JP3838107B2 - セパレータ、セパレータの製造方法および固体高分子型燃料電池 - Google Patents
セパレータ、セパレータの製造方法および固体高分子型燃料電池 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質膜の両側に多孔質の電極を介して配置されセパレータ、セパレータの製造方法および固体高分子型燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の固体高分子型燃料電池としては、図11〜図13に示すように、電解質膜1の両側に電極2を介してセパレータ3を設けたものを単位セル4とし、この単位セル4を複数積層させたスタック構造のものが知られている。
上記セパレータ3は、導電性の材料で板状に形成されたものであり、その電解質膜1側の面にはガスの流路となる溝3aが形成されている。そして、アノード側のセパレータ3の溝3aには、燃料ガスとしての例えば水素が供給され、カソード側のセパレータ3の溝3aには、酸化剤ガスとして例えば酸素あるいは空気が供給されるようになっている。
【0003】
上記固体高分子型燃料電池においては、アノード側で水素が酸化されてプロトン(H+ )と電子(e- )が生成される。すなわち、
H2 →2H+ +2e-
の電池反応が生じる。プロトンは、水分子(H2 O)を伴って電解質膜1中をカソード側に移動し、外部回路から供給される電子とともに酸素の還元に使われる。すなわち、
1/2O2 +2H+ +2e- →H2 O
の電池反応が生じる。そして、アノード側の電子がカソード側に流れることから、これを電気エネルギとして使うことができる。
【0004】
電極2は、ガスや水の通過が可能な多孔質のもので構成されており、上記電池反応は主に電極2と電解質膜1との境界部で発生することになる。
【0005】
また、セパレータ3は、その溝3aを蛇行して形成することによって、ガスの流速を速めるとともに、電極2にガスを均一に供給するようになっており、これにより燃料電池の性能の向上を図っている。また、燃料電池の性能は、電解質膜1の単位表面積当たりの電流量、すなわち電流密度(mA/cm2 )によって評価することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記固体高分子型燃料電池においては、いまだ開発途上にあることから、自動車等への実用化を目指して、各社がしのぎを削っている状態にある。本発明者等も、性能の向上を図るべく鋭意研究を重ね、その結果、セパレータ3の溝3aに突部を設けることによって、電流密度の向上を図ることができることを見出し、本発明に至ったものである。
【0007】
本発明は、上記研究に基づいてなされたものであり、電流密度の向上を図ることのできるセパレータ、そのセパレータの製造方法およびそのセパレータを備えた固体高分子型燃料電池を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のセパレータは、電解質膜の両側に電極を介して配置され、上記電極側にガスの流路となる溝が形成された板状のセパレータであって、上記溝には、底面から上記流路を狭める方向に突出するとともに、上記溝の各側面から当該溝の幅方向の中央に向かって、上記ガスが流れる方向もしくは逆方向に斜めに延在してその中央部で合致する形状の突部、または上記溝の各側面から当該溝の幅方向の中央に向かって、ガスが流れる方向もしくは逆方向に斜めに延在する突部が複数設けられていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載のセパレータは、請求項1に記載の発明において、上記突部が、上記溝の深さの2/10〜7/10の範囲の高さを有するとともに、上記溝の延在する方向に0.2〜4mmのピッチで形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載のセパレータは、請求項1または2に記載の発明において、材質がカーボンであることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載のセパレータは、請求項1または2に記載の発明において、材質が鉄基合金またはニッケル基合金である母材に、金、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、タルタル、ニッケルのうち一種または二種以上の金属のメッキを施したことを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載のセパレータの製造方法は、一対のロータリダイの間に板状の素材を通してプレスすることにより、請求項1〜4の何れかに記載のセパレータにおける突部を有する溝を形成することを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載のセパレータの製造方法は、請求項5に記載の発明において、一対のロータリダイの間に板状の素材を通すことにより、請求項1〜4の何れかに記載のセパレータの輪郭を形成することを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1〜4の何れかに記載のセパレータを備えていることを特徴としている。
【0015】
請求項1〜4、7に記載の発明においては、ガスの流路を狭める方向に突出する突部を溝に設けているので、ガスが撹拌されるとともに、突部で圧力が上昇し電解質膜に向かう流れが生じることになる。ここで、上記突部が、溝の各側面から溝の幅方向の中央に向かって、ガスが流れる方向あるいは逆方向に斜めに延在し、その中央部で合致する形状のもので形成されている場合には、ガスが突部によって撹拌されるとともに、溝の中央部あるいは各側面側に集められて電解質膜側に勢いよく押し出されることになる。また、上記突部が、溝の各側面から溝の幅方向の中央に向かって、ガスが流れる方向あるいは逆方向に斜めに延在するものである場合には、ガスが突部によって撹拌されるとともに、一方の側面側から他方の側面側へ急激に変換されることになるので、その方向変換の際にガスが電解質膜側に勢いよく押し出されることになる。この結果、反応前のガスが電極と電解質膜の界面に接触する機会が増大することになる。このため、一方のセパレータの溝に供給するガスとして例えば水素を用い、他方のセパレータの溝に供給するガスとして例えば空気を用いた場合には、一方の電極側において水素のプロトンおよび電子の発生量が増大するとともに、電解質膜内を通過するプロトンの量が増加する。そして、他方の電極側においては、一方の電極側から移動してきたプロトンに対して酸素が反応する機会が増大することになる。
【0016】
したがって、一方の電極から他方の電極に流れる電子の量が増大することになるので、電流密度の向上を図ることができる。そして、この結果、固体高分子型燃料電池の小型軽量化を図ることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明においては、上記突部を、上記溝の深さの2/10〜7/10の範囲の高さであって、かつ上記溝の延在する方向に0.2〜4mmのピッチで形成しているので、ガスの流れを電解質膜側に向かう流れに変換する効果およびガスを撹拌する効果を確実に得ることができる。
【0018】
なお、溝の幅とピッチは、原理的には狭ければ狭いほど電流密度を向上する上で好ましい。しかし、溝の幅を上述のように0.2〜2mmに設定したのは、0.2mm未満では精度よく加工することが困難になってくるとともに、その精度の悪化等によって各溝間のガス流量のばらつきが大きくなるからであり、2mmを超えると、セパレータによる集電特性が悪化し電流密度が低下してしまうからである。そして、このことを考慮すると、溝の幅は、0.4〜0.9mmに設定することがより望ましい。
【0019】
一方、溝のピッチを上述のように0.4〜4mmに設定したのは、0.4mm未満では隣接する溝の影響を受けるため、各溝を精度よく加工することが困難になってくるとともに、その精度の悪化等によって各溝間のガス流量のばらつきが大きくなるからであり、4mmを超えると、電解質膜の表面の全体にガスが行き渡らなくなり、電流密度が低下してしまうからである。そして、このことを考慮すると、溝のピッチは、0.8〜2mmに設定することがより望ましい。
【0020】
請求項5および6に記載の発明においては、一対のロータリダイの間に板状の素材を通してプレスすることによって、突部付きの溝を備えたセパレータを連続的にかつ簡単に製造することができる。したがって、セパレータの製造コストの低減を図ることができるので、固体高分子型燃料電池のコストの低減を図ることができる。
さらに、請求項6に記載の発明によれば、一対のロータリダイによってセパレータの輪郭をも簡単に成形することができるので、当該セパレータの全体を簡単に製造することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、従来例で示した構成要素と共通する要素には同一の符号を付しその説明を簡略化する。
【0022】
図1は、固体高分子型燃料電池における単位セル4の要部断面図を示したものであり、図2はセパレータ3の要部斜視図、図3は同セパレータ3の要部平面図、図4は図3のIV−IV線に沿う断面図を示している。
単位セル4は、その全体を図示したものではないが、四角形状に形成された電解質膜1、電極2およびセパレータ3、3を積層したもので構成されている。
【0023】
セパレータ3は、カーボン、鉄基合金、ニッケル基合金等の導電性を有する材料で板状に形成されたものである。なお、この実施の形態および後述する実施例ではセパレータ3をステンレスの板で構成している。また、溝3aは、図示を省略するが、電解質膜1を向く面の全体に行き渡るように複数回にわたって蛇行するように形成されており、その隣接するもの同士が平行に延在している。そして、各溝3aは、断面が四角形状に形成されており、その底面3bには、電解質膜1の表面に向けて三角形状に突出する突部3cが形成されている。
【0024】
突部3cは、溝3aの延在する方向に対して直交する方向に延在し、底面3bから二等辺三角形状に突出しているとともに、溝3aの側面3eからも一体的に突出した形状になっている。この突部3cの底面3bからの高さは、溝3aの深さの2/10〜7/10の範囲に設定されている。
また、溝3aの幅Dは、0.2〜2mmに設定され、各溝3aの隣接方向のピッチPは、0.4〜4mmに設定されている。さらに、突部3cは、溝3aの延在する方向に0.2〜4mmのピッチで形成されている。
【0025】
上記構造のセパレータ3は、図5に示すセパレータ製造装置5を用いて行う製造方法により製造されるようになっている。すなわち、セパレータ製造装置5は、一対のロータリダイ61、62の間にステンレス製の板状の素材Wを通してプレスすることにより、上記突部3cを有するる溝3aを形成するとともに、冷却水の通過に要する孔3d等を形成し、かつ所定の寸法に素材Wを切断してセパレータ3を製造するようになっている。なお、図5に示すセパレータ製造装置5は、セパレータ3の輪郭を形成するようにはなっていないが、ロータリダイ61、62の切断によってセパレータ3の輪郭を形成するように構成したものであってもよい。
【0026】
また、燃料ガスとしては、水素を用い、酸化剤ガスとしては、空気を用いるようになっている。
【0027】
上記のように構成された固体高分子型燃料電池においては、突部3cが溝3aの底面3bから突出した形状になっているので、溝3a内を流れる水素や空気は突部3cに当たるたびに圧力が上昇するとともに、電解質膜1の表面側に向かう流れに変換されることになる。しかも、突部3cによって流れが乱れ、撹拌された状態になるので、反応前の水素や空気が電極2と電解質膜1の界面に接触する機会が増大することになる。
【0028】
このため、電解質膜1の一方の側であるアノード側では、水素のプロトンおよび電子の発生量が増大し、電解質膜1内を通過するプロトンの量が増加することになる。また、カソード側においては、アノード側から移動してきたプロトンに向かう酸素の量が増大することになる。
【0029】
したがって、アノード側の電極2から例えば外部の負荷を通ってカソード側の電極2に流れる電子の量が増大することになるので、電流密度の向上を図ることができる。この結果、固体高分子型燃料電池の小型軽量化を図ることができる。
【0030】
また、溝3aの幅Dを0.2〜2mmに設定し、溝3aの隣接方向のピッチPを0.4〜4mmに設定しているので、一定の流量の水素や空気を電解質膜1の表面の全体に均一に供給することができる。したがって、この点からも電流密度の向上を図ることができる。
【0031】
なお、溝3aの幅DとピッチPは、原理的には狭ければ狭いほど電流密度を向上させる上で好ましい。しかし、溝3aの幅Dを0.2〜2mmに設定したのは、0.2mm未満では精度よく加工することが困難になってくるとともに、その精度の悪化等によって各溝3a間の水素や空気の流量のばらつきが大きくなるからであり、2mmを超えると、セパレータ3による集電特性が悪化し電流密度が低下してしまうからである。そして、このことを考慮すると、溝3aの幅Dは、0.4〜0.9mmに設定することがより望ましい。
【0032】
一方、溝3aのピッチPを0.4〜4mmに設定したのは、0.4mm未満では隣接する溝3aの加工の影響を受けるために、各溝3aを精度よく加工することが困難になってくるとともに、その精度の悪化等によって各溝3a間の水素や空気の流量のばらつきが大きくなるからであり、4mmを超えると、電解質膜1の表面の全体にガスが行き渡らなくなり、電流密度が低下してしまうからである。そして、このことを考慮すると、溝3aのピッチは、0.8〜2mmに設定することがより望ましい。
【0033】
また、突部3cの高さを溝3aの深さの2/10〜7/10の範囲に設定したのは、2/10未満になると、水素や空気の流れを電解質膜1側に向かう流れに変換する効果が少なくなるとともに、水素や空気を撹拌する効果も少なくなるからであり、7/10を超えると、溝3aが絞られた状態になり、水素や空気が流れる流量が少なくなってしまうからである。したがって、この点を考慮すると、突部3cの高さは、溝3aの深さの3/10〜6/10に設定することがより好ましい。因みに、この実施の形態では、5/10に設定した例を示している。
【0034】
一方、一対のロータリダイ61、62の間に素材Wを通すことによって、突部3c付きの溝3aを備えたセパレータ3を製造することができることから、このセパレータ3を連続的にかつ簡単に製造することができるという利点がある。したがって、セパレータ3の製造コストの低減を図ることができるとともに、固体高分子型燃料電池の製造コストの低減を図ることができる。
【0035】
なお、上記実施の形態においては、ステンレス製の素材Wを一対のロータリダイ61、62で加工する例を示したが、板状に形成されたカーボンの素材Wに対しても同様にして加工することができる。
また、ステンレス製のセパレータ3の場合には、その母材に金、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、タルタル、ニッケルのうち一種または二種以上の金属のメッキを施すことが好ましい。
【0036】
また、ステンレス以外の鉄基合金またはニッケル基合金によってセパレータ3を構成してもよい。この場合も、その母材に、金、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、タルタル、ニッケルのうち一種または二種以上の金属のメッキを施すことが好ましい。
【0037】
次に、この発明の実施例を説明する。図6は、下記に示す実施例のセパレータを使用した固体高分子型燃料電池と、比較例のセパレータを使用した固体高分子型燃料電池とで、発電試験を行うことによって得た電流−電圧特性を示す実験結果である。
【0038】
▲1▼実施例
実施例は、図1〜図5に示す構成のものを基本構成とするものであり、その詳細は以下の通りである。
セパレータ3は、厚さ0.8mmのステンレス板に、上記セパレータ製造装置5を用いて突部3c付きの溝3aを形成した母材に、ニッケル下地メッキを施した後、金メッキを施したものである。
溝3aは、幅Dが0.6mmで、ピッチPが1.6mmである。
突部3cは、底辺の幅が1.0mm、高さが0.2mm、溝3aの延在方向のピッチが1.2mmである
電解質膜1は、厚さが170μmのパーフルオロ膜を使用した。
電極2は、白金を担持した撥水性カーボンペーパを用い、上記電解質膜1の両面に加圧圧着した。
そして、電解質膜1の両側の電極2にそれぞれセパレータ3を重ね合わせることにより、固体高分子型燃料電池の単位セル4を構成した。
【0039】
▲2▼比較例
比較例の詳細は以下の通りである。
セパレータは、厚さ2mmのステンレス板に、突部のない溝を機械加工により形成した母材に、ニッケル下地メッキを施した後、金メッキを施したものである。
溝は、幅が2mmで、ピッチが4mmである。
電解質膜および電極は、上記実施例で示した電解質膜1および電極2と同一である。
そして、上記実施例と同様にして、固体高分子型燃料電池の単位セルを構成した。
【0040】
▲3▼実験条件
燃料ガス:水素
酸化剤ガス:空気
【0041】
▲4▼考察
図6に示すように、本実施例の固体高分子型燃料電池は、比較例に比べて電流密度の高いものとなった。この原因は、本実施例では溝3aに突部3cを設けているのに対して比較例では突部を設けていないこと、本実施例の溝3aの幅DおよびピッチPが比較例より狭められていることが考えられる。
【0042】
また、一対のロータリダイ61、62でセパレータ3をプレス加工する製造方法を採用した場合には、機械加工でセパレータを形成する場合に比べて、溝3a内に突部3cを容易に加工することができるとともに、溝3aの幅DおよびピッチPをより狭くかつ精度良く加工することができることがわかった。したがって、上記電流密度が向上した原因をロータリダイ61、62の加工によるものということもできる。
【0043】
なお、上記実施の形態では、突部3cを溝3aの延在する方向に対して直交する方向に延在するものを示したが、図7〜図10に示すように形成された突部3cを用いてもよい。
【0044】
すなわち、図7および図8に示す突部3cは、溝3aの各側面3e、3eから溝3aの幅方向の中央に向かって、ガスが流れる方向f1、あるいは逆方向f2に斜めに延在し、その中央部で合致する形状のもので形成されている。このように形成したセパレータ3にあっては、水素や空気等のガスが突部3cによって撹拌されるとともに、溝3aの中央部あるいは各側面3e側に集められて電解質膜1側に勢いよく押し出されることになるので、反応前のガスが電解質膜1の表面に接触する機会が増大することになる。したがって、電流密度の向上を図ることができる。
【0045】
また、図9および図10に示す突部3cは、溝3aの各側面3e、3eから溝3aの幅方向の中央に向かって、ガスが流れる方向f1、あるいは逆方向f2に斜めに延在するものを交互に位置を変えて設けたものである。このように形成したものにあっては、水素や空気等のガスが突部3cによって撹拌されるとともに、所定の突部3cによって一方の側面3e側から他方の側面3e側へ変換されたガスの流れが次の突部3cによって他方の側面3e側から一方の側面3e側へ急激に変換されることになるので、その方向変換の際にガスが電解質膜1側に勢いよく押し出されることになる。したがって、この場合も電流密度の向上を図ることができる。
【0046】
また、上記突部3cは、上述した例ではいずれも三角形状に突出するものを示したが、この三角形状以外に、円弧状等の曲面状に盛り上がるように突出するもの等であってもよい。しかも、突部3cは、底面3bおよび側面3eから突出する形状のものを示したが、この突部としては、底面3bや、側面3eのみから突出するように形成したものであってもよい。その場合も、三角形状に突出するものでもよいし、円弧状等の曲面状に盛り上がるように突出するもの等であってもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜4、7に記載の発明によれば、ガスの流路を狭める方向に突出するとともに、溝の各側面から当該溝の幅方向の中央に向かって、ガスが流れる方向もしくは逆方向に斜めに延在してその中央部で合致する形状の突部、または上記溝の各側面から当該溝の幅方向の中央に向かって、ガスが流れる方向もしくは逆方向に斜めに延在する突部を溝に複数設けているので、ガスが撹拌されるとともに、突部によって圧力が上昇し電解質膜に向かう流れが生じることになり、この結果、反応前のガスが電解質膜の表面に接触する機会が増大することになる。したがって、一方の電極から他方の電極に流れる電子の量が増大することになるので、電流密度の向上を図ることができる。そして、この結果、固体高分子型燃料電池の小型軽量化を図ることができる。
【0048】
請求項2に記載の発明によれば、上記突部を、上記溝の深さの2/10〜7/10の範囲の高さであって、かつ上記溝の延在する方向に0.2〜4mmのピッチで形成しているので、ガスの流れを電解質膜側に向かう流れに変換する効果およびガスを撹拌する効果を確実に得ることができる。したがって、電流密度の向上を図ることができる。
【0049】
請求項5および6に記載の発明によれば、一対のロータリダイの間に板状の素材を通してプレスすることによって、突部付きの溝を備えたセパレータを連続的にかつ簡単に製造することができる。したがって、セパレータの製造コストの低減を図ることができるので、固体高分子型燃料電池のコストの低減を図ることができる。
さらに、請求項6に記載の発明によれば、一対のロータリダイによってセパレータの輪郭をも形成することができるので、当該セパレータの全体を簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態としてのセパレータを備えた固体高分子型燃料電池の単位セルを示す図であって、セパレータの溝に沿う方向の要部断面図である。
【図2】同セパレータの要部斜視図である。
【図3】同セパレータの要部平面図である。
【図4】同セパレータを示す図であって、図3のIV−IV線に沿う方向の断面図である。
【図5】同セパレータの製造方法を実施するためのセパレータ製造装置を示す概略斜視図である。
【図6】この発明の実施例としてのセパレータを備えた固体高分子型燃料電池で実験した結果を示すグラフである。
【図7】上記一実施形態として示したセパレータの他の例を示す要部平面図である。
【図8】同セパレータを示す図であって、図7のVIII−VIII線に沿う方向の断面図である。
【図9】上記一実施形態として示したセパレータのさらに他の例を示す要部平面図である。
【図10】同セパレータを示す図であって、図9のX−X線に沿う方向の断面図である。
【図11】従来例のセパレータを備えた固体高分子型燃料電池の単位セルを示す図であって、セパレータの溝に直交する方向の要部断面図である。
【図12】同セパレータの要部斜視図である。
【図13】同セパレータを備えた固体高分子型燃料電池の単位セルを示す図であって、セパレータの溝に沿う方向の要部断面図である。
【符号の説明】
1 電解質膜
2 電極
3 セパレータ
3a 溝
3c 突部
61、62 ロータリダイ
D 幅
P ピッチ
W 素材
Claims (7)
- 電解質膜の両側に電極を介して配置され、上記電極側にガスの流路となる溝が形成された板状のセパレータであって、
上記溝には、底面から上記流路を狭める方向に突出するとともに、上記溝の各側面から当該溝の幅方向の中央に向かって、上記ガスが流れる方向もしくは逆方向に斜めに延在してその中央部で合致する形状の突部、または上記溝の各側面から当該溝の幅方向の中央に向かって、ガスが流れる方向もしくは逆方向に斜めに延在する突部が複数設けられていることを特徴とするセパレータ。 - 上記突部は、上記溝の深さの2/10〜7/10の範囲の高さを有するとともに、上記溝の延在する方向に0.2〜4mmのピッチで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
- 材質がカーボンであることを特徴とする請求項1または2に記載のセパレータ。
- 材質が鉄基合金またはニッケル基合金である母材に、金、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、タルタル、ニッケルのうち一種または二種以上の金属のメッキを施したことを特徴とする請求項1または2に記載のセパレータ。
- 一対のロータリダイの間に板状の素材を通してプレスすることにより、請求項1〜4の何れかに記載のセパレータにおける突部を有する溝を形成することを特徴とするセパレータの製造方法。
- 一対のロータリダイの間に板状の素材を通すことにより、請求項1〜4の何れかに記載のセパレータの輪郭を形成することを特徴とする請求項5に記載のセパレータの製造方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載のセパレータを備えていることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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