JP3839356B2 - ディスククランプ機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CDやDVD等のディスクをターンテーブルに圧接するディスククランプ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDプレーヤやDVDプレーヤ等のディスクプレーヤにおいては、装置内に装填されたディスクをターンテーブル上に載置し、このディスクの中心部をターンテーブルとクランパで挟持(クランプ)するというディスククランプ機構が採用されている。
【0003】
図5はこの種のディスククランプ機構の従来例を示す断面図である。同図に示すように、ドライブシャーシ1にはスピンドルモータ2が取り付けられており、このスピンドルモータ2の回転軸2aに合成樹脂製のターンテーブル3が固着されている。ターンテーブル3の中央には筒状部3aが形成されており、この筒状部3aをスピンドルモータ2の回転軸2aに圧入することにより、ターンテーブル3は回転軸2aに固定されている。また、ターンテーブル3の上面に上端をアール形状とした突堤部3bが形成されており、この突堤部3bは筒状部3aを中心とする環状に形成されている。
【0004】
ドライブシャーシ1の上方にクランプアーム4が配設されており、このクランプアーム4の先端部にネジ6等を用いて固定されたばね部材5に合成樹脂製のクランパ7が回転自在に支持されている。クランパ7の下面には複数、例えば3つの突起7aが円周方向に120°の等間隔を保って形成されており、これら突起7aはクランプ時にディスクDの上面に圧接される。また、クランパ7の中央部に下端を開口した中空状の軸部7bが形成されており、その下部開口径はターンテーブル3の筒状部3aの上部外径寸法より若干大きめに設定されている。さらに、軸部7bの上端に半球状の膨出部7cが形成されており、この膨出部7cの頂部はばね部材5の下面に弾接している。なお、クランプアーム4の後端部はドライブシャーシ1に回動可能に連結されており、このクランプアーム4を図示せぬ昇降機構によって回動動作させることにより、クランパ7がターンテーブル3に対して近接または離間するようになっている。また、図示省略されているが、ドライブシャーシ1は装置の外殻をなす筐体の内部にダンパやスプリング等を介して弾性的に支持されており、プレイ中に外部振動によって音飛び等が生じないような耐振構造となっている。
【0005】
このように構成されたディスククランプ機構では、ディスクDが装置内に装填されていないイジェクト状態において、クランプアーム4とクランパ7はターンテーブル3から離間する上方位置に保持されており、ターンテーブル3とクランパ7との間に所定の空間が確保されている。一方、ディスクDを装置内に装填してターンテーブル3の真上まで搬送した後、クランプアーム4を下方へ回動してクランパ7を下降させると、ディスクDの中心孔D1が突堤部3bに嵌まり込んでセンタリングされた後、図5に示すように、ディスクDがターンテーブル3とクランパ7とで挟持される。このとき、軸部7bの中空部が筒状部3aの外周面に嵌まり込むことにより、クランパ7とターンテーブル3およびスピンドルモータ2の回転軸2aが互いに軸合わせされ、クランパ7の下面はばね部材5の軸線方向への付勢力を受けてディスクDの上面に圧接される。そして、この状態でスピンドルモータ2を回転駆動すると、ターンテーブル3とディスクDおよびクランパ7が一体的に回転し、図示せぬピックアップをディスクDの径方向へ移動することにより、ディスクDに対する情報の記録および/または再生が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来のディスククランプ機構においては、クランパ7の上端に半球状の膨出部7cを形成し、この膨出部7cの頂部を板ばね5に弾接させてクランパ7を押圧付勢しているため、膨出部7cの半球形状が維持されていれば、クランパ7は膨出部7cの頂部と板ばね5の弾接部分を支点として比較的小さな摩擦抵抗で回転することができる。しかしながら、クランパ7の膨出部7cが板ばね5に直接接触しているため、度重なる使用によって膨出部7cが比較的短期間で摩耗し始めてしまい、この摩耗が促進されるとクランパ7の摩擦抵抗が非常に大きくなり、スピンドルモータ2のスムーズな回転を妨げるという問題があった。また、特定の振動周波数でドライブシャーシ1に搭載されたメカニズム全体が振動すると、回転中のディスクDが共振し、耐振性能を悪化させて音飛び等の不具合が発生するという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、長寿命で耐振性能に優れたディスククランプ機構を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、クランパの膨出部の頂部に小突起を形成し、この小突起をばね部材に弾接させてクランパを軸線方向へ弾性付勢することとした。このような小突起をクランパに形成すると、少なくとも小突起が摩耗してなくなるまでの長期間に亘ってクランパの摩擦抵抗を低減できるのみならず、回転中のディスクの振動によってクランパが揺動しても、ばね部材の付勢力が小突起を介して常にクランパの軸線方向へ作用するため、特定周波数での共振を抑えることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のディスククランプ機構では、モータの回転軸に固着されたターンテーブルと、このターンテーブルに対して接離方向へ移動可能なクランプアームと、このクランプアームに回転自在に支持されたクランパと、このクランパをその軸線方向へ弾性付勢するばね部材とを備え、ディスクの中心部を前記ターンテーブルと前記クランパとの間で挟持するようにしたディスククランプ機構において、前記クランパの軸線を通る一端部側に半球状の膨出部を形成すると共に、この膨出部の頂部に小突起を形成し、この小突起を前記ばね部材に弾接させる構成とした。
【0010】
このように構成されたディスククランプ機構によれば、クランパが膨出部の頂部に形成した小突起を支点としてばね部材に弾接されているため、少なくとも小突起が摩耗してなくなるまでの長期間に亘ってクランパの摩擦抵抗を低減できるのみならず、回転中のディスクの振動によってクランパが揺動しても、ばね部材の付勢力が小突起を介して常にクランパの軸線方向へ作用するため、特定周波数での共振を抑えて耐振性能を良好に維持することができる。
【0011】
上記の構成において、小突起の形状は特に限定されないが、小突起を膨出部よりも曲率半径の小さい半球状に形成することが好ましい。
【0012】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は実施例に係るディスククランプ機構の断面図、図2は該ディスククランプ機構に備えられるクランパの断面図、図3は図2のA部拡大図であり、図5に対応する部分には同一符号を付してある。
【0013】
本実施例に係るディスククランプ機構が図5に示す従来例と相違する点は、クランパ10に小突起10dを有する2段凸形状の膨出部10cを形成し、この小突起10dをばね部材5の下面に弾接させたことにある。すなわち、合成樹脂製のクランパ10の下面に複数の突起10aが形成されると共に、このクランパ10の中央部に下端を開口した中空状の軸部10bと、この軸部10bの上端に半球状の膨出部10cとが形成される点は従来例と同じであるが、この膨出部10cの頂部に小突起10dが形成されて点が大きく相違している。小突起10dは膨出部10cよりも曲率半径が十分に小さい半球状に形成されており、本実施例の場合、膨出部10cの曲率半径が3.7mmであるのに対し、小突起10dの曲率半径は0.75mmに設定されている。
【0014】
クランパ10以外の構成は図5に示す従来例と基本的に同様であり、その構成を簡単に説明すると、ドライブシャーシ1は筐体の内部にダンパやスプリング等を介して弾性的に支持されており、このドライブシャーシ1にスピンドルモータ2が取り付けられている。スピンドルモータ2の回転軸2aにはターンテーブル3が固着され、このターンテーブル3には筒状部3aと突堤部3bが形成されている。また、ドライブシャーシ1の上方にクランプアーム4が昇降可能に配設されており、このクランプアーム4の後端部をドライブシャーシ1に回動可能に連結すると共に、クランプアーム4の先端部にばね部材5がネジ6を用いて固定されている。上記したクランパ10はこのばね部材5に回転自在に支持されており、小突起10dの上端がばね部材5の下面に弾接することにより、クランパ10はばね部材5から常に軸線方向下側への付勢力を受けている。
【0015】
このように構成されたディスククランプ機構では、ディスクDが装置内に装填されていないイジェクト状態(待機状態)において、クランプアーム4とクランパ10はターンテーブル3から離間する上方位置に保持されており、ターンテーブル3とクランパ10との間に所定の空間が確保されている。一方、ディスクDを装置内に挿入してターンテーブル3の真上まで搬送した後、クランプアーム4を下方へ回動してクランパ10を下降させると、ディスクDの中心孔D1が突堤部3bに嵌まり込んでセンタリングされた後、図1に示すように、ディスクDがターンテーブル3とクランパ10とで挟持される。このとき、軸部10bの中空部が筒状部3aの外周面に嵌まり込むことにより、クランパ10とターンテーブル3およびスピンドルモータ2の回転軸2aが互いに軸合わせされ、クランパ10の下面はばね部材5の軸線方向への付勢力を受けてディスクDの上面に圧接される。そして、この状態でスピンドルモータ2を回転駆動すると、ターンテーブル3とディスクDおよびクランパ10が一体的に回転し、図示せぬピックアップをディスクDの径方向へ移動することにより、ディスクDに対する情報の記録および/または再生が行われる。
【0016】
上記実施例においては、クランパ10の膨出部10cの頂部に半球状の小突起10dを形成して2段凸形状となし、この小突起10dをばね部材5の下面に弾接させたため、少なくとも小突起10dが摩耗してなくなるまでの長期間に亘ってクランパ10の摩擦抵抗を低減することができる。また、回転中のディスクDが上下方向に振動し、それに伴ってクランパ10が小突起10dを支点として揺動したとしても、ばね部材5の付勢力が小突起10dを常にクランパ10の軸線方向へ作用するため、特定の振動周波数でディスクDが共振するのを抑制することができる。図4は上下方向に振動を加えて音飛び加速度(音飛びが発生する振動加速度)を測定したベンチ試験結果であり、同図から明らかなように、従来例に係るディスククランプ機構(図5参照)の場合、振動周波数が160Hz付近で音飛び加速度Gが急に小さくなるのに対し、本実施例に係るディスククランプ機構(図1参照)の場合、このような音飛び加速度Gの急激な低下という現象は見られない。これは、クランパ10の小突起10dによって特定周波数でのディスクDの共振が抑えられるからであり、本実施例に係るディスククランプ機構によれば、クランパ10の長寿命化が図れるだけでなく、耐振性能を良好に維持することもできる。
【0017】
なお、上記実施例では、クランパ10の軸部10bをばね部材5に回転自在に弾接した場合について説明したが、クランプアーム4に一体形成したばね片あるいはクランプアーム4に直接にクランパ10の軸部10bを回転自在に圧接させることも可能である。また、小突起10dの形状は特に限定されるものではなく、円錐状等であっても良い。また、小突起10dの大きさも膨出部10cの曲率半径よりも小さければ特に限定されないが、摩耗し始めてからのクランパ10の回転抵抗を考慮し、できるだけ小さいものが好ましい。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0019】
クランパの膨出部の頂部に小突起を形成し、この小突起をばね部材に弾接させてクランパを軸線方向へ弾性付勢するようにしたので、少なくとも小突起が摩耗してなくなるまでの長期間に亘ってクランパの摩擦抵抗を低減できるのみならず、回転中のディスクの振動によってクランパが揺動しても、ばね部材の付勢力が小突起を介して常にクランパの軸線方向へ作用するため、特定周波数での共振を抑えて耐振性能を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るディスククランプ機構の断面図である。
【図2】該ディスククランプ機構に備えられるクランパの断面図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】実施例と従来例を比較した上下方向ベンチ試験結果の説明図である。
【図5】従来例に係るディスククランプ機構の断面図である。
【符号の説明】
1 ドライブシャーシ
2 スピンドルモータ
2a 回転軸
3 ターンテーブル
4 クランプアーム
5 ばね部材
10 クランパ
10b 軸部
10c 膨出部
10d 小突起
D ディスク
Claims (2)
- モータの回転軸に固着されたターンテーブルと、このターンテーブルに対して接離方向へ移動可能なクランプアームと、このクランプアームに回転自在に支持されたクランパと、このクランパをその軸線方向へ弾性付勢するばね部材とを備え、ディスクの中心部を前記ターンテーブルと前記クランパとの間で挟持するようにしたディスククランプ機構において、
前記クランパの軸線を通る一端部側に半球状の膨出部を形成すると共に、この膨出部の頂部に小突起を形成し、この小突起を前記ばね部材に弾接させたことを特徴とするディスククランプ機構。 - 請求項1の記載において、前記小突起が前記膨出部よりも曲率半径の小さい半球状に形成されていることを特徴とするディスククランプ機構。
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