JP3838568B2 - アンモニアキャンドモータ用積層キャンの構造及びその加工法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンモニアガスに対し耐食性を持つアンモニアキャンドモータ用積層キャンの構造とその加工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンモニアを冷媒として使用する圧縮機及びその液冷媒の圧送用ポンプなどの駆動用キャンドモータのキャン構造については、従来様々な発想により開発が行なわれてきたが、その素材により特性上及び加工上に問題があり、容易に理想的なキャン構造に得ることが出来ないという現状にある。則ち、特性上では低効率の問題があり、通常の汎用機に比べて余りにも効率が低く、省エネルギ面ではその用途は限られてしまっている。
例えば、金属性キャンの場合には、渦流が流れ、渦電流損失が発生し、この損失はこれと同種のキャンの無い汎用機の損失に近い値となり、キャンドモータの場合はこの値にモータ本体の損失が加算され、能率低下は倍増する。
また、渦電流による損失は速度2乗で急増し、キャンの冷却を困難ならしめ、同時に効率低下の原因を形成するので、高速運転、更に形状の小型化、省エネ化等を計ることを難しくさせているが、そのような状態においてもキャンの必要価値は下がることはない。
このような特性はキャンの導電性に起因するもので、渦電流が発生しない樹脂製キャンの出現が期待されている。
【0003】
然し、冷媒にアンモニアを使用する場合のキャンドモータ用キャンに対し、耐温度特性、耐蝕性、耐圧力性、耐ガス透過性、高透磁率性、樹脂の高接着性、加工性等を必要条件とするが、これらを総て満足するような樹脂はありえない状況にある。
先ず耐蝕性に関して満足できる唯一の樹脂は弗素樹脂があり、またはガラス繊維を混合した弗素樹脂混合体よりなる弗素樹脂ライニングよりなるキャンを補強筒の内周面とともに固定子鉄心の内周面にはめ込み、樹脂ライニングを加熱軟化させ、該ライニング内面より流体圧等による加圧により密着一体化させている。
上記提案は本願発明者等によりなされ、固定子鉄心の内周面とキャンを構成する弗素樹脂性ライニングの外周面との密着を円滑に行い得るキャンドモータのキャンの形成に係わるもので、その内容を特許文献1を用いて図4により下記に説明する。
【0004】
図4(A)には弗素樹脂ライニングよりなるキャン50を示し、その弗素樹脂ライニングは弗素樹脂のみで形成しても良く、又ガラス繊維等を混入してなる弗素樹脂混合体を用いて形成し、さらには薄膜の軟質なアルミ等の非磁性金属の円筒状薄層体の表面に弗素樹脂をコーティングしてライニングしても良く、特にガラス繊維自体が強化性を有し好ましいことが記載されている。
また、図4(B)には、弗素樹脂ライニング50を固定子鉄心53及びその両端の補強筒61、62の内周面に一体的に焼付け、固着する製造過程が示され、前記固定子53及び補強筒61、62の内周面は前記弗素樹脂ライニング50に対し密着性を与えるためサンドブラスト等で粗面になし、さらにコーテイング用下地処理をしておき、ついで、固定子53の内部に樹脂ライニング50を挿入後、高周波誘導加熱線輪66を挿入し、フレーム54の両側に圧力空気挿入口68を有するサイドカバー63と貫通端子67を有するサイドカバー64を取り付け、貫通端子67を介して高周波交流電源65と加熱線輪66を電気的に接続するとともに、圧力空気挿入口68より圧力空気を導入する。前記通電により前記固定子鉄心53、補強筒61、62の内周表面のみが渦電流により高温に加熱され、同時に弗素ライニング50も加熱軟化させ、前記圧力空気挿入口68よりの圧縮空気による押圧により前記内周面に密着に焼き付け一体化している。
【0005】
前記弗素樹脂の他にポリエチレンがあるものの耐熱性の点が問題でそれらの耐ガス透過性に問題があり、則ち樹脂に発生するボイドで、これらの気体が漏洩するもので、これに対しては層間にアルミニウム箔を挿入することにより、耐透過性を持たせる手段が本願発明者等によりなされている。
【0006】
なお、従来のキャンドモータ用キャンの構造には、シート状の繊維強化プラスチックを同心円状または渦巻き状に積層して得た第1、第2プラスチック層よりなる積層間にガス密封性の樹脂からなる遮断層を介装させた積層工程と加圧加熱による固化工程とよりなるものがある。上記提案について特許文献2を用いて図5(A)、(B)を参照して下記に説明する。
則ち、上記提案は図5に示すように、エポキシ樹脂をマトリックスとしたシート状のFRP(繊維強化プラスチック)及びガス密性の樹脂を積層し円筒状に形成したものである。なお、図の(B)は(A)のS部拡大図である。
図5に見るようにキャン76は、シート状の繊維強化プラスチック76a、76cを同心円状または渦巻き状に積層するととともに、積層間にガス密性の樹脂からなる遮断層76bを介装したものである。
なお、前記遮断層76bはガス密性に加え耐透湿性を有する構成としてある。
なお、上記キャンの加工法については、前記繊維強化プラスチックを所定径の丸棒状ロール材に巻き付けて第1強化プラスチック層76aを形成し、ついで該プラスチック層76aの層上に遮断層76bを形成させ、さらに第2強化プラスチック層を76cを巻き付け積層体を形成する積層工程と、該積層体を加圧加熱して焼き固める固化工程とよりなる構成に付いての記載がある。
【0007】
なお、上記以外に、例えば本願発明者等によりなされたキャン構造に対する下記提案がある。該提案について特許文献3を用いて、図6を介して下記に説明する。
図6に示すキャン構造は、前記透磁性があり耐圧力性に対しては、絶縁被膜のある軟磁性細線81をスパイラル状若しくは多数のリング円の集合体80として形成した円筒体と、該円筒体の軸方向に沿って前記スパイラル巻きないし集合体80を固定子磁極体N、Sの整数ピッチ間隔Pで連接した軸方向の耐強度用連接体86と、より構成した円筒状キャンを使用し、該円筒状キャンの挿入による空隙の増大を磁気的に縮小させ、図6(c)、(d)に示すように、前記コイルによる軸芯方向の強度に対しては前記連接体86と高張力織布84とにより対応させ、これらを弗素樹脂85で一体固化させることで、可能にしている。
なお、上記連接体86は前記円筒体を形成する軟磁性細線81よりなるスパイラル巻きないし多数のリング円の集合体80の前記ピッチP毎に軟磁性細線81の絶縁被膜を取り除き裸線部分を前記円筒体の軸方向X2−X2方向に帯状に溶接・接合された帯状連接体が形成され、軸方向の強度を形成させている。
【0008】
然し、上記円筒状キャンに使用される弗素樹脂は、それが最も特徴とする化学的安定性は却って、樹脂相互、他の物質との間の接着加工に対し、キャンの積層加工に特殊な高度の技術を必要とすることになり、商品化への大きな隘路となっている。
【0009】
【特許文献1】
特開平06−276713号公報
【特許文献2】
特開2001−231213公報
【特許文献3】
実開平04−108358号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本願は以上の諸問題点に鑑みなされたもので、問題点の樹脂を弗素樹脂に限定することなく、150℃程度の耐熱性があり、且つ接着性の勝れた加工特性の容易な樹脂を強力な結合剤として使用することにより、アンモニアガスに接触するキャン内筒を形成する1層目で、固定子空間への侵入を阻止するキャンの巻き層を備えた、アンモニアキャンドモータ用積層キャンの構造及びその加工法の提供を目的とするものである。
【0011】
【問題を解決するための手段】
そこで、本発明のアンモニアキャンドモータ用積層キャンの構造は、
アンモニア冷媒圧縮機および、その液冷媒圧送ポンプ等を駆動するアンモニアキャンドモータ用キャンにおいて、
アンモニア冷媒が滞留する雰囲気下にあるキャン内面の1層目に設けた耐アンモニア性の超薄肉軟磁性金属箔巻き層と、その外周の2層以降の高張力織布や絶縁被膜の施された螺旋状高透磁率細線よりなる積層巻きと、より構成するとともに耐熱性の高接着性樹脂で接着一体化させる構成としたことを特徴とする。
【0012】
上記本発明は、アンモニア冷媒の存在する雰囲気下に使用するキャンとしての当然要求される耐アンモニア性の確保のため、従来より使用されている耐アンモニア性樹脂である弗素樹脂に代わり、耐熱性があり且つ接着性に勝れた最適の樹脂を選択使用するようにしたもので、そのために1層目のアンモニア雰囲気に直接接触するキャンの内面を形成する1層目に耐アンモニア性の超薄肉軟磁性金属箔よりなる巻き層を用意して、アンモニアガスがキャンを通過して固定子空間への浸透を遮断し、1層目外周より2層以降の積層に対し大気雰囲気に置き、使用する樹脂は弗素樹脂に限定されない耐熱高接着性樹脂の使用を可能とする構成としたものである。
【0013】
上記構成したアンモニアキャンドモータのキャン構造は、
アンモニア冷媒に接触する回転子側に対面するキャンの内面には、耐アンモニア性超薄肉軟磁性金属箔よりなる巻き層を設け、2層目以降には耐圧力性と透磁性を持たせるため高張力織布と螺旋状高透磁率細線よりなる積層巻きを形成させるとともに、150℃程度の耐熱性の高接着性樹脂での接着塗布層を介在させ、乾燥固化し一体化したものである。
【0014】
前記1層目の超薄肉軟磁性金属箔巻き層よりなる円筒は従来の軟磁性キャンと同様に渦電流損が発生することに変わりはないが、その損失はキャンの厚みに比例するので、超薄肉軟磁性金属箔円筒として、その補強は2層目以降の螺旋状高透磁率細線と高接着性樹脂との一体化で補い、空隙の拡大についての励磁電流増大に対しては螺旋状高透磁率細線による磁気抵抗の減少を補う反面、これには渦電流の回路としての閉路として形成されていないので、渦電流損失が発生することはない。
【0015】
そして、上記キャン構造に使用する樹脂は、安定した強接着性の樹脂を使用し、1層目の超薄肉軟磁性金属箔円筒により該円筒の内側の回転子側のアンモニア雰囲気より完全に隔離し、前記1層目の超薄肉軟磁性金属箔円筒の外周はアンモニア冷媒と断絶した大気側に置かれる構成にしてあるので、耐アンモニア性の樹脂を必要とせず、高接着性の勝れた耐温度特性の樹脂を選択使用すれば良く、その選択肢は幅広く、加工性の極めて困難な弗素樹脂の使用に限定されることなく問題点を解決している。
【0016】
斯くして、アンモニア圧縮機駆動軸より外気側へ漏洩するアンモニア冷媒ガスは、圧縮機駆動モータの回転子空間部のサイドカバー及び固定子と回転子との間の空隙に挿入し、固定子鉄心の歯端まで嵌入し、固定した積層キャンによって阻止され、外気へのアンモニア冷媒の漏洩を完全に封止させている。
このようにして固定子の線輪はアンモニア雰囲気より断絶した外気側にあり、アンモニア冷媒より隔離状態に置くことができる。
【0017】
そして、前記構成を持つ本発明のアンモニアキャンドモータ用積層キャンの構造における、2層以降の高張力織布や絶縁被膜の施された螺旋状高透磁率細線よりなる積層巻きは、
2層目に行う薄手の電気的絶縁性の高張力織布による巻き層と、その外周に行う3層目の絶縁被膜を持つ螺旋状高透磁率細線よりなる巻き層と、その外周に行う4層目の前記高張力織布よりなる巻き層と、よりなる積層巻きを形成するとともに、1、2、3、4層目の各層間及び4層目の外周に耐熱性、糊状及び高接着性樹脂よりなる塗布層を介在させ、乾燥固化し、積層円筒状に一体化する構成が好ましい。
【0018】
この積層加工において、2層目以降の積層巻きは、前記超薄肉軟磁性金属箔の巻き層よりなる円筒の外周に電気絶縁性の高い高張力織布を1回程度巻き付ける。この巻き付け作業は同時に耐熱性の強接着力のある樹脂を塗り付ける。次にこの外周の表面に絶縁性被膜の施された螺旋状高透磁率細線を密に巻装しその両端部の数回を溶接仕上げを施してコイル端部のほぐれを防止して3層目の巻き層を形成する。
次に前記コイルの表面に更に4層目の巻き層を形成する高張力織布を一回以上巻き上げ、前記樹脂をこれら積層部の表裏に塗り付けて、乾燥固化して一体化し積層キャンを構成する。
【0019】
この場合使用される樹脂は、安定した強接着性の樹脂で1層目の超薄肉金属箔円筒により内部のアンモニア雰囲気を完全に遮断隔離し、その外周は大気雰囲気側に位置されるので、前記超薄肉軟磁性金属箔円筒の外周以降に形成される積層巻きに施される樹脂は、耐アンモニア性の樹脂を必要とせず、高接着性の勝れた耐温度特性の樹脂を選択すれば良いので、その選択肢は幅広く、必ずしも加工性の極めて困難な弗素樹脂の使用に限定されることはない。
【0020】
そして、上記本発明のアンモニアキャンドモータ用積層キャンの形成に好適な加工法において、
外径調整可能の円筒巻き枠を使用し、予め設定した巻き径を持つ前記巻き枠により1層目の超薄肉軟磁性金属箔による巻き層を形成させ、ついで行う2層目以降の積層締め付け加工と樹脂接着一体加工により形成する構成としたことを特徴とする。
【0021】
上記発明は、1層目の超薄肉軟磁性金属箔よりなる円筒体の内径が予め設定されている場合の積層キャンの加工法について記載したもので、この場合は外径の調整が自由にできる巻き枠を前記巻き径に調整し、調整した巻き枠に1層目の超薄肉軟磁性金属箔による巻き層を形成させ、ついで行う2層目以降の積層締め付け加工と樹脂接着一体加工により形成し、一体化後前記巻き枠の巻き径を縮小させ引き抜くようにしたものである。
【0022】
また、上記本発明のアンモニアキャンドモータ用積層キャンの加工法の他の一の加工法は、
前記超薄肉軟磁性金属箔による巻き層は、予め所定内径を持つ円筒状に溶接成形した超薄肉軟磁性金属箔円筒を使用し、ついで該金属箔円筒に外径調整可能の円筒巻き枠を挿入し拡径により前記挿入した巻き枠を前記超薄肉軟磁性金属箔円筒に固着させ、2層以降の積層締め付け加工に移行するようにしても良い。
【0023】
上記発明は、予め継目部分の溶接により所定内径の円筒状に形成した超薄肉軟磁性金属箔円筒の外周に2層目以降の巻き層を形成する場合の加工法について記載したもので、この場合は前記溶接により形成された超薄肉軟磁性金属箔円筒内に外径調整可能の巻き枠を縮径して挿入し、挿入後拡径により前記金属箔円筒の内面に巻き枠を密着固着させ、2層目以降の積層締め付け加工に移行させるようにしたものである。
則ち、アンモニア冷媒に直接接触する環境下にある前記積層キャンの内面の1層目は耐アンモニア性の超薄肉金属箔を円筒形に曲げ、その両端部は漏れの無いように溶接する。このような1層目の円筒状キャンは極めて薄い肉厚であるので変形しやすく、そのままでの積層加工は不可能であり、この内部に外径調整可能な巻き枠を挿入する。
【0024】
この積層キャンの加工用巻き枠は、前記金属性円筒に比べ稍大きめの円筒とし、その中心線に対して斜め方向に切り口を持つ載断面を設け、切り欠き状楕円の楔状の二つの部品に切断したもので、この両者を前記斜行切り口面に沿って摺動させ締め付ければ、その外径は真円ではないが膨らみ、前記超薄肉軟磁性金属箔円筒の内側は巻き枠に表面に密着し、一体化することになる。この巻き枠を中心線に対して回動させることにより、積層締め付け巻き加工が可能となる。
【0025】
また、アンモニアキャンドモータの積層キャンの加工法に使用する円筒巻き枠の外径調整は、
中心線に対して斜交する斜め方向の載断面で二分してなる二つの楔状巻き枠の組み合わせよりなる楔状巻き枠を使用して、前記楔状巻き枠の載断面上での軸方向の摺動により外径寸法の調整を行うようにしても良い。
【0026】
上記発明により拡径する場合は二つの楔状巻き枠を載断面に沿って軸長を短縮する方向に摺動平行し移動させれば良く、縮径の場合は軸長が長くなる方向に摺動平行移動させれば良い。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の積層キャンを嵌着したアンモニアキャンドモータの概略構成を示す断面図で、図2は図1の積層キャン構造の概略構成を示す断面図で、図3は図2の積層キャンの巻き枠の概略構成を示す図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の積層キャンを嵌着したアンモニアキャンドモータ10は、固定子巻き線11を内蔵する固定子鉄心12を含むフレーム13と、該フレーム13の両サイドに設けたサイドカバー14、19と、該サイドカバー14、19に嵌着されたベアリング14a、19aを介して設けた回転子15と、前記回転子15と固定子鉄心12との間に形成された空隙の固定子側に沿い嵌着させた積層キャン16と、前記サイドカバー19に接続するアンモニア17aを使用する圧縮機17とより構成し、前記積層キャン16を前記固定子鉄心12の内周に嵌挿固定し、前記圧縮機7につながる回転子空間を外気に対し密封構造にしてある。
【0029】
図2には本発明の積層キャン16の概略構成が示してある。図1も参照して、アンモニア17aが滞留する回転子空間のアンモニア雰囲気に直接接触する積層キャン16の内面を形成する1層目の巻き層20は、耐アンモニア性の超薄肉軟磁性金属箔を円筒形に曲げ、その両端部は漏れの無いように溶接してある。このような1層目の円筒状金属箔は極めて薄い肉厚であるので変形しやすく、そのままでの積層加工は不可能であり、巻き層時には内部に図示していない外径調整可能の巻き枠を挿入し、拡径により前記金属箔よりなる円筒を巻き枠に密着させた後、巻き枠の回動により巻き枠に一体化された1層目の巻き層20の上に2層目の巻き層を巻き込み巻き締めをする。
【0030】
上記2層目以降の巻き層は、前記1層目の超薄肉軟磁性金属箔の巻き層20の外周に高張力織布の巻き層21を1回程度巻き付ける。この巻き付け作業と同時に耐熱性の強接着力のある図示していない樹脂を塗り付ける。次にこの外周の表面に絶縁被膜の施された螺旋状高透磁率細線23を密に巻装し、その両端部の数回を溶接仕上げ(半田等による)を施して螺旋巻きコイル端部のほぐれを防止しておく。
次に前記コイルの表面に更に高張力織布の巻き層22を一回以上巻き上げ、前記樹脂をこれら積層部の表裏に塗り付けて、外周面の仕上げを行い積層キャン16を構成する。
この積層キャン16よりなる円筒の肉厚は、キャンの挿入される電動機の容量、形状によって設計されるものであるが、1mm程度で、その内径外径は設計値に定められたように積層、加工を行い樹脂を乾燥、固化して一体化したのち、巻き枠の外径調整ねじによりその外径を縮小して、積層キャンより取り外し、加工を終了する。
【0031】
この場合、加工に使用される樹脂は安定した強接着性の樹脂で1層目の超薄肉軟磁性金属箔円筒により内側の回転子空間を完全に遮断するので、1層目の外周より2層目以降はアンモニアガスの存在しない大気側に置かれるので、耐アンモニア性の樹脂を必要とせず、高接着性の勝れた耐温度特性の高い樹脂を選択すれば良いので、その選択肢は幅広く、必ずしも加工性の極めて困難な弗素樹脂の使用に限定されることはない。
【0032】
1層目の超薄肉軟磁性金属箔円筒は従来の軟磁性キャンと同様に渦電流損が発生することに変わりはないが、その損失はキャンの厚みに比例するので、超薄肉軟磁性金属箔円筒として、その補強は螺旋状高透磁率細線と高接着性樹脂との一体化で補い、空隙の拡大についての励磁電流増大に対しては螺旋状高透磁率細線による磁気抵抗の減少を補う反面、これには渦電流の回路としての閉路として形成されていないので、渦電流損失が発生することはない。
【0033】
なお前記渦電流損失は、キャンの第1層目の厚みに比例して減少し、例えばキャンドモータキャンを金属板のみにより形成する場合のその厚みは0.3〜0.5mm程度のものであるが、これを同質の素材として0.03〜0.05mmの超薄肉材とすれば、キャン損失は従来の1/10まで低下させることができる。
【0034】
図3に見るように、巻き枠は前記超薄肉軟磁性金属箔の巻き層よりなる円筒の内径に比べ稍大きめの円筒とし、その中心軸Y−Yに対して斜面方向に切り口を持つ載断面35により分割された楔状の二つの枠材31、33と、両サイドに設けた円盤状側板32a、32bと、よりなり、前記枠材31は側板32aに側板取り付け用ねじ36により固設され、一方枠材33も側板32bに側板取り付け用ねじ36により固設される構成にしてあり、
前記側板32a、32bに設けた締め付けねじ38、38の締め付けにより前記側板を含む巻き枠の矢印A、B方向の摺動により拡径させ、押さえねじ37、37の締め付けにより前記矢印A、Bの逆方向に摺動させて縮径させて、外径調整可能の構成にしてある。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、上記構成により下記効果を奏する。
アンモニアキャンドモータに使用する積層キャンの構造において、1層目に耐アンモニア性の超薄肉軟磁性金属箔を使用することにより、弗素樹脂の使用に限定されることなく、150℃程度の耐熱性を持ち、しかも接着性、加工特性の勝れた樹脂の使用を可能とし、入手容易な樹脂を強力な結合剤として使用することにより、キャンの1層目の前記超薄肉軟磁性金属箔の巻き層内面で、アンモニアガスの固定子空間への侵入を阻止するアンモニアキャンドモータ用積層キャンを供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層キャンを嵌着したアンモニアキャンドモータの概略構成を示す断面図である。
【図2】 図1の積層キャン構造の概略構成を示す断面図である。
【図3】 図2の積層キャンの巻き締めに使用する巻き枠の概略構成を示す図である。
【図4】 従来のアンモニアキャンドモータの樹脂製キャンの構成及び加工法を示す図である。
【図5】 従来のシート状繊維強化プラスチックとガス密性樹脂の遮断層からなるキャンドモータ用キャンの概略構成を示す図である。
【図6】 従来のキャンドモータ用積層キャンの概略構造を示す展開図及びその断面を示す図である。
【符号の説明】
10 アンモニアキャンドモータ
11 固定子巻き線
12 固定子鉄心
13 フレーム
14、19 サイドカバー
15 回転子
16 積層キャン
17 圧縮機
17a アンモニア
20 超薄肉軟磁性金属箔の巻き層
21、22 高張力織布の巻き層
23 絶縁被膜を持つ螺旋状高透磁率細線
31、33 楔状巻き枠
32a、32b 円盤状側板
35 載断面
36 側板取り付け用ねじ
37 押さえねじ
38 締め付けねじ
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンモニアガスに対し耐食性を持つアンモニアキャンドモータ用積層キャンの構造とその加工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンモニアを冷媒として使用する圧縮機及びその液冷媒の圧送用ポンプなどの駆動用キャンドモータのキャン構造については、従来様々な発想により開発が行なわれてきたが、その素材により特性上及び加工上に問題があり、容易に理想的なキャン構造に得ることが出来ないという現状にある。則ち、特性上では低効率の問題があり、通常の汎用機に比べて余りにも効率が低く、省エネルギ面ではその用途は限られてしまっている。
例えば、金属性キャンの場合には、渦流が流れ、渦電流損失が発生し、この損失はこれと同種のキャンの無い汎用機の損失に近い値となり、キャンドモータの場合はこの値にモータ本体の損失が加算され、能率低下は倍増する。
また、渦電流による損失は速度2乗で急増し、キャンの冷却を困難ならしめ、同時に効率低下の原因を形成するので、高速運転、更に形状の小型化、省エネ化等を計ることを難しくさせているが、そのような状態においてもキャンの必要価値は下がることはない。
このような特性はキャンの導電性に起因するもので、渦電流が発生しない樹脂製キャンの出現が期待されている。
【0003】
然し、冷媒にアンモニアを使用する場合のキャンドモータ用キャンに対し、耐温度特性、耐蝕性、耐圧力性、耐ガス透過性、高透磁率性、樹脂の高接着性、加工性等を必要条件とするが、これらを総て満足するような樹脂はありえない状況にある。
先ず耐蝕性に関して満足できる唯一の樹脂は弗素樹脂があり、またはガラス繊維を混合した弗素樹脂混合体よりなる弗素樹脂ライニングよりなるキャンを補強筒の内周面とともに固定子鉄心の内周面にはめ込み、樹脂ライニングを加熱軟化させ、該ライニング内面より流体圧等による加圧により密着一体化させている。
上記提案は本願発明者等によりなされ、固定子鉄心の内周面とキャンを構成する弗素樹脂性ライニングの外周面との密着を円滑に行い得るキャンドモータのキャンの形成に係わるもので、その内容を特許文献1を用いて図4により下記に説明する。
【0004】
図4(A)には弗素樹脂ライニングよりなるキャン50を示し、その弗素樹脂ライニングは弗素樹脂のみで形成しても良く、又ガラス繊維等を混入してなる弗素樹脂混合体を用いて形成し、さらには薄膜の軟質なアルミ等の非磁性金属の円筒状薄層体の表面に弗素樹脂をコーティングしてライニングしても良く、特にガラス繊維自体が強化性を有し好ましいことが記載されている。
また、図4(B)には、弗素樹脂ライニング50を固定子鉄心53及びその両端の補強筒61、62の内周面に一体的に焼付け、固着する製造過程が示され、前記固定子53及び補強筒61、62の内周面は前記弗素樹脂ライニング50に対し密着性を与えるためサンドブラスト等で粗面になし、さらにコーテイング用下地処理をしておき、ついで、固定子53の内部に樹脂ライニング50を挿入後、高周波誘導加熱線輪66を挿入し、フレーム54の両側に圧力空気挿入口68を有するサイドカバー63と貫通端子67を有するサイドカバー64を取り付け、貫通端子67を介して高周波交流電源65と加熱線輪66を電気的に接続するとともに、圧力空気挿入口68より圧力空気を導入する。前記通電により前記固定子鉄心53、補強筒61、62の内周表面のみが渦電流により高温に加熱され、同時に弗素ライニング50も加熱軟化させ、前記圧力空気挿入口68よりの圧縮空気による押圧により前記内周面に密着に焼き付け一体化している。
【0005】
前記弗素樹脂の他にポリエチレンがあるものの耐熱性の点が問題でそれらの耐ガス透過性に問題があり、則ち樹脂に発生するボイドで、これらの気体が漏洩するもので、これに対しては層間にアルミニウム箔を挿入することにより、耐透過性を持たせる手段が本願発明者等によりなされている。
【0006】
なお、従来のキャンドモータ用キャンの構造には、シート状の繊維強化プラスチックを同心円状または渦巻き状に積層して得た第1、第2プラスチック層よりなる積層間にガス密封性の樹脂からなる遮断層を介装させた積層工程と加圧加熱による固化工程とよりなるものがある。上記提案について特許文献2を用いて図5(A)、(B)を参照して下記に説明する。
則ち、上記提案は図5に示すように、エポキシ樹脂をマトリックスとしたシート状のFRP(繊維強化プラスチック)及びガス密性の樹脂を積層し円筒状に形成したものである。なお、図の(B)は(A)のS部拡大図である。
図5に見るようにキャン76は、シート状の繊維強化プラスチック76a、76cを同心円状または渦巻き状に積層するととともに、積層間にガス密性の樹脂からなる遮断層76bを介装したものである。
なお、前記遮断層76bはガス密性に加え耐透湿性を有する構成としてある。
なお、上記キャンの加工法については、前記繊維強化プラスチックを所定径の丸棒状ロール材に巻き付けて第1強化プラスチック層76aを形成し、ついで該プラスチック層76aの層上に遮断層76bを形成させ、さらに第2強化プラスチック層を76cを巻き付け積層体を形成する積層工程と、該積層体を加圧加熱して焼き固める固化工程とよりなる構成に付いての記載がある。
【0007】
なお、上記以外に、例えば本願発明者等によりなされたキャン構造に対する下記提案がある。該提案について特許文献3を用いて、図6を介して下記に説明する。
図6に示すキャン構造は、前記透磁性があり耐圧力性に対しては、絶縁被膜のある軟磁性細線81をスパイラル状若しくは多数のリング円の集合体80として形成した円筒体と、該円筒体の軸方向に沿って前記スパイラル巻きないし集合体80を固定子磁極体N、Sの整数ピッチ間隔Pで連接した軸方向の耐強度用連接体86と、より構成した円筒状キャンを使用し、該円筒状キャンの挿入による空隙の増大を磁気的に縮小させ、図6(c)、(d)に示すように、前記コイルによる軸芯方向の強度に対しては前記連接体86と高張力織布84とにより対応させ、これらを弗素樹脂85で一体固化させることで、可能にしている。
なお、上記連接体86は前記円筒体を形成する軟磁性細線81よりなるスパイラル巻きないし多数のリング円の集合体80の前記ピッチP毎に軟磁性細線81の絶縁被膜を取り除き裸線部分を前記円筒体の軸方向X2−X2方向に帯状に溶接・接合された帯状連接体が形成され、軸方向の強度を形成させている。
【0008】
然し、上記円筒状キャンに使用される弗素樹脂は、それが最も特徴とする化学的安定性は却って、樹脂相互、他の物質との間の接着加工に対し、キャンの積層加工に特殊な高度の技術を必要とすることになり、商品化への大きな隘路となっている。
【0009】
【特許文献1】
特開平06−276713号公報
【特許文献2】
特開2001−231213公報
【特許文献3】
実開平04−108358号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本願は以上の諸問題点に鑑みなされたもので、問題点の樹脂を弗素樹脂に限定することなく、150℃程度の耐熱性があり、且つ接着性の勝れた加工特性の容易な樹脂を強力な結合剤として使用することにより、アンモニアガスに接触するキャン内筒を形成する1層目で、固定子空間への侵入を阻止するキャンの巻き層を備えた、アンモニアキャンドモータ用積層キャンの構造及びその加工法の提供を目的とするものである。
【0011】
【問題を解決するための手段】
そこで、本発明のアンモニアキャンドモータ用積層キャンの構造は、
アンモニア冷媒圧縮機および、その液冷媒圧送ポンプ等を駆動するアンモニアキャンドモータ用キャンにおいて、
アンモニア冷媒が滞留する雰囲気下にあるキャン内面の1層目に設けた耐アンモニア性の超薄肉軟磁性金属箔巻き層と、その外周の2層以降の高張力織布や絶縁被膜の施された螺旋状高透磁率細線よりなる積層巻きと、より構成するとともに耐熱性の高接着性樹脂で接着一体化させる構成としたことを特徴とする。
【0012】
上記本発明は、アンモニア冷媒の存在する雰囲気下に使用するキャンとしての当然要求される耐アンモニア性の確保のため、従来より使用されている耐アンモニア性樹脂である弗素樹脂に代わり、耐熱性があり且つ接着性に勝れた最適の樹脂を選択使用するようにしたもので、そのために1層目のアンモニア雰囲気に直接接触するキャンの内面を形成する1層目に耐アンモニア性の超薄肉軟磁性金属箔よりなる巻き層を用意して、アンモニアガスがキャンを通過して固定子空間への浸透を遮断し、1層目外周より2層以降の積層に対し大気雰囲気に置き、使用する樹脂は弗素樹脂に限定されない耐熱高接着性樹脂の使用を可能とする構成としたものである。
【0013】
上記構成したアンモニアキャンドモータのキャン構造は、
アンモニア冷媒に接触する回転子側に対面するキャンの内面には、耐アンモニア性超薄肉軟磁性金属箔よりなる巻き層を設け、2層目以降には耐圧力性と透磁性を持たせるため高張力織布と螺旋状高透磁率細線よりなる積層巻きを形成させるとともに、150℃程度の耐熱性の高接着性樹脂での接着塗布層を介在させ、乾燥固化し一体化したものである。
【0014】
前記1層目の超薄肉軟磁性金属箔巻き層よりなる円筒は従来の軟磁性キャンと同様に渦電流損が発生することに変わりはないが、その損失はキャンの厚みに比例するので、超薄肉軟磁性金属箔円筒として、その補強は2層目以降の螺旋状高透磁率細線と高接着性樹脂との一体化で補い、空隙の拡大についての励磁電流増大に対しては螺旋状高透磁率細線による磁気抵抗の減少を補う反面、これには渦電流の回路としての閉路として形成されていないので、渦電流損失が発生することはない。
【0015】
そして、上記キャン構造に使用する樹脂は、安定した強接着性の樹脂を使用し、1層目の超薄肉軟磁性金属箔円筒により該円筒の内側の回転子側のアンモニア雰囲気より完全に隔離し、前記1層目の超薄肉軟磁性金属箔円筒の外周はアンモニア冷媒と断絶した大気側に置かれる構成にしてあるので、耐アンモニア性の樹脂を必要とせず、高接着性の勝れた耐温度特性の樹脂を選択使用すれば良く、その選択肢は幅広く、加工性の極めて困難な弗素樹脂の使用に限定されることなく問題点を解決している。
【0016】
斯くして、アンモニア圧縮機駆動軸より外気側へ漏洩するアンモニア冷媒ガスは、圧縮機駆動モータの回転子空間部のサイドカバー及び固定子と回転子との間の空隙に挿入し、固定子鉄心の歯端まで嵌入し、固定した積層キャンによって阻止され、外気へのアンモニア冷媒の漏洩を完全に封止させている。
このようにして固定子の線輪はアンモニア雰囲気より断絶した外気側にあり、アンモニア冷媒より隔離状態に置くことができる。
【0017】
そして、前記構成を持つ本発明のアンモニアキャンドモータ用積層キャンの構造における、2層以降の高張力織布や絶縁被膜の施された螺旋状高透磁率細線よりなる積層巻きは、
2層目に行う薄手の電気的絶縁性の高張力織布による巻き層と、その外周に行う3層目の絶縁被膜を持つ螺旋状高透磁率細線よりなる巻き層と、その外周に行う4層目の前記高張力織布よりなる巻き層と、よりなる積層巻きを形成するとともに、1、2、3、4層目の各層間及び4層目の外周に耐熱性、糊状及び高接着性樹脂よりなる塗布層を介在させ、乾燥固化し、積層円筒状に一体化する構成が好ましい。
【0018】
この積層加工において、2層目以降の積層巻きは、前記超薄肉軟磁性金属箔の巻き層よりなる円筒の外周に電気絶縁性の高い高張力織布を1回程度巻き付ける。この巻き付け作業は同時に耐熱性の強接着力のある樹脂を塗り付ける。次にこの外周の表面に絶縁性被膜の施された螺旋状高透磁率細線を密に巻装しその両端部の数回を溶接仕上げを施してコイル端部のほぐれを防止して3層目の巻き層を形成する。
次に前記コイルの表面に更に4層目の巻き層を形成する高張力織布を一回以上巻き上げ、前記樹脂をこれら積層部の表裏に塗り付けて、乾燥固化して一体化し積層キャンを構成する。
【0019】
この場合使用される樹脂は、安定した強接着性の樹脂で1層目の超薄肉金属箔円筒により内部のアンモニア雰囲気を完全に遮断隔離し、その外周は大気雰囲気側に位置されるので、前記超薄肉軟磁性金属箔円筒の外周以降に形成される積層巻きに施される樹脂は、耐アンモニア性の樹脂を必要とせず、高接着性の勝れた耐温度特性の樹脂を選択すれば良いので、その選択肢は幅広く、必ずしも加工性の極めて困難な弗素樹脂の使用に限定されることはない。
【0020】
そして、上記本発明のアンモニアキャンドモータ用積層キャンの形成に好適な加工法において、
外径調整可能の円筒巻き枠を使用し、予め設定した巻き径を持つ前記巻き枠により1層目の超薄肉軟磁性金属箔による巻き層を形成させ、ついで行う2層目以降の積層締め付け加工と樹脂接着一体加工により形成する構成としたことを特徴とする。
【0021】
上記発明は、1層目の超薄肉軟磁性金属箔よりなる円筒体の内径が予め設定されている場合の積層キャンの加工法について記載したもので、この場合は外径の調整が自由にできる巻き枠を前記巻き径に調整し、調整した巻き枠に1層目の超薄肉軟磁性金属箔による巻き層を形成させ、ついで行う2層目以降の積層締め付け加工と樹脂接着一体加工により形成し、一体化後前記巻き枠の巻き径を縮小させ引き抜くようにしたものである。
【0022】
また、上記本発明のアンモニアキャンドモータ用積層キャンの加工法の他の一の加工法は、
前記超薄肉軟磁性金属箔による巻き層は、予め所定内径を持つ円筒状に溶接成形した超薄肉軟磁性金属箔円筒を使用し、ついで該金属箔円筒に外径調整可能の円筒巻き枠を挿入し拡径により前記挿入した巻き枠を前記超薄肉軟磁性金属箔円筒に固着させ、2層以降の積層締め付け加工に移行するようにしても良い。
【0023】
上記発明は、予め継目部分の溶接により所定内径の円筒状に形成した超薄肉軟磁性金属箔円筒の外周に2層目以降の巻き層を形成する場合の加工法について記載したもので、この場合は前記溶接により形成された超薄肉軟磁性金属箔円筒内に外径調整可能の巻き枠を縮径して挿入し、挿入後拡径により前記金属箔円筒の内面に巻き枠を密着固着させ、2層目以降の積層締め付け加工に移行させるようにしたものである。
則ち、アンモニア冷媒に直接接触する環境下にある前記積層キャンの内面の1層目は耐アンモニア性の超薄肉金属箔を円筒形に曲げ、その両端部は漏れの無いように溶接する。このような1層目の円筒状キャンは極めて薄い肉厚であるので変形しやすく、そのままでの積層加工は不可能であり、この内部に外径調整可能な巻き枠を挿入する。
【0024】
この積層キャンの加工用巻き枠は、前記金属性円筒に比べ稍大きめの円筒とし、その中心線に対して斜め方向に切り口を持つ載断面を設け、切り欠き状楕円の楔状の二つの部品に切断したもので、この両者を前記斜行切り口面に沿って摺動させ締め付ければ、その外径は真円ではないが膨らみ、前記超薄肉軟磁性金属箔円筒の内側は巻き枠に表面に密着し、一体化することになる。この巻き枠を中心線に対して回動させることにより、積層締め付け巻き加工が可能となる。
【0025】
また、アンモニアキャンドモータの積層キャンの加工法に使用する円筒巻き枠の外径調整は、
中心線に対して斜交する斜め方向の載断面で二分してなる二つの楔状巻き枠の組み合わせよりなる楔状巻き枠を使用して、前記楔状巻き枠の載断面上での軸方向の摺動により外径寸法の調整を行うようにしても良い。
【0026】
上記発明により拡径する場合は二つの楔状巻き枠を載断面に沿って軸長を短縮する方向に摺動平行し移動させれば良く、縮径の場合は軸長が長くなる方向に摺動平行移動させれば良い。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の積層キャンを嵌着したアンモニアキャンドモータの概略構成を示す断面図で、図2は図1の積層キャン構造の概略構成を示す断面図で、図3は図2の積層キャンの巻き枠の概略構成を示す図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の積層キャンを嵌着したアンモニアキャンドモータ10は、固定子巻き線11を内蔵する固定子鉄心12を含むフレーム13と、該フレーム13の両サイドに設けたサイドカバー14、19と、該サイドカバー14、19に嵌着されたベアリング14a、19aを介して設けた回転子15と、前記回転子15と固定子鉄心12との間に形成された空隙の固定子側に沿い嵌着させた積層キャン16と、前記サイドカバー19に接続するアンモニア17aを使用する圧縮機17とより構成し、前記積層キャン16を前記固定子鉄心12の内周に嵌挿固定し、前記圧縮機7につながる回転子空間を外気に対し密封構造にしてある。
【0029】
図2には本発明の積層キャン16の概略構成が示してある。図1も参照して、アンモニア17aが滞留する回転子空間のアンモニア雰囲気に直接接触する積層キャン16の内面を形成する1層目の巻き層20は、耐アンモニア性の超薄肉軟磁性金属箔を円筒形に曲げ、その両端部は漏れの無いように溶接してある。このような1層目の円筒状金属箔は極めて薄い肉厚であるので変形しやすく、そのままでの積層加工は不可能であり、巻き層時には内部に図示していない外径調整可能の巻き枠を挿入し、拡径により前記金属箔よりなる円筒を巻き枠に密着させた後、巻き枠の回動により巻き枠に一体化された1層目の巻き層20の上に2層目の巻き層を巻き込み巻き締めをする。
【0030】
上記2層目以降の巻き層は、前記1層目の超薄肉軟磁性金属箔の巻き層20の外周に高張力織布の巻き層21を1回程度巻き付ける。この巻き付け作業と同時に耐熱性の強接着力のある図示していない樹脂を塗り付ける。次にこの外周の表面に絶縁被膜の施された螺旋状高透磁率細線23を密に巻装し、その両端部の数回を溶接仕上げ(半田等による)を施して螺旋巻きコイル端部のほぐれを防止しておく。
次に前記コイルの表面に更に高張力織布の巻き層22を一回以上巻き上げ、前記樹脂をこれら積層部の表裏に塗り付けて、外周面の仕上げを行い積層キャン16を構成する。
この積層キャン16よりなる円筒の肉厚は、キャンの挿入される電動機の容量、形状によって設計されるものであるが、1mm程度で、その内径外径は設計値に定められたように積層、加工を行い樹脂を乾燥、固化して一体化したのち、巻き枠の外径調整ねじによりその外径を縮小して、積層キャンより取り外し、加工を終了する。
【0031】
この場合、加工に使用される樹脂は安定した強接着性の樹脂で1層目の超薄肉軟磁性金属箔円筒により内側の回転子空間を完全に遮断するので、1層目の外周より2層目以降はアンモニアガスの存在しない大気側に置かれるので、耐アンモニア性の樹脂を必要とせず、高接着性の勝れた耐温度特性の高い樹脂を選択すれば良いので、その選択肢は幅広く、必ずしも加工性の極めて困難な弗素樹脂の使用に限定されることはない。
【0032】
1層目の超薄肉軟磁性金属箔円筒は従来の軟磁性キャンと同様に渦電流損が発生することに変わりはないが、その損失はキャンの厚みに比例するので、超薄肉軟磁性金属箔円筒として、その補強は螺旋状高透磁率細線と高接着性樹脂との一体化で補い、空隙の拡大についての励磁電流増大に対しては螺旋状高透磁率細線による磁気抵抗の減少を補う反面、これには渦電流の回路としての閉路として形成されていないので、渦電流損失が発生することはない。
【0033】
なお前記渦電流損失は、キャンの第1層目の厚みに比例して減少し、例えばキャンドモータキャンを金属板のみにより形成する場合のその厚みは0.3〜0.5mm程度のものであるが、これを同質の素材として0.03〜0.05mmの超薄肉材とすれば、キャン損失は従来の1/10まで低下させることができる。
【0034】
図3に見るように、巻き枠は前記超薄肉軟磁性金属箔の巻き層よりなる円筒の内径に比べ稍大きめの円筒とし、その中心軸Y−Yに対して斜面方向に切り口を持つ載断面35により分割された楔状の二つの枠材31、33と、両サイドに設けた円盤状側板32a、32bと、よりなり、前記枠材31は側板32aに側板取り付け用ねじ36により固設され、一方枠材33も側板32bに側板取り付け用ねじ36により固設される構成にしてあり、
前記側板32a、32bに設けた締め付けねじ38、38の締め付けにより前記側板を含む巻き枠の矢印A、B方向の摺動により拡径させ、押さえねじ37、37の締め付けにより前記矢印A、Bの逆方向に摺動させて縮径させて、外径調整可能の構成にしてある。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、上記構成により下記効果を奏する。
アンモニアキャンドモータに使用する積層キャンの構造において、1層目に耐アンモニア性の超薄肉軟磁性金属箔を使用することにより、弗素樹脂の使用に限定されることなく、150℃程度の耐熱性を持ち、しかも接着性、加工特性の勝れた樹脂の使用を可能とし、入手容易な樹脂を強力な結合剤として使用することにより、キャンの1層目の前記超薄肉軟磁性金属箔の巻き層内面で、アンモニアガスの固定子空間への侵入を阻止するアンモニアキャンドモータ用積層キャンを供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層キャンを嵌着したアンモニアキャンドモータの概略構成を示す断面図である。
【図2】 図1の積層キャン構造の概略構成を示す断面図である。
【図3】 図2の積層キャンの巻き締めに使用する巻き枠の概略構成を示す図である。
【図4】 従来のアンモニアキャンドモータの樹脂製キャンの構成及び加工法を示す図である。
【図5】 従来のシート状繊維強化プラスチックとガス密性樹脂の遮断層からなるキャンドモータ用キャンの概略構成を示す図である。
【図6】 従来のキャンドモータ用積層キャンの概略構造を示す展開図及びその断面を示す図である。
【符号の説明】
10 アンモニアキャンドモータ
11 固定子巻き線
12 固定子鉄心
13 フレーム
14、19 サイドカバー
15 回転子
16 積層キャン
17 圧縮機
17a アンモニア
20 超薄肉軟磁性金属箔の巻き層
21、22 高張力織布の巻き層
23 絶縁被膜を持つ螺旋状高透磁率細線
31、33 楔状巻き枠
32a、32b 円盤状側板
35 載断面
36 側板取り付け用ねじ
37 押さえねじ
38 締め付けねじ
Claims (5)
- アンモニア冷媒圧縮機および、その液冷媒圧送ポンプ等を駆動するキャンドモータ用キャンにおいて、
アンモニア冷媒が滞留する雰囲気下にあるキャン内面の1層目に設けた耐アンモニア性の超薄肉軟磁性金属箔層の巻き層と、その外周に設けた2層以降の高張力織布や絶縁被膜の施された螺旋状高透磁率細線よりなる積層巻きと、より構成するとともに耐熱性の高接着性樹脂で接着一体化させる構成としたことを特徴とするアンモニアキャンドモータ用積層キャンの構造。 - 前記2層以降の高張力織布や絶縁被膜の施された螺旋状高透磁率細線よりなる積層巻きは、2層目に行う薄手の電気的絶縁性の高張力織布による巻き層と、その外周に行う3層目の絶縁被膜を持つ螺旋状高透磁率細線よりなる巻き層と、その外周に行う4層目の前記高張力織布よりなる巻き層とよりなる積層巻きを形成するとともに、1、2、3、4層目の各層間及び4層目の外周に耐熱性、糊状及び高接着性樹脂よりなる塗布層を介在させ、乾燥固化し、積層円筒状に一体化したことを特徴とする請求項1記載のアンモニアキャンドモータ用積層キャンの構造。
- アンモニアキャンドモータ用積層キャンの加工法において、
外径調整可能の巻き枠を使用し、予め設定した巻き径を持つ前記巻き枠に1層目の超薄肉軟磁性金属箔による巻き層を形成させ、ついで行う2層目以降の積層締め付け加工と樹脂接着一体加工により形成する構成としたことを特徴とするアンモニアキャンドモータ用積層キャンの加工法。 - 前記超薄肉軟磁性金属箔による巻き層は、予め所定内径を持つ円筒状に溶接成形した超薄肉軟磁性金属箔円筒を使用し、ついで該金属箔円筒に外径調整可能の巻き枠を挿入し拡径により前記挿入した巻き枠を前記超薄肉軟磁性金属箔円筒に固着させ、2層以降の積層締め付け加工に移行することを特徴とする請求項3記載のアンモニアキャンドモータ用積層キャンの加工法。
- 前記円筒の巻き枠の外径調整は、
中心線に対して斜交する載断面で二分してなる二つの楔状巻き枠の組み合わせよりなる楔状巻き枠を使用して、前記楔状巻き枠の載断面上での軸方向の摺動により外径寸法の調整を行うようにしたことを特徴とする請求項3若しくは請求項4記載のアンモニアキャンドモータ用積層キャンの加工法。
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