JP3836103B2 - 衣料用ハンガー - Google Patents

Description

本発明は、上着の肩の部分の型くずれを解消した衣料用ハンガーに関する。

クリーニング店で仕上がってくる背広やブレザー等の上着は、客が取りに来るまで、型くずれしないように店のハンガーに吊されている。このようなクリーニング店で使用するハンガーは、ハンガーの価格をクリーニング代金に上乗せしにくいため、極力安価にする必要がある。

旧来は、針金で作ったハンガーが多用されているが、針金は細く厚みが無いため、上着を吊しておくと肩の部分が折れてしまい、型崩れするという問題があった。クリーニング店から引き取った衣料は、すぐ着用しない場合も多く、特に、衣替えの時に出した衣料は、次の季節まで長い間カバーを被せたままクローゼットのハンガーに吊しておくことが多い。そうすると、肩の部分だけではなく、前、後の部分が弛んで皺が付き、着用したときに皺が取れにくいという問題があった。

この問題を解消するため、例えば特許文献１〜４には、両肩の部分に、それぞれ丸みを持たせるためのパッドを取り付けるようにしたものが開示されている。
また、特許文献５には、両肩の部分を一体にしてハンガー本体に取り付けるものが開示されている。

さらに、特許文献６には、ハンガーフック挿通孔を有する首回り形成部の両側に肩部形成部を一体に設け、首回り形成部の中央に下面から上方にかけて折曲用スリットを設けて、針金ハンガーに取り付けるハンガーカバーが開示されている。

特開２０００−６０７１５号公報 特開２００１−１６９８９４号公報 特開平１１−３１３７４９号公報 特開平１１−３１８６８４号公報 特開２００３−１６９９９８号公報 実公昭６１−３０５５１号公報

しかし、特許文献１〜４に開示されたハンガーでは、ハンガー本体と両肩のそれぞれのパッド２個の、３つの部品を要し、製作コストが増加するとともに、組み立ての手間もかかるという問題がある。
この点、特許文献５に開示されたハンガーでは、両肩のパッドが一体となっているため、２つの部品で済むが、それでも複数の部品の製作コストや組み立ての手間が必要であり、コスト低減に限界があった。

さらに、これらの特許文献１〜５に開示されたハンガーでは、製造メーカーからクリーニング店またはクリーニング工場に輸送する際、部品毎に梱包した箱が必要となり、輸送コストも嵩むという問題があった。
前掲の特許文献６に開示されたハンガーでは、多数のハンガーを密着して積み重ねることができるが、針金ハンガーに装着して使用するので、コストが掛かるという問題があった。

一方、両肩の部分を立体的に形成したプラスチック製の立体ハンガーがあるが、価格が嵩むとともに、積み重ねることができないため、輸送用の箱に多く収納できず、輸送コストも嵩むという問題があった。

そこで本発明は、肩部の型くずれを解消する機能を備えるとともに、組み立てがワンタッチで行え、また輸送時に嵩張らず、部品点数を低減できるローコストな衣料用ハンガーを提供することを目的とする。

前記課題を解決するため、本発明の第１の構成は、フック部の基端部に連設される首部と、前記首部の両側に形成される両肩支持部とが一体的に成型され、前記両肩支持部にヒンジ部を介して折り曲げ自在に肩パッド片を形成し、かつ、前記肩パッド片を前記両肩支持部を覆う状態に折り曲げた状態を保持する係合手段を設けたことを特徴とする衣料用ハンガーである。
この第１の構成においては、肩パッド片をヒンジ部を介して折り曲げ自在に両肩支持部に連設することで、衣料の肩部の型くずれを解消する機能を持つ肩パッド片が一体化される。また、組み立て時に肩パッド片をヒンジ部の部分から折り曲げて両肩支持部に係合することで、ワンタッチで肩パッド片が組み立てられる。

本発明の第２の構成は、前記係合手段は、前記両肩支持部の上部に形成された爪部と、前記肩パッド片の内側に突設され、前記爪部に係合する台形状リブの頂部とによって構成される衣料用ハンガーである。
この第２の構成においては、係合手段を爪部と台形状リブの頂部とで形成することで、ワンタッチでの組み立てを実現できる。

本発明の第３の構成は、前記両肩支持部の下端に、横杆部が連設されている衣料用ハンガーである。
この第３の構成においては、横杆部を一体成型することで、そこにズボンやスカートを掛けることができる。

本発明の第４の構成は、前記フック部は、前記首部と一体成型されているものであり、別部品を必要としない。
本発明の第５の構成は、前記フック部は、前記首部と別部品で形成され、前記首部に取り付けられるものであり、フック部を例えば鉄線を曲げて形成することで、強度を持たせることができる。

本発明によれば、両肩支持部にヒンジ部を介して折り曲げ自在に肩パッド片を形成し、肩パッド片を両肩支持部を覆う状態に折り曲げた状態を保持する係合手段を設けたことにより、肩部の型くずれを解消する機能を備えるとともに、組み立てがワンタッチで行え、また輸送時に嵩張らず、ローコストな衣料用ハンガーを提供することができる。

以下、本発明の実施の形態を、図１から図７を用いて説明する。
図１は本実施の形態の肩パッド片を開いた状態の正面図、図２は肩パッド片を肩支持部にセットした状態の正面図、図３は肩パッド片を開いた状態の側面図、図４は肩パッド片の一方を開いた状態の背面図、図５および図６はそれぞれ図１におけるＡ−Ａ線断面図およびＢ−Ｂ線断面図、図７はロック部の拡大図である。
これらの図において、本実施の形態の衣料用ハンガーは、フック部１と、フック部１の基端部に連設される首部２と、首部２の両側に連設される肩支持部３と、横杆部４と、ヒンジアーム５によって肩支持部３と結合されている肩パッド片６とを備えている。
この衣料用ハンガーの材料としては、射出成型可能なポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を使用することができる。

ヒンジアーム５は、図６に示すように射出成型時に肩支持部３から肩パッド片６に樹脂が流れるゲートとしても作用するもので、ヒンジアーム５と肩パッド片６との結合部は板厚を薄くして折り曲げ自在なヒンジ部５ａとしている。

肩パッド片６には、Ｖ字状の係合脚部７が形成されており、その先端は扁平な係合部７ａとなっており、台形状リブを形成している。肩支持部３における係合部７ａと対応する位置には、図７に拡大して示すように、ロック爪８ｂを先端に有するロック片８ａと、抜け止め片８ｃからなるロック部８が形成されている。ロック爪８ｂは、係合脚部７の先端の係合部７ａを引っ掛ける機能を有するものである。なお、係合部７ａを装着する際に、ロック片８ａと抜け止め片８ｃの内部に係合部７ａを誘導するために、ロック片８ａの端部と抜け止め片８ｃの上部内側には、テーパーが形成されている。係合脚部７を形成した部分の肩パッド片６には、図６に示すように開口部９が形成されており、後述するように積み重ねたときに下の部分の衣料用ハンガーの係合脚部７が入り込んで密着して積み重ねられるようになっている。

なお、図中１０は、高所のハンガー掛けに本実施の形態の衣料用ハンガーを掛け卸しするときに引っ掛け棒の先端フックを掛けるための引っ掛け輪、１１はズボンやスカートを横杆部４に二つ折りで掛けたときに通す滑り止め片、１２はスカート紐掛け、１３はスカートクリップ掛けである。

次に、この実施の形態の機能について説明する。
射出成型により製造された状態では、図１および図３に示すように、肩パッド片６は開いた状態、すなわち、肩パッド片６は肩支持部３に対して係合していない状態である。この状態では、多数の衣料用ハンガーを密着して積み重ねることができる。すなわち、首部２および肩パッド片６の表と裏が同じ形状となっており、また突出している係合脚部７の部分には開口部９が設けられているので、密着して積み重ねることができる。

この衣料用ハンガーの使用時には、図６に示すように肩パッド片６をヒンジ部５ａを支点として折り曲げると、係合脚部７の先端の係合部７ａがロック部８に当たる。さらに強く押し込むと、ロック部８を構成するロック片８ａと抜け止め片８ｃが両側に撓み、係合部７ａがロック爪８ｂを通過してロック片８ａと抜け止め片８ｃの間に入り込み、肩パッド片６が開こうとする復元力をロック爪８ｂが抑制してロックされる。このようにして、肩パッド片６をヒンジ部５ａを中心にして押し込むという動作だけで、ワンタッチ組み立てができる。これにより、肩支持部３の上部が肩パッド片６で覆われ、衣服の上着の肩部に丸みを持たせた状態で衣服を吊すことが可能となる。

なお、この衣料用ハンガーを使用しないときは、肩パッド片６をヒンジ部５ａを中心にして強く引っ張れば、ロック爪８ｂが撓み、係合部７ａがロック部８から外れてもとの積み重ね可能な状態となる。

以上の実施の形態では、首部２は図５に示すように、衣服の首回りに適合した湾曲形状としたが、単なる扁平形状でもよい。
また、フック部１は首部２等と一体に成形したものを示したが、強度が求められる場合には、鉄線を曲げて形成した金属製の別体とすることもできる。

本発明は、肩部の型くずれを解消する機能を備えるとともに、組み立てがワンタッチで行え、また輸送時に嵩張らず、部品点数を低減できるローコストな衣料用ハンガーとして、クリーニング業界、アパレル業界等の分野で利用することができる。

本実施の形態の肩パッド片を開いた状態の正面図である。 本実施の形態の肩パッド片を肩支持部にセットした状態の正面図である。 本実施の形態の肩パッド片を開いた状態の側面図である。 本実施の形態の肩パッド片の一方を開いた状態の背面図である。 図１におけるＡ−Ａ線断面図である。 図１におけるＢ−Ｂ線断面図である。 本実施の形態におけるロック部の拡大図である。

符号の説明

１ フック部
２ 首部
３ 肩支持部
４ 横杆部
５ ヒンジアーム
５ａ ヒンジ部
６ 肩パッド片
７ 係合脚部（台形状リブ）
７ａ 係合部
８ ロック部
８ａ ロック片
８ｂ ロック爪
８ｃ 抜け止め片
９ 開口部
１０ 引っ掛け輪
１１ 滑り止め片
１２ スカート紐掛け
１３ スカートクリップ掛け

Claims (5)

1. フック部の基端部に連設される首部と、前記首部の両側に形成される両肩支持部とが一体的に成型され、前記両肩支持部にヒンジ部を介して折り曲げ自在に肩パッド片を形成し、かつ、前記肩パッド片を前記両肩支持部を覆う状態に折り曲げた状態を保持する係合手段を設けたことを特徴とする衣料用ハンガー。
2. 前記係合手段は、前記両肩支持部の上部に形成された爪部と、前記肩パッド片の内側に突設され、前記爪部に係合する台形状リブの頂部とによって構成される請求項１記載の衣料用ハンガー。
3. 前記両肩支持部の下端に、横杆部が連設されている請求項１または２に記載の衣料用ハンガー。
4. 前記フック部は、前記首部と一体成型されている請求項１記載の衣料用ハンガー。
5. 前記フック部は、前記首部と別部品で形成され、前記首部に取り付けられる請求項１に記載の衣料用ハンガー。

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