JP3839283B2 - 内燃機関の吸気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の吸気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図9に示すように、大気に開口する開口部100を先端に形成した空気吸入ダクト101の下流側にエアークリーナ102を設け、その下流側に空気吸入ダクト(スロットルボデー)103を設け、その下流側にインテークマニホールド104を通じてエンジン105を設けた内燃機関の吸気系において、エンジン105の停止時に吸気系内のHCが大気へ放出されることを防止する方法として、図9に示すようにエアークリーナ102のエアークリーナエレメント106に活性炭などの蒸発燃料吸着材107を備えたものがある。
【0003】
また、吸気系におけるダクト内気柱共鳴による騒音を低減する方法として、図9に示すように空気吸入ダクト101にレゾネータ109を設けて該レゾネタ109により気柱共鳴による騒音を低減する方法も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のように、エアークリーナエレメント106内に蒸発燃料吸着材107を備えたものにおいては、エアークリーナエレメントのみのものに比べて吸気抵抗が増大し、エンジン出力低下を招く上に、エアークリーナエレメント106の交換時には蒸発燃料吸着材も交換することになってコストアップになる問題がある。更に、エアークリーナエレメント106内に蒸発燃料吸着材107が混入されていると、異物が混入した多量の吸入空気が流通した場合に、その吸入空気中の異物によって蒸発燃料吸着材107が目詰まりしやすくなる。
【0005】
また、前記のようにレゾネータ109を設けたものにおいては、そのレゾネータ109が比較的大容量であるために、空気吸入ダクト101の設置スペースの他にレゾネータ109を搭載するための大きなスペースを必要とし、配置空間が少ないエンジンルーム内への搭載が困難な問題がある。
【0006】
そこで本発明は、前記の各問題を解決する内燃機関の吸気装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の第1の発明は、内燃機関における空気吸入ダクトの周壁の一部に、該空気吸入ダクトの内側と大気側とを連通する通気口を形成し、該通気口の外周を通気性部材で被覆し、該通気性部材に蒸発燃料吸着材を内蔵して形成した通気部を設けるとともに、該通気部を少なくとも減衰すべきダクト内気柱共鳴の最大振幅部付近に設けたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の第2の発明は、前記第1の発明において、前記通気性部材が、シート状に形成されて前記通気口の外周に巻設され、該通気性部材内に前記蒸発燃料吸着材が内蔵されているものである。
【0011】
請求項3記載の第3の発明は、前記第1又は2の発明において、前記空気吸入ダクトにおける前記通気部の上流部に前記空気吸入ダクトを開閉する開閉弁を設け、該開閉弁とエンジンとの間の空気吸入ダクトには、前記通気部を除いて、空気吸入ダクトの内側と大気側とを連通する部分が設けられていないものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1乃至図8に示す実施例により本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1乃至図3は第1実施例を示す。
【0014】
図1は吸気系の略断面図であり、大気に開口する空気吸入口1aを設けた空気吸入ダクト1の下流側はエアークリーナ2に連通している。該エアークリーナ2内にはエアークリーナエレメント3が設けられている。エアークリーナ2の下流側にはスロットルバルブ4を有するスロットルボデー(空気吸入ダクト)5が設けられ、該スロットルボデー5の下流側はインテークマニホールド6を通じてエンジン7に連通している。
【0015】
前記空気吸入ダクト1の空気吸入口1aには開閉弁8が備えられており、エンジンの運転状況に応じて図示しない開閉駆動手段により開閉するようになっている。この開閉弁8は、エンジン7の停止時には閉作動させるものであるが、エンジンの要求空気量に応じて開度を増減し、空気吸入口1aから放出される騒音量を低減するようにしてもよい。
【0016】
前記空気吸入ダクト1の所定の位置には、空気吸入ダクト1の内側と外側(大気側)とを連通する通気部9が設けられている。該通気部9の構造について図2及び図3により詳述する。
【0017】
前記空気吸入ダクト1の軸方向の所定位置には、該空気吸入ダクト1を内外に貫通するように形成した通気口10が設けられている。該通気口10は、空気吸入ダクト1の周方向に適宜間隔を有して形成され、図の実施例では図3に示すように一方の半周に2個、他方の半周に2個、計4個形成されている。
【0018】
前記通気口10が位置する部分における空気吸入ダクト1の外周には、内部に活性炭などの蒸発燃料吸着材12を内蔵した通気性部材11が巻設され、該通気性部材11により前記通気口10の外側が被覆されている。前記通気性部材11は、不織布などの通気性を有する内側シート11aと、不織布などの通気性を有する外側シート11bを重ねて構成され、これら両シート11a,11b間に蒸発燃料吸着材12を層状に介在して全体としてシート状に形成し、これを図3に示すように、空気吸入ダクト1の外周に巻き、その両端を接合し、その接合部11cを接着剤などで固着して備えられている。更に、前記両シート11aと11bの相互は、図2に示すように軸方向の両端部11d,11eで接着され、更に、図3に示すように周方向の両端部11f,11gで接着するとともに該両端部11f,11gと反対側の中間部11hで接着されて、前記蒸発燃料吸着材12が通気性部材11内に収納されている。
【0019】
図4及び図5は第2実施例を示すもので、前記通気部9を、空気吸入ダクト1の周方向における略半分の部分に設けた略半円状に形成したものである。すなわち、前記図3に示す通気部9における接合部11cと中央部11hを境として、片側のみで通気部9を形成したものである。そして、空気吸入ダクト1には、前記略半円状の通気部9の部分にのみ通気口10が形成されている。その他の構造は前記第1実施例と同様であるため、同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0020】
前記の空気吸入ダクト1の軸方向における通気部9の形成位置と個数は減衰したいダクト内気柱共鳴の周波数に対応して所望の位置及び個数に選定するもので、例えば図6に示すようなダクト内気柱共鳴の1次振動Aによる騒音を消音したい場合には、その振動の最大振幅部付近に通気部9を1個配置し、また、図7に示すようなダクト内気柱共鳴の3次振動Bによる騒音を消音したい場合には、その振動の3つの最大振幅部付近に夫々通気部9を計3個配置する。更に、図8に示すように、空気吸入ダクト1の軸方向の全長にわたって設けてもよい。
【0021】
更に、前記通気部9を、前記エアークリーナ2より下流側の空気吸入ダクト、例えば図1のスロットルボデー5に設けてもよい。
【0022】
以上の構造において、エンジン7の運転時には開閉弁8が開き、外気(空気)が空気吸入口1aから空気吸入ダクト1内に吸入され、エアークリーナ2のエアークリーナエレメント3を通過し、スロットルボデー(空気吸入ダクト)5内を通ってインテークマニホールド6よりエンジン7に供給される。このとき、エアークリーナエレメント3には蒸発燃料吸着材が備えられておらず、かつ、前記通気部9が空気吸入ダクト1の外側に設けられて空気吸入ダクト1内には空気抵抗となる部材が設けられていないため、前記従来のようなエアークリーナに吸着材を備えた吸気系に比べて空気吸入抵抗が減少し、エンジン出力の向上を図ることができる。
【0023】
次に、エンジン7が停止すると、開閉弁8が閉作動して空気吸入ダクト1内のHCなどを含む蒸発燃料が空気吸入口1aから外気へ放出されることを阻止する。また、空気吸入ダクト1内の空気は、通気口10から通気性の内側シート11a、蒸発燃料吸着材12、通気性の外側シート11bを通過して外気へ流出する。このとき、その空気中に混入したHCなどを含む蒸発燃料は、蒸発燃料吸着材12に吸着捕獲され、外気へ放出されない。
【0024】
次に、エンジン7が運転されると、開閉弁8が開作動して外気(空気)が空気吸入口1aから空気吸入ダクト1内を流通して前記のようにエンジン7へ供給されるが、同時に外気が通気部9を通過して空気吸入ダクト1内へ流入する。このとき、その空気流に乗って前記蒸発燃料吸着材12に捕獲されていたHCなどを含む蒸発燃料が空気吸入ダクト1内に吸入され、エンジン7へパージされる。
【0025】
また、エンジン7の運転時において、減衰したい狙った周波数のダクト内気柱共鳴は、外気に連通する通気口9の存在によって減衰され、そのダクト内気柱共鳴による騒音が低減される。
【0026】
【発明の効果】
以上のようであるから本発明によれば、蒸発燃料吸着材をエアークリーナエレメント内に備えないため、前記従来のように蒸発燃料吸着材材をエアークリーナエレメント内に設けたものに比べてエアークリーナエレメント部での空気の吸入抵抗が減少し、エンジン出力の向上を図ることができる上に、吸着材の目詰まりも抑制することができる。更に、蒸発燃料吸着材をエアークリーナエレメント内に設けないため、エアークリーナエレメントの定期交換が、前記エアークリーナエレメント内に蒸発燃料吸着材を備えてこれら全体を交換するものに比べて低コストで行える。
【0027】
更に、空気吸入ダクトに外気へ連通する通気部を設けたので、該通気部においてダクト内気柱共鳴を減衰させて騒音を低減できる。このような通気部は空気吸入ダクトに通気口を形成し、この通気口の外周にシート状の通気性部材を巻設することで形成できるため、前記従来のレゾネータに比べて小型に形成でき、搭載スペースが制約されるエンジンルーム内への搭載が容易になる。
【0028】
更に、請求項3記載のように、空気吸入ダクトに開閉弁を設けて該開閉弁をエンジン停止時に閉作動することにより、エンジン停止時において空気吸入ダクト内のHCが外気へ放出されることを一層防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すもので、本発明の通気部を設けた吸気系の略断面図。
【図2】図1に示す通気部の側断面図。
【図3】図2におけるC−C線断面図。
【図4】本発明の通気部の第2実施例を示す側断面図。
【図5】図4におけるD−D線断面図。
【図6】本発明の通気部の配置例を示す図。
【図7】本発明の通気部の他の配置例を示す図。
【図8】本発明の通気部の更に他の配置例を示す図。
【図9】従来の構造の吸気系を示す略断面図。
【符号の説明】
1 空気吸入ダクト
8 開閉弁
9 通気部
10 通気口
11 通気性部材
12 蒸発燃料吸着材
Claims (3)
- 内燃機関における空気吸入ダクトの周壁の一部に、該空気吸入ダクトの内側と大気側とを連通する通気口を形成し、該通気口の外周を通気性部材で被覆し、該通気性部材に蒸発燃料吸着材を内蔵して形成した通気部を設けるとともに、該通気部を少なくとも減衰すべきダクト内気柱共鳴の最大振幅部付近に設けたことを特徴とする内燃機関の吸気装置。
- 前記通気性部材が、シート状に形成されて前記通気口の外周に巻設され、該通気性部材内に前記蒸発燃料吸着材が内蔵されている請求項1記載の内燃機関の吸気装置。
- 前記空気吸入ダクトにおける前記通気部の上流側に前記空気吸入ダクトを開閉する開閉弁を設け、該開閉弁とエンジンとの間の空気吸入ダクトには、前記通気部を除いて、空気吸入ダクトの内側と大気側とを連通する部分が設けられていない請求項1又は2に記載の内燃機関の吸気装置。
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