JP3837395B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法、プラズマディスプレイパネル及び表示装置 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法、プラズマディスプレイパネル及び表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、表示デバイスに用いるプラズマディスプレイパネルに関し、特に詳細なセル構造のプラズマディスプレイパネルに適した製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハイビジョンをはじめとする高品位で大画面のテレビに対する期待が高まっている中で、CRT,液晶ディスプレイ(LCD),プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel,以下PDPと記載する)といった各ディスプレイの分野において、これに適したディスプレイの開発が進められている。
【0003】
従来からテレビのディスプレイとして広く用いられているCRTは、解像度・画質の点で優れているが、画面の大きさに伴って奥行き及び重量が大きくなる点で40インチ以上の大画面には不向きである。また、LCDは、消費電力が少なく、駆動電圧も低いという優れた性能を有しているが、大画面を作製するのに技術上の困難性があり、視野角にも限界がある。
【0004】
これに対して、PDPは、小さい奥行きで大画面を実現することが可能であって、既に40インチクラスの製品も開発されている。
PDPは一般的に、表面に電極を配したフロントカバープレートとバックプレートとが、電極を対向した状態で平行に配され、両プレート間の間隙は隔壁で仕切られ、隔壁と隔壁との間の溝に赤,緑,青の蛍光体層が形成されると共に放電ガスが封入された構成であって、その製造は、隔壁を配設したバックプレートの溝に蛍光体層を形成し、その上にフロントカバープレートを重ねて放電ガスを封入することによって行う。そして、駆動回路で電極に印加して駆動を行うようになっている。
【0005】
PDPの発光原理は、基本的に蛍光灯と同様であって、駆動回路が電極に印加して放電すると放電ガスから紫外線が放出され、蛍光体層の蛍光体粒子(赤,緑,青)がこの紫外線を受けて励起発光するが、放電エネルギが紫外線へ変換する効率や、蛍光体における可視光への変換効率が低いので、蛍光灯のように高い輝度を得ることは難しい現状である。
【0006】
PDPは駆動方式によって直流型(DC型)と交流型(AC型)とに大別される。DC型では電極が放電空間に露出しているのに対して、AC型では電極上に誘電体ガラス層が配設されている。
また隔壁の形状も違いがあって、一般的にAC型では隔壁がストライプ状に配設されているのに対して、DC型では隔壁が井桁状に配設されている。この点で、AC型の方が微細なセル構造のパネルを形成するのに適している。
【0007】
ところで、ディスプレイの高品位化に対する要求が高まるにつれて、PDPにおいても微細なセル構造のものが望まれている。
例えば、従来のNTSCではセル数が640×480で、40インチクラスではセルピッチが0.43mm×1.29mm、1セル面積が約0.55mm2であったが、フルスペックのハイビジョンテレビの画素レベルでは、画素数が1920×1125となり、42インチクラスでのセルピッチは0.15mm×0.48mm、1セルの面積は0.072mm2の細かさとなる。
【0008】
このような詳細なセル構造のPDPを実用化するためには、従来よりもセルの発光効率を高める必要があり、そのために、蛍光体の改良等の研究がなされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような背景のもとに、蛍光体層の形成に関して以下のような課題がある。蛍光体層を形成する方法としては、図25に示すようにスクリーン印刷法で蛍光体ペーストを隔壁間の凹部に充填して焼成する方法が多く用いられているが、微細なセル構造のPDPに対しては、スクリーン印刷法は適用が難しい。
【0010】
即ち、セルピッチが0.1〜0.15mm程度の場合、隔壁間の溝幅は0.08〜0.1mm程度と非常に狭くなってしまうが、スクリーン印刷で用いる蛍光体インキは粘度が高いので(通常、数万センチポイズ)、狭い隔壁間に精度良く高速に蛍光体インキを流し込むことは困難である。また、微細な構造のスクリーン板を作成することも困難である。
【0011】
また、高い発光効率のPDPを得るためには、バックプレートの表面上だけでなく隔壁の側面にも蛍光体層が配設され且つ放電空間が確保されるような構成とすることが望ましいということができる。スクリーン印刷法でもってこのような望ましい形状の蛍光体層を形成しようとすれば、蛍光体ペーストの粘度等の印刷条件を調整するなどしてプレートの表面及び隔壁の側面に蛍光体ペーストを適量づつ付着させる必要があるが、好適な印刷条件に調整することは難しく、実際にはなかなか隔壁の側面に蛍光体ペーストが付着しにくいという問題がある。
【0012】
スクリーン印刷法以外の蛍光体層の形成方法として、フォトレジストフィルム法やインキジェット法も知られている。
フォトレジストフィルム法は、特開平6−273925号公報に開示されているように、各色蛍光体を含む紫外線感光性樹脂のフィルムを、隔壁と隔壁の間に埋め込み、該当する色の蛍光体層を形成しようとする部分だけに露光現像を施し、露光しない部分を洗い流す方法であって、この方法によれば、セルピッチが小さい場合にも、ある程度精度良く隔壁間にフィルムを埋め込むことが可能である。しかしながら、3色各色について、フィルムの埋め込み,露光現像及び洗い流しを順次行う必要があるため、製造工程が複雑であると共に混色が生じやすいという問題があり、更に、蛍光体は比較的高価であるにもかかわらず洗い流された蛍光体を回収することは困難なためコスト高になるという問題もある。
【0013】
一方、インキジェット法は、特開昭53−79371号公報や特開平8−162019号公報に開示されているように、蛍光体と有機バインダーからなるインキ液を加圧してノズルから噴射させながら走査することにより、所望のパターンでインキ液を絶縁基板上に付着させる方法であって、狭い隔壁間の凹部にも精度良くインキを塗布することが可能である。
【0014】
しかしながら、このような従来のインキジェット法では、噴射されたインキが液滴となって間欠的に付着するので、隔壁がストライプ状に配設されている場合、隔壁間の溝に一定の膜厚で塗布することが難しい。また、スクリーン印刷法と同様、インキ液が凹部の底面に集中して付着し側面には付着しにくいという問題がある。
【0015】
ところで、このようなPDPにおいて、隔壁間の凹部に先ず反射層を形成し、その反射層の上に蛍光体層を形成することによってパネル輝度を向上させる技術も知られている(例えば、特開平4−332430号公報)。
反射層の形成方法としては、蛍光体層と同様、反射材料を含むペーストをスクリーン印刷法で塗布することによって形成する方法が知られているが、蛍光体層の形成と同様の問題、即ち、反射材ペーストが詳細なセル構造に適用しにくく、隔壁の側面に付着しにくいという問題がある。
【0016】
また、蛍光体層や反射層の形成に関しては、蛍光体や反射体材料が隔壁の上面に付着しやすいという問題もある。この場合、バックプレートとフロントカバープレートを封着する際に、隔壁の上部とフロントカバープレートとの密着性が損なわれやすくなる。
また、PDPにおいては、電極形成に関する問題もある。即ち、従来のPDPにおいて、表示電極やアドレス電極は、巾が130μm〜150μm程度であって、通常、スクリーン印刷法で形成されているが、上述のようにハイビジョンテレビの画素レベルの場合は電極幅を70μm程度にする必要があり、更に高精細度の20インチのSXGA(画素数が1280×1024)では電極幅を50μm前後とする必要があるので、スクリーン印刷法で電極を形成するのは困難である。
【0017】
本発明は、上記課題に鑑み、隔壁の側面に対しても容易に蛍光体層や反射層を形成することのできるPDPの製造方法を提供することを第1の目的とする。
また、蛍光体層や反射層を形成する際に、蛍光体や反射体が隔壁の上面に付着するのを防止することを第2の目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、本発明は、隔壁間に凹部が形成されたプレートを作成する工程において、凹部の底面より側面の方が、蛍光体インキあるいは反射材インキに対する吸着力が大きくなるよう形成することとした。
また、上記第2の目的は、隔壁間に凹部が形成されたプレートを作成する工程において、隔壁の上面より側面の方が、蛍光体インキ或は反射材インキに対する吸着力が大きくなるよう形成することによって達成できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
(PDPの全体的な構成及び製法について)
図1は、本発明の一実施の形態に係る交流面放電型PDPの概略断面図である。図1ではセルが1つだけ示されているが、赤,緑,青の各色を発光するセルが交互に多数配列されてPDPが構成されている。
【0020】
このPDPは、前面ガラス基板11上に放電電極12と誘電体ガラス層13が配された前面パネルと、背面ガラス基板15上にアドレス電極16,隔壁17,蛍光体層18が配された背面パネルとを張り合わせ、前面パネルと背面パネルの間に形成される放電空間19内に放電ガスが封入された構成となっており、このPDPは、図2に示す駆動回路によって、放電電極12とアドレス電極16に印加して駆動するようになっている。
【0021】
なお、図1では、便宜上、放電電極12が断面で表示されているが、実際には、放電電極12はアドレス電極16と直交マトリックスを組むように、図1の紙面に沿った方向に配設されている。
前面パネルの作製:
前面パネルは、前面ガラス基板11上に放電電極12を形成し、その上を鉛系の誘電体ガラス層13で覆い、更に誘電体ガラス層13の表面に保護層14を形成することによって作製する。
【0022】
放電電極12は銀からなる電極であって、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷し焼成することによって形成する従来の方法で形成することもできるが、本実施形態では、後述するようにインキジェット方式を用いて形成する。
誘電体ガラス層13は、例えば、70重量%の酸化鉛[PbO],15重量%の酸化硼素[B23],10重量%の酸化硅素[SiO2]及び5重量%の酸化アルミニウムと有機バインダ[α − ターピネオールに10%のエチルセルローズを溶解したもの]とを混合してなる組成物を、スクリーン印刷法で塗布した後、520℃で20分間焼成することによって膜厚約30μmに形成する。
【0023】
保護層14は、酸化マグネシウム(MgO)からなるものであって、例えば、スパッタリング法によって0.5μmの膜厚に形成する。
背面パネルの作製:
背面ガラス基板15上に、放電電極12と同様にインキジェット方式を用いて、アドレス電極16を形成する。
【0024】
次に、ガラス材料をくり返しスクリーン印刷した後、焼成することによって隔壁17を形成する。
そして、隔壁17の間の溝に蛍光体層18を形成する。この蛍光体層18の形成方法については後で詳述するが、ノズルから蛍光体インキを連続的に噴射しながら走査する方法で蛍光体インキを塗布し、焼成することによって形成する。
【0025】
なお、本実施形態では、40インチクラスのハイビジョンデレビに合わせて、隔壁の高さは0.1〜0.15mm、隔壁のピッチは0.15〜0.3mmとする。
パネル張り合わせによるPDPの作製:
次に、このように作製した前面パネルと背面パネルとを封着用ガラスを用いて張り合せると共に、隔壁17で仕切られた放電空間19内を高真空(例えば8×10-7Torr)に排気した後、放電ガス(例えばHe−Xe系,Ne−Xe系の不活性ガス)を所定の圧力で封入することによってPDPを作製する。
【0026】
次に、PDPを駆動する回路ブロックを図2のように実装して、PDP表示装置を作製する。
なお、本実施形態では、放電ガスにおけるXeの含有量を5体積%以上とし、封入圧力を500〜800Torrの範囲に設定する。
(電極及び蛍光体層の形成方法について)
図3は、放電電極12,アドレス電極16及び蛍光体層18を形成する際に用いるインキ塗布装置20の概略構成図である。
【0027】
図3に示されるように、インキ塗布装置20において、サーバ21には電極材インキまたは蛍光体インキが貯えられており、加圧ポンプ22は、このインキを加圧してヘッダ23に供給する。ヘッダ23には、インキ室23a及びノズル24が設けられており、加圧されてインキ室23aに供給されたインキは、ノズル24から連続的に噴射されるようになっている。
【0028】
このヘッダ23は、金属材料を機械加工並びに放電加工することによって、インキ室23aやノズル24の部分も含めて一体成形されたものである。
電極材インキは、電極材料である銀粒子が、ガラス粒子、バインダ及び溶剤成分等と共に適度な粘度となるように調合されたものである。
蛍光体インキは、各色蛍光体粒子、シリカ、バインダ、溶剤成分等が適度な粘度となるように調合されたものである。
【0029】
蛍光体インキを構成する蛍光体粒子としては、一般的にPDPの蛍光体層に使用されているものを用いることができる。その、その具体例としては、
青色蛍光体: BaMgAl1017:Eu2+
緑色蛍光体: BaAl1219:MnあるいはZn2SiO4:Mn
赤色蛍光体: (YxGd1-x)BO3:Eu3+あるいはYBO3:Eu3+
を挙げることができる。
【0030】
ノズルの目づまりや粒子の沈殿を抑制するために、電極材インキに用いる銀粒子及びガラス粒子並びに蛍光体インキに用いる蛍光体粒子の平均粒径は5μm以下とするのがよい。また、蛍光体が良好な発光効率を得るために、蛍光体の平均粒径は0.5μm以上とするのがよい。従って、ここでは、銀粒子、ガラス粒子及び蛍光体は、0.5〜5μm(2〜3μm)の範囲にあるものを用いる。
【0031】
また、蛍光体インキの粘度は25℃で1000センチポアズ以下(10〜1000センチポアズ)の範囲内に、電極材インキは100〜1000センチポアズに調整することが望ましい。
添加剤としてのシリカの粒径は0.01〜0.02μmで、添加量は1〜10重量%が好ましく、更に、分散剤を0.1〜5重量%,可塑剤を0.1〜1重量%添加することが望ましい。
【0032】
ノズル24の口径は、ノズルの目詰まりを防止するために45μm以上で、隔壁17間の溝幅Wよりも小さく、通常は45〜150μm範囲に設定することが望ましい。
なお、サーバ21内では、インキ中の粒子(電極材料や蛍光体粒子など)が沈殿しないように、サーバ21内に取り付けられた撹拌機(不図示)でインキが混合撹拌されながら貯蔵されている。
【0033】
加圧ポンプ22の加圧力は、ノズル24から噴射されるインキの流れが連続流となるように調整する。
ヘッダ23は、前面ガラス基板11又は背面ガラス基板15上を走査されるようになっている。このヘッダ23の走査は、本実施の形態ではヘッダ23を直線駆動するヘッダ走査機構(不図示)によってなされるが、ヘッダ23を固定してガラス基板を直線駆動してもよい。
【0034】
ヘッダ23を走査しながら、ノズル24からインキを連続的なインキ流25(ジェットライン)を形成するように噴射することによって、ガラス基板上にインキがライン状に均一的に塗布される。
なお、インキ塗布装置20において、図4に示すように、ヘッダ23に複数のノズルを設置し、各ノズルから並行してインキを噴射しながら走査するような構成とするもできる(図4において、矢印Aが走査方向)。このように複数のノズル24を設ければ、1回の操作で複数のインキのライン25を塗布することができる。
【0035】
このようにして、インキ塗布装置20を用いて、前面ガラス基板11上に電極材インキを塗布することにより放電電極12を形成し、背面ガラス基板15上に電極材インキを塗布することによりアドレス電極16を形成する。
なお、このように形成された放電電極12及びアドレス電極16は、誘電体ガラス層13及び隔壁17の焼成時に、共に焼成される。
【0036】
一方、インキ塗布装置20による蛍光体インキの塗布は、背面ガラス基板15上を隔壁17に沿って、赤,青,緑の各色ごとに行う。そして、赤,緑,青の蛍光体インキを順に所定の溝に塗布して乾燥した後、パネルを焼成(約500℃で10分間)することによって、蛍光体層18が形成される。
このように、蛍光体層18は、従来のインキジェット法のようにインキが液滴となって塗布されるのではなく、インキが連続的に塗布されて形成されたものなので、層の厚さが均一的である。
【0037】
なお、このようなインキ塗布装置において、1つのヘッダに赤,青,緑の3つのインキ室及び各色のノズルを設けて、3色の蛍光体インキを並行して噴射するような構成にすれば、一回の走査で3色の蛍光体インキを塗布することもできる。
〔実施の形態2〕
本実施の形態のPDPの構成及び製法は、実施の形態1と同様であるが、蛍光体層の形成方法に若干の違いがある。以下、背面ガラス基板15の隔壁間の溝への蛍光体層の形成方法について説明する。
【0038】
図5は、本実施形態で蛍光体層18を形成する際に用いるインキ塗布装置の概略構成図である。また、図6はその塗布動作を示す部分拡大斜視図である。
このインキ塗布装置20も、実施の形態1で用いる装置と同様のものであって、サーバ21には蛍光体インキが貯えられており、加圧ポンプ22は、この蛍光体インキを加圧してヘッダ23に供給する。またヘッダ23には、インキ室23a及び複数のノズル24が設けられており、加圧供給された蛍光体インキは、インキ室23aから各ノズル24に分配されて連続的に噴射されるようになっている。
【0039】
ただし、本実施形態のインキ塗布装置20においては、各ノズル24の噴射方向は、図5,6に示されるように、背面ガラス基板15に対して垂直ではなく片方の隔壁の方に傾斜している(図7のAではこの傾斜角がθで表されている)。この傾斜によって、各ノズル24から噴射されるインキ流25は、隔壁間の溝の中央部ではなく、隔壁の側面に衝突するようになっている。
【0040】
従って、背面ガラス基板15の隔壁間の溝に蛍光体インキが均一的に塗布される点は実施の形態1と同様であるが、本実施形態では、更に隔壁17の側面の上部にも蛍光体インキを塗布することができるので、より発光面積の広い蛍光体層18を形成することができる。
以下、図4〜7を参照しながら、インキ塗布装置20の動作及び効果について、更に具体的に説明する。
【0041】
インキ塗布装置20において、ヘッダ23は、赤,青,緑の各色ごとに備えられ、各色のヘッダ23に開設されているノズル24のピッチは、セルピッチの3倍に設定されており、図5,6に示されるように、ヘッダ23の走査に伴って2つおきの溝に蛍光体インキが充填されるようになっている。
ヘッダ23を図4の矢印Aの方向に走査しながら所定の溝に蛍光体インキを充填した後、ヘッダ23を回転させて端部23bと端部23cの位置を入れ替えて、再び矢印Aの方向(または矢印Aと逆の方向)に走査しながら上記の蛍光体インキを充填した溝に再度蛍光体インキを充填することによって、両方の隔壁の側面に蛍光体インキを付着させることができる。
【0042】
図7は、本実施形態の蛍光体インキの塗布方法の効果を説明する図である。
図7のAにおいて、24aは最初にヘッダ23を走査するときのノズル24の姿勢を表し、25aはその姿勢で形成される連続的なインキ流を表しており、24bは、再びヘッダ23を走査するときのノズル24の姿勢を表し、25bはその姿勢で連続的に形成されるインキ流を表している。
【0043】
インキ流25a並びにインキ流25bは、背面ガラス基板15に対して垂直な方向から左右の隔壁の方向に角度θだけ傾斜しているので、インキ流25a,25bを各隔壁17の側面上端部に衝突させた後、当該側面を伝って底面に流れる様にすれば、各隔壁の側面の上部まで蛍光体インキを付着させることができる。図中の実線26は、このようにして充填された蛍光体インキの液面を表している。
【0044】
一方、図7のBは、ノズル24から噴射されるインキ流25が、隔壁間の溝の中央部に、背面ガラス基板15に対して垂直にあたっている場合の様子を示しているが、この場合、隔壁の側面に蛍光体インキが付着されにくく、塗布された蛍光体インキの液面は図中の実線27のような傾向を示す。
なお、本実施形態のインキ塗布装置20のヘッダ23において、インキを塗布する溝の両側面に向けて2つのノズル24を配設し、2つのノズルから並行して蛍光体インキを噴射するようにすれば、1回の走査で溝の両側面に蛍光体インキを付着させることができる。
【0045】
〔実施の形態3〕
本実施の形態のPDPの全体的な構成及び製法も、実施の形態1と同様であるが、蛍光体層の形成時における蛍光体インキの塗布方法が異なっている。
図8は、本実施の形態における蛍光体インキの塗布方法を説明する図であって、隔壁17に沿って背面ガラス基板15並びにインキ塗布装置のヘッダを切断した断面を表している。なお、図中矢印Aは走査方向を示す。
【0046】
本実施形態のインキ塗布装置は、実施の形態1のインキ塗布装置20と同様であるが、図8に示すように、ヘッダ33には、インキ室33a及び複数のノズル34に加えて、空気室33bと複数の空気噴射ノズル36が設けられ、空気室33bにはコンプレッサ(不図示)から圧縮空気が送り込まれるようになっている。
【0047】
空気噴射ノズル36は、各ノズル34の後方側(ヘッダ33の走査方向に対して後方側)に配設されている。
このような構成のインキ塗布装置を用いることによって、ノズル34から噴出された蛍光体インキは、連続的なインキ流を形成し、隔壁間の溝に塗布され(図9のA参照)、その直後に、空気噴射ノズル36から噴出される空気流37が、溝の中央部に塗布されている蛍光体インキを押さえつけて(図9のBの矢印37a参照)隔壁17の側面方向に押しのけると共に、当該空気流37は、蛍光体インキの液面38に沿って流れ(図9のBの矢印37b参照)、蛍光体インキを隔壁17の側面に沿って立ち上がらせる。
【0048】
この空気流37は、蛍光体インキ35を立ち上げると共にその乾燥も行うので、側面に立ち上げられた蛍光体インキは側面に固定される。このようにして、隔壁の側面に対する蛍光体層の形成を容易に行うことができる。
空気流37の幅は、隔壁間の寸法よりも小さく設定することはもちろんであるが、空気流の運動量は、蛍光体インキの塗布量や物性或は蛍光体インキと隔壁との濡れ性などに応じて適宜調整する。
【0049】
なお、本実施形態のインキ塗布装置において、空気室33bに加熱した圧縮空気を供給して、空気噴射ノズル36から加熱された空気を噴射するようにすれば、空気流による蛍光体インキの乾燥力が向上し、隔壁の側面に対する蛍光体の付着量が増大する。
〔実施の形態4〕
本実施の形態は、実施の形態3と同様であるが、蛍光体形成時において、隔壁間の溝に塗布された蛍光体インキに、空気流以外の外力を加えて隔壁の側面に立ち上がらせる。
【0050】
図10に示すヘッダ43においては、ノズル44のすぐ後方にインキ撹拌ロッド46が設けられている。なお、図中矢印Aは走査方向を示す。
このヘッダ43を用いる場合、ノズル44から溝に充填された蛍光体インキ48は、ロッド46により隔壁の側面に押し付けられ、この側面に沿って立ち上げられるので、側面の上部にまで蛍光体インキが付着される。
【0051】
なお、ロッド46のインキ液面への浸入深さなどは、蛍光体インキの充填量や物性、或は蛍光体インキと隔壁との濡れ性などに応じて適宜調整する。
また、図面による説明は省略するが、隔壁間の溝に蛍光体インキを塗布した後に、ロッドを走査する代わりに、隔壁に沿った方向に支持したワイヤを溝内に挿入して溝の中央部に充填されている蛍光体インキを押しのけて隔壁の側面に付着させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0052】
この他に、蛍光体インキを溝に塗布した後に、背面ガラス基板を振動させることによって、蛍光体インキを隔壁の側面に立ち上げたり、或は、背面ガラス基板を反転させて、蛍光体インキが重力により隔壁の側面を伝って流れるようにするといった方法を用いることもでき、同様の効果を期待することができる。
なお、上記実施の形態2〜4で説明した蛍光体層の形成工程において、背面ガラス基板を加熱しながら行うと、隔壁の側面に付着された蛍光体インキの溶剤成分が速く蒸発してインキ流動性がなくなるので、隔壁側面への蛍光体層の形成を更に良好に行うことができる。
【0053】
この場合、背面ガラス基板の加熱温度は、200℃以下とすることが望ましい。
〔実施の形態5〕
本実施の形態は、実施の形態1と同様であるが、蛍光体層の形成時において、蛍光体インキを架橋させた状態でノズルを走査する点が異なっている。
【0054】
図11は、本実施形態における蛍光体インキの塗布の様子を示す概略断面図である。
インキ塗布装置の構成は、図3のインキ塗布装置20と同様であるが、走査時において、ノズル24から吐出される蛍光体インキ50が、背面ガラス基板15の隔壁間の溝の内面との間で表面張力によって架橋される状態を保ちながら走査を行う。
【0055】
このようにインキを表面張力によって架橋する状態を保つために、ノズル24とバックプレートとの距離を適切に保つことが必要であって、通常、この距離を5μm〜1mmの範囲に設定することによって、安定した塗布を得る事ができる。
ノズル24の口径(ノズル径)は、隔壁の間隔やインキの吐出量によって最適値が存在するが、通常45〜150μmの範囲とすることが好ましい。
【0056】
このようにインキを架橋しながらノズルを走査すれば、ノズル24から吐出される蛍光体インキは、走査速度にかかわらず、背面ガラス基板15の隔壁間の溝に安定して連続塗布することができる。即ち、本実施の形態によれは、走査の速度を遅くしてもインキの連続流を形成できるため、高速で走査するための高価な装置は不要となる。
【0057】
従って、安価なインキ塗布装置で均一な塗布を実現することができる。
また、ノズルと隔壁の側面との間でインキの架橋を形成しながら走査すれば、隔壁の側面の上部にもインキを付着させることができる。
蛍光体インキとしては、上記実施の形態1で説明したものと同様のものを用いればよいが、インキを架橋しない状態で塗布する場合は、高粘度の蛍光体インキや表面張力の大きい蛍光体インキをノズルから噴出しても連続流を形成することが難しいのに対して、本実施形態のように架橋を形成した状態で塗布すれば、比較的高粘度の蛍光体インキや表面張力の大きい蛍光体インキを用いても、連続流を形成することができる。
【0058】
従って、使用する蛍光体インキの粘度や表面張力の制約が少なくなり、インキ材料の選択幅はより広いということができる。
なお、このように蛍光体インキを架橋しながら塗布する方法は、図4に示した複数のノズル24を持つヘッダ23を用いて行うことも可能である。
また、1つのヘッダに赤,青,緑の3つのインキ室及び各色のノズルを設けて3色の蛍光体インキを並行して塗布するような構成にすれば、一回の走査で3色の蛍光体インキを塗布することもできる。
【0059】
ところで、蛍光体インキを安定して連続塗布するためには、インキの塗布を開始する前に、ノズル先端と背面ガラス基板15の溝との間がインキで架橋された状態を形成することが望ましい。
この架橋形成の方法として、次のようなものが考えられる。
▲1▼ ノズルを走査する前に、背面ガラス基板15の端部でノズルを一旦静止させて、ノズルからインキをある程度吐出することによって、ノズル先端と背面ガラス基板15との間に架橋を形成する。
【0060】
▲2▼ ノズル先端と背面ガラス基板15の距離を走査時の距離よりも接近させた状態で、▲1▼の架橋形成を行う。その後、走査時の距離に引き離して塗布を行う。
▲3▼ まず、図12に示されるように、背面ガラス基板15の端部15cにインキ60を塗布しておく。
この塗布のために、端部15cにインキ60を塗布する機構をインキ塗布装置に別個に設けてもよいが、ノズル24を端部15cに位置させて、ノズルからインキを吐出することによって端部15cに蛍光体インキ60を塗布することができる。或は、背面ガラス基板15をインキ塗布装置に装着する前に、別の装置や道具を用いて、端部15cにインキ60を塗布しておいてもよい。
【0061】
次に、ノズル先端
をインキ60に接触させて架橋を形成する。引き続き、ノズルを走査させながらノズルからインキ吐出させて塗布する。この方法によれば、架橋の形成と塗布の動作を連続的に行うことができる。
〔実施の形態6〕
図13は、本実施の形態における蛍光体インキの塗布の様子を示す図である。
【0062】
本実施の形態は、実施の形態5と同様であって、蛍光体インキを架橋した状態で塗布するが、隔壁間の溝にノズルを挿入した状態で塗布を行う。
このように、ノズル24を溝の中に挿入した状態で走査することにより、実施の形態5と同様、インキを架橋した状態で均一的に溝に塗布することができる。更に、ノズル24が溝の中央部に存在するインキを押しのけ、隔壁の側面の上部にまでインキを付着させる働きもなすので、隔壁側面に蛍光体層を形成しやすい。
【0063】
ノズル24の外径は隔壁間の距離よりも小さいことはもちろんであるが、ノズル24のインキ液面への浸入深さなどは、蛍光体インキの充填量や物性、或は蛍光体インキと隔壁との濡れ性などに応じて適宜調整する。
〔実施の形態7〕
本実施形態のPDPの構成及び製法は、実施の形態1のPDPと同様であるが、隔壁17及び蛍光体層18の形成方法に違いがある。
【0064】
即ち、本実施形態では、蛍光体インキの隔壁17の側面に対する接触角が、90°以下であって且つ凹部(溝)の底面に対する接触角よりも小さくなるように、隔壁を形成する材料を選択して隔壁17を形成する。このように調整することによって、蛍光体インキが隔壁17の側面に付着しやすくなる。
隔壁17は、スクリーン印刷法などの方法で作製することができるが、以下に説明するように、溶射法によって形成することもできる。
【0065】
図14は、溶射法による隔壁の形成方法の説明図である。
まず、アドレス電極16を形成した背面ガラス基板15(図14のA)の表面を、アクリル系感光樹脂でできたドライフィルム81で覆う(図14のB)。
フォトリソグラフィによって、このドライフィルム81をパターニングする。即ち、ドライフィルム81の上にフォトマスク82を被せて、隔壁を形成しようとする部分だけに紫外光(UV)を照射し(図14のC)、現像することによって、隔壁を形成する部分のドライフィルム81を除去し、隔壁を形成しない部分だけにドライフィルム81のマスクを形成する(図14のD参照)。なお、現像は、1%程度のアルカリ水溶液(具体的には炭酸ナトリウム水溶液)中で行う。
【0066】
そして、これに隔壁の原材料であるアルミナとガラスの混合物をプラズマ溶射する。
図15は、プラズマ溶射についての説明図である。
このプラズマ溶射装置90では、陰極91と陽極92の間に電圧を印可して、陰極91の先端にアーク放電を発生させ、その中にアルゴンガスとを送り込み、プラズマジェットを発生させる。そして、原材料(アルミナとガラスの混合物)の粉末をこの中に送り込んで、原材料をプラズマジェットの中で溶融して基板15の表面に吹き付ける。これによって、基板15の表面には、原材料の膜84が形成される。
【0067】
このようにして、膜84が形成された基板15(図14のE)を、剥離液(水酸化ナトリウム溶液)に浸して、ドライフィルム81のマスクを除去する(リフトオフ法)。これに伴って、原材料の膜84の中、ドライフィルム81のマスク上に形成された部分84bは除去され、基板15上に直接形成された部分84aだけが残り、これが隔壁17となる(図14のF)。
【0068】
上述のように、蛍光体インキの基板15に対する接触角よりも隔壁17に対する接触角が小さくなるよう、アルミナとガラスの混合物で隔壁17を形成することによって、隔壁の側面170b(図17のA参照)の蛍光体インキに対する吸着力を、凹部の底面170a(図17のA参照)の蛍光体インキに対する吸着力よりも大きくすることができる。なお、隔壁の材料として、この他に、アルミナ、ジルコニア、ジルコニアとガラスとの混合物を用いても蛍光体インキに対する吸着力を同様に調整することが可能である。
【0069】
図16は、蛍光体層18を形成する際に用いるインキ塗布装置100の概略構成図である。
このインキ塗布装置100は、図3のインキ塗布装置20と同様の構成であって、ヘッダ103には、複数の突出したノズル24が設けられており、蛍光体インキはインキ室103aから各ノズル24に分配されて連続的に吐出されるようになっている。
【0070】
用いる蛍光体インキとしては、実施の形態1で説明したものと同様のものを用いればよいが、凹部の側面170bに付着しやすいような組成とするのが好ましく、バインダとしてエチルセルロースを0.1〜10重量%用い、溶剤としてターピネオール(C1018O)を用いると比較的良好な結果を得る。
また、これ以外に、用いる溶剤としてはジエチレングリコールメチルエーテルなどの有機溶剤や水を挙げる事ができ、バインダーとしては、PMMAやポリビニルアルコールなどの高分子を挙げる事ができる。
【0071】
ノズル24の口径は、隔壁17間の溝幅Wよりも小さく、通常は150μm以下に、またノズルの目詰まりを防止するために45μm以上に設定する。
このインキ塗布装置100を用いて、以下のように、ノズル24と凹部170の内面との間で蛍光体インキを架橋させながら蛍光体インキを塗布する。
まず、ヘッダ103を背面ガラス基板15の端部に位置させ、ノズル24と背面ガラス基板15の凹部170の内面とを十分に接近させるか接触させて、ノズル24から少量の蛍光体インキを吐出することによって、蛍光体インキの表面張力で架橋を形成する。
【0072】
続いて、ヘッダ103を走査しながら、加圧ポンプ22を作動してノズル24から蛍光体インキを連続的に吐出することによって、背面ガラス基板15の凹部170に蛍光体インキを塗布する。このとき、ノズル24と底面170aとの距離を小さく(通常1mm以下)維持し、背面ガラス基板15の凹部170の内面とノズル24の間に形成されている蛍光体インキの表面張力による架橋を維持しながら走査する。
【0073】
なお、走査中は、ノズル24と背面ガラス基板15とが接触しないようにすることが望ましいが、背面ガラス基板15の凹部170の表面には若干の凹凸が存在するので、ノズル24と凹部170の底面170aとの間隔を5μm以上とすることが望ましい。
走査時における加圧ポンプ22の圧力は、凹部170への充填量及びノズル24の走査速度に基づいて、適当な吐出量となるように調整する。
【0074】
本実施形態では、数十mm/s程度のゆっくりとした速度で走査を行い、加圧ポンプ22の圧力を小さく設定して吐出量を小さくするが、蛍光体インキの架橋によって連続流が形成されるので、蛍光体インキを凹部170に均一的に塗布し、均一的な蛍光体層を形成することができる。
なお、凹部170の側面170bにも蛍光体インキを多く付着させるために、凹部170へ蛍光体インキの充填量は、凹部170の空間容積の80%以上となるよう設定し、蛍光体インキ中の蛍光体の含有量を20〜60重量%の範囲に設定することが望ましい。
【0075】
(効果についての説明)
図17のAは、本実施形態のように隔壁のインキに対する吸着力を調整した場合において、凹部に充填された蛍光体インキの乾燥過程を示す模式図である。
本実施形態では、凹部170の側面170bの蛍光体インキに対する吸着力が、底面170aの蛍光体インキに対する吸着力より大きいために、乾燥中に蛍光体インキが底面170aの方に落ちてしまうことがなく、凹部の側面170bにも付着して残る。
【0076】
また、本図に示すように、蛍光体インキを凹部170の空間容積の80%以上を占めるように充填すれば、蛍光体インキを側面170bに付着させる効果が顕著である。
一方、図17のBは、凹部の側面の蛍光体インキに対する吸着力が、底面の蛍光体インキに対する吸着力より小さい場合における、蛍光体インキの乾燥過程を示す模式図である。この場合、図に示すように、乾燥中に蛍光体インキが底面の方に落ちやすく、側面には残りにくい。
【0077】
以上のように、本実施形態のPDPの製造方法によれば、蛍光体層を隔壁に沿って均一に形成することができ、且つ凹部の側面にも蛍光体層を付着させることができる。従って、発光輝度の高いPDPを作製することができる。
なお、隔壁17の材料は、上記の材料に限られるものではなく、蛍光体インキの隔壁17の側面に対する接触角が、凹部の底面に対する接触角よりも小さくなるように選択すればよい。ただし、蛍光体インキの隔壁17の側面に対する接触角は90°以下であることが、当該側面に対する良好な付着を得る上で好ましい。
【0078】
また、本実施の形態においては、隔壁17の材料として、蛍光体インキの隔壁17に対する接触角が背面ガラス基板15より小さくなるようなものを選択することによって、隔壁17の側面の蛍光体インキに対する吸着力が凹部底面の蛍光体インキに対する吸着力よりも小さくなるよう調整したが、蛍光体インキに対する吸着力は、蛍光体インキの表面に対する接触角のみならず、表面粗さにも影響される。即ち、表面粗さが大きいほど、蛍光体インキに対する吸着力が大きくなる。
【0079】
従って、凹部の側面の表面粗さを凹部の底面の表面粗さより大きくすることによっても同様の効果を得ることができる。
この表面粗さの調整は、予め基板15の表面を研磨して表面粗さを小さくしたり、溶射法で隔壁を形成するときのプラズマ溶射の条件(例えば、アルゴンガスの流量や印加電圧)を表面粗さが大きくなるように調整したり、スクリーン印刷法で隔壁を形成する場合には焼成温度を低くして表面粗さを大きくするといった方法で行うことができる。
【0080】
また、蛍光体インキの凹部の側面に対する接触角を凹部の底面に対する接触角よりも小さくし、且つ、凹部の側面の表面粗さを底面の表面粗さよりも大きくすれば、効果はより顕著なものとなる。
なお、本実施の形態では、ノズルから蛍光体インキを架橋しながら塗布する場合について説明したが、他の塗布方式でも同様に実施できる。例えば、通常のインキジェット方式やスクリーン印刷法を用いた場合でも、凹部の側面の蛍光体インキに対する吸着力を底面の蛍光体インキに対する吸着力より大きくすれば、同様の効果を得る事ができる。
【0081】
〔実施の形態8〕
本実施の形態のPDPの製造方法は、実施の形態7と同様であるが、実施の形態7では、隔壁の材料を選択することによって、蛍光体インキの凹部の側面に対する接触角を凹部の底面に対する接触角よりも大きくしたのに対して、本実施の形態では、蛍光体インキの凹部の底面に対する接触角を大きくする被膜を形成することによって、蛍光体インキの凹部の側面に対する接触角を凹部の底面に対する接触角よりも大きく調整する。
【0082】
このような凹部の底面への被膜の形成は、例えば、背面ガラス基板15の表面にポリテトラフルオロエチレンをはじめとするフッ素樹脂を高温で溶融してスピンコート法で塗布し、背面ガラス基板15上にアドレス電極16と隔壁17とを形成することによって行うことができる。
そして、このような被膜を形成した後、実施の形態7と同様に蛍光体インキを凹部に充填すれば、蛍光体インキの凹部の側面に対する接触角の方が底面に対する接触角よりも大きいので、上記図17のAに示すように、側面に蛍光体インキが多く付着する。
【0083】
そして、これを焼成することによって、凹部の底面と側面とに良好な蛍光体層が形成される。なお、上記の被膜をフッ素樹脂のような有機化合物で形成した場合は、蛍光体層の焼成時に被膜が焼失されるので、出来上がったPDPには被膜が残らない。
なお、本実施の形態では、インキジェット方式で塗布する場合について説明したが、塗布方式はこれに限らない。例えばスクリーン印刷法の場合でも、蛍光体ペーストの凹部の側面に対する接触角を底面に対する接触角より小さくすれば、同様の効果を得る事ができる。
【0084】
〔実施の形態9〕
図18は、本実施の形態における蛍光体インキ塗布の様子を示す図である。
本実施の形態におけるPDPの製造方法は、実施の形態7の製造方法と同様であるが、背面ガラス基板15に隔壁17を形成した後、隔壁17の上面の蛍光体インキに対する吸着性を、隔壁17の側面の蛍光体インキに対する吸着性よりも小さくし、その後に蛍光体インキを塗布する点が異なっている。
【0085】
隔壁17の上面の蛍光体インキに対する吸着性を、隔壁17の側面の蛍光体インキに対する吸着性よりも小さくする方法としては、図18に示すように、隔壁17の上面に撥水性材料からなる撥水膜110を形成する方法を挙げることができる。
この撥水膜110は、ポリテトラフルオロエチレンをはじめとするフッ素樹脂を隔壁17の上面に塗布することによって形成することができる。
【0086】
具体的には、実施の形態7で説明した溶射法による隔壁形成の工程において、基板15に隔壁材料の膜84を形成した後(図14のEの状態)、ドライフィルム81のマスクを除去する前に、溶融したフッ素樹脂をスピンコート法で塗布すれば、隔壁17の上面にフッ素樹脂からなる撥水膜110を形成することができる。
【0087】
このように、隔壁17の上面の蛍光体インキに対する吸着性を小さくすることによって、蛍光体インキを塗布するときに、隔壁の上面に蛍光体インキが付着するのを防止することができる。
従って、前面パネルと背面パネルとを張り合せて封着用ガラスで封着するときに、隔壁上面に付着した蛍光体で封着が妨げられるという問題を解消できる。また、撥水膜110は、蛍光体層の焼成時に焼失されるため、作製されたPDPには残らない。
【0088】
なお、隔壁17の上面の蛍光体インキに対する吸着力を小さくする方法として、この他に、例えば隔壁17の上面を研磨することによって、隔壁17の上面の表面粗さを小さくする方法も挙げることができる。
なお、本実施の形態では、蛍光体をインキジェット方式で塗布する場合について説明したが、塗布する方式はこれに限らず、他の方式でも適用できる。例えばスクリーン印刷法で塗布する場合でも、隔壁の上面の蛍光体ペーストに対する吸着力を側面の蛍光体ペーストに対する吸着力より小さくすれば、同様の効果を得る事ができる。
【0089】
〔実施の形態10〕
本実施の形態は、基本的には上記実施の形態5と同じであるが、ノズルの外径が隔壁間の溝幅よりも大きく設定されている。
図19は、本実施形態のインキ塗布装置の概略を示す断面図である。このインキ塗布装置120は、サーバ121内に蛍光体インキが入れられ、蛍光体粒子の沈殿が生じないように内部で混合撹拌されている。そして、サーバ121内の蛍光体インキは、図示しない加圧手段で加圧すると、ノズル122から吐出される。
【0090】
また、サーバ121は、走査機構(不図示)によって、背面ガラス基板15上の隔壁17に沿って、図19の表裏方向に走査できるようになっている。
走査時においては、ノズル122から吐出される蛍光体インキ123が、背面ガラス基板15の隔壁間の溝の内面との間で表面張力によって架橋される状態を保ちながら走査を行う。
【0091】
ノズル122の外径は、隔壁17の間隔よりも大きく且つ隣の溝まではみ出さない程度に設定されている。こうすれば、隔壁17とノズル122間の距離が比較的短くなるので、蛍光体インキが架橋しやすくなり、更に、背面ガラス基板15のたわみ等によって塗布中にノズル先端と隔壁頂部とが接触したとしても、ノズル122の吐出口が閉塞しない。
【0092】
蛍光体インキの架橋状態を維持するため、走査時のノズル122の先端と隔壁17との距離は、1mm以下に設定することが好ましい。
〔実施の形態11〕
本実施の形態は、実施の形態5と同様であるが、ノズルの先端の形状に違いがある。
【0093】
図20は、本実施の形態における蛍光体インキ塗布装置の要部概略図である。
実施の形態5のノズル24では先端の開口縁が背面ガラス基板15の表面に対して平行であったのに対して、本実施形態のノズル124は、先端の開口縁が背面ガラス基板15の表面に対して傾斜している。
このようなノズル124を用いても、実施の形態5と同様、インキを架橋した状態で均一的に溝に塗布することができる。
【0094】
架橋しやすくするために、ノズル124の先端と背面ガラス基板の表面との距離は1mm以下に設定する。
ノズル124の先端を隔壁間の溝の中に挿入した状態で走査すれば、ノズル124が溝の中央部に存在するインキを押しのける働きをなすので、溝の側面にインキが付着しやすい。
【0095】
また、ノズル124は、先端の開口面が傾斜しているので、背面ガラス基板15のたわみ等によって塗布中にノズル先端と背面ガラス基板とが接触したとしても、ノズル124の吐出口が閉塞しないので安定してインキを連続塗布できる。
背面ガラス基板の表面に対するノズル124の開口面の傾斜角は、10°〜90°の範囲とするのがよい。
【0096】
なお、図20のノズル124は、先端の開口面が傾斜しているが、ノズルの形状としては、開口縁端の少なくとも一部が、開口縁端の先端よりもガラス基板から離間した形状に形成されていれば、同様の効果を奏する。
例えば、次のようなの変形例を挙げることができる。
図21に示すノズル125のように、ノズル先端が階段状に開口されたもの。
【0097】
図22に示すノズル126のように、ノズルの途中が曲げられることによって、ノズルの先端の開口面126aが背面ガラス基板15の表面に対して傾斜しているもの。
図23に示すノズル127のように、ノズルの先端に2方向に開口面127aが形成され、各開口面が背面ガラス基板15の表面15a(15b)に対し傾斜を有しているもの。なお、図23において、実線15aは、背面ガラス基板15の表面がノズル127の先端に接触している様子を示し、1点鎖線15bは、これが離れている様子を示している。
【0098】
このようなノズル125〜127を用いても、背面ガラス基板15の表面にノズルの先端を接したときに開口面が閉塞しないので、ノズルを背面ガラス基板15の表面に接触させながら走査しても安定して連続的なインキ塗布を行うことが可能である。
〔実施の形態12〕
図24は、本実施の形態に係るPDPの概略断面図である。このPDPの構成及び製法は、上記実施の形態1のPDP(図1参照)と同様であるが、隔壁17の間の溝に反射層130が配設され、その反射層130の上に蛍光体層18が配設されている。このように反射層130を配設することによって、パネルの輝度を向上(10〜20%)させることができる。
【0099】
反射層130の形成並びに蛍光体層18は、上記実施の形態1の図3に示したようなインキ塗布装置を用いて、反射材インキ並びに蛍光体インキを塗布することによって形成する。
反射材インキは、反射材料とバインダーと溶剤成分とが調合されたものであって、反射材料としては、酸化チタンやアルミナなどの反射率の高い白色粉末を用いることができるが、特に、平均粒径5μm以下の酸化チタンが良好である。
【0100】
本実施形態の反射層形成方法においては、上記実施の形態7,8で説明した蛍光体層の形成方法を反射層130の形成に適用して、隔壁17の側面の反射材インキに対する吸着力が、凹部(溝)の底面の反射材インキに対する吸着力よりも大きくなるようにする。
即ち、隔壁17の側面に対する反射材インキの接触角が凹部の底面に対する反射材インキの接触角よりも小さくなるよう、隔壁の材料を選択したり、隔壁17の側面の表面粗さを凹部の底面の表面粗さより大きくしたりする。これによって、上記図17のAで説明したように、反射材インキが隔壁17の側面に付着しやすくなるので、PDPの輝度の向上に寄与することになる。
【0101】
反射材インキは、凹部の側面170bに付着しやすいようにするため、バインダとしてエチルセルロースを0.1〜10重量%用い、溶剤としてターピネオール(C1018O)を用いることが好ましい。
また、これ以外にも、好ましい溶剤としてジエチレングリコールメチルエーテルなどの有機溶剤や水を挙げる事ができ、バインダーとしては、PMMAやポリビニルアルコールなどの高分子を挙げる事ができる。
【0102】
反射層の厚さを均一にするために、インキ粘度は低いこと(25℃で1〜1000センチポアズ)が望ましい。
また、凹部170の側面170bにも反射材インキを多く付着させるために、凹部170への反射材インキの充填量は、凹部170の空間容積の80%以上となるよう設定し、反射材インキ中の反射材料の含有量を20〜60重量%の範囲に設定することが望ましい。
【0103】
〔実施の形態13〕
本実施形態のPDPの構成も、実施の形態12のPDPと同様であって、反射層130が配設されている(図24参照)。また、製法も基本的に実施の形態12で説明した方法と同様であるが、本実施形態では、隔壁17の上面の反射材インキに対する吸着性を、隔壁17の側面の反射材インキに対する吸着性よりも小さくする点が異なっている。
【0104】
反射材インキに対する吸着性の調整は、実施の形態9の図18に示すように、隔壁17の上面に撥水性材料からなる撥水膜110を形成することによって、隔壁の側面に対する反射材インキの接触角よりも、隔壁の上面に対する接触角を大きくすることによってなすことができる。
或は、隔壁側面の表面粗さより、隔壁上面の表面粗さを小さくすることによってもなすことができる。
【0105】
このようにして反射材インキを塗布すれば、隔壁の上面に反射材インキが付着しにくく、仮に付着したとしても、乾燥時に隔壁側面の方へ移動するので、隔壁の上面には反射材インキが残りにくい。
従って、前面パネルと背面パネルとを張り合せて封着用ガラスで封着するときに、隔壁上面に付着した反射材料によって封着が妨げられるという問題を解消できる。
【0106】
〔実施の形態14〕
本実施形態のPDPの構成は、実施の形態12のPDPと同様であって、反射層130が配設されている(図24参照)
反射層130の形成並びに蛍光体層18は、上記実施の形態1の図3に示したようなインキ塗布装置を用いて、反射材インキ並びに蛍光体インキを塗布することによって形成する。
【0107】
本実施の形態では、上記実施の形態5で説明した蛍光体層の形成方法を反射層130の形成に適用して、反射材インキを、表面張力によって架橋される状態でノズルを走査することによって隔壁間に連続的に塗布し、その後、これを乾燥して焼成することによって反射層130を形成する。
反射材インキの架橋状態を維持するため、走査時のノズルの先端と隔壁17との距離は、0μm〜1mmの範囲に設定することが好ましい。
【0108】
この反射層形成方法によれば、実施の形態5で説明したのと同様の効果、即ち、安価なインキ塗布装置で均一に反射材インキを塗布でき、広い範囲の粘度や表面張力の反射材インキを用いることができるという効果を奏する。
次に、このように形成した反射層130の上に、実施の形態5と同様の方法で蛍光体インキを塗布して蛍光体層18を形成する。
【0109】
なお、反射層130は、上記の反射材インキを用いて、実施の形態6,10,11で説明した方法を応用して塗布することによっても形成することができ、これと同様の効果を奏する。
(その他の事項)
なお、上記実施の形態1〜14では、AC型のPDPを例にとって説明したが、AC型に限られず、隔壁がストライプ状に配設されたPDPにおいても同様に実施することができる。
【0110】
また、上記実施の形態7,8,9,12,13のように、蛍光体インキや反射材インキに対する隔壁及び凹部底面の吸着力を調整することによってインキの付着状態を調整する技術は、隔壁が井桁状に配設されたDC型のPDPにおいても適用することができ、同様の効果を奏する。
【0111】
【実施例】
(実施例1〜5)
実施の形態1に基づいて実施例1〜5のPDPを作製した。
表1に、実施例1〜5で用いる電極材インキ(Agインキ)及び蛍光体インキの組成並びにインキ粘度を掲載する。
【0112】
実施例1〜5において、青色蛍光体としてはBaMgAl1017:Eu2+、緑色蛍光体としてはZn2SiO4:Mn、赤色蛍光体としては(YxGd1-x)BO3:Eu3+を用いた。
【0113】
【表1】
Figure 0003837395
【0114】
表中の電極材インキ(銀インキ)に用いたガラスの組成は、酸化鉛(PbO)70重量%、酸化ケイ素(SiO2)15重量%、酸化硼素(B23)15重量%である。また、バインダとして用いたエチルセルローズの分子量は20万、アクリル樹脂の分子量は10万である。
実施例1では、ノズル径50μmのノズルを用い、ノズル先端と背面ガラス基板と距離を1mmに保って走査しながら電極材インキを吐出して、電極幅60μmの電極12,16を形成した。
【0115】
隔壁17の間隔(セルピッチ)は0.15mmに、高さは0.15mmに設定した。
放電ガスは、10%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500Torrとした。
実施例2〜5では、ノズル径45μmのノズルで、電極幅50μmで電極12,16を形成し、隔壁17の間隔(セルピッチ)は0.106mm、高さ0.10mmに設定した。
【0116】
放電ガスは、20%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力600Torrとした。
実施例1〜5のPDPについて、放電維持電圧150V周波数30KHzで放電させて輝度を測定した。なお、輝度測定の条件は、以下の実施例においても同様である。
【0117】
紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。輝度の測定結果は、表1に示すような値であった。
【0118】
【表2】
Figure 0003837395
【0119】
表2に、以下の実施例6〜13で用いる電極材インキ(Agインキ)及び蛍光体インキの組成、インキ粘度並びにパネルの輝度測定結果を掲載した。
実施例6〜13においても、青色蛍光体としてはBaMgAl1017:Eu2+、緑色蛍光体としてはZn2SiO4:Mn、赤色蛍光体としては(YxGd1-x)BO3:Eu3+を用いた。
【0120】
(実施例6)
実施の形態2に基づき、表2のNo.6に示した組成,粘度範囲の電極材インキ(Agインキ)及び蛍光体インキを用いてPDPを作製した。
放電ガスは、5%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500Torrとした。パネル輝度は表2に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
【0121】
(実施例7)
実施の形態3に基づき、表2のNo.7に示した組成,粘度範囲の電極材インキ(Agインキ)及び蛍光体インキを用いてPDPを作製した。
放電ガスは、6%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500Torrとした。
【0122】
パネル輝度は表2に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
(実施例8)
実施の形態5に基づき、表2のNo.8に示した組成の電極材インキ(Agインキ)及び蛍光体インキを用いてPDPを作製した。
【0123】
蛍光体インキを塗布するときには、蛍光体インキの粘度は、25℃で10〜1000センチポアズとし、ノズル径80μmのノズルを用い、0.5kgf/cm2で加圧すると、ノズルから蛍光体インキが吐出され、ノズルの先端部と隔壁17間に蛍光体インキが表面張力によって架橋された。
ノズルの先端とバックプレートとの距離を100μmに保ちながら、背面ガラス基板15を50mm/sの速度で移動して走査することによって、蛍光体インキを連続的に隔壁間の溝に塗布することができた。
【0124】
なお、この条件ではインキの吐出量が少ないため、架橋を形成しない状態で蛍光体インキをこれと同じ吐出条件でノズルから吐出した場合には連続流は形成されない。
各色の蛍光体インキを塗布した後、約500℃で10分間焼成して蛍光体層を形成した。
【0125】
放電ガスは、5%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力600Torrとした。
パネル輝度は表2に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
(実施例9)
実施の形態6に基づき、上記表2のNo.9に示す組成の電極材インキ(Agインキ)及び蛍光体インキを用いてPDPを作製した。
【0126】
隔壁の高さは120μmに設定した。
蛍光体インキを塗布するときには、ノズル先端と背面ガラス基板15との距離を20μmに設定した。
蛍光体インキの粘度は、25℃で10〜1000センチポアズとした。、
放電ガスは、10%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500Torrとした。
【0127】
パネル輝度は表2に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
(実施例10)
実施の形態7に基づいて、上記表2のNo.10に示す組成の電極材インキ(Agインキ)及び蛍光体インキを用いてPDPを作製した。PDPの作製を行った。
【0128】
背面パネルの隔壁は、アルミナとガラスの混合物を用いて形成し、ピッチ140μm、幅30μm、高さ120μmとした。
形成した隔壁の側面170b及び凹部170の底面170aに対する蛍光体インキの接触角を目視で測定した。また、表面粗さを、JIS規格の表面粗さ測定法(十点平均粗さ)に従って測定した。
【0129】
蛍光体インキの側面170bに対する接触角が約8°で、側面170bの表面粗さが約5μmであり、蛍光体インキの底面170aに対する接触角が約13°で、底面170aの表面粗さが約0.5μmであった。
ノズル44はノズル径が80μmのものを用い、走査時においては、ノズル先端と凹部の底面との距離は100μmに設定し、0.5kgf/cm2で加圧しながら50mm/sの速度で走査することにより、蛍光体インキを凹部の空間容積の約90%に充填されるよう塗布した。
【0130】
各色の蛍光体インキを充填し乾燥した後、約500℃で10分間焼成することによって、蛍光体層を形成した。
形成した各色蛍光体層の断面形状をSEMで観察したところ、凹部の底面での平均は厚さ約20μm、側面での平均厚さは約25μmで、均一的に蛍光体層が形成されていることが確認された。
【0131】
放電ガスは、5%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力800Torrとした。
パネル輝度は表2に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
(実施例11)
実施の形態9に基づいて、上記表2のNo.11に示す組成の電極材インキ(Agインキ)及び蛍光体インキを用いてPDPの作製を行った。
【0132】
背面パネルの隔壁は、アルミナを用いて形成し、ピッチ140μm、幅30μm、高さ120μmであって、隔壁の上面に、ポリテトラフルオロエチレンからなる撥水膜を形成した。
形成した隔壁の側面に対する蛍光体インキの接触角は約5°であった。また、隔壁の上面の撥水膜に対する蛍光体インキの接触角は約30°であった。
【0133】
ノズルはノズル径が100μmのものを用い、走査時においては、ノズル先端と凹部の底面との距離は100μmに設定し、0.7kgf/cm2で加圧しながら100mm/sの速度で走査することにより、蛍光体インキを凹部の空間容積の約90%に充填されるよう塗布した。
各色の蛍光体インキを塗布して乾燥した後、約500℃で10分間焼成することによって、蛍光体層を形成した。
【0134】
形成した各色蛍光体層の断面形状をSEMで観察したところ、凹部の底面だけでなく側面にも、平均厚さ約20μmで均一的に蛍光体層が形成されていることが確認された。
また、通常、このような比較的直径の大きなノズルを用いた場合、インキ注入中に隔壁の上部にもインキが付着しやすいが、本実施例では、蛍光体が隔壁の上面に付着することはなかった。これは、隔壁上面の蛍光体インキに対する吸着力が、隔壁側面より小さいため、隔壁上面に付着したインキが乾燥とともに隔壁側面へ移動したためと考えられる。
【0135】
放電ガスは、5%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500Torrとした。
パネル輝度は表2に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
なお、本実施例のPDP作製方法において、隔壁の上面に撥水膜を形成する代わりに、隔壁の上面を研磨してその表面粗さを小さくした(隔壁の側面の表面粗さは約5μmで、隔壁の上面の表面粗さは約0.5μm)場合も、隔壁の上面に蛍光体が付着することなく、凹部に蛍光体層を均一に塗布することができた。
【0136】
(実施例12)
実施の形態10に基づいて、上記表2のNo.12に示す組成の電極材インキ(Agインキ)及び蛍光体インキを用いてPDPの作製を行った。
隔壁17の間の距離は110μmである。ノズル122は、内径80μm、外径120μmのものを用い、走査時におけるノズル122の先端と隔壁17頂部との距離は20μmに設定した。
【0137】
蛍光体インキは、せん断速度200sec-1における粘度を10〜1000センチポアズに調合してサーバ121に入れた。そして、0.5kgf/cm2で加圧すると、ノズル122から蛍光体インキ123が吐出され、ノズル122の先端部と隔壁17間に蛍光体インキ123が表面張力によって架橋された。
この状態で、背面ガラス基板15を50mm/sの速度で移動して走査することによって、蛍光体インキを連続的に隔壁間の溝に塗布することができた。
【0138】
放電ガスは、5%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500Torrとした。
パネル輝度は表2に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
(実施例13)
実施の形態11に基づいて、上記表2のNo.13に示す組成の電極材インキ(Agインキ)及び蛍光体インキを用いてPDPの作製を行った。
【0139】
隔壁17間の距離を110μm、ノズル124の内径60μm、外径100μm、背面ガラス基板の表面に対するノズル124の開口面の傾斜を45°とし、ノズル124の先端と背面ガラス基板15の表面との距離を20μmに設定した。
これにより、蛍光体インキを連続的に安定して隔壁間の溝に塗布することができた。
【0140】
放電ガスは、5%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500Torrとした。
パネル輝度は表2に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
表3に、以下の実施例14〜17で用いる電極材インキ(Agインキ)、反射材インキ、蛍光体インキの組成、インキ粘度並びにパネルの輝度測定結果を掲載する。
【0141】
【表3】
Figure 0003837395
【0142】
実施例14〜17においても、青色蛍光体としてはBaMgAl1017:Eu2+、緑色蛍光体としてはZn2SiO4:Mn、赤色蛍光体としては(YxGd1-x)BO3:Eu3+を用いた。
(実施例14)
実施の形態12に基づいて、上記表3のNo.14に示す組成の電極材インキ(Agインキ),反射材インキ及び蛍光体インキを用いてPDPの作製を行った。
【0143】
隔壁は、アルミナとガラスの混合物で形成し、ピッチ140μm、幅30μm、高さ120μmとした。
反射材インキは、反射材料として平均粒径3μmの酸化チタンを45重量%、バインダーとしてエチルセルロースを1.8重量%、溶剤としてターピネオールを53.2重量%用い、粘度は25℃で50センチポアズに調整した。
【0144】
反射材インキの隔壁に対する接触角は約8°であった。また、凹部の底面(背面ガラス基板15)に対する接触角は約13°であった。
ノズルはノズル径が80μmのものを用い、走査時のノズル先端と背面ガラス基板15との距離は100μmに設定した。
0.5kgf/cm2で加圧すると、ノズルから反射材インキが吐出され、架橋が形成された。この状態で背面ガラス基板を隔壁の方向に走査することにより、インキを連続的に隔壁間の溝に注入し、反射材インキを凹部の空間容積の約90%充填されるよう塗布した。
【0145】
塗布した反射材インキを乾燥した後、約500℃で10分間焼成することによって反射層を形成した。
形成された反射層の断面塗布形状をSEMで観察したところ、反射材料は溝の底面だけでなく隔壁側面にも厚さ約20μmで均一に塗布されていることが確認された。
【0146】
そして、この反射層の上に、これと同様の方法で蛍光体インキを塗布して蛍光体層を形成した。
放電ガスは、5%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500Torrとした。
パネル輝度は表3に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
【0147】
なお、本実施例では、反射材インキの隔壁に対する接触角が小さくなるように調整したが、表面粗さが約0.5μmの背面ガラス基板15に対して、表面粗さが約5μmのガラス隔壁を形成したものを用い、隔壁間の溝に反射材インキを塗布した場合にも、これと同様、隔壁の側面上にも厚さ20μmの均一な反射層を形成することができた。
【0148】
(実施例15)
実施の形態13に基づいて、上記表3のNo.15に示す組成の電極材インキ(Agインキ),反射材インキ及び蛍光体インキを用いてPDPの作製を行った。
隔壁はアルミナで形成し、ピッチ140μm、幅30μm、高さ120μmとした。隔壁上面には、ポリテトラフルオロエチレンからなる撥水膜を形成した。
【0149】
反射材インキは、反射材料として粒径0.5μmのアルミナ(Al23)を45重量%、バインダーとしてポリビニルアルコールを1.0重量%、溶剤として水を54重量%用い、粘度は25℃で100センチポアズに調整した。
反射材インキの隔壁側面に対する接触角は約5°、また、反射材インキの隔壁上部に対する接触角は約30°であった。
【0150】
ノズルは、ノズル径が100μmのものを用い、走査時におけるノズル先端と隔壁との距離を100μmに設定した。
加圧器により0.7kgf/cm2で加圧すると、ノズルから反射材インキが吐出され架橋した。この状態で背面パネル基板を100mm/sの速度で隔壁に沿った方向に走査することにより、反射材インキを連続的に隔壁間の溝に注入し、反射材インキを溝の容積の約90%に充填されるよう塗布した。
【0151】
塗布した反射材インキを乾燥した後、約500℃で10分間焼成することによって反射層を形成した。
このような比較的直径の大きなノズルを用いた場合、通常は、インキ注入中に隔壁上部にインキが残りやすいが、本実施例の方法で反射層を形成した後、その断面塗布形状をSEMで観察したところ、反射材料は隔壁上面には付着することなく、溝の内面に厚さ約20μmで均一に塗布されていることが確認された。
【0152】
そして、この反射層の上に、実施例10と同様の方法で蛍光体層を形成した。放電ガスは、5%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500Torrとした。
パネル輝度は表3に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
【0153】
なお、本実施例では、反射材インキの隔壁に対する接触角が小さくなるように調整したが、ガラス隔壁の側面の表面粗さを約5μm、ガラス隔壁の上面の表面粗さを約0.5μmに形成し、隔壁間の溝に反射材インキを塗布した場合にも、これと同様、隔壁の側面上にも厚さ20μmの均一な反射層を形成することができた。
【0154】
(実施例16)
実施の形態14に基づいて、上記表3のNo.16に示す組成の電極材インキ(Agインキ),反射材インキ及び蛍光体インキを用いてPDPの作製を行った。
隔壁間の距離は110μmとし、ノズルは、内径80μm、外径120μmのものを用い、ノズルの先端と隔壁頂部との距離は20μmに設定した。
【0155】
反射材インキは、反射材料として平均粒径0.5〜5μmの酸化チタンを30〜60重量%、バインダーとしてエチルセルロースを0.1〜10重量%、溶剤としてターピネオールを30〜60重量%用い、粘度は25℃で10〜1000センチポアズに調整した。
加圧器により0.5kgf/cm2で加圧すると、ノズルから反射材インキが吐出され、ノズルの先端部と隔壁17の側面との間に反射材インキが表面張力によって架橋された。
【0156】
この状態で、背面ガラス基板15を50mm/sの速度で移動して走査することによって、反射材インキを連続的に隔壁間の溝に塗布することができた。
乾燥した後、約500℃で10分間焼成することによって、反射層を形成することができた。
そして、この反射層の上に、実施例10と同様の方法で蛍光体層を形成した。
【0157】
放電ガスは、5%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500Torrとした。
パネル輝度は表3に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
(実施例17)
実施の形態14に基づいて、上記表3のNo.17に示す組成の電極材インキ(Agインキ),反射材インキ及び蛍光体インキを用いてPDPの作製を行った。
【0158】
用いた反射材インキは上記実施例16と同様のものであるが、実施例13と同様の開口面が傾斜して形成されたノズル124(図20参照)を用いて塗布した。
即ち、隔壁17間の距離を110μm、ノズル124の内径60μm、外径100μm、背面ガラス基板の表面に対するノズル124の開口面の傾斜を45°とし、ノズル124の先端と背面ガラス基板15の表面との距離を20μmに設定した。 これにより、反射材インキを連続的に安定して隔壁間の溝に塗布することができた。
【0159】
そして、この反射層の上に、実施例10と同様の方法で蛍光体層を形成した。
放電ガスは、5%のキセノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500Torrとした。
パネル輝度は表3に示す通りであり、紫外線の波長は、主に173nmを中心とするXeの分子線による励起波長であった。
【0160】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、隔壁がストライプ状に配設されたプレートにおける隔壁間の溝に蛍光体層或は反射層を形成する工程において、蛍光体インキ或は反射材インキをノズルから連続流となるよう吐出させながらノズルを隔壁に沿って走査するという方法で蛍光体インキ或は反射材インキを塗布するようにすることによって、微細なセル構造の場合でも、容易に精度良く蛍光体層や反射層を形成することが可能であって、且つ隔壁がストライプ状の場合に、隔壁間の溝に蛍光体層や反射層を均一的に形成することができる。
【0161】
ここで、ノズルを隔壁の側面に向けた状態で蛍光体インキを噴出しながら、当該ノズルを隔壁に沿って走査すれば、隔壁の側面に対しても容易に蛍光体層や反射層を形成することもできる。
また、蛍光体層を形成する工程において、隔壁間の溝に蛍光体インキを塗布した後、塗布された蛍光体インキに対して外力を加えて隔壁の側面に付着させることによっても、隔壁の側面に対しても容易に蛍光体層を形成することができる。
【0162】
また、隔壁間の溝とノズルとが蛍光体インキの表面張力で架橋する状態を保ちながらノズルを隔壁に沿って走査することによっても、微細なセル構造の場合でも、容易に精度良く蛍光体層や反射層を形成することが可能であって、且つ隔壁がストライプ状の場合に、隔壁間の溝に蛍光体層や反射層を均一的に形成することができ、隔壁の側面に対しても容易に蛍光体層や反射層を形成することもできる。
【0163】
また、隔壁間に凹部が形成されたプレートを作成する工程において、凹部の底面より側面の方が、蛍光体インキあるいは反射材インキに対する吸着力が大きくなるよう形成することによっても、隔壁の側面に対して容易に蛍光体層や反射層を形成することができる。
また、隔壁間に凹部が形成されたプレートを作成する工程において、隔壁の上面より側面の方が、蛍光体インキ或は反射材インキに対する吸着力が大きくなるよう形成することによって、蛍光体層や反射層を形成する際に、蛍光体や反射体が隔壁の上面に付着するのを防止することができる。
【0164】
また、プレートに電極をストライプ状に配設する工程において、電極材料を含有するインキをノズルから連続流となるよう吐出させながらノズルを走査することによってインキを塗布するという方法を用いることにより、微細なセル構造の場合にも、表示電極やアドレス電極を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る交流面放電型PDPの概略断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るPDPの概略駆動ブロック図である。
【図3】実施の形態1で、放電電極,アドレス電極及び蛍光体層を形成する際に用いるインキ塗布装置の概略構成図である。
【図4】上記インキ塗布装置の一例を用いた充填動作を示す斜視図である。
【図5】実施の形態2で蛍光体層を形成する際に用いるインキ塗布装置の概略構成図である。
【図6】図5のインキ塗布装置の動作を示す部分拡大斜視図である。
【図7】実施の形態2における蛍光体インキの塗布方法の効果を説明する図である。
【図8】実施の形態3における蛍光体インキの塗布方法を説明する図である。
【図9】実施の形態3における蛍光体インキの塗布方法を説明する図である。
【図10】実施の形態4における蛍光体インキの塗布方法を説明する図である。
【図11】実施の形態5における蛍光体インキの塗布の様子を示す概略断面図である。
【図12】実施の形態5におけるインキの架橋形成方法の一例を示す図である。
【図13】実施の形態6における蛍光体インキの塗布の様子を示す図である。
【図14】溶射法による隔壁の形成方法の説明図である。
【図15】プラズマ溶射についての説明図である。
【図16】実施の形態7に係るインキ塗布装置の概略構成図である。
【図17】実施の形態8の製造方法で、凹部に充填された蛍光体インキの乾燥過程を示す模式図、並びにその比較図である。
【図18】実施の形態9における蛍光体インキ塗布の様子を示す図である。
【図19】実施の形態10のインキ塗布装置の概略を示す断面図である。
【図20】 実施の形態11における蛍光体インキ塗布装置の要部概略図である。
【図21】実施の形態11におけるノズルの変形例を示す図である。
【図22】実施の形態11におけるノズルの変形例を示す図である。
【図23】実施の形態11におけるノズルの変形例を示す図である。
【図24】実施の形態12に係るPDPの概略断面図である。
【図25】従来のスクリーン印刷法で蛍光体ペーストを隔壁間の凹部に塗布する様子を示す図である。
【符号の説明】
11 前面ガラス基板
12 放電電極
13 誘電体ガラス層
14 保護層
15 背面ガラス基板
16 アドレス電極
17 隔壁
18 蛍光体層
19 放電空間
20 インキ塗布装置
21 サーバ
22 加圧ポンプ
23 ヘッダ
24 ノズル
33 ヘッダ
33a インキ室
33b 空気室
34 ノズル
36 空気噴射ノズル
43 ヘッダ
44 ノズル
46 インキ撹拌ロッド
90 プラズマ溶射装置
100 インキ塗布装置
110 撥水膜
120 インキ塗布装置
122 ノズル
124〜127 ノズル
130 反射層
170 凹部
170a 凹部の底面
170b 凹部の側面

Claims (14)

  1. 隔壁と隔壁との間に凹部が形成された第1のプレートを作成するプレート作成ステップと、
    前記第1のプレートの凹部に蛍光体インキを塗布することによって蛍光体層を形成する蛍光体層形成ステップと、
    前記第1のプレートの隔壁が形成された側に第2のプレートを重ねて封着すると共にガス媒体を封入する封着ステップを備えたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記プレート作成ステップで作成する第1のプレートは、
    隔壁の上面より側面の方が、蛍光体インキに対する吸着力が大きいことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 隔壁と隔壁との間に凹部が形成された第1のプレートを作成するプレート作成ステップと、
    前記第1のプレートの凹部に蛍光体インキを塗布することによって蛍光体層を形成する蛍光体層形成ステップと、
    前記第1のプレートの隔壁が形成された側に第2のプレートを重ねて封着すると共にガス媒体を封入する封着ステップを備えたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記プレート作成ステップで作成する第1のプレートは、
    蛍光体インキの隔壁上面に対する接触角より隔壁側面に対する接触角の方が小さいことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. プレート作成ステップは、蛍光体インキの接触角が、隔壁の側面に対する接触角よりも大きい材料を隔壁の上部に塗布するサブステップを含むことを特徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  4. プレート作成ステップでは、
    前記隔壁側面に対する蛍光体インキの接触角が90°以下となるよう第1のプレートを作成することを特徴とする請求項2または3記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  5. 隔壁と隔壁との間に凹部が形成された第1のプレートを作成するプレート作成ステップと、
    前記第1のプレートの凹部に反射材インキを塗布することによって反射層を形成する反射層形成ステップと、
    隔壁間の溝に蛍光体インキを塗布して前記反射層の上に蛍光体層を形成する蛍光体層形成ステップと、
    前記第1のプレートの隔壁が形成された側に第2のプレートを重ねて封着すると共にガス媒体を封入する封着ステップを備えたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記プレート作成ステップで作成する第1のプレートは、
    隔壁の上面より側面の方が、反射材インキに対する吸着力が大きいことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 隔壁と隔壁との間に凹部が形成された第1のプレートを作成するプレート作成ステップと、
    前記第1のプレートの凹部に反射材インキを塗布することによって反射層を形成する反射層形成ステップと、
    隔壁間の溝に蛍光体インキを塗布して前記反射層の上に蛍光体層を形成する蛍光体層形成ステップと、
    前記第1のプレートの隔壁が形成された側に第2のプレートを重ねて封着すると共にガス媒体を封入する封着ステップを備えたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記プレート作成ステップで作成する第1のプレートは、
    反射材インキの隔壁上面に対する接触角より隔壁側面に対する接触角の方が小さいことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  7. 前記プレート作成ステップは、
    反射材インキの接触角が、隔壁の側面に対する接触角よりも大きい材料を隔壁の上部に塗布するサブステップを含むことを特徴とする請求項6記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  8. 前記プレート作成ステップでは、
    前記隔壁側面に対する反射材インキの接触角が90°以下となるよう第1のプレートを作成することを特徴とする請求項6 または 7記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  9. 隔壁と隔壁との間に凹部が形成された第1のプレートを作成するプレート作成ステップと、
    前記第1のプレートの凹部に反射材インキを塗布することによって反射層を形成する反射層形成ステップと、
    隔壁間の溝に蛍光体インキを塗布して前記反射層の上に蛍光体層を形成する蛍光体層形成ステップと、
    前記第1のプレートの隔壁が形成された側に第2のプレートを重ねて封着すると共にガス媒体を封入する封着ステップを備えたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記プレート作成ステップで作成する第1のプレートは、
    隔壁の上面より側面の方が、表面粗さが大きいことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  10. 隔壁と隔壁との間に凹部が形成され、当該凹部に蛍光体インキを塗布することによって蛍光体層が形成されており、当該隔壁の上面より側面の方が蛍光体インキに対する吸着力が大きく形成されている第1のプレートと、
    前記第1のプレートの隔壁を配設した側に重ねられた第2のプレートとが、ガス媒体が封入された状態で封着されてなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  11. 隔壁と隔壁との間に凹部が形成され、当該凹部に蛍光体インキを塗布することによって蛍光体層が形成されており、蛍光体インキの隔壁上面に対する接触角より隔壁側面に対する接触角の方が小さく形成されている第1のプレートと、
    前記第1のプレートの隔壁を配設した側に重ねられた第2のプレートとが、
    ガス媒体が封入された状態で封着されてなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  12. 隔壁と隔壁との間に凹部が形成され、当該凹部には、反射材インキを塗布することによって反射層が形成され、更にその上に蛍光体インキを塗布することによって蛍光体層が形成されており、当該隔壁の上面より側面の方が反射材インキに対する吸着力が大きく形成されている第1のプレートと、
    前記第1のプレートの隔壁を配設した側に重ねられた第2のプレートとが、
    ガス媒体が封入された状態で封着されてなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  13. 隔壁と隔壁との間に凹部が形成され、当該凹部には、反射材インキを塗布することによって反射層が形成され、更にその上に蛍光体インキを塗布することによって蛍光体層が形成されており、反射材インキの隔壁上面に対する接触角より隔壁側面に対する接触角の方が小さく形成されている第1のプレートと、
    前記第1のプレートの隔壁を配設した側に重ねられた第2のプレートとが、
    ガス媒体が封入された状態で封着されてなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  14. 隔壁と隔壁との間に凹部が形成され、当該凹部には、反射材インキを塗布することによって反射層が形成され、更にその上に蛍光体インキを塗布することによって蛍光体層が形成されており、当該隔壁上面より側面の方が表面粗さが大きく形成されている第1のプレートと、
    前記第1のプレートの隔壁を配設した側に重ねられた第2のプレートとが、
    ガス媒体が封入された状態で封着されてなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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