JP3835344B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は放電灯点灯装置に関するものであり、特に車載用の前照灯点灯装置に適するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開2001−284073号公報に開示された放電灯点灯装置では、図8に示すような構成を有している。放電灯5と、放電灯に高圧パルスを印加して放電灯を始動させる高圧パルス発生回路4と、放電灯に低周波電力を供給するインバータ3と、出力電圧を可変し、放電灯に供給する電圧/電流を制御する昇降圧コンバータ2と、放電灯の電流を検出するランプ電流検出部7と、放電灯の電圧を検出するランプ電圧検出部6と、昇降圧コンバータ、インバータを制御するとともにランプ電流を調整する制御回路10からなる。
【0003】
上記の構成において、電源1を投入すると昇降圧コンバータ2、インバータ3が動作を開始する。高圧パルス発生回路4が高圧パルスを発生し、放電灯5の電極間の絶縁を破壊し、放電灯5が点灯を開始する。制御回路10は放電良否判定手段11を有しており、点灯初期の一定期間、適合放電灯よりも低い定格出力電力の放電灯の許容電流を一定電流とするよう制御し、放電灯に一定電流を供給する。それにより過電力を防止する。ランプ電圧検出部6では放電灯に印加されるランプ電圧を検出し、その検出電圧が許容値以内であれば、適合放電灯と判断し、一定電流制御後、出力電力を増加させる。また、検出電圧が許容値以外であれば、さらに供給電流を減少させ、不適合放電灯が装着されたことを知らせるという構成が用いられていた。
【0004】
また、高圧放電灯ではなく蛍光灯の点灯装置について、定格電力の不適合なランプが接続されたときに、それを検出して、ランプを点滅させてからランプへの電力供給を減少または停止させる不適合処理手段を設けることが特開平7−169577号に開示されているが、ランプ電圧が適合する高圧放電灯に対する光束立上げ性能を確保できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術では、不適合放電灯に対しては、供給電流を減少させたり、一定時間が経過するまでは最小の定格出力電力を印加する方式をとっており、装着された放電灯の定格出力電力を印加しないため、装着された放電灯に対して、光束立上げ性能が要求される(特に車載用前照灯点灯装置)用途では、適合放電灯でも点灯直後からの性能を満足できない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の課題を解決するために、図1に示すように、放電灯5に高圧パルスを印加して放電灯5を始動させる高圧パルス発生回路4と、直流電源1からの直流電圧を昇降圧制御する昇降圧コンバータ2と、昇降圧コンバータ2の出力を低周波電力に変換して放電灯5に供給するインバータ3と、放電灯5の電流Ila2を検出するランプ電流検出部7と、昇降圧コンバータ2の出力電圧を検出することで放電灯5の電圧Vla2を検出するランプ電圧検出部6と、ランプ電圧検出部6の検出出力を受けて、放電灯5が高圧パルスの印加により絶縁破壊された後の、最小のランプ電圧を検出することにより放電灯5を判別する放電灯判別回路DJと、判別した結果より所定の出力電力を指令する目標出力電力設定部WXと、ランプ電流検出部7とランプ電圧検出部6と目標出力電力設定部WXの出力に応じて昇降圧コンバータ2を制御する制御手段とを備え、前記放電灯判別回路DJにより不適合ランプ電圧の放電灯が装着されていると判別された場合に識別可能な出力制御を行うことを特徴とするものである。
【0007】
ここで、放電灯は例えば車載用前照灯に用いられる高圧放電灯であり、目標出力電力設定部WXはランプ電圧が適合する高圧放電灯に対しては、最適の光束立上げ性能が確保されるように、図3に示すように、無負荷域、光束立上げ電力制御域、定常電力制御域における目標出力電力を設定するものである。
【0008】
また、図5に示すように、放電灯5の判別結果を記憶する記憶部M1を設けて、少なくとも1回の放電灯5の判別結果を記憶させ、リセットされるまでは記憶部M1に記憶された放電灯5の判別結果による出力制御を行うようにしても良い。また、放電灯5を判別してランプ電圧が不適合と判別された放電灯5に対しては、出力電力を減少させるように、または少なくとも1回、点滅させるように出力制御を行うと良い。さらに、放電灯5を判別してランプ電圧が不適合と判別された場合には、点灯装置の外部に通知する出力部を設けても良い。
【0009】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の実施形態1の構成を図1に示す。この点灯装置は、放電灯5と、放電灯に高圧パルスを印加して放電灯を始動させる高圧パルス発生回路4と、放電灯に低周波電力を供給するインバータ3と、直流電圧を可変し放電灯に供給する電圧/電流を制御する昇降圧コンバータ2と、放電灯の電流を検出するランプ電流検出部7と、放電灯の電圧を検出するランプ電圧検出部6と、昇降圧コンバータおよびインバータを制御する制御回路10からなる。制御回路10は、放電灯のランプ電圧を判別する放電灯判別回路DJと、判別した結果より所定の出力電力を指令する目標出力電力設定部WXと、昇降圧コンバータ駆動部P1と、ランプ電流誤差アンプP2と、目標電流設定部IXと、インバータ駆動部L1を備えている。目標出力電力設定部WXには、図2に示す目標出力電力が設定されている。目標電流設定部IXは除算器であり、目標出力電力設定部WXで設定された目標出力電力WXと、ランプ電圧検出部6で検出されたランプ電圧Vla2を入力して、WX/Vla2を目標電流指令値Ila1として演算する。ランプ電流誤差アンプP2は、目標電流設定部IXから出力される目標電流Ila1と、ランプ電流検出部7で検出されたランプ電流Ila2とを比較し、検出値(Ila2)が目標値(Ila1)に近づくように、昇降圧コンバータ駆動部P1を制御する。昇降圧コンバータ駆動部P1は、昇降圧コンバータ2のスイッチング素子をPWM制御して、直流電源1からの入力電圧を昇降圧して出力し、ランプ電圧、ランプ電流を可変制御する。
【0010】
上記の構成において、電源をONすると、昇降圧コンバータ2、インバータ3が動作を開始し、高圧パルス発生回路4が高圧パルスを発生し、放電灯5の電極間の絶縁を破壊し、放電灯5が点灯を開始する。この時、昇降圧コンバータ2の出力に接続されたランプ電圧検出部6によりランプ電圧Vla2を検出する。
【0011】
ランプ電圧の時間変化を図3に示す。放電灯5の絶縁破壊前の無負荷域では、ランプ電圧Vla2として高い電圧が印加される。この状態で高圧パルス発生回路4が高圧パルスを発生し、放電灯5の電極間の絶縁を破壊し、放電灯5が点灯を開始すると、ランプ電圧Vla2は急激に低下する。その後、光束立上げ電力制御域では出力光束が次第に上昇して行き、それに伴ってランプ電圧Vla2も上昇していく。安定点灯電力制御域では、ランプ電圧Vla2は所定の電圧で安定する。
【0012】
本実施形態では、図4に示す放電灯判別回路DJによって、高圧パルスにより放電灯5の電極間の絶縁が破壊され、ランプ電圧が急激に低下する最小電圧Vla3を判定する。図4に示す放電灯判別回路DJは、ランプ電圧Vla2の検出値と所定の閾値Vαとを比較する電圧比較器(コンパレータ)を備えている。検出したランプ電圧Vla3が閾値Vαを越えた場合は適合電圧の放電灯であると判断し、閾値Vαを越えない場合は不適合の放電灯であると判断する。その逆の判定でも良い。
【0013】
例えば、適合電圧の放電灯であると判断した場合には、図2のテーブル1(W10)の目標出力電力に設定し、不適合の放電灯であると判断した場合には、図2のテーブル2(W11)の目標出力電力に設定し、不適合放電灯であることが識別できるような出力制御を行う。なお、適合放電灯に対しては、最適な光束立上げ性能を確保する。つまり、最適の光束立上げ性能が確保されるように、無負荷域、光束立上げ電力制御域、定常電力制御域における目標出力電力を図2のテーブル1のように設定するものである。
【0014】
本実施形態によれば、放電灯に光束立上げの過大な電力を注入する前に、ランプ電圧を検出でき、不適合放電灯に対して、識別可能な出力制御が可能になる。したがって、過大な電流、電力を印加しない出力制御が可能となるので、放電灯および放電灯点灯装置の寿命の低下及び破損を防止することができる。また、より早くユーザーに不適合情報を提供することができる。さらに、適合放電灯に対しては、最適な光束立上げ性能を確保することができる。
【0015】
(実施形態2)
本発明の実施形態2の構成を図5に示す。基本構成は実施形態1と同様であり、放電灯の判別を少なくとも1回行い、その放電灯判別結果を記憶部M1に記憶しておく。また、放電灯5が取り外されたことを検知するバルブ検知部D5を設けて、放電灯5が取り外されたときには、バルブ検知部D5からの信号を受けて、リセット部RRにより放電灯判別結果を記億する記憶部M1の記憶をリセットするようにしたものである。放電灯の判別手段としては、実施形態1の手段を用いる。
【0016】
この実施形態においても、ランプ電圧が不適合の放電灯に対しては、目標出力電力設定部WXの目標出力電力値が図2のテーブル2(W11)のように低減された出力電力指令値にて出力制御するものである。これにより、光束立上げ電力制御域や安定電力制御域の電力を低減することにより、不適合放電灯による光出力が低減されて、使用者に安全に異常を知らせることができる。
【0017】
本実施形態によれば、実施形態1の効果に加えて、放電灯の判別を少なくとも1回行い、放電灯交換ごとに装着された放電灯の出力制御を設定できることによって、適合放電灯および不適合放電灯の特性の経時変化による誤作動を防止できる。
【0018】
(実施形態3)
本発明の実施形態3の構成を図6に示す。基本構成は実施形態1〜2と同様であり、内部にコンデンサと抵抗からなる発振子を有する、もしくは、外部から発振信号を入力している点滅信号回路Y1により、昇降圧コンバータ駆動部P1の出力を任意の周波数で少なくとも一回ON/OFFさせる手段を有している。放電灯5を判別し、適合放電灯に対しては、最適な光束立上げ性能となるような出力制御を行い、不適合放電灯に対しては、放電灯判別回路DJからの信号を受けて、点滅信号回路Y1により放電灯5を点滅させる。
【0019】
本実施形態によれば、実施形態1〜2の効果に加えて、光束立上げ電力制御域や安定電力制御域の放電灯への出力電力をON/OFFさせることにより、不適合放電灯として、明確に使用者に異常を知らせることができる。
【0020】
(実施形態4)
本発明の実施形態4の構成を図7に示す。基本構成は実施形態1〜3と同様であり、ランプ電圧が不適合の放電灯と判別された場合には、放電灯判別回路DJから関連機器へ不適合情報として信号を出力する外部出力部G1を有している。
【0021】
本実施形態によれば、実施形態1〜3の効果に加えて、関連機器へ不適合放電灯情報を出力することにより、例えば、車両の場合、運転手へ放電灯交換や不適合放電灯などの異常情報をメインパネルに表示する、あるいは、アラームにて、通知あるいは、音声にて通知して、適切な放電灯に交換するように促す。これにより、放電灯の短寿命による消灯が無いよう安全性を高めることができる。また、放電灯点灯装置の工程検査や灯体での検査において、外部出力部があれば、不適合放電灯の検査が容易になる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、放電灯が高圧パルスの印加により絶縁破壊された後の、最小のランプ電圧を検出することにより放電灯を判別するようにしたので、放電灯に光束立上げの過大な電力を注入する前に、ランプの適合/不適合を判別でき、不適合放電灯に対して、識別可能な出力制御が可能になる。したがって、過大な電流、電力を印加しない出力制御が可能となるので、放電灯および放電灯点灯装置の寿命の低下及び破損を防止することができる。また、より早くユーザーに不適合情報を提供することができる。さらに、適合放電灯に対しては、最適な光束立上げ性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1の全体構成を示す回路図である。
【図2】 本発明の実施形態1の適合ランプと不適合ランプに対する出力特性を示す説明図である。
【図3】 本発明の実施形態1の動作説明図である。
【図4】 本発明の実施形態1の要部構成を示す回路図である。
【図5】 本発明の実施形態2の全体構成を示す回路図である。
【図6】 本発明の実施形態3の全体構成を示す回路図である。
【図7】 本発明の実施形態4の全体構成を示す回路図である。
【図8】 従来例の全体構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 直流電源
2 昇降圧コンバータ
3 インバータ
4 高圧パルス発生回路
5 放電灯
6 ランプ電圧検出部
7 ランプ電流検出部
10 制御回路
Claims (4)
- 放電灯に高圧パルスを印加して放電灯を始動させる高圧パルス発生回路と、直流電源からの直流電圧を昇降圧制御する昇降圧コンバータと、昇降圧コンバータの出力を低周波電力に変換して放電灯に供給するインバータと、放電灯の電流を検出するランプ電流検出部と、昇降圧コンバータの出力電圧を検出することで放電灯の電圧を検出するランプ電圧検出部と、ランプ電圧検出部の検出出力を受けて、放電灯が高圧パルスの印加により絶縁破壊された後の、最小のランプ電圧を検出することにより放電灯を判別する放電灯判別回路と、判別した結果より所定の出力電力を指令する目標出力電力設定部と、ランプ電流検出部とランプ電圧検出部と目標出力電力設定部の出力に応じて昇降圧コンバータを制御する制御手段とを備え、前記放電灯判別回路により不適合ランプ電圧の放電灯が装着されていると判別された場合に識別可能な出力制御を行うことを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1において、放電灯の判別結果を記憶する記憶部を有し、少なくとも1回の放電灯の判別結果を前記記憶部に記憶し、前記記憶部がリセットされるまで前記記憶部に記憶された放電灯の判別結果による出力制御を行うことを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1または2において、放電灯を判別してランプ電圧が不適合と判別された放電灯に対しては、出力電力を減少させるように、または少なくとも1回、点滅させるように出力制御を行うことを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、放電灯を判別してランプ電圧が不適合と判別された場合には、点灯装置の外部に通知する出力部を有することを特徴とする放電灯点灯装置。
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