JP3837677B2 - 引き戸用錠前 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は構造を簡単にした引き戸用錠前の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の引き戸用錠前として、特公昭56−33553号公報に開示されたものがある。その概略を図25に示して説明すると、図示省略のフックケースに軸1にてカムプレート2が回動可能に軸支されており、その一端にはピン3を設けたスライドボタン4のピン3を係合すると共に、他端側にはピン6を植設し、このピン6をフック5に形成した案内孔7に係合した構成になっている。
【0003】
そして、この錠前を設けた引き戸を閉めることにより、図示省略のストライカが設けられている例えば柱に、スライドボタン4′が衝突してフックケース内に押し込まれ、スプリング8の弾性力に抗してカムプレート2を矢印の方向に回動する。このカムプレート2の回動により、フック5の支点10がスプリング9の弾性力に抗して10′の位置に移動させられながら、案内孔7によってピン6を案内してフック5を回動し、図示省略のストライカに係合する。そして、ロックレバー11に外力を与えて回動し、引き戸を開ける方向に移動した時にフック5が5′の方向に回動するのをロックすることにより、引き戸が開かないようにしている。
【0004】
そして、引き戸を開ける時には、ロックレバー11を外力により矢印方向に回動してフック5のロックを解除した状態で引き戸を開けることにより、フック5の支点10′はスプリング9によって10の方向に引っ張られると同時に、スプリング8によってカムプレート2が矢印とは逆の方向(時計方向)に回動して、フック5を5′の方向に回動させると共にスライドボタン4を突出させ、フック5′とストライカとの係合が解除されながら引き戸が開けられると同時に、スライドボタン4を4′の位置に突出させ、元の状態に復帰させるようにしている。
【0005】
次に、実開平5−89750号公報に開示された錠前を図26に示してその概略を説明する。図示省略のフックケースには軸1を介してカムプレート2が回動可能に軸支されており、カムプレート2が矢印方向とは反対の方向(時計方向)に常時回転力が与えられるように、スプリングが軸1に装着されている。また、カムプレート2の一端にはスライダ12に設けた長孔14′にカムプレート2に植設したピンが嵌合した状態で、スライダ12が連結されている。スライダ12の他端にはピン14を介してフック5が回動可能に設けられており、このピン14にはフック5が矢印の方向(反時計方向)に常時回転するように回転力を与えるためのスプリングが装着されている。
【0006】
そして、引き戸を閉めると図示省略のストライカが設けられている例えば柱にスライドボタン4が衝突して矢印の方向に押され、カムプレート2を矢印の方向に回動する。このカムプレート2の回動により、スライダ12が矢印の方向に水平移動させられて、フック5が図示省略のフックケースの底部から突出し、図示省略のストライカにフック5が係合し、引き戸の開き方向にロックする。
【0007】
次に、引き戸を開く時には外部の力でロック解除部材15を矢印の方向に押し下げ、矢印方向に回転力が与えられているスプリングの弾性力に抗して、フック5の後部16を押してフック5を5′の位置まで回動し、フック5′と図示省略のストライカとの間の係合を解除した後に引き戸を開ける。そして、カムプレート2は時計方向に常時回転力が与えられているので、引き戸を開けると自動的にカムプレート2が時計方向に回動してスライドボタン4を4′の位置まで突出させ、元の状態に復帰させるようにしている。
【0008】
次に、実開平5−47263号公報に開示された従来例を図27に示して、その概略を説明する。スライダ17に植設されたピン18が図示省略のフックケースにあけられた長孔19に案内されて、スライダ17を矢印の上下方向に移動できるようになっている。また、スライダ17の端部に設けられたピン22とフックケースに設けられたピン21との間にねじりコイルバネ20が設けられていて、スライダ17の上下方向の移動を弾性的に規制するようにしている。
【0009】
また、フックケースには軸25を介してフック5が回動可能に設けられており、スライダ17に設けたピン23がフックに形成した凹部24に係合して、スライダ17の移動によりフック5が回動されるようになっている。ピン23はフックケースにあけられた長孔26にそって案内されるようになっている。また、フックケースには軸30を介してレバー27が設けられており、このレバー27の後端28がスライダ17に設けた係止部29に係合するようになっている。そして、フック5およびレバー27にはそれぞれねじりコイルバネ31と32が設けられていて、フック5およびレバー27が常時反時計方向に回動するように、弾性力が付与されている。
【0010】
この錠前を設けた引き戸を閉めた時に、図示省略のストライカを設けた例えば柱にレバー27′が衝突し、ねじりコイルバネ32の弾性力に抗してレバー27′を27の位置まで回動し、後端28と係止部29′との間の係止を解除する。そして次にスライダ17を外部の力によって上方向にスライドさせてフック5を反時計方向に回動し、ストライカとフック5とを係合して、引き戸の開き方向に対してロックする。
【0011】
次に、引き戸を開ける場合において、レバー27の後端28はスライダ17が下方向への移動に対して係止部29に係止しない形状になっているので、スライダ17を外部の力により自由に下方向に移動させることができるようになっている。そこでスライダ17を外部の力で下方向に移動させることにより、フック5をねじりコイルバネ31の弾性力に抗して時計方向に回動し、フック5とストライカとの間の係合を解除し、引き戸を開けるようにしている。
【0012】
【発明が解決しょうとする課題】
上記従来の引き戸用錠前は次の点で改良すべき問題がある。先ず特公昭56−33553号公報に開示されたもは、カムプレート2、スライドボタン4、フック5、ロックレバー11、およびスプリング8、9の合計六個の部品からなっており、これらの部品の加工および組付に多くの時間が必要となって、加工および組付性の点で改良すべき問題がある。
【0013】
特に組付においてカムプレート2、スライドボタン4、フック5、ロックレバー11はばらばらの状態にあり、カムプレート2とスライドボタン4との連結はピン3により、またカムプレート2とフック5との間の連結はピン6により行い、更にスプリング8および9によりカムプレート2およびフック5にはその弾性力が働いているので、その組付は困難である。
【0014】
そして、引き戸の施錠および施錠解除はロックレバー11を回動することにより行うのであるが、このロックレバー11の回動は引き戸の移動方向(矢印イ方向)に一致していないので、引き戸の開け閉めの力を利用するのが困難であり、ロックレバー11を回動させるためには、引き戸を開け閉めする方向の力とは別の方向の力が必要になる。そのために、引き戸の施錠および施錠解除をするためには、引き戸を開け閉めする以外に別の操作が必要になって面倒であることから、取扱の点で改良すべき問題がある。
【0015】
次に、実開平5−89750号公報に開示されたものは、カムプレート2、スライドボタン4、スライダ12、フック5、解除部材15、カムプレート2に常時回転力を与えるためのスプリング、フック5に常時回転力を与えるためのスプリングの合計七個の部品からなっており、これらの部品の加工および組付に多くの時間が必要となって、加工および組付性の点で改良すべき問題がある。
【0016】
また特に組付において、カムプレート2およびフック5はスプリングによって常時回転力が与えられた状態で、カムプレート2とスライダ12とをピンにて連結しなければならないので、その組付は困難である。そして、引き戸の施錠および施錠解除は解除部材15を垂直方向に移動することにより行うのであるが、この解除部材15の移動は引き戸の移動方向(矢印イ方向)に直行する方向であるので、引き戸の開け閉めの力を利用するのが困難であり、解除部材 15 を上下動させるためには、引き戸を開け閉めする方向の力とは別の方向の力が必要になる。そのために、引き戸の施錠および施錠解除をするためには、引き戸を開け閉めする以外に別の操作が必要になって面倒であることから、取扱の点で改良すべき問題がある。
【0017】
次に、実開平5−47263号公報に開示されたものは、フック5、スライダ17、レバー27およびねじりコイルバネ20、31、32の合計六個の部品からなっており、これらの部品の加工および組付に多くの時間が必要となって、加工および組付性の点で改良すべき問題がある。
【0018】
特に組付においてスライダ17、フック5およびレバー27はばらばらの状態にあり、フック5はねじりコイルバネ31の弾性力により回転力が働いているので、その組付は困難である。そして、引き戸の施錠および施錠解除はスライダ17を垂直方向に移動することにより行うのであるが、このスライダ17の移動は引き戸の移動方向(矢印イ方向)に直行する方向であるので、引き戸の開け閉めの力を利用するのが困難であり、スライダ17を上下動させるためには、引き戸を開け閉めする方向の力とは別の方向の力が必要になる。そのために、引き戸の施錠および施錠解除をするためには、引き戸を開け閉めする以外に別の操作が必要になって面倒であることから、取扱の点で改良すべき問題がある。
【0019】
また、上記従来例において、引き戸の施錠および施錠解除をする部材の移動方向は引き戸の開閉移動方向に一致していないことから、引き戸の開閉動作により引き戸の施錠および施錠解除部材を移動させるためには、その機構が複雑になり、更に加工性および組付性を低下させるという問題がある。
【0020】
本発明は錠前の部品を少なくして加工性および組付性を向上すると共に、簡単な機構で引き戸の開閉移動を利用して、引き戸の施錠および施錠解除を行えるようにして、その取扱を容易にした引き戸用錠前を提供するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1の記載から把握される手段は、引き戸側に設けたフックケースの底部からフックの係止部を出没させて、柱あるいは壁等に設けたストライカにフックの係止部を係合および係合解除するようにした引き戸用錠前において、前記フックケースにフックを回動可能に軸支すると共に、該フックを回動させるためのフックスライダを移動可能に設け、該フックスライダの移動方向と同一方向にフックの前記係止部がフックケースの底部より出没可能なようにし、該フックスライダにスライドボタンをフックケースの底部からフックスライダの移動方向に出没可能に取り付け、フックスライダとフックの端部との間をねじりコイルバネで連結し、フックスライダの移動によってフックが回転するようにフックとフックスライダとを連結したことを特徴とする。
【0022】
次に、請求項2の記載から把握される手段は、上記引き戸用錠前において、ドアを閉めた状態でストライカとスライドボタンの先端との間に所定の隙間を形成したことを特徴とする。
【0023】
次に、請求項3の記載から把握される手段は、上記引き戸用錠前において、スライドボタンを伸縮可能にしたことを特徴とする。
【0024】
次に、請求項4の記載から把握される手段は、上記引き戸用錠前において、ストライカをストライカ取付プレートとストライカ本体とで形成し、ストライカ取付プレートに対してストライカ本体を移動可能にしたことを特徴とする。
【0025】
この手段により課題がどのように解決されるかについて、次に説明する。請求項1の記載から把握される手段において、フックケースに回動可能に軸支したフックの係止部が、フックスライダの移動方向と同一方向にフックケースの底部より出没可能なようにし、かつ、スライドボタンをフックケースの底部からフックスライダの移動方向に出没可能に取り付けることにより、引き戸の開閉移動方向とフックスライダのスライド方向を一致させて、フックの係止部とスライドボタンを出没させることができる。
【0026】
また、スライドボタンをフックケースの底部からフックスライダの移動方向に出没可能にフックスライダに直接取り付けることにより、スライドボタンとフックスライダとの間の連結部材が不要になり、かつ、フックボタンは直接フックスライダにより移動させられるので、フックボタンを移動させるためのスプリングやカムプレートを省略することができる。
【0027】
そして、フックスライダとフックの端部との間をねじりコイルバネで連結し、フックスライダの移動によってフックが回転するように、フックとフックスライダとを連結したので、ロック部材を用いることなく、ねじりコイルバネの弾性力により、フックの係止部とストライカとの間の係合を維持して引き戸の開きをロックすることができ、開き戸の開きロックの解除は、ロック解除部材を用いることなく、フックスライダを移動してフックを回動し、フックの係止部とストライカの係合を解除することができる。
【0028】
また、請求項2および3から把握される手段において、ドアを閉めた状態でストライカとスライドボタンの先端との間に所定の隙間を形成した場合、あるいはスライドボタンを伸縮可能にした場合には、特別な解除手段を設けることなく、引き戸を開けない状態でフックのみを回動し、引き戸のロックを解除することができる。
【0029】
また、請求項4の記載から把握される手段において、ストライカをストライカ取付プレートとストライカ本体とで形成し、ストライカ取付プレートに対してストライカ本体を移動可能にすることにより、フックとストライカ本体との間の位置合わせを容易に行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
請求項1の記載から把握される本発明の実施の形態は次の通りである。図1において、引き戸D側に設けたフックケース35の底部からフック5の係止部 501を出没させて、柱あるいは壁W等に設けたストライカ36にフック5の係止部 501を係合および係合解除するようにした引き戸用錠前であって、フックケース35にフック5を回動可能に軸34に軸支すると共に、図2に示すようにフックスライダ33に設けた係合孔 331にフック5に植設した係合ピン 502を係合して、フックスライダ33の移動によりフック5を回動させるようにフックスライダ33を移動可能に設ける。
【0031】
そして、フックスライダ33の移動方向(矢印S)と同一方向にフック5の係止部 501がフックケース35の底部より出没可能なようにする。また、フックスライダ33にスライドボタン4をフックケース35の底部からフックスライダ33の移動方向(矢印S)に出没可能に取り付ける。また、フックスライダ33とフック5の端部との間をねじりコイルバネ37で連結する。
【0032】
請求項2または3の記載から把握される本発明の実施の形態は次の通りである。図2(A)に示すように、ドアDを閉めた状態でストライカ本体 362とスライドボタン4の先端との間に、フック5が回動してストライカ本体 362との係合解除されるまで、フック5を回動することができるように、隙間Cを形成する。あるいは、隙間Cを設ける代わりにスライドボタン4を伸縮可能にしてもよい。
【0033】
請求項4の記載から把握される本発明の実施の形態は次の通りである。図11に示すように、ストライカ36をストライカ取付プレート40とストライカ本体 362とで形成し、ストライカ取付プレート40に対してストライカ本体 362を矢印(イ)の方向に移動可能にする。
【0034】
【実施例】
次に、本発明の一実施例について説明する。。図1において、引き戸D側にはフックケース35が取りつけられており、柱あるいは壁W側にはストライカ36が取りつけられている。このフックケース35にはフック5が回動可能に軸34に軸支されている。また、図2に示すようにフックスライダ33に設けた係合孔 331にフック5に植設した係合ピン 502を係合して、フックスライダ33の移動によりフック5を回動させるようになっている。
【0035】
そして、フックスライダ33の移動方向(矢印S)は図1における引き戸Dの開閉方向と一致しており、フックスライダ33を矢印S方向にスライドしてフック5を回転することにより、フック5の係止部 501がフックケース35の底部より矢印S方向に出没するようにしている。また、フックスライダ33にはスライドボタン4が直接に取りつけられており、フックスライダ33の矢印S方向へのスライドにより、スライドボタン4はフックケース35の底部からフックスライダ33の移動方向と同じ矢印S方向に出没するようにしている。また、フックスライダ33とフック5の端部はねじりコイルバネ37で連結されている。
【0036】
次に、各部の詳細について説明する。図3は図1におけるフックスライダ33である。このフックスライダ33は図4に示すように、薄い板材でできており端部を略直角に曲げて頭部 333が形成されている。また、図3においてこのフックスライダ33の平面形状は概略T字形をしており、その先端部には幅J1の先端ガイド面 334が形成され、中央部には幅J2の中央ガイド面 336が形成されている。
【0037】
また、先端ガイド面 334と中央ガイド面 336の間に腕 337を設け、図4にも示すようにこの腕 337にピン 332を植設し、このピン 332に例えば樹脂製のスライドボタン4を嵌着している。このように、スライドボタン4を別体にした理由は、フックスライダ33をプレス加工にて大量生産できるようにし、またスライドボタン4を成形加工により大量生産できるようにするためである。先端ガイド面 334の部分には係合孔 331があけられている。この係合孔 331の幅J5は係合ピン 502の直径よりも広い寸法になっており、フック5がフックスライダ33に対して一定の回動角度で自由に回動できるようになっている。頭部 333の幅J3は、後で説明するノブが当接するに必要な幅になっている。 335はストッパ面である。
【0038】
フック5の平面形状は図2に示すように概略Jの字形になっており、そのほぼ中心部に軸34が設けられている。そして、一端には係止部 501が形成されており、他端にはねじりコイルバネ37を取り付けるためのピン 503が植設され、軸34とピン 503とを結ぶほぼ線上であってその中間部に係合孔 331に係合する係合ピン 502が設けられている。
【0039】
次に、図7は図1におけるフックケース35の斜視図であり、その概略の形状は取付フランジ 355を設けた対象形の部材を合わせるようにしている。 351は天井フランジ 357を切欠いて形成したガイド面であり、ガイド面 351の間隔J2′は図3に示したフックスライダ33の中央ガイド面 336の幅J2にほぼ等しくし、中央ガイド面 336をガイドするようにしている。 352はガイドフランジでありガイド面 351の間に嵌入されて組み立てられた時に、ガイドフランジ 352の先端と壁面との間に、図4に示すフックスライダ33の肉厚tに相当する間隙ができるように、ガイドフランジ 352の幅J4を狭くしている。
【0040】
353は壁面を切り起こして形成したガイド面、 354は図1における軸34を両端支持するための軸孔であり、図6に示すようにガイド面 353と軸孔 354との間の間隔J1′は図3におけるフックスライダ33の先端ガイド面 334の幅J1にほぼ等しくして、このガイド面 353と軸孔 354に支持される軸34の外周との間で、先端ガイド面 334をガイドするようにしている。図5および図6に示すように取付フランジ 355は取付プレート38にカシメピンで固定され、取付プレート38には図3に示す直径D1のスライドボタン4が挿通可能な直径D2の孔39があけられている。
【0041】
次に、図1におけるストライカ36について説明する。図8から図10において、ストライカ取付部材 361の表面に肉厚t長さL4のストライカ本体 362が固定されており、ストライカ本体 362にはフック5が出入りするための、幅J6長さL1のフック孔 363があけられていると共に、ストライカ取付部材 361にも幅J6長サ L2の孔 366があけられている。また、フック孔 363には傾斜面 364が設けられている。ストライカ取付部材 361は図10に示すように溝型になっており、その両端には図9に示すようにU溝 365が形成されている。
【0042】
図11および図12にストライカ取付プレート40を示す。このストライカ取付プレート40の肉厚tは図8に示したストライカ本体 362の肉厚tに等しくしており、ストライカ嵌合孔 401にストライカ本体 362を嵌合した時に、ストライカ取付プレート40とストライカ本体 362とが面一になるようにしている。また、ストライカ嵌合孔 401の長さL3はストライカ本体 362の長さL4よりも長くなっており、図11に示すようにストライカ本体 362がストライカ嵌合孔 401に嵌合された状態で、ストライカ36を矢印イの方向に移動できるようになっている。
【0043】
402はストライカ固定孔であり、図9に示したU溝 365に位置しており、図13に示す一辺がL5の正方形のナット41にストライカ固定孔 402に挿通したボルトを螺合して、ストライカ36を矢印イ方向に位置調整して、ストライカ36をストライカ取付プレート40に締結するようにしている。この締結に際して、調整ねじ孔 404に螺合しているねじにより、ストライカ36をストライカ取付プレート40に対して矢印ロの方向に位置調整できるようにしている。 403はストライカ取付プレーと40を例えば柱に取りつけるためのプレート固定孔である。
【0044】
図14から図16にストライカ36の他の実施例を示して説明する。図14はフロントプレート 367の平面を示す図であり、ほぼ中央部に幅J6で長さL3のフック孔 367b があけられており、その端部にはフロントプレート取付孔 367a があけられている。図15はストライカ本体 362の平面を示す図であり、ほぼ中央部に幅J6で長さL1のフック孔 363があけられている。
【0045】
このフック孔 363の長さL1は図14に示したフック孔 367b の長さL3よりも短くなっており、ストライカ本体 362がフロントプレート 367に対してフック孔 363の長手方向にずれても、フック孔 363にフック5が係止できるようになっていて、フック5に対する上下方向の位置調整ができるようになってる。また、このストライカ本体 362の上下方向の位置調整ができるように、ストライカ本体 362の両端にU溝 365が設けられている。図16はワッシャー 368の平面を示しており、このワッシャー 368にもU溝 369が設けられている。
【0046】
図17から図19はフロントプレート 367、ストライカ本体 362およびワッシャー 368を組みつける各種態様を示した図である。まず、ストライカ36を取りつけるために、柱等に穴 451およびフック5を収容するためのケース 369を嵌め込むための穴 452が掘られる。そして、フロントプレート 367を取りつけるための穴 451の深さDは一定である。この穴 451の深さDは、フロントプレート 367の肉厚t1 +ストライカ本体の肉厚t2 +二枚のワッシャー 368の肉厚2×t3 に等しくしている。ワッシャー 368の肉厚t3 の一例を示せば1mmである。
【0047】
図17の組付はフロントプレート 367とストライカ本体 362を密着させた状態で、二枚のワッシャー 368をストライカ本体 362の裏面に当てがい、フロントプレート取付孔 367a に螺子を挿通して固定するようにしている。これにより、フロントプレート 367の表面からストライカ本体 362の裏面(フック5の係合面)までの高さH3 はフロントプレート 367の肉厚t1 +ストライカ本体 362の肉厚t2 になり、かつ、穴 451の深さDを変えないでフロントプレート 367を取りつけることができる。
【0048】
次に、図18の組付はフロントプレート 367、ワッシャー 368、ストライカ本体 362およびワッシャー 368の順に組みつけている。この組付において、フロントプレート 367の表面からストライカ本体 362の裏面までの高さH2 はフロントプレート 367の肉厚t1 +ワッシャー 368の肉厚t3 +ストライカ本体 362の肉厚t2 となり、かつ、穴 451の深さDを変えないでフロントプレート 367を取りつけることができる。
【0049】
次に、図19の組付はフロントプレート 367、二枚のワッシャー 368、ストライカ本体 362の順に組みつけている。この組付において、フロントプレート 367の表面からストライカ本体 362の裏面までの高さH1 はフロントプレート 367の肉厚t1 +二枚のワッシャー 368の肉厚2×t3 +ストライカ本体 362の肉厚t2 となり、かつ、穴 451の深さDを変えないでフロントプレート 367を取りつけることができる。
【0050】
このように、フロントプレート 367、スオトライカ本体 362および二枚のワッシャー 368を組み合わせて取りつけることにより、H1 〜H3 までフロントプレート 367の表面とストライカ本体 362の裏面の間の高さ(フック5に対する前後方向)を調節することができ、フック5とストライカ本体 362との係合状態を調節することができる。また、ストライカ本体 362の両端およびワッシャー 368にそれぞれU溝 365および 369を設けたので、フロントプレート 367に設けた取付孔 367a に挿通した螺子に対して、ストライカ本体 362およびワッシャー 368を上下方向に移動することができ、フック5とストライカ本体 362との間の係合状態を前後および上下方向に調節することができる。また、二枚のワッシャー 368を用いることにより、穴 451の深さDを変えることなく取りつけることができるようになる。
【0051】
図20はドアDの両面に設けられた把手42とフックスライダ33との間の取り合いを示す図であり、把手42に設けた突起44が図6および図7に示す把手取付孔 358に挿入されており、把手42に回動可能に設けられたノブ43の先端部 431で、フックスライダ33の頭部 333を押すようにしている。
【0052】
係合孔 331の他の実施例を図22に示す。このフックスライダ33に設けた係合孔 331′には、フック5に設けた係合ピン 502が案内される傾斜角度αの傾斜面 338が形成されている。このように、傾斜面 338を形成することにより、フックスライダ33が移動して係合ピン 502a が傾斜面 338b に押されて 502b に移動する間のフックスライダ33の移動距離はLa であり、図3に示す係合孔33のように傾斜面を備えていない場合に比べて、フックスライダ33の移動距離がLb =a1 /cos αだけ短くなる。また、同様に更にフックスライダ33が移動して係合ピン 502a が傾斜面 338c に押されて 502c に移動する間のフックスライダ33の移動距離はLd であり、図3に示す係合孔33のように傾斜面を備えていない場合に比べて、フックスライダ33の移動距離がLe =a2 /cos αだけ短くなる。
【0053】
すなわち、図3に示した係合孔33のように傾斜面 338を備えていない場合にはフックスライダ33をLc 、Lf だけ移動しなければならないのに対して、傾斜面 338を設けた場合にはフックスライダ33の移動距離がan /cos αだけ短いLa 、Ld だけ移動すればよく、その分フック5の突出を早くすることができる。また、同様に係合ピン 502e から 502d 、 502c への移動においてもスライダ33の移動距離がan /cos αだけ短くなり、その分フック5の引っ込みを早くすることができる。
【0054】
図24を用いて具体的に説明すると、まず(A)の状態においては係合ピンは 502a の位置にあってフック5は引っ込んでいる。そして、引き戸を矢印(D)の方向に移動すると、スライドボタン4の先端がストライカ本体 362に当接して、フックスライダ33は矢印(S)の方向に移動させられる。そこで、フックスライダ33の移動量がLd になった時に(B)、係合ピンは 502c の位置にあり、軸34と係合ピン 502c およびピン 503が垂直状態になる。この垂直状態からフック5が突出する方向に微小量フック5が回動すると、ねじりコイルバネ37(図2参照)の弾性力により、フック5が突出する方向に回動させられて、ストライカ本体 362に係合し施錠されると共に、係合孔 331と係合ピン 502との係合により、フックスライダ33が図(C)における矢印(S)方向に移動させられて、スライドボタン4の先端とストライカ本体 362との間に、隙間Cができるようになる。
【0055】
次にこの施錠を解除して引き戸を開ける場合には、スライドボタン4の先端とストライカ本体 362との間の隙間C(一例を示せば略4mm)だけ、フックスライダ33を矢印(S)とは反対の方向に移動させることにより、フック5は5′の位置まで回動させられてフック孔 363とフック5との間に隙間C0 ができて施錠解除され、引き戸を開けることができると共に、スライドボタン4を突出させ、かつ、フック5を引っ込めた(A)の元の状態にすることができる。
【0056】
図23において、フック5の先端に傾斜角度βにした傾斜ガイド面 504を形成する。これにより、例えばフック5が突出した状態で引き戸を閉めても、フック孔 363の上縁が傾斜ガイド面 504に摺接してフック5を5′の位置まで押し下げてフック5の先端がフック孔 363の上縁を通過し、ねじりコイルバネ37の弾性力によりフック5が5″の位置まで回動して、ストライカ本体 362に係合させることができるようになっている。
【0057】
このように構成した本実施例の作用について次に説明する。先ずこの引き戸用錠前の組付について説明する。組付部品としてはフック5、スライドボタン4、フックスライダ33およびねじりコイルバネ37の四点である。図7において、ガイド面 351の間にフックスライダ33の中央ガイド面 336(図3)を位置させて、フックスライダ33をフックケース35の一方にセットし、次に図2においてフックスライダ33の係合孔 331にフック5の係合ピン 502を係合した状態で、フック5に設けた軸34を図7に示す軸孔 354に挿入する。
【0058】
これにより、フックスライダ33の先端ガイド面 334(図3)が、フックケース35の壁面に形成したガイド面 353と軸34の間に位置するようになる。そして、スライドボタン4をピン 332に嵌着する。ここまでの組付においては、スプリングの弾性力が全くなく、かつ、部品点数が少ないので、組付を容易にすることができる。そして、ねじりコイルバネ37の基端をピン 332とフック5に植設したピン 503に支持した後に、他方のフックケース35を一方のフックケース35に合わせてカシメ等で結合する。
【0059】
次に、図20に示すようにドアDの開閉方向(矢印ハ)とフックスライダ33のスライド方向を一致させ、フックスライダ33の頭部 333をノブ43の先端 431で単に押すだけにし、両者を連結するための特別な機構を不要にしたので、図1および図20に示すようにドアDに開けられた穴にフックケース35を装着し、把手42の突起44をフックケース35の把手取付孔 358に差し込んで把手42をドアDに固定することにより、ドアDへの錠前の取付を容易に行うことができる。
【0060】
一方において、柱あるいは壁へのストライカ36の取付は、図1および図20に示すように柱等に掘られた穴45にストライカ取付部材 361を嵌着し、ストライカ取付プレート40を柱等に取りつける。そして、ストライカ本体 362は図11に示すように矢印イの方向に移動できるようになっているので、図1に示すようにストライカ本体 362とフック5の係止部 501との間の位置合わせをすることができ、また調整ねじ孔 404に螺合しているねじにより、矢印ロの方向に移動して、ストライカ本体 362とフック5の係止部 501との間の間隙を調整し、フック5によるドアD引きつけとロックおよびロック解除が円滑になるようにすることができる。
【0061】
また、図1に示すように、ドアDと柱W等との間にクッション材46を介在して、ドアDの開き方向へのロック状態において、フック5の係止部 501とストライカ本体 362との間の密着性をよくし、柱W等へのドアDの引きつけをよくすると共に、ドアDを閉めた時の衝撃をなくすようにしてもよい。
【0062】
次に、フックケース35に回動可能に軸支したフック5の係止部 501が、フックスライダ33の移動方向と同一方向にフックケース35の底部より出没可能なようにし、かつ、スライドボタン4をフックケース35の底部からフックスライダ33の移動方向に出没可能に取り付けるようにしたので、図20に示すように引き戸Dに設けた把手42のノブ43を持ってドアDを矢印ハの方向に開けることにより、フック5の係止部 501とストライカ本体 362との間の係止を解除することができ、また把手42の段部 421に手を掛けてドアDを閉めることにより、フック5の係止部 501とストライカ本体 362とを係止することができる。
【0063】
これについて具体的に説明すると、図2(A)において、フック5はねじりコイルバネ37の弾性力により、軸34を回動中心とした時計方向の回転力が与えられ、フック5の係止部 501とストライカ本体 362とが係合して、ドアが閉められた状態でロックされている。そして、ドアDを開ける時に図20に示すようにノブ43に手を引っかけてノブ43を43′のように回動することにより、ノブ43の先端 431でフックスライダ33の頭部 333を押し、フックスライダ33をドアDの開ける方向(矢印ハ)とは逆の方向にスライドさせる。
【0064】
すなわち、図2(A)の状態において、スライドボタン4の先端とストライカ本体 362との間に設けた隙間C(一例を示せば略4mm)だけフックスライダ33を移動する。この間のフックスライダ33の移動ではドアDはまだ開く方向に移動しないで、フックスライダ33のみを移動させることができる。あるいは、この隙間Cを設ける代わりに、スライドボタン4を伸縮可能なようにすることにより、ドアDを開く方向に移動させないようにして、フックスライダ33のみを移動するようにすることもできる。また、隙間Cを通して例えば金尺などの薄い物を挿入して、フック5を押し下げることにより、図(B)の状態にすることもできる。
【0065】
このように、フックスライダ33を隙間Cだけ移動すると、ねじりコイルバネ37の基端間隔K1を縮めながら、係合孔 331と係合ピン 502との間の係合により、フック5は軸34を回動中心として回動させられて、図2(B)の状態になり、フック5の係止部 501がフック孔 363を通過できる状態になると共に、スライドボタン4の先端がストライカ本体 362に当接し、ドアDが開けられる状態になる。
【0066】
そして、引き続き図20に示すノブ43に手を掛けてドアDを開けることにより、図2(B)に示すようにドアDは矢印(D)の方向に移動し、フックスライダ33はノブ43の先端 431で押されて矢印(S)の方向にスライドして、フック5を更に回動させると同時にスライドボタン4を矢印(S)方向に突出させる。
【0067】
そして、フック5がある回転角度まで回動されると、ねじりコイルバネ37の基端間隔がK2まで押し縮められていて大きな弾性力が働いており、かつ、係合孔 331は係合ピン 502の直径よりも大きくなっていて、フック5の回動がフックスライダ33とは無関係にある回転角度だけ回動できるようになっているので、図2(C)に示すようにフック5は自動的に反時計方向に回動してフックケース35内に没して、ねじりコイルバネ37の弾性力によりその状態が保たれると共に、スライドボタン4は最大突出量まで突出した状態になる。
【0068】
次に、図20に示す把手42の段部 421に手を掛けてドアDを図2(C)の矢印Dの方向に閉めると、突出しているスライドボタン4がストライカ本体 362に衝突して押され、フックスライダ33を矢印(S)の方向に移動する。そして、係合孔 331に係合している係合ピン 502により、フック5は軸34を中心として、ねじりコイルバネ37の基端間隔K1を押し縮めながら時計方向に回動して図2(B)の状態になり、フック5がある回転角度になるとねじりコイルバネ37の弾性力により、係合ピン 502が係合孔 331内を自由移動してフック5をフックスライダ33の移動とは無関係に回動し、図2(A)のようにスライドボタン4の先端とストライカ本体 362との間に隙間Cを形成した状態で、ねじりコイルバネ37の弾性力により、フック5の係止部 501とストライカ本体 362との係合を保持するようにしている。
【0069】
このように、スライドボタン4をフックケース35の底部からフックスライダ33の移動方向に出没可能にフックスライダ33に直接取り付けることにより、スライドボタン4とフックスライダ33との間の連結部材が不要になり、かつ、フックボタン4は直接フックスライダ33により移動させられるので、フックボタン4を移動させるためのスプリングやカムプレートを省略することができる。
【0070】
そして、フックスライダ33とフック5の端部との間をねじりコイルバネ37で連結し、フックスライダ33の移動によってフック5が回転するように、フック5とフックスライダ33とを連結したので、ロック部材を用いることなく、ねじりコイルバネ37の弾性力により、フック5の係止部 501とストライカ本体 363との間の係合を維持して引き戸の開きをロックすることができ、開き戸の開きロックの解除は、ロック解除部材を用いることなく、フックスライダ33を移動してフック5を回動し、フック5の係止部 501とストライカ本体 362の係合を解除することができる。
【0071】
また、フック5の回動抵抗はねじりコイルバネ37の基端間隔K1からK2まで押し縮める力であり、かつ、係合孔 331内において係合ピン 502が自由に移動でき、更にノブ43の先端部 431とフックスライダ33の頭部 333とが離れているので、何らかの原因で開いているドアDのフックケース35の底部からフック5が出ている場合でも、軽い力でフック5をフックケース35内に納めることができて、手などをフック5に引っかけることもなく、また図2(A)のようにドアDがロックされた状態において、ノブ43を引いてもドアDが開かない場合でも、ドアDとストライカ本体 362の間に薄いものを差し込んで、フック5を回動し、錠前が故障した緊急時においてもドアロックを解除することができる。
【0072】
上記フックスライダ33のスライドにおいて、図3に示すようにフックスライダ33には中央ガイド面 336と先端ガイド面 334を形成し、図7に示すようにフックケース35に形成したガイド面 351とガイド面 353および軸34によりガイドするようにしたので、フックスライダ33のスライドを円滑に行うことができる。また、フックケース35にガイド面 351を設けると共に、壁面を切り起こしてガイド面 353を形成したので、このガイド面はプレス加工により簡単に形成することができると共に、ガイドとしての特別な機構はなく、部品点数を少なくすることができる。
【0073】
上記説明では係合孔 331をフックスライダ33にあけ、係合ピン 502をフック5に設けたものを示したが、係合孔 331をフック5にあけ、係合ピン 501をフックスライダ33に植設するようにしてもその作用は同じである。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述した通り請求項1の記載に基づいて、発明の詳細な説明から把握される本発明によれば、フックケースに回動可能に軸支したフックの係止部が、フックスライダの移動方向と同一方向にフックケースの底部より出没可能なようにし、かつ、スライドボタンをフックケースの底部からフックスライダの移動方向に出没可能に取り付け、引き戸の開閉移動方向とフックスライダのスライド方向を一致させて、フックの係止部とスライドボタンを出没させるので、特別な連結機構を要することなく、ドアの開閉力を利用して施錠および施錠の解除を行うことができ、部品点数を少なくして加工性および組付性を向上すると共に、引き戸を開閉するだけで、施錠および施錠解除ができるので、その取扱を容易にすることができる。
【0075】
また、スライドボタンをフックケースの底部からフックスライダの移動方向に出没可能にフックスライダに直接取り付け、スライドボタンとフックスライダとの間の連結部材を不要にし、かつ、フックボタンは直接フックスライダにより移動させられ、フックボタンを移動させるためのスプリングやカムプレートを省略したので、部品点数を少なくすることができ、加工性および組付性を向上することができる。
【0076】
そして、フックスライダとフックの端部との間をねじりコイルバネで連結し、フックスライダの移動によってフックが回転するように、フックとフックスライダとを連結し、ロック部材を用いることなく、ねじりコイルバネの弾性力により、フックの係止部とストライカとの間の係合を維持して引き戸の開きをロックし、開き戸の開きロックの解除は、ロック解除部材を用いることなく、フックスライダを移動してフックを回動し、フックの係止部とストライカの係合を解除するようにしたので、部品点数をすくなくすることができ、加工性および組付性を向上することができる。
【0077】
また、請求項2および3の記載に基づいて、発明の詳細な説明から把握される本発明において、ドアを閉めた状態でストライカとスライドボタンの先端との間に所定の隙間を形成した場合、あるいはスライドボタンを伸縮可能にした場合には、特別な解除手段を設けることなく、引き戸を開けない状態でフックのみを回動し、引き戸のロックを解除することができるので、部品点数を少なくし加工性および組付性を向上することができる。
【0078】
また、請求項4の記載に基づいて発明の詳細な説明から把握される本発明によれば、ストライカをストライカ取付プレートとストライカ本体とで形成し、ストライカ取付プレートに対してストライカ本体を移動可能にし、フックとストライカ本体との間の位置合わせを容易に行うことができるようにしたので、ストライカの取り付けが多少ずれていてもストライカの位置調整を行うことができ、その組付性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を一部縦断面して示した図である。
【図2】図1に示した実施例の要部の作動状態を示した図である。
【図3】図1におけるフックスライダの平面図である。
【図4】図3の一部を縦断面して示した側面図である。
【図5】図6のX−X線における縦断面図である。
【図6】図1におけるフックケースの一方を示す正面図である。
【図7】図1におけるフックケースの組み立て分解斜視図である。
【図8】図9のY−Y線におけるストライカの縦断面図である。
【図9】図1におけるストライカの平面図である。
【図10】図9のZ−Z線における縦断面図である。
【図11】図1におけるストライカ取付プレートの縦断面図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】図1におけるナットの平面図である。
【図14】ストライカの他の実施例のフロントプレートの平面図である。
【図15】ストライカ本体の他の実施例を示す平面図である。
【図16】ワッシャーの平面図である。
【図17】図14から図16に示すストライカの使用態様を示す縦断面図である。
【図18】図14から図16に示すストライカの他の使用態様を示す縦断面図である。
【図19】図14から図16に示すストライカの更に他の使用態様を示す縦断面図である。
【図20】図1における把手とフックスライダとの関係を示す横断面図である。
【図21】図1における把手の正面図である。
【図22】係合孔の他の実施例を示す模式図である。
【図23】フックが突出した状態で引き戸を閉めた時の状態を示す図である。
【図24】図22における係合孔に対する要部の作動状態を示した図である。
【図25】従来例を示す図である。
【図26】他の従来例を示す図である。
【図27】更に他の従来例を示す図である。
【符号の説明】
4 スライドボタン
5 フック
501 係止部
502 係合ピン
503 ピン
33 フックスライダ
331 係合孔
332 ピン
333 頭部
334 先端ガイド面
335 ストッパ面
336 中央ガイド面
337 腕
34 軸
35 フックケース
351 ガイド面
352 ガイドフランジ
353 ガイド面
354 軸孔
355 取付フランジ
356 サイドフランジ
357 天井フランジ
358 把手取付孔
36 ストライカ
361 ストライカ取付部材
362 ストライカ本体
363 フック孔
364 傾斜面
365 U溝
37 ねじりコイルバネ
38 取付プレート
39 孔
40 ストライカ取付プレート
401 ストライカ嵌合孔
402 ストライカ固定孔
403 プレート固定孔
Claims (2)
- 引き戸側に設けたフックケースの底部からフックの係止部を出没させて、柱あるいは壁等に設けたストライカにフックの係止部を係合および係合解除するようにした引き戸用錠前において、フックケース35に概略J字形のフック5を軸34で回動可能に軸支すると共に、フックスライダ33を引き戸の開閉方向に移動可能に設け、フック5はその上端部にねじりコイルバネ37の一端を取り付けるためのピン503を有し、該ピン503とフック5を軸支する軸34との間の位置に係合ピン502を備えており、フックスライダ33は上端部にスライドボタン4と前記ねじりコイルバネ37の他端を取り付けるためのピン332を備え、かつフック5の係合ピン502に係合する係合孔331を備えており、スライドボタン4は引き戸が開いた状態のときにフックケース35より突出していて、引き戸を閉じるときスライドボタン4の先端がストライカに当接してフックスライダ33を移動させ、フックスライダ33の係合孔331の移動とねじりコイルバネ37の弾性力とによってフックケースの底部からフック5の係止部501を突出させてストライカに係合させるとともにフックスライダ 33 を移動させてスライドボタン4とストライカとの間に隙間Cができるようにしたことを特徴とする引き戸用錠前。
- 引き戸を閉めた状態から引き戸を開ける際に、ストライカからのフックの当接を解除するために、ストライカ方向にフックスライダを押す手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の引き戸用錠前。
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