JP3839310B2 - 枚葉紙の捌き方法及び捌き装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層された印刷物などを解きほぐしてそのブロッキングを除去する技術に係わり、特に枚葉紙が数枚重なったまま供給されるなどブロッキングによる弊害を未然に防止することのできる枚葉紙の捌き方法と捌き装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、印刷を施すなどした枚葉紙は多層状に積み重ねられ、その後で検査工程や所定の処理工程に一枚ずつ給紙されるが、積層された枚葉紙はその自重や外圧、更には印刷インクの粘性などにより互いに密着して分離し難くなる。このような現象をブロッキングといい、これは印刷インクの量や種類、又は紙質によって程度に差はあるが、数千枚以上の枚葉紙を重ねたものではその発生が著しく、枚葉紙同士の接着力は非常に強固なものとなる。
【0003】
そこで、そのようなブロッキングを除去する装置として、図9に示すような捌き装置(特開平6−1456号)が既に実用化されている。図示するように、この装置は概して一つの大径ローラRと二つの小径ローラrから成り、その小径ローラrが積層された枚葉紙Pを介して大径ローラRの回りを互いに逆向きに旋回するようになっている。そして、これによれば、小径ローラrの接触圧により枚葉紙Pが大径ローラRを中心に湾曲され、これによってブロッキングが解消されるとする。
【0004】
しかし、このような装置では大径ローラRの外周面に沿って枚葉紙全体を湾曲させるにすぎないのでブロッキングを完全に解消することは難しく、特に枚葉紙同士の密着力が強固な場合には、これが図10のように波打って両端が全く捌かれないことがある。
【0005】
一方、その他の捌き装置として、図11に示すような機種(特開平6−56341号)も知られる。この装置は、枚葉紙Pの中央部を挟む中央ローラRAと、同枚葉紙の両端部を挟むサイドローラRBとを有し、中央ローラRA及びサイドローラRBの少なくとも一方が枚葉紙Pの積層方向に沿って移動可能とされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、図11のような装置も他の従来装置と同じく枚葉紙を全体的に湾曲させるのでその変形量が比較的小さく、ブロッキングを完全に解消できないことがあり、しかも枚葉紙の両端部がサイドローラでクランプされることから、枚葉紙を湾曲させたときに内周側の枚葉紙が逃げ場を失って波打ち現象を生ずるという欠点があった。又、枚葉紙の中央部を中央ローラでクランプすることから、図11のような装置も図9のような装置と同じく、枚葉紙の中央部がブロッキングの強弱に拘わらず全く捌けないという大きな難点があった。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は積層された枚葉紙を一枚ずつ取り出せるよう、そのブロッキングを人手を介さず確実に解消できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、積層された枚葉紙の第一端部を第一ローラ対で挟みつつ、その第一ローラ対の一方を他方の軸線回りに旋回させて枚葉紙の片面側にその第一端部を反らしめ、その状態にして該第一端部に対向する枚葉紙の第二端部を第二ローラ対で挟み、この第二ローラ対の一方を他方の軸線回りに旋回させてその相互間に挟まれる枚葉紙の第二端部を前記第一端部と同面側に反らしめるとともに、その第二端部が第二ローラ対の間から全て抜け出すまで第二ローラ対の一方を他方の軸線回りに旋回させることを特徴とする枚葉紙の捌き方法を提供する。
【0009】
又、本発明は上部ローラと下部ローラとを備える左右一対のローラユニットと、この両ローラユニットを左右方向に相対移動させてその間隔を調整可能とするユニット間隔調整機構と、両ローラユニット内でそれぞれ上部ローラ及び下部ローラを相対移動させてその間隔を調整可能とするローラ間隔調整機構と、両ローラユニットにおける上部ローラ及び下部ローラの何れか一方を他方の軸線回りに回転移動させるローラ旋回機構とを具備して成る枚葉紙の捌き装置を提供する。
【0010】
更に、本発明はより好適な態様として、上部ローラと下部ローラとを備える左右一対のローラユニットと、この両ローラユニットをそれぞれ上下方向に移動させるためのユニット昇降機構と、両ローラユニットをそれそれ左右方向に移動させてその間隔を調整可能とするユニット間隔調整機構と、両ローラユニット内でそれぞれ下部ローラを上部ローラの半径方向に移動させて該上部ローラと下部ローラとの間隔を調整可能とするローラ間隔調整機構と、両ローラユニットの下部ローラをそれぞれ上部ローラの軸線回りに回転移動させるローラ旋回機構とを具備して成る枚葉紙の捌き装置を提供する。
【0011】
特に、上記装置において、積層された枚葉紙を支持する左右一対の可動テーブルを備え、この可動テーブルが左右一対のローラユニットの外側を待機位置として、それぞれ上部ローラと下部ローラとの間に向けて水平移動可能に設けられるほか、その可動テーブルの上方に左右一対のキャリヤがそれぞれ左右方向に移動可能にして設けられ、そのキャリヤにそれぞれ枚葉紙の端部を保持する昇降可能なクランプが設けられることを特徴とする。
【0012】
又、ローラ旋回機構は、下部ローラの軸線方向両側にあって該下部ローラを上部ローラの軸線回りに回転移動可能に吊支する揺動アームと、この揺動アームを揺動させるための旋回用モータとを有して構成されるとともに、ローラ間隔調整機構は下部ローラを保持する軸受台を前記揺動アームに沿って上部ローラの半径方向に移動させる送りネジと、この送りネジを回転駆動させるためのローラ間隔調整モータとを具備して構成されることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の適用例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の好適な態様として係る枚葉紙の捌き装置を示した正面図であり、図2及び図3にはそれぞれ同側面図及び同平面図を示す。図中、1は構造用鋼を結合するなどして成る装置のフレームであり、このフレーム1には左右一対のローラユニット2が上下左右に移動可能にして設けられる。3はローラユニット2をそれぞれ上下方向に移動させるユニット昇降機構であり、これは一対のローラユニット2毎に別々に設けられ、それぞれ図2に示すようフレーム1上に設けられる上部枠4、その天板4Aに取り付けられるモータ5、上部枠の壁板4Bに沿って鉛直状に設けられるネジ軸6、及びそのネジ軸6にモータ5の動力を伝達するギヤ群7A〜7Dなどから構成される。
【0014】
尚、ローラユニット2を構成する縦板8にはネジ軸6に螺合するナット9と上下移動用のガイドレール10が固定され、ユニット昇降機構を構成する上部枠の壁板4Bにはネジ軸6の一端を支持する座板11を介してガイドレール10に摺動自在に嵌合するレール受12が取り付けられる。
【0015】
一方、13はローラユニット2をそれぞれ左右方向に移動させてその間隔を調整するユニット間隔調整機構であり、これは図2及び図3で明らかなように、上部枠の壁板4B間に取り付けられる可動桁14、フレーム1上にあって可動桁14をローラユニット2の対向方向(左右方向)に摺動自在に支持するリニアガイド15、このリニアガイド15に沿って水平状に並設される一対のネジ軸16、及びこのネジ軸16の各一端に設けられるモータ17などから構成される。尚、ネジ軸16はそれぞれ別々に一方の可動桁14にのみ螺合し、モータ17による回転駆動によって対応するローラユニット2をユニット昇降機構3と一緒に左右方向へ水平移動させる。
【0016】
ここで、ローラユニット2の構成を詳しく説明すると、ローラユニット2にはそれぞれ枚葉紙P(枚葉紙の積層物)の一端部を挟むための上部ローラ18と下部ローラ19とが平行に設けられる。このうち、上部ローラ18はローラユニット2内の中央部定位置に取り付けられるフリーローラであり、その軸方向両端は固定アーム20により回転自在に支持されている。一方、下部ローラ19はモータ内蔵型の自転ローラであり、その軸方向両端は軸受台21により回転自在に保持されている。
【0017】
特に、本例ではローラ旋回機構として、下部ローラ19が上部ローラ18の軸線回りに旋回(回転移動)するようにしてある。その機構系を説明すれば、22は下部ローラ19を上部ローラ18の軸線回りに回転移動可能に吊支する揺動アーム、23は上部ローラ18の軸線と同直線上にあって揺動アーム22の揺動中心を成す支軸であり、この支軸23と上部ローラ18との間には上部ローラ18の惰性回転を防止する制動機24が介在される。又、支軸23には従動ギヤ25が回転自在にして取り付けられ、その従動ギヤ25の表面に揺動アーム22の上部が結合されている。26は従動ギヤと噛み合う原動ギヤであり、この原動ギヤ26は縦板8の間に水平状に架設される回転軸27に取り付けられ、回転軸27の一端側にはこれを回転駆動するモータ28(旋回用モータ)が設けられる。そして、モータ28の駆動により回転軸27を通じて原動ギヤ26及び従動ギヤ25が回転し、これによって揺動アーム22が上部ローラ18の軸線と同直線回りに揺動しつつ、この揺動アーム22で吊支される下部ローラ19が図1のように上部ローラ18の軸線回りに回転移動するようにしてある。尚、本例において、その回転角θは最大で100度に設定される。
【0018】
又、本例では上部ローラ18と下部ローラ19との間隔を調整するローラ間隔調整機構として、上部ローラ18を定位置に固定しつつ、下部ローラ19が上部ローラ18の半径方向に移動する構成としてある。その機構系を説明すれば、図2に示すよう揺動アーム22には、下部ローラ19とこれを保持する軸受台21とを上部ローラ18の半径方向に移動させるための送りネジ29ほか、この送りネジ29を回転駆動させるモータ30(ローラ間隔調整モータ)が配備される。ここで、軸受台21は下部ローラ19の軸端を支持する軸受ユニット31とこれを保持する台座32から成り、その台座32には送りネジ29に螺合するナット33が固定される。送りネジ29は、揺動アーム22の長手方向に沿ってその内側面に回転自在に取り付けられ、その一端にはモータ30の動力を受けるギヤ34が設けられる。尚、送りネジ29に代えて油圧シリンダなどの直動アクチュエータを用いることもできる。一方、モータ35は揺動アーム22の先端に取り付けた座板35上に据え付けられ、その駆動軸にはギヤ34と噛み合う駆動ギヤ36が取り付けられる。又、図1に示すように、揺動アーム22には送りネジ29に平行して軸受台21の移動案内を成すガイドレール37が取り付けられ、軸受台の台座32にはガイドレール37に摺動自在に嵌合するレール受38が取り付けられる。
【0019】
そして、以上のようなローラ間隔調整機構によれば、モータ30の駆動により送りネジ29を回転駆動させつつ、その回転駆動により軸受台21を介して下部ローラ19を上部ローラ18の半径方向に移動させ、上部ローラ18と下部ローラ19の間隔を調整することができる。
【0020】
尚、図1で一方のローラユニット2の機構系を省略しているが、上記のような機構系はローラユニット2の双方に同様に設けられ、それぞれ個別に駆動制御できるようにしてある。
【0021】
次に、図1において、39は処理対象としての枚葉紙を支持する可動テーブルであり、この可動テーブル39は左右一対のローラユニット2に対応してそれぞれフレーム1の左右両側に水平状に装置されている。特に、可動テーブル39は上面にエアを噴出する多数の噴気孔をもつエアテーブルとされ、その長手方向両側には転動ローラ40が設けられる。41は可動テーブル39を移動させるためのフィーダであり、このフィーダ41は可動テーブル39を左右方向に摺動自在に支持するガイドレール42、このガイドレール42に沿って可動テーブル39を移動させるためのネジ軸43、及びネジ軸43を回転駆動させるためのモータ44などから構成され、フィーダ41の機枠には可動テーブル39の先端両側部分を支持するガイドローラ45が設けられる。
【0022】
そして、可動テーブル39は図1のようにローラユニット2の外側を待機位置として、それぞれモータ44の駆動により上部ローラ18と下部ローラ19との間に向けて水平移動するようにしてある。尚、可動テーブル39の相互間には支柱46で昇降自在に支持される中間駒47が設けられ、その中間駒47により可動テーブル39の各先端を支持して該可動テーブルが枚葉紙の荷重に耐え得るようにしてある。
【0023】
一方、図1に示すように、可動テーブル39の上方には該可動テーブルに沿ってそれぞれ左右方向に移動可能なキャリヤ48が設けられ、そのキャリヤ48に枚葉紙の端部を保持するクランプ49が昇降可能に設けられている。
【0024】
図4及び図5に示すように、本例においてクランプ49は台枠50に二つのシリンダ51,52を装置し、それらシリンダにより上下一対の締金53,54を個別に作動せしめてその開閉を行う構成としてある。上部側の締金53はイケール55の前面両側に固定されており、そのイケール55の底面部にはシリンダ51のロッドが接続させてある。又、下部側の締金54は上部側の締金53に対向してブラケット56の各先端に固定され、そのブラケット56を結合する連結板57の中央部にシリンダ52のロッドが接続してある。特に、ブラケット56は図5のようにその一端に凹形のレール受58を有し、台枠50にはレール受58を摺動自在に嵌め合わせるためのガイドレール59が固定される。
【0025】
そして、上記のように構成されるクランプ49は、キャリヤ48により上下左右に移動可能に保持される。このため、クランプ49の台枠50には上下移動用のガイドレール60が取り付けられ、キャリヤの主体を成すキャリヤアーム61にはガイドレール60に摺動自在に嵌合するレール受62が設けられる。63はキャリヤアーム61の相互間に架設される連結板であり、この連結板63にはクランプ49を昇降させるためのシリンダ64が取り付けられ、そのロッドがクランプの台枠50に接続させてある。
【0026】
図6に示すように、フレームの上部桁1Aにはクランプ49を吊支したキャリヤ48を左右方向に水平移動させるためのネジ軸65と、これに平行するガイドレール66が装置されており、キャリヤ48にはネジ軸65に螺合するナット67ほか、ガイドレール66に摺動自在に嵌合するレール受68が取り付けられている。69はネジ軸65を回転駆動させるモータであり、このモータ69は上部桁1Aの中央部に固定され、その駆動軸にはプーリ70が取り付けられている。又、ネジ軸65の一端にもプーリ71が取り付けられ、それらプーリ70,71にタイミングベルト72が掛け回される。
【0027】
又、図6から明らかなように、上部桁1Aの内側には一端にハンドル73を取り付けたネジ軸74が通してある。ネジ軸74はその両側に逆ネジを形成して成り、このネジ軸74にはその回転駆動によって互いに逆向きに移動する開閉可能なアーム75が取り付けられる。アーム75は枚葉紙の前後のずれを防止するためのものであり、その各下端には枚葉紙の前後端面に宛てがう整形ガイド76が設けられる。
【0028】
ここで、以上のように構成される捌き装置を例にして、枚葉紙の捌き方法を説明する。図7はその工程図であり、同図では右方を枚葉紙の入口側、左方をその出口側とし、便宜上、入口側に属する部材に符号R、出口側に属する部材に符号Lを付す。先ず、図7(a)のように、入口側の可動テーブル39Rには枚葉紙Pの積層物(本例において50±10mmの厚さに積層された裁断前の印刷物)が搭載され、その枚葉紙Pは可動テーブル39R及びクランプ49R(締金54)により一端部が上部ローラ18Rと下部ローラ19Rとの間に挟まれる位置まで移動される。尚、このとき出口側の可動テーブル39Lは上部ローラ18Lと下部ローラ19Lの間に進行して枚葉紙Pを待ち受ける。
【0029】
枚葉紙Pの一端部が下部ローラ19R上に差しかかると、図7(b)に示すように、出口側の可動テーブル39L上にクランプ49L(締金53,54)が開放状態で進行する一方、入口側のローラユニット2Rが上昇しつつ出口側のローラユニット2Lに向けて進行する。そして、このとき下部ローラ19Rが枚葉紙Pの下面に接触しながら回転をし、これによって枚葉紙Pの一端部が可動テーブル39L上まで移動される。
【0030】
すると、図7(c)のようにクランプ49L(締金53,54)が枚葉紙Pの一端部を挟んで保持しながら後退して、枚葉紙Pを可動テーブル39Lの先方へと引き込み、その引き込みが完了すると、下部ローラ19Rが上部ローラ18Rに向けて移動しながらローラユニット2Rが全体に下降して、枚葉紙Pの一端部(第一端部)を第一ローラ対(上部ローラ18R及び下部ローラ19R)で挟み込む。
【0031】
而して、図7(d)のように、可動テーブル39Rとクランプ49Lとを後退させつつ、上部ローラ18Rを定位置に固定したままその軸線回りに下部ローラ19Rを旋回させ、これによって枚葉紙Pの一端部をその片面側(上方)に反らしめる。尚、その変形による皺寄せは図8のように他の一端部側に集中する。
【0032】
そこで、次に図7(e)に示すよう可動テーブル39Lを後退させながら出口側の第二ローラ対(上部ローラ18L及び下部ローラ19L)により枚葉紙Pの他の一端部(第二端部)を挟み込む。尚、その挟み込みも下部ローラ19Lを上部ローラ18Lに向けて移動させつつローラユニット2Lを全体に降下させることにより行われる。
【0033】
斯くて、上部ローラ18Lと下部ローラ19Lとで枚葉紙の一端部を挟み込んだら、図7(f)に示すよう上部ローラ18Lを定位置に固定したまま、その軸線回りに下部ローラ19Lを旋回させ、これによって枚葉紙の一端部lを一端部rと同面側(上方)に反らしめる。そして、下部ローラ19Lが可動テーブル39Lに干渉しない位置まで旋回したら、図7(g)に示すよう下部ローラ19Lの旋回を続行しながら可動テーブル39Lを進行させる。特に、下部ローラ19Lは枚葉紙の一端部が上部ローラ18Lとの間から全て抜け出るまで旋回させ、その下部ローラ19Lが枚葉紙の一端部の端面に差し掛かったときには、これを上部ローラ18Lに向けて移動させて上部ローラ18Lとの間隔を徐々に狭めつつ、枚葉紙の端面l1には図示せぬノズルからエアーを吹き付ける。これにより、枚葉紙はその一端部lが一枚ずつ分離され、これが図7(h)に示すよう上部ローラ18Lと下部ローラ19Lとの間から可動テーブル39L上に一枚ずつ順に集積される。そこで、次に図7(i)に示すよう入口側の下部ローラ19Rを初期位置まで旋回させるのであるが、このとき上部ローラ18L,18Rの間で枚葉紙Pは入口側の可動テーブル39Rで支持されることなく中央部分が下方へ湾曲するようになる。よって、この時点で枚葉紙Pの中央部分もブロッキングが完全に解消されることになる。
【0034】
尚、その後、入口側と出口側を逆にして同様の工程を繰り返す。つまり、出口側の上部ローラ18Rと下部ローラ19Rで枚葉紙の一端部lを挟み、これを上方に反らしめ、その状態にして入口側の上部ローラ18Lと下部ローラ19Lで枚葉紙の一端部rを挟み、これを同じく上方に反らしめつつ、下部ローラ19Rの旋回を続行して枚葉紙の一端部rを一枚ずつ捌いて可動テーブル39R上に集積させるのであり、これによって枚葉紙のブロッキングを確実に解消することができる。
【0035】
以上、本発明の好適な態様を説明したが、本発明は上記例に限らず、下部ローラを固定側とし、上部ローラが下部ローラの半径方向に移動したり下部ローラの軸線回りに回転移動するようにして、枚葉紙の両端部を下方に反らしめるようにしてもよい。又、上記例ではローラユニットが相互間の間隔を調整するようそれぞれ左右動向に移動するようにしたが、その一方のみを左右に移動させる構成としても良い。更に、ユニット昇降機構に代えて可動テーブルが昇降する構成としたり、その可動テーブルに枚葉紙を移送する機能を持たせてキャリヤやクランプを省略することもできる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば上部ローラと下部ローラで成る二組のローラ対を備え、その一方が他方の軸線回りに旋回するようにしていることから枚葉紙に大きな変形量を与えてそのブロッキングを確実に解消できる。
【0037】
特に、枚葉紙の一端部を上部ローラと下部ローラで反らしめ、その状態で他の一端部を別の上部ローラと下部ローラで反らしめながら捌くようにしているので、従来のように枚葉紙全体を湾曲させるものに比べ、枚葉紙の中央部分に変形による皺寄せが生ずることがなく、人手で捌くときのように枚葉紙をその一端部側から一枚ずつ良好に分離させことができ、手捌きと同様な効果が得られる上、人的負担がなく捌き効率も大幅に向上する。
【0038】
又、上部ローラと下部ローラを備える左右一対のローラユニットが間隔調整可能とされ、且つ上部ローラと下部ローラの間隔も調整可能とされることから、様々な大きさ、厚さの枚葉紙に対応できる。
【0039】
更に、枚葉紙を支持する左右一対の可動テーブルを備えていることから、上部ローラと下部ローラで枚葉紙の一端部を挟んで反らしめた後、他の一端部を別の上部ローラと下部ローラとで挟むまでの間、その一端部を解放状態のまま支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る枚葉紙の捌き装置を示す正面概略図
【図2】同装置の側面概略図
【図3】同装置の平面概略図
【図4】クランプの断面図
【図5】同クランプを部分的に破断して示した平面概略図
【図6】同クランプの取付状態を示す部分拡大図
【図7】本願装置による枚葉紙の捌き方法を順に示した工程図
【図8】枚葉紙の一端部を湾曲させた状態を示す概略図
【図9】従来装置を示す概略図
【図10】図9の従来装置で枚葉紙を湾曲させた状態を示す概略図
【図11】他の従来装置を示す概略図
【符号の説明】
1 フレーム
2 左右一対のローラユニット
3 ユニット昇降機構
13 ユニット間隔調整機構
18 上部ローラ
19 下部ローラ
21 軸受台
22 揺動アーム
28 旋回用モータ
29 送りネジ
30 ローラ間隔調整モータ
39 可動テーブル
48 キャリヤ
49 クランプ
53,54 締金
61 キャリヤアーム
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層された印刷物などを解きほぐしてそのブロッキングを除去する技術に係わり、特に枚葉紙が数枚重なったまま供給されるなどブロッキングによる弊害を未然に防止することのできる枚葉紙の捌き方法と捌き装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、印刷を施すなどした枚葉紙は多層状に積み重ねられ、その後で検査工程や所定の処理工程に一枚ずつ給紙されるが、積層された枚葉紙はその自重や外圧、更には印刷インクの粘性などにより互いに密着して分離し難くなる。このような現象をブロッキングといい、これは印刷インクの量や種類、又は紙質によって程度に差はあるが、数千枚以上の枚葉紙を重ねたものではその発生が著しく、枚葉紙同士の接着力は非常に強固なものとなる。
【0003】
そこで、そのようなブロッキングを除去する装置として、図9に示すような捌き装置(特開平6−1456号)が既に実用化されている。図示するように、この装置は概して一つの大径ローラRと二つの小径ローラrから成り、その小径ローラrが積層された枚葉紙Pを介して大径ローラRの回りを互いに逆向きに旋回するようになっている。そして、これによれば、小径ローラrの接触圧により枚葉紙Pが大径ローラRを中心に湾曲され、これによってブロッキングが解消されるとする。
【0004】
しかし、このような装置では大径ローラRの外周面に沿って枚葉紙全体を湾曲させるにすぎないのでブロッキングを完全に解消することは難しく、特に枚葉紙同士の密着力が強固な場合には、これが図10のように波打って両端が全く捌かれないことがある。
【0005】
一方、その他の捌き装置として、図11に示すような機種(特開平6−56341号)も知られる。この装置は、枚葉紙Pの中央部を挟む中央ローラRAと、同枚葉紙の両端部を挟むサイドローラRBとを有し、中央ローラRA及びサイドローラRBの少なくとも一方が枚葉紙Pの積層方向に沿って移動可能とされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、図11のような装置も他の従来装置と同じく枚葉紙を全体的に湾曲させるのでその変形量が比較的小さく、ブロッキングを完全に解消できないことがあり、しかも枚葉紙の両端部がサイドローラでクランプされることから、枚葉紙を湾曲させたときに内周側の枚葉紙が逃げ場を失って波打ち現象を生ずるという欠点があった。又、枚葉紙の中央部を中央ローラでクランプすることから、図11のような装置も図9のような装置と同じく、枚葉紙の中央部がブロッキングの強弱に拘わらず全く捌けないという大きな難点があった。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は積層された枚葉紙を一枚ずつ取り出せるよう、そのブロッキングを人手を介さず確実に解消できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、積層された枚葉紙の第一端部を第一ローラ対で挟みつつ、その第一ローラ対の一方を他方の軸線回りに旋回させて枚葉紙の片面側にその第一端部を反らしめ、その状態にして該第一端部に対向する枚葉紙の第二端部を第二ローラ対で挟み、この第二ローラ対の一方を他方の軸線回りに旋回させてその相互間に挟まれる枚葉紙の第二端部を前記第一端部と同面側に反らしめるとともに、その第二端部が第二ローラ対の間から全て抜け出すまで第二ローラ対の一方を他方の軸線回りに旋回させることを特徴とする枚葉紙の捌き方法を提供する。
【0009】
又、本発明は上部ローラと下部ローラとを備える左右一対のローラユニットと、この両ローラユニットを左右方向に相対移動させてその間隔を調整可能とするユニット間隔調整機構と、両ローラユニット内でそれぞれ上部ローラ及び下部ローラを相対移動させてその間隔を調整可能とするローラ間隔調整機構と、両ローラユニットにおける上部ローラ及び下部ローラの何れか一方を他方の軸線回りに回転移動させるローラ旋回機構とを具備して成る枚葉紙の捌き装置を提供する。
【0010】
更に、本発明はより好適な態様として、上部ローラと下部ローラとを備える左右一対のローラユニットと、この両ローラユニットをそれぞれ上下方向に移動させるためのユニット昇降機構と、両ローラユニットをそれそれ左右方向に移動させてその間隔を調整可能とするユニット間隔調整機構と、両ローラユニット内でそれぞれ下部ローラを上部ローラの半径方向に移動させて該上部ローラと下部ローラとの間隔を調整可能とするローラ間隔調整機構と、両ローラユニットの下部ローラをそれぞれ上部ローラの軸線回りに回転移動させるローラ旋回機構とを具備して成る枚葉紙の捌き装置を提供する。
【0011】
特に、上記装置において、積層された枚葉紙を支持する左右一対の可動テーブルを備え、この可動テーブルが左右一対のローラユニットの外側を待機位置として、それぞれ上部ローラと下部ローラとの間に向けて水平移動可能に設けられるほか、その可動テーブルの上方に左右一対のキャリヤがそれぞれ左右方向に移動可能にして設けられ、そのキャリヤにそれぞれ枚葉紙の端部を保持する昇降可能なクランプが設けられることを特徴とする。
【0012】
又、ローラ旋回機構は、下部ローラの軸線方向両側にあって該下部ローラを上部ローラの軸線回りに回転移動可能に吊支する揺動アームと、この揺動アームを揺動させるための旋回用モータとを有して構成されるとともに、ローラ間隔調整機構は下部ローラを保持する軸受台を前記揺動アームに沿って上部ローラの半径方向に移動させる送りネジと、この送りネジを回転駆動させるためのローラ間隔調整モータとを具備して構成されることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の適用例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の好適な態様として係る枚葉紙の捌き装置を示した正面図であり、図2及び図3にはそれぞれ同側面図及び同平面図を示す。図中、1は構造用鋼を結合するなどして成る装置のフレームであり、このフレーム1には左右一対のローラユニット2が上下左右に移動可能にして設けられる。3はローラユニット2をそれぞれ上下方向に移動させるユニット昇降機構であり、これは一対のローラユニット2毎に別々に設けられ、それぞれ図2に示すようフレーム1上に設けられる上部枠4、その天板4Aに取り付けられるモータ5、上部枠の壁板4Bに沿って鉛直状に設けられるネジ軸6、及びそのネジ軸6にモータ5の動力を伝達するギヤ群7A〜7Dなどから構成される。
【0014】
尚、ローラユニット2を構成する縦板8にはネジ軸6に螺合するナット9と上下移動用のガイドレール10が固定され、ユニット昇降機構を構成する上部枠の壁板4Bにはネジ軸6の一端を支持する座板11を介してガイドレール10に摺動自在に嵌合するレール受12が取り付けられる。
【0015】
一方、13はローラユニット2をそれぞれ左右方向に移動させてその間隔を調整するユニット間隔調整機構であり、これは図2及び図3で明らかなように、上部枠の壁板4B間に取り付けられる可動桁14、フレーム1上にあって可動桁14をローラユニット2の対向方向(左右方向)に摺動自在に支持するリニアガイド15、このリニアガイド15に沿って水平状に並設される一対のネジ軸16、及びこのネジ軸16の各一端に設けられるモータ17などから構成される。尚、ネジ軸16はそれぞれ別々に一方の可動桁14にのみ螺合し、モータ17による回転駆動によって対応するローラユニット2をユニット昇降機構3と一緒に左右方向へ水平移動させる。
【0016】
ここで、ローラユニット2の構成を詳しく説明すると、ローラユニット2にはそれぞれ枚葉紙P(枚葉紙の積層物)の一端部を挟むための上部ローラ18と下部ローラ19とが平行に設けられる。このうち、上部ローラ18はローラユニット2内の中央部定位置に取り付けられるフリーローラであり、その軸方向両端は固定アーム20により回転自在に支持されている。一方、下部ローラ19はモータ内蔵型の自転ローラであり、その軸方向両端は軸受台21により回転自在に保持されている。
【0017】
特に、本例ではローラ旋回機構として、下部ローラ19が上部ローラ18の軸線回りに旋回(回転移動)するようにしてある。その機構系を説明すれば、22は下部ローラ19を上部ローラ18の軸線回りに回転移動可能に吊支する揺動アーム、23は上部ローラ18の軸線と同直線上にあって揺動アーム22の揺動中心を成す支軸であり、この支軸23と上部ローラ18との間には上部ローラ18の惰性回転を防止する制動機24が介在される。又、支軸23には従動ギヤ25が回転自在にして取り付けられ、その従動ギヤ25の表面に揺動アーム22の上部が結合されている。26は従動ギヤと噛み合う原動ギヤであり、この原動ギヤ26は縦板8の間に水平状に架設される回転軸27に取り付けられ、回転軸27の一端側にはこれを回転駆動するモータ28(旋回用モータ)が設けられる。そして、モータ28の駆動により回転軸27を通じて原動ギヤ26及び従動ギヤ25が回転し、これによって揺動アーム22が上部ローラ18の軸線と同直線回りに揺動しつつ、この揺動アーム22で吊支される下部ローラ19が図1のように上部ローラ18の軸線回りに回転移動するようにしてある。尚、本例において、その回転角θは最大で100度に設定される。
【0018】
又、本例では上部ローラ18と下部ローラ19との間隔を調整するローラ間隔調整機構として、上部ローラ18を定位置に固定しつつ、下部ローラ19が上部ローラ18の半径方向に移動する構成としてある。その機構系を説明すれば、図2に示すよう揺動アーム22には、下部ローラ19とこれを保持する軸受台21とを上部ローラ18の半径方向に移動させるための送りネジ29ほか、この送りネジ29を回転駆動させるモータ30(ローラ間隔調整モータ)が配備される。ここで、軸受台21は下部ローラ19の軸端を支持する軸受ユニット31とこれを保持する台座32から成り、その台座32には送りネジ29に螺合するナット33が固定される。送りネジ29は、揺動アーム22の長手方向に沿ってその内側面に回転自在に取り付けられ、その一端にはモータ30の動力を受けるギヤ34が設けられる。尚、送りネジ29に代えて油圧シリンダなどの直動アクチュエータを用いることもできる。一方、モータ35は揺動アーム22の先端に取り付けた座板35上に据え付けられ、その駆動軸にはギヤ34と噛み合う駆動ギヤ36が取り付けられる。又、図1に示すように、揺動アーム22には送りネジ29に平行して軸受台21の移動案内を成すガイドレール37が取り付けられ、軸受台の台座32にはガイドレール37に摺動自在に嵌合するレール受38が取り付けられる。
【0019】
そして、以上のようなローラ間隔調整機構によれば、モータ30の駆動により送りネジ29を回転駆動させつつ、その回転駆動により軸受台21を介して下部ローラ19を上部ローラ18の半径方向に移動させ、上部ローラ18と下部ローラ19の間隔を調整することができる。
【0020】
尚、図1で一方のローラユニット2の機構系を省略しているが、上記のような機構系はローラユニット2の双方に同様に設けられ、それぞれ個別に駆動制御できるようにしてある。
【0021】
次に、図1において、39は処理対象としての枚葉紙を支持する可動テーブルであり、この可動テーブル39は左右一対のローラユニット2に対応してそれぞれフレーム1の左右両側に水平状に装置されている。特に、可動テーブル39は上面にエアを噴出する多数の噴気孔をもつエアテーブルとされ、その長手方向両側には転動ローラ40が設けられる。41は可動テーブル39を移動させるためのフィーダであり、このフィーダ41は可動テーブル39を左右方向に摺動自在に支持するガイドレール42、このガイドレール42に沿って可動テーブル39を移動させるためのネジ軸43、及びネジ軸43を回転駆動させるためのモータ44などから構成され、フィーダ41の機枠には可動テーブル39の先端両側部分を支持するガイドローラ45が設けられる。
【0022】
そして、可動テーブル39は図1のようにローラユニット2の外側を待機位置として、それぞれモータ44の駆動により上部ローラ18と下部ローラ19との間に向けて水平移動するようにしてある。尚、可動テーブル39の相互間には支柱46で昇降自在に支持される中間駒47が設けられ、その中間駒47により可動テーブル39の各先端を支持して該可動テーブルが枚葉紙の荷重に耐え得るようにしてある。
【0023】
一方、図1に示すように、可動テーブル39の上方には該可動テーブルに沿ってそれぞれ左右方向に移動可能なキャリヤ48が設けられ、そのキャリヤ48に枚葉紙の端部を保持するクランプ49が昇降可能に設けられている。
【0024】
図4及び図5に示すように、本例においてクランプ49は台枠50に二つのシリンダ51,52を装置し、それらシリンダにより上下一対の締金53,54を個別に作動せしめてその開閉を行う構成としてある。上部側の締金53はイケール55の前面両側に固定されており、そのイケール55の底面部にはシリンダ51のロッドが接続させてある。又、下部側の締金54は上部側の締金53に対向してブラケット56の各先端に固定され、そのブラケット56を結合する連結板57の中央部にシリンダ52のロッドが接続してある。特に、ブラケット56は図5のようにその一端に凹形のレール受58を有し、台枠50にはレール受58を摺動自在に嵌め合わせるためのガイドレール59が固定される。
【0025】
そして、上記のように構成されるクランプ49は、キャリヤ48により上下左右に移動可能に保持される。このため、クランプ49の台枠50には上下移動用のガイドレール60が取り付けられ、キャリヤの主体を成すキャリヤアーム61にはガイドレール60に摺動自在に嵌合するレール受62が設けられる。63はキャリヤアーム61の相互間に架設される連結板であり、この連結板63にはクランプ49を昇降させるためのシリンダ64が取り付けられ、そのロッドがクランプの台枠50に接続させてある。
【0026】
図6に示すように、フレームの上部桁1Aにはクランプ49を吊支したキャリヤ48を左右方向に水平移動させるためのネジ軸65と、これに平行するガイドレール66が装置されており、キャリヤ48にはネジ軸65に螺合するナット67ほか、ガイドレール66に摺動自在に嵌合するレール受68が取り付けられている。69はネジ軸65を回転駆動させるモータであり、このモータ69は上部桁1Aの中央部に固定され、その駆動軸にはプーリ70が取り付けられている。又、ネジ軸65の一端にもプーリ71が取り付けられ、それらプーリ70,71にタイミングベルト72が掛け回される。
【0027】
又、図6から明らかなように、上部桁1Aの内側には一端にハンドル73を取り付けたネジ軸74が通してある。ネジ軸74はその両側に逆ネジを形成して成り、このネジ軸74にはその回転駆動によって互いに逆向きに移動する開閉可能なアーム75が取り付けられる。アーム75は枚葉紙の前後のずれを防止するためのものであり、その各下端には枚葉紙の前後端面に宛てがう整形ガイド76が設けられる。
【0028】
ここで、以上のように構成される捌き装置を例にして、枚葉紙の捌き方法を説明する。図7はその工程図であり、同図では右方を枚葉紙の入口側、左方をその出口側とし、便宜上、入口側に属する部材に符号R、出口側に属する部材に符号Lを付す。先ず、図7(a)のように、入口側の可動テーブル39Rには枚葉紙Pの積層物(本例において50±10mmの厚さに積層された裁断前の印刷物)が搭載され、その枚葉紙Pは可動テーブル39R及びクランプ49R(締金54)により一端部が上部ローラ18Rと下部ローラ19Rとの間に挟まれる位置まで移動される。尚、このとき出口側の可動テーブル39Lは上部ローラ18Lと下部ローラ19Lの間に進行して枚葉紙Pを待ち受ける。
【0029】
枚葉紙Pの一端部が下部ローラ19R上に差しかかると、図7(b)に示すように、出口側の可動テーブル39L上にクランプ49L(締金53,54)が開放状態で進行する一方、入口側のローラユニット2Rが上昇しつつ出口側のローラユニット2Lに向けて進行する。そして、このとき下部ローラ19Rが枚葉紙Pの下面に接触しながら回転をし、これによって枚葉紙Pの一端部が可動テーブル39L上まで移動される。
【0030】
すると、図7(c)のようにクランプ49L(締金53,54)が枚葉紙Pの一端部を挟んで保持しながら後退して、枚葉紙Pを可動テーブル39Lの先方へと引き込み、その引き込みが完了すると、下部ローラ19Rが上部ローラ18Rに向けて移動しながらローラユニット2Rが全体に下降して、枚葉紙Pの一端部(第一端部)を第一ローラ対(上部ローラ18R及び下部ローラ19R)で挟み込む。
【0031】
而して、図7(d)のように、可動テーブル39Rとクランプ49Lとを後退させつつ、上部ローラ18Rを定位置に固定したままその軸線回りに下部ローラ19Rを旋回させ、これによって枚葉紙Pの一端部をその片面側(上方)に反らしめる。尚、その変形による皺寄せは図8のように他の一端部側に集中する。
【0032】
そこで、次に図7(e)に示すよう可動テーブル39Lを後退させながら出口側の第二ローラ対(上部ローラ18L及び下部ローラ19L)により枚葉紙Pの他の一端部(第二端部)を挟み込む。尚、その挟み込みも下部ローラ19Lを上部ローラ18Lに向けて移動させつつローラユニット2Lを全体に降下させることにより行われる。
【0033】
斯くて、上部ローラ18Lと下部ローラ19Lとで枚葉紙の一端部を挟み込んだら、図7(f)に示すよう上部ローラ18Lを定位置に固定したまま、その軸線回りに下部ローラ19Lを旋回させ、これによって枚葉紙の一端部lを一端部rと同面側(上方)に反らしめる。そして、下部ローラ19Lが可動テーブル39Lに干渉しない位置まで旋回したら、図7(g)に示すよう下部ローラ19Lの旋回を続行しながら可動テーブル39Lを進行させる。特に、下部ローラ19Lは枚葉紙の一端部が上部ローラ18Lとの間から全て抜け出るまで旋回させ、その下部ローラ19Lが枚葉紙の一端部の端面に差し掛かったときには、これを上部ローラ18Lに向けて移動させて上部ローラ18Lとの間隔を徐々に狭めつつ、枚葉紙の端面l1には図示せぬノズルからエアーを吹き付ける。これにより、枚葉紙はその一端部lが一枚ずつ分離され、これが図7(h)に示すよう上部ローラ18Lと下部ローラ19Lとの間から可動テーブル39L上に一枚ずつ順に集積される。そこで、次に図7(i)に示すよう入口側の下部ローラ19Rを初期位置まで旋回させるのであるが、このとき上部ローラ18L,18Rの間で枚葉紙Pは入口側の可動テーブル39Rで支持されることなく中央部分が下方へ湾曲するようになる。よって、この時点で枚葉紙Pの中央部分もブロッキングが完全に解消されることになる。
【0034】
尚、その後、入口側と出口側を逆にして同様の工程を繰り返す。つまり、出口側の上部ローラ18Rと下部ローラ19Rで枚葉紙の一端部lを挟み、これを上方に反らしめ、その状態にして入口側の上部ローラ18Lと下部ローラ19Lで枚葉紙の一端部rを挟み、これを同じく上方に反らしめつつ、下部ローラ19Rの旋回を続行して枚葉紙の一端部rを一枚ずつ捌いて可動テーブル39R上に集積させるのであり、これによって枚葉紙のブロッキングを確実に解消することができる。
【0035】
以上、本発明の好適な態様を説明したが、本発明は上記例に限らず、下部ローラを固定側とし、上部ローラが下部ローラの半径方向に移動したり下部ローラの軸線回りに回転移動するようにして、枚葉紙の両端部を下方に反らしめるようにしてもよい。又、上記例ではローラユニットが相互間の間隔を調整するようそれぞれ左右動向に移動するようにしたが、その一方のみを左右に移動させる構成としても良い。更に、ユニット昇降機構に代えて可動テーブルが昇降する構成としたり、その可動テーブルに枚葉紙を移送する機能を持たせてキャリヤやクランプを省略することもできる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば上部ローラと下部ローラで成る二組のローラ対を備え、その一方が他方の軸線回りに旋回するようにしていることから枚葉紙に大きな変形量を与えてそのブロッキングを確実に解消できる。
【0037】
特に、枚葉紙の一端部を上部ローラと下部ローラで反らしめ、その状態で他の一端部を別の上部ローラと下部ローラで反らしめながら捌くようにしているので、従来のように枚葉紙全体を湾曲させるものに比べ、枚葉紙の中央部分に変形による皺寄せが生ずることがなく、人手で捌くときのように枚葉紙をその一端部側から一枚ずつ良好に分離させことができ、手捌きと同様な効果が得られる上、人的負担がなく捌き効率も大幅に向上する。
【0038】
又、上部ローラと下部ローラを備える左右一対のローラユニットが間隔調整可能とされ、且つ上部ローラと下部ローラの間隔も調整可能とされることから、様々な大きさ、厚さの枚葉紙に対応できる。
【0039】
更に、枚葉紙を支持する左右一対の可動テーブルを備えていることから、上部ローラと下部ローラで枚葉紙の一端部を挟んで反らしめた後、他の一端部を別の上部ローラと下部ローラとで挟むまでの間、その一端部を解放状態のまま支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る枚葉紙の捌き装置を示す正面概略図
【図2】同装置の側面概略図
【図3】同装置の平面概略図
【図4】クランプの断面図
【図5】同クランプを部分的に破断して示した平面概略図
【図6】同クランプの取付状態を示す部分拡大図
【図7】本願装置による枚葉紙の捌き方法を順に示した工程図
【図8】枚葉紙の一端部を湾曲させた状態を示す概略図
【図9】従来装置を示す概略図
【図10】図9の従来装置で枚葉紙を湾曲させた状態を示す概略図
【図11】他の従来装置を示す概略図
【符号の説明】
1 フレーム
2 左右一対のローラユニット
3 ユニット昇降機構
13 ユニット間隔調整機構
18 上部ローラ
19 下部ローラ
21 軸受台
22 揺動アーム
28 旋回用モータ
29 送りネジ
30 ローラ間隔調整モータ
39 可動テーブル
48 キャリヤ
49 クランプ
53,54 締金
61 キャリヤアーム
Claims (6)
- 積層された枚葉紙の第一端部を第一ローラ対で挟みつつ、その第一ローラ対の一方を他方の軸線回りに旋回させて枚葉紙の片面側にその第一端部を反らしめ、その状態にして該第一端部に対向する枚葉紙の第二端部を第二ローラ対で挟み、この第二ローラ対の一方を他方の軸線回りに旋回させてその相互間に挟まれる枚葉紙の第二端部を前記第一端部と同面側に反らしめるとともに、その第二端部が第二ローラ対の間から全て抜け出すまで第二ローラ対の一方を他方の軸線回りに旋回させることを特徴とする枚葉紙の捌き方法。
- 上部ローラと下部ローラとを備える左右一対のローラユニットと、この両ローラユニットを左右方向に相対移動させてその間隔を調整可能とするユニット間隔調整機構と、両ローラユニット内でそれぞれ上部ローラ及び下部ローラを相対移動させてその間隔を調整可能とするローラ間隔調整機構と、両ローラユニットにおける上部ローラ及び下部ローラの何れか一方を他方の軸線回りに回転移動させるローラ旋回機構とを具備して成る枚葉紙の捌き装置。
- 上部ローラと下部ローラとを備える左右一対のローラユニットと、この両ローラユニットをそれぞれ上下方向に移動させるためのユニット昇降機構と、両ローラユニットをそれそれ左右方向に移動させてその間隔を調整可能とするユニット間隔調整機構と、両ローラユニット内でそれぞれ下部ローラを上部ローラの半径方向に移動させて該上部ローラと下部ローラとの間隔を調整可能とするローラ間隔調整機構と、両ローラユニットの下部ローラをそれぞれ上部ローラの軸線回りに回転移動させるローラ旋回機構とを具備して成る枚葉紙の捌き装置。
- 積層された枚葉紙を支持する左右一対の可動テーブルを備え、この可動テーブルが左右一対のローラユニットの外側を待機位置として、それぞれ上部ローラと下部ローラとの間に向けて水平移動可能に設けられる請求項1、又は2記載の枚葉紙の捌き装置。
- 可動テーブルの上方に左右一対のキャリヤがそれぞれ左右方向に移動可能にして設けられ、そのキャリヤにそれぞれ枚葉紙の端部を保持する昇降可能なクランプが設けられる請求項4記載の枚葉紙の捌き装置。
- ローラ旋回機構は、下部ローラの軸線方向両側にあって該下部ローラを上部ローラの軸線回りに回転移動可能に吊支する揺動アームと、この揺動アームを揺動させるための旋回用モータとを有して構成されるとともに、ローラ間隔調整機構は下部ローラを保持する軸受台を前記揺動アームに沿って上部ローラの半径方向に移動させる送りネジと、この送りネジを回転駆動させるためのローラ間隔調整モータとを具備して構成される請求項1、又は2記載の枚葉紙の捌き装置。
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