JP3835331B2 - 車両走行状態判定方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両が走行中の道路の勾配を高精度に検出できる車両走行状態判定方法及びその装置に関し、特にナビゲーション装置に適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、車両用ナビゲーション装置は、車速センサから走行距離、ジャイロセンサから方位を算出し、そのデータを地図データと照合しながら現在位置と方位を推測計算する方法が一般的である。近年、ナビゲーション装置の地図データ容量が飛躍的に増加し、詳細な地図表示が可能になった事により、地図上での現在位置と方位の表示もより高い精度が要求されるようになってきた。また、高速道路等高架道路の発達に伴い、インターチェンジ等で地上から高架へ登ったか、或いは高架から地上へ降りたか、それともそのまま進んだかの検出・判定が必要となってきた。
【0003】
このような場合、従来では重力加速度成分を含んだ加速度センサ検出値と、車速センサにより求められる進行方向の真の加速度を演算し、道路勾配を算出し判定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法では、車速センサから加速度を算出する点に問題があり、その算出においては時間による微分演算が必要となるが、計算量が多くなり、追従性が悪化する。また、別の方法としてジャイロセンサを使用する方法がある。これは車両のピッチ方向にジャイロセンサを設置し、ピッチ方向の角速度を検出し、道路勾配を算出するものである。しかしながら、この方法は低速で傾斜路面に入った場合では、検出される角速度が非常に小さいため、ジャイロセンサのドリフトとして補正されてしまい、道路勾配を求める事ができない。
【0005】
したがって、本発明は上記問題点に鑑み、車両が走行中の道路の勾配を高精度に検出でき、車両の走行状態を判定可能な車両走行状態判定方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の車両走行状態判定方法は、車両の前後方向に感度軸を設けたジャイロセンサ、車速センサ及び加速度センサから得られる情報をもとに、車両走行中の道路勾配の情報を求め、車両の走行状態を判定する方法であり、車速センサより得られる車速を所定の閾値と比較して、車速が所定の閾値以上の値を示した場合は、ジャイロセンサから得られる第1道路勾配を、所定の閾値未満の場合には、車速センサ及び加速度センサから得られる第2道路勾配をそれぞれ選択して車両の走行状態を判定することを特徴とする。
【0007】
従って、低速時に問題となるジャイロセンサのドリフトと、高速時に問題となる車速センサにより得られる車速を微分することによる追従性の問題を解消する事ができ、常に道路勾配を高精度に検出する事ができる。
【0008】
さらに、請求項2に記載のように、車両走行状態判定方法は、請求項1に示した第1道路勾配または第2道路勾配の情報と記憶手段より取り出された車両の現在位置に対応する道路情報とを比較する事により、車両が高架道路に上昇したか或いは高架道路から下降したかを判定することを特徴とする。
【0009】
外部メモリ等より得られる道路情報の内、測定箇所の道路勾配データと車速により選択的に得られる第1道路勾配または第2道路勾配の値とを比較し、両値が近しいものであれば例えば道路勾配データの値が正しいものとして自車がその測定箇所を走行しているものと判定する。また両値がかけ離れた値の場合には、例えばその測定箇所における道路と並行する道路を走行しているものと判定し、且つその道路勾配を0°であるものとして処置する。
【0010】
請求項3に記載の車両走行状態判定方法は、請求項1同様各種センサを用いて車両走行中の道路勾配の情報を求め、車両の走行情報を判定する方法であり、ジャイロセンサの角速度情報に基づいて、第1道路勾配を求め、車速センサ及び加速度センサから求まる両加速度情報に基づいて、第2道路勾配を求め、車速を所定の閾値と比較し、車速が閾値以上の場合には、第1道路勾配の情報に基づいて、車両の走行状態を判定し、車速が閾値未満の場合には、第1道路勾配と第2道路勾配の両情報より第3道路勾配を求め、当該第3道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定することを特徴とする。
【0011】
このように本発明によれば、車速が閾値未満の場合において、予め演算された、ジャイロセンサから得られる第1道路勾配と、車速および加速度センサに基づき得られる第2道路勾配と、により第3道路勾配を求め、当該第3道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定する。なお、第3の道路勾配は、第1道路勾配と第2道路勾配に対して車速に対応した加重平均をとることにより求めることができる。したがって、ジャイロセンサの低速におけるドリフトの影響と、加速度センサ及び車速センサの両加速度情報の高速時の追従性が悪い影響とを極力低減した形で、より正確に道路勾配を検出することができる。また、請求項2同様、請求項4においても、車両の現在位置に対応する道路勾配データを外部メモリより取り出し、この道路勾配データと車速により選択された第1または第3道路勾配のいずれかの情報とを比較する事により、車両が高架道路に上昇したか或いは高架道路から下降したかを判定することを特徴とする。両値が近しいものであれば例えば道路勾配データの値が正しいものとして自車がその測定箇所を走行していると判定する。また両値がかけ離れた値の場合には、例えばその測定箇所における道路と並行する道路を走行しているものと判定し、且つその道路勾配を0°であるものとして処置する。
【0012】
また、請求項5に記載の車両走行状態判定装置は、車両の前後方向に感度軸を設けたジャイロセンサ、車速センサ及び加速度センサと、各センサの検出信号に基づいて処理を行う制御手段とを備えている。更に、この制御手段は、車速が所定の閾値以上の場合にはジャイロセンサの検出情報を用いて第1道路勾配を求め、車速が所定の閾値未満の場合には車速センサ及び加速度センサの各検出情報を用いて第2道路勾配を求める道路勾配検出手段を有しており、第1道路勾配または第2道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定することを特徴とする。
【0013】
従って、ジャイロセンサ、車速センサおよび加速度センサと制御手段を用いることで、ジャイロセンサのドリフトの問題と加速度センサの追従性の問題を車速を判定基準として制御し、常に道路勾配を高精度に検出することができる。
【0014】
さらに、請求項6に記載のように、制御手段は記憶手段より取り出した車両の現在位置に対応する道路情報を、第1道路勾配または第2道路勾配の情報と照合処理する判定手段を有しており、その判定情報に基づいて車両が高架道路に上昇したか或いは高架道路から下降したかを判定することを特徴とする車両走行状態判定装置である。
【0015】
また、請求項7に記載の車両走行状態判定装置は、請求項5同様に各種センサおよび各センサの検出信号を処理する制御手段を備えており、この制御手段は、ジャイロセンサの検出情報に基づく第1道路勾配と、車速センサ及び加速度センサの各検出情報に基づく第2道路勾配と、第1道路勾配と第2道路勾配の両情報に基づく第3道路勾配を求める道路勾配検出手段を含み、車速が所定の閾値以上の場合には、第1道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定し、車速が前記閾値未満の場合には、第3道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定することを特徴とする。このように本発明によれば、道路勾配検出手段により、第1道路勾配と第3道路勾配を算出することができる。また、車速が所定の閾値以上の場合には、第1道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定し、閾値未満の場合には、第3道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定することができる。したがって、ジャイロセンサの低速におけるドリフトの影響と、加速度センサ及び車速センサの両加速度情報の高速時の追従性が悪い影響とを極力低減した形で、より正確に道路勾配を検出することができる。さらには、請求項8に記載のように、記憶手段より取り出された車両の現在位置に対応する道路情報と第1または第3道路勾配の情報を照合処理する判定手段を有す制御手段を備えており、その判定情報に基づいて車両が高架道路に上昇したか或いは高架道路から下降したかを判定することを特徴とする車両走行状態判定装置である。
【0016】
以上により、本発明は3種類のセンサを併用し、車速に応じて各種センサの情報を選択的に道路勾配検出に用いることで、より高精度の道路勾配検出を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の車両走行状態判定装置をナビゲーション装置に適用した第1の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0018】
図1は、ナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置1は、車両に搭載されたいわゆるカーナビゲーションシステムとして構成されており、GPS衛星からの電波を受信して車両の存在する緯経度のGPS測位データを出力すると共に、車両の進行方向の絶対方位データ及び速度等を出力するGPS受信機2と、車両に加わる回転運動の角速度に応じて検出信号を出力し、且つ車両の前後(以後ピッチという)方向と横(以後ロールという)方向に感度軸を設定したジャイロセンサ3と、車両のピッチ方向の加速度を検出する加速度センサ4と、車両の走行速度を検出する車速センサ5を備えている。ここで、上記ジャイロセンサ3として具体的には、振動型、光ファイバー型等が用いられる。又、加速度センサ4として具体的には、静電容量型やピエゾ型等の半導体加速度センサや圧電素子型等が用いられる。
【0019】
更に、ナビゲーション装置1は、各種道路交通情報を収集するため、無線電話回線を介して情報配信センタ9との間でデータ通信を行う電話10及びモデム11と、外部情報入出力装置12と、当該装置への各種指令を入力するための操作SW群8と、その操作SW群8と同様な働きをリモートコントロール端末から行うリモコンセンサ6と、地図データ入力器7と、外部メモリ13と、地図表示やスピードメーター等各種表示を行う表示装置14と、上記端末からの入力を処理し、制御するナビ制御回路15とを備えている。また、外部メモリ13には道路勾配βや、高架道路と高架下道路の区分など種々の道路情報が記憶されている。
【0020】
ここで、公衆電話網との接続が可能な携帯電話又は自動車電話からなる無線電話装置10は、ナビ制御回路15からの指令に従って、外部情報源である情報配信センタ9との接続を行い、モデム11は、符号化したデータをナビ制御回路15にて処理可能な形態に複合化する。
【0021】
一方、外部情報入出力装置12は、VICS(道路交通情報システム)サービス用の固定局から、例えば渋滞や交通事故等の道路情報及び駐車場情報を図示しないラジオアンテナを介してFM放送信号を用いて受信したり、電波ビーコン信号及び光ビーコン信号を用いて受信する。この受信した情報はナビ制御回路15へ送られて処理される。また、外部へ情報を発信できるようにもされている。
【0022】
次に、操作SW群8としては、表示装置14と一体に構成され、表示画面上に設定されるタッチSWもしくは表示装置14の周辺部に設けられたキーSW等が用いられる。また、地図データ入力器7は、マップマッチング用データ、地図データ、目印データ等を有し、そのデータを入力するための装置である。データの蓄積手段としては、DVD−ROM、CD−ROM等を用いる。またネットワーク経由で地図データ等をメインサーバーから取得する事も可能である。
【0023】
表示装置14は、カラー表示装置であり、その表示画面には、車両の現在位置と、地図データ等を表示する事ができる。
【0024】
ナビ制御回路15は通常のコンピュータとして構成されており、内部には、周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。そして、GPS受信機2、ジャイロセンサ3、加速度センサ4、車速センサ5からの出力に基づいて車両の現在位置や進行方向等、推測航法を行うためのデータを算出するナビ制御手段を備えている。
【0025】
ここで、本実施の形態におけるナビゲーション処理について、図2に示す。
図2に示すフローに沿って、車両が走行中の道路勾配(水平面と車両の進行方向のなす角をいう。)を求め、車両が高架道路に上昇したのか或いは高架道路から下降したのかの判定を行う。
【0026】
はじめに、道路勾配θを算出する原理について、図3を用いて説明する。尚、図3は車両16が道路勾配θの上り坂を登坂中であることを示し、図3(a)はジャイロセンサ3を用いたモデル図、図3(b)は加速度センサ4と車速センサ5を用いたモデル図である。各センサは、それぞれの検出軸が車両の進行方向を高感度に検出するよう配置されている。
【0027】
図3(a)に示すように、車両16はその内部にジャイロセンサとして例えば振動ジャイロを備えており、ステップS1において、車両16が道路勾配θの上り坂を登り始める直前のAの状態から、車両16が完全に傾斜姿勢をとったCの状態になるまでに角速度ωが加わると、それにより発生したコリオリ力が振動子に働き、検出電極により電荷として得て、回路処理することにより旋回方位の量、すなわち道路勾配として検出する。従って、ジャイロセンサ3から得られる第1道路勾配θ1とすると、下記式により求められる。
【0028】
【数1】
θ1=∫ωdt
次に、図3(b)に示すように、車両16はその内部に加速度センサ4と車速センサ5を備えている。上り坂を登坂中の車両16に対しては、車両の進行方向の加速度G1と、車両の鉛直下方向に働く重力加速度gが作用しており、G1は車速センサ5の出力である車速パルスから算出された車速を時間で微分処理する事により求められる(ステップS2)。さらに、ステップS3にて、車両の進行方向を検出軸として設置した加速度センサ4から得られる車両の進行方向成分の加速度を加速度Gとし、重力加速度gの車両の進行方向成分をG2とすると、それぞれの成分はベクトル和よりG=G1+G2として表される。ここで、両センサの加速度情報から得られる第2道路勾配をθ2とすると、G2=gsinθ2を代入することで、下記式のように示すことができる。
【0029】
【数2】
θ2=sin-1[(G−G1)/g]
尚、上記数式1、数式2が示す道路勾配θ1,θ2の算出は、ナビゲーション装置1が動作中は所定の周期により常に実行されるものである。
【0030】
更に、ステップS4において、GPS受信機2から車両の位置、方位等のGPS位置情報が入力される。以上の情報をもとに、ステップS5の判定部へと進む。
【0031】
ステップS5においては、車速センサ5から得られる車両の走行速度Vが、予め設定された所定の閾値α以上か否かが判定される。ここで、閾値αは、一般的な高架道路への坂道の道路勾配と、予め設定されたジャイロセンサ3のドリフト判定基準と、平均的な車両のホイールベース長さとから算出された値に、所定のマージンを加味して設定される。
【0032】
ステップS5の判定において、車速Vが所定の閾値α以上の場合は、ジャイロセンサ3の数式1により求められた第1道路勾配θ1を道路勾配θとして選択(ステップS6)し、α未満の場合には、加速度センサ4と車速センサ5の数式2により求められた第2道路勾配θ2を道路勾配θとして選択(ステップS7)する。ここで、ジャイロセンサ3により求められる第1道路勾配θ1は、角速度ωを時間で積分したものであり、従って、車両の走行速度Vが小さい場合はドリフトとして判定される。また、加速度センサ4と車速センサ5の演算による第2道路勾配θ2は、車速Vを微分したものであり、その演算時間がジャイロセンサ3に比べてかかるため、車両が高速走行時には、マップデータとの追従性が悪いという問題がある。しかしながら、本発明においては、ジャイロセンサ3のドリフト判定基準を参考にした所定の閾値αに対して、走行中の車速Vが閾値α以上か否かによって道路勾配θの選択を区別するため、ジャイロセンサ3の演算値がもつドリフト特性と加速度センサ4及び車速センサ5の演算値が持つ高速走行時の追従性の問題点の両方をカバーすることができ、より安定したナビゲーション装置1として機能することが可能である。上記したステップS5、S6、S7が道路勾配検出手段を主に構成している。
【0033】
ここで、本実施の例として,図2のようにステップS6或いはステップS7で道路勾配の演算を実施する例を示したが、本発明の請求項1の意図する所は、車速Vと所定の閾値αとの判断後に、その判断結果によりジャイロセンサ3により得られる第1道路勾配θ1或いは加速度センサ4と車速センサ5の両加速度情報に基づく第2道路勾配θ2を選択するステップがあれば良いものである。したがって、各センサからの道路勾配の演算は少なくとも図2におけるステップS8に入るまでに完了しておれば良い。
【0034】
次にステップS8にて、種々の道路情報を持つ外部メモリ13或いは地図データ入力器7より測定箇所の道路勾配βのデータを読み出し、ステップS9にてこの道路勾配データβと車速により選択された道路勾配θが比較される。ここで、θ≒βの場合にはステップS10に進み、θ=βとされ、その測定箇所の道路勾配はβとして判断され、その他の道路情報から得られたデータによりマップマッチングがなされる。この時道路情報からの道路勾配βとセンサ情報からの道路勾配θの比較は、道路情報の誤差およびセンサデータの誤差を考慮して閾値を設定し、βとθの差がこの閾値よりも小さいとき、すなわちθ≒βの時は一致しているとみなしている。
【0035】
一方、θ≒βでない場合には、ステップS11に進みθ=0、すなわち道路勾配は0°として判断され、これまで走行してきた高架道路或いは高架下道路をそのまま継続走行するよう処理される。
【0036】
したがって、ステップS10、S11の結果を受けて自車位置を道路地図上に表示し、使用者に対して自車の道路上の位置を知らせる。(ステップS12)
なお、本実施の形態では道路勾配データβとセンサからの勾配データθが一致しない場合、θ=0として処理をする例を示したが、それ以外にもステップS11にてθ=θとしてそのままセンサからの勾配データを使用し、自車位置表示を行っても良い。
【0037】
また、道路勾配データβとセンサからの勾配データθが一致しない場合、直前の道路勾配データθを外部メモリ13から再度読み出してマップマッチングを行い、自車位置表示をしても良い。
【0038】
上記のように、本発明の第1の実施の形態では、カーナビゲーション装置1において、車速Vを所定の閾値αと比較する事によって、道路勾配θをジャイロセンサ3による演算値と加速度センサ4及び車速センサ5からの演算値とから選択使用する事ができ、あらゆる状態下においても、より高精度に道路勾配検出を行うことが出来る。更に、その結果を受けて正確な自車位置表示を行うことができる。
【0039】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0040】
第2の実施の形態におけるナビゲーション装置1の構成等は、第1の実施の形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0041】
第2の実施の形態において、第1の実施の形態と異なる点は、道路勾配θの算出方法である。
【0042】
車速Vが所定の閾値α未満であった場合、道路勾配θは本実施例においてジャイロセンサ3による演算値第1道路勾配θ1と加速度センサ4および車速センサ5による演算値第2道路勾配θ2との加重平均により算出される第3道路勾配θ3となる。尚、本実施例の所定の閾値αは、第1の実施形態と同様に、ジャイロセンサ3のドリフト判定基準と車両のホイールベース長さと傾斜角により求められる数値に所定のマージンを加味したものとする。
【0043】
ここで図4に示すステップS27の数式を説明する。下記式により閾値α未満の第3道路勾配θ3は算出される。
【0044】
【数3】
θ3=xθ1+yθ2
ここでx,yは正数で、x+y=1の関係が成り立ち、車速に対応してx,yの値が決定されるものとする。具体的には所定の閾値αの範囲内で、車速Vの増加に対応し、xは増加、yは減少の関係が示せれば良い。ここで、x,yの値を(x,y)として示すと、好ましくは、α=10km/hとしたとき、0〜10km/hまでの区間を10等分し、車速Vが0以上1km/h未満においては(x,y)=(0,1)、車速Vが1以上2km/h未満においては(0.1,0.9)、・・・、車速Vが9以上10km/h未満においては(0.9,0.1)の関係を示すものである。つまり(0.1,0.9)の場合、θ=0.1θ1+0.9θ2となり両加速度情報の影響をより強く受け、(0.9,0.1)の場合、θ=0.9θ1+0.1θ2となりジャイロセンサ3の影響をより強く受けている事となる。
【0045】
上記のように、本発明の第2の実施例において、車速Vが閾値α未満の場合には、数式3に示すような加重平均をとることで、ジャイロセンサ3の低速におけるドリフトの影響と、加速度センサ4及び車速センサ5の両加速度情報の高速時の追従性が悪い影響とを、極力低減した形で高精度に道路勾配を求める事ができ、従って、高い精度で自車位置の表示が可能となる。
【0046】
なお、本実施の形態についても、道路勾配データβとセンサからの勾配データθが一致しない場合、θ=0として処理をする例を示したが、それ以外にもステップS31にてθ=θとしてそのままセンサからの勾配データを使用し、自車位置表示を行っても良い。
【0047】
また、道路勾配データβとセンサからの勾配データθが一致しない場合、直前の道路勾配データθを外部メモリ13から再度読み出してマップマッチングを行い、自車位置表示をしても良い。
【0048】
以上本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、種々変更して実施する事ができる。
【0049】
本発明においては、車速センサにより車速を求め、車両進行方向の加速度を微分により求めたが、GPSから得られるデータをもとにした進行方向の車速を用いて加速度G1を求めても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例としてのナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態における道路勾配判定手段を示すフローチャートである。
【図3】(a)ジャイロセンサによる道路勾配、(b)加速度センサ及び車速センサにより演算される道路勾配を示す説明図である。
【図4】第2の実施形態における道路勾配判定手段を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・ナビゲーション装置、3・・・ジャイロセンサ、4・・・加速度センサ、5・・・車速センサ、13・・・外部メモリ、15・・・ナビ制御回路(ナビ制御手段)
Claims (8)
- 車両の前後方向の角速度を検出するジャイロセンサと、車速を検出する車速センサと、車両の前後方向の加速度を検出する加速度センサとを用いて、車両走行中の道路勾配の情報を求め、車両の走行状態を判定する車両走行状態判定方法であって、
前記車速が所定の閾値以上の場合には前記ジャイロセンサの角速度情報に基づく第1道路勾配を求めると共に、前記車速が所定の閾値未満の場合には、前記車速センサ及び前記加速度センサから求まる両加速度情報に基づく第2道路勾配を求めるようにし、前記第1道路勾配または前記第2道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定することを特徴とする車両走行状態判定方法。 - 車両の現在位置に対応する道路情報を記憶手段より取り出し、この道路情報と前記第1道路勾配または前記第2道路勾配の情報とを比較する事により、車両が高架道路に上昇したか或いは高架道路から下降したかを判定することを特徴とする請求項1に記載の車両走行状態判定方法。
- 車両の前後方向の角速度を検出するジャイロセンサと、車速を検出する車速センサと、車両の前後方向の加速度を検出する加速度センサとを用いて、車両走行中の道路勾配の情報を求め、車両の走行状態を判定する車両走行状態判定方法であって、
前記ジャイロセンサの角速度情報に基づいて、第1道路勾配を求め、
前記車速センサ及び前記加速度センサから求まる両加速度情報に基づいて、第2道路勾配を求め、
前記車速を所定の閾値と比較し、
前記車速が前記閾値以上の場合には、前記第1道路勾配の情報に基づいて、車両の走行状態を判定し、
前記車速が前記閾値未満の場合には、前記第1道路勾配と前記第2道路勾配の両情報に基づき第3道路勾配を求め、当該第3道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定することを特徴とする車両走行状態判定方法。 - 車両の現在位置に対応する道路情報を記憶手段より取り出し、この道路情報と前記第1または前記第3道路勾配の情報とを比較する事により、車両が高架道路に上昇したか或いは高架道路から下降したかを判定することを特徴とする請求項3に記載の車両走行状態判定方法。
- 車両の前後方向の角速度を検出するジャイロセンサと、車速を検出する車速センサと、車両の前後方向の加速度を検出する加速度センサと、前記ジャイロセンサ、前記車速センサ、及び前記加速度センサの各検出信号に基づいて処理を行う制御手段とを備えた車両走行状態判定装置において、
この制御手段は、前記車速が所定の閾値以上の場合には前記ジャイロセンサの検出情報を用いて第1道路勾配を求めると共に、前記車速が所定の閾値未満の場合には前記車速センサ及び前記加速度センサの各検出情報を用いて第2道路勾配を求める道路勾配検出手段を有し、この道路勾配検出手段で求めた前記第1道路勾配または前記第2道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定することを特徴とする車両走行状態判定装置。 - 前記制御手段は、車両の現在位置に対応する道路情報を記憶手段より取り出し、この道路情報と前記第1道路勾配または前記第2道路勾配の情報とを照合処理する判定手段を有し、その判定情報に基づいて車両が高架道路に上昇したか或いは高架道路から下降したかを判定することを特徴とする請求項5に記載の車両走行状態判定装置。
- 車両の前後方向の角速度を検出するジャイロセンサと、車速を検出する車速センサと、車両の前後方向の加速度を検出する加速度センサと、前記ジャイロセンサ、前記車速センサ、及び前記加速度センサの各検出信号に基づいて処理を行う制御手段とを備えた車両走行状態判定装置において、
前記制御手段は、前記ジャイロセンサの検出情報に基づく第1道路勾配と、前記車速センサ及び前記加速度センサの各検出情報に基づく第2道路勾配と、前記第1道路勾配と前記第2道路勾配の両情報に基づく第3道路勾配を求める道路勾配検出手段を含み、前記車速が所定の閾値以上の場合には、前記第1道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定し、前記車速が前記閾値未満の場合には、前記第3道路勾配の情報に基づいて車両の走行状態を判定することを特徴とする車両走行状態判定装置。 - 前記制御手段は、車両の現在位置に対応する道路情報を記憶手段より取り出し、この道路情報と前記第1または前記第3道路勾配の情報とを照合処理する判定手段を有し、その判定情報に基づいて車両が高架道路に上昇したか或いは高架道路から下降したかを判定することを特徴とする請求項7に記載の車両走行状態判定装置。
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JP2002098285A JP3835331B2 (ja) | 2002-04-01 | 2002-04-01 | 車両走行状態判定方法およびその装置 |
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