JP2001231213A - キャンドモータにおけるキャン及びその製造方法 - Google Patents

キャンドモータにおけるキャン及びその製造方法

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JP2001231213A
JP2001231213A JP2000034871A JP2000034871A JP2001231213A JP 2001231213 A JP2001231213 A JP 2001231213A JP 2000034871 A JP2000034871 A JP 2000034871A JP 2000034871 A JP2000034871 A JP 2000034871A JP 2001231213 A JP2001231213 A JP 2001231213A
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JP
Japan
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fiber
canned motor
reinforced plastic
stator
resin
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Application number
JP2000034871A
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English (en)
Inventor
Motoaki Murakami
元章 村上
Yoshiaki Konishi
義昭 小西
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Nikkiso Co Ltd
Original Assignee
Nikkiso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂により成形されるとともに、強度を向上さ
せることができ、且つ、固定子と回転子との間のガス密
性を向上させることができるキャンドモータにおけるキ
ャン及びその製造方法を提供する。 【解決手段】キャンドモータの固定子と回転子との間に
配設されたキャンであって、シート状の繊維強化プラス
チックを同心円状又は渦巻き状に積層して得た第1繊維
強化プラスチック層6a及び第2繊維強化プラスチック
層6cとから成るとともに、積層間に、ガス密性の樹脂
から成る遮断層6bを介装したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動機駆動型ポン
プの駆動源として適用されるキャンドモータの固定子と
回転子との間に配設されるキャンに関する。
【0002】
【従来の技術】キャンドモータは、例えばキャンドモー
タポンプの駆動源として適用され、電圧が付与され得る
固定子と、この固定子の電圧付与により生じる電磁誘導
作用により回転する回転子と、これら固定子と回転子と
の間、固定子内径に嵌合して配設された金属の薄板から
成るキャン(ステータライナ)とを有するキャンドモー
タ部と、該キャンドモータ部の前面に固定され、取扱液
等の流体を吸入する吸入口及び吐出する吐出口が形成さ
れたケーシング部とを有した構成とされている。
【0003】この種のキャンドモータポンプは、モータ
部を構成するロータ及びステータがそれぞれロータスリ
ーブ及びステータライナで被覆されていることにより、
モータ部を液密に構成し、各種液体内で使用されるポン
プ用として採用されている。
【0004】かかるキャンドモータのキャン(ステータ
ライナ)は、金属板から構成されているため、固定子の
磁界回転に伴って生じる渦電流によるエネルギ損失(以
下、キャンロスという。)が発生する。
【0005】このキャンロスは、図6の丸印が付された
グラフに示すように、電源周波数が高くなると急速に増
大する性質のものであるため、近年のポンプ回転の高速
化に従ってキャンロスの問題が顕著化している。尚、同
図の丸印が付されたグラフは、厚み0.4mmのSUS
316から成る2ポール、2.2kW(60Hz時)の
キャンドモータにおけるキャンのキャンロス特性を示し
ている。
【0006】このようなキャンロスを低減してポンプ効
率を向上すべく、本出願人は、樹脂でキャン(ステータ
ライナ)を成形する技術を実公平8−8317号公報に
て提案している。樹脂製のキャン(ステータライナ)に
よれば、同図の三角印が付されたグラフに示すように、
電源周波数が高くなってもステータライナによるキャン
ロスは全く発生せず、高速回転に適するキャンドモータ
を提供することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般的
な樹脂成形である射出成形によってキャンを成形しよう
とすると、樹脂を型内全体に行き渡らせる必要上、所定
以上の厚みとなってエアギャップが拡がってしまい、特
に誘導機に適用した場合、力率が下がり、十分な出力を
得ることができないという問題がある。また、同期機に
適用した場合でも、回転子側の磁力をより大きくする必
要があり、製造コストが悪化してしまう等の問題があ
る。
【0008】更に、樹脂製のキャンをキャンドモータに
適用するにあたり、キャンドモータ内に付与される内圧
に耐え得る強度を備える必要がある。そこで、樹脂をガ
ラス繊維やカーボン繊維等で強化したシート状のFRP
をシートワインディング法により積層させ、キャンを成
形することが考え得るが、この方法によるキャンの成形
法においても以下の問題があり、実用化には至っていな
い。
【0009】即ち、FRP中に含まれる1本の繊維は多
数のフィラメントから成っており、これらフィラメント
間に樹脂が充填されず隙間が残るので、上記キャンをキ
ャンドモータに装着した場合、FRPに含まれた繊維を
伝ってキャンドモータ内を通過する取扱液のガス化した
ものが固定子室へ漏洩し、又は、固定子内に流し込まれ
た絶縁効果又は冷却効果を高めるためのワニス又はポッ
ティング材からの揮発成分が回転子室へ漏洩する虞があ
る。
【0010】これらのガスが繊維中を伝う経路は、図7
で示すように、繊維aが織り込まれた経路に沿った場合
(FRPシートの巻かれている経路)と、FRP層のう
ち樹脂の単独部分(同図中b)が薄くなっている箇所で
繊維と繊維とが近接し(同図中t1及びt2で示される
箇所)、その近接箇所でガスが伝達される場合(層間を
伝う経路)とがあるが、キャンをキャンドモータに装着
した場合、ロータ室内にあるモータの絶縁を劣化させる
ような液体(例えば硫酸、硝酸、塩酸等)の揮発成分が
キャンを通過して固定子に入り込んだときコイルの絶縁
性を劣化させ、短絡(ショート)を引き起こす。更に、
悪くするとモータの焼損にもつながることにもなる。
【0011】又、固定子側から回転子側への伝達の場合
は、回転子室内を満たしているポンプ取扱液を変質させ
る。特に、水道水などの場合、臭気、味が異常なものと
なる不具合が生じてしまう。
【0012】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、樹脂により成形されるとともに、強度を向上
させることができ、且つ、固定子と回転子との間のガス
密性を向上させることができるキャンドモータにおける
キャン及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
キャンドモータの固定子と回転子との間に配設されたキ
ャンであって、シート状の繊維強化プラスチックを同心
円状又は渦巻き状に積層して成るとともに、積層間に、
ガス密性の樹脂から成る遮断層を介装したことを特徴と
する。
【0014】かかる構成によれば、繊維強化プラスチッ
クに含まれる繊維を、取扱液のガス化したものや固定子
内からの揮発成分が伝わった場合、該ガスを遮断層にて
遮断する。ここで、ガス密性とは、ガス透過性が相対的
に低いものをいう。
【0015】請求項2記載の発明は、前記遮断層が、ガ
ス密性に加えて耐透湿性を有する樹脂から成ることを特
徴とする。
【0016】請求項3記載の発明は、前記繊維強化プラ
スチックに含まれる繊維が、ガラス繊維又はカーボン繊
維であることを特徴とする。
【0017】請求項4記載の発明は、前記繊維強化プラ
スチックを所定径の丸棒状ロール材に巻き付けて第1繊
維強化プラスチック層を形成した後、該第1繊維強化プ
ラスチック層上にガス密性のシート状樹脂を巻き付けて
前記遮断層を形成し、該遮断層上に更に繊維強化プラス
チックを巻き付けて第2繊維強化プラスチック層を形成
して積層体を得る積層工程と、該積層工程の後、前記積
層体を加圧、加熱することにより焼き固める固化工程
と、を有することを特徴とする。
【0018】かかる構成によれば、積層工程で積層体を
形成した後、固化工程で前記積層体中のマトリックス
(樹脂)を加熱により重合させて(3次元網目構造)一
体化させる。ガス密性シートの層は加熱により、FRP
層のマトリックスと相溶し、剥離し難くなる。場合によ
っては、固化工程において、積層体を加圧しながら加熱
するようにしてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら具体的に説明する。本発明に係る
キャンが適用される誘導モータ型キャンドモータポンプ
は、電圧を固定子に印加することによって生じる電磁誘
導作用で回転子を回転させ、その回転力で流体を吸入、
吐出するもので、図3に示すように、電動モータ部とし
てのキャンドモータ部2と、該キャンドモータ部2の前
端面に配設されたフロントケーシング部3、後端面にリ
アケーシング部4及び5とを主に有し、主にこれらによ
り外観が構成されている。尚、図中符号20は、固定子
7に電流を供給するための端子20a(図1参照)を内
在させるジャンクションボックスを示している。
【0020】図4に示すように、誘導モータ型キャンド
モータポンプ1におけるキャンドモータ部2は、その内
部の空間部にシャフト9を中心として回転可能な回転子
8を具備するとともに、該空間部の外延面に沿ってキャ
ン(ステータライナ)6が形成されたものである。
【0021】そして、キャンドモータ部2の空間部と外
観部との間(樹脂で充填されるべき箇所)には固定子7
がモールドされており、この固定子7への電圧の印加に
より回転子8がシャフト9を中心に回転するよう配設さ
れている。
【0022】また、シャフト9の両端部近傍にはベアリ
ングハウジング29にインサート成型されたベアリング
10(すべり軸受としてのカーボンベアリング)がそれ
ぞれ配設されており、このベアリング10はスラストワ
ッシャ19によりシャフト9の軸方向への移動が規制さ
れている。
【0023】尚、符号31はシャフト9とベアリング1
0との間に介在するシャフトスリーブを示しており、符
号21はキーを示している。更に、シャフト9の両先端
にはインペラ13がそれぞれ固定されており、回転子8
の回転がインペラ13に伝達されるよう構成されてい
る。
【0024】キャンドモータ部2内には、固定子72の
外周側四隅(図5参照)において、パイプ12が4本モ
ールドされており、その両先端の開口がキャンドモータ
部2端面に臨むよう構成されている。また、キャンドモ
ータ部2の両端面には、図4に示す如きモールドフラン
ジ11が形成されており、このパイプ12の開口以外の
端面を覆うよう配設されている。
【0025】図5(b)に示すように、モールドフラン
ジ11におけるパイプ12の図中上下左右の位置には、
インサートナット14がインサートされており、このイ
ンサートナット14の一方の面の中央から軸方向に向か
って延びるネジ穴に、ネジ16及びボルト15a、15
bが螺合により締結されている。尚、符号30は、パイ
プ12とモールドフランジ11との間をシールするOリ
ングを示している。
【0026】フロントケーシング部3又はリアケーシン
グ部4、5とキャンドモータ部2とは、各インサートナ
ット14に螺合されるボルト15a、15bによって連
結されており、ベアリング10を収容したベアリングハ
ウジング29とモールドフランジ11とは、各インサー
トナット14に螺合されるネジ16によって連結されて
いる。
【0027】フロントケーシング部3及びリアケーシン
グ部5はキャンドモータ部2の前面及び後面に連結さ
れ、キャンドモータ部2の両端面から突出したインペラ
13を回転自在に収容するとともに、該インペラ13の
配設部からパイプ12の先端開口まで延びる流路22、
23が形成される一方、フランジ18、リアケーシング
部4まで延びる流路24、25がそれぞれ形成されてい
る。
【0028】リアケーシング部4には、リアケーシング
部5の流路25と連続しフランジ18まで延びる流路2
6が形成されている。フランジ18は、フロントケーシ
ング部3の前面、及びリアケーシング部4の後面に六角
ボルト17によって固定され、流路24及び26と連続
して誘導モータ型キャンドモータポンプ1の外部に開口
した吸入口27、吐出口28が形成されている。
【0029】かかる構成により、前面側のインペラ13
の回転作用により吸入口27から流入した取扱液等の流
体は、流路24、22、パイプ12を通過した後、流路
23、25、26を通って吐出口28から排出され(排
出の際は、後側のインペラ13の回転作用による)、固
定子7への通電により高熱となりやすいキャンドモータ
部2内を冷却し得るよう構成されている。
【0030】尚、キャンドモータ部2は、その内部に発
熱源である固定子7があることを考慮すれば、例えばポ
リジシクロペンタジエン、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート、ポリイ
ミド、ポリイソシアネート等の熱硬化性樹脂で成形する
のが好ましいが、熱可塑性樹脂であっても例えばPP
E,PPS,PEEK等であって、耐液性、耐熱性等必
要な仕様に合致するものであってもよい。
【0031】ここで本発明に係るキャン(ステータライ
ナ)6は、図1に示すように、エポキシ樹脂をマトリッ
クスとしたシート状のFRP(Fiber-Reinforced-Plast
ics、繊維強化プラスチック)及びガス密性の樹脂を積
層して円筒状に形成されたものである。
【0032】FRPとは、GF(ガラス繊維)やCF
(カーボン繊維)を含有したプラスチックをいい、エポ
キシ樹脂に代えて他の熱硬化性樹脂としてもよく、例え
ば、フェノール樹脂や不飽和ポリエステル樹脂が汎用性
の高さ、耐熱性の観点から好ましい。その他、熱硬化性
樹脂でなく熱可塑性樹脂としてもよく、例えば耐薬品性
や耐熱性の観点からPEEK(ポリエーテルエーテルケ
トン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)が好ま
しい。
【0033】尚、本実施形態に適用されるFRPは、ガ
ラス繊維やカーボン繊維等を編み込んだものに樹脂を含
浸させたプリプレグシートとして用いられるのが好まし
く、これら繊維は、強度上、短繊維(ステープル)より
長繊維(フィラメント)が好ましい。
【0034】図1(b)に示すように、キャン(ステー
タライナ)6は、上記の如きFRPのプリプレグシート
を同心円状又は渦巻き状に積層した第1繊維強化プラス
チック層6a及び第2繊維強化プラスチック層6cと、
これら積層間に介装された遮断層6bとから構成され、
キャンドモータ部2の固定子7と回転子8との間に配設
されたものである。
【0035】また、第1繊維強化プラスチック層6aと
第2繊維強化プラスチック層6cとは、同種のFRP
(両者ともガラス繊維又はカーボン繊維を含んだ樹脂
等)としてもよいし、異種のFRP(一方がガラス繊維
を含み他方がカーボン樹脂を含む樹脂等)としてもよ
い。
【0036】遮断層6bは、シート状のガス密性の樹脂
を第1繊維強化プラスチック層6aと第2繊維強化プラ
スチック層6cとの間に、これらと同心円状又は渦巻き
状に積層したものであり、例えば塩化ビニリデン、ナイ
ロン/ポリエチレン(ナイロン表面上にポリエチレンを
貼り合わせたもの)等、耐ガス透過性、且つ耐透湿性の
材料から成るものである。
【0037】尚、ガス透過性のみが良好な材料を遮断層
として用いてもよく、この場合、PET、ナイロン6、
セロハン、塩化ビニリデン+PEから成るものとしても
よい。
【0038】ここで、ガス密性が良好であるか否かの判
断基準の代表例として、酸素透過度を基準としたガス透
過性が低いか否かで判断する手法が挙げられる。このよ
うな手法によってガス密性を特定するなら、例えば、酸
素透過度が20[cc.mm/m2.24hr.atm](フィルム厚1m
m、25℃条件下)以下のものを本発明に適用するのが
好ましい。
【0039】即ち、図9に示すように、代表的な材質に
おける各ポリマー毎の厚み1mmあたりの酸素透過度に
ついて比較すると、一般的にガス密性が良好といわれる
PET、ナイロン6、セロハン(防湿セロハンを含まな
い。以下同じ)、塩化ビニリデン+PEの酸素透過度
が、それぞれ1.44、0.48、1.4〜2.8、
0.22であるのに対し、一般的にガス密性があまりよ
くないといわれる低密度ポリエチレン、高密度ポリエチ
レン、無延伸PP、延伸PPの酸素透過性が、それぞれ
180、60,80,40である。本発明におけるガス
密性(酸素透過度=20)は、ガス密性良好といわれる
ポリマのうち一番悪いもの(セロハンの2.8)と、ガ
ス密性があまりよくないといわれるポリマのうち一番良
いもの(延伸PPの40)との略中間値である。尚、同
図中の値は、厚さを1mmにそれぞれ換算した換算値で
ある。
【0040】更に、透湿度については、例えば図10で
示すような値(1mmあたりの換算値)となり、透湿性
が良好といわれるポリマのうち一番悪いもの(低密度P
Eの0.56)と、透湿性があまりよくないといわれる
ポリマのうち一番良いもの(ナイロン6の3)との略中
間値である2[g/m2.24hr.atm]が好ましい。従って、本
発明に適用されるべき透湿性が低い材質として、2[g/m
2.24hr.atm]以下の透湿度のものとするのが好ましい。
【0041】また、ガスの実透過量(例えば、上記した
酸素の所定環境下での実透過量)や実透湿量について
は、各ポリマーの厚みによって変動するが、キャン(ス
テータライナ)の必要強度やキャンドモータの設計上の
都合、FRPの種類(ガラス繊維含浸或いは炭素繊維含
浸等の違い)等により、実用上、ある程度の範囲内に特
定されてしまうので、この範囲内でガス透過性が低いも
の、或いは透湿性が低いものをガス密性を有するもの、
或いは耐透湿性を有するものと定義する。
【0042】尚、上記材料の他、後工程における加熱に
より第1繊維強化プラスチック層6a及び第2繊維強化
プラスチック層6cと固く結合して剥離することがなけ
れば熱硬化性樹脂を遮断層としてもよい。
【0043】次に、上記キャン(ステータライナ)6の
製造方法について説明する。まず、所定径(ステータラ
イナとして要求される内径)の丸棒状ロール材32にF
RPのプリプレグシートを図2(a)の如く巻き付け、
第1繊維強化プラスチック層6aを得る(同図
(b))。尚、丸棒状ロール材32には、プリプレグシ
ートを巻き付けるに先立ち離型剤を塗布しておくのが好
ましいが、丸棒状ロール剤32自体を離型作用の材質の
ものとしてもよい。
【0044】そして、当該第1繊維強化プラスチック層
6a上から、シート状のガス密性の樹脂をガス密性を保
持するのに十分な厚さまで同図(c)の如く巻き付け、
遮断層6bを得る(同図(d)。その後、更にFRPの
プリプレグシートを同図(e)の如く巻き付け、積層体
Pを得る(同図(f)。
【0045】以上で積層体Pを得るための積層工程が終
了し、次に積層体Pにおける各層を溶着して一体化する
ための固化工程を行う。この固化工程では、積層体Pの
外周面を押圧手段で加圧した状態で、加熱炉で硬化温度
(エポキシ樹脂であれば、130℃程度)まで加熱し、
焼き固める。
【0046】尚、加圧及び加熱をオートクレーブ内で行
うこともでき、この場合、オートクレーブ内に積層体P
を配置した状態で所定圧まで加圧しつつ所定温度まで加
熱することにより、加圧と加熱工程を一工程とすること
ができる。
【0047】これにより、第1繊維強化プラスチック層
6a及び第2繊維強化プラスチック層6cのFRPは、
発熱硬化反応によって3次元網目構造を形成して固化す
るとともに、熱可塑性樹脂の遮断層6bと第1繊維強化
プラスチック層6a及び第2繊維強化プラスチック層6
cと相溶し、全体が一体化する。そして、丸棒状ロール
材32を抜き取って、キャン(ステータライナ)6の形
成が完了する。
【0048】上記キャンドモータにおけるキャン(ステ
ータライナ)6によれば、以下の如き効果を奏すること
ができる。 (1)キャン(ステータライナ)6が主にFRPから成
るので、キャンドモータ部2に配設した場合、内圧に耐
え得る十分な強度を得ることができるとともに、キャン
ロスをなくすことができ、モータ効率を向上させること
ができる。また、FRPは電気絶縁物であるため、発生
する磁気振動によって固定子7のコイルとキャン(ステ
ータライナ)6とが接触した場合であっても、ショート
がおきることがない。
【0049】(2)FRPから成る層間にガス密性の樹
脂から成る遮断層6bを介装したので、キャンドモータ
部2に配設した場合、固定子7と回転子8との間のガス
密性を向上させることができる。
【0050】即ち、遮断層6bがなくFRPから成る層
のみでキャン(ステータライナ)6を成形した場合、F
RPに含まれる繊維を伝って、誘導モータ型キャンドモ
ータポンプ1内を通過する取扱液のガス化したものが固
定子7側に漏洩したり、固定子7内のワニス又はポッテ
ィング材からの揮発成分が回転子8側に漏洩するおそれ
があるが、本実施形態によれば、液体やガスの伝達経路
を遮断層6bで遮断して上記漏洩を防止することができ
る。
【0051】(3)キャン(ステータライナ)6の外周
面が高剛性のFRPなので、該外周面の切削加工(仕上
げ加工)を容易とすることができ、公差等級8以下を実
現することができる。(4)FRPのシートワインディ
ング法により成形されるため、樹脂製のキャン(ステー
タライナ)6の強度を向上させつつ薄肉(厚さ1mm以
下)とすることができ、エアギャップを抑制することが
できる。
【0052】(5)塩水や弱酸などに対し金属材料より
強い性向を示す場合があり、耐液性に優れている。
(6)FRPのマトリックスを熱硬化性樹脂又は耐熱性
熱可塑性樹脂を使用すれば、十分な耐熱性を確保するこ
とができる。
【0053】以上、本実施形態について説明したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、例えば回転子側
キャン(ロータスリーブ)に適用してもよい。また、遮
断層6bは、キャン(ステータライナ)6内に少なくと
も1層設けられていればよいが、2層以上の複数の遮断
層6bを設けてもよい。
【0054】尚、本実施形態に係るキャンを具備したキ
ャンドモータが適用されるポンプは、他の形態のキャン
ドモータポンプであってもよく、例えば図8(a)に示
すような、キャンドモータ部2’の前方のみに流体の吸
入口27及び吐出口28を具備したケーシング3’が取
り付けられるとともに、固定子7が樹脂モールドされて
おらず、単に金属製の筐体内に固定された通常のタイプ
のキャンドモータポンプに適用してもよい。この場合、
同図(b)に示すようにキャン6の両端をガスケット3
3でシールするよう構成するのが好ましい。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、キャンを樹脂により成
形することにより、キャンロスをなくしてモータ効率を
向上するとともに、プリプレグシートのシートワインデ
ィング製法によることで強度を向上させることができ、
且つ、固定子と回転子との間のガス密性又は耐透湿性を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に係るキャンドモータにおけるキ
ャンの外観図、(b)(a)中のA部拡大図
【図2】本発明に係るキャンドモータにおけるキャンの
製造工程を示す模式図
【図3】本発明が適用される誘導モータ型キャンドモー
タポンプを示す外観図
【図4】図3中のIV−IV線断面図
【図5】(a)本発明が適用される誘導モータ型キャン
ドモータポンプにおけるキャンドモータ部の正面図、
(b)(a)中のX部拡大図
【図6】樹脂製のキャンと金属製のキャンとの電源周波
数−キャンロス特性を比較したグラフ
【図7】(a)FRP層中の繊維をガスが伝達するメカ
ニズムを示す模式図、(b)(a)中のY部拡大図
【図8】(a)他のキャンドモータポンプに適用した場
合を示す一部断面図、(b)(a)中のZ部拡大図、
(c)(a)中のZ’部拡大図
【図9】代表的な各ポリマーの酸素透過度を比較するた
めの比較表
【図10】代表的な各ポリマーの透湿度を比較するため
の比較表
【符号の説明】
1…誘導モータ型キャンドモータポンプ 2…キャンドモータ部 3…フロントケーシング部 4,5…リアケーシング部 6…キャン(ステータライナ) 6a…第1繊維強化プラスチック層 6b…遮断層 6c…第2繊維強化プラスチック層 7…固定子 8…回転子 9…シャフト 10…ベアリング 11…モールドフランジ(端面板) 12…パイプ 13…インペラ 14…インサートナット 15a、15b、15c、15d…ボルト 16…ネジ 17…六角ボルト 18…フランジ 19…スラストワッシャ 20…ジャンクションボックス 20a…端子 21…キー 22〜26…流路 27…吸入口 28…吐出口 29…ベアリングハウジング 30…Oリング 31…シャフトスリーブ 32…丸棒状ロール材 33…ガスケット P…積層体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H022 AA01 BA07 CA50 CA51 CA54 DA12 DA19 5H605 AA17 BB05 CC01 CC02 DD37 FF06 FF12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャンドモータの固定子と回転子との間に
    配設されたキャンであって、 シート状の繊維強化プラスチックを同心円状又は渦巻き
    状に積層して成るとともに、積層間に、ガス密性の樹脂
    から成る遮断層を介装したことを特徴とするキャンドモ
    ータにおけるキャン。
  2. 【請求項2】前記遮断層は、ガス密性に加えて耐透湿性
    を有する樹脂から成ることを特徴とする請求項1記載の
    キャンドモータにおけるキャン。
  3. 【請求項3】前記繊維強化プラスチックに含まれる繊維
    は、ガラス繊維又はカーボン繊維であることを特徴とす
    る請求項1又は請求項2記載のキャンドモータにおける
    キャン。
  4. 【請求項4】前記繊維強化プラスチックを所定径の丸棒
    状ロール材に巻き付けて第1繊維強化プラスチック層を
    形成した後、該第1繊維強化プラスチック層上に前記遮
    断層を形成し、該遮断層上に更に繊維強化プラスチック
    を巻き付けて第2繊維強化プラスチック層を形成して積
    層体を得る積層工程と、 該積層工程の後、前記積層体を加圧、加熱することによ
    り焼き固める固化工程と、を有することを特徴とする請
    求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のキャンドモー
    タにおけるキャンの製造方法。
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