JP3835885B2 - ガスタービン過速防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガスタービンの運転中に電力系統が遮断した場合にガスタービンの回転上昇を抑えるためのガスタービン過速防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービン負荷運転中に送電線系統遮断器、又は発電機遮断器がトリップすると、ガスタービンはその直前の入熱により回転上昇に至る。
【0003】
この回転上昇率は、遮断負荷が大きくなるほど高く、又、オイル焚きに比べガス焚きの方が燃料遮断弁以降のボリューム(カロリーも含め)が大きくなるため高くなる。最悪の場合、回転数が過速度トリップ装置動作設定値(111%以下)以上となり、オーバスピードトリップに至ることがある。
【0004】
図2は従来のガスタービンの燃料弁の系統図であり、上記に説明の電力系統遮断時の回転数上昇を制御する制御部を有している。図において、1は燃料配管、2は圧調弁で、弁の前圧力を調節する弁である。3は流調弁で流量を制御する弁、4は圧調弁2の開度を制御する圧調弁制御部、5は圧力計であり、流調弁3の入口、出口間の差圧を検出し、その信号を圧調弁制御部4へ入力する。6は流調弁制御部で、ガスタービンの回転数により回転数が大きくなると流調弁3の開度を制御するものである。7はマニホールドで20個程の各燃焼器に燃料を分配するものである。
【0005】
上記の燃料弁系統において、流調弁3は流調弁制御部6からの制御信号によりその開度が制御され、圧調弁制御部4は圧力計5からの流調弁3の入口、出口間の差圧信号を入力し、その差圧が4kg/cm2一定となるように圧調弁2の開度を制御している。
【0006】
図3は図2で説明した流調弁制御部6内部の制御フローを詳細に付記した燃料系統図である。図において、流調弁制御部6ではS1で電力系が遮断した時の解列(系統からの切り離し)信号があるか、否かを調べ、解列信号があれば、S2において今まで負荷制御を行っていた制御モードを調速モードに切替える。次にS3では調速モードとなり、回転数をチェックし、あらかじめ設定した回転数よりも実際の回転数が大きいかどうかを調べる。設定回転数<実回転数を検出すると、S4において燃料弁絞り制御信号を出力し、その信号により流調弁3の開度をあらかじめ設定した最小角度まで絞る。
【0007】
上記のように従来の過速防止装置では、負荷遮断が発生した場合、制御モードの切替えが行われ、実回転数が設定回転数より高い時、燃料弁の絞り制御信号が発生し、流調弁3をある最小開度まで急閉する。
【0008】
この時、流調弁3の前後の差圧が大きくなり、流調弁3を絞っても前圧が高いため流量は思ったほど低下しない。その後、その差圧が4kg/cm2より高いため、圧調弁制御部4の制御により圧調弁3が自動的に絞り込まれ、4kg/cm2をキープしようとする。このように電力系統が遮断した場合に流量を絞っても直ちに低下しないため過速度トリップに至る場合がある。
【0009】
流調弁3が全閉出来れば、流調弁3の元圧が上昇しても問題はないが、ガスタービンは燃料弁を全閉にすると失火トリップに至るためある最小開度までしか絞り込まれない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述のようにガスタービンの運転中に電力系統が遮断すると、ガスタービンの回転数が上昇し、遮断する負荷が大きいと回転上昇率が高くなり、最悪の場合には過速度トリップ装置の動作設定値以上となる場合があり、危険な状態となる。現状では前述のように燃料系統の流調弁と圧調弁を制御し、回転数の上昇を抑えようとするが、その応答遅れにより過速度トリップが避けられない場合がある。
【0011】
そこで本発明では、ガスタービンの運転中に電力系統が遮継した場合において、燃料系統の弁を制御しても応動遅れを生ずることなく弁を絞り、回転上昇を抑え、過速度トリップに至ることのないガスタービン過速防止装置を提供することを課題としてなされたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明は次の手段を提供する。
【0013】
ガスタービン燃焼器への燃料配管系に圧調弁、流調弁、流調弁制御部及び圧調弁制御部とを設けてなり、同流調弁制御部により、電力系統遮断時にガスタービン回転数が設定値より大きくなると前記流調弁を最小角度に絞ると共に、前記圧調弁制御部により、同流調弁の入口、出口前後の差圧を所定圧まで下げるように前記圧調弁を絞ることにより前記燃焼器への燃料を絞るガスタービン過速防止装置において、前記電力系統遮断時の信号を受け、前記圧調弁制御部に先行して所定時間前記圧調弁を絞る信号を出力する先行駆動信号発生回路と、通常運転時の前記圧調弁制御部からの信号か、あるいは前記先行駆動信号発生回路からの信号のいずれかを前記圧調弁に出力するOR回路とを設けたことを特徴とするガスタービン過速度防止装置。
【0014】
ガスタービンの負荷運転中に電力系統が遮断すると、その遮断信号によりその系統を切り離すが、流調弁制御部が制御信号を出力し、流調弁を急激に所定の最小角度まで絞り、燃焼器への燃料を絞って回転数上昇を抑えようとする。この時、流調弁の入口、出口前後の差圧は大きくなり、この大きな前圧により燃料流量は弁を絞ったにもかかわらずあまり減少しない。又、この大きな差圧を所定の圧力まで下げるように圧調弁が絞られる。従来では、これらの一連の制御により応答遅れが生じ、この間にガスタービンの回転数が上昇し、過速度トリップに至る場合があった。
【0015】
本発明では、圧調弁制御部に先行して所定時間前記圧調弁を絞る信号を出力する先行駆動信号発生回路と、通常運転時の圧調弁制御部からの信号か、あるいは先行駆動信号発生回路からの信号のいずれかを圧調弁に出力するOR回路とを付加したので、この先行駆動信号発生回路及びOR回路は電力系統遮断信号を受け、所定時間、例えば10秒間、圧調弁制御部に先行して圧調弁を所定の角度だけ絞り、流調弁の前圧を下げておく。これにより流調弁制御部が流調弁を絞った際に流調弁の前圧は低くなっているのでその燃料流量は急激に減少し、燃焼器への燃料も急減するので応答遅れが生ずることなく、ガスタービンの回転数上昇を抑え、過速度トリップ装置の設定値以上となることもない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の一形態に係るガスタービン過速防止装置の系統図である。図において、符号1乃至7は従来のものと同一機能を有するので詳しい説明は省略し、そのまま引用して説明するが、本発明の特徴部分は先行回路部10を設け、圧調弁2を制御する点にある。以下にこの特徴につき詳しく説明する。
【0017】
図1において、10は先行回路部であり、先行駆動信号発生回路11とOR回路12から構成される。先行駆動信号発生回路11は、所定の時間燃料系の弁を駆動してその開度を所定の角度だけ絞るための信号を出力する。12はOR回路で、通常運転時の圧調弁制御部4からの信号か、あるいは先行駆動信号発生回路11からの信号のいずれかを出力するものである。
【0018】
上記の構成において、ガスタービンの負荷運転中に送電線系統遮断器か又は発電機遮断器がトリップすると、解列信号が発生し、その系統を切り離すが、流調弁制御部6では図2の従来例と同じく解列信号を検出し、S1〜S4の各ステップにより制御信号を出力し、流調弁3を急激に所定の最小角度に絞る。
【0019】
この時には流調弁3の入口、出口間の圧差が大きくなり、その前圧により燃料の流量はあまり低下せず、この時の圧力計5の信号が圧調弁制御部4に入力し、圧調弁制御部4はその前後の差圧が4kg/cm2一定となるように圧調弁2を絞る信号を出力し、OR回路12を介して制御しようとする。この間の応答遅れによりガスタービンの回転数が上昇してしまう。
【0020】
一方、流調弁制御部6において、S1により解列信号有りを検出すると、その信号は先行回路部10内の先行駆動信号発生回路11に入力し、先行駆動信号発生回路11は一定期間、例えば10秒間圧調弁2を絞る信号をOR回路12へ出力する。
【0021】
OR回路12では、上記の先行回路部10からの先行信号により直ちに圧調弁2を、圧調弁制御部4の制御より所定の角度まで10秒間先行して絞るので流調弁3の前圧の上昇を抑える。
【0022】
従って流調弁制御部6がS1で解列信号有りを検出し、S2〜S4の各ステップを経て流調弁3を絞る信号を出力し、流調弁3を急激に最小角度まで絞る。この時、流調弁3の前後の差圧が小さくなっており、そのため燃料の流量も直ちに減少し、ガスタービンの回転数の上昇を防ぎ、過速度トリップに至ることもない。
【0023】
なお、上記の先行駆動信号発生回路11からの信号は10秒間発生する例で説明したが、この時間はガスタービンの容量、機種によって異るもので、例えば、タイマを内蔵させ、タイマにより時間を設定するようにすれば適切なタイミングで圧調弁2を絞る信号を出力することができ、そのタイミングを最適となるように調整することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上、具体的に説明したように本発明は、ガスタービン燃焼器への燃料配管系に圧調弁、流調弁、流調弁制御部及び圧調弁制御部とを設けてなり、同流調弁制御部により、電力系統遮断時にガスタービン回転数が設定値より大きくなると前記流調弁を最小角度に絞ると共に、前記圧調弁制御部により、同流調弁の入口、出口前後の差圧を所定圧まで下げるように前記圧調弁を絞ることにより前記燃焼器への燃料を絞るガスタービン過速防止装置において、前記電力系統遮断時の信号を受け、前記圧調弁制御部に先行して所定時間前記圧調弁を絞る信号を出力する先行駆動信号発生回路と、通常運転時の前記圧調弁制御部からの信号か、あるいは前記先行駆動信号発生回路からの信号のいずれかを前記圧調弁に出力するOR回路とを設けたことを特徴としている。このような構成により、先行駆動信号発生回路及びOR回路が流調弁の前圧の上昇を抑え、流調弁での燃料流量の絞りが応答遅れがなく作用するのでガスタービンの電力系統遮断時の回転数上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るガスタービン過速防止装置の制御系統図である。
【図2】ガスタービンの一般的な燃料系統と従来の流量制御を示す系統図である。
【図3】従来のガスタービン過速防止装置の制御系統図である。
【符号の説明】
1 燃料配管
2 圧調弁
3 流調弁
4 圧調弁制御部
5 圧力計
6 流調弁制御部
7 マニホールド
10 先行回路
11 先行駆動信号発生回路
12 OR回路
Claims (1)
- ガスタービン燃焼器への燃料配管系に圧調弁、流調弁、流調弁制御部及び圧調弁制御部とを設けてなり、同流調弁制御部により、電力系統遮断時にガスタービン回転数が設定値より大きくなると前記流調弁を最小角度に絞ると共に、前記圧調弁制御部により、同流調弁の入口、出口前後の差圧を所定圧まで下げるように前記圧調弁を絞ることにより前記燃焼器への燃料を絞るガスタービン過速防止装置において、前記電力系統遮断時の信号を受け、前記圧調弁制御部に先行して所定時間前記圧調弁を絞る信号を出力する先行駆動信号発生回路と、通常運転時の前記圧調弁制御部からの信号か、あるいは前記先行駆動信号発生回路からの信号のいずれかを前記圧調弁に出力するOR回路とを設けたことを特徴とするガスタービン過速防止装置。
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1997
- 1997-05-09 JP JP11941797A patent/JP3835885B2/ja not_active Expired - Fee Related
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