1倍〜3倍程度とした。
【0147】
図12は、隆起部1aの高さ寸法Hが0.4μmで統一され、下部コア層1の傾斜面1bの傾斜角度θ2が異なる複数の薄膜磁気ヘッドEを用いて、それぞれの薄膜磁気ヘッドにおけるライトフリンジング量を測定した。なお、ギャップ層3aの膜厚は0.3μmで統一されている。また、この実験では図9に示す方法を用いてライトフリンジング量を測定した。
【0148】
図12に示すように、下部コア層1の傾斜面1bの傾斜角度θ2を大きくしていくと、ライトフリンジング量は小さくなっている。
【0149】
これは、傾斜角度θ2を大きくすることにより、上部コア層7の先端部7aと、隆起部1aの基端の両側に延びる下部コア層1(傾斜面1bを有する下部コア層)との距離が離され、より前記隆起部1aと上部コア層7の先端部7aとの間で漏れ磁界が発生しやすくなるからである。
【0150】
ただし、傾斜角度θ2をあまり大きくし過ぎると、下部コア層1の底面1eと傾斜面1bまでの膜厚が薄くなり、あるいは、前記底面1eの幅寸法T3が小さくなるので、下部コア層1の上部シールド層としての機能が低下してしまう。
【0151】
そこで、本発明では、傾斜面1bの傾斜角度θ2を2°から10°とした。
図13は、下部コア層1の傾斜面1bの傾斜角度θ2が異なる複数の薄膜磁気ヘッドC(図7参照)を用いて、それぞれの薄膜磁気ヘッドにおけるライトフリンジング量を測定した。なお、ギャップ層3aの膜厚は0.3μmで統一されている。また、この実験では図9に示す方法を用いてライトフリンジング量を測定した。
【0152】
図13に示すように、傾斜面1bの傾斜角度θ2を大きくすると、ライトフリンジング量は小さくなっている。この実験結果からもわかるように、下部コア層1の両側に傾斜面1bを形成することが、ライトフリンジングの発生を抑制する上でより効果的であることがわかる。
【0153】
ただし、薄膜磁気ヘッドCには、薄膜磁気ヘッドEのように、隆起部が形成されていないので、前記傾斜角度θ2をかなり大きくしないことには、薄膜磁気ヘッドEと同程度のフリンジング抑制効果を期待できないことが図12と図13とを比較してみるとよくわかる。
【0154】
以上の実験結果により、図1および図2に示すように、下部コア層1に隆起部1a(あるいは2)を形成することが、ライトフリンジングの発生を抑制できる点で好ましく、さらに好ましくは、図1に示す隆起部1aのように、その形状を矩形状することである。
【0155】
また、前記隆起部1aの高さ寸法Hを、ギャップ層3aの膜厚の1倍から3倍程度とし、さらに、前記隆起部1aの両側に位置する下部コア層1の上面に傾斜面1bを形成し、この傾斜面1bの傾斜角度θ2を2°〜10°程度にすることが、よりライトフリンジングの発生を抑制でき、しかも下部コア層1の上部シールド層としての機能を低下させない点で好ましいことがわかった。
【0156】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、下部コア層にギャップ層との対向面の幅寸法T1が上部コア層Twと同じ程度にされた隆起部を形成し、さらに前記隆起部の基端の両側から延びる下部コア層の上面に傾斜面を形成することで、ライトフリンジングの発生を抑制することができる。
【0157】
特に、前記隆起部の形状を矩形状に形成することで、上部コア層と隆起部との間で発生する漏れ磁界を、確実にトラック幅Tw内に収めることができるので、よりライトフリンジングの発生を抑制することが可能となる。
【0158】
なお、本発明では、ギャップ層をSiO2などのプラズマエッチングにて除去可能な非磁性材料で形成しているので、前述した非磁性材料の層を除去する工程にて、プラズマエッチングを使用することにより、前記非磁性材料の層のみを除去でき、下部コア層などの磁性材料の層にダメージを与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による薄膜磁気ヘッドの磁気ギャップ部分の構造を示す部分斜視図、
【図2】本発明の第2の実施形態による薄膜磁気ヘッドの磁気ギャップ部分の構造を示す部分斜視図、
【図3】図2のIII線に沿って切断した場合の薄膜磁気ヘッドの内部構造を示す断面図、
【図4】(a)ないし(e)は本発明の第1の薄膜磁気ヘッドの製造方法を工程別に示す部分正面図、
【図5】(a)ないし(d)は本発明の第2の薄膜磁気ヘッドの途中までの製造方法を工程別に示す部分正面図、
【図6】(a)ないし(b)は、図5の続きの製造方法を工程別に示す部分正面図、
【図7】本発明の第3の実施形態による薄膜磁気ヘッドの磁気ギャップ部分を示す拡大正面図、
【図8】下部コア層や隆起部の形状の異なる複数の薄膜磁気ヘッドのライトフリンジング量を第1の方法にて測定した場合のグラフ、
【図9】ライトフリンジング量を測定する第2の方法のイメージ図、
【図10】下部コア層や隆起部の形状の異なる複数の薄膜磁気ヘッドのライトフリンジング量を第2の方法にて測定した場合のグラフ、
【図11】図1に示す下部コア層の傾斜角度θ2を2°に統一し、隆起部の高さ寸法Hの異なる複数の薄膜磁気ヘッドを製作して、第2の方法により、ライトフリンジング量を測定した場合の、前記隆起部の高さ寸法Hとライトフリンジング量との関係を示すグラフ、
【図12】図1に示す隆起部の高さ寸法Hを0.4(μm)に統一し、下部コア層の傾斜面の傾斜角度θ2の異なる複数の薄膜磁気ヘッドを製作して、第2の方法により、ライトフリンジング量を測定した場合の、前記傾斜角度θ2とライトフリンジング量との関係を示すグラフ、
【図13】図7に示す下部コア層の傾斜面の傾斜角度θ2の異なる複数の薄膜磁気ヘッドを製作して、第2の方法により、ライトフリンジング量を測定した場合の、前記傾斜角度θ2とライトフリンジング量との関係を示すグラフ、
【図14】従来の薄膜磁気ヘッドの構造を示す断面図、
【図15】図14のXV矢視の部分拡大正面図、
【図16】(a),(b)は従来の改良例でのコア層の構造を示す部分拡大正面図、
【符号の説明】
1 下部コア層
1a,2 隆起部
1b 傾斜面
1c 側面(垂直面)
1d,2b ギャップ対向面
2a 側面(傾斜面)
3 非磁性材料の層
3a ギャップ層
4 絶縁層
5 コイル層
7 上部コア層
7a 先端部
8 磁性材料膜
Gl 磁気ギャップ長
H (隆起部の)高さ寸法
Tw トラック幅
θ1 (隆起部の両側面に形成された)傾斜面の傾斜角度
θ2 (隆起部の基端から延びる下部コア層の上面に形成された)傾斜面の傾斜角度

Claims (3)

  1. 磁性材料の下部コア層と、下部コア層上に非磁性材料のギャップ層を介して対向する磁性材料の上部コア層と、下部コア層及び上部コア層に記録磁界を誘導するコイル層とが設けられた薄膜磁気ヘッドの製造方法において、
    下部コア層の上に、SiO2,Ta25,Si34,TiO,WO3の1種または2種以上の材料から選択される非磁性材料の層を形成する工程と、
    前記非磁性材料の層の上に下部コア層よりも幅寸法の小さい上部コア層を形成する工程と、
    前記下部コア層と前記上部コア層の先端部とで挟まれた前記非磁性材料の層をギャップ層として残し、その両側の前記非磁性材料の層をプラズマ化されたCF4又はCF4とO2の混合ガスと化学反応させる異方性プラズマエッチングによって除去する工程と、
    前記下部コア層の前記ギャップ層に接する対向面の両側部分を削り取り、前記ギャップ層を介して上部コア層と対向する前記下部コア層の上部に、前記ギャップ層の幅寸法と一致させた隆起部を形成し、前記上部コア層の前記先端部、前記ギャップ層、及び前記下部コア層の前記隆起部の側面を、記録媒体との対向面からギャップ深さGd位置まで達する奥行き長さを有する連続面とする工程と、
    前記隆起部の基端から両側に延びる下部コア層の上面に、上部コア層から離れる方向へ傾斜する傾斜面を形成する工程と、
    を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  2. 前記隆起部を形成する工程は、ギャップ対向面と垂直な方向に対し0°から30°傾けられたイオン照射角度を有する第1次イオンミリングにより行われる請求項6に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  3. 下部コア層の上面に傾斜面を形成する工程は、ギャップ対向面と垂直な方向に対し、45°から70°傾けられたイオン照射角度を有する第2次イオンミリングにより行われる請求項6または7に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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