JP3835913B2 - 排気ガス対応インテークドア制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室外の排気ガス濃度を検知し、外気が清浄状態であると外気導入モード側にし、外気が汚染状態であると内気循環モード側にする排気ガス対応インテークドア制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排気ガス対応インテークドア制御装置としては、例えば、「社団法人 自動車技術会 学術講演会前刷集975」(1997年10月発行)の第149頁〜第152頁に記載のものが知られている。
【0003】
上記従来出典には、車載のエアコンユニットの外気吸い込み口に設けられ、外気吸入と内気吸入を切り換えるインテークドアと、車両のフロントグリル部に設置され、走行中や停車時に外気の排気ガス濃度を検出する排気ガスセンサと、排気ガスセンサからのセンサ信号を入力し、ガス濃度センサ値が1つの設定しきい値以上であるか以下であるかで外気が清浄状態か汚染状態かを判断し、外気清浄状態では吸い込み口を外気モードとし、外気汚染状態では吸い込み口を内気モードとするように前記インテークドアを動作させるサーボモータの駆動制御を行なうコントロールユニットを備えた装置が記載されている。
【0004】
この装置で濃度の高い排気ガスを検知してからインテークドアを外気モード位置から内気モード位置までの動作が終了するまでの応答時間をみると、センサ応答時間が2秒、演算処理時間が0.2秒、ドア動作時間が4秒かかる。そこで、最も長い時間を占めるドア動作時間に着目し、外気が清浄時にはインテークドアを内気と外気の中間位置に停止させ、排気ガス検出時に内気モード位置までの到達時間を短くする(4秒→2秒)方法を考案したということが記載されてる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の排気ガス対応インテークドア制御装置にあっては、ガス濃度センサ値が1つの設定しきい値以上となると、インテークドアを100%あるいは50%の外気導入率による外気モード位置から一気に内気モード位置にする2位置の開閉制御により行なわれるため、車室内のCO2 濃度上昇抑制と排気ガス臭官能値抑制とを両立させることが困難という問題がある。
【0006】
すなわち、設定しきい値を排気ガス臭官能値抑制を重視して設定すると、リサーキュレーション位置(REC)の頻度が高くなり、車室内のCO2 の濃度が急激に増加してしまうし、逆に、車室内のCO2 濃度の上昇抑制を重視して設定すると、外気導入モードの頻度が高くなり、排気ガスの車室内侵入が増加し、排気ガス臭の官能値レベルが高くなってしまう。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、車室内のCO2 濃度上昇抑制と排気ガス臭官能値抑制とをうまく両立させると共に排気ガス侵入防止の応答性をより向上させた排気ガス対応インテークドア制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(解決手段1)
上記課題の解決手段1(請求項1)は、図1のクレーム対応図に示すように、車載のエアコンユニットの外気吸い込み口に設けられ、外気吸入と内気吸入を切り換えるインテークドアaと、
車両のフロントグリル部に設置され、走行中や停車時に外気の排気ガス濃度を検出する排気ガスセンサbと、
前記排気ガスセンサbからのセンサ信号を入力し、センサ信号から得られる排気ガス濃度演算値に基づき外気の汚れ度を判断し、外気の汚れ度が低い外気清浄状態では吸い込み口を外気モード側とし、外気の汚れ度が高い外気汚染状態では吸い込み口を内気モード側とするように前記インテークドアaのドアアクチュエータcの駆動制御を行なうインテークドア制御手段dとを備えた排気ガス対応インテークドア制御装置において、
制御しきい値として外気の汚れ度が低い側から高い側に向かって順に第1しきい値,第2しきい値,第3しきい値を設定するしきい値設定手段eを設け、前記インテークドア制御手段dを、排気ガス濃度演算値が外気清浄値から第1しきい値までの領域では外気モードとし、排気ガス濃度演算値が第1しきい値から第2しきい値までの領域では外気導入率を一定にする中間開度モードとし、排気ガス濃度演算値が第2しきい値から第3しきい値までの領域では外気の汚れ度が高くなるほど前記第1しきい値と第2しきい値の間の外気導入率から徐々にドア開度を内気側開度に変更する可変開度モードとし、排気ガス濃度演算値が第3しきい値から外気汚染値までの領域では内気モードとする制御を行なう手段としたことを特徴とする。
【0009】
(解決手段2)
上記課題の解決手段2(請求項2)は、図1のクレーム対応図に示すように、請求項1記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、
前記インテークドアaの下流位置に、排気ガスの臭いを抑える脱臭フィルタfを設けたことを特徴とする。
【0010】
(解決手段3)
上記課題の解決手段3(請求項3)は、図1のクレーム対応図に示すように、請求項1または請求項2記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、
車速を検出する車速検出手段gを設け、
前記しきい値設定手段eを、検出される車速が低車速時には高排気ガス濃度側の値に設定し、車速が高車速になるほど排気ガス濃度が低くなる側の値に変更設定する車速対応しきい値設定手段としたことを特徴とする。
【0011】
(解決手段4)
上記課題の解決手段4(請求項4)は、図1のクレーム対応図に示すように、請求項1ないし請求項3記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、
車速を検出する車速検出手段gを設け、
排気ガス対応インテークドア制御により内気モードの位置に制御されたインテークドアaを排気ガス濃度演算値の低下にともない外気モード方向に戻す時、車速が低車速であるほどドア戻し判断時からドア戻し制御を実行するまでの遅延時間を長く設定した車速対応遅延時間設定手段hを設けたことを特徴とする。
【0012】
(解決手段5)
上記課題の解決手段5(請求項5)は、図1のクレーム対応図に示すように、請求項1ないし請求項4記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、前記インテークドアaの下流位置に設けられたブロワiの風量を検出するブロワ風量検出手段jを設け、
前記ブロワ風量検出手段jにより検出されるブロワ風量が設定風量以上の時には排気ガス対応インテークドア制御を禁止するドア制御禁止手段kを設けたことを特徴とする。
【0013】
(解決手段6)
上記課題の解決手段6(請求項6)は、図1のクレーム対応図に示すように、請求項1ないし請求項5記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、エアコンシステムが切られている(Comp=OFF時)、デフモードが選択されている、外気温が設定温度以下である、のいずれか1つの条件を満たすと、排気ガス対応インテークドア制御に優先して窓曇り防止制御を実行する窓曇り対応制御手段mを設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1は請求項1〜6に記載の発明に対応する。
【0015】
図2は実施の形態1の排気ガス対応インテークドア制御装置を示す全体システム図である。
【0016】
図2において、1はインテークドア、2は外気吸入口、3は内気吸入口、4は脱臭フィルタ、5はブロワ、6はブロワモータ、7はサーボモータ(インテークドアアクチュエータcに相当)、8は排気ガスセンサ、9はドア位置センサ、10は車速センサ(車速検出手段gに相当)、11は外気温センサ、12はエアコン・コントロールユニット、13は排気ガス対応インテークドア制御部、14はブロワ風量信号、15はコンプレッサ信号、16はモード信号である。
【0017】
前記インテークドア1は、ブロワ5の吸入側に配置され、インテークドアアクチュエータとしてのサーボモータ7により駆動される。そして、内気吸入口3を塞ぐインテークドア1のフレッシュ位置(FRE)では、100%の外気導入率となり、逆に、外気吸入口2を塞ぐインテークドア1のリサーキュレーション位置(REC)では0%の外気導入率、つまり、内気循環モードとなる。また、インテークドア1の中間開度位置では50%の外気導入率となるというように、設定される開度位置に応じて外気導入率を変化させることができる。
【0018】
また、前記インテークドア1とブロワ5との間には、活性炭等により排気ガス臭を防止する脱臭フィルタ4が配置されている。
【0019】
前記排気ガスセンサ8は、ガスの存在による抵抗値の変化を利用してガス濃度に応じた電圧信号Vsを出力する。つまり、ガスセンサ素子は、セラミック基板上にSnO2 を主成分として設けられたガス検出部と、ガスに対する反応を促進させるための加熱を行なうヒータ部とで構成され、この素子部に還元性ガスが反応すると酸化還元反応により電気抵抗が変化する。そして、この排気ガスセンサ8は、温度や湿度の変化が少なく排気ガスを効率的に検出できるフロントグリル部に設置される。
【0020】
前記ドア位置センサ9は、インテークドア1のドア開度位置を検出して排気ガス対応インテークドア制御部13にドア開度のフィードバック情報を与える。
【0021】
前記車速センサ10は、車速Vcを検出して車速情報を排気ガス対応インテークドア制御部13に与える。
【0022】
前記外気温センサ11は、外気温AMBを検出して外気温情報を排気ガス対応インテークドア制御部13に与える。
【0023】
前記エアコン・コントロールユニット12は、外気温,日射量の変化,乗員数の変動等による車室内温度変化を各種センサにより検知し、一度好みの温度に設定すれば、常に車室内温度を一定に保つように、吹出風温度,吹出風量,吸込口及び吹出口の切り換えをマイクロコンピュータにより自動制御する。
【0024】
前記排気ガス対応インテークドア制御部13は、エアコン・コントロールユニット12に設定されている一つの制御部で、排気ガスによる外気の汚染状態を排気ガスセンサ8にて検知し、インテークドア1を駆動制御することで自動的に吸込口を切り換える制御を行なう。この排気ガス対応インテークドア制御部13には、内部信号として、ブロワモータ電圧値によるブロワ風量信号と、エアコンのオン・オフを監視するためのコンプレッサ信号と、デフモード(DEF)かどうか、あるいは、オート・リサーキュレーションモード(オートREC)かどうかを監視するためのモード信号が与えられる。
【0025】
次に、作用を説明する。
【0026】
[ガスセンサ信号処理]
図3及び図4は排気ガス対応インテークドア制御部13で行なわれる種類の異なるガスセンサからの信号処理の流れを示すフローチャートである。
【0027】
図3に示すガスセンサ信号処理1の各ステップについて説明する。
【0028】
ステップ30では、イグニッションスイッチをOFF→ONとしてから60秒の設定時間(電源投入からセンサ出力が安定するまでに十分な時間)が経過したかどうかが判断され、YESの時にはステップ31へ進み、NOの時にはステップ32へ進む。
【0029】
ステップ31では、イグニッションスイッチをOFF→ONとしてから60秒を経過した後、排気ガスセンサ8から今回の処理にて読み込まれたセンサ測定値GSADと、RAMに記憶されている前回の処理までのセンサ記憶値GSMSとが比較される。ここで、RAMには、イグニッションスイッチのON操作による排気ガスセンサ8への電源投入から60秒を経過した後、一番空気がきれいであることを示すセンサ測定値GSADがセンサ記憶値GSMSとして記憶されている。
【0030】
ステップ32では、ステップ31での判断でYES、つまり、GSAD>GSMSである場合、今回のセンサ測定値GSADを仮センサ記憶値GSMXにすると共に次回からのセンサ記憶値GSMSとして更新される。尚、排気ガスセンサ8への電源投入から60秒を経過するまでは、読み込まれたセンサ測定値GSADが仮センサ記憶値GSMXとして処理毎に書き換えられる。
【0031】
ステップ33では、ステップ31→ステップ32を経過した時には仮センサ記憶値GSMXを基準値GSMとし、また、ステップ31から直接移行してきた時にはセンサ記憶値GSMSを基準値GSMとし、この基準値GSMに対する排気ガスセンサ8からのセンサ測定値GSADの比を演算し、この演算結果がガス濃度演算値GSCとされる。
【0032】
図4に示すガスセンサ信号処理2のステップについて説明する。
【0033】
ステップ40では、排気ガスセンサ8からの電圧信号Vsをデジタル変換したセンサ測定値GSADがそのままガス濃度演算値GSCとされる。
【0034】
以下、図3に示すガスセンサ信号処理1で得られたガス濃度演算値GSCを用いたインテークドア制御について説明する。
【0035】
[インテークドア制御作動]
図5及び図6は実施の形態1の排気ガス対応インテークドア制御部13にて実行されるインテークドア制御作動の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(インテークドア制御dに相当)。
【0036】
ステップ50では、イグニッションスイッチをOFF→ONとしてから60秒が経過したかどうかが判断される。60秒の経過前においては、ステップ51へ進み、REC→FREへの遅延タイマADTがゼロにリセットされる。
【0037】
ステップ52では、吸い込み口を内気循環(REC)に固定するオートRECモードかどうかが判断され、オートRECモードが選択されている時には、排気ガス対応インテークドア制御を行なわない。
【0038】
ステップ53では、エアコンを切っているかどうかが判断され、エアコンOFF時には排気ガス対応インテークドア制御を行なわない。
【0039】
ステップ54では、デフモード選択時かどうかが判断され、デフモード選択時には排気ガス対応インテークドア制御を行なわない。
【0040】
ステップ55では、車速Vcが30km/h未満かどうかが判断される。
【0041】
ステップ56では、車速Vcが80km/h未満かどうかが判断される。
【0042】
ステップ57では、Vc<30km/hの時、ブロア電圧が8V未満かどうかが判断され、NOの場合は排気ガス対応インテークドア制御を行なわない。
【0043】
ステップ58では、Vc<30km/hの時、図7の特性aが選択され、遅延時間は100秒とされ、ステップ63へ進む。
【0044】
ステップ59では、30≦Vc<80km/hの時、ブロア電圧が8V未満かどうかが判断され、NOの場合は排気ガス対応インテークドア制御を行なわない。
【0045】
ステップ60では、30≦Vc<80km/hの時、図7の特性bが選択され、遅延時間は30秒とされ、ステップ63へ進む。
【0046】
ステップ61では、Vc≧80km/hの時、ブロア電圧が8V未満かどうかが判断され、NOの場合は排気ガス対応インテークドア制御を行なわない。
【0047】
ステップ62では、Vc≧80km/hの時、図7の特性cが選択され、遅延時間は15秒とされ、ステップ63へ進む。
【0048】
ステップ63では、ステップ58,ステップ60,ステップ62で選択された各特性と、ガス濃度演算値GSCによって目標開度FTIが設定される。
【0049】
ステップ64では、外気温AMBが0℃未満かどうかが判断され、YESの時にはステップ65へ進み、NOの時にはステップ67へ進む。
【0050】
ステップ65では、目標開度FTIが50%未満かどうかが判断され、YESの時にはステップ66にてFTI=50%に設定し、NOの時にはステップ67へ進む。
【0051】
ステップ67では、REC→FRE方向への移動かどうかが判断され、NOの時にはステップ70へ進み、YESの時にはステップ68へ進む。
【0052】
ステップ68では、REC→FREへの遅延タイマADTによるタイマ時間が経過したかどうかが判断され、NOの時にはステップ69へ進み最終目標開度値TIが前回のままに保たれ、YESの時にはステップ70へ進みREC→FREへの遅延タイマADTをゼロにリセットし、さらに、ステップ71へ進み目標開度FTIが最終目標開度値TIとされる。
【0053】
ステップ72では、他の制御と共用であるインテークドア開度制御のサブルーチンに進み、最終目標開度値TIが得られる指令値がサーボモータ7に出力される。
【0054】
尚、ステップ55,56,58,60,62は車速対応しきい値設定手段e及び車速対応遅延時間設定手段hに相当する。また、ステップ57,59,61はブロワ風量検出手段j及びドア制御禁止手段に相当する。ステップ53,54及びステップ64,65,66は窓曇り対応制御手段mに相当する。
【0055】
[排気ガス対応インテークドア制御について]
横軸をガス濃度とした場合、Vc<30km/hの時の排気ガス対応インテークドア制御特性は図8の特性aに示す通りで、30≦Vc<80km/hの時の排気ガス対応インテークドア制御特性は図8の特性bに示す通りである。
【0056】
すなわち、ガス濃度が外気清浄値から第1しきい値a1,b1までの領域では外気導入率100%の外気モードとし、ガス濃度が第1しきい値a1,b1から第2しきい値a2,b2までの領域では外気導入率50%の中間開度モードとし、ガス濃度が第2しきい値a2,b2から第3しきい値a3,b3までの領域では外気の汚れ度が高くなるほどドア開度を外気導入率50%から外気導入率15%まで徐々に開度を変更する可変開度モードとし、ガス濃度が第3しきい値a3,b3から外気汚染値までの領域では外気導入率0%の内気モードとする制御が行なわれる。
【0057】
このように、第2しきい値a2,b2から第3しきい値a3,b3までの可変開度モード領域により外気導入領域の拡大が図られることで車室内のCO2 濃度上昇を抑えることができる。また、外気導入領域を増大させてもガス濃度が高くなるほど外気導入率を低下させる可変開度モードとしたことでガス濃度が高くなる時も排気ガス臭を強く感ることがない。また、第1しきい値a1,b1から第3しきい値a3,b3までの幅広い領域を半内気による制御域とすることで人の感性に近いチューニング(しきい値設定)が可能となる。このように、外気モードと中間開度モードと可変開度モードと内気モードを組み合わせた特性により排気ガス対応のインテークドア制御を行なうようにしたため、車室内のCO2 濃度上昇抑制と排気ガス臭官能値抑制とをうまく両立させることができる。
【0058】
さらに、100%の外気導入率のFREからRECへのインテークドア作動では約4秒程度要し、50%の外気導入率からRECへのインテークドア作動では約2秒程度要するが、15%の外気導入率からRECへのインテークドア作動では約1秒程度である。よって、可変開度モードの領域での制御中にガス濃度が上昇してRECまでインテークドア1を作動させる時、作動時間が1秒〜2秒と短縮され、排気ガス侵入防止の応答性を50%の外気導入率からRECとする従来技術よりさらに向上させることができる。
【0059】
加えて、制御特性として領域幅の広い中間開度モードと可変開度モードを設定していることで、外気導入の頻度が高くなり排気ガス臭が懸念される。しかし、この排気ガス臭に対しては、活性炭等の脱臭フィルタ4を設けることにより、排気ガス臭に対する官能値を確実に低いレベルに抑えることができる。
【0060】
また、上記排気ガス対応インテークドア制御と脱臭フィルタ4とを組み合わせることで、インテークドア制御での制御特性設定にあたってチューニング代が拡大することになる。
【0061】
[車速対応しきい値設定について]
低速で排気ガスを含む外気を導入しながら走行している時は、車室内の排気ガス濃度が徐々に上昇することで、最終的にかなり高レベルの排気ガス濃度となっても乗員が感じる排気ガス臭官能値はさほど高くはない。逆に、高速で排気ガスを含む外気を導入しながら走行している時は、車室内の排気ガス濃度が一気に上昇することで、低レベルの排気ガス濃度であっても乗員が感じる排気ガス臭官能値は高くなる。
【0062】
そこで、図8に示すように、低車速側の特性aはしきい値a1,a2,a3を高排気ガス濃度側の値に設定し、高車速側の特性bはしきい値b1,b2,b3を低排気ガス濃度側の値に設定していて、これにより排気ガス臭に対する人の感性に合わせた制御を達成することができる。
【0063】
[車速対応遅延時間設定について]
REC→FREへの遅延時間は、図9の表に示すように、Vc<30km/hの時には100秒、30≦Vc<80km/hの時には30秒、Vc≧80km/hの時には15秒というように、車速が高車速になるほど短い時間に設定している。この理由について述べる。
【0064】
Vc<30km/hの低速走行時には、残った排気ガス臭がなくなるまでの時間を確保する必要がある。
【0065】
30≦Vc<80km/hの定常走行時には、頻繁にドア動作する煩わしさを無くすために遅延時間を設定しておく必要がある。
【0066】
Vc≧80km/hの高速走行時には、ラム圧により排気ガスセンサ8の周りのガス濃度が希薄になるため、特性を敏感にする必要がある。
【0067】
[ブロワ風量対応制御について]
ブロワ風量はブロワモータ6への印加電圧により決まり、モータ電圧が8V未満であればブロワ風量が小さく、ブロワ騒音も問題とならない。しかし、モータ電圧が8V以上であるブロワ風量が大きくなり、防音や遮音対策を施さない限りブロワ騒音が乗員にとって気になるレベルとなる。
【0068】
そこで、モータ電圧が8V以上の時には、排気ガス対応インテークドア制御(半内気制御)を行なわないことで、半内気状態で高風量である時に問題となる騒音を防止することができる。
【0069】
[窓曇り対応制御について]
図5のステップ53とステップ54から明らかなように、窓曇りを取り除くための操作と推定することができるエアコンOFF時とデフモード選択時には、排気ガス対応インテークドア制御を行なわない。
【0070】
また、図6のステップ64〜66から明らかなように、窓曇りが生じる可能性が高いと思われる外気温0℃未満での内気モード時には、排気ガス対応インテークドア制御での外気導入率が50%未満であれば強制的に外気導入率50%以上とする制御により窓曇りを消すようにしている。
【0071】
これによって、排気ガス対応インテークドア制御に窓曇り対応制御を取り込むことができる。
【0072】
(その他の実施の形態)
実施の形態1では、排気ガス対応インテークドア制御特性の可変開度モードでガス濃度の上昇に対して直線的な傾斜特性にて徐々に開度を小さくする例を示したが、段階的な特性にて開度を可変とする例としても良い。
【0073】
実施の形態1では、排気ガス対応インテークドア制御と脱臭フィルタとを組み合わせた例を示したが、本発明の排気ガス対応インテークドア制御において脱臭フィルタと組み合わせることなく採用することも可能である。
【0074】
実施の形態1では、車速対応のしきい値を持つ制御特性による例を示したが、車速にかかわらず用いられる1つの特性による例であっても良いし、また、実施の形態1では、特性cについては中間開度モードと可変開度モードを持たない特性としたが、特性aや特性bと同様の特性を用いることもできる。
【0075】
実施の形態1では、車速対応遅延時間設定手段を設けた例を示したが、車速にかかわらず一定の遅延時間に設定したものであっても良い。
【0076】
実施の形態1では、ブロワ風量が設定風量以上の時には排気ガス対応インテークドア制御を禁止する例を示したが、防音対策や遮音対策が十分であり、高風量時にインテークドアの半内気制御を行なっても車室内にてブロワ騒音が気にならないレベルであれば、高ブロワ風量域でドア制御を禁止しなくても良い。
【0077】
【発明の効果】
請求項1記載の発明にあっては、車載のエアコンユニットの外気吸い込み口に設けられ、外気吸入と内気吸入を切り換えるインテークドアと、車両のフロントグリル部に設置され、走行中や停車時に外気の排気ガス濃度を検出する排気ガスセンサと、前記排気ガスセンサからのセンサ信号を入力し、センサ信号から得られる排気ガス濃度演算値に基づき外気の汚れ度を判断し、外気の汚れ度が低い外気清浄状態では吸い込み口を外気モード側とし、外気の汚れ度が高い外気汚染状態では吸い込み口を内気モード側とするように前記インテークドアのドアアクチュエータの駆動制御を行なうインテークドア制御手段とを備えた排気ガス対応インテークドア制御装置において、制御しきい値として外気の汚れ度が低い側から高い側に向かって順に第1しきい値,第2しきい値,第3しきい値を設定するしきい値設定手段を設け、前記インテークドア制御手段を、排気ガス濃度演算値が外気清浄値から第1しきい値までの領域では外気モードとし、排気ガス濃度演算値が第1しきい値から第2しきい値までの領域では外気導入率を一定にする中間開度モードとし、排気ガス濃度演算値が第2しきい値から第3しきい値までの領域では外気の汚れ度が高くなるほど前記第1しきい値と第2しきい値の間の外気導入率から徐々にドア開度を内気側開度に変更する可変開度モードとし、排気ガス濃度演算値が第3しきい値から外気汚染値までの領域では内気モードとする制御を行なう手段としたため、車室内のCO2 濃度上昇抑制と排気ガス臭官能値抑制とをうまく両立させると共に排気ガス侵入防止の応答性をより向上させた排気ガス対応インテークドア制御装置を提供することができるという効果が得られる。
【0078】
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、前記インテークドアの下流位置に、排気ガスの臭いを抑える脱臭フィルタを設けたため、上記効果に加え、排気ガス臭に対する官能値を確実に低いレベルに抑えることができるし、広いガス濃度領域で半内気モードが許容されることでインテークドア制御特性の設定容易性を達成できる。
【0079】
請求項3記載の発明にあっては、請求項1または請求項2記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、車速を検出する車速検出手段を設け、前記しきい値設定手段を、検出される車速が低車速時には高排気ガス濃度側の値に設定し、車速が高車速になるほど排気ガス濃度が低くなる側の値に変更設定する車速対応しきい値設定手段としたため、請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、排気ガス臭に対する人の感性に合わせた制御を達成することができる。
【0080】
請求項4記載の発明にあっては、請求項1ないし請求項3記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、車速を検出する車速検出手段を設け、排気ガス対応インテークドア制御により内気モードの位置に制御されたインテークドアを排気ガス濃度演算値の低下にともない外気モード方向に戻す時、車速が低車速であるほどドア戻し判断時からドア戻し制御を実行するまでの遅延時間を長く設定した車速対応遅延時間設定手段を設けたため、請求項1ないし請求項3記載の発明の効果に加え、中高速側での制御頻度抑制や制御応答性を確保しながら、排気ガス臭に対する人の感性に合わせた制御を達成することができる。
【0081】
請求項5記載の発明にあっては、請求項1ないし請求項4記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、前記インテークドアの下流位置に設けられたブロワの風量を検出するブロワ風量検出手段を設け、前記ブロワ風量検出手段により検出されるブロワ風量が設定風量以上の時には排気ガス対応インテークドア制御を禁止するドア制御禁止手段を設けたため、請求項1ないし請求項4記載の発明の効果に加え、高風量時にインテークドアの半内気制御に伴うブロワ騒音の発生を防止することができる。
【0082】
請求項6記載の発明にあっては、請求項1ないし請求項5記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、エアコンシステムが切られている、デフモードが選択されている、外気温が設定温度以下である、のいずれか1つの条件を満たすと、排気ガス対応インテークドア制御に優先して窓曇り防止制御を実行する窓曇り対応制御手段を設けたため、請求項1ないし請求項5記載の発明の効果に加え、排気ガス対応制御に窓曇り対応制御がうまく取り込まれ、両制御を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気ガス対応インテークドア制御装置を示すクレーム対応図である。
【図2】実施の形態1の排気ガス対応インテークドア制御装置を示す全体システム図である。
【図3】実施の形態1の排気ガス対応インテークドア制御部で行なわれるガスセンサ信号処理1の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1の排気ガス対応インテークドア制御部で行なわれるガスセンサ信号処理2の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1の排気ガス対応インテークドア制御部で行なわれる排気ガス対応インテークドア制御作動の流れを示すフローチャート1である。
【図6】実施の形態1の排気ガス対応インテークドア制御部で行なわれる排気ガス対応インテークドア制御作動の流れを示すフローチャート2である。
【図7】実施の形態1の排気ガス対応インテークドア制御部で行なわれる排気ガス対応インテークドア制御で用いられる目標開度特性図である。
【図8】実施の形態1の排気ガス対応インテークドア制御でのガス濃度に対する外気導入率特性図である。
【図9】実施の形態1の排気ガス対応インテークドア制御で車速毎の特性選択とREC→FRE遅延時間選択及び風量によるドア制御の実行と禁止を表にして示した図である。
【符号の説明】
a インテークドア
b 排気ガスセンサ
c インテークドアアクチュエータ
d インテークドア制御手段
e しきい値設定手段
f 脱臭フィルタ
g 車速検出手段
h 車速対応遅延時間設定手段
i ブロワ
j ブロワ風量検出手段
k ドア制御禁止手段
m 窓曇り対応制御手段
Claims (6)
- 車載のエアコンユニットの外気吸い込み口に設けられ、外気吸入と内気吸入を切り換えるインテークドアと、
車両のフロントグリル部に設置され、走行中や停車時に外気の排気ガス濃度を検出する排気ガスセンサと、
前記排気ガスセンサからのセンサ信号を入力し、センサ信号から得られる排気ガス濃度演算値に基づき外気の汚れ度を判断し、外気の汚れ度が低い外気清浄状態では吸い込み口を外気モード側とし、外気の汚れ度が高い外気汚染状態では吸い込み口を内気モード側とするように前記インテークドアのドアアクチュエータの駆動制御を行なうインテークドア制御手段とを備えた排気ガス対応インテークドア制御装置において、
制御しきい値として外気の汚れ度が低い側から高い側に向かって順に第1しきい値,第2しきい値,第3しきい値を設定するしきい値設定手段を設け、
前記インテークドア制御手段を、排気ガス濃度演算値が外気清浄値から第1しきい値までの領域では外気モードとし、排気ガス濃度演算値が第1しきい値から第2しきい値までの領域では外気導入率を一定にする中間開度モードとし、排気ガス濃度演算値が第2しきい値から第3しきい値までの領域では外気の汚れ度が高くなるほど前記第1しきい値と第2しきい値の間の外気導入率から徐々にドア開度を内気側開度に変更する可変開度モードとし、排気ガス濃度演算値が第3しきい値から外気汚染値までの領域では内気モードとする制御を行なう手段としたことを特徴とする排気ガス対応インテークドア制御装置。 - 請求項1記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、
前記インテークドアの下流位置に、排気ガスの臭いを抑える脱臭フィルタを設けたことを特徴とする排気ガス対応インテークドア制御装置。 - 請求項1または請求項2記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、
車速を検出する車速検出手段を設け、
前記しきい値設定手段を、検出される車速が低車速時には高排気ガス濃度側の値に設定し、車速が高車速になるほど排気ガス濃度が低くなる側の値に変更設定する車速対応しきい値設定手段としたことを特徴とする排気ガス対応インテークドア制御装置。 - 請求項1ないし請求項3記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、
車速を検出する車速検出手段を設け、
排気ガス対応インテークドア制御により内気モードの位置に制御されたインテークドアを排気ガス濃度演算値の低下にともない外気モード方向に戻す時、車速が低車速であるほどドア戻し判断時からドア戻し制御を実行するまでの遅延時間を長く設定した車速対応遅延時間設定手段を設けたことを特徴とする排気ガス対応インテークドア制御装置。 - 請求項1ないし請求項4記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、
前記インテークドアの下流位置に設けられたブロワの風量を検出するブロワ風量検出手段を設け、
前記ブロワ風量検出手段により検出されるブロワ風量が設定風量以上の時には排気ガス対応インテークドア制御を禁止するドア制御禁止手段を設けたことを特徴とする排気ガス対応インテークドア制御装置。 - 請求項1ないし請求項5記載の排気ガス対応インテークドア制御装置において、
エアコンシステムが切られている、デフモードが選択されている、外気温が設定温度以下である、のいずれか1つの条件を満たすと、排気ガス対応インテークドア制御に優先して窓曇り防止制御を実行する窓曇り対応制御手段を設けたことを特徴とする排気ガス対応インテークドア制御装置。
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