JP3836737B2 - 空気浮上式ベルトコンベヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉱石や石炭、穀物等の塊状、粒状、粉状の積載物を搬送するためのキャリア側ベルトを空気層によって浮上させた状態で走行させる空気浮上式ベルトコンベヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ベルトコンベヤは、鉱石や石炭、穀物等の塊状体、粒状体、粉状体を連続して搬送するのに用いられ、その一例として図7に示すような構造のものが提案されている。図7に示すベルトコンベヤは、断面円弧状のキャリア側トラフ2及びリターン側トラフ3を備え、その上面側に積載物Xを載せるベルト1を配置したものであり、ベルト1と各トラフ22,23との間に空気を供給して空気層を形成させ、ベルト1を浮上させながら走行させる空気浮上方式が採用されている。
【0003】
このベルトコンベヤは、ベルト1を案内する各トラフ22,23の下面にダクト26,27を備え、各トラフ22,23の幅方向中央に長手方向に沿って多数の空気孔24,25が設けられている。そして、各ダクト26,27にブロワ28から空気を送り込むことで、各空気孔24,25から上向きに空気を噴出させ、これによりベルト1と各トラフ22,23との間に空気層を形成して各トラフ22,23上を移動するベルト1を浮上させるようにしている。このような構成が採用されることにより、ローラ式ベルトコンベヤに比べてベルトに作用する抵抗が低減され、ベルトを駆動する負担の軽減とともに騒音や振動の減少を達成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この空気浮上式ベルトコンベヤでは、ベルト1のキャリア側およびリターン側のそれぞれについて個別に走行するように構成されている。従って、キャリア側トラフ2及びリターン側トラフ3を別々に配置するだけでなく、ダクト26,27など、ベルト1を浮上させるための空気の供給路もそれぞれ必要であり、コンベヤ全体の大型化を招くだけでなく、製造コストの増加を招くといった問題点を有している。
【0005】
また、粉状物など搬送時に粉塵が生じる場合は、周囲の環境汚染を防止するため、搬送するベルト1を囲む必要があり、そのため、キャリア側トラフ22の上面にはカバー29が設置されている。同様にリターン側のベルト1にも粉状物等が付着していることから、これを囲むようにトラフ22,23間に側板30が設置されている。従って、これら粉塵対策のためにカバー29や側板30がコンベヤのほぼ全長にわたって設置されたのでは、コンベヤの全長が長い場合にコストの増加は避けられない。
【0006】
本発明は、以上の課題を解決するものであり、リターン側ベルトをキャリア側ベルトの上方において走行させるようにしてキャリア側トラフのカバーを兼用させ、リターン側トラフやカバー等の設置を不要にすることでコンベヤ全体の小型化を図るとともに、運転コストや製造コストを低減することができる空気浮上式ベルトコンベヤを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、キャリア側トラフとキャリア側ベルトとの間に空気が供給されることによりキャリア側ベルトを浮上させた状態で走行させる空気浮上式ベルトコンベヤであって、リターン側ベルトが、キャリア側ベルトの上方であってかつキャリア側トラフの側縁部分に支持された状態で走行するように配置されることを特徴とする。この空気浮上式ベルトコンベヤでは、キャリア側ベルトの浮上に用いられた空気がさらにリターン側ベルトを下から支えるように作用するため、リターン側トラフが不要になる。しかも、リターン側ベルトが、キャリア側ベルトの上方であってかつキャリア側トラフの側縁部分に支持された状態で走行するため、キャリア側ベルトの上方がリターン側ベルトによって閉塞された状態となり、カバーや側板、リターン側ベルト浮上用の空気が不要となるためコンベヤ全体の小型化が図られるとともに、運転コストや製造コストを低減させることが可能となる。なお、リターン側ベルトにおいては積載物搬送側が内側に向くため、リターン側ベルトに付着する粉塵等の飛散も同時に防止される。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の空気浮上式ベルトコンベヤにおいて、キャリア側トラフの側縁部分が、リターン側ベルトの耳部を囲むように断面コ状に形成されることを特徴とする。この空気浮上式ベルトコンベヤでは、キャリア側トラフの側縁部分がリターン側ベルトの耳部を囲むように断面コ状に形成されるため、リターン側ベルトが幅方向へ移動するのを断面コ状の側縁部分が規制し、リターン側ベルトの幅方向の位置決めを行うことにより、キャリア側ベルト上方の閉塞空間が不用意に開放されるのを防ぎ、カバーとしての機能を確実に発揮させるようにしている。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の空気浮上式ベルトコンベヤにおいて、キャリア側トラフの側縁部分のうちリターン側ベルトとの対向面、およびベルトの耳部の少なくとも一方に所定のコーティングが施されることを特徴とする。この空気浮上式ベルトコンベヤでは、側縁部分の、リターン側ベルトとの対向面、およびベルトの耳部の少なくとも一方に耐摩耗性や摩擦係数の低いコーティングが施されることにより、リターン側ベルトの耳部が側縁部分に接触した場合であってもコーティングの存在によって側縁部分やベルト耳部が損傷することや、ベルト走行の抵抗となることを防止することが可能となる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1または2の空気浮上式ベルトコンベヤにおいて、キャリア側トラフの側縁部分が、リターン側ベルトとの対向部分にローラが配置されることを特徴とする。この空気浮上式ベルトコンベヤでは、側縁部分の、リターン側ベルトとの対向部分にローラが配置されるため、リターン側ベルトが側縁部分に接触した場合であってもローラが回転することによって側縁部分やベルト耳部が損傷することや、ベルト走行の抵抗となることを防止することが可能となる。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4の空気浮上式ベルトコンベヤにおいて、キャリア側ベルトによって搬送された積載物をベルト上から落とすためのスクレーパが配置されることを特徴とする。この空気浮上式ベルトコンベヤでは、積載物をベルト上から落とすためのスクレーパが配置されるため、キャリア側ベルトによって搬送された積載物をスクレーパによって確実かつ容易にベルト上から脱離させることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態につき図面を参照して説明する。図1は本発明に係る空気浮上式ベルトコンベヤの実施形態を示す正面断面図、図2は図1に示す空気浮上式ベルトコンベヤの斜視図である。この空気浮上式ベルトコンベヤは、図1および図2に示すように、断面円弧状のキャリア側トラフ2を備え、その上面側に積載物Xを載せるキャリア側ベルト1a(ベルト1)を配置したものである。
【0013】
キャリア側ベルト1aを案内するキャリア側トラフ2は、下面にダクト3を備え、トラフの幅方向中央に長手方向に沿って多数の空気孔4が設けられている。そして、ダクト3にブロワ5から空気を送り込むことで、各空気孔4から上向きに空気を噴出させ、これによりキャリア側ベルト1aとキャリア側トラフ2との間に空気層を形成させてキャリア側トラフ2上面を移動するキャリア側ベルト1aを浮上させるようにしている。
【0014】
キャリア側トラフ2の両側の側縁部分6は、リターン側ベルト1bの耳部7を支持するとともに、耳部7を囲むように断面コ状に形成されている。そして、リターン側ベルト1bは、両側の耳部7がキャリア側トラフ2の側縁部分6に支持された状態で走行するように配置される。このとき、図1に示すように、ダクト3および空気孔4から噴出した空気はキャリア側ベルト1aの下面を介してキャリア側トラフ2内に排出されるが、リターン側ベルト1bによってキャリア側ベルト1aの上方が閉塞されているため、キャリア側トラフ2内の圧力を高める結果となり、この内圧によってリターン側ベルト1bを浮上させるように作用している。
【0015】
キャリア側トラフ2内の空気は、リターン側ベルト1bと側縁部分6との間を介して外部に放出される。従って、リターン側ベルト1bと側縁部分6との間には空気層が形成されるため、リターン側ベルト1bの耳部7は、側縁部分6の内面から上下方向および幅方向に離間した、いわゆる非接触状態が確保される。なお、側縁部分6が断面コ状に形成されているため、リターン側ベルト1aが幅方向に移動するのを規制しており、これによりリターン側ベルト1bがずれて走行しキャリア側トラフ2の上方が不用意に開放されるのを防止している。
【0016】
なお、側縁部分6の形態は図示のものに限定されるものではなく、例えばリターン側ベルト1bの幅方向への移動が他の規制部材によって確保されているのであれば、断面コ状に代えて単なる板状のものであってもよい。また、側縁部分6は、図示しない架台にキャリア側トラフ2を設置するためのフランジとしても用いることが可能である。
【0017】
また、キャリア側ベルト1aの積載物Xによっては、ダクト3から多くの空気を供給する場合があるが、この場合、キャリア側ダクト2内の内圧が高くなりすぎてリターン側ベルト1bが必要以上に浮上してしまい、上側に凸状となってキャリア側トラフ2を開放してしまうことが想定される。これを防止するため、図1に示すように、リターン側ベルト1bの略中央上方に押さえローラ16をベルトの長手方向に沿って所定間隔で配置することにより、リターン側ベルト1bの異常浮上を押さえローラ16により防止することができる。
【0018】
図3は、側縁部分6の他の実施形態を示している。図1および図2に示すものでは、リターン側ベルト1bの耳部7を通過した空気は外部に放出されるが、この空気は粉塵等を含んでいるため周囲の環境を汚損する可能性がある。従って、図3に示すように、側縁部分6に貫通孔8を設けるとともにこれに続いて排出ダクト9を設置し、耳部7の下面を通過した空気が貫通孔8を介して排出ダクト9へ案内され、その後図示しない集塵装置等により処理されてから外部に排出されるようにしてもよい。なお、貫通孔8の位置・個数は任意であり、耳部7の浮上が確保されるのであれば、側縁部分6の下面側に貫通孔8aを設けることも可能である。
【0019】
図4は、本発明の空気浮上式ベルトコンベヤの側面図である。図4に示すように、このコンベヤではベルト1がプーリ10,10aによって保持され、キャリア側ベルト1aがリターン側ベルト1bの下方に位置しているため、キャリア側ベルト1aへの荷の投入は横方向から行うことが必要となる(不図示)。また、キャリア側ベルト1aはプーリ10で上向きに巻かれているため、終端から積載物Xを下方に落とすことができない。従って、図4に示すように、キャリア側トラフ2から出たキャリア側ベルト1aが平坦化した状態でその上面側にスクレーパ11を配置し、このスクレーパ11によって積載物Xをベルト1の側方に落とすように構成している。
【0020】
図5は、側縁部分6の他の実施形態を示している。図5に示すように、この側縁部分6の内面部分にはコーティング12が施されている。このコーティング12は、例えば、リターン側ベルト1bの耳部7に対して摩擦抵抗を低減させる高分子ポリエチレン等の他に、耐摩耗性を向上させるものであってもよい。前者では耳部7が側縁部分6に接触した場合でもベルト走行の抵抗になるのを低減させ、コンベヤの運転コストの増加防止等を図り、後者では耳部7が側縁部分6に接触することによって側縁部分6や耳部7が破損するのを防止する。
【0021】
また、図示のように、コーティング12を側縁部分6の内面全体に施すことに限定するものではなく、例えば耳部7の下面に対向する部分のみコーティング12を施すようにしてもよい。なお、側縁部分6の内面に代えて、ベルト1の耳部7表面に同様のコーティングを施してもよく、さらには側縁部分6および耳部7の双方に同様のコーティング12を施してもよい。この場合、例えばベルト1の耳部7には耐摩耗性のコーティング12を、また側縁部分6には摩擦係数の低いコーティング12を施すことも可能である。
【0022】
図6は、側縁部分6の他の実施形態を示している。図6に示すように、側縁部分6の、耳部7と対向する部分にそれぞれローラ13,14,15が配置されている。ローラ13は耳部7が降下したときに対応し、ローラ14はリターン側ベルト1bが幅方向に移動したときに対応し、ローラ15は耳部7が浮上したときに対応する。これにより耳部7が側縁部分6に接触した場合でもローラ13等が回転することにより側縁部分6や耳部7が損傷することや、ベルト1走行の抵抗となることを防止する。なお、図示のようにローラ13等を配置することに限定されず、例えばローラ13のみ、もしくはローラ13,14のみを配置してもよい。また、コンベヤの長手方向におけるローラ13等の配置間隔は任意である。
【0023】
なお、前記実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。例えば、図示のものではリターン側ベルト1bが略平坦状で走行するようにしているが、これに代えてリターン側ベルト1bが上向き凸状または下向き凸状に湾曲した状態で走行するものであってもよい。このリターン側ベルト1bの湾曲は、キャリア側トラフ2の内圧調整や、他の部材によって実現することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る空気浮上式ベルトコンベヤは、キャリア側ベルトの浮上に用いられた空気がさらにリターン側ベルトを下から支えるように作用するため、リターン側トラフが不要になる。しかも、リターン側ベルトが、キャリア側ベルトの上方であってかつキャリア側トラフの側縁部分に支持された状態で走行するため、キャリア側ベルトの上方がリターン側ベルトによって閉塞された状態となり、カバーや側板、リターン側ベルト浮上用の空気が不要となるためコンベヤ全体の小型化が図られるとともに、運転コストおよび製造コストを低減させることができる。なお、リターン側ベルトにおいては積載物搬送側が内側に向くため、リターン側ベルトに付着する粉塵等の飛散も同時に防止することができる。
【0025】
請求項2に係る空気浮上式ベルトコンベヤは、キャリア側トラフの側縁部分がリターン側ベルトの耳部を囲むように断面コ状に形成されるため、リターン側ベルトが幅方向へ移動するのを断面コ状の側縁部分が規制し、リターン側ベルトの幅方向の位置決めを行うことにより、キャリア側ベルト上方の閉塞空間が不用意に開放されるのを防ぎ、カバーとしての機能を確実に発揮させることができる。
【0026】
請求項3に係る空気浮上式ベルトコンベヤは、側縁部分の、リターン側ベルトとの対向面、およびベルトの耳部の少なくとも一方に耐摩耗性や摩擦係数の低いコーティングが施されることにより、リターン側ベルトの耳部が側縁部分に接触した場合であってもコーティングの存在によって側縁部分やベルト耳部が損傷することや、ベルト走行の抵抗となることを防止することができる。
【0027】
請求項4に係る空気浮上式ベルトコンベヤは、側縁部分の、リターン側ベルトとの対向部分にローラが配置されるため、リターン側ベルトが側縁部分に接触した場合であってもローラが回転することによって側縁部分やベルト耳部が損傷することや、ベルト走行の抵抗となることを防止することができる。
【0028】
請求項5に係る空気浮上式ベルトコンベヤは、積載物をベルト上から落とすためのスクレーパが配置されるため、キャリア側ベルトによって搬送された積載物をスクレーパによって確実かつ容易にベルト上から脱離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る空気浮上式ベルトコンベヤの実施形態を示す正面断面図である。
【図2】 図1に示す空気浮上式ベルトコンベヤを示す斜視図である。
【図3】 側縁部分の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】 図1に示す空気浮上式ベルトコンベヤの側面図である。
【図5】 側縁部分の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】 側縁部分の他の実施形態を示す断面図である。
【図7】 従来の空気浮上式ベルトコンベヤを示す正面断面図である。
【符号の説明】
X 積載物
1 ベルト
1a キャリア側ベルト
1b リターン側ベルト
2 キャリア側トラフ
3 ダクト
4 空気孔
6 側縁部分
7 耳部
11 スクレーパ
12 コーティング
13,14,15 ローラ
Claims (5)
- キャリア側トラフとキャリア側ベルトとの間に空気が供給されることにより該キャリア側ベルトを浮上させた状態で走行させる空気浮上式ベルトコンベヤであって、
リターン側ベルトが、前記キャリア側ベルトの上方であってかつ前記キャリア側トラフの側縁部分に支持された状態で走行するように配置されることを特徴とする空気浮上式ベルトコンベヤ。 - 前記キャリア側トラフの側縁部分は、前記リターン側ベルトの耳部を囲むように断面コ状に形成されることを特徴とする請求項1記載の空気浮上式ベルトコンベヤ。
- 前記キャリア側トラフの側縁部分のうち前記リターン側ベルトとの対向面、およびベルトの耳部の少なくとも一方に所定のコーティングが施されることを特徴とする請求項1または2記載の空気浮上式ベルトコンベヤ。
- 前記キャリア側トラフの側縁部分は、前記リターン側ベルトとの対向部分にローラが配置されることを特徴とする請求項1または2記載の空気浮上式ベルトコンベヤ。
- 前記キャリア側ベルトによって搬送された積載物をベルト上から落とすためのスクレーパが配置されることを特徴とする請求項1〜4に記載の空気浮上式ベルトコンベヤ。
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