JP3837743B2 - テレビ受像機およびcrt表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フライバックトランスに巻回され、CRTのアノード用の高圧を発生する二次コイルの接地側端子と所定電圧の電源経路との間に接続されたアノード電流検出用抵抗を備えたテレビ受像機およびCRT表示装置に係り、より詳細には、高圧電圧の経路が未接続であるときには高圧電圧の発生を停止させるテレビ受像機およびCRT表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テレビ受像機の生産ラインでは、ラインの工程の終わり近くにおいて、フライバックトランスが搭載された基板やCRT等の取り付けを完了したセットに商用電源を供給して動作させ、各種の検査を行うようになっている。一方、セットの側では、商用電源の供給が開始されると、高圧発生回路はアノード用の高圧電圧を発生し、出力する動作を行う(第1の従来技術とする)。
【0003】
また、偏向コイルのコネクタが未接続の場合には、水平偏向回路の動作や高圧発生回路の動作を停止させる従来技術が提案されている(第2の従来技術とする)。すなわち、この技術では、水平偏向回路の出力端子と偏向ヨークとの間の接続異常を検出するために異常電圧検出部を設けている。そして、異常電圧検出部が接続異常を検出したときには、水平発振部への電源の供給を停止することによって、水平偏向回路の動作と高圧発生回路の動作とを停止させている(段落0027)。あるいは、異常電圧検出部が接続異常を検出したときには、水平発振部と水平ドライブ回路との間に、異常電圧検出部からの信号を導くことによって、水平偏向回路の動作と高圧発生回路の動作とを停止させている(段落0028)。このため、偏向コイル用のコネクタが未接続の場合には、水平偏向回路の動作や高圧発生回路の動作が停止されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、以下に示す従来技術が提案されている(第3の従来技術とする)。すなわち、この技術では、高圧部分で放電が発生すると、水平発振パルスにノイズが重畳されるので、このノイズをツェナーダイオードを用いて切り出している。また、切り出したノイズ成分をダイオードでもって整流し、コンデンサに蓄積している。そして、コンデンサの端子間電圧が一定レベルに達したときには、放電と判断するようになっている。なお、この判断においては、一定時間以上放電が続いているのか、あるいは単なる瞬間的なノイズに過ぎないのかが区別される。そして、一定時間以上に渡って続くようなノイズである場合には、放電であるとして、電力の供給を停止させている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−247488号
【特許文献2】
特開平10−65931号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら第1の従来技術においては、アノードキャップがCRTのアノードに接続されていなかったり、あるいは、アノードグランドが接地されていなかったりした場合でも、高圧発生回路は高圧電圧を発生する。このため、アノードキャップやアノードグランドが未接続となっている場合では、予期しない箇所との間で放電することがあるので、セットが破壊される恐れが生じる。さらには、検査員の感電の恐れがあったりして、非常に危険である。そして、このような事態は、基板の修理時においても、同様に発生する。このため、高圧電圧の経路が未接続となっている場合では、未接続であることを検出して、高圧発生回路の動作を停止させる構成が望まれていた。
【0007】
第2の従来技術は、偏向コイルのコネクタが未接続となった場合には、水平回路の動作と高圧発生の動作とが停止されるようになっている。しかし、アノード用の高圧電圧の経路が未接続となった場合の動作については全く記載されていない。このため、第1の従来技術において望まれている目的、すなわち、高圧電圧の経路が未接続となっているときに、高圧発生回路の動作を停止させようとする場合では、適用することが困難な技術となっていた。
【0008】
また、第3の従来技術は、高圧の放電を検出するための構成となっている。このため、第1の従来技術において望まれている目的、すなわち、高圧電圧の経路が未接続となっているときに、高圧発生回路の動作を停止させようとする場合では、適用することが困難な技術となっていた。
【0009】
本発明は上記課題を解決するため創案されたものであって、その目的は、所定時間が経過したときにも、フライバックトランスの高圧用の二次コイルの接地側端子の電圧に下降が生じないときには、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であるとして、水平出力トランジスタの動作を停止させることにより、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であることによる感電や放電の発生を防止することのでき、且つ、前記接地側端子の電圧の下降を検出する手段の構成を簡単化することのでき、且つ、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であるときには、速いタイミングにおいて高圧電圧の発生を停止させることのでき、且つ、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であることの警告を行うことのできるCRT表示装置を提供することにある。
【0010】
また本発明の目的は、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であるときには、電源をオンして後、CRTの管面が明るくなると想定される時刻となるときにも、フライバックトランスの高圧用の二次コイルの接地側端子の電圧に下降が生じなくなることに着目し、電源オンに移行した後、所定時間が経過したときにも、前記接地側端子の電圧に下降が生じないときには、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であるとして、水平出力トランジスタの動作を停止させることにより、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であることによる感電や放電の発生を防止することのできるCRT表示装置を提供することにある。
【0011】
また上記目的に加え、前記接地側端子の電圧の下降を検出する手段の構成を簡単化することのできるCRT表示装置を提供することにある。
【0012】
また上記目的に加え、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であるときには、速いタイミングにおいて高圧電圧の発生を停止させることのできるCRT表示装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係るテレビ受像機は、装置本体の前面パネルに設けられ、電源のオンオフ等の情報が表示される表示部と、フライバックトランスに巻回され、CRTのアノード用の高圧電圧を発生する二次コイルの接地側端子と所定電圧の電源経路との間に接続されたアノード電流検出用抵抗とを備えたテレビ受像機に適用している。そして、前記接地側端子の電圧の下降を検出する下降検出手段と、電源オフ状態から電源オン状態に移行した後、CRTの管面が明るくなると想定される時刻が過ぎても下降検出手段が前記接地側端子の電圧の下降を検出しないときには水平出力トランジスタの動作を停止させるとともに表示部を用いて高圧電圧の経路の接続の異常を示す警告表示を行う制御手段とを備え、下降検出手段は、一方の端子が前記接地側端子に接続されたコンデンサと、前記コンデンサの他方の端子と論理回路用プラス電源との間に接続されたプルアップ抵抗とを備え、前記コンデンサの他方の端子から検出結果を出力するようになっている。
【0014】
すなわち、アノード用の高圧電圧の経路が正常に接続されている場合には、電源オフ状態から電源オン状態に移行すると、数秒の後、CRTの管面は暗い状態から明るい状態に移行する。そして、CRTの管面が暗い状態から明るい状態に移行するときには、接地側端子の電圧に下降が生じる。一方、アノード用の高圧電圧の経路が未接続の場合、CRTの管面が明るくなると想定される時刻になっても、CRTの管面は暗い状態から明るい状態に移行しない。このため、接地側端子の電圧には下降が生じない。つまり、下降検出手段の検出結果により、アノード用の高圧電圧の経路の接続が正常であるかどうかが示される。そして、アノード用の高圧電圧の経路の接続が正常でないときには、高圧電圧の発生が停止される。また、下降検出手段を2つの素子によって構成することができる。また、接地側端子の電圧は、CRTの管面が明るくなると想定される時刻Tまでには下降する。従って、接地側端子の電圧が下降したかどうかの検出が可能となるタイミングを過ぎた後では、直ちに、検出結果に対応した処理が行われる。また、アノード用の高圧電圧の経路が未接続の場合には、表示部において警告が表示される。
【0015】
また本発明に係るCRT表示装置は、フライバックトランスに巻回され、CRTのアノード用の高圧電圧を発生する二次コイルの接地側端子と所定電圧の電源経路との間に接続されたアノード電流検出用抵抗を備えたCRT表示装置に適用している。そして、前記接地側端子の電圧の下降を検出する下降検出手段と、電源オフ状態から電源オン状態に移行した後、所定期間が過ぎても下降検出手段が前記接地側端子の電圧の下降を検出しないときには水平出力トランジスタの動作を停止させる制御手段とを備えている。
【0016】
すなわち、アノード用の高圧電圧の経路が正常に接続されている場合には、電源オフ状態から電源オン状態に移行すると、数秒の後、CRTの管面は暗い状態から明るい状態に移行する。そして、CRTの管面が暗い状態から明るい状態に移行するときには、接地側端子の電圧に下降が生じる。一方、アノード用の高圧電圧の経路が正常に接続されていない場合では、CRTの管面が明るくなると想定される時刻になっても、CRTの管面は暗い状態から明るい状態に移行しない。このため、接地側端子の電圧には下降が生じない。つまり、下降検出手段の検出結果により、アノード用の高圧電圧の経路の接続が正常であるかどうかが示される。そして、アノード用の高圧電圧の経路の接続が正常でないときには、高圧電圧の発生が停止される。
【0017】
また上記構成に加え、下降検出手段は、一方の端子が前記接地側端子に接続されたコンデンサと、前記コンデンサの他方の端子と論理回路用プラス電源との間に接続されたプルアップ抵抗とを備え、前記コンデンサの他方の端子から検出結果を出力するようになっている。すなわち、2つの素子によって下降検出手段を構成することができる。
【0018】
また上記構成に加え、前記所定期間は、電源オフ状態から電源オン状態に移行した時刻からCRTの管面が明るくなると想定される時刻までの期間となっている。すなわち、接地側端子の電圧は、CRTの管面が明るくなると想定される時刻までには下降する。従って、接地側端子の電圧が下降したかどうかの検出が可能となるタイミングを過ぎた後では、直ちに、検出結果に対応した処理が行われる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るCRT表示装置の一実施形態を用いたテレビ受像機の電気的構成を示すブロック線図である。
【0020】
図において、映像信号処理回路21は、入力された映像信号に対して所定処理を施し、3つの原色色信号を生成する。そして、生成した3つの原色色信号を駆動回路4に出力する。且つ、前記所定処理においては、通信制御部23を介して与えられた制御手段7の指示に従い、映像信号における輝度や色の濃さ等を指示された輝度や濃さに設定する。また、ACL信号(接地側端子201の電圧を示す信号(CRT1のアノード電流を示す信号))41に基づいて、CRT1に表示される映像のコントラストを制限する。なお、ACL信号は、Automatic Contrast Limitter信号の略称となっている。
【0021】
駆動回路4は、CRT1の後部に取り付けられる補助基板に形成された回路となっており、原色色信号のそれぞれを増幅するドライブトランジスタ等を備えている。そして、映像信号処理回路21から出力される色信号を増幅して、CRT1のカソードを駆動する。また、一方の端部がCRT1の外部導電膜101に接続されたアノードグランド線103の他方の端部を接続するための端子401が設けられている。なお、この端子401は、補助基板内において接地レベルに接続されている。
【0022】
偏向用信号発生部22は、映像信号から分離された水平同期信号と、フライバックトランス2から出力されるAFC信号(図示を省略)とに基づいて、駆動用の信号(プリドライブ信号)を生成する。そして、生成したプリドライブ信号を水平ドライブトランジスタQ1(以下では、単にトランジスタQ1と称する)のベースに出力する。
【0023】
トランジスタQ1は、偏向用信号発生部22から出力されるプリドライブ信号に従ってドライブトランス3に流れる電流をスイッチングする。このため、トランジスタQ1のベースにはプリドライブ信号が導かれている。また、コレクタはドライブトランス3の一次コイルL31の一方の端子に接続され、エミッタは接地されている。そして、一次コイルL31の他方の端子は、110V等のプラス電源B+に接続されている。
【0024】
水平出力トランジスタ(以下では、単にトランジスタと称する)Q2は、ドライブトランス3の出力に従ってスイッチング動作を行うことにより、CRT1に設けられた偏向コイル(図示を省略)を駆動する。また、フライバックトランス2を駆動する。このため、トランジスタQ2のベースは、ドライブトランス3の二次コイルL32の一方の端子に接続されている。また、二次コイルL32の他方の端子とトランジスタQ2のエミッタとは接地されている。そして、コレクタは、フライバックトランス2の一次コイルL1の一方の端子に接続されている。また、フライバックトランス2の一次コイルL1の他方の端子はプラス電源B+に接続されている。
【0025】
フライバックトランス2には、CRT1のアノード104用の高圧電圧(以下では、単に高圧電圧と称する)を発生するため、複数に分割された二次コイルL2a〜L2cが巻回されている。そして、二次コイルL2aの一方の端子は、ダイオードD1を介して、アノードキャップ105に接続されている。また、二次コイルL2aとL2bとの間、および、二次コイルL2bとL2cとの間には、整流用のダイオードD2,D3が接続されている。また、二次コイルL2cの接地側端子201と、所定電圧の電源経路であるプラス電源B+との間には、アノード電流検出用抵抗R1(以下では、単に抵抗R1と称する)が接続されている。
【0026】
また、接地側端子201と接地レベルとの間には、交流的に短絡するためのコンデンサC1が接続されている。また、接地側端子201と接地レベルとの間には、接地側端子201の電圧が、0V近傍の電圧を超えないようにするため、接地側端子201の側から接地レベルの側に電流が流れる向きでもって、ダイオードD4が接続されている。
【0027】
通信制御部23は、2本の通信線(BUSS通信ライン)44を介して、制御手段7と双方向性に接続されており、映像信号処理回路21と偏向用信号発生部22とを、制御手段7が指示した動作状態に設定する。すなわち、制御手段7がトランジスタQ2の動作を指示するときには、トランジスタQ1のベースを駆動する信号を偏向用信号発生部22から出力させ、制御手段7がトランジスタQ2の動作の停止を指示するときには、トランジスタQ1のベースを駆動するプリドライブ信号の出力を停止させる。また、映像信号処理回路21における映像信号の輝度や色の濃さ等を、制御手段7が指示した値となるように、映像信号処理回路21を制御する。
【0028】
下降検出手段5は、接地側端子201の電圧(ACL信号41の電圧)の下降を検出するブロックとなっており、下降したことを検出したときには、Lレベルを、経路42を介して、制御手段7に送出する。このため、PNPトランジスタQ3(以下では、単にトランジスタQ3と称する)、2つのダイオードD6,D7、2つの抵抗R3,R4、および、コンデンサC3を備えていて、接地側端子201の電圧の下降を検出する微分回路を構成するようになっている。
【0029】
詳細には、ダイオードD6のカソードは接地側端子201に接続されている。また、コンデンサC3の一方の端子はダイオードD6のアノードに接続され、他方の端子は、接地側端子201の電圧の下降の検出結果の出力点として、経路42を介し、制御手段7に導かれている。また、コンデンサC3の他方の端子は、プルアップ抵抗R3を介して、電源オフ時にも5Vに維持されるプラス電源(論理回路用プラス電源)AL5に接続されている。
【0030】
また、コンデンサC3の他方の端子の電圧範囲がマイナスとならないようにするため、コンデンサC3の他方の端子には、アノードが接地されたダイオードD7のカソードが接続されている。また、コンデンサC3の一方の端子には、トランジスタQ3のコレクタが接続され、コンデンサC3の他方の端子には、トランジスタQ3のエミッタが接続されている。そして、トランジスタQ3のベースには、抵抗R4を介して、電源オフ時には0V、電源オン時には5Vとなるプラス電源PON5が導かれている。
【0031】
チューナ8は、制御手段7から指示されたチャンネルの商用放送を受信する。そして、受信して得られた映像信号を映像信号処理回路21に出力する。表示部6は、図2に示したように、装置本体51の前面パネル52に設けられた表示器であり、LED151によって電源のオンオフが表示される。また、数字表示器152によって、電源オフ時では時刻の表示が行われ、電源オン時では、受信中のチャンネル番号が表示されるようになっている。
【0032】
制御手段7は、マイクロコンピュータを主要部として構成されており、テレビ受像機としての主要動作の制御(装置としての動作の制御)を行う。このため、チューナ8が受信するチャンネルを制御する。また、通信制御部23を介して、映像信号処理回路21の各種の動作状態を設定する。また、電源オフ状態から電源オン状態に移行したとき、下降検出手段5から、電圧の下降を示す検出結果(Lレベル)が送出されるかどうかを調べる。そして、CRT1の管面が明るくなると想定される時刻になっても、電圧の下降を示すLレベルが送出されないときには、高圧電圧の経路が未接続になっているとして、通信制御部23を介し、偏向用信号発生部22からトランジスタQ1へのプリドライブ信号の送出を停止させ、水平出力トランジスタQ2の動作を停止させる。
【0033】
なお、映像信号処理回路21、偏向用信号発生部22、および、通信制御部23からなるブロック9は、ビデオ・クロマICとなっている。
【0034】
図3は、実施形態の主要点のレベル変化を示す説明図である。必要に応じて同図を参照しつつ、実施形態の動作を説明する。
【0035】
いま、アノードキャップ105がCRT1のアノード104に接続され、アノードグランド線103が駆動回路4の端子401に接続されているとする。すなわち、高圧電圧の経路が正常に形成されているとする。また、電源オフ状態にあることから、プラス電源PON5が0Vになっているとする。プラス電源PON5が0Vとなる場合、トランジスタQ3には、抵抗R3と抵抗R4とを介してベース電流が流れ、トランジスタQ3はオン状態となる。従って、コンデンサC3は放電された状態にある。
【0036】
この状態において、電源オンの指示が入力されると、制御手段7は、図示されない電源部を制御することによって、各部が必要とする動作電源の供給を開始する(時刻T1)。このため、プラス電源PON5の電圧は、0Vから5Vに変化する。その結果、トランジスタQ3においては、エミッタの電位とベース電位とが等しくなるので、トランジスタQ3はオン状態からオフ状態に移行する。また、制御手段7は、偏向用信号発生部22からプリドライブ信号を出力させ、トランジスタQ1,Q2を動作させる。このため、フライバックトランス2はトランジスタQ2によって駆動され、アノード104には高圧電圧が印加されることになる。
【0037】
そして、CRT1のヒータが温まり、管面が明るくなるのに対応して、アノード電流が流れ出す(時刻T2)。アノード電流が流れ出すと、経路41の電圧(接地側端子201の電圧)は、抵抗R1に生じた電圧降下によって、0Vからマイナス側に急激に下降する(61により示す)。この急激な電圧の下降により、抵抗R3、コンデンサC3、ダイオードD6を介して、プラス電源AL5から経路41の側に電流が流れる(抵抗R3の値は、コンデンサC3に電流が流れるときにも、経路41の電圧への影響を少なくするため、抵抗R1の値より大きな値(例えば、500kΩ等)に設定されている)。その結果、経路42の電圧が0Vまで低下する。
【0038】
一方、経路41の電圧は、CRT1の管面が暗い状態から明るくなるときには急激な下降を示すが、明るくなった後では、下降は停止する(時刻T3)。このため、コンデンサC3に流れる電流は、時刻T3となったときには、0近傍となるので、経路42の電圧は5Vに戻る。そして、時刻T3の後では、CRT1の管面の明るさは、制御手段7から指示された明るさとなるように、映像信号処理回路21によって制御される。このため、時刻T3以後では、経路41の電圧は、緩やかな変化を示すに過ぎなくなる。従って、経路42の電圧は5Vから殆ど変化しなくなる。
【0039】
すなわち、経路42の電圧は、電源オフ状態から電源オン状態に移行した場合、ヒータが温まる数秒が経過したとき、数100m秒程度の期間において、5V(Hレベル)から0Vの近傍(Lレベル)に変化する。このため、制御手段7は、電源をオフ状態からオン状態に移行させたときには、経路42のレベルを監視する。そして、CRT1の管面が明るくなると想定される時刻T5までの期間(例えば、10秒)内に経路42にLレベルが現れると、高圧電圧の経路は正常に接続されているとして、トランジスタQ2の動作を継続させる。このため、CRT1のアノードには高圧電圧が印加され続け、CRT1の管面には、映像信号による画像が表示される。
【0040】
上記した状態が続き、そして、電源オフの指示が入力された場合、制御手段7は、電源部を制御することによって、各ブロックへの動作電源の供給を停止する。このため、プラス電源PON5の電圧も、5Vから0Vに変化する(プラス電源AL5は5Vに維持される)。その結果、トランジスタQ3にベース電流が流れるので、トランジスタQ3は、オフ状態からオン状態に移行する。一方、コンデンサC3においては、時刻T2から時刻T3の間に電流が流れるので、この電流によって充電されており、端子間には電圧が発生している(図2のV1により示す)。しかし、この電圧を生じる電荷は、電源がオフとなったとき(時刻T4)、オン状態に移行したトランジスタQ3を介して放電される。従って、次回に電源オンとするときには、コンデンサC3は放電されているため、経路41の電圧の下降が生じるときには、上記した動作が再び実行されることになる。
【0041】
以下に補足的な説明を行うと、トランジスタQ3を省略した構成とするときでは、電源オフとなるときにも、コンデンサC3の電荷は放電されない(あるいは、放電に長時間を要する)。そして、コンデンサC3に電荷が充電されたままであるときには、電源がオフ状態からオン状態に移行し、経路41の電圧に急激な下降が生じるときにも、コンデンサC3には電流が流れない。従って、高圧電圧の経路の接続が正常であるときにも、経路42にはLレベルが現れないことになる。つまり、正しく検出を行うことができなくなる。トランジスタQ3と抵抗R4とは、上記した不都合を解消するための素子となっている。なお、ダイオードD6は、コンデンサC3に充電された電荷が、経路41を介して、放電されることを防止するように作用する(映像信号処理回路21の経路41のための入力回路を破壊から保護する)。
【0042】
以上で、高圧電圧の経路の接続が正常である場合の動作説明を終了し、以下に、アノードキャップ105がアノード104に接続されていなかったり、あるいは、アノードグランド線103が端子401に接続されていなかったりした場合の動作について説明する。
【0043】
アノードキャップ105がアノード104に接続されていなかったり、アノードグランド線103が端子401に接続されていなかったりした場合では、高圧電圧の電流経路が形成されない。このため、電源オフ状態から電源オン状態に移行し、ヒータが温まった後(時刻T2以後)にも、経路41の電圧には下降が生じない(破線62により示す)。このため、コンデンサC3には電流が流れないので、経路42のレベルはHレベルから変化しない(破線63により示す)。
【0044】
このため、制御手段7は、電源オンとなったとき(時刻T1)から10秒が経過したとき(CRT1の管面が明るくなると想定される時刻T5となったとき)にも、経路42にLレベルが現れなかった場合には、高圧電圧の経路に不具合が生じていると判定する。そして、この判定を行ったとき、制御手段7は、通信制御部23を介し、偏向用信号発生部22がプリドライブ信号を出力する動作を停止させ、トランジスタQ1の動作を停止させる。このため、トランジスタQ2も、フライバックトランス2を駆動する動作を停止する。その結果、フライバックトランス2からの高圧電圧の出力が停止される。つまり、高圧電圧の経路が形成されなかった場合(アノードキャップ105がアノード104に接続されなかったり、アノードグランド線103が端子401に接続されなかったりした場合)では、電源オンした後、10秒程度の短い期間が経過したときに、高圧電圧の出力が停止される。
【0045】
また、制御手段7は、高圧電圧の出力を停止される制御を行ったときには、表示部6の電源オンを示すLED151を点滅表示することでもって、アノードキャップ105がアノード104に接続されていないか、または、アノードグランド線103が端子401に接続されていないことを警告表示する。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、電源オンとなったときから、CRT1の管面が明るくなると想定される時刻までの期間については、10秒とした場合について説明したが、その他の期間として、例えば、8秒、あるいは、12秒、等とすることができる。
【0047】
また、下降検出手段については、接地側端子201の電圧の下降を検出する微分回路とした場合について説明したが、その他の構成として、例えば、接地側端子201の電圧が所定のマイナス電位より低くなるかどうかに基づいて、接地側端子201の電圧が下降したかどうかを検出する構成等とすることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、フライバックトランスの高圧用の二次コイルの接地側端子の電圧の下降を検出する下降検出手段と、電源オフ状態から電源オン状態に移行した後、CRTの管面が明るくなると想定される時刻が過ぎても下降検出手段が前記接地側端子の電圧の下降を検出しないときには水平出力トランジスタの動作を停止させるとともに表示部を用いて高圧電圧の経路の接続の異常を示す警告表示を行う制御手段とを備えている。また、下降検出手段は、一方の端子が前記接地側端子に接続されたコンデンサと、前記コンデンサの他方の端子と論理回路用プラス電源との間に接続されたプルアップ抵抗とを備え、前記コンデンサの他方の端子から検出結果を出力するようになっている。すなわち、下降検出手段の検出結果により、アノード用の高圧電圧の経路の接続が正常であるかどうかが示され、アノード用の高圧電圧の経路の接続が正常でないときには、高圧電圧の発生が停止される。また、下降検出手段は2つの素子により構成される。また、接地側端子の電圧が下降したかどうかの検出が可能となるタイミングを過ぎた後では、直ちに、検出結果に対応した処理が行われる。また、アノード用の高圧電圧の経路が未接続の場合には、表示部において警告が表示される。このため、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であることによる感電や放電の発生を防止することができ、且つ、接地側端子の電圧の下降を検出する手段の構成を簡単化することができ、且つ、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であるときには、速いタイミングにおいて高圧電圧の発生を停止させることができ、且つ、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であることの警告を行うことができる。
【0049】
また本発明では、フライバックトランスの高圧用の二次コイルの接地側端子の電圧の下降を検出する下降検出手段と、電源オフ状態から電源オン状態に移行した後、所定期間が過ぎても下降検出手段が前記接地側端子の電圧の下降を検出しないときには水平出力トランジスタの動作を停止させる制御手段とを備えている。このため、下降検出手段の検出結果により、アノード用の高圧電圧の経路の接続が正常であるかどうかが示される。そして、アノード用の高圧電圧の経路の接続が正常でないときには、高圧電圧の発生が停止されるので、アノード用の高圧電圧の経路が未接続であることによる感電や放電の発生を防止することができる。
【0050】
またさらに、下降検出手段は、一方の端子が前記接地側端子に接続されたコンデンサと、前記コンデンサの他方の端子と論理回路用プラス電源との間に接続されたプルアップ抵抗とを備え、前記コンデンサの他方の端子から検出結果を出力するようになっている。従って、下降検出手段は2つの素子により構成されるので、接地側端子の電圧の下降の検出手段の構成を簡単化することができる。
【0051】
またさらに、前記所定期間は、電源オフ状態から電源オン状態に移行した時刻からCRTの管面が明るくなると想定される時刻までの期間となっている。従って、接地側端子の電圧が下降したかどうかの検出が可能となるタイミングを過ぎた後では、直ちに、検出結果に対応した処理が行われるので、速いタイミングにおいて高圧電圧の発生を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るCRT表示装置の一実施形態を用いたテレビ受像機の電気的構成を示すブロック線図である。
【図2】装置本体の前面パネルの様子を示す説明図である。
【図3】実施形態の主要点のレベル変化を示す説明図である。
【符号の説明】
1 CRT
2 フライバックトランス
5 下降検出手段
6 表示部
7 制御手段
41 接地側端子の経路(ACL信号)
42 下降検出手段の検出結果の出力経路
51 装置本体
52 前面パネル
101 外部導電膜
103 アノードグランド線
104 アノード
105 アノードキャップ
201 接地側端子
AL5 電源オフ時にも5Vに維持されるプラス電源(論理回路用プラス電源)
B+ 所定電圧の電源経路
C3 コンデンサ
L2a〜L2c 二次コイル
PON5 電源オフ時には0Vとなる5Vのプラス電源
Q2 水平出力トランジスタ
R1 アノード電流検出用抵抗
R3 プルアップ抵抗

Claims (4)

  1. 装置本体の前面パネルに設けられ、電源のオンオフ等の情報が表示される表示部と、
    フライバックトランスに巻回され、CRTのアノード用の高圧電圧を発生する二次コイルの接地側端子と所定電圧の電源経路との間に接続されたアノード電流検出用抵抗とを備えたテレビ受像機において、
    前記接地側端子の電圧の下降を検出する下降検出手段と、
    電源オフ状態から電源オン状態に移行した後、CRTの管面が明るくなると想定される時刻が過ぎても下降検出手段が前記接地側端子の電圧の下降を検出しないときには水平出力トランジスタの動作を停止させるとともに表示部を用いて高圧電圧の経路の接続の異常を示す警告表示を行う制御手段とを備え、
    下降検出手段は、
    一方の端子が前記接地側端子に接続されたコンデンサと、
    前記コンデンサの他方の端子と論理回路用プラス電源との間に接続されたプルアップ抵抗とを備え、
    前記コンデンサの他方の端子から検出結果を出力することを特徴とするテレビ受像機。
  2. フライバックトランスに巻回され、CRTのアノード用の高圧電圧を発生する二次コイルの接地側端子と所定電圧の電源経路との間に接続されたアノード電流検出用抵抗を備えたCRT表示装置において、
    前記接地側端子の電圧の下降を検出する下降検出手段と、
    電源オフ状態から電源オン状態に移行した後、所定期間が過ぎても下降検出手段が前記接地側端子の電圧の下降を検出しないときには水平出力トランジスタの動作を停止させる制御手段とを備えたことを特徴とするCRT表示装置。
  3. 下降検出手段は、
    一方の端子が前記接地側端子に接続されたコンデンサと、
    前記コンデンサの他方の端子と論理回路用プラス電源との間に接続されたプルアップ抵抗とを備え、
    前記コンデンサの他方の端子から検出結果を出力することを特徴とする請求項2記載のCRT表示装置。
  4. 前記所定期間は、電源オフ状態から電源オン状態に移行した時刻からCRTの管面が明るくなると想定される時刻までの期間であることを特徴とする請求項2または請求項3記載のCRT表示装置。
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