JP3660819B2 - 超臨界処理流体の冷却装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、超臨界水等の超臨界流体による反応後の超臨界処理流体を冷却する冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超臨界水は、溶質を良好に溶解することによって大きな反応速度を得られるという反応溶媒としての効果と、低粘性で高拡散性の輸送媒体としての効果を有しており、この性質を利用して、超臨界水反応装置により有害化学物質の酸化分解処理や脱ハロゲン化処理などが行われている。
【0003】
超臨界水酸化によって処理しようとする分解対象物の主なものの一つに難分解性有機物や有害有機物があり、これらの多くは、塩素や硫黄、あるいは窒素、リンを含むため、これらの物質を超臨界水酸化処理すると酸(塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸)を生成する場合が多いので、常に腐食性の問題を考慮しなくてはならない。そのため超臨界水反応装置に適した材料に関する報告が数多くなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
超臨界水反応装置の腐食が起こりやすい部位は、臨界点近傍であることが報告されている(R.M.Latanison etal, "The 4th International Symposium on Supercritical Fluids", p865-868)。超臨界水反応装置では反応後の処理流体の冷却が不可欠であり、冷却により処理流体は臨界点を通過せざるをえない。
【0005】
従来、処理流体の冷却方法について詳しく述べられた文献は見あたらず、熱交換器による冷却が知られているのみである。しかしながら、熱交換器による冷却では、臨界点近傍にさらされる部位が長くなる。つまり、腐食が起こりやすい環境下にさらされる部位が増え、ピンホール、亀裂等の材質破損が起こりやすくなる。従って、腐食されやすい部位には耐食材を使用せねばならず、耐食材を使用する部位が広範囲になるためイニシャルコストがかさむことになる。また、熱交換器において、ピンホールや亀裂等の破損が生じた場合、冷却媒体中へ高圧高温の処理流体が漏洩し危険である。さらに、熱交換器の交換が必要になるが、一般的に熱交換器は高価であり、ランニングコストがかさむことになる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、腐食されやすい臨界点近傍の部位が少なく、万が一腐食による破損が生じた場合でも危険性のない超臨界処理流体を冷却する冷却装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、超臨界処理流体を冷却する冷却装置であって、冷却用流体を導入する冷却流体導入部を備えた耐圧性の外管と、超臨界処理流体と冷却用流体が流入し混合される内管からなり、該内管には冷却用流体が流入する冷却流体流路が設けられていることを特徴とする超臨界処理流体の冷却装置に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の冷却装置の一実施形態の断面図である。
【0009】
本発明の冷却装置1は、内管4と外管2からなる2重管構造を有している。
【0010】
外管2は、耐圧性の部材からなり、冷却用流体を導入するための冷却流体導入部3を設けている。冷却流体導入部3から導入された冷却用流体は、内管4の端部5と超臨界処理流体吐出口6との間の空隙を流入路としてから内管4内へ流入する。流入路の形成は図1に示したものに限定されず、例えば冷却流体導入部3をフランジ10内に設置してもさしつかえない。
【0011】
管型またはベッセル型の超臨界流体反応器から排出された超臨界処理流体は冷却装置1の導入口7より流入し、吐出口6より内管4へ吐出される。内管4内へ流入した超臨界処理流体は、冷却流体導入部3から供給された冷却用流体と混合され、極めて短時間のうちに冷却され、出口8より排出される。従って、超臨界処理流体は、腐食が起こりやすい臨界点近傍領域に留まる時間が少なくなり、腐食の発生を低減することができる。
【0012】
冷却用流体の種類と供給量により異なるが、冷却装置1から排出された処理流体の温度は、200℃前後となる。冷却処理流体の温度をさらに下げるには、例えば後段に従来の熱交換器型等の冷却装置を設置し、冷却すればよい。
【0013】
冷却装置1の内管4の内壁は、処理流体と接触するので、内管4自体を耐食性の部材で製造するか、内管4の内面に白金等の耐腐食性金属やセラミックスでコーティングすることが好ましい。
【0014】
冷却用流体は、超臨界処理流体を冷却することできる流体であれば特に限定されないが、例えば、水、空気等を挙げることができる。また、超臨界処理流体が、酸成分やアルカリ成分を含む場合は、冷却水にアルカリ剤や酸等の中和剤を添加して、冷却と同時に中和を行ってもよい。
【0015】
本発明の冷却装置1は、外管2にフランジ部9,10を設けることにより、超臨界水反応装置への取り付け、取り外しを容易に行うことができ、メンテナンスがしやすくなる。また、内管4を取り外し可能な構造とすれば、内管4が腐食した場合でも、内管4を交換するだけでよく、メンテナンスのコストを低減することができる。
【0016】
本発明の冷却装置1は2重管構造であるため、超臨界処理流体が接触する内管4にピンホール等の微少な腐食が発生しても、外管2と内管4の間の空隙に流通している冷却用流体が腐食部を介して内管4内へ流入するので、外管2は腐食性の超臨界処理流体と接触することがなく、外管2が腐食することはない。従って、外部へ超臨界処理流体が漏洩する可能性は少ない。
【0017】
【実施例】
実施例1
図2(a)に示したフロー図のように、実験装置を組み立て、反応圧力25MPa、超臨界水反応器出口で500℃、50L/Hrの超臨界水処理流体を冷却した。本発明の冷却装置は、50cmの内管を有するものを使用した。
【0018】
超臨界水反応装置21から排出される超臨界水処理流体(1)を本発明の冷却装置1に導入した。冷却装置には冷却用流体として水(2)を導入し、超臨界処理流体を直接冷却した。冷却された処理流体(3)をさらに冷却するため、熱交換器22に導入した。冷却された処理流体(5)は、減圧弁23により減圧した。
【0019】
▲1▼〜▲5▼の流体の温度と圧力の測定結果を表1に示す。また上記系全体の温度降下の状態を図2(b)に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
臨界点近傍にされされる箇所は、冷却装置1の内管のみとなり、熱交換器22での腐食は見られなかった。臨界点近傍となった冷却装置1の内管のみ肉厚減少が認められたが、冷却装置1の外管には腐食は見られなかった。
比較例1
図3(a)に示したフロー図のように、熱交換器22により超臨界水処理流体を冷却した。超臨界処理流体は、実施例1と同じ処理流体を用いた。
【0022】
15MPa、500℃の超臨界処理流体を熱交換器22で40℃まで冷却した。臨界点近傍(300〜400℃)にさらされる熱交換器の冷却管の長さは、約3mであった。その時の、▲1▼、▲4▼、▲5▼の流体の温度と圧力の測定結果を表2に示す。また上記系全体の温度降下の状態を図3(b)に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
熱交換器22の冷却管のうち臨界点近傍にされされた部位は、腐食の程度が他の部位よりひどく、肉厚減少がみられた。この腐食がさらに進むと、冷却水側へ高圧の処理流体が漏洩することになり危険である。
【0025】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明冷却装置は、超臨界処理流体に冷却用流体を直接混合して冷却することができるため、臨界点近傍にさらされる部位が少なくなり、また2重管構造を有しているため、内管が腐食されピンホール等が発生しても、外部に超臨界処理流体が漏洩することがないため、超臨界処理流体の冷却を安全かつ低コストで行うことができる。
【0026】
また、請求項2に記載の本発明冷却装置は、上記効果に加え、内管を取り外し可能な構造としたため、内管が腐食した場合でも、内管のみを交換するだけでよく、ランニングコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の冷却装置の断面図。
【図2】 (a)は実施例1のフロー図、(b)は実施例1の系全体の温度降下の状態を示すグラフ。
【図3】 (a)は比較例1のフロー図、(b)は比較例1の系全体の温度降下の状態を示すグラフ。
【符号の説明】
1 超臨界処理流体冷却装置
2 外管
3 冷却流体導入部
4 内管
5 内管端部
6 超臨界処理流体吐出口
7 超臨界処理流体導入口
8 出口
9、10 フランジ
Claims (2)
- 超臨界処理流体を冷却する冷却装置であって、冷却用流体を導入する冷却流体導入部を備えた耐圧性の外管と、超臨界処理流体と冷却用流体が流入し混合される内管からなり、該内管には冷却用流体が流入する冷却流体流入路が設けられていることを特徴とする超臨界処理流体の冷却装置。
- 内管が交換可能な構造であることを特徴とする請求項1に記載の超臨界処理流体の冷却装置。
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- 1998-12-25 JP JP37015698A patent/JP3660819B2/ja not_active Expired - Fee Related
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