JP2003006812A - 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド及びその製造方法

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JP2003006812A JP2002180910A JP2002180910A JP2003006812A JP 2003006812 A JP2003006812 A JP 2003006812A JP 2002180910 A JP2002180910 A JP 2002180910A JP 2002180910 A JP2002180910 A JP 2002180910A JP 2003006812 A JP2003006812 A JP 2003006812A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜のインダクティブヘッドでは、下部コア
層の幅寸法と上部コア層の幅寸法とで差があるため、両
コア層から記録媒体に与えられる記録磁界がトラック幅
からはみ出し、ライトフリンジングが発生しやすくなっ
ている。 【解決手段】 下部コア層1上に下部コア層と一体とな
って隆起部1aが形成されている。前記隆起部1aは矩
形状で形成されており、前記隆起部1aの幅寸法T1
が、上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twと一致して
いる。このため、隆起部1a及び先端部7aから発生す
る洩れ磁界は、トラック幅となる前記幅寸法Twから大
きくはみ出ることがなくなり、ライトフリンジングを抑
制できる。ライトフリンジングを抑制できるため、トラ
ッキングエラーなどの発生を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば浮上式磁気
ヘッドなどに使用されるインダクティブ型の薄膜磁気ヘ
ッドに係り、特に記録用の磁気ギャップのトラック幅を
高精度に形成して、ライトフリンジングの発生を抑制で
きるようにした薄膜磁気ヘッド及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図14は従来の薄膜磁気ヘッドの縦断面
図、図15は図14の薄膜磁気ヘッドの記録媒体との対
向部を示すものであり、図14のXV矢視の部分正面図
である。
【0003】図14と図15に示す薄膜磁気ヘッドは、
ハードディスクなどの記録媒体へ信号を書き込むインダ
クティブヘッドである。このインダクティブヘッドは、
ハードディスクなどの記録媒体に対向する浮上式磁気ヘ
ッドのスライダのトレーリング側端面において、磁気抵
抗効果を利用した読み出しヘッドに積層されて設けられ
るものである。
【0004】図14での符号11は、Fe―Ni系合金
(パーマロイ)などの高透磁率の磁性材料で形成された
下部コア層である。磁気抵抗効果を利用した読み出しヘ
ッドに図14に示すインダクティブヘッドが連続して積
層された複合型薄膜磁気ヘッドでは、前記下部コア層1
1が、読み出しヘッドの上部シールド層として機能す
る。
【0005】下部コア層11の上には、Al2O3(アル
ミナ)などの非磁性材料で形成されたギャップ層12が
設けられている。ギャップ層12の上にはレジスト材料
やその他の有機材料で形成された絶縁層4が形成されて
いる。
【0006】前記絶縁層4上には、Cuなどの電気抵抗
の低い導電性材料により、コイル層5が螺旋状に形成さ
れている。なお、コイル層5は、上部コア層7の基端部
7bの周囲を周回するように形成されているが、図14
ではそのコイル層5の一部のみが現れている。
【0007】そして、コイル層5上には、有機樹脂材料
などの絶縁層6が形成されている。絶縁層6の上には、
パーマロイなどの磁性材料がメッキされて上部コア層7
が形成されている。上部コア層7の先端部7aは、記録
媒体との対向部において、下部コア層11上に前記ギャ
ップ層12を介して接合され、ギャップ長Glの磁気ギ
ャップが形成されている。また上部コア層7の基端部7
bは、ギャップ層12および絶縁層4に形成された穴を
介して、下部コア層11に磁気的に接続されている。
【0008】書き込み用のインダクティブヘッドでは、
コイル層5に記録電流が与えられると、下部コア層11
および上部コア層7に記録磁界が誘導され、下部コア層
11と上部コア層7の先端部7aとの磁気ギャップ部分
からの洩れ磁界により、ハードディスクなどの記録媒体
に磁気信号が記録される。
【0009】このインダクティブヘッドの書き込み用の
磁気ギャップでは、ギャップ層12を介して接合される
下部コア層11と上部コア層7の先端部7aとの間隔
(すなわちギャップ層12の膜厚)でギャップ長Glが
設定され、上部コア層7の先端部7aの奥行き寸法によ
りギャップ深さ(ギャップデプス)Gdが決められる。
また図15に示すようにトラック幅Twは、上部コア層
7の先端部7aの幅寸法で決められる。
【0010】図15に示すように、下部コア層11の幅
寸法T3は、上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twよ
りも十分に大きく形成されている。下部コア層11の幅
寸法T3が大きくなっている理由は、下部コア層11に
より、インダクティブヘッドの下層に形成される磁気抵
抗効果素子層13に対する磁気シールドを行なっている
ためである。すなわち、図15に示すように、磁気抵抗
効果を利用した読み出しヘッドでは、下部シールド層1
4上に下部ギャップ層15aを介して磁気抵抗効果素子
層13が設けられ、この磁気抵抗効果素子層13の上に
上部ギャップ層15bを介して前記下部コア層11が形
成され、この下部コア層11が、磁気抵抗効果素子層1
3に対する上部シールド層として兼用されている。この
上部シールド層としての機能を発揮するためにその幅寸
法T3は磁気抵抗効果素子層13の幅寸法よりも十分に
大きくなっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図15に示す
ように、上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twに対し
て、下部コア層11の幅寸法T3が大きいと、下部コア
層11と上部コア層7に記録磁界が誘導され、先端部7
aと下部コア層11との間において洩れ磁界が発生する
ときに、この洩れ磁界が幅寸法(トラック幅)Twの範
囲内に収まらず、下部コア層11の幅寸法に引きずられ
て幅Twの両側に洩れ磁界が形成される。
【0012】その結果、ハードディスクなどの記録媒体
の記録面に形成された磁気信号に、本来のトラック幅T
wからはみ出るライトフリンジング(書き込み滲み)が
発生する。このライトフリンジングが発生すると、書き
込まれた記録媒体でのトラック位置検出を高精度に行な
うことができず、トラッキングサーボエラーを引き起こ
す。特に、高密度記録を行なう場合には、隣接するトラ
ックのピッチが狭くなるため、ライトフリンジングによ
る影響が大きくなる。
【0013】図16(a)は、前記ライトフリンジング
の発生を抑制するための改良例を、記録媒体との対向部
側から見た正面図である。
【0014】図16(a)に示すものでは、下部コア層
11の上にギャップ層12が形成され、さらにギャップ
層12上に上部コア層7の先端部7aが形成された後
に、イオンミリングなどにより下部コア層11およびギ
ャップ層12を削り、上部コア層7の先端部7aの両側
部分において、下部コア層11とギャップ層12に、互
いに連続する斜面11aと12aを形成したものであ
る。なお、前記斜面11aと12aは共に傾斜角度θ5
で形成されている。
【0015】しかし、イオンミリングなどで下部コア層
11およびギャップ層12を一緒に削ったものでは、ギ
ャップ層12の両側部に斜面12a,12aが形成され
るため、下部コア層11での先端部7aと対向する面1
1bの幅寸法T6は、先端部7aの幅寸法(トラック
幅)Twよりも大きくなる。図16(b)はこのヘッド
を用いて記録された磁気データの記録パターンを示して
いるが、前記面11bの幅寸法T6がTwよりも広いた
めに、書き込み磁界が本来のトラック幅Twから左右に
滲み、ライトフリンジングが発生する。
【0016】図16(a)に示したものは、図15に示
したものに比べてライトフリンジングの程度を低下させ
ることができる。しかし、高密度化記録を行ないトラッ
クピッチがさらに短くなっていくと、図16(b)に示
すライトフリンジングにより、トラック位置の検出エラ
ーを生じやすくなり、図16(a)に示す改善では不十
分である。
【0017】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、ライトフリンジングを改善しまたはライトフリン
ジングを十分に抑制できるようにし、しかも、ヘッドの
構造を複雑にせず、製造も容易な薄膜磁気ヘッドおよび
その製造方法を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁性材料の下
部コア層と、下部コア層上に非磁性材料のギャップ層を
介して対向する磁性材料の上部コア層と、下部コア層及
び上部コア層に記録磁界を誘導するコイル層とが設けら
れた薄膜磁気ヘッドにおいて、前記ギャップ層が上部コ
ア層の先端部の幅寸法Twと同じ幅寸法にて形成され、
前記下部コア層には、ギャップ層と接する部分が、前記
幅寸法Twと同じ幅寸法T1である隆起部が設けられて
おり、この隆起部の基端から延びる下部コア層の上面が
前記上部コア層から離れる方向に傾斜する傾斜面であ
り、前記ギャップ層は、SiO2,Ta25,Si
34,TiO,WO3の1種または2種以上から選択さ
れる非磁性材料により形成され、前記上部コア層の前記
先端部、前記ギャップ層、及び前記下部コア層の前記隆
起部の側面が、ギャップ深さGdの奥行き方向長さを有
する連続面となっていることを特徴とするものである。
【0019】なお本発明では、前記隆起部は、前記下部
コア層と一体となって形成されてもよいし、あるいは前
記下部コア層は、第1の層と、この第1の層に積層され
前記隆起部を形成する第2の層を有していてもよい。
【0020】また、本発明では、前記隆起部は、ギャッ
プ層に接する部分から基端部に向かって幅寸法が徐々に
大きくなるように前記隆起部の両側面が傾斜していても
よい。
【0021】また、本発明では、前記隆起部の高さ寸法
は、前記隆起部の上に形成されるギャップ層の膜厚の1
倍以上で3倍以下であることが好ましい。
【0022】隆起部の高さ寸法と、下部コア層の傾斜面
の傾斜角度を前記の範囲内にすることで、よりライトフ
リンジングの発生を抑制でき、しかも下部コア層の磁気
抵抗効果素子層に対する上部シールド層としてのシール
ド機能を低下させることがない。
【0023】次に、図4に示す本発明の薄膜磁気ヘッド
の製造方法は、磁性材料の下部コア層と、下部コア層上
に非磁性材料のギャップ層を介して対向する磁性材料の
上部コア層と、下部コア層及び上部コア層に記録磁界を
誘導するコイル層とが設けられた薄膜磁気ヘッドの製造
方法において、下部コア層の上に、SiO2,Ta
25,Si34,TiO,WO3の1種または2種以上
の材料から選択される非磁性材料の層を形成する工程
と、前記非磁性材料の層の上に下部コア層よりも幅寸法
の小さい上部コア層を形成する工程と、前記下部コア層
と前記上部コア層の先端部とで挟まれた前記非磁性材料
の層をギャップ層として残し、その両側の前記非磁性材
料の層をプラズマ化されたCF 4又はCF4とO2の混合
ガスと化学反応させる異方性プラズマエッチングによっ
て除去する工程と、前記下部コア層の前記ギャップ層に
接する対向面の両側部分を削り取り、前記ギャップ層を
介して上部コア層と対向する前記下部コア層の上部に、
前記ギャップ層の幅寸法と一致させた隆起部を形成し、
前記上部コア層の前記先端部、前記ギャップ層、及び前
記下部コア層の前記隆起部の側面を、ギャップ深さGd
の奥行き方向長さを有する連続面とする工程と、前記隆
起部の基端から両側に延びる下部コア層の上面に、上部
コア層から離れる方向へ傾斜する傾斜面を形成する工程
と、を有することを特徴とするものである。
【0024】この薄膜磁気ヘッドの製造方法では、図4
(a)に示す従来の薄膜磁気ヘッドの状態(図15参
照)から、まず、ギャップ層3a以外の非磁性材料の層
3を除去し、その次に、図4(c)の工程で、下部コア
層1のギャップ層との対向面の両側部分を削り取ること
により、下部コア層1の上に隆起部1aを形成すること
が可能である。特に、図4(c)の工程にて、前記隆起
部1aを、上部コア層の幅寸法Twとほぼ同じ幅寸法T
1を有する矩形状に形成できる。
【0025】また図4(d)の工程では、下部コア層に
傾斜面を形成でき、しかも、図4(c)の工程時に、上
部コア層、ギャップ層、および隆起部の両側に付着した
磁性材料の層を除去できる。
【0026】また、図4(b)に示すエッチング工程で
は、上部コア層7の先端部7aと下部コア層1(あるい
は隆起部2)との間に介在する非磁性材料の層3がギャ
ップ層3aとして残され、それ以外の非磁性材料の層3
が除去される。ただしこのとき、前記下部コア層1など
の磁性材料の層は、このエッチングによる影響を受けな
いようにされている必要がある。そこで、本発明では、
この工程で、磁性材料の層にダメージを与えないプラズ
マエッチングが使用される。
【0027】つまり、非磁性材料の層3(ギャップ層3
aを含む)を形成する材料として、プラズマエッチング
にて化学的作用による除去可能な材料が選択される必要
があるが、例えば一般的に使用されているAl23(ア
ルミナ)などの非磁性材料を、プラズマエッチングにて
除去しようとすると、Cl系ガスを用いる必要がある。
しかし、Cl系ガスでは、磁性材料の層(上部コア層や
下部コア層)が腐食されるという問題が生じる。
【0028】そこで、本発明では、非磁性材料のみが選
択的にエッチングされるように、プラズマエッチングに
CF4系ガスを用い、このCF4系ガスにて除去可能な非
磁性材料として、上述したSiO2,Ta25,Si3
4,TiO,WO3の1種または2種以上の材料が選択さ
れる。
【0029】本発明では、前記プラズマエッチングに
は、プラズマ化されたCF4、またはCF4と02の混合
ガスが使用され、さらに図4(b)に示すように、前記
プラズマエッチングは、垂直方向(図示R方向)のみの
方向性を有する異方性プラズマエッチングである。
【0030】この異方性プラズマエッチングにより、下
部コア層または隆起部と上部コア層との間に介在してい
るギャップ層以外の非磁性材料が選択的に除去される。
なおこの異方性プラズマエッチングでは、前述した通
り、磁性材料の層はダメージを受けない。
【0031】また、図4(c)に示す隆起部を形成する
工程は、隆起部のギャップ対向面と垂直な方向に対し0
°から30°傾けられたイオン照射角度を有する第1次
イオンミリングにより行われることが好ましい。
【0032】前記イオンミリングには、中性イオン化さ
れたアルゴンガスによるミリングが用いられる。
【0033】図4(c)に示す第1次イオンミリングで
は、下部コア層の上面の両側部分が削り取られ、前記下
部コア層に、上部コア層の幅寸法Twとほぼ同じ幅寸法
T1を有する隆起部が形成される。
【0034】ただし、この第1次イオンミリングにて、
削り取られた磁性材料が、図4(c)に示すように、ギ
ャップ層の両側などに再付着してしまう。
【0035】図4(d)に示す下部コア層側に傾斜面を
形成する工程は、隆起部のギャップ対向面と垂直な方向
に対し、45°から70°傾けられたイオン照射角度を
有する第2次イオンミリングにより行われることが好ま
しい。
【0036】この第2次イオンミリングでは、下部コア
層の両側に傾斜面が形成されると同時に、前述したギャ
ップ層の両側などに再付着した磁性材料が削り取られ
る。
【0037】このように、本発明では、下部コア層に隆
起部が形成されているので、前記隆起部と上部コア層と
の間で漏れ磁界が発生しやすくなる。特に、下部コア層
の上面に傾斜面が形成されていることで、前記傾斜面を
有する部分の下部コア層が、上部コア層からより離れ、
傾斜面を有する部分の下部コア層と上部コア層との間で
漏れ磁界が発生しにくくなり、よって従来のように上部
コア層の幅寸法で決められるトラック幅Twの両側に漏
れ磁界が形成されることが少なくなる。
【0038】従って、本発明では、前記トラック幅Tw
からの書込み滲みの量を小さくでき、ライトフリンジン
グを抑制できる。
【0039】また、前記隆起部が幅Twとほぼ同じ幅寸
法T1を有する矩形状で形成されていると、上部コア層
と隆起部との間で発生する漏れ磁界が、確実にトラック
幅Tw内に収められ、よりライトフリンジングの発生を
抑制することが可能となる。
【0040】また前記隆起部の正面形状が台形で形成さ
れている、つまり前記隆起部の両側面に傾斜面が形成さ
れていてもよい。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図面を参照
して説明する。
【0042】図1は、本発明の第1の実施形態の薄膜磁
気ヘッドの書き込み用の磁気ギャップ形成部分の構造を
示す部分斜視図、図2は本発明の第2の実施形態の薄膜
磁気ヘッドの書き込み用の磁気ギャップ形成部分の構造
を示す部分斜視図である。
【0043】図1および図2に示す薄膜磁気ヘッドは書
き込み用のいわゆるインダクティブヘッドであり、この
インダクティブヘッドは、磁気抵抗効果を利用した読み
出しヘッドの上に積層されている。
【0044】図1と図2に示す符号1は、Fe―Ni系
合金(パーマロイ)などの高透磁率の軟磁性材料で形成
された下部コア層である。なお、図1と図2に示す薄膜
磁気ヘッドでは、前記下部コア層1の形状が異なってい
るだけで、他の部分での構造は全く同じとなっている。
【0045】図15に示したのと同様に、前記下部コア
層1の下には磁気抵抗効果素子層13と下部シールド層
14を有する磁気抵抗効果を利用した読み出しヘッドが
設けられており、下部コア層1は磁気抵抗効果素子層1
3に対する上部シールド層として兼用されている。この
上部シールド層としての機能を十分に発揮できるように
するために、下部コア層1の底面1eの幅寸法T3は、
磁気抵抗効果素子層13に比べて十分に大きく形成され
ている。なお磁気抵抗効果素子層13は、例えば軟磁性
層(SAL層)、非磁性層(SHUNT層)、磁気抵抗
効果層(MR層)が積層されたものなどであり、この磁
気抵抗効果素子層13の両側には縦バイアス磁界を与え
るためのハードバイアス層と、検出電流を与える主電極
層などが設けられている。
【0046】まず、図1に示す薄膜磁気ヘッドの下部コ
ア層1の形状から説明する。図1に示すように、前記下
部コア層1には、矩形状の隆起部1aが、前記下部コア
層1と一体となって形成されている。つまり、図1に示
す隆起部1aの両側面1c,1cは、図示垂直方向に延
びる垂直面となっており、前記隆起部1aのギャップ対
向面(上面)1dが平面となっている。
【0047】図に示すように、前記隆起部1aの幅寸法
はT1で形成されており、この幅寸法T1は、後述する上
部コア層7の先端部7aの幅寸法Twとほぼ同じにされ
ている。
【0048】また、前記隆起部の基端の両側に延びる下
部コア層1の上面には、傾斜面1b,1bが形成されて
いる。
【0049】また前述したように、下部コア層1の底面
1eは、幅寸法T3で形成されており、この幅寸法T3は
隆起部1aの幅寸法T1よりも十分に大きくなってい
る。
【0050】図1に示す下部コア層1と同じように、図
2に示す下部コア層1にも隆起部2が形成されている。
ただしこの例では、前記下部コア層1が第1の層とな
り、この第1の層の上に第2の層が積層され、この第2
の層が前記隆起部2となっている。図2に示す前記隆起
部2は、下部コア層1と同じ様に軟磁性材料にて形成さ
れている。
【0051】図2に示す前記隆起部2は、その正面形状
が台形である。すなわち、前記隆起部2の両側面2a,
2aは傾斜面となっており、ギャップ対向面(上面)2
bは平面となっている。そして、前記ギャップ対向面2
bの幅寸法はT1で形成されている。なお、この幅寸法
T1は、後述する上部コア層7の先端部7aの幅寸法T
wとほぼ同じである。
【0052】また、前記隆起部2の下部コア層1(第1
の層)1との境界面2cも平面となっており、その幅寸
法はT2で形成されている。図に示すように、この幅寸
法T2は、前記隆起部2のギャップ対向面2bの幅寸法
T1よりも大きくなっている。
【0053】さらに、前記下部コア層(第1の層)1
は、隆起部2との境界面1fが平面で、その幅寸法はT
2で形成され、前記境界面1fの両側が傾斜面1b,1
bとなっている。また、前記下部コア層1の底面1eの
幅寸法は、前述した通りT3であり、T3は境界面1f
(あるいは2c)の幅寸法T2よりも十分に大きくなっ
ている。
【0054】本発明では、図1および図2の薄膜磁気ヘ
ッドのどちらであっても、従来に比べてよりライトフリ
ンジングの発生を抑制できる。ただし図1に示す隆起部
1aのように、その形状が矩形状である、あるいは矩形
状に近い方がよりライトフリンジングの程度を低下させ
ることが可能となる。
【0055】つまり、図2に示す隆起部2の場合も、そ
の傾斜面2a,2aとギャップ対向面2bとの間の傾斜
角度θ1が90°に近いことがより好ましく、本発明に
おいて、十分にライトフリンジングの発生の抑制を期待
できる好ましい傾斜角度θ1は、60°から120°で
ある。
【0056】さらに、本発明では図1および図2に示す
隆起部1a(または2)の高さ寸法Hが後述するギャッ
プ層3aの膜厚に比べて1倍から3倍程度の寸法で形成
されていることが好ましい。
【0057】前記隆起部1a(または2)の高さ寸法H
が前記ギャップ層3aの膜厚より短いと、前記隆起部1
a(あるいは2)の基端の両側に延びる下部コア層1
(傾斜面1bを有する部分の下部コア層)と前記先端部
7aとの間で漏れ磁界が発生しやすくなり、ライトフリ
ンジングの発生の抑制効果をあまり期待できない。
【0058】また、前記隆起部1a(または2)の高さ
寸法Hがギャップ層3aの膜厚の3倍以上であると、ラ
イトフリンジングの発生は抑制できるが、下部コア層1
の底面1eから傾斜面1bまでの膜厚は実質的に薄くな
り、下部コア層1の磁気抵抗効果素子層13(図15参
照)に対する上部シールド層としての機能が低下してし
まう。
【0059】また、本発明では、下部コア層1の傾斜面
1bと前記ギャップ対向面2b(または境界面1f)と
の間の傾斜角度θ2は、2°から10°の範囲内である
ことが好ましい。
【0060】前記傾斜面1bの傾斜角度θ2が2°より
も小さいと、隆起部1a(あるいは2)の基端から延び
る下部コア層1(傾斜面1bを有する部分の下部コア
層)と上部コア層7との間で漏れ磁界が発生しやすくな
り、ライトフリンジングの発生の抑制効果をあまり期待
できない。
【0061】また前記傾斜面1bの傾斜角度θ2が10
°よりも大きいと、前記傾斜面1bが上部コア層7から
より離れるため、隆起部1(あるいは2)の基端から延
びる下部コア層1(傾斜面1bを有する部分の下部コア
層)と上部コア層7との間で漏れ磁界が発生しにくくな
り、ライトフリンジングの程度をより低下させることが
可能となる。しかし、前記傾斜面1bの傾斜角度θ2が
10°よりも大きいと、前記下部コア層1の特に、両端
部付近における膜厚が薄くなり、あるいは前記下部コア
層1の底面1eの幅寸法T3自体が短くなり、これによ
り下部コア層1の磁気抵抗効果素子層13(図15参
照)に対する上部シールド層としての機能は低下してし
まう。
【0062】図3は、図2に示す薄膜磁気ヘッドのII
I−III線の断面図である。なお、図3に示す符号2
(隆起部)を図1に示す符号1a(隆起部)に変更すれ
ば、図3は図1に示す薄膜磁気ヘッドの断面図となる。
このため、以下で、「隆起部」を表示するときは、「隆
起部2(または1a)」と表示する。
【0063】図3に示すように、隆起部2(または1
a)の奥行き方向の長さはGdであり、このGdがギャ
ップ深さ(ギャップデプス)である。
【0064】符号3は非磁性材料の層であり、この非磁
性材料の層3は、隆起部2(または1a)の対向面1d
の上、ならびに下部コア層1の前記傾斜面1b,1b以
外の上面(絶縁層6中)、および下部コア層1の両側面
(絶縁層6中)、さらに下部コア層1以外の領域に形成
されている。すなわち、後に示す製造工程において、非
磁性材料の層3は、隆起部2(または1a)の対向面1
d上にてギャップ層3aとして残され、その両側の部分
では除去される。
【0065】本発明では、前記非磁性材料の層3が、S
iO2,Ta25,Si34,TiO,WO3,Ti
23,Ti35,TiO2の単層膜、あるいは2種類以
上の複合膜または多層膜で形成されている。これらの非
磁性材料は、プラズマエッチングによる化学的作用で除
去可能な材料である。
【0066】前記非磁性材料の層3の上には、有機樹脂
材料例えばレジスト材料の絶縁層4が形成されている。
さらに、絶縁層4の上に、Cuなどの電気抵抗の小さい
導電性材料によりコイル層5が形成されている。このコ
イル層5は、上部コア層7の基端部7bの周囲にて螺旋
状となるように平面的に形成されている。さらにコイル
層5の上に、有機樹脂材料の絶縁層6が覆われるように
形成されている。
【0067】そして、前記絶縁層6の上に上部コア層7
がメッキ工程により形成されている。上部コア層7は、
パーマロイなどの磁性材料で形成されており、先端部7
aは前記隆起部2(または1a)の対向面1d上に、ギ
ャップ層3aを介して接合され、ギャップ長Glの磁気
ギャップが形成されている。
【0068】図1および図2に示すように、上部コア層
7の先端部7aの幅寸法はTwである。前述したよう
に、この幅寸法Twと、前記隆起部1a(または2)の
ギャップ対向面1d(または2b)の幅寸法T1とは、
互いに等しく(Tw=T1)またはほぼ等しく形成され
る。また磁気ギャップのトラック幅は前記Tw(=T
1)により決められる。さらに、図3に示すように、上
部コア層7の基端部7bは、下部コア層1と磁気的に接
続されている。
【0069】上部コア層7上は、アルミナなどの非磁性
材料で形成された保護膜(図示しない)で覆われてい
る。
【0070】このインダクティブヘッドでは、コイル層
5に記録電流が与えられると、下部コア層1及び上部コ
ア層7に記録磁界が誘導され、ギャップ長Glの部分
で、隆起部1a(または2)と上部コア層7の先端部7
aとの間からの洩れ磁界により、ハードディスクなどの
記録媒体に磁気信号が記録される。
【0071】このインダクティブヘッドでは、隆起部1
a(または2)のギャップ対向面1d(または2b)の
幅寸法T1と上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twが
完全に一致しまたはほぼ等しいため、前記Twで決めら
れるトラック幅から記録用磁界が滲み出る範囲が狭くな
り、ライトフリンジングを抑制できる。
【0072】特に、図1に示す隆起部1aのように、そ
の形状が矩形状であると、前記隆起部1aと上部コア層
7の先端部7aとの間で発生する漏れ磁界は、トラック
幅Tw内にほぼ完全に収まるので、よりライトフリンジ
ングの発生を抑制することが可能となる。
【0073】ただし、図2に示す隆起部2のように、そ
の両側面2a,2aが傾斜面となっていても、前記傾斜
面2a,2aの傾斜角度θ1が60°から120°の範
囲内であれば、従来に比べて、十分にライトフリンジン
グの発生を抑制できる。
【0074】また、前記隆起部1a(または2)の高さ
寸法Hが、ギャップ層3aの膜厚の1倍から3倍の範囲
内で形成され、さらに、下部コア層1の傾斜面1b,1
bの傾斜角度θ2が2°から10°の範囲内であると、
よりライトフリンジングの発生を抑制でき、しかも前記
下部コア層1の上部シールド層としての機能を低下させ
ることがない。
【0075】以上のように、本発明では、ライトフリン
ジングがきわめて効果的に抑制できるため、記録媒体
に、トラックピッチがきわめて短くなるように記録する
ことが可能になり、高密度記録を可能にできる。
【0076】次に、図4(a)ないし図4(d)に基づ
いて、図1に示す下部コア層1および隆起部1aを形成
する製造方法を工程順に説明する。
【0077】図4(a)では、まず軟磁性材料製の下部
コア層1が、長方形(矩形)状で、しかも幅寸法がT3
で形成される。この下部コア層1の上に、SiO2,T
25,Si34,TiO,WO3,Ti23,Ti3
5,TiO2の単層膜、あるいは2種類以上の複合膜また
は多層膜などで形成された非磁性材料の層3が形成され
る。SiO2などの非磁性材料は、後のCF4またはCF
4と酸素(O2)によるプラズマエッチングによって化学
的に除去されやすい材料である。
【0078】そして、前記非磁性材料の層3の上に上部
コア層7の先端部7aが幅寸法Twにて形成される。前
記先端部7aの形成方法は、まず上部コア層7の先端部
7aの形状領域以外の前記非磁性材料の層3上にレジス
トパターンが形成される。そして、前記レジストパター
ンが形成されていない部分に軟磁性材料がメッキ形成さ
れ、さらにレジスト材料が除去される。このようにし
て、前記上部コア層7の先端部7aは、非磁性材料の層
3の上に形成される。
【0079】図4(b)では、上部コア層7の先端部7
aと下部コア層1との間に介在している非磁性材料の層
3をギャップ層3aとして残し、その両側の非磁性材料
の層3(点線部分)がプラズマエッチングにより除去さ
れる。
【0080】前述したように、非磁性材料の層3は、プ
ラズマエッチングに使用されるプラズマ化されたCF4
またはCF4と酸素(O2)の混合ガスと化学反応を起こ
す例えばSiO2などの非磁性材料で形成されている。
【0081】また、前記プラズマエッチングは、化学的
作用により非磁性材料を除去するものであるため、この
プラズマエッチングにより、下部コア層1および上部コ
ア層7を形成する軟磁性材料は、ダメージを受けること
がない。
【0082】本発明で使用される前記プラズマエッチン
グは、図に示すように、矢印R方向(垂直方向)のみか
ら行われる、いわゆる異方性プラズマエッチングであ
る。
【0083】従って、先端部7aと下部コア層1との間
に介在しているギャップ層3aは前記プラズマエッチン
グに影響されず、先端部7aと下部コア層との間にて、
幅寸法Tw(=T1)にて残される。
【0084】図4(c)では、第1次イオンミリングに
て、下部コア層1に隆起部1aが形成される。
【0085】前記イオンミリングには、中性イオン化さ
れたAr(アルゴン)ガスが使用される。この第1次イ
オンミリングでは、矢印S方向および矢印T方向からイ
オン照射が行われるが、このイオン照射の角度θ3は0
から30°の範囲内であることが好ましい。つまり、第
1次イオンミリングでは、垂直に近い方向から、下部コ
ア層1の上面に対してイオンが照射される。
【0086】下部コア層1に、垂直に近い方向(矢印S
およびT)からイオンが照射されると、物理的作用によ
り、前記下部コア層1のギャップ層3aとの対向面の両
側部分が、ほぼ矩形状に削られる。これにより、前記下
部コア層1には、ほぼ直角に段差が形成され、前記ギャ
ップ層3aの下には、先端部7aの幅寸法Twとほぼ同
じ幅寸法T1を有する矩形状の隆起部1aが形成され
る。
【0087】なお、イオンミリングの時間などを調節し
て、前記隆起部1aの高さ寸法Hが、前記ギャップ層3
aの膜厚に比べて1倍から3倍程度の寸法で形成される
ようにすることが好ましい。
【0088】また、上部コア層7の先端部7aも、イオ
ンミリングの影響を受けて、前記先端部7aに傾斜面7
c,7cが形成される。
【0089】さらに、イオンミリングにて削り取られた
点線部分の磁性材料(下部コア層1)が、上部コア層7
の先端部7a、ギャップ層3a、および隆起部1aの両
側面に付着し、前記両側面に磁性材料膜8,8が形成さ
れる。
【0090】図4(d)では、第2次イオンミリングに
て、下部コア層1に傾斜面1b,1bが形成される。
【0091】第2次イオンミリングでは、第1次イオン
ミリングと同様に中性イオン化されたAr(アルゴン)
ガスが使用される。この第2次イオンミリングでは、矢
印U方向および矢印V方向からイオン照射が行われる
が、このイオン照射の角度θ4は45°から70°の範
囲内であることが好ましい。つまり、第1次イオンミリ
ング(イオン照射角度θ3は0°から30°)に比べ
て、より斜め方向からイオンが照射される。
【0092】矢印Uおよび矢印V方向からイオンが照射
されると、物理的作用により、隆起部1aの両側の下部
コア層1上面が、斜めに削り取られ、前記下部コア層1
に傾斜面1b,1bが形成される。なお、イオン照射角
度θ4およびイオンミリングの時間などが適性に調節さ
れて、前記傾斜面1b,1bの傾斜角度θ2が2°から
10°の範囲内にされることが好ましい。
【0093】また同時に、第2次イオンミリングでは、
上部コア層7の先端部7a、ギャップ層3a、および隆
起部1aの両側面に付着した磁性材料膜8,8が削り取
られ、除去される。前記磁性材料膜8が除去されること
により、前記先端部7aと隆起部1aとの間において、
磁気的な短絡が発生しない。
【0094】以上のように、図4に示す製造方法では、
図4(a)に示す従来の状態(図8参照)から、まず図
4(b)に示す異方性プラズマエッチングにより非磁性
材料の層3を除去する。その後、図4(c)にて、垂直
方向に近い方向性を有する第1次イオンミリングによ
り、下部コア層1の両側部分をほぼ矩形状に削り取り、
ギャップ層3aの下に先端部7aの幅寸法Twとほぼ同
じ幅寸法T1を有する矩形状の隆起部1aを形成でき
る。さらに、図4(d)では、斜め方向の方向性を有す
る第2次イオンミリングにより、下部コア層1に傾斜面
1b,1bを形成でき、同時に、図4(c)の工程に
て、ギャップ層3aなどに付着した磁性材料膜8,8を
除去することができる。
【0095】次に図5(a)から(d)、と図6(a)
から(b)に基づいて、図2に示す薄膜磁気ヘッドの下
部コア層1および隆起部2を形成する製造方法を工程順
に説明する。
【0096】図5(a)では、パーマロイなどの高透磁
率の軟磁性材料をメッキするなどして、幅寸法T3の正
面から見た形状が長方形(矩形)の下部コア層(第1の
層)1が形成される。さらに前記下部コア層1上に、レ
ジスト材料が塗布され、露光・現像処理により幅寸法T
4のレジスト材料が除去される。そして、前記幅寸法T4
の部分に、下部コア層1と同じ軟磁性材料がメッキまた
はスパッタなどにより成膜されて、幅寸法がT4の長方
形(矩形)の隆起部(第2の層)2が形成される。ま
た、前記隆起部2の両側に残されているレジスト材料が
除去される。
【0097】なお、前記隆起部2は、その膜厚(高さ)
Hが、次の工程で説明する非磁性材料の層3の膜厚の1
倍から3倍程度になるように形成されていることが好ま
しい。
【0098】図5(b)に示すように、前記下部コア層
1の上から隆起部2の上(さらに下部コア層1以外の領
域)にかけて非磁性材料の層3が形成される。この非磁
性材料は、後のCF4またはCF4と酸素(O2)による
プラズマエッチングによって化学的に除去されやすい材
料であり、これに適合する非磁性材料は、SiO2,T
25,Si34,TiO,WO3,Ti23,Ti3
5,TiO2の単層膜、あるいは2種類以上の複合膜また
は多層膜などである。
【0099】図5(c)では、非磁性材料の層3の上
に、幅寸法Twの磁性材料の上部コア層7の先端部7a
が接合される。この上部コア層7は、図2に示す絶縁層
6の上にメッキなどで形成されるが、この工程では、上
部コア層7の形状領域以外の部分にレジストパターンが
形成され、このレジストパターンが形成されていない部
分に軟磁性材料をメッキなどし、さらにレジスト材料を
除去することにより形成される。これにより、上部コア
層7の先端部7aは幅寸法がTwとなるように形成され
る。
【0100】図5(c)では、長方形の隆起部2の幅寸
法T4よりも、上部コア層7の先端部7aの幅寸法Tw
がわずかに小さく形成される。この寸法差Tw−T4
は、隆起部2の形成位置公差および幅寸法T4の公差お
よび、上部コア層7の先端部7aの形成位置公差および
幅寸法Twの公差が累積されたときに、先端部7aが、
隆起部2の幅寸法T4内に確実に収まるように設定され
る。
【0101】次に、図5(d)では、上部コア層7の先
端部7aと隆起部2との間に介在している非磁性材料の
層3をギャップ層3aとして残し、その両側の非磁性材
料の層3(点線部分)がプラズマエッチングにより除去
される。これによって隆起部2の上面の両角部2′,
2′がギャップ層3aの両側に露出する。
【0102】非磁性材料の層3は、SiO2,Ta
25,Si34,TiO,WO3,Ti23,Ti
35,TiO2の単層膜、あるいは2種類以上の複合膜
または多層膜によって形成されている。これら化合物
は、プラズマエッチングに使用されるプラズマ化された
CF4または、CF4とO2の混合ガスと化学反応を起こ
し、ギャップ層3a以外の非磁性材料の層3が確実に除
去される。
【0103】また、前記プラズマエッチングは、矢印R
方向(垂直方向)のみから行われる方向性を有する異方
性プラズマエッチングにより行われる。よって、先端部
7aと隆起部2との間に介在しているギャップ層3aは
前記異方性プラズマエッチングに影響されず、先端部7
aと隆起部2との間にて、幅寸法Tw(=T1)にて残
される。また、前記プラズマエッチングは、化学的作用
により非磁性材料を除去するものであるため、このプラ
ズマエッチングにより、下部コア層1および隆起部2を
形成する磁性材料にダメージを与えることがない。
【0104】図6(a)では、第1次イオンミリングに
て、隆起部2の角部2′が削り取られる。
【0105】前記イオンミリングは、中性イオン化され
たAr(アルゴン)ガスが使用される。この第1次イオ
ンミリングでは、矢印S方向および矢印T方向からイオ
ン照射が行われるが、このイオン照射の角度θ3は0か
ら30°の範囲内であることが好ましい。つまり、第1
次イオンミリングでは、垂直に近い方向から、下部コア
層1の上面に対してイオンが照射される。
【0106】図6(a)に示す斜めの矢印S方向および
T方向から隆起部2および下部コア層1にイオンが照射
され、物理的作用により、隆起部2の角部2′および下
部コア層1の隆起部2以外の上面が削られる。その結
果、隆起部2のギャップ対向面2bの幅寸法T1が、上
部コア層7の先端部7aの幅寸法Twと一致し、前記ギ
ャップ対向面2bの両側に傾斜面2a,2aが形成され
て、隆起部2が台形となる。
【0107】なお、この第1次イオンミリングの所要時
間は、前述した図4(c)に示す第1次イオンミリング
の所要時間よりもかなり短くなっている。これは、隆起
部2の両角部2′,2′が非常に速く削り取られるから
である。
【0108】第1次イオンミリングの時間が短いこと
で、下部コア層1の対向面1fの両側部分が、少しだけ
削り取られる。さらに、上部コア層7の先端部7aの上
面の左右の角部も除去されて斜面7c,7cが形成され
る。
【0109】またこのとき、少量ではあるが、削り取ら
れた磁性材料(点線部分)が、ギャップ層3aおよび先
端部7aの両側面に付着し、前記両側面に磁性材料膜
8,8が形成される。
【0110】図6(b)では、第2次イオンミリングに
て、前記隆起部2の形状が、より矩形状に近い形状にさ
れ、さらに、下部コア層1に傾斜面1b,1bが形成さ
れる。
【0111】第2次イオンミリングでは、第1次イオン
ミリングと同様に中性イオン化されたAr(アルゴン)
ガスが使用される。この第2次イオンミリングでは、矢
印U方向および矢印V方向からイオン照射が行われる
が、このイオン照射の角度θ4は45°から70°の範
囲内であることが好ましい。つまり、第1次イオンミリ
ング(イオン照射角度θ3は0°から30°)に比べ
て、より斜め方向からイオンが照射される。
【0112】矢印Uおよび矢印V方向からイオンが照射
されると、物理的作用により、隆起部2の傾斜面2a,
2aが削られ、前記隆起部2の形状がより矩形状に近い
形状となる。これにより、前記隆起部2の下部コア層1
との境界面2cの幅寸法はT4からT2に小さくなる。な
お、イオンミリングの時間などを適性に調節することに
より、図1に示す隆起部1aと同様に、前記隆起部2の
形状を矩形状にすることが可能である。
【0113】また、第2次イオンミリングにより、下部
コア層1の隆起部2との対向面1fの両側部分に傾斜面
1b,1bが形成される。なお、前記傾斜面の傾斜角度
θ2が2°から10°の範囲内となるように、イオンミ
リングの時間などを適性に調節する必要がある。
【0114】また、第2次イオンミリングにより、ギャ
ップ層3aおよび上部コア層7の先端部7aの両側面に
形成された磁性材料膜8,8が削り取られる。前記磁性
材料膜8が除去されることにより、前記先端部7aと隆
起部2との間において、磁気的な短絡が発生しない。
【0115】図5および図6に示す製造方法では、あら
かじめ下部コア層1の上に、先端部7aの幅寸法Twよ
りもやや大きい幅寸法T4を有する隆起部2を形成して
おき、図4で説明した製造方法と同様に、異方性プラズ
マエッチング、および2回のイオンミリングを行う。
【0116】これにより、隆起部2の対向面2bの幅寸
法T1を、上部コア層7の先端部7aの幅寸法Twと一
致させることが可能となる。特に、図6(b)に示す第
2次イオンミリングを行うことにより、前記隆起部2の
下部コア層1との境界面2cの幅寸法T4をT2に小さく
でき、より前記隆起部2の形状を矩形状に近い形状にで
きる。またこの第2次イオンミリングにて、下部コア層
1に傾斜面1b,1bを形成でき、また図6(a)の工
程で、ギャップ層3aなどの両側に付着した磁性材料膜
8,8を除去することができる。
【0117】次に、図7は本発明の第3の実施の形態を
示す正面図である。図7に示されたものでは、パーマロ
イなどの磁性材料で形成された下部コア層1の上に隆起
部が設けられていない。
【0118】まず図4(a)に示す状態から、図4
(b)および図5(d)で示したのと同じ異方性プラズ
マエッチングにより、下部コア層1と上部コア層の先端
部7aとで挟まれたギャップ層3aを残し、その両側の
非磁性材料の層3(図7にて点線で示す部分)を化学作
用で除去する。
【0119】さらに図4(d)および図6(b)で示し
たのと同じS方向とT方向からの第2次イオンミリング
により、下部コア層1の対向面1dの両側部分を削っ
て、傾斜面1b,1bを形成する。なお、このとき、前
記傾斜面1b,1bの傾斜角度はθ2である。
【0120】この場合も、非磁性材料の層3は、プラズ
マエッチングによる化学作用で除去されやすく、プラズ
マエッチング工程で下部コア層1の磁性材料にダメージ
を与えない、例えばSiO2などが選択される。
【0121】図7では、まず非磁性材料の層3を除去
し、その後に45°から70°のイオン照射角度を有す
る第2次イオンミリングで、隆起部を形成することな
く、下部コア層1に傾斜面1b,1bを形成する。
【0122】このような方法であっても、図7に示すよ
うに、下部コア層1の対向面1dの幅寸法T1を先端部
7aの幅寸法Twに一致させることができ、従来に比べ
て、ライトフリンジングの防止効果がある。
【0123】ただし、図7に示す薄膜磁気ヘッドでは、
図1や図2に示す薄膜磁気ヘッドに比べて、上部コア層
7の先端部7aの両側に位置する下部コア層1(傾斜面
1b,1bを有する下部コア層)と前記先端部7aとの
距離が非常に短く、従って、従来と同様にトラック幅T
wの両側に漏れ磁界が形成されやすくなっている。従っ
て図7に示す薄膜磁気ヘッドでは、図1や図2に示す薄
膜磁気ヘッドで得られる程のライトフリンジング抑制効
果を期待できない。
【0124】なお、図7に示す薄膜磁気ヘッドにおい
て、よりライトフリンジングの発生を抑制するには、下
部コア層1の傾斜面1bの傾斜角度θ2を、下部コア層
の上部シールド層としての機能が低下しない程度に大き
くすればよい。
【0125】
【実施例】本発明では、下部コア層1や隆起部1a(あ
るいは2)などの形状あるいは寸法が異なる複数の薄膜
磁気ヘッドを用いて、ライトフリンジングにおける実験
を行った。
【0126】本発明における実験では、以下に示す複数
の薄膜磁気ヘッドを用いた。 図15に示す、従来の薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁
気ヘッドAとする) 図16に示す、従来の薄膜磁気ヘッドにおいて、下部
コア層11およびギャップ層12に形成された傾斜面1
1a,12aの傾斜角度θ5を3°とした薄膜磁気ヘッ
ド(以下、薄膜磁気ヘッドBとする) 図7に示す、本発明の第3の実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドにおいて、下部コア層1に形成された傾斜面1bの傾
斜角度θ2を2°とした薄膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁
気ヘッドC1)、および前記傾斜角度θ2を4°とした薄
膜磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドC2) 図2に示す、本発明の第2の実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドにおいて、下部コア層1に形成された隆起部2の高さ
寸法Hを0.5μmで統一し、前記隆起部2に形成され
た傾斜面2aの傾斜角度θ1を30°、下部コア層1に
形成された傾斜面1bの傾斜角度θ2を2°とした薄膜
磁気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドD1)、および前記
傾斜角度θ1を45°、傾斜角度θ2を2°とした薄膜磁
気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドD2)、および前記傾
斜角度θ1を45°、傾斜角度θ2を5°とした薄膜磁気
ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドD3) 図1に示す、本発明の第1の実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドにおいて、下部コア層1に形成された矩形状の隆起部
1aの高さ寸法Hを0.2μm、下部コア層1に形成さ
れた傾斜面1bの傾斜角度θ2を2°とした薄膜磁気ヘ
ッド(以下、薄膜磁気ヘッドE1)、および前記高さ寸
法Hを0.4μm、傾斜角度θ2を2°とした薄膜磁気
ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドE2)、および前記高さ
寸法Hを0.4μm、傾斜角度θ2を5°とした薄膜磁
気ヘッド(以下、薄膜磁気ヘッドE3) なお、上述したそれぞれの薄膜磁気ヘッドのギャップ層
の膜厚を、0.3μmで統一した。
【0127】実験では、まず前述したそれぞれの薄膜磁
気ヘッドで、記録媒体上に信号を記録し、その信号の幅
寸法ToをMFM(magnetic force microscope;磁気
力顕微鏡)にて測定した。
【0128】次に、それぞれの薄膜磁気ヘッドにおける
上部コア層の先端部の幅寸法TwをSEM(scaning el
ectron microscope;走査型電子顕微鏡)にて測定し
た。
【0129】そして、記録信号の幅寸法Toから先端部
の幅寸法Twを引いた値(ライトフリンジング量)を算
出し、それぞれの薄膜磁気ヘッドにおけるライトフリン
ジング量を図8にまとめた。
【0130】図8に示すように、下部コア層1に隆起部
が形成されている薄膜磁気ヘッドD,Eが、他の薄膜磁
気ヘッドに比べて、ライトフリンジング量が小さくなっ
ていることがわかる。
【0131】薄膜磁気ヘッドDについて詳細に見てみる
と、隆起部2に形成された傾斜面2aの傾斜角度θ1を
30°より45°にした方が、よりライトフリンジング
量は小さくなっている。また前記傾斜角度θ1がほぼ9
0°にされている薄膜磁気ヘッドEを見てみると、E1
を除いて、薄膜磁気ヘッドDよりも、よりライトフリン
ジング量は小さくなっている。
【0132】以上の実験結果から、下部コア層に隆起部
が形成されていることが好ましく、さらに、前記隆起部
の形状が矩形状に近い程、よりライトフリンジングの程
度を低下させることができることがわかった。
【0133】さらに、薄膜磁気ヘッドC1とC2を見てみ
ると、下部コア層1に形成された傾斜面1bの傾斜角度
θ2は2°よりは4°の方が、よりライトフリンジング
量は小さくなっている。この傾向は、薄膜磁気ヘッドD
2とD3のライトフリンジング量、および薄膜磁気ヘッド
E2とE3のライトフリンジング量にも顕著に出ている。
なお、本発明では、下部コア層1の傾斜角度θ2につい
て、別に実験を行った。その実験結果については後述す
る。
【0134】さらに、薄膜磁気ヘッドEについて見てみ
ると、E2、E3におけるライトフリンジング量は非常に
小さくなっており、好ましい結果となっているが、E1
におけるライトフリンジング量は非常に大きくなってい
ることがわかる。
【0135】これは、下部コア層1に形成された隆起部
1aの高さHが小さいために、薄膜磁気ヘッドE1の形
は、薄膜磁気ヘッドD(図7参照)に近いものとなって
おり、従ってライトフリンジング量が大きくなっている
ものと推測される。なお、隆起部1aの高さHについて
は、別に実験を行ったので、その実験結果については後
述する。
【0136】次に、薄膜磁気ヘッドAからEまでを用い
て、前述した方法とは別の方法にてライトフリンジング
量を測定した。
【0137】実験の方法については図9に示すイメージ
図を用いて説明する。まず、記録媒体上に信号X(refe
rense write track)を記録し、その後この信号Xから
十分離れた位置に信号Yを記録する。この信号Yの中心
から光学的に算出したトラック幅Tw(optical)の約
1.5〜1.6倍離れた位置に再び信号Zを記録する。
【0138】そして、実験資料となる薄膜磁気ヘッド
(A〜E)を信号Xと信号Yの中間におき、前記信号
X,Yの端部X1,Y1を消去する。
【0139】次に、信号X、信号Y2(=Y・Y1)、お
よび信号Z2(=Z・Z1)を薄膜磁気ヘッドの読取りヘ
ッド(磁気抵抗効果素子)にて再生すると、図9に示す
再生波形X3,Y3,Z3が得られる。
【0140】次に、再生波形X3の高さに対する中心線
X3が、再生波形Y3,Z3のどの位置と交わっているか
を調べ、再生波形Y3の中心線X4との交叉点Y4と、再
生波形Z3の中心線X4との交叉点Z4との幅寸法T5を測
定する。
【0141】本実験で、得られた幅寸法T5は、DCイ
レーズバンド幅と呼ばれており、このDCイレーズバン
ド幅T5からトラック幅Tw(optical)を引いたものが、
この実験におけるライトフリンジング量である。その実
験結果を図10に示す。
【0142】図10に示すライトフリンジング量は、図
8に示すライトフリンジング量に比べて大きくなってい
るが、それぞれの薄膜磁気ヘッドにおけるライトフリン
ジング量の傾向は全く同じである。つまり、例えば隆起
部が形成されている薄膜磁気ヘッドD,Eは、隆起部が
形成されていない薄膜磁気ヘッド(A〜C)に比べて、
ライトフリンジング量は小さくなっている。
【0143】図11は、下部コア層1の傾斜面1bの傾
斜角度θ2が2°で統一され、隆起部1aの高さHが異
なる複数の薄膜磁気ヘッドE(図1参照)を用いて、そ
れぞれの薄膜磁気ヘッドにおけるライトフリンジング量
を測定した。なお、ギャップ層3aの膜厚は0.3μm
で統一されている。また、この実験では図9に示す方法
を用いてライトフリンジング量を測定した。
【0144】図11に示すように、隆起部1aの高さ寸
法Hを0.6μm程度まで大きくしていくと、ライトフ
リンジング量は小さくなっていくが、前記高さ寸法Hを
0.6μm以上にしても、ライトフリンジング量はあま
り変化しないことがわかる。
【0145】隆起部1aの高さ寸法Hを大きくすること
により、ライトフリンジング量が小さくなるのは、上部
コア層7の先端部7aと、隆起部1aの基端の両側に延
びる下部コア層1(傾斜面1bを有する下部コア層)と
の距離が離され、より前記隆起部1aと上部コア層7の
先端部7aとの間で漏れ磁界が発生しやすくなるからで
ある。
【0146】ところで、この実験におけるギャップ層3
aの膜厚は0.3μmであるが、図11に示すように、
隆起部1aの高さ寸法Hを、0.3μm程度以上にすれ
ば、かなりライトフリンジング量を小さくできる。また
前記隆起部1aの高さ寸法Hをあまり大きくしてもライ
トフリンジング量の抑制効果をあまり期待できないこと
から、本発明では、隆起部1aの高さ寸法Hをギャップ
層3aの1倍〜3倍程度とした。
【0147】図12は、隆起部1aの高さ寸法Hが0.
4μmで統一され、下部コア層1の傾斜面1bの傾斜角
度θ2が異なる複数の薄膜磁気ヘッドEを用いて、それ
ぞれの薄膜磁気ヘッドにおけるライトフリンジング量を
測定した。なお、ギャップ層3aの膜厚は0.3μmで
統一されている。また、この実験では図9に示す方法を
用いてライトフリンジング量を測定した。
【0148】図12に示すように、下部コア層1の傾斜
面1bの傾斜角度θ2を大きくしていくと、ライトフリ
ンジング量は小さくなっている。
【0149】これは、傾斜角度θ2を大きくすることに
より、上部コア層7の先端部7aと、隆起部1aの基端
の両側に延びる下部コア層1(傾斜面1bを有する下部
コア層)との距離が離され、より前記隆起部1aと上部
コア層7の先端部7aとの間で漏れ磁界が発生しやすく
なるからである。
【0150】ただし、傾斜角度θ2をあまり大きくし過
ぎると、下部コア層1の底面1eと傾斜面1bまでの膜
厚が薄くなり、あるいは、前記底面1eの幅寸法T3が
小さくなるので、下部コア層1の上部シールド層として
の機能が低下してしまう。
【0151】そこで、本発明では、傾斜面1bの傾斜角
度θ2を2°から10°とした。図13は、下部コア層
1の傾斜面1bの傾斜角度θ2が異なる複数の薄膜磁気
ヘッドC(図7参照)を用いて、それぞれの薄膜磁気ヘ
ッドにおけるライトフリンジング量を測定した。なお、
ギャップ層3aの膜厚は0.3μmで統一されている。
また、この実験では図9に示す方法を用いてライトフリ
ンジング量を測定した。
【0152】図13に示すように、傾斜面1bの傾斜角
度θ2を大きくすると、ライトフリンジング量は小さく
なっている。この実験結果からもわかるように、下部コ
ア層1の両側に傾斜面1bを形成することが、ライトフ
リンジングの発生を抑制する上でより効果的であること
がわかる。
【0153】ただし、薄膜磁気ヘッドCには、薄膜磁気
ヘッドEのように、隆起部が形成されていないので、前
記傾斜角度θ2をかなり大きくしないことには、薄膜磁
気ヘッドEと同程度のフリンジング抑制効果を期待でき
ないことが図12と図13とを比較してみるとよくわか
る。
【0154】以上の実験結果により、図1および図2に
示すように、下部コア層1に隆起部1a(あるいは2)
を形成することが、ライトフリンジングの発生を抑制で
きる点で好ましく、さらに好ましくは、図1に示す隆起
部1aのように、その形状を矩形状することである。
【0155】また、前記隆起部1aの高さ寸法Hを、ギ
ャップ層3aの膜厚の1倍から3倍程度とし、さらに、
前記隆起部1aの両側に位置する下部コア層1の上面に
傾斜面1bを形成し、この傾斜面1bの傾斜角度θ2を
2°〜10°程度にすることが、よりライトフリンジン
グの発生を抑制でき、しかも下部コア層1の上部シール
ド層としての機能を低下させない点で好ましいことがわ
かった。
【0156】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、下部コア
層にギャップ層との対向面の幅寸法T1が上部コア層T
wと同じ程度にされた隆起部を形成し、さらに前記隆起
部の基端の両側から延びる下部コア層の上面に傾斜面を
形成することで、ライトフリンジングの発生を抑制する
ことができる。
【0157】特に、前記隆起部の形状を矩形状に形成す
ることで、上部コア層と隆起部との間で発生する漏れ磁
界を、確実にトラック幅Tw内に収めることができるの
で、よりライトフリンジングの発生を抑制することが可
能となる。
【0158】なお、本発明では、ギャップ層をSiO2
などのプラズマエッチングにて除去可能な非磁性材料で
形成しているので、前述した非磁性材料の層を除去する
工程にて、プラズマエッチングを使用することにより、
前記非磁性材料の層のみを除去でき、下部コア層などの
磁性材料の層にダメージを与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による薄膜磁気ヘッド
の磁気ギャップ部分の構造を示す部分斜視図、
【図2】本発明の第2の実施形態による薄膜磁気ヘッド
の磁気ギャップ部分の構造を示す部分斜視図、
【図3】図2のIII線に沿って切断した場合の薄膜磁
気ヘッドの内部構造を示す断面図、
【図4】(a)ないし(e)は本発明の第1の薄膜磁気
ヘッドの製造方法を工程別に示す部分正面図、
【図5】(a)ないし(d)は本発明の第2の薄膜磁気
ヘッドの途中までの製造方法を工程別に示す部分正面
図、
【図6】(a)ないし(b)は、図5の続きの製造方法
を工程別に示す部分正面図、
【図7】本発明の第3の実施形態による薄膜磁気ヘッド
の磁気ギャップ部分を示す拡大正面図、
【図8】下部コア層や隆起部の形状の異なる複数の薄膜
磁気ヘッドのライトフリンジング量を第1の方法にて測
定した場合のグラフ、
【図9】ライトフリンジング量を測定する第2の方法の
イメージ図、
【図10】下部コア層や隆起部の形状の異なる複数の薄
膜磁気ヘッドのライトフリンジング量を第2の方法にて
測定した場合のグラフ、
【図11】図1に示す下部コア層の傾斜角度θ2を2°
に統一し、隆起部の高さ寸法Hの異なる複数の薄膜磁気
ヘッドを製作して、第2の方法により、ライトフリンジ
ング量を測定した場合の、前記隆起部の高さ寸法Hとラ
イトフリンジング量との関係を示すグラフ、
【図12】図1に示す隆起部の高さ寸法Hを0.4(μ
m)に統一し、下部コア層の傾斜面の傾斜角度θ2の異
なる複数の薄膜磁気ヘッドを製作して、第2の方法によ
り、ライトフリンジング量を測定した場合の、前記傾斜
角度θ2とライトフリンジング量との関係を示すグラ
フ、
【図13】図7に示す下部コア層の傾斜面の傾斜角度θ
2の異なる複数の薄膜磁気ヘッドを製作して、第2の方
法により、ライトフリンジング量を測定した場合の、前
記傾斜角度θ2とライトフリンジング量との関係を示す
グラフ、
【図14】従来の薄膜磁気ヘッドの構造を示す断面図、
【図15】図14のXV矢視の部分拡大正面図、
【図16】(a),(b)は従来の改良例でのコア層の
構造を示す部分拡大正面図、
【符号の説明】
1 下部コア層 1a,2 隆起部 1b 傾斜面 1c 側面(垂直面) 1d,2b ギャップ対向面 2a 側面(傾斜面) 3 非磁性材料の層 3a ギャップ層 4 絶縁層 5 コイル層 7 上部コア層 7a 先端部 8 磁性材料膜 Gl 磁気ギャップ長 H (隆起部の)高さ寸法 Tw トラック幅 θ1 (隆起部の両側面に形成された)傾斜面の傾斜角
度 θ2 (隆起部の基端から延びる下部コア層の上面に形
成された)傾斜面の傾斜角度

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性材料の下部コア層と、下部コア層上
    に非磁性材料のギャップ層を介して対向する磁性材料の
    上部コア層と、下部コア層及び上部コア層に記録磁界を
    誘導するコイル層とが設けられた薄膜磁気ヘッドにおい
    て、 前記ギャップ層が上部コア層の先端部の幅寸法Twと同
    じ幅寸法にて形成され、前記下部コア層には、ギャップ
    層と接する部分が、前記幅寸法Twと同じ幅寸法T1で
    ある隆起部が設けられており、この隆起部の基端から延
    びる下部コア層の上面が前記上部コア層から離れる方向
    に傾斜する傾斜面であり、 前記ギャップ層は、SiO2,Ta25,Si34,T
    iO,WO3の1種または2種以上から選択される非磁
    性材料により形成され、 前記上部コア層の前記先端部、前記ギャップ層、及び前
    記下部コア層の前記隆起部の側面が、ギャップ深さGd
    の奥行き方向長さを有する連続面となっていることを特
    徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記隆起部は、前記下部コア層と一体と
    なって形成されている請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記下部コア層は、第1の層と、この第
    1の層に積層され隆起部を形成する第2の層を有してい
    る請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記隆起部は、ギャップ層に接する部分
    から基端部に向かって幅寸法が徐々に大きくなるように
    前記隆起部の両側面が傾斜している請求項1ないし請求
    項3のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記隆起部の高さ寸法は、前記隆起部の
    上に形成されるギャップ層の膜厚の1倍以上で3倍以下
    である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の薄膜
    磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 磁性材料の下部コア層と、下部コア層上
    に非磁性材料のギャップ層を介して対向する磁性材料の
    上部コア層と、下部コア層及び上部コア層に記録磁界を
    誘導するコイル層とが設けられた薄膜磁気ヘッドの製造
    方法において、 下部コア層の上に、SiO2,Ta25,Si34,T
    iO,WO3の1種または2種以上の材料から選択され
    る非磁性材料の層を形成する工程と、 前記非磁性材料の層の上に下部コア層よりも幅寸法の小
    さい上部コア層を形成する工程と、 前記下部コア層と前記上部コア層の先端部とで挟まれた
    前記非磁性材料の層をギャップ層として残し、その両側
    の前記非磁性材料の層をプラズマ化されたCF 4又はC
    4とO2の混合ガスと化学反応させる異方性プラズマエ
    ッチングによって除去する工程と、 前記下部コア層の前記ギャップ層に接する対向面の両側
    部分を削り取り、前記ギャップ層を介して上部コア層と
    対向する前記下部コア層の上部に、前記ギャップ層の幅
    寸法と一致させた隆起部を形成し、前記上部コア層の前
    記先端部、前記ギャップ層、及び前記下部コア層の前記
    隆起部の側面を、ギャップ深さGdの奥行き方向長さを
    有する連続面とする工程と、 前記隆起部の基端から両側に延びる下部コア層の上面
    に、上部コア層から離れる方向へ傾斜する傾斜面を形成
    する工程と、 を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記隆起部を形成する工程は、ギャップ
    対向面と垂直な方向に対し0°から30°傾けられたイ
    オン照射角度を有する第1次イオンミリングにより行わ
    れる請求項6に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 下部コア層の上面に傾斜面を形成する工
    程は、ギャップ対向面と垂直な方向に対し、45°から
    70°傾けられたイオン照射角度を有する第2次イオン
    ミリングにより行われる請求項6または7に記載の薄膜
    磁気ヘッドの製造方法。
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