JP3837439B2 - 新規セフェム化合物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた抗菌作用を有する新規セフェム化合物、及び該化合物を含む医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
第3世代のセファロスポリンの広範な使用に伴い、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が起こす感染症が重要な問題となっている。第3世代のセファロスポリンはグラム陰性桿菌に対する抗菌力は強いもののグラム陽性球菌に対する抗菌力が低下しているため、β−ラクタム系抗生物質に耐性の黄色ブドウ球菌が増加し、難治性感染症として深刻な問題となっている。現在MRSAの引き起こす感染症の治療薬として有効なものとしては、ポリペプチド系抗生物質であるバンコマイシンのみであるが、バンコマイシンは湿疹、腎毒性の副作用等があり慎重な投与が必要である。
【0003】
抗菌作用を有する3−チオビニルセファロスポリン誘導体としては、例えば、特公昭62−17592号公報及び特開昭59−130292号公報(欧州特許公開第111281号明細書)に記載された化合物が知られている。特に、後者の公報中にはセファロスポリン骨格の3位にチオビニル−第4級アンモニウム塩を有する化合物が記載されている。しかしながら、これら先行技術には3−チオビニルセファロスポリン誘導体がMRSAに有効であるとの開示も示唆もない。
【0004】
第4級アンモニウム塩を有するセファロスポリン化合物も数多く知られている(特開昭59−130292号公報、国際公開WO94/06804号公報等参照)。これらの化合物は優れた抗菌活性を示すが、水に対する溶解度が低く、医薬品としての開発が断念されている。更に、一般的に従来のセファロスポリン系化合物においては、MRSAを含むグラム陽性菌に対する抗菌活性は水溶性が高くなればその抗菌活性は低下し、逆に抗菌活性が高くなると水溶性が悪くなる等、水溶性と抗菌活性とは相反する関係にあり、高い水溶性と強い抗菌活性とを兼備するセファロスポリン系化合物の開発は非常に困難であった。近年、高い水溶性と強い抗菌活性とを兼備するセフェム化合物の開発もなされているが、斯かるセフェム化合物は極めて毒性が高く安全性の点で問題がある。而してMRSAに対して優れた抗菌活性を発現し、水に対する溶解性が高く、しかも低毒性で安全性の高いセフェム化合物の開発が要望されているが、斯かる要望を満足するセフェム化合物は未だ開発されるに至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた抗菌力を有するセフェム化合物、殊にMRSAに対して有効であり且つ水溶性が高く、低毒性で安全性の高い新規なセフェム化合物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために、種々のセフェム化合物を合成し、検討した結果、セファロスポリン骨格の3位にチオビニル−第4級アンモニウム塩を有する化合物にスルホン酸基を導入したセフェム化合物が高い水溶性及び低毒性を示し、且つ優れた抗菌活性、特にMRSAを含むグラム陽性菌に対して強い抗菌活性を有することを見い出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明によれば、一般式
【0008】
【化5】
Figure 0003837439
【0009】
[式中R1はカルボキシレート又はカルボキシル基を示す。R2はアシルアミノ基を示す。Rは
【0010】
【化6】
Figure 0003837439
【0011】
を示す。ここでR3はスルホ低級アルキル基又は基−(CH2n−A(基中、Aは環が置換されてもよいスルホフェニル基、nは1〜5の整数示す。)を示す。B-は陰イオンを示す。fはR1がカルボキシレート(COO-)を示す場合には0を、R1がカルボキシル基(COOH)を示す場合には1を示す。Cで表わされる環は低級アルキル基で置換されることのある窒素数4以下の5員複素環基を示す。]
で表されるセフェム化合物、そのセフェムカルボキシ保護エステル及びその非毒性塩が提供される。
【0012】
本発明によれば、Rが
【0013】
【化7】
Figure 0003837439
【0014】
(R3、B-及びfは前記に同じ)である上記一般式(1)のセフェム化合物、そのセフェムカルボキシ保護エステル及びその非毒性塩が提供される。
【0015】
本発明によれば、Rが
【0016】
【化8】
Figure 0003837439
【0017】
(R3、C、B-及びfは前記に同じ)である上記一般式(1)のセフェム化合物、そのセフェムカルボキシ保護エステル及びその非毒性塩が提供される。
【0018】
本発明によれば、Cで表わされる環がオキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、チアジアゾール、トリアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、テトラゾール等の1個の酸素原子又は硫黄原子を含有することのある窒素数4以下の5員複素環である上記一般式(1)のセフェム化合物、そのセフェムカルボキシ保護エステル及びその非毒性塩が提供される。
【0019】
更に本発明によれば、上記一般式(1)のセフェム化合物、そのセフェムカルボキシ保護エステル及びその非毒性塩から選ばれる少なくとも1種と薬学的に許容される担体とからなる、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌が起こす感染症を治療するための医薬組成物が提供される。
【0020】
上記一般式(1)で表されるセフェム化合物、そのセフェムカルボキシ保護エステル及びその非毒性塩は、高い水溶性及び低毒性を示し、且つ優れた抗菌活性、特にMRSAを含むグラム陽性菌に対して強い抗菌活性を発現し得る化合物である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本明細書において示される基は、より具体的にはそれぞれ次の通りである。
【0022】
低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基等を例示できる。
【0023】
スルホ低級アルキル基としては、スルホメチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、5−スルホプロピル基等の炭素数1〜5のスルホ低級アルキル等基を例示できる。
【0024】
Aで表される環が置換されてもよいスルホフェニル基の置換基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、塩素、臭素、沃素、フッ素原子等のハロゲン原子、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル等のハロゲン化メチル基、アセトキシ等のアルカノイルオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基等が例示できる。
【0025】
Cで表わされる環は低級アルキル基で置換されることのある窒素数4以下の5員複素環であり、その具体例としては、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、オキサチアゾール、チアジアゾール、オキサチアジアゾール、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、テトラゾール等の1個の酸素原子又は硫黄原子を含有することのある窒素数4以下の5員複素環を挙げることができる。これらの複素環の窒素原子や炭素原子上には低級アルキル基が1個置換していてもよい。
【0026】
2で示されるアシルアミノ基としては、基R4CH2CONH−(基中、R4は窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を含有していてもよい、置換基を有し又は有しない5〜6員環芳香環基を示す。)、基
【0027】
【化9】
Figure 0003837439
【0028】
[基中、R5はアミノ又は保護されたアミノ基を、R6は水素原子、低級アルキル基、低級シクロアルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、カルボキシ低級アルキル基を、ZはCH又はNをそれぞれ示す。]
等を例示できる。
【0029】
ここでR4を構成する5〜6員環芳香環基としては、具体的には、フェニル、チエニル、フリル、ピラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、オキサチアゾリル、オキサチアジアゾリル基等を例示できる。
【0030】
また上記5〜6員環芳香環基に置換していてもよい置換基としては低級アルキル基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子、カルバモイル基等が例示できる。ここで低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基等を例示できる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、沃素原子が例示できる。
【0031】
5で示される保護されたアミノ基としては、緩和な条件で容易に除去できる保護基を広く使用でき、具体的にはトリメチルシリル基等のトリ低級アルキルシリル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル基、アセチル基、tert−ブチルカルボニル基、メトキシアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基等のアシル系保護基、ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキル基系の保護基を例示できる。
【0032】
6で示される低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基等を例示でき、シクロ低級アルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等を例示でき、低級アルケニル基としては、ビニル、アリル、クロチル、2−ペンテニル、2−ヘキセニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基等を例示でき、低級アルキニル基としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、2−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、2−ヘキシニル基等の炭素数2〜6のアルキニル基等を例示でき、カルボキシ低級アルキル基としては、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチル、6−カルボキシヘキシル基等のアルキル部分の炭素数が1〜6のカルボキシアルキル基等を例示できる。
【0033】
-で示される陰イオンとしては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、過塩素酸等の無機酸の酸残基、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−クロロエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トシル酸、p−エチルスルホン酸、p−クロルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸等の有機酸の酸残基等を例示できる。
【0034】
セフェムカルボキシ保護エステルには、セフェム合成において汎用される保護エステル及び薬学的に許容される保護エステルが包含される。セフェム合成において汎用される保護エステルとは、β−ラクタム化合物に種々の化学的修飾を施す際に安定であり、且つ後記の薬学的に許容される保護エステルに導く際には容易に脱離させることができるエステルである。薬学的に許容される保護エステルとは、in vivoで容易に加水分解され得るものであり、ヒトの血中や組織において迅速に分解され得る非毒性のエステルである。これらエステルとしては、抗生物質の分野で通常用いられている公知のものでよく、具体的には例えば特開昭49−81380号公報及びエッチ.イー.フライン編セファロスポリン アンドペニシリンズ、ケミストリー アンド バイオロジー(1972年 アカデミックプレス発行)に記載のものをいずれも使用できる。好ましいものとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−シクロプロピルメチル、ペンチル、ヘキシル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル基等の炭素数1〜18のアルキル基、ヨードデシル、クロルメチル、2,2−ジブロモエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2,2,2−トリブロモエチル基等の塩素、臭素又は沃素原子が1〜3個置換したハロゲノ低級アルキル基、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、p−ニトロベンジル、o−メトキシベンジル、p−メトキシベンジル、ジ(p−メトキシフェニル)メチル基等のニトロ基又はアルコキシ基が置換していてもよいフェニル基が1〜3個置換したメチル基、メトキシメチル、エトキシメチル、n−プロピルオキシメチル、イソプロピルオキシメチル、n−ブトキシメチル、イソブトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基、アセトキシメチル、アセトキシエチル、プロピオニルオキシエチル、n−ブチリルオキシメチル、イソブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、1−アセトキシエチル、ピバロイルオキシエチル、ピバロイルオキシプロピル、1−プロピオニロキシブチル基等の低級アルキルカルボニルオキシ低級アルキル基、シクロペンチルカルボニルオキシメチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキルカルボニルオキシ−低級アルキル基、ベンジルカルボニルオキシメチル基等のベンジルカルボニルオキシ低級アルキル基、ベンゾイルオキシメチル、ベンゾイルオキシエチル基等のベンゾイルオキシ低級アルキル基、メトキシ−カルボニルオキシメチル、1−エトキシ−カルボニルオキシエチル、3−メトキシ−カルボニルオキシプロピル基等の低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル基、ベンジルオキシメチル、ベンジルオキシエチル基等のベンジルオキシ低級アルキル基等の他、2−シアノ−1,1−ジメチルエチル、ブロモベンゾイルメチル、p−ニトロベンゾイルメチル、ジメチルアミノメチル、メチルチオメチル、フェニルチオメチル、スクシンイミドメチル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,3−ジメチル−3−ブテイル、3−フタリジル、クロトノラクトン−4−イル、γ−ブチロラクトン−4−イル、テトラヒドロピラニル、ジメチルアミノエチル、ジメチルクロロシリル、トリクロロシリル、(2−オキソ−1,3−ジオキソデン−4−イル)メチル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソデン−4−イル)メチル、(5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソデン−4−イル)メチル、ピリジン−1−オキサイド−2−メチル、キノリン−1−オキサイド−2−メチル基等を例示できる。
【0035】
一般式(1)の化合物の非毒性塩としては、医薬上許容される塩類、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩、硫酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩等の有機カルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、ヒドロキシメタンスルホン酸塩、タウリン塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の有機スルホン酸塩、アルギニン塩、リジン塩、セリン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、グリシン塩等のアミノ酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、本発明のセフェム化合物、そのセフェムカルボキシ保護エステル又はその非毒性塩は、水和物に代表される溶媒和物として存在することもある。
【0036】
上記一般式(1)の化合物及びその非毒性塩の中で好ましいものは、7−[2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(4−スルホフェネチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−メチル−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−メトキシ−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−フルオロ−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−トリフルオロメチル−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、及び7−[ 2−(2−チエニル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩から選ばれる少なくとも一種の化合物である。これらの中でも特に好ましい化合物は、7−[2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−2−メチル−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩である。
【0037】
本発明において、本発明の化合物(1)及び原料化合物には、シス異性体、トランス異性体、及びシス,トランス混合物が包含されるものとする。
【0038】
本発明化合物(1)については、例えばシス異性体は下記一般式(2)で表される部分構造を有する幾何異性体を意味し、トランス異性体は下記式(3)で表される部分構造を有する他の幾何異性体を意味する。
【0039】
【化10】
Figure 0003837439
【0040】
また、本発明において、R2で示されるアシルアミノ基が基
【0041】
【化11】
Figure 0003837439
【0042】
である場合、C=N−OR6部分の二重結合の存在に起因する幾何異性体(シン異性体及びアンチ異性体)が存在するが、本発明の化合物にはいずれの異性体又はそれらの混合物が包含される。
【0043】
本発明化合物(1)について、例えばシン異性体は下記式(4)で表される部分構造を有する幾何異性体を意味し、アンチ異性体は下記式(5)で表される部分構造を有する幾何異性体を意味する。
【0044】
【化12】
Figure 0003837439
【0045】
本発明の化合物(1)及びその塩は、種々の方法によって製造されるが、その好ましい方法を示せば下記製造法−1に従い製造される。
【0046】
【化13】
Figure 0003837439
【0047】
[式中、R7はセフェムカルボキシ保護基を、R’は
【0048】
【化14】
Figure 0003837439
【0049】
を示す。ここでR、R1、R2、R3、n、B-及びCは前記に同じ。〕
上記製造法−1によれば、一般式(1)で表される本発明の化合物は、一般式(6)で表されるアミン化合物と必要ならばオキシム基又はアミノ基が保護されたカルボン酸化合物又はそのカルボキシ基が活性化された反応性誘導体とを通常のアミド結合生成反応させ、次いで得られる生成物から保護基を除去することにより製造できる。
【0050】
ここでR7で示されるセフェムカルボキシ基の保護基としては、トリメチルシリル基等のトリ低級アルキルシリル基、ベンズヒドリル基、p−メトキシベンジル基、tert−ブチル基、p−ニトロベンジル基、フェナシル基等の通常この分野に用いられる、容易に除去し得るカルボキシ基の保護基を例示できる。アミノ基の保護基としては、緩和な条件で容易に除去できる保護基を広く使用でき、具体的にはトリメチルシリル基等のトリ低級アルキルシリル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル基、アセチル基、tert−ブチルカルボニル基、メトキシアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基等のアシル系保護基、ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキル基系の保護基を例示できる。オキシム保護基としては、アセチル基、トリチル基、テトラヒドロピラニル基等の緩和な条件で容易に除去し得るこの分野で一般的に使用される保護基を例示できる。
【0051】
一般式(6)で表されるアミン化合物とカルボン酸化合物又はその反応性誘導体との反応には、通常用いられている公知のアミド結合生成反応の条件が適用できる。
【0052】
カルボン酸化合物の反応性誘導体の例としては、例えば酸塩化物、酸臭化物等の酸ハライド、置換リン酸、ジアルキル亜リン酸、亜硫酸、チオ硫酸、炭酸アルキル、有機カルボン酸等の酸との酸無水物及び対称酸無水物、イミダゾール、ジメチルピラゾール等との活性酸アミド、p−ニトロフェニルエステル、フェニルチオエステル、カルボキシメチルチオエステル又はN−ヒドロキシピペリジン、N−ヒドロキシサクシノイミド、N−ヒドロキシフタルイミド等のN−ヒドロキシ化合物とのエステル等の活性エステルが挙げられる。
【0053】
上記反応において、カルボン酸化合物を遊離のカルボン酸の状態で使用する場合には、N,N−ジエチルカルボジイミド、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を用いることが好ましい。
【0054】
上記反応で用いられる溶媒は反応に関与しなければ特に制限はなく、また反応温度は通常冷却下又は室温付近で行われる。溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン等のアミン類、酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、アセトン等やこれらの混合溶媒を例示できる。
【0055】
更に用いられるカルボン酸の反応性誘導体の種類によっては塩基性化合物の存在下に反応を行うことが好ましい場合もある。斯かる塩基性化合物としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン類、ピリジン、ピコリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7等の有機塩基、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基を例示できる。上記反応において一般式(6)で表されるアミン化合物に対するカルボン酸化合物又はその反応性誘導体の使用量は、通常1〜10倍モル量程度、好ましくは1〜3倍モル量程度がよい。また一般式(6)で表わされるアミン化合物に対する塩基性化合物の使用量は、通常1〜30倍モル量程度、好ましくは2〜10倍モル量程度とするのがよい。反応時間は通常1〜24時間程度、好ましくは1〜6時間程度である。
【0056】
上記で得られたアミド結合生成物から保護基を除去するには、例えば保護基がトリ低級アルキルシリル基等である場合には、水で処理することにより行うことができる。また、ベンズヒドリル基、p−メトキシベンジル基、tert−ブチル基等の保護基である場合には、ギ酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、アニソール−トリフルオロ酢酸、酢酸、フェノール、クレゾール類等で処理すれば除去できる。
【0057】
上記反応終了後、各種の合成吸着剤やイオン交換樹脂、より具体的にはダイヤイオンHP−20、HP−21、SP−207、CHP−20P(三菱化成工業)等のハイポーラスポリマー、アンバーライトXAD−2(ローム&ハス社)等を用いたカラムグラフィーにより精製することにより、一般式(1)の本発明化合物を得ることができる。
【0058】
【化15】
Figure 0003837439
【0059】
[式中R2aはオキシム基又はアミノ基が保護されたR2を示す。R8はハロゲン原子、低級アシルオキシ基又はスルホニルオキシ基を示す。R、R2、R3、B-及びCは前記に同じ)
上記製造法−2によれば、一般式(1)で表される本発明化合物は、一般式(7)で表されるセファロスポリン化合物又はその塩類と一般式(8)又は(9)で表されるメルカプト化合物とを反応させ、次いで得られた化合物から保護基を除去することにより、一般式(1)の本発明化合物を得ることができる。
【0060】
化合物(7)と化合物(8)又は化合物(9)との反応は、通常アセトン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、水、リン酸緩衝液等の有機溶媒又は親水性有機溶媒と水との混合液中で行われる。上記反応の反応系内に塩基や塩類を添加することによって反応を促進させることもできる。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン等の有機アミンを挙げることができる。また塩類としてはテトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩が例示できる。化合物(7)と化合物(8)又は化合物(9)との使用割合としては、特に限定されるものではないが、通常化合物(7)に対して化合物(8)又は化合物(9)を1〜20当量、好ましくは1〜5当量用いるのがよい。該反応は通常冷却下又は室温付近で行われる。
【0061】
斯くして得られた化合物は製造法−1において示した方法により保護基の除去を行うことができ、一般式(1)の本発明化合物が容易に製造される。
【0062】
化合物(8)においては、チオール基の結合位置によって、互変異性平衡の状態にあり、次のような関係にあり、そのような異性体は化合物それ自体同じ範疇に含まれる。このような互変異性体型を含む化合物(8)は便宜上一方の表現を用いるが他方の異性体をも包含することは言うまでもない。
【0063】
【化16】
Figure 0003837439
【0064】
上記反応終了後、各種の合成吸着剤やイオン交換樹脂、より具体的にはダイヤイオンHP−20、HP−21、SP−207、CHP−20P(三菱化成工業)等のハイポーラスポリマー、アンバーライトXAD−2(ローム&ハス社)等を用いたカラムグラフィーにより精製することにより、一般式(1)の本発明化合物を得ることができる。
【0065】
また、上記で得られる一般式(1)の化合物は、公知の方法に従い、所望の生理学的に受容され且つ代謝上不安定な無毒のエステルへと変換され得る。
【0066】
また、一般式(1)の化合物の非毒性塩は、上記で得られる一般式(1)の化合物に例えば塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸等の無機酸、クエン酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸等の有機カルボン酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシメタンスルホン酸、タウリン、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸、アルギニン、リジン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸化物等を慣用の方法に従い作用させることにより、容易に製造され得る。
【0067】
本発明の化合物(1)は、適当な製剤用担体を用いて通常の方法に従い、医薬組成物とされる。ここで用いられる担体としては、通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0068】
本発明医薬組成物を人を含む哺乳動物の感染症、殊にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の引き起こす感染症の治療剤として使用する際の投与単位形態としては特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には注射剤、坐剤、点眼剤、軟膏剤、エアゾール剤等の非経口剤、錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、丸剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤を例示できる。
【0069】
上記各種薬剤は、この分野で通常知られた製剤方法により製剤化される。錠剤、散剤、顆粒剤等の経口用固形製剤の形態に成形するに際しては、担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、メチルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等の賦形剤、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、水、エタノール、リン酸カリウム等の結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン酸、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠、二重錠、多層錠等とすることができる。
【0070】
丸剤の形態に成形するに際しては、担体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
【0071】
カプセル剤は上記で例示した各種の担体と混合し、硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調製される。
【0072】
坐剤の形態に成形するに際しては、担体として例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、ラノリン、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド、ウィテップゾール(登録商標ダイナマイトノーベル社)等に適当な吸収促進剤を添加して使用できる。
【0073】
注射剤の形態に成形するに際しては、担体として例えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等の希釈剤、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のpH調整剤及び緩衝剤、ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸等の安定化剤等を使用できる。なお、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖又はグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、無痛化剤、局所麻酔剤等を添加してもよい。これらの担体を添加して、常法により皮下、筋肉内、静脈内用注射剤を製造することができる。
【0074】
液体製剤は水性又は油性の懸濁液、溶液、シロップ、エリキシル剤であってもよく、これらは通常の添加剤を用いて常法に従い、調製される。
【0075】
軟膏剤、例えばペースト、クリーム及びゲルの形態に調製するに際しては、希釈剤として例えば白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト等を使用できる。
【0076】
上記製剤中に含有されるべき本発明化合物(1)の量としては、剤型、投与経路、投与計画等により異なり一概には言えず広い範囲内から適宜選択されるが、通常製剤中に1〜70重量%程度とするのがよい。
【0077】
上記製剤の投与方法は、例えば経腸投与、経口投与、直腸投与、口腔内投与、経皮投与等特に制限されず、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、患者の症状の程度等に応じて適宜決定される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には、経口投与される。また注射剤の場合には単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。軟膏剤は、皮膚、口腔内粘膜等に塗布される。
【0078】
本発明の化合物(1)の投与量は、用法、患者の年齢、状態、病気の種類、投与する本発明化合物(1)の種類等に応じて適宜選択される。一般に本発明化合物(1)は、1日100mgから約10g、更にはそれ以上の量が患者に投与できる。病原菌感染症の治療には、本発明化合物(1)の1回当りの平均投与量として約50mg、100mg、250mg、1000mg、2000mgの量が使用できる。
【0079】
【実施例】
以下に実施例及び試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
【0080】
実施例1
【0081】
【化17】
Figure 0003837439
【0082】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−[(E)−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシビニル]−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル767mg(0.64ミリモル)、1−(2−スルホエチル)−4−チオピリドン・トリエチルアミン塩(294mg)をジメチルホルムアミド(3.8ml)に溶解し、25℃で3.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル(100ml)を加え水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をクロロホルム(5.0ml)に溶解後ジイソプロピルエーテル(60ml)中へ滴下し、生成した沈殿物を減圧下乾燥して、粉末として7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩(940mg)を得た。
【0083】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.02(2H,t,J=6.3Hz),3.55(1H,ABq,J=16.8Hz),4.19(1H,ABq,J=16.8Hz),4.63(2H,t,J=6.3Hz),5.36(1H,d,J=4.8Hz),5.98(1H,dd,J=4.8,8.4Hz),6.61(1H,s),6.99(1H,s),7.45(32H,m),7.84(2H,d,J=7.2Hz),8.68(1H,d,J=7.2Hz),8.79(1H,s),9.92(1H,d,J=8.4Hz)。
【0084】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩940mg(0.65ミリモル)をクロロホルム(5.0ml)に溶解し、88%ギ酸(2.2ml)及び濃塩酸(0.22ml)を加え25℃にて3.5時間撹拌した。反応終了後クロロホルム(5.0ml)を加え、分液後、上層をクロロホルムにて洗浄し(5.0ml×3回)、その後ギ酸層をジイソプロピルエーテル(15ml)及びアセトン(45ml)の混合液中に滴下し、生成した沈殿物をアセトンにて洗浄し、塩酸塩として脱保護体(485mg)を得た。次にこれを重曹水溶液(7ml)として、常法に従い、ダイヤイオンHP−21カラムにより精製(溶出液;アセトニトリル/水)し、凍結乾燥品として7−[2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(278mg)を得た。
【0085】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.06(2H,t,J=6.3Hz),3.55(1H,ABq,J=16.8Hz),3.79(1H,ABq,J=16.8Hz),4.66(2H,t,J=6.3Hz),5.08(1H,d,J=4.8Hz),5.64(1H,dd,J=4.8,8.4Hz),6.52(1H,d,J=15.6Hz),6.65(1H,s),7.12(2H,brs),7.50(1H,d,J=15.6Hz),7.92(1H,d,J=6.9Hz),8.70(1H,d,J=7.2Hz),9.45(1H,d,J=8.4Hz),11.35(1H,s)。
【0086】
実施例2
【0087】
【化18】
Figure 0003837439
【0088】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−[(E)−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシビニル]−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル1.2g(1.0ミリモル)、1−(4−スルホフェネチル)4−チオピリドン・トリエチルアミン塩 420mg(1.1ミリモル)をジメチルホルムアミド(6ml)に溶解し、25℃で4.0時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル(120ml)を加え水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をクロロホルム(6ml)に溶解後ジイソプロピルエーテル(60ml)中へ滴下し、生成した沈殿物を減圧下乾燥して、粉末として7−[ 2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(4−スルホフェネチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩(1.09g)を得た。
【0089】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.21(2H,t,J=7.1Hz),3.75(1H,ABq,J=17.1Hz),4.14(1H,ABq,J=17.1Hz),4.72(2H,t,J=7.1Hz),5.46(1H,d,J=5.4Hz),5.99(1H,dd,J=5.4,8.1Hz),6.59(1H,s),6.99(1H,s),7.45(36H,m),8.12(2H,d,J=6.9Hz),8.70(2H,d,J=6.9Hz),8.79(1H,s),9.95(1H,d,J=8.1Hz)。
【0090】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(4−スルホフェネチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩1.08g(0.72ミリモル)をクロロホルム(3.9ml)に溶解し、88%ギ酸(2.6ml)及び濃塩酸(0.181ml)を加え25℃にて3時間撹拌した。反応終了後クロロホルム(3.9ml)を加え、分液後、上層をクロロホルムにて洗浄し(3.9ml×3回)、その後ギ酸層をジイソプロピルエーテル(5.5ml)及びアセトン(20ml)の混合液中に滴下し、生成した沈殿物をアセトンにて洗浄し、塩酸塩として脱保護体(572mg)を得た。次にこれを重曹水溶液(12ml)として、常法に従い、ダイヤイオンHP−21カラムにより精製(溶出液;アセトニトリル/水)し、凍結乾燥品として7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(4−スルホフェネチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(290mg)を得た。
【0091】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.18(2H,t,J=7.1Hz),3.53(1H,ABq,J=17.1Hz),3.76(1H,ABq,J=17.1Hz),4.68(2H,t,J=7.1Hz),5.08(1H,d,J=5.4Hz),5.64(1H,dd,J=5.4,8.1Hz),6.51(1H,d,J=15.3Hz),6.64(1H,s),7.12(2H,brs),7.15(2H,d,J=8.4Hz),7.49(1H,d,J=15.6Hz),7.50(2H,d,J=8.4Hz),7.96(2H,d,J=6.9Hz),8.67(2H,d,J=6.9Hz),9.44(1H,d,J=8.1Hz),11.4(1H,s)。
【0092】
実施例3
【0093】
【化19】
Figure 0003837439
【0094】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−[(E)−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシビニル]−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル1.2g(1.0ミリモル)、1−(4−スルホベンジル)−4−チオピリドン ・トリエチルアミン塩 523mg(1.9ミリモル)をジメチルホルムアミド(6ml)に溶解し、25℃で6.0時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル(120ml)を加え水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をクロロホルム(6ml)に溶解後ジイソプロピルエーテル(60ml)中へ滴下し、生成した沈殿物を減圧下乾燥して、粉末として7−[ 2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩(1.05g)を得た。
【0095】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.73(1H,ABq,J=17.1Hz),4.15(1H,ABq,J=17.1Hz),5.36(1H,d,J=4.8Hz),5.68(2H,s),5.98(1H,dd,J=4.8,8.4Hz),6.61(1H,s),6.98(1H,s),7.45(36H,m),8.09(2H,d,J=7.2Hz),8.79(1H,s),8.90(2H,d,J=7.2Hz),9.95(1H,d,J=8.4Hz)。
【0096】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩1.04g(0.70ミリモル)をクロロホルム(3.9ml)に溶解し、88%ギ酸(2.6ml)及び濃塩酸(0.173ml)を加え25℃にて3時間撹拌した。反応終了後クロロホルム(3.9ml)を加え、分液後、上層をクロロホルムにて洗浄し(3.9ml×3回)、その後ギ酸層をジイソプロピルエーテル(5.5ml)及びアセトン(20ml)の混合液中に滴下し、生成した沈殿物をアセトンにて洗浄し、塩酸塩として脱保護体(565mg)を得た。次にこれを重曹水溶液(20ml)として、常法に従い、ダイヤイオンHP−21カラムにより精製(溶出液;アセトニトリル/水)し、凍結乾燥品として7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(320mg)を得た。
【0097】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.53(1H,ABq,J=17.1Hz),3.74(1H,ABq,J=17.1Hz),5.08(1H,d,J=4.8Hz),5.65(1H,dd,J=4.8,8.4Hz),5.68(2H,s),6.50(1H,d,J=15.3Hz),6.64(1H,s),7.11(2H,brs),7.40(2H,d,J=8.4Hz),7.50(1H,d,J=15.3Hz),7.61(2H,d,J=8.4Hz),7.99(2H,d,J=7.2Hz),8.81(2H,d,J=7.2Hz),9.44(1H,d,J=8.4Hz),11.4(1H,s)。
【0098】
実施例4
【0099】
【化20】
Figure 0003837439
【0100】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−[(E)−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシビニル]−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル1.2g(1.0ミリモル)、1−(2−メチル−4−スルホベンジル)−4−ピリドン・トリエチルアミン塩 440mg(1.1ミリモル)をジメチルホルムアミド(6ml)に溶解し、25℃で5.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル(120ml)を加え水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をクロロホルム(6ml)に溶解後ジイソプロピルエーテル(60ml)中へ滴下し、生成した沈殿物を減圧下乾燥して、粉末として7−[ 2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−メチル−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩(1.04g)を得た。
【0101】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
2.25(3H,s),3.74(1H,ABq,J=16.8Hz),4.15(1H,ABq,J=17.1Hz),5.36(1H,d,J=4.8Hz),5.77(2H,s),5.99(1H,dd,J=4.8,8.4Hz),,6.61(1H,s),6.99(1H,s),7.45(35H,m),8.13(2H,d,J=7.2Hz),8.77(2H,d,J=7.2Hz),8.79(1H,s),9.95(1H,d,J=8.4Hz)。
【0102】
7−[ 2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−メチル−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩1.03g(0.69ミリモル)をクロロホルム(3.9ml)に溶解し、88%ギ酸(2.6ml)及び濃塩酸(0.176ml)を加え25℃にて3時間撹拌した。反応終了後クロロホルム(3.9ml)を加え、分液後、上層をクロロホルムにて洗浄し(3.9ml×3回)、その後ギ酸層をジイソプロピルエーテル(5.5ml)及びアセトン(20ml)の混合液中に滴下し、生成した沈殿物をアセトンにて洗浄し、塩酸塩として脱保護体(522mg)を得た。次にこれを重曹水溶液(100ml)として、常法に従い、ダイヤイオンHP−21カラムにより精製(溶出液;アセトニトリル/水)し、凍結乾燥品として7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−メチル−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(282mg)を得た。
【0103】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
2.26(3H,s),3.53(1H,ABq,J=16.8Hz),3.73(1H,ABq,J=17.1Hz),5.08(1H,d,J=4.8Hz),5.64(1H,dd,J=4.8,8.4Hz),5.74(2H,s),6.55(1H,d,J=15.3Hz),6.64(1H,s),7.11(2H,brs),7.24(2H,d,J=8.1Hz),7.34(1H,d,J=1.8Hz),7.52(1H,dd,J=1.8,8.1Hz),7.52(1H,d,J=15.3Hz),8.03(2H,d,J=7.2Hz),8.66(2H,d,J=7.2Hz),9.44(1H,d,J=8.4Hz),11.4(1H,s)。
【0104】
実施例5
【0105】
【化21】
Figure 0003837439
【0106】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−[(E)−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシビニル]−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル1.2g(1.0ミリモル)、1−(2−メトキシ−4−スルホベンジル)−4−ピリドン・トリエチルアミン塩 460mg(1.1ミリモル)を(6ml)に溶解し、25℃で4.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル(120ml)を加え水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をクロロホルム(6ml)に溶解後ジイソプロピルエーテル(60ml)中へ滴下し、生成した沈殿物を減圧下乾燥して、粉末として7−[ 2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−メトキシ−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩(1.13g)を得た。
【0107】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.72(1H,ABq,J=17.1Hz),3.78(3H,s),4.13(1H,ABq,J=17.1Hz),,5.35(1H,d,J=5.1Hz),5.62(2H,s),5.97(1H,dd,J=5.1,8.4Hz),6.60(1H,s),6.99(1H,s),7.45(35H,m),8.13(2H,d,J=6.9Hz),8.79(1H,s),8.80(1H,d,J=6.9Hz),9.95(1H,d,J=8.4Hz)。
【0108】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−メトキシ−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩1.12g(0.75ミリモル)をクロロホルム(4.2ml)に溶解し、88%ギ酸(2.8ml)及び濃塩酸(0.187ml)を加え25℃にて3時間撹拌した。反応終了後クロロホルム(4.2ml)を加え、分液後、上層をクロロホルムにて洗浄し(4.2ml×3回)、その後ギ酸層をジイソプロピルエーテル(5.8ml)及びアセトン(21ml)の混合液中に滴下し、生成した沈殿物をアセトンにて洗浄し、塩酸塩として脱保護体(565mg)を得た。次にこれを重曹水溶液(100ml)として、常法に従い、ダイヤイオンHP−21カラムにより精製(溶出液;アセトニトリル/水)し、凍結乾燥品として7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−メトキシ−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(288mg)を得た。
【0109】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.52(1H,ABq,J=17.1Hz),3.73(1H,ABq,J=17.1Hz),3.78(3H,s),5.08(1H,d,J=5.1Hz),5.61(2H,s),5.64(1H,dd,J=5.1,8.4Hz),,6.51(1H,d,J=15.3Hz),6.64(1H,s),7.00(1H,d,J=8.4Hz),7.11(2H,brs),7.50(1H,d,J=15.3Hz),7.63(1H,dd,J=2.1,8.4Hz),7.76(1H,d,J=2.1Hz),7.95(2H,d,J=6.9Hz),8.70(2H,d,J=6.9Hz),9.44(1H,d,J=8.4Hz),11.4(1H,s)。
【0110】
実施例6
【0111】
【化22】
Figure 0003837439
【0112】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−[(E)−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシビニル]−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル1.2g(1.0ミリモル)、1−(2−フルオロ−4−スルホベンジル)−4−ピリドン・トリエチルアミン塩450mg(1.1ミリモル)をDMF(6ml)に溶解し、25℃で3.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル(120ml)を加え水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をクロロホルム(6ml)に溶解後ジイソプロピルエーテル(60ml)中へ滴下し、生成した沈殿物を減圧下乾燥して、粉末として7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−フルオロ−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩(823mg)を得た。
【0113】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.85(1H,ABq,J=17.1Hz),4.22(1H,ABq,J=17.1Hz),5.54(1H,d,J=4.8Hz),5.94(2H,s),6.11(1H,dd,J=4.8,7.8Hz),6.78(1H,s),7.11(1H,s),7.45(35H,m),8.22(2H,d,J=6.9Hz),8.90(1H,s),8.89(2H,d,J=6.9Hz),10.07(1H,d,J=7.8Hz)。
【0114】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−フルオロ−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩810mg(0.54ミリモル)をクロロホルム(3ml)に溶解し、88%ギ酸(2ml)及び濃塩酸(0.136ml)を加え25℃にて3時間撹拌した。反応終了後クロロホルム(3ml)を加え、分液後、上層をクロロホルムにて洗浄し(3ml×3回)、その後ギ酸層をジイソプロピルエーテル(4.2ml)及びアセトン(15.3ml)の混合液中に滴下し、生成した沈殿物をアセトンにて洗浄し、塩酸塩として脱保護体(387mg)を得た。次にこれを重曹水溶液(110ml)として、常法に従い、ダイヤイオンHP−21カラムにより精製(溶出液;アセトニトリル/水)し、凍結乾燥品として7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−フルオロ−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(142mg)を得た。
【0115】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.65(1H,ABq,J=17.1Hz),3.85(1H,ABq,J=17.1Hz),5.20(1H,d,J=4.8Hz),5.76(1H,dd,J=4.8,7.8Hz),5.81(2H,s),6.64(1H,d,J=15.3Hz),6.77(1H,s),7.24(2H,brs),7.36(1H,t,J=9.0Hz),,7.63(1H,d,J=15.3Hz),7.79(1H,m),7.93(1H,dd,J=1.8,7.2Hz),8.14(2H,d,J=6.9Hz),8.89(2H,d,J=6.9Hz),9.57(1H,d,J=7.8Hz),11.4(1H,s)。
【0116】
実施例7
【0117】
【化23】
Figure 0003837439
【0118】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−[(E)−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシビニル]−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル 1.2g(1.0ミリモル)、1−(2−トリフルオロメチル−4−スルホベンジル)−4−ピリドン・トリエチルアミン塩500mg(1.1ミリモル)をジメチルホルムアミド(6ml)に溶解し、25℃で4.0時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル(120ml)を加え水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をクロロホルム(6ml)に溶解後ジイソプロピルエーテル(60ml)中へ滴下し、生成した沈殿物を減圧下乾燥して、粉末として7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−トリフルオロメチル−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩(1.0g)を得た。
【0119】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.86(1H,ABq,J=17.1Hz),4.30(1H,ABq,J=17.1Hz),5.46(1H,d,J=4.8Hz),6.08(2H,s),6.10(1H,dd,J=4.8,8.1Hz),6.78(1H,s),7.13(1H,s),7.45(35H,m),7.99(1H,d,J=8.4Hz),8.07(1H,d,J=8.4Hz),8.11(1H,s),8.28(2H,d,J=7.2Hz),8.92(1H,s),8.93(2H,d,J=7.2Hz),10.09(1H,d,J=8.1Hz)。
【0120】
7−[2−トリチルオキシイミノ−2−(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−トリフルオロメチル−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩993mg(0.64ミリモル)をクロロホルム(3.6ml)に溶解し、88%ギ酸(2.4ml)及び濃塩酸(0.161ml)を加え25℃にて3時間撹拌した。反応終了後クロロホルム(3.6ml)を加え、分液後、上層をクロロホルムにて洗浄し(3.6ml×3回)、その後ギ酸層をジイソプロピルエーテル(5.0ml)及びアセトン(18ml)の混合液中に滴下し、生成した沈殿物をアセトンにて洗浄し、塩酸塩として脱保護体(515mg)を得た。次にこれを重曹水溶液(30ml)として、常法に従い、ダイヤイオンHP−21カラムにより精製(溶出液;アセトニトリル/水)し、凍結乾燥品として7−[2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−トリフルオロメチル−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(210mg)を得た。
【0121】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.67(1H,ABq,J=17.1Hz),3.89(1H,ABq,J=17.1Hz),5.21(1H,d,J=4.8Hz),5.77(1H,dd,J=4.8,8.1Hz),6.06(2H,s),6.65(1H,d,J=15.3Hz),6.77(1H,s),7.24(2H,brs),7.27(1H,d,J=8.4Hz),,7.66(1H,d,J=15.3Hz),7.98(1H,d,J=8.4Hz),8.08(1H,s),8.18(2H,d,J=7.2Hz),8.84(2H,d,J=7.2Hz),9.57(1H,d,J=8.1Hz),11.4(1H,s)。
【0122】
実施例8
【0123】
【化24】
Figure 0003837439
【0124】
7−[2−(2−チエニル)アセトアミド]−3−[(E)−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシビニル]−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル2.0g(3.0ミリモル)、1−(2−スルホエチル)−4−チオピリドン・トリエチルアミン塩 (1.06g)をジメチルホルムアミド(10ml)に溶解し、25℃で2.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル(200ml)、水(100ml)を加え、生じた不溶分ろ別し酢酸エチルで洗浄を行なった後に、減圧下乾燥して、粉末として7−[ 2−(2−チエニル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩(1.0g)を得た。
【0125】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.10(2H,t,J=6.6Hz),3.75(1H,ABq,J=17.1Hz),3.78(2H,s),4.20(1H,ABq,J=17.1Hz),4.66(2H,t,J=6.6Hz),5.23(1H,d,J=5.1Hz),5.82(1H,dd,J=5.1,8.4Hz),7.45(16H,m),8.02(2H,d,J=7.2Hz),8.78(1H,d,J=7.2Hz),9.20(1H,d,J=8.4Hz)。
【0126】
7−[2−(2−チエニル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボン酸ベンズヒドリルエステル・トリフルオロメタンスルホン酸塩1.0g(1.36ミリモル)をクロロホルム(6.0ml)に溶解し、88%ギ酸(4.0ml)及び濃塩酸(0.227ml)を加え25℃にて3時間撹拌した。反応終了後クロロホルム(5.0ml)を加え、分液後、上層をクロロホルムにて洗浄し(6.0ml×3回)、その後ギ酸層をジイソプロピルエーテル(75ml)及びアセトン(150ml)の混合液中に滴下し、生成した沈殿物をアセトンにて洗浄し、塩酸塩として脱保護体(700mg)を得た。次にこれを重曹水溶液(35ml)として、常法に従い、ダイヤイオンHP−21カラムにより精製(溶出液;アセトニトリル/水)し、凍結乾燥品として7−[ 2−(2−チエニル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(257mg)を得た。
【0127】
1H−NMR(DMSO−d6)δppm;
3.06(2H,t,J=6.6Hz),3.55(1H,ABq,J=17.1Hz),3.75(2H,s),3.79(1H,ABq,J=17.1Hz),4.66(2H,t,J=6.6Hz),5.03(1H,d,J=5.1Hz),5.51(1H,dd,J=5.1,8.4Hz),6.52(1H,d,J=15.3Hz),6.93(2H,m),7.35(1H,m),7.50(1H,d,J=15.3Hz),7.93(2H,d,J=7.2Hz),8.70(1H,d,J=7.2Hz),9.10(1H,d,J=8.4Hz)。
【0128】
試験例1
本発明化合物(1)の有用性を示すために、本発明の代表的化合物の寒天平板希釈法により各種細菌に対する抗菌力試験を行ない、各種細菌に対する菌発育最小阻止濃度(MIC値)をFMOX(フロモキセフ)と比較して試験した結果を示す。尚、試験化合物は以下の通りである。
【0129】
試験化合物
(a) 7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(実施例1)
(b) 7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(4−スルホフェネチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(実施例2)
(c) 7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−フルオロ−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(実施例6)
(d) 7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−トリフルオロメチル−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(実施例7)
(e) 7−[ 2−(2−チエニル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート(実施例8)
【0130】
【表1】
Figure 0003837439
【0131】
試験例2(水に対する溶解性試験)
実施例1〜実施例8で得られた各化合物について、水に対する溶解性を調べたところ、いずれの化合物も20℃の水100gに20g以上溶解した。また比較化合物として、国際公開WO94/06804号公報記載の下記化合物の溶解性も調べたところ、20℃の水100gに0.1g溶解した。
【0132】
比較化合物1:7−〔2−ヒドロキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド〕−3−〔2−(1−カルバモイルメチル−4−ピリジニオ)チオビニル〕−3−セフェム−4−カルボキシレート(トランス異性体)
比較化合物2:7−〔2−ヒドロキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド〕−3−〔2−(1−メチル−4−ピリジニオ)チオビニル〕−3−セフェム−4−カルボキシレート(トランス異性体)
以上の結果より、本発明の化合物は、比較化合物と比較して200倍以上の水溶解性を示した。この結果より、本発明薬剤を注射、点滴等により患者に投与するとき、溶媒量、投与時間が少なくて済み、患者への負担の軽減につながる他、溶解性を高めるために溶解補助剤等を混入させる必要がなく、製剤としての操作性の向上が考えられる。また、本発明薬剤を製造するに当たっては、大量生産が可能になる他、凍結乾燥の時間が短縮できる等の生産性の向上が示唆される。

Claims (6)

  1. 一般式
    Figure 0003837439
    [式中R1はカルボキシレート又はカルボキシル基を示す。R2はアシルアミノ基を示す。Rは
    Figure 0003837439
    を示す。ここでR3はスルホ低級アルキル基又は基−(CH2n−A(基中、Aは環が置換されてもよいスルホフェニル基、nは1〜5の整数示す。)を示す。B-は陰イオンを示す。fはR1がカルボキシレートを示す場合には0を、R1がカルボキシル基を示す場合には1を示す。Cで表わされる環は低級アルキル基で置換されることのある窒素数4以下の5員複素環を示す。]
    で表されるセフェム化合物、そのセフェムカルボキシ保護エステル又はその非毒性塩。
  2. Rが
    Figure 0003837439
    (R3、B-及びfは前記に同じ)である請求項1記載の化合物。
  3. Rが
    Figure 0003837439
    (R3、C、B-及びfは前記に同じ)である請求項1記載の化合物。
  4. Cで表わされる環がオキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアジアゾール、トリアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール又はテトラゾールである請求項3記載の化合物。
  5. 7−[2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(4−スルホフェネチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−メチル−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−メトキシ−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−フルオロ−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、7−[ 2−オキシイミノ−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−トリフルオロメチル−4−スルホベンジル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩、及び7−[ 2−(2−チエニル)アセトアミド]−3−{(E)−2−[1−(2−スルホエチル)−4−ピリジニオ]チオビニル}−3−セフェム−4−カルボキシレート又はその塩から選ばれる少なくとも一種の化合物。
  6. 請求項1記載の化合物と薬学的に許容される担体とからなる、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌が起こす感染症を治療するための医薬組成物。
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