JP3835251B2 - 耐溶融亜鉛腐食性に優れる合金 - Google Patents

耐溶融亜鉛腐食性に優れる合金 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は溶融亜鉛メッキ処理に際して用いられるシンクロール,サポートロール等の材料として好適な耐溶融亜鉛腐食性に優れた合金に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば鋼板を溶融亜鉛に浸漬して亜鉛メッキ鋼板を得る工程等で用いられるシンクロール,サポートロール等の溶融亜鉛メッキ処理設備の装置部品、詳しくは溶融亜鉛に接触する装置部品には優れた耐溶融亜鉛腐食性が求められる。
【0003】
従来、そのための材料として次のような組成を有するもの、即ち重量%でC:0.07〜0.12%,Si:0.80〜1.20%,Mn:0.6〜1.0%,P :≦0.040%,S :≦0.040%,Cu:≦0.30%,Ni:≦0.50%,Cr:10.50〜12.00%の組成を有するマルテンサイト系のステンレス鋼材が用いられていた。
【0004】
ところで、従来の溶融亜鉛メッキにおいては通常の場合にZn-0.2重量%Alから成る溶融亜鉛浴が使用されていたが、近年になって亜鉛メッキ層の高級化、即ち耐食性のより一層の向上のために溶融亜鉛浴中のAl添加量を多くする傾向があり、溶融亜鉛メッキ処理設備の装置部品等に対する腐食環境が厳しくなって来ている。
このため、溶融亜鉛メッキ処理設備の装置部品を構成するための材料に従来に増して高い耐溶融亜鉛腐食性が求められるようになって来ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の耐溶融亜鉛腐食性に優れる合金はこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、重量%でC :0.10〜0.15%,Si:1.30〜2.00%,Mn:1.50〜2.50%未満,P :≦0.040%,S :≦0.040%,Cu:≦0.30%,Ni:0.30〜1.00%,Cr:10.50〜12.00%,N :0.02〜0.06%残 Fe及び不可避的不純物の組成を有し、且つ次式(1)で表されるフェライト係数が1.0以下であることを特徴とする。
(Cr+1.5Si−4.99)/(Ni+30C+0.5Mn+26(N−0.02)+2.77)・・・(1)
(但し式中の Cr Si Ni C Mn N の各元素記号は、それぞれの元素の合金組成重量%を示す)
【0006】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、上記従来の材料に対してSi含有量を高含有量となし、耐溶融亜鉛腐食性を高めるようになしたものである。
但し単にSiの含有量を高くしただけであると材料の靭性(衝撃値),耐溶融亜鉛腐食性が低下してしまう。
【0007】
本発明の材料はマルテンサイト系材料であり、これに対してSiはフェライト生成元素として知られた元素で、Siの含有量を高くするとフェライトが生成し易くなって、これにより材料の靭性,耐溶融亜鉛腐食性が低下してしまうのである。
而して靭性が低下すると、例えば上記シンクロールやサポートロール等において、ロール製造の過程で軸の部分等で折損が生じ易くなる。
【0008】
要するに本発明は、Si含有量を多くすることで耐溶融亜鉛腐食性を高める一方、Si含有量を多くすることに伴って生ずるフェライトの生成し易さの問題、具体的にはフェライトの生成によって材料の靭性,耐溶融亜鉛腐食性が低下する問題の解決を図ったもので、そこで本発明ではオーステナイト生成元素であるMn,Nを従来よりも多量に含有させ、また併せて同じくオーステナイト生成元素であるNi,更にCの添加レンジを従来よりも高めのレンジに設定したものである。
【0009】
言って見れば、これらMn,N,Ni,C等によりフェライトの生成を抑制することで、フェライト生成元素であるSiの高添加を可能とし、これによって靭性を確保しつつ耐溶融亜鉛腐食性を高め得た点に本発明の特徴が存する。
かかる本発明によれば、従来に増して耐溶融亜鉛腐食性の高い材料を提供することができる。
【0010】
かかる本発明では、次式(1)で表されるフェライト係数が1.0以下となるように各成分を調整することが必要である。
(Cr+1.5Si−4.99)/(Ni+30C+0.5Mn+26(N−0.02)+2.77)・・・(1)
【0011】
次に本発明における各化学成分の限定理由を以下に詳述する。
C :0.10〜0.15%
Cが0.10%より少ないとフェライト量増加により靭性,耐溶融亜鉛腐食性が低下する。また一方0.15%を超えて多く含有させると、CrとCとが結合して炭化物を析出し、溶融亜鉛に対する腐食抵抗性が低下する。そこで本発明ではCの含有量を上記範囲内とする。
【0012】
Si:1.30〜2.00%
溶融亜鉛に対する腐食抵抗性の向上の効果を出すためにはSiを1.30%以上含有させる必要がある。
一方2.00%を超えて含有させると衝撃値の低下をもたらす。そこで本発明ではSiの含有量を上記範囲とする。
【0013】
Mn:1.50〜2.50%未満
Mnの添加は、Siを高添加することでフェライト量が増加し、靭性,耐溶融亜鉛腐食性が低下するのを抑制する効果がある。但しそのためには1.50%以上含有させる必要がある。
一方2.50%以上含有させると鋳造時の鋳型溶損による異物かみの問題が発生する。またMnは酸化され易い元素であり、これを多量に含有させると鋼の清浄度が低下してしまう。
そこで本発明ではMnを2.50%未満の量で含有させるようにする。
【0014】
Ni:0.30〜1.00%
Niが0.30%よりも少ないとフェライト量の増加により靭性,耐溶融亜鉛腐食性が低下する。
また一方、1.00%を超えて多量に含有させた場合においても同様に溶融亜鉛に対する腐食抵抗性の低下をもたらす。
そこで本発明ではNiを0.30〜1.00%の範囲とする。
【0015】
Cr:10.50〜12.00%
溶融亜鉛に対する腐食抵抗性の向上の効果を出すためにCrは10.50%以上含有させる必要がある。
一方、12.00%を超えて含有させると衝撃値の低下をもたらすため上限を12.00%とする。
【0016】
N:0.02〜0.06%
フェライト量の増加により靭性,耐溶融亜鉛腐食性が低下するのを防ぐため、本発明ではNを0.02%以上含有させる。
一方、0.06%を超えて含有させると鋳造時にブローホールを発生するため、上限を0.06%とする。
【0017】
尚P,S,Cuは不純物となるものであって、Pについては0.040%以下、Sについては0.040%以下,Cuについては0.30%以下にそれぞれ規制する。
【0018】
フェライト係数:1.0以下
(Cr+1.5Si−4.99)/(Ni+30C+0.5Mn+26(N−0.02)+2.77)・・・(1)
上記式(1)で表されるフェライト係数が1.0よりも大になると、フェライト量の増加により耐溶融亜鉛腐食性が低下するため、本発明ではフェライト係数を1.0以下に規制する。
【0019】
【実施例】
次に本発明の実施例を以下に詳述する。
表1に示す成分の鋼を高周波誘導炉で溶解し、φ50×200mmの鋳型に鋳造した。
そして鋳造後、1050℃で1時間保持したのち衝風冷却を行い、続いて700℃×1時間の条件で加熱したのち炉内冷却を行った。
そしてこれより試験片を取り出し耐食性試験,衝撃試験を実施し、それらの特性について評価した。
その評価の結果が表1に併せて示してある。
【0020】
【表1】
Figure 0003835251
【0021】
尚耐食性試験は、試験片を480℃に加熱したZn-0.2%Al浴に100時間浸漬し、その減耗量を計測することにより行った。
判定は次のようにして行った。
◎;5g/mh以下, ○;10g/mh以下, ×;10g/mhを超える。
【0022】
一方衝撃試験はJIS Z 2202 2mmVノッチ試験片を5本作成し、JIS Z 2242に従って衝撃試験を常温で行い、その平均値を取って以下の基準で評価を行った。
シャルピー吸収エネルギー ◎;50J以上, ○;30J以上 ×;30J未満。
【0023】
以上の結果に見られるように、Siを多く含有させ且つ他の成分の調整によってフェライト係数を1.0以下となしてある本実施例の場合、耐食性,衝撃値,製造性ともに何れも良好となっているのに対し、比較例のものはそれらの何れかの特性において不満足なものとなっている。
【0024】
具体的には、Mnの含有量が本発明の範囲を超えて多い比較例2では製造性が悪化しており、またCの含有量が本発明の上限である0.15%よりも多い比較例4の場合、耐食性が悪くなっている。
【0025】
またSiの含有量が本発明の下限値よりも少ない1.20%の比較例5の場合には耐食性が悪く、また逆にSiの含有量が本発明の上限値である2.0%を超えて多く含有されている比較例6の場合、衝撃値が悪くなっている。
【0026】
更にNiの含有量が本発明の上限値である1.0%よりも多い1.03%である比較例8の場合、耐食性が悪く、またNの含有量が本発明の上限値よりも多い0.063%である比較例10の場合製造性が悪くなっている。
【0027】
またC及びCrの含有量が本発明の下限値よりも少なく、更にまたフェライト係数が1.0%よりも大である比較例11の場合、衝撃値はそれほどではないものの、耐食性が悪くなっている。
【0028】
これに対して本発明の範囲内の各実施例のものは耐食性,衝撃値,製造性の何れもが良好である。
【0029】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。

Claims (1)

  1. 重量%で
    C :0.10〜0.15%
    Si:1.30〜2.00%
    Mn:1.50〜2.50%未満
    P :≦0.040%
    S :≦0.040%
    Cu:≦0.30%
    Ni:0.30〜1.00%
    Cr:10.50〜12.00%
    N :0.02〜0.06%
    Fe及び不可避的不純物の組成を有し、且つ次式(1)で表されるフェライト係数が1.0以下であることを特徴とする耐溶融亜鉛腐食性に優れる合金。
    (Cr+1.5Si−4.99)/(Ni+30C+0.5Mn+26(N−0.02)+2.77)・・・(1)
    (但し式中の Cr Si Ni C Mn N の各元素記号は、それぞれの元素の合金組成重量%を示す)
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