JP3836538B2 - 化粧料容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、クリームやファンデーションなど、性質の異なる二つの化粧料を一つの容器に収納する化粧料容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、使用者が濃淡の異なるファンデーションを好みの色調に混合して使用する二種類のファンデーション、ワンセットとして使用される下地クリームとファンデーション、肌の古い角質を取り除くマスク剤と潤いを与えるマスク剤などのように、二つの性質の異なるクリーム状や乳液状の半流動性の化粧料を使用時に混合したり、連続して使用するタイプの化粧料がある。このタイプの化粧料は、二剤が混合されると長期間の保存に不都合な化学的反応したり分離や沈殿がおこる為、二剤が触れ合わないように保存しておく必要がある。従って、従来からチューブなどの個別の容器に収納して、ワンセットとして提供されているものが多いが、商品として一体性に欠けるうえに、携帯性がわるかった。
【0003】
そこで、図7に示す化粧料容器が提供されている。この従来の広口の化粧料容器の容器本体50は、間仕切り51を介して化粧料を充填する二つの収納室52、52が形成されており、各収納室52、52の開口部に摘み53が付設された中蓋54、54が着脱自在に嵌込まれ、一つの容器に二つの化粧料を隔離して収納できる構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この従来の化粧料容器は、前記の問題を解決してはいるが、利用者が中蓋54、54を二つとも開けたまま化粧をすると、各収納室52、52の開口部が近接している為に、間仕切り51近傍で保存中の化粧料同士が混合する危険度が極めて高い。また、各中蓋54、54を一つづつ開いて使用したとしても、一方の中蓋54の外面が他方の化粧料で汚染され易く、中蓋の外面に付着した化粧料により、二剤が混合する心配もあった。
【0005】
また、化粧をするとき、中蓋54を容器本体50から取り外して裏返しにして置かなければならず、中蓋50の置き場所が必要なうえに、中蓋50の裏面に付着した化粧料で周囲を汚染する心配がありその取り扱いには充分な注意が要求された。従って、利用者にとって取り外した中蓋54の取り扱いが煩わしく、使い勝手がよいとはいえなかった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、一つの容器に収納された性質の異なる半流動性の二つの化粧料が、使用時や保管時に混合する心配がなく、取り扱い易い広口の化粧料容器にすることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために、本発明は、間仕切りを介して二つの収納室を有する容器本体と、前記容器本体の開口部を覆い前記各収納室を閉塞する中蓋とを有し、前記中蓋は裏面に前記間仕切りの上面に対応して形成されたヒンジを介して二つの開閉板に形成されており、前記各開閉板の裏面には前記各収納室に嵌脱自在に嵌挿する嵌合リブが突設されているとともに、前記各開閉板の基端側部は切り離されて前記ヒンジを軸に突出する弾性片に形成されており、前記各開閉板を開閉する際、前記弾性片が前記容器本体の開口部の上面に圧接することで前記各開閉板が弾性反転する構成とした。即ち、中蓋を容器本体から取り外すことなく各開閉板を交互に開閉できるとともに、開かれた開閉板が開き姿勢を保持して収納室間の汚染の障壁とすることができるものである。
【0008】
また、間仕切り上面に係止溝を凹設し、中蓋に突条を突設して前記係止溝に係止させるとともに、前記突条の両側に沿ってヒンジを設け、このヒンジを介して二つの開閉板を形成し、開閉板の裏面に嵌合リブがない中蓋の構成としてもよい。
【0009】
更に、上記開閉板に嵌合リブを突設して収納室の気密性を高めることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1乃至図3は、本発明の化粧料容器の第一の実施の形態を示すもので、広口の頚部2を立設した容器本体1と、この容器本体1の開口部9の上面3を覆う中蓋10と、前記頚部2に螺着する蓋体20とから構成され、一般にクリーム容器と呼称されている形状の化粧料容器である。
【0012】
容器本体1は、図2に示すように、硬質の合成樹脂材料を用いて形成され、有底筒状の外胴4と、該外胴4に嵌込まれた内胴5とから構成されており、該内胴5の内側は間仕切り6によって二つの収納室7a、7bに区画されているとともに、内胴5の上部は外周面に雄螺子8を螺設した容器本体1の頚部2となっている。そして、頚部2の上端部は上向きの段部2aを介して頚部2の外径よりもやや小径の開口部9が開設されている。尚、容器本体1は外胴4と内胴5との二部品にすることなく、射出成形による一体成形物であってもよいことは言うまでもない。
【0013】
中蓋10は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミドなどの合成樹脂材料やエラストマーなど可撓性のある材料を用いて円盤状に形成されており、その裏面には、容器本体1の間仕切り6の上面に対応して薄肉細溝状に刻設されたヒンジ11が形成されており、該ヒンジ11を介して回動する二つの開閉板12a、12bで構成されている。そして、中蓋10の直径は容器本体1の開口部9よりも径大に形成され開閉するとき中蓋10の周縁部10a下面に指先が掛けられるようになっている。
【0014】
また、各開閉板12a、12bの裏面には各収納室7a、7bの口部に嵌脱自在に嵌挿する環状の嵌合リブ13a、13bが突設されているとともに、各開閉板12a、12bの回動基端両側部は切り離されてヒンジ11を軸に各開閉板12a、12bの基端後方に突出する舌片状の弾性片14a、14bに形成されている。尚、該弾性片14a、14bは、図に示すように、各開閉板12a、12bの両側部に設けてもよいが、各開閉板12a、12bの片側部だけに設けてもよく(図示省略)、その形状も図示のものに限定されるものではない。
【0015】
蓋体20は、内周面に雌螺子21が設けられた通常の螺子蓋であり、その裏面にはパッキン22が嵌込まれている。
【0016】
本実施の形態の化粧料容器は以上のように構成されており、二つの収納室7a、7bにそれぞれ異種の半流動性の化粧料を充填して中蓋20を被せ、中蓋20の各開閉板12a、12bの各嵌合リブ13a、13bを対応する各収納室7a、7bに嵌挿して容器本体1の開口部9の上面3に嵌着させてある。嵌合リブ13a、13bは中蓋10の嵌着手段であるとともに化粧料を気密に保つ密閉手段でもある。従って、蓋体20のパッキン22を省く構成にすることも可能である。
【0017】
化粧をするときは、図3に示すように、先に使用する化粧料が充填された収納室7bの開閉板12bの周縁部10a下面に指先を掛け、もう一方の開閉板12aの上面を指で押さえながら引き上げる。このとき、押さえている側の開閉板12aが収納室7aにぴったり嵌着していて中蓋10の抜け止めとなり、使用する収納室7bの開閉板12bだけがヒンジ11を軸に回動する。回動する開閉板12bの弾性片14bは開口部9の上面3に圧接し、開閉板12bが所定の開き角度に達すると、弾性片14bは圧接して屈曲した状態から反転して弾性的に開放される。従って、開閉板12bはクリック感を伴って開蓋し、反転した弾性片14bによって開き姿勢が維持される。
【0018】
開口部9の上面3に開き姿勢を保つ開閉板12bは、開かれた収納室7bと閉じられたままの収納室7aとの間を高く遮り、化粧料の取り出し中におこる閉じた開閉板12a側への汚染の障壁となっている。従って、利用者は隣り合う二剤を混合させる心配なく開かれた収納室7bから化粧料を取り出すことができる。また、中蓋10は容器本体1に嵌着したままであるので中蓋10の置き場に困るようなことがない。
【0019】
次に、開いた開閉板12bを閉じると、開くときと同様に、所定の閉じ角度で弾性片14bはクリック感を伴って弾性的に再反転し、開閉板12bは閉じられていた元の状態に復帰する。開閉板12bが閉状態にあるときは、弾性片14bが開き方向への動きを弾性的に阻止するストッパとして作用している。従って、開閉板12bが不用意に開くことがない。また、もう一方の収納室7aの化粧料を使用するときの開閉板12aの操作および動作と効果は前述の開閉板12bと全く同じである。
【0020】
図4乃至図6は、本発明の第二の実施の形態を示すものである。図において、上記第一の実施の形態と共通する部分については同一符合を付しその説明を省略する。
【0021】
本実施の形態では、容器本体1の間仕切り6は先の実施の形態よりも広幅に形成されていて、その上面には係止溝6aが凹設されており、間仕切り6に対応する中蓋10の裏面に突設された突条15を前記係止溝6aに圧入することにより、中蓋10は容器本体1の開口部9の上面3に取り付けられている。また、中蓋10の裏面には突条15の両側に沿って薄肉細溝状のヒンジ11、11が刻設されており、この二条のヒンジ11、11を介して二つの開閉板12a、12bが形成されている。そして、各開閉板12a、12bの基端両側部には前記各ヒンジ11、11を基軸にして突出する弾性片14a、14bが形成されている。
【0022】
先の実施の形態と同様に、本実施の形態は、図5に示すように、開閉板12aを開くと弾性片14は開口部9の上面3に圧接し、開閉板12aが所定の開き角度を越えるとクリック感を伴って弾性反転し、図6に示すように、開閉板12aは開き状態に維持されるようになっている。また、突条15を係止溝6aに係止させることにより中蓋10を間仕切り6上面に取り付ける構成としたので、先の実施の形態に於いて収納室7に中蓋10を係止する為に設けた開閉板12a、12b裏面の嵌合リブは必要としない。但し、気密性を高めるために嵌合リブを設けてもよいことは言うまでもない(図示省略)。また、本実施の形態では、一方の開閉板を開くときもう一方の開閉板を押さえる必要がなく、開蓋操作が簡単になっている。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したような形態で実施される本発明の化粧料容器は、以下に記載されるような効果を奏する。
【0024】
間仕切りを介して二つの収納室を有する容器本体の上面に、ヒンジを介して回動する二つの開閉板に形成された中蓋を取り付けるとともに、前記開閉板にヒンジを軸に突出する弾性片を形成し、開閉板を開閉する際、弾性片が容器本体の開口部上面に圧接することで開閉板が弾性反転する構成としたので、開閉板を開閉するときクリック感が伴って操作感触が良いうえに、中蓋は容器本体に嵌着したままであるので中蓋の置き場に困ることがなく、且つ、中蓋に付着した化粧料で周囲を汚染する心配がない。
【0025】
また、開かれた開閉板は弾性片によって容器本体の開口部上面に90度以上の開き姿勢が維持されるので化粧料が取り出し易いうえに、各収納室間を高く遮る障壁となるとともに、もう一方の収納室を覆う開き姿勢にもできるので利用者による化粧料の取り出し中におこりがちな化粧料の混合が防止できる。
【0026】
また、成形の簡単な一つの中蓋で二つの収納室を密閉できる構成としたので経済的であり、気密性の高い使い勝手のよい広口の化粧料容器を安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧料容器の第一の実施の形態を示す、(a)は分解斜視図、(b)は(a)の中蓋を裏面から一部を破断して見た斜視図。
【図2】図1の断面図。
【図3】図1の化粧料容器の使用状態を示す斜視図。
【図4】本発明の化粧料容器の第二の実施の形態を示す分解斜視図。
【図5】図4の化粧料容器の中蓋の開き過程を示す斜視図。
【図6】図4の化粧料容器の中蓋の開ききった状態を示す説明図。
【図7】従来例を示す分解斜視図。
【符号の説明】
1 容器本体,6 間仕切り,6a 係止溝,7a、7b 収納室,9 開口部,10 中蓋,11 ヒンジ,12、12a、12b 開閉板,13a、13b 嵌合リブ,14a、14b 弾性片,15 突条,

Claims (3)

  1. 間仕切りを介して二つの収納室を有する容器本体と、前記容器本体の開口部を覆い前記各収納室を閉塞する中蓋とを有し、前記中蓋は前記間仕切りの上面に対応して形成されたヒンジを介して二つの開閉板に形成されており、前記各開閉板の裏面には前記各収納室に嵌脱自在に嵌挿する嵌合リブが突設されているとともに、前記各開閉板の基端側部は切り離されて前記ヒンジを軸に突出する弾性片に形成されており、前記各開閉板を開閉する際、前記弾性片が前記容器本体の開口部の上面に圧接することで前記各開閉板が弾性反転することを特徴とする化粧料容器。
  2. 上面に係止溝が凹設された間仕切りを介して二つの収納室を有する容器本体と、前記容器本体の開口部を覆い前記各収納室を閉塞する中蓋とを有し、前記中蓋は前記係止溝に係止する突条が突設されているとともに前記突条の両側に沿って形成されたヒンジを介して二つの開閉板が形成されており、前記各開閉板の基端側部には前記各ヒンジを軸に突出する弾性片が形成されており、前記各開閉板を開閉する際、前記弾性片が前記容器本体の開口部の上面に圧接することで前記各開閉板が弾性反転することを特徴とする化粧料容器。
  3. 各開閉板の裏面に各収納室に嵌脱自在に嵌挿する嵌合リブが突設されていることを特徴とする請求項2記載の化粧料容器。
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