JP3837070B2 - 自動倉庫 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動倉庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動倉庫には様々のタイプのものがあるが、移載装置のタイプによって見ると、一般的には、1台のスタッカクレーンによって荷の出し入れを行うスタッカ方式と、棚段毎に自走台車を水平走行自在に配置した台車方式とが多く使用されている。
【0003】
このような自走台車やスタッカクレーンを走行させる方法として、レールにタイミングベルトを張ってその両端を固定し、移載装置に設けた駆動プーリをタイミングベルトに噛み合せ、駆動プーリを回転駆動することが行われている(例えば、特許第2906308号公報等参照)。
【0004】
このようにタイミングベルトを使用して走行させると、車輪を駆動して走行させる場合に比べてスリップを防止して、走行制御を正確に行える利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、タイミングベルトは繰り返し使用しているうちに劣化するものであり、このため、ある程度の期間を使用すると全体を交換している。しかし、一般にタイミングベルトの長さは50m程度もあるため、交換にはかなりのコストがかかっていた。
【0006】
この点について、本願発明者が研究したところ、タイミングベルトの劣化の程度は各部位で一様ではなく、入出庫部に近い部位の2〜3mにおいて劣化が早く進行している事実がわかった。そして、従来は、この2〜3m程度の劣化に合わせて全体を交換していたため、多大の無駄が発生していた。
【0007】
本発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため、請求項1の発明では、荷を収納する格納庫と、格納庫への荷の出し入れを行う水平走行自在な移載装置と、前記移載装置の駆動等のために移載装置の走行方向に沿って長く延びるタイミングベルト等の索条とを備えており、前記索条の両端をレール等に固定している自動倉庫において、前記索条の一端又は両端に、当該索条の端部が劣化や損傷したときに繰り出して張り直しできる程度の長さの余長部分を設けるという構成にした。
【0009】
ところで、自走台車方式の自動倉庫にしてもスタッカクレーン方式の自動倉庫にしても、格納庫の一端部に入出庫部を設けていることが多い。この場合、自走台車やスタッカクレーンは荷の出し入れに際して必ず入出庫部に戻るため、タイミングベルトのような索条は入出庫部寄りの端部ほど劣化が早く進行する。
【0010】
そこで請求項2の発明では、格納庫の一端部のみで入出庫を行うようになっている自動倉庫において、前記索条のうち入出庫部と反対側の部位に余長部分を設ける構成にした。
【0011】
【発明の作用・効果】
本発明によると、タイミングベルトのような索条の端部が早く劣化したり損傷したりしても、余長部分を繰り出して張り直せばよい(劣化した部分は切断しても良いし、そのままでも良い)。
【0012】
従って、本願発明では、索条のうち劣化した部分だけを交換するのと同じ状態になり、その結果、索条の全体を交換していた従来に比べて、索条の劣化に起因した補修に要するコストを格段に低減することができる。
【0013】
記述のとおり、格納庫の一端部を入出庫部としている自動倉庫の場合、索条は入出庫部寄りの2〜3m程度が早く劣化するため、請求項2のように構成することにより、索条の劣化に起因した補修に要するコストを的確に抑制することができる。
【0014】
自走台車方式の自動倉庫では、自走台車は各棚段に対応して配置しているため、タイミングベルト等の索条の数も相当の数にのぼり、その交換に要するコストも嵩んでいたが、本願発明により、ランニングコストを著しく抑制することができて特に好適である。
【0015】
なお、本願発明は、移載装置を走行させるためにタイミングベルト等の索条を設けている場合のみでなく、ロータリエンコーダを回転させるため(すなわち、移載装置の位置検出のため)に索条を設けている場合にも適用することができる。
【0016】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(1).第1実施形態(図1〜図9)
図1〜図9では第1実施形態を示している。このうち図1は自動倉庫の部分的な概略斜視図であり、この図に示すように、自動倉庫は、多段に配置された棚1の群より成る2つの格納庫2を備えており、両格納庫2の端部には、各棚1と同じ高さのコンベヤ式リザーバ(荷の仮置き棚)3を設けている。更に、リザーバ3の群の外側には、昇降台4を有するリフト装置5が配置されている。
【0018】
リフト装置5を挟んでリザーバ3の群と反対側の部位には、入出庫コンベヤ6の端部が延びている。荷Wは、リフト装置5を介して、入出庫コンベヤ6と任意の段のリザーバ3に移し替えられる。そして、各段ごとに、後述する自走台車により、棚1の任意の位置とリザーバ3との間に移し替えられる。
【0019】
このように、自動倉庫は、格納庫2の一端部側のみが、荷Wの出し入れを行う入出庫部となっている。
【0020】
なお、2列のコンベヤ6のうちいずれか一方を入庫専用とし、他方を出庫専用としても良いし、両方を入庫と出庫とに併用してもよい。また、一点鎖線で示すように、入出庫コンベヤ6を多段に設けることも可能である。更に、リフト装置5を使用せずに、各棚段ごとに入出庫コンベヤを配置することも可能である。
【0021】
次に、自走台車について、図2〜図5に基づいて説明する。図2は格納庫の平断面図、図3は自走台車の部分的な斜視図、図4は駆動方法を示す概略斜視図、図5は駆動機構の側面図である。
【0022】
▲1▼.駆動機構
図2に示すように、隣合った棚1の間に、それぞれ自走台車7が配置されている。自走台車7は、平面視四角形の機枠8を備えており、機枠8には、レール9,10を走行する前後一対ずつの車輪11を設けている。大型の自走台車の場合は、3対以上の車輪を設ける場合もある。
【0023】
機枠8の一側部寄りには、索条の一例としての走行用タイミングベルト12を使用した駆動機構13を設けている。図3に示すように、駆動機構13は、走行用モータ14で回転駆動される駆動プーリ15やアイドルプーリ16を備えている。
【0024】
走行用モータ14は、平面視で機枠8の長手側縁に沿って延びる姿勢で機枠8に立設したメインブラケット板17に固定されている。メインブラケット板17は、機枠8を横切るように配置された補強ステー18にも固定されている。
【0025】
アイドルプーリ16は駆動プーリ15を挟んだ前後両側でかつ駆動プーリ15よりも下方位置においてラケット板17に軸支されている。走行用タイミングベルト12は歯を下向きにして配置されている。
【0026】
メインブラケット板17のうち駆動プーリ15を挟んだ両側には、走行用タイミングベルト12が駆動プーリ15から外れるのを防止するための一対の押さえローラ19を回転自在に取付けている。
【0027】
更に、メインブラケット板17には、走行用タイミングベルト12が駆動プーリ15から外れるのを防止するため、駆動プーリ15に上方から被さるような形状のガイド部材20を固定している。ガイド部材20は、走行用タイミングベルト12との摩擦が極力小さくなるうように、摩擦係数の小さい合成樹脂で製造されている。符号20で示すのは補助ブラケット板である。
【0028】
メインブラケット板17の一側部には切欠き23が形成されており、この切欠き23の箇所に外向きブラケット24を固定している。外向きブラケット24に軸支した検知用第1プーリ25と、走行用モータ14の主軸に固定した検知用第2プーリ26とに、エンドレスの検知用タイミングベルト27を巻き掛けている。
【0029】
更に、メインブラケット17のうち切欠き23の箇所の内面側に、前記第1検知用プーリ25の回転を検出するロータリエンコーダ28を固定している。
【0030】
走行用タイミングベルト12の両端はレール10の両端は固定されている(この点は後述する)。従って、走行用モータ14を正逆回転させると、駆動プーリ15によって走行用タイミングベルト12をたぐり寄せるような状態になって、自走台車7を前後いずれの方向にも走行させることができ、かつ、走行位置はロータリエンコーダ28によって検知される。
【0031】
レール9,10は下向きに開口した形状で、かつ、棚板29の前端縁が載る外向きフランジ9a,10aが形成されている。そして、駆動機構13の側に位置した一方のレール10には、走行用タイミングベルト12が載る段部10bを形成している。
【0032】
レール9,10は多数本に分断されており、その両端部をフロント支柱30に固定している。また、棚板29の後端縁はリアフレーム31(図1参照)で支持されている。
【0033】
符号32で示すのは、制御用の電気・電子部品を内蔵した制御ボックスである。図3において制御ボックス32の隣で符号33で表示されているのは、トロリー用集電器(図示せず)を取付けるための支柱であり、集電器には、上段に位置したレール10の内部に設けたトロリー線から給電される。
【0034】
▲2▼.荷の移し替え
図2に示すように、自走台車7には、走行方向と直交した方向に延びるガイドフレーム35,36が配置されており、これらのガイドフレーム35,36で挟まれた部位が荷載置部となっている。
【0035】
図3に示すように、一方のガイドフレーム35は縦長ブラケット37によって機枠8に固定されており、他方のガイドフレーム36は、一方のガイドフレーム35に遠近移動するように、図示しないガイド機構を介して機枠8に取付けられている。機枠8には、他方のガイドフレーム36を移動させるためのモータ38を固定している。
【0036】
両ガイドフレーム35,36には薄い支持板39が固定されており、両支持板39は、両ガイドフレーム35,36の間隔が広狭変化しても常に重なりあった状態になっている。
【0037】
また、両ガイドフレーム35,36には、中間アーム40が棚1に向けて前進・後退するように装着されており、更に、中間アーム40には、先端アーム41が前進・後退動自在に取付けられている。先端アーム41の両端には、ピッカー42を水平旋回自在に装着している。アーム40,41は、1台の移載用モータ43によって同期して行われる。
【0038】
ピッカー42荷Wの前面又は後面に当ててアーム40,41を進退動させることにより、荷Wを棚1と自走台車7との間に移し替ることができる。なお、荷Wの移し替機構は他の構造でも良いことはいうまでもない。
【0039】
▲3▼.走行用タイミングベルトの固定手段
次に、走行用タイミングベルト12の固定手段を図6〜図9に基づいて説明する。
【0040】
図6は、リザーバ3やリフト倉庫6が配置された入出庫部45の平面図であり、この図に示すように、走行用タイミングベルト12のうち入出庫部45の側に位置した前端部12aは、レール10の段部10bの上面に、押さえ部材46によって固定されている。
【0041】
押さえ部材46は、アジャスターボルト47によって移動調節できるようになっており、このため、走行用タイミングベルト12にテンションを掛けることができる。なお、走行用タイミングベルト12の一端部12aは、フロント支柱30に固定するなどしても良い。
【0042】
走行用タイミングベルト12の他端部の固定手段は、図7〜図9に示されている。図7は、段部10bが形成されたレール10が固定されるフロント支柱群のうち入出庫部45と反対側の後端に位置したエンド支柱48の背面図、図8のうち(A)は図7のA−A視断面図、(B)は図7のB−B視断面図,図9は図7のIX−IX視断面図である。
【0043】
エンド支柱48は外向き開口の断面C字状に形成されており、このエンド支柱48に、各レール10における段部10bに対応して逃がし穴49が空いており、走行用タイミングベルト12の後端部12bはこの逃がし穴49から外側に引き出されている。
【0044】
また、エンド支柱48の内面のうち各逃がし穴49の上方部位には、走行用タイミングベルト12の余長部分12cが巻掛けられたガイドプーリ50がブラケット51を介して取付けられている。
【0045】
更に、エンド支柱48のうち各ガイドプーリ50の上方部位には、走行用タイミングベルト12の余長部分12cが巻かれたリール52が配置されている。リール52は芯棒53を備えており、走行用タイミングベルト12における余長部分12cの末端は、芯棒53に固定されている。
【0046】
芯棒53は、ねじ止め等の適当な手段により、回転不能の状態と回転可能な状態とに切り換えることができ、通常は回転不能に保持されている。従って、走行用タイミングベルト12にテンションが掛かっても、余長部分12cが引き出されることはない。
【0047】
リール52には補強部材54が固定されており、補強部材54は、エンド支柱48に固定されたブラケット台55にボルト56で固定されている。この場合、ボルト56が嵌まる穴57を上下長手の長穴とし、かつ、引き上げ用のアジャスタボルト58を設けている。
【0048】
このため、リール52の位置を上下調節して走行用タイミングベルト12にテンションを掛けることができる。アジャスタボルト58は、ブラケット台55に固定した支持板59に貫通している。
【0049】
▲4▼.まとめ
自動倉庫において、入庫時には、自走台車7は入出庫部45を起点として各収納部に走行する。また、出庫時には、荷Wの格納場所から入出庫部45に走行する。すなわち、入出庫に際して、自走台車7は必ず入出庫部45に行ったり戻ったりする。このため、走行用タイミングベルト12は、先端12a寄りの2〜3m部分ほど部分が早く劣化する。
【0050】
そこで、先端寄り部位が劣化したら、その劣化した部分を切断して、余長部分12cを繰り出して張り直す。これにより、走行用タイミングベルト12は全体を交換したのと同じ状態に戻すことができる。
【0051】
走行用タイミングベルト12の余長部分12cの長さは、1回又は複数回3〜5の切断・繰り出しが行えるように、適当な長さに設定しておけば良い。
【0052】
(2).他の実施形態(図10〜図11)
図10に示す第2実施形態では、リール42をガイドプーリ50の下方に配置し、かつ、走行用タイミングベルト12の末端部12bは押さえ部材46でレール10に固定している。押さえ部材46は、走行用タイミングベルト12にテンションをかけるアジャスト機能を備えている。
【0053】
走行用タイミングベルト12の余長部分は必ずしもリールに巻く必要はない。図11では、走行用タイミングベルト12を環状に形成した例を示している。このうち(A)に示す例では、走行用タイミングベルト12の全体を環状に結んで、2対のガイドプーリ50により、レール10を巻いたような状態に配置している。
【0054】
入出庫部寄りの先端部が劣化したら、押さえ部材46を緩めて矢印の方向に適当な長だけずらして、再び固定したら良い。言うまでもないが、押さえ部材46はテンション付与機能を備えている。また、レール10には、下方に位置した部分が垂れるのを防止する受け部材を適当な間隔で飛び飛びに(又は一連に延びるように)設けている。
【0055】
走行用タイミングベルト12のうち先端部以外の部分も少しずつ劣化することは否めず、このため、繰り出して張り替えるたびに、張り替えの時間間隔は短くなる傾向を呈し、張り替え回数は限度があると考えられる。このため、必要な余長部分の長さも、レール10の全長の長さ程には必要ない場合もある。
【0056】
この点について、(B)では、走行用タイミングベルト12とワイヤー類60とを結んでループ体に形成することにより、余長部分を必要なだけの長さに設定している。
【0057】
(3).その他
本発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化することができる。例えば、索条としてはタイミングベルトには限らず、ワイヤーなどでもよい。
【0058】
また、タイミングベルトを使用する場合、プーリとの関係は実施形態のような組合せに限らず、例えば歯を上向きにしてタイミングベルトをレールに配置し、これに駆動プーリを噛み合わせるなどしても良い。
【0059】
索条の余長部分は単に垂らした状態にしておいたり、袋で包んでおくなどしても良いても。また、タイミングベルト等の劣化した部分は必ずしも切断する必要はなく、移載装置等の邪魔にならない状態で垂らしたままにしておくなどしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の部分的な概略斜視図である。
【図2】自動倉庫の部分的な平断面図である。
【図3】要部の斜視図である。
【図4】駆動方法を示す概略斜視図である。
【図5】駆動機構の側面図である。
【図6】入出庫部の平面図である。
【図7】走行用タイミングベルトの末端部を取付けているエンド支柱の背面図である。
【図8】(A)は図7のA−A視断面図、(B)は図7のB−B視断面図である。
【図9】図7のIX−IX視断面図である。
【図10】第2実施形態を示す図である。
【図11】第2実施形態を示す図である。
【符号の簡単な説明】
1 棚
2 格納庫
7 自走台車
8 機枠
9,10 レール
10b 段部
12 索条の一例としての走行用タイミングベルト
12c 余長部分
13 駆動機構
14 走行用モータ
15 駆動プーリ
16 アイドルプーリ
46 押さえ部材
50 ガイドプーリ(ガイドローラ)
42 リール

Claims (2)

  1. 荷を収納する格納庫と、格納庫への荷の出し入れを行う水平走行自在な移載装置と、前記移載装置の駆動等のために移載装置の走行方向に沿って長く延びるタイミングベルト等の索条とを備えており、前記索条の両端をレール等に固定している自動倉庫であって、
    前記索条の一端又は両端に、当該索条の端部が劣化や損傷したときに繰り出して張り直しできる程度の長さの余長部分を設けている、
    自動倉庫。
  2. 前記格納庫の一端部のみで入出庫を行うようになっている一方、
    前記索条のうち入出庫部と反対側の部位に余長部分を設けている、
    請求項1に記載した自動倉庫。
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