JP3837012B2 - 観察窓および超臨界水反応装置 - Google Patents

観察窓および超臨界水反応装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、観察窓に関し、特に、難分解性物質や有害有機物を完全分解処理するのに適した超臨界水反応装置に好適に用いることができる観察窓に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、純粋な水の状態図を示す。固相、液相、気相は、それぞれ、S、L、Gで示される。曲線OAは蒸気圧曲線であり、液体の蒸気圧の温度変化を表す。曲線OAは臨界点Aで終わり、臨界点の温度、圧力、モル体積をそれぞれ、臨界温度、臨界圧、臨界体積という。これらを総称して、臨界定数(critical constant)といい、臨界定数は、物質に固有の定数である。なお、臨界点では、気体と液体のモル体積は一致する。
【0003】
臨界温度より高い温度、かつ、臨界圧力を越えた圧力の下は、気体、液体の区別ができない流体となり、かかる流体は、超臨界流体(supercritical fluid)という。例えば、純粋な水の臨界温度は374であり、臨界圧は218atm 22MPa である。
【0004】
超臨界とは、臨界温度より高い温度、かつ、臨界圧力を越えた圧力をいう。超臨界では、物質は、通常の気相又は液相とは異なる性質を示し、また、その反応性も異なる。そこで、超臨界条件を分解反応に応用することが研究されている。
【0005】
例えば、超臨界水、即ち、374℃以上、かつ、22MPa以上の水を分解反応の媒体として利用することが提案されている。「水と油」というように、水は、通常は油のような有機物を溶解しない。しかし、超臨界水は、油のような有機物をも溶解する優れた溶媒である。
【0006】
そして、超臨界水が存在するような高温では、有機物等は容易に熱分解する。特に、酸素等の酸化剤が存在する場合には、超臨界水を用いることにより、ほとんどの有機物を水と二酸化炭素にほぼ完全に分解することができる。
【0007】
例えば、特公平1−38532号公報によって示される技術は、超臨界水酸化の反応を行う反応器、この反応器に分解対象物を含む所定の物質を供給する供給系、反応器から生成物を排出する排出系の三つの部分を基本的要素とし、このうちの物質の供給系は、上記公報提案では、分解対象物をフィードポンプで昇圧しエジェクターで超臨界水と混合し、加熱した後に反応器に導入するようにして構成されている。反応器の構成としては、細長い管の始端側から分解対象物,超臨界水,酸化剤を注入し、終端側から分解生成物を排出するようにしたワンパス型の管式(パイプ型)反応器が代表的なものとして知られている。
【0008】
また、工業的規模で安定かつ安価に実施するため、特開平10−137774号公報では、超臨界水酸化の反応器に流体を供給する技術が記載されている。この技術などによって難分解性有機物や有害有機物の分解処理を、工業的規模にて実施する技術のレベルに達したと言える。二流体ノズルを用いたので、管長の長い反応器が必須ではなくなり、反応器の設計自由度を拡大させることができたからである。
【0009】
この技術を含め、一般的に、超臨界水分解装置のチャンバー内では、分解対象物を、たとえば550℃〜850℃の高温、かつ、25MPaの高圧下で酸化させたり燃焼させる。チャンバーの中心軸上には、分解対象物、超臨界水および燃料を供給する二重管として構成された二流体ノズルが配置されており、燃焼させる場合には、そのノズルの先端において、燃焼に伴う炎が発生する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、超臨界水反応装置のチャンバー内の反応、例えば、燃焼の具合や炎の様子を目視観察したいという要請がある。
【0011】
ところが、550℃〜850℃のような高温、かつ、25MPaのような高圧下に耐えられるような観察窓を装着させるのは、極めて困難だった。特に、超臨界水は、反応性が極めて高いので、通常の材質では腐食の虞があるからである。また、環境問題の観点から、分解対象物の種類によっては、観察窓の装着箇所から分解対象物を外界へ漏出させてはならないものもある。
【0012】
本願発明の一側面では、超臨界水反応装置の反応を観察できる観察窓に関する技術を提供することを課題とする。加えて、そのような観察窓を備えた超臨界水反応装置を提供することも課題とする。もっとも、観察窓は、超臨界水反応装置に限られず、溶鉱炉、深海探索用潜水艦、スペースシャトル等の極限状況でも用いることができる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、本発明の第1の側面では、第1面(11a)、前記第1面に対向する第2面(11b)及び外周面を有する耐圧性の透明部材(11)と、前記透明部材(11)の前記外周面を保持する透明部材支持筒(12)と、前記透明部材支持筒(12)を固定し、かつ、前記透明部材(11)の前記第2面(11b)に対向する端面(14s)を有する固定用筒状部材と、前記固定用筒状部材の前記端面(14s)と前記透明部材(11)の前記第2面(11b)との間に位置する金パッキン(13)とを備え、前記金パッキン(13)は、厚さが15μm〜1000μmであることを特徴とする観察窓を提供する。
【0014】
本発明において、前記固定用筒状部材が、第1開放端(14d)と第2開放端(14e)とを有する中間筒(14)と、第1開放端(15d)と第2開放端(15e)とを有する反応器固定用筒状部材(15)とを備え、前記中間筒(14)の前記第1開放端(14d)が前記固定用筒状部材の前記端面(14s)を構成し、前記中間筒(14)の前記第2開放端(14e)が前記反応器固定用筒状部材(15)の第1開放端(15d)と対向することが好ましい。
【0015】
また、前記中間筒(14)は、前記中間筒の前記第1開放端(14d)と前記中間筒の前記第2開放端(14e)との間に位置するフランジ部(14a)と、前記中間筒の前記第1開放端側に突出する支持部(14b)と、前記中間筒の前記第2開放端側に突出するパッキン保持部(14c)とを有し、前記パッキン保持部(14c)は、その外周面上に少なくとも1つのパッキン(20)を有し、前記パッキン(20)は、貴金属、炭素系材料又は耐食性合金から構成されることが好ましい。
【0016】
また、本発明の他の側面では、内部にチャンバー (3) を確定する反応器 (1)と、前記反応器 (1)を保温するための保温材(5)と、前記反応器内のチャンバー(3)に流体接続する吐出口を有するノズル(2)とを備えた超臨界水反応装置であって、前記超臨界水反応装置が、上記の観察窓を備え、前記観察窓は、前記透明部材(11)を通じて前記ノズル(2)の前記吐出口付近を観察できるように装着されていることを特徴とする超臨界水反応装置が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態および図面に基づいて、更に詳しく説明する。図1は、本発明の一実施形態に用いる超臨界水反応装置の全体図である。図2は、本発明の一実施形態に係る超臨界水反応器観察窓の断面図である。
【0018】
図1に示すのは、チャンバー3と、そのチャンバー3内へ超臨界水、酸化剤、分解対象物および燃料等の流体を吐出させる超臨界水用ノズル2と、を備える反応器1と、その超臨界水用ノズル2によって吐出された流体が反応器1のチャンバー3内で反応する様子を観察するための観察窓10を備えた超臨界水反応装置である。
【0019】
まず、図1を用いて、超臨界水反応装置について詳細に説明する。
【0020】
本発明の一実施形態に用いる超臨界水反応装置は、チャンバー3と、超臨界水用ノズル2と、保温材5と、具備する反応器1を備える。
【0021】
反応器1は、温度及び圧力が水の臨界点以上の反応領域を形成することができる管式反応器である。本実施形態では、燃料を供給して燃焼させるので、その燃焼温度に耐えられることが必要である。
【0022】
もっとも、反応器1は管式反応器に限られず、温度及び圧力が水の臨界点以上の反応領域を形成することができるものであれば反応器の型式に限定されない。例えば、いわゆる管式反応器の他、ベッセル型反応器(縦型筒状反応器)などのいずれの反応器も採用することができる。「管式反応器」は、直線的に延びた筒状構造、曲線的に延びた筒状構造、これらを組み合わせた構造等のいずれのものであってもよく、その延設構造などによって限定されるものではない。「ベッセル型反応器」は、超臨界水酸化反応を行うための超臨界領域を器内上部に有し、かつ亜臨界領域を器内下部に有する縦型筒状構造のものをいう。下部の亜臨界領域に落下した塩を亜臨界水に溶解させて器外に排出できるので、超臨界酸化反応で生成する酸をアルカリで中和することが必要な反応に好適に用いられる。有機物分解の超臨界水酸化の条件は、一般的には、反応温度が400℃以上、好ましくは550℃〜650℃前後であり、反応圧力は22MPa〜60MPa、好ましくは22MPa〜30MPaである。反応時間は、例えば、1秒〜24時間であり、好ましくは、1分〜2時間であり、更に好ましくは1分〜10分、更になお好ましくは1分〜2分である。
【0023】
反応器1は、上流側がハウジング1aの内側に支持されている。反応器1の上流側には超臨界水用ノズル2が備えられており、チャンバー3と流体接続する吐出口2cを有する。ノズル2には、2つの導入管2a、2bが接続されており、それぞれハウジング1aによって支持される。導入管2a,2bのいずれかにより、超臨界水、酸化剤、分解対象物および燃料等の流体がノズル2に導入される。
【0024】
「超臨界水」とは、水の臨界点以上、すなわち374℃以上の温度かつ22MPa以上の圧力下に存在する水をいう。超臨界水は、分解対象物に対する溶媒としての役割を果たす。このため、超臨界水の量や温度は、分解対象物の反応温度、供給量、予熱の有無などに応じて決めるが、一般的には一気に昇温できるように、500℃〜650℃の超臨界水を供給するのが好ましい場合が多い。
【0025】
「酸化剤」とは、酸素、空気等のガス状酸化剤あるいは過酸化水素水等の液状酸化剤などがある。通常、費用の点から空気が選ばれることが多い。
【0026】
「分解対象物」とは、分解対象有機物単独の流体、これに酸化剤を添加した流体、酸中和のためのアルカリを添加した流体、酸化剤とアルカリの双方を添加した流体など、いずれの場合も含む。更に、「分解対象物」としては、廃棄物、スラリーを含むような廃液などを挙げることができる。一般的な有機物は勿論のこと、残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants )或いは残留性有害生物蓄積物質(PTBs:Persistent Toxic Bio-accumlatives )、環境基準において有害物質指定されているPCBs,トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、廃農薬等の有機塩素化合物の分解処理に有効である。また、塩素のほかにもハロゲン化物は一般に難分解性であり、有機臭素化合物等の処理にも有効である。さらに、各種の工場における生産工程からは様々な硫黄化合物、窒素化合物、リン化合物等が排出され、これらの完全分解が求められる有機物の処理にも有効である。
【0027】
燃焼に用いる「燃料」は、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、アセトン等の低級ケトン、ヘキサン等の低級アルカンなどの発火しやすい有機溶媒である。望ましくは低級アルコールであり、更に望ましくはイソプロピルアルコールである。
【0028】
「超臨界水用ノズル」とは、2つの流体を並流させる二流体ノズルであってもよいし、3つの流体を並流させる三流体ノズルであってもよいし、それ以上の多流体ノズルであってもよい。
【0029】
導入管2a,2bにより導入された流体は、ノズル2の吐出口2cから反応器1に向かって吐出され、噴出しながら超臨界水反応を起こし、炎を発生しながら燃焼する。
【0030】
「超臨界水反応」とは、超臨界水を使用して生じる反応のすべてをいい、典型的には分解対象物の分解反応をいう。
【0031】
反応器1には、ノズル2の吐出口2c付近とほぼ同じ高さの位置に観察窓10が装着されている。また、超臨界水反応装置の外であって、観察窓10とほぼ同じ高さの位置には、CCDカメラ30が備え付けられていてもよい。CCDカメラ30により、観察窓10を通して反応器1内の反応の様子を観察することができ、その反応の様子を、図示しないモニターへ出力したり、記録媒体に記録したりすることができる。なお、観察窓10の構造および作用については、後述する。
【0032】
反応器1は、高温かつ高圧に耐えられる材料で構成されており、例えば、インコネル、特に、インコネル625から構成される。例えば、600℃の温度、30MPaの圧力に耐えられる材料を用いる。なお、吐出口2cの下、火炎そのものは700℃、800℃になったとしても、チャンバーの内壁では600℃の温度に耐えられればよいこともある。
【0033】
超臨界水反応装置は、反応器1の周囲には、チャンバーを加熱するため、電熱コイル等の加熱器4が設けられている。加熱器4の系方向に外側は、断熱材等の保温材5で被覆されている。加熱器4及び保温材5は、ハウジング5aの内側に支持される。
【0034】
超臨界水反応装置は、チャンバー3の下流に、熱交換機6を有しても良い。熱交換機6は、ハウジング6aと、その内部にほぼ平行に配置されている複数の管と、ハウジング6aに設けられた冷媒入口6bと、ハウジング6aに設けられた冷媒出口6cを有する。管の内側がチャンバー3に流体接続しており、これにより、チャンバー3内を通過した反応生成物が熱交換機6の管の内部を流れることができる。一方、それらの管の外側かつハウジング6aの内側を空気等の冷媒が、冷媒入口6bから冷媒出口6cに向かって、反応生成物と逆方向に流れることができる。
【0035】
次いで、熱交換機6の下流に更に熱交換機7を有することが好ましい。熱交換機7は、ハウジング7aと、その内部にほぼ平行に配置されている複数の管と、冷媒入口(図示せず)と、冷媒出口7cとを有する。それらの管の内側が熱交換機6の管の内側に流体接続しており、これにより、熱交換機6の管の内部を通過した反応生成物が更に熱交換機7の管の内部を流れることができる。一方、その管の外側かつハウジング7aの内側を、冷媒入口(図示せず)から冷媒出口7cに向かって、水等の冷媒が反応生成物と逆方向に流れることができる。
【0036】
熱交換機6と熱交換機7とは、例えば、フランジ8a及びフランジ8bを介して接続される。
【0037】
例えば、熱交換機6では、冷媒として、空気等の気体が好ましく用いられる。一方、熱交換機7では、冷媒として、水等の液体が好ましく用いられる。熱交換機6の管としては、例えば、600℃の温度、かつ、30MPaの圧力に耐える部材、例えば、インコネル625が用いられる。熱交換機7の管としては、例えば、370℃の温度、かつ、30MPaの圧力に耐える部材、例えば、インコネル625が用いられる。
【0038】
本発明の一実施形態に係る超臨界水反応装置は、以上のように構成される。
【0039】
導入管2a,2bによりノズル2に導入された超臨界水、分解対象物、酸化剤及び燃料等の流体は、ノズル2の吐出口2cから反応器1へ向かって吐出され、噴出し、適宜設計したノズル構造や供給流量の設定により与えられる所定粒径の液滴となって反応器1のチャンバー3内に噴出する。そしてこの際に、被処理流体は超臨界水との混合により一気に水の臨界温度以上に昇温され、酸化剤の存在により発熱反応し、酸化分解や加水分解等により水(この条件下では超臨界水)、二酸化炭素、窒素等の単純な化合物まで分解される反応が進行する。この際、チャンバー3内は、超臨界水反応が生じる環境となるように、加熱器4により加熱され、それらは保温材5により保温される。
【0040】
チャンバー内の反応の様子は、ノズル2の吐出口2c付近に装着してある観察窓10を通してCCDカメラ30により観察され、必要に応じて記録される。
【0041】
反応生成物は、チャンバー3内を通過して下流側に流れ、チャンバー3の下流側に備えられた熱交換機6により冷却される。反応生成物の冷却は、冷媒入口6bから冷媒出口6cに向かって流れる冷媒が、熱交換機6を構成する複数の管の内側を下流に向かって流れる反応生成物の温度を奪うことによって行われる。
【0042】
熱交換機6によって、ある程度冷却された反応生成物は、熱交換機6の下流側に設けられた熱交換機7によって更に冷却される。この際、反応生成物の冷却は、同様に、冷媒入口(図示せず)から冷媒出口7cに向かって流れる冷媒が、熱交換機7を構成する複数の管の内側を下流に向かって流れる反応生成物の温度を奪うことによって行われる。
【0043】
以上のように冷却された反応生成物は、収集可能な状態になる。収集可能な状態になった反応生成物は、収集され、器外に排出される。
【0044】
続いて、図2を用いて、本発明の一実施形態に係る観察窓、及び前記観察窓に用いられるための本発明の一実施形態に係る透明部材支持筒について、詳細に説明する。
【0045】
反応器1のチャンバー3内における超臨界水用ノズル2の吐出口付近を観察できる位置には、観察窓10を取り付けるための貫通孔が設けられている。この貫通孔は、チャンバー3側が細く、反応器1の外側が太い二段階の貫通孔として形成していてもよい。
【0046】
前記観察窓10は、図2に示すように、耐熱耐圧性のサファイアからなる耐圧性の透明部材11と、双方の開放端が貫通孔を形成している透明部材支持筒12と、中間筒14及び反応器固定用筒状部材15から構成される、双方の開放端が貫通孔を形成している固定用筒状部材と、金パッキン13と、パッキン20とを備えている。
【0047】
透明部材の耐圧性は、観察窓を使用する用途によって異なるが、例えば、上記例のように観察窓を超臨界水反応装置に使用する場合は、22MPa以上の耐圧性を有する透明部材を使用する。観察窓の用途により、これより低い耐圧性を有する透明部材であってもよい。
【0048】
透明部材11は、上記例のように観察窓10を超臨界水反応装置に使用する場合は、350℃以上、好ましくは600℃以上、更に好ましくは650℃以上の耐熱性のある透明部材を使用する。もっとも、耐熱性は、観察窓の用途により異なり、これよりも低い耐熱性を示すものであっても、耐熱性がないものであってもよい。
【0049】
耐圧性の透明部材としては、例えば、サファイア製であり、観察する対象に応じて、凹レンズとしたり、凸レンズとしたり、平坦な透明部材といった選択を行う。
【0050】
透明部材11は、第1面11aと、これに対向する第2面11bと、外周面とを有している。透明部材11は、第1面11aがノズル2の吐出口2c付近に近接するように装着されており、例えば、透明部材11を通してノズル2の吐出口2c付近で発生している炎を観察できるように装着されている。
【0051】
透明部材支持筒12は、透明部材11の外周面を保持するためのものであり、反応器1に形成された貫通孔における細い部位の内径寸法を外径とし、貫通孔の細い部位の軸方向寸法同じ軸方向寸法を持つ。透明部材支持筒12の内周面のチャンバー3側には、縁12aが形成されており、これにより、透明部材支持筒12の内部に保持される透明部材11がチャンバー3側に突出しないようになっている。なお、縁12aの形状は特に限定されず、透明部材支持筒12の内部に保持される透明部材11がチャンバー3側に突出することがないような突出部が形成されていればよい。例えば、透明部材支持筒12の内周面に部分的に突出部が形成されていてもよく、また、透明部材支持筒12の内周面がチャンバー3側になるに従って内径が小さくなるテーパ状になっていてもよい。
【0052】
透明部材支持筒12は、耐圧性のある材料で構成されており、観察窓の用途に応じて、耐熱性、耐食性のある材料で構成することができる。観察窓が超臨界水反応装置に使用される場合は、例えば、22MPa以上の耐圧性を有する材料を使用する。観察窓の用途により、これより低い耐圧性を有する透明部材であってもよい。また、上記例のように観察窓を超臨界水反応装置に使用する場合は、500℃以上、好ましくは550℃以上の耐熱性のある材料を使用する。もっとも、耐熱性は、観察窓の用途により異なり、これよりも低い耐熱性を示すものであっても、耐熱性がないものであってもよい。また、観察窓を超臨界水反応装置に使用する場合は、超臨界水等の流体に直接さらされるため、耐食性のある材料を使用する。
【0053】
このような耐圧性、耐熱性、耐食性を有する材料としては、例えば、インコネル、特に、インコネル625、ステンレス等の耐食性合金を挙げることができる。
【0054】
中間筒14は、チャンバー3側の開放端である第1開放端14dと、外側の開放端である第2開放端14eとを有し、第1開放端14dと第2開放端14eとの間に位置するフランジ部14aと、第1開放端14d側に突出して形成された支持部14bと、第2開放端14e側に突出して形成されたパッキン保持部14cとを有する。
【0055】
支持部14bの内径は、透明部材11の第2面11bの外径よりも小さく形成されている。中間筒14の第1開放端14dは、支持部14bにおいて端面14sを構成する。端面14sと、透明部材11の第2面11bと、の間には金パッキン13が配置される。金パッキン13は、中間筒14の端面14s及び透明部材11の第2面11bの両方に接触している。
【0056】
金パッキン13とは、金を含有するパッキンのことであり、例えば、この発明においては純金を含む趣旨である。ここで、材料として金を使っている理由は、耐食性及び延性に富んでいるからである。このため、金の合金の場合は、反応器内の超臨界水に触れることがあっても腐食しない、あるいは腐食の速度が極めて遅いこと、および延性を保っていることという条件を満たすことが好ましい。例えば、50重量%以上の金を含有することが好ましく、70重量%以上の金を含有することが更に好ましく、80重量%以上の金を含有することが更になお好ましい。金パッキンは延性に富んでいるので、反応器1のチャンバー3からの高圧にも耐えられるとともに、透明部材11を破損から守っている。金パッキン13は、チャンバー3からの高圧下で延びて、透明部材11の第2面11bと中間筒14の端面14sとの隙間、及び、透明部材11の外周面と透明部材支持筒12の内周面との隙間を埋める。この金パッキン13の存在により、超臨界水、酸化剤、分解対象物、燃料等の流体の外界への漏出を防止できる。反応器1から高圧がかかった場合には、金パッキン13の厚さ方向に力がかかるので、金パッキン13は透明部材11の第2面11b及び中間筒14の端面14sに押し付けられることになる。金パッキン13は延性に富んでいるので、金パッキン13は、透明部材11の第2面11b及び中間筒14の端面14sに密着することができる。例えば、透明部材11の第2面11bに微小な凹凸が形成されていた場合であっても、金パッキン13の延性によりその微小な凹凸に合致するように、金パッキン13が延び、超臨界水等の外界への漏出を防止することができる。同様に、中間筒14の端面14sに微小な凹凸が形成されていた場合であっても、金パッキン13の延性によりその微小な凹凸に合致するように、金パッキン13が延び、超臨界水等の外界への漏出を防止することができる。
【0057】
金パッキン13の適正な厚さは、15μm〜1000μmであり、20μm〜100μmが好ましい。より好ましくは20μm〜40μmである。金パッキンは、薄すぎると、観察窓に組み入れる際に切れるおそれがある。また、厚すぎると、コスト高となり、また、観察窓の組立てが困難になるからである。
【0058】
一方、支持部14bの外径は、透明部材支持筒12の内径とほぼ同じとなるように形成されており、支持部14bの外周面、及び、この外周面と係合する透明部材支持筒12の内周面には、螺合部が形成されており、この螺合部により中間筒14に透明部材支持筒12が螺着される。
【0059】
フランジ部14aは、反応器1に形成されている貫通孔における太い部位の内径寸法とほぼ同じ外径を有する。
【0060】
パッキン保持部14cは、その外周面上にパッキン20を保持する。パッキン20は、貴金属、炭素系材料又は耐食性合金から構成され、少なくとも1つのパッキンが保持され、好ましくは2つ以上のパッキンが保持される。本実施形態では、パッキン20は4つあり、それぞれ、銀パッキン21、グラファイトパッキン22、ステンレスパッキン23およびインコネルパッキン24からなる。
【0061】
炭素系材料としては、例えば、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、及びこれらの混合体、並びにこれらの複合体(コンポジットマテリアル)をあげることができる。
【0062】
パッキン20を構成する4つのパッキンの軸方向の合計長さは、パッキン保持部14cの軸方向の長さを越えている。このため、後述する反応器固定用筒状部材15のチャンバー3側の端面(第1開放端15d)は、4つのパッキンのうち、最も外側にあるインコネルパッキン24と接している。
【0063】
中間筒14、耐圧性のある材料で構成されており、観察窓の用途に応じて、耐熱性、耐食性のある材料で構成することができる。観察窓が超臨界水反応装置に使用される場合は、例えば、22MPa以上の耐圧性を有する材料を使用する。観察窓の用途により、これより低い耐圧性を有する透明部材であってもよい。また、上記例のように観察窓を超臨界水反応装置に使用する場合は、耐熱性のある材料を使用してもよく、例えば、500℃以上、好ましくは550℃以上の耐熱性のある材料を使用してもよい。もっとも、耐熱性は、観察窓の用途により異なり、これよりも低い耐熱性を示すものであっても、耐熱性がないものであってもよい。また、観察窓を超臨界水反応装置に使用する場合は、超臨界水等の流体にさらされるおそれがあるため、耐食性のある材料を使用してもよい。
【0064】
このような耐圧性、耐熱性、耐食性を有する材料としては、例えば、インコネル、特に、インコネル625、ステンレス等の耐食性合金を挙げることができる。
【0065】
反応器固定用筒状部材15は、チャンバー3側の開放端である第1開放端15dと、外側の開放端である第2開放端15eとを有し、第2開放端15eは、中間筒14の第2開放端14eと対向し、かつ、インコネルパッキン24と接触している。反応器固定用筒状部材15は、その外径が、反応器1に形成されている貫通孔における太い部位の内径寸法とほぼ同じになるように形成されており、反応器固定用筒状部材15の外周面、及びこの外周面と係合する反応器1に形成されている貫通孔の内周面には、螺合部が形成されており、この螺合部により反応器固定用筒状部材15は反応器1に螺着され、反応器1に固定される。
【0066】
反応器固定用筒状部材15の材料は、特に限定されない。観察窓の用途に応じて、耐圧性、耐熱性または耐食性のある材料で構成されていてもよい。観察窓が超臨界水反応装置に使用される場合は、例えば、22MPa以上の耐圧性を有する材料を使用してもよいし、例えば、500℃以上、好ましくは550℃以上の耐熱性のある材料を使用してもよい。また、耐食性のある材料を使用してもよい。もっとも、いずれの特性も有さない材料で構成されていてもよい。
【0067】
上記のような耐圧性、耐熱性、耐食性を有する材料としては、例えば、インコネル、特に、インコネル625、ステンレス等の耐食性合金を挙げることができる。
【0068】
本発明の一実施形態に係る観察窓10は、以上のように構成される。
【0069】
透明部材11は、透明部材支持筒12に保持される。そして、その透明部材支持筒12は、固定用筒状部材に固定される。中間筒14の支持部14bの螺合部によって透明部材支持筒12を螺着してもよい。また、固定用筒状部材は、反応器へ固定される。反応器固定用筒状部材15の螺合部によって反応器1に螺着してもよい。そして、透明部材11の第2面11bは、固定用筒状部材の端面14sで金パッキン13を介して支持される。
【0070】
透明部材11は、耐熱耐圧性の部材なので、近傍で超臨界水による反応が生じても、通常の使用状態では損傷しない。観察する際は、高圧下での反応を観察するため、透明部材11は外側、即ち固定用筒状部材側に高圧で押される。この圧力に従って、透明部材11の第2面11bと、固定用筒状部材の端面14sとの間に介在する金パッキン13が延びて、透明部材11と透明部材支持筒12との隙間、及び透明部材11と固定用筒状部材との隙間を埋める。この金パッキン13の存在により、超臨界水、酸化剤、分解対象物、燃料等の流体が外界へ漏出するのを防ぐことができ、また、固定用筒状部材は超臨界水との反応を免れることができる。
【0071】
パッキン20は、中間筒14のパッキン保持部14cの外周面上に保持される。この際、上述したように、中間筒14と反応器固定用筒状部材15との接触部分には、パッキン20が介在される。
【0072】
高圧下での反応を観察する際、透明部材11及び透明部材支持筒12は外側、即ち中間筒14側に高圧で押しつけられる。透明部材支持筒12は、中間筒14に固定されているため、透明部材支持筒12にかかる圧力により、中間筒14は、反応器固定用筒状部材15を外側に向かって押しつける。ところで、反応器固定用筒状部材15は反応器1に固定されているため、上記圧力に従って、中間筒14と反応器固定用筒状部材15との間に介在するパッキン20は径方向に延び、パッキン20の外周面が反応器1に形成されている貫通孔の内面に押し付けられることになり、隙間を閉塞する。これにより、超臨界水や分解対象物等の流体が透明部材支持筒12の外周面を介して外界に漏れ出すことがなくなる。
【0073】
また、パッキン20は、超臨界水に触れることがあっても腐食しない、あるいは腐食の速度が極めて遅い、貴金属、炭素系材料又は耐食性合金から構成されるため、超臨界水により腐食されるおそれは極めて小さい。
【0074】
以上、本発明の観察窓、観察窓を使用した超臨界水反応装置及び観察窓に使用するための透明部材支持筒について説明したが、本発明は上記形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。また、上記例では、観察窓を超臨界水反応装置に装着する例を示したが、本発明はこれに限定されず、溶鉱炉、深海探索用潜水艦、スペースシャトル等の極限状況でも用いることができる。観察窓に要求される温度、圧力は、これらの用途によって適宜、調整される。
【0075】
【発明の効果】
本発明の一側面では、耐圧性の観察窓を提供することができ、その隙間から超臨界水であっても漏洩しない。
【0076】
本発明の他の側面では、超臨界水反応を観察できる観察窓を備えた超臨界水反応装置をも提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に用いる超臨界水反応装置の全体図である。
【図2】本発明の実施形態に係る超臨界水反応器観察窓の断面図である。
【図3】純粋な水の状態図である。
【符号の説明】
1 反応器
1a ハウジング
2 超臨界水用ノズル
2a,2b 導入管
2c 吐出口
3 チャンバー
4 加熱器
5 保温材
5a ハウジング
6,7 熱交換機
6a,7a ハウジング
6b 冷媒入口
6c,7c 冷媒出口
8a,8b フランジ
10 観察窓
11 透明部材
11a 第1面
11b 第2面
12 透明部材支持筒
12a 縁
13 金パッキン
14 中間筒
14a フランジ部
14b 支持部
14c パッキン支持部
14d 第1開放端
14e 第2開放端
14s 端面
15 反応器固定用筒状部材
15d 第1開放端
15e 第2開放端
20 パッキン
21 銀パッキン
22 グラファイトパッキン
23 ステンレスパッキン
24 インコネルパッキン
30 CCDカメラ

Claims (4)

  1. 第1面、前記第1面に対向する第2面及び外周面を有する耐圧性の透明部材と、
    前記透明部材の前記外周面を保持する透明部材支持筒と、
    前記透明部材支持筒を固定し、かつ、前記透明部材の前記第2面に対向する端面を有する固定用筒状部材と、
    前記固定用筒状部材の前記端面及び前記透明部材の前記第2面に接触するように両者の間に位置する金パッキンとを備え、
    前記金パッキンは、厚さが15μm〜1000μmであることを特徴とする観察窓。
  2. 前記固定用筒状部材が、第1開放端と第2開放端とを有する中間筒と、第1開放端と第2開放端とを有する反応器固定用筒状部材とを備え、
    前記中間筒の前記第1開放端が前記固定用筒状部材の前記端面を構成し
    前記中間筒の前記第2開放端が前記反応器固定用筒状部材の第1開放端と対向する、ことを特徴とする請求項1記載の観察窓。
  3. 前記中間筒は、前記中間筒の前記第1開放端及び前記中間筒の前記第2開放端の間に位置するフランジ部と、
    前記中間筒の前記第1開放端側に突出する支持部と、
    前記中間筒の前記第2開放端側に突出するパッキン保持部と、を有し、
    前記パッキン保持部は、その外周面上に少なくとも1つのパッキンを有し、
    前記パッキンは、貴金属、炭素系材料又は耐食性合金から構成される、ことを特徴とする請求項2記載の観察窓。
  4. 内部にチャンバーを確定する反応器と、前記反応器を保温するための保温材と、前記反応器内のチャンバーに流体接続する吐出口を有するノズルとを備えた超臨界水反応装置であって、
    前記超臨界水反応装置が、請求項1〜3の何れかに記載の観察窓を備え、
    前記観察窓は、前記透明部材を通じて前記ノズルの前記吐出口付近を観察できるように装着されたことを特徴とする超臨界水反応装置。
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